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自動車用ドア組立ラインにおけるねじ締め装置の開発
生産システム技術系 開発課題 自動車用ドア組立ラインにおけるねじ締め装置の開発 グループ 5 生産機械システム技術科 生産電子システム技術科 生産情報システム技術科 伊藤 勇太 片柳 友章 佐竹 達也 奈良 祐真 星野 拓也 山口 勇人 小倉 圭司 小林 秋民 鈴木 強 橋本 征洋 細川 凌 峯澤 誠紀 ○小林 新人 1.はじめに 自動車のドア組立工程における作業は,複雑な部品 が多いうえ,様々なドアがあるので自動化が困難であ る.そこで,自動車の左右対称構造に着目し,機械に 人の作業を反転コピーさせ,人との協業可能な装置を 作り,作業効率の向上を図りたいというテーマを A 社 から頂いた. そのための第 1 ステップとして私たちは, 図 1 の「ドアロックのねじ 3 本を確実に締める」装置 の開発を行った. 鈴木 桂太 鈴木 聖 鈴木 武秀 図 3 流れ図 2-1 ワークナビ部 ワークナビ部は,ドアの品質管理,作業工程の表示, 作業者への警告などを行っている.まず,IC タグにて コードを読み取り,コードに見合った自動車のドア情 報をデータベースより取得する. それを基に作業工 程を表示し,作業の進捗に合わせて表示内容を変更す る.図 4 に作業指示表示例を示す.また,ねじ締め不 良などの警告の表示や工具劣化などの警告にも対応可 能となっている.視覚的に誰が見ても分かりやすくな るよう,画像を用いて指示を行っている. 図 1 ねじ及びねじ締め付け穴 2.装置概要 開発した装置を図 2 に示す.装置は,ねじ締め部, ねじ供給部,ワークナビ部,画像処理部の4部構成と なっている.ねじ締め部とねじ供給部は,それぞれ別 の PIC を用いて制御し,ワークナビ部,画像処理部は, 管理用 PC を用いて処理を行っている. システム全体の流れを図 3 に示す. 図 4 作業指示表示例 ねじ供給部 2-2 ねじ供給部 ねじ供給部とは,大量にストックされたねじを1本 ずつねじ締部のビットに装着できる姿勢で供給するも のである. 図5にねじ供給部外観図を示す.外側に傾斜を持た せた供給プレートを自作のカム機構で上下運動させ, その溝に,はまったねじを搬送する.異なる向きのね じの多くは供給プレートの傾斜により落下するが,落 下しなかったねじは,図6に示すような供給プレート に装着したワイヤにより除かれる.個数制御機構は, ねじを1本ずつたま込め機構へ送るためのもので,カ ムプレートをロータリソレノイドに取り付けている. 搬送部の出入口付近に透過型光電センサを取り付けね じの個数をカウントし,ねじの個数を制御することで ワークナビ部 ねじ締め部 図 2 全体図 5 ねじの流れすぎを防止している. た,ねじ締めユニット軸については,ねじ穴が垂直平 面とは限らないので,ある程度の角度調整が可能な機 構にした. 各軸には, 市販の電動シリンダを用いたが, ねじ締めユニットの重量,ねじ締め時の衝撃荷重,ロ ボット動作時の荷重に耐えられるよう, リニアガイド, イケールなどを使用して,強度を向上させた. ねじ締めは,実験の結果,ロボットの動作だけでは 上手くいかないことが判明したので,ばねを用いてね じを押さえつけて回転させる構造とした. 供給プレート 搬送機構 たま込機構 個数制御機構 ねじ締めユニット軸 リニアガイド 図 5 ねじ供給部 ばね 図 6 ワイヤ イケール たま込め機構は,磁石を利用して位置決めを行い, 少し傾けて,ねじをセットする.たま込め機構から突 図 9 ねじ締め部 き出しているセンサによりたま込めが正確に行えたか 3.開発目標及び装置評価 の判断をしている. 開発目標及び装置評価を以下に示す. 2-3 画像処理部 表 1 開発目標及び装置評価 画像処理部は,ワークナビ部がデータベースより取 得したドアねじ穴の図面データの座標と実際のドアね じ穴の座標との誤差を検出するために用いられる. まず,データベースより取得した3つのねじ穴の中 心がカメラの撮像範囲の中心となる座標にて撮影を行 う.次に,撮影した画像に予め用意されたマッチング 画像を用いて,テンプレートマッチングを行う.画像 上のねじ穴の座標から,図面データとのずれを割り出 す.Y軸の座標は,ドアのねじ穴の傾きにより補正が 必要となるので, 補正をした後3つのねじ穴の座標 (X, 4.製作費用 Y)を,ねじ締め部を制御している PIC へ送信する. 今回の製作費用を以下に示す. 表 2 製作費用 5.おわりに A 社から頂いたテーマの第1ステップについては, 多くの創意工夫の結果,満足のいく結果が得られたと 考えている.ねじを複数個同時に締め付けるなどの細 かい改良も必要だが,今後,左右のドアを同時にねじ 締め作業ができる装置の完成に向け,取り組む必要が あると考える. 図 8 マッチング画像 図 7 補正画像 2-4 ねじ締め部 ねじ締め部は,ユニット化のしやすさ,制御の容易 さから直交ロボットを参考に設計・製作を行った.ま 6