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マイコプラズマ肺炎(PDF:1.2MB

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マイコプラズマ肺炎(PDF:1.2MB
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎
[日本での感染症発生動向調査]
・晩秋から早春にかけて多い
・患者の年齢は幼児期、学童期、青年期(5歳から35歳)が中心
・流行は学童から始まり家庭内感染へと広まる
・病原体分離例でみると7歳から8歳にピーク
・5歳未満の幼児・・・感染しても、軽症状か不顕感染の場合が多い
[欧米]
・寄宿舎、軍隊、サマースクール、学校、家庭内などの閉鎖集団で
の発生が多い
感染拡大の速度は遅い。
感染により免疫を獲得するが生涯続く免疫ではなく、再感染する。
ヒトのほかブタ、ウシでも発生する。
[罹患時期]
平成9年6月
5歳5か月
[診療機関]
症状
一般的症状
特徴的症状
• 発熱や頭痛全身倦怠が3-4日続
く(39度近い高熱)
• その間に咳がだんだんひどくなり、
乾性咳→湿性咳になることも
→微熱、頭痛、発熱、悪寒、 • 熱がさがったあとも頑固な咳(ピー
クは2週目で3~4週間持続)痰に
鼻汁の過分泌、咽頭痛、咳
血液が混ざってくることもある
など
• 幼児では鼻炎症状もみられる
• 胸の雑音が聴診で聞こえない
• 痰は見られない
• 白血球数が正常値内
• 多くは軽症で風邪と区別が
付ない
• いわゆる風邪症候群
自覚症状
他覚症状
• 風邪症候群
a. 疲労感
b. 頭痛
c. のどの痛み
• 消化器症状
a. 咳→喘鳴(ゼイゼイ、
ヒューヒュー)
a. 発熱→39度近い
高熱
b. 発疹
直接症状
• 上気道炎
• 気管支炎
→マイコプラズマの組織を傷害する作用のある活性酸素の
過剰産生による呼吸器粘膜細胞の軽い傷害作用による
• 肺炎
→・幼児~小学生が肺炎を起こしやすく、
免疫反応は弱いため何度でも感染する可能性あり
・直接マイコプラズマが肺に悪さをするのではなく、
感染した人の免疫反応が肺炎を引き起こすためで
あると考えられている
間接症状
• 咽頭痛、頭痛、倦怠感、嘔吐、下痢、腹痛と
風邪の症状
• 多くは軽症で風邪と区別が付きません
検査の種類
• レントゲン写真
• 胸部(単)CT ・・・肺炎の性状、部位、合併症(胸水など)を
判定
• 血液検査・・・一部の起炎菌の判定や重症度判定(炎症の
強さ)などに用いる
• 喀痰検査 ・・・起炎菌の推定、判定などに用いる
• 検尿検査 ・・・肺炎球菌、レジオネラなど一部の起炎菌の
判定の他、 合併症の判定などに用いる
※レントゲン写真など、マイコプラズマに特徴的な所見はな
いため、断定するには血液検査を行う
胸部レントゲン
肺の部分は
黒く映るの
だが、炎症
が起こって
ところは白
くなってい
る
マイコプラズマ抗体(C
F)
血液検査
検査方法
基準値
CF
4倍未満(-)
低い
感度
(乳幼児で抗体反応が
弱い)
特異性
交差反応あり
IgM+IgG
検出抗体
(主にIgG)
マイコプラズマ抗体
(PA)
寒冷凝集反応
PA
40倍未満(-)
HA
32倍以下(-)
高感度
25~50%
93%
IgM+IgG
(主にIgM)
低い
IgM
・発症後 1週目より上
・発症後 約2週間後に ・発症後 1週目より上
昇
抗体価の
上昇
昇
・ピーク 2~3週目
上昇時期
・ピーク 3~4週目
・ピーク 2~6週目
・以後、急速に低下
・数ヶ月高値を持続
・以後、急速に低下
・4~6週目で陰性化
・PA法は主にIgM、CF法はIgGを測定するため、
急性期を捉えやすいPA法の方がよく検査されています。
・その他、簡易EIA法キットのIgM抗体検査があります(試
薬販売)。
参考:稲見由紀子、他:検査と技術34(6)、2006
坂本芳雄:臨床検査ガイド2003~2004文光堂
肺炎の検査
• 胸部のレントゲン
ほとんどの場合、肺に異常な影がみられる
• 血液検査
炎症を示す所見や症状
↓
肺炎と診断される
~ウィキペディアより~
予後判定
• マイコプラズマ肺炎は細菌性肺炎とは違い、
一般的には症状が比較的軽く、成人は入院を必要
とせず外来通院で治療可能な場合が多い。
・全身状態がよくない場合は入院が必要になること
もある。
• 抗生物質の飲み薬でマイコプラズマ自体はよく
なっても、気管支が敏感な状態は残ってしまい、
咳だけが続くこともある。
• マイコプラズマに対する免疫は、一生続くもので
はないので、一度かかってもまたかかってしまう
こともある
治療・手当て
抗生物質
・マクロライド系抗生剤
・テトラサイクリン系抗剤
→ 8歳以下の子供に2週間以
上長く使用すると歯が黄色に
なったり、骨の発達に影響
• ニューキノロン系抗剤
→関節への影響から子供に
あまり使用されない
※副作用に注意して抗生剤を
使う必要がある
予防
• 一度罹っても一生免疫力が
つくわけでなく、何度も感染
することがある
→流行している時期には、人
混みを避けて、十分な睡眠と
栄養・うがい・手洗いをして予
防
肺炎の治療
• 一般的な肺炎の治療は薬で行う
→肺炎に使われる抗菌薬は、
原因と推定される病原菌に
あわせて使い分ける
(ペニシリン系やセフェム系など種類が様々)
疫学的背景
• 4年ごとのオリンピックの開催年に一致して
ほぼ規則的な流行
→最近ではこの傾向は崩れ、
毎年地域的に小流行を繰り返すようになる。
・季節的には初秋から冬に多発
・好発年齢・・・幼児から学童(とくに5~12歳)
→4歳以下の乳幼児にも感染はみられるが、
多くは不顕性感染または軽症
過去10年間の統計
国立感染症情報センター
法的背景
• 登校・登園・・・急性期が過ぎて本人の全身状
態が改善すれば可能
• 学校での流行・・・第3種学校伝染病
→出席停止などの措置がとられる場合がある
病理学的分類
• 「非定型肺炎」・・・非細菌性微生物
細菌とウイルスの中間くらいの大きさの
微生物
• 細菌の一種と分類されるが、他の細菌と違い
細胞壁を持たない
→細菌の細胞壁に作用して治療効果を発揮す
る抗生物質が効かない
病因の分類
• マイコプラズマ
位置:真正細菌の一属
→真核生物細胞内に寄生
※真核生物
・原生生物(広義:高等動植物以外の全ての下等
生物群を指す)からヒトを含む哺乳類までの細胞
は全て真核細胞
・中心に核膜で包まれた核をもち、その中に複数
個の染色体が存在
病因の分類2
構造
・細胞壁の欠損、
・非常に小さな細胞サイズならびにゲノムサイズを持つ
ことがある
病変部の解剖
• びまん性間質性肺炎
• 病原体は侵入後
1. 粘膜表面の細胞外で増殖を開始
2. 上気道あるいは気管、気管支、細気管支、肺胞など
の下気道の粘膜上皮を破壊
3. 特に気管支、細気管支の繊毛上皮の破壊が顕著で、
粘膜の剥離、潰瘍を形成
4. 気道粘液への病原体の排出は初発症状発現前2~
8日でみられるとされ、臨床症状発現時にピークとな
り、高いレベルが約1 週間続いたあと、4~6週間以
上排出が続く。
傷害の状況
•
全身への影響
[菌がヒトの上気道へ侵入]
上気道炎
侵入した菌は,菌体のとがった先端部の細胞吸着器官
下気道炎
(PIタンパク群) で気道表面の線毛上皮細胞の
肺炎
線毛付け根部分に接着、増殖
↓
細胞に直接的な損傷を与える(感染が成立)・・・直接障害
※この PI タンパクをコードする遺伝子配列には2タイプあること
知られ、I 型とII 型が交互に流行を繰り返すといわれている
[感染成立]
遷延化してくると,マクロファージを介した各種炎症性サイトカイ
ンの産生が誘導
↓
間接的な炎症反応が強くなる・・・間接障害
咽頭痛、頭痛、倦怠
感、嘔吐、下痢、腹痛
肺炎とマイコプラズマ肺炎の違い
肺炎
マイコプラズマ肺炎
風邪やインフルエンザで喉に炎症が起きると、
健康な状態に比べて細菌やウイルスに感染し、
肺炎になってしまう確率が非常に高くなる
感染患者からの飛沫感染と接触感染による
が、濃厚接触が必要
→特に小学生を中心とした若年者に好発
1.細菌性肺炎…「肺炎」と呼ぶもののほとんど
原因:肺炎球菌、インフルエンザ桿菌
クレブシエラなど
2.ウイルス性肺炎
原因:インフルエンザウイルス、
麻疹ウイルス、
水痘ウイルスなど
[病原体]
マイコプラズマによる肺炎
[症状]
・長引く咳・痰
・発熱
・胸痛 (炎症の箇所による)
・呼吸困難 (重症の場合のみ)
・意識障害 (重症の場合のみ)
[症状]
[特徴]
抗生物質の代表であるペニシリンは効か
ない
・空咳・・・主症状であり、経過に従い咳
は徐々に強くなり、解熱後も長く続く(3~
4週間)
・発熱・・・
・全身倦怠
・頭痛など
東洋医学的考察
肺の働き
・鼻に開竅
悪くなると肺機能低下
・宗気の生成
後天の精と天の気が交わり胸中に集まる
心と肺に関係深く、臓の活動を支える
細菌が鼻から侵入→肺に到達
↓
1.肺機能低下
・宗気の生成×→呼吸異常
・宣発(呼吸により濁気を吐き出す)×→呼吸異常
・粛降(呼吸により清気を吸い込む)×→呼吸異常
・気道を清潔にする×→痰の出ない空咳
・皮毛を司る。
汗腺を調節する×→発熱(熱の放散できないため)
・液は涕→鼻汁過多
・通調水道を主る×→嘔吐、下痢
(水の上源(脾の働きによって胃から上部に運ばれ
た津液を全身に散布する作用))
クラスの評価 4
• はやい
• 文字が多く、目で文字を追うには、イメージがしにく
かった。でも、よく調べてきていると思います。
• 広い範囲でマイコプラズマについて調べてあった。
• よく調べてあると思います。人以外も調べてある。
• とても良く調べてあるなと思いました。病原体の図も
入っていてわかりやすかったです。
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