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「コンピュータと情報活用術」 11月16日 総合情報学部 メディアコンピュータシステム学科 升谷 保博 http://www.osakac.ac.jp/labs/masutani/ 1 本日の内容 y 小惑星探査機「はやぶさ」 – 予定を変更して. – これもロボット. – 11月19日にいよいよ小惑星にタッチダウン! y RoboCup全般の紹介の残り y RoboCup出場チーム実際 – 大阪電気通信大学・大阪大学合同チーム OMNI – RoboCup2005の小型リーグに出場 2 小惑星探査機「はやぶさ」 3 「はやぶさ」の概要 y 小惑星「イトカワ」(長径約500m)まで行っ て表面の土を採取して地球まで戻ってくる. y 現在, 地球から 3億km y 11/19日に 1回目の 採取 4 「ロボット」? y y y y 行ってみないとわからない. 光や電波でも片道17分. 遠隔操縦はできない. センサのデータに基づいて「自律」して 行動しなければならない. y 様々な目的を遂行. y 人工衛星に比べて遥かに動きが多様. y 超チャレンジングなミッション 5 スケジュール y 2003年5月9日打ち上げ : y 2005年9月12日 イトカワから20kmに到着 y 2005年11月9日 70mまで接近 y 2005年11月19日 サンプル採取 y 2005年12月 イトカワを離れる : y 2007年6月 地球に帰還 カプセルのみ大気圏へ 6 ビデオ(3分6秒) y これは全てコンピュータグラフィックス! y 小惑星は小さすぎて,地球からは,大きさ も形も表面の様子もわからない. y CGは全て予測(想像)に基づくもの. 7 本物の写真(2002年7月) 8 本物の写真(2002年7月) 9 本物の写真(2002年7月) 10 本物の写真(2003年7月) 11 本物の写真(2003年7月) 12 本物の写真(2004年7月) 13 本物の写真(2004年7月) 14 「はやぶさ」からのデータ 15 「はやぶさ」からのデータ 16 「はやぶさ」からのデータ 17 「はやぶさ」からのデータ 18 「はやぶさ」からのデータ 19 「はやぶさ」からのデータ 20 放出された「ミネルバ」 21 「ミネルバ」からのデータ 22 おわりに y サンプル採取 – 1回目 11月19日 – 2回目 11月25日 y 地球に帰還するのは,2007年6月. y 成功すれば,世界初の大偉業. y 皆で見守ろう.成功を祈ろう. 23 RoboCup全般の紹介の残り 24 RoboCupの位置付け y ロボットは今,工場から一般社会に出よう としている. y いきなり実用は無理. y RoboCup:一般社会に出る前の練習. ‒ 環境は工場ほどは整備されていない. たとえば,邪魔する相手がいる. ‒ 一般社会よりは簡単. たとえば,色が単純. 25 なぜサッカーか? y 適度な難しさと易しさ. y 両チームが入り混じり,攻守がダイナミック に入れ替わる. y ルールが明快 ‒ たとえば,野球と比べて y 低い身体能力でも表現できる. ‒ たとえば,バスケットボールと比べて y 世界中で人気があるスポーツ ‒ 「ロボットであろうとサッカーと名の付くものは 勝たねば…」 26 ロボットサッカーの難しさ y y y y リアルタイム性 多数対多数 情報は部分的かつ不確実 身体性(頭脳だけではできない) 27 リアルタイム性 y 瞬時の判断が必要. y 状況は,刻一刻変化しており,長考して答 の出たときには,状況は変化しているかも しれない. y 時間をかけて最適解(もっとも適切な行動) を得るよりも,許される時間の範囲で準最 適解(まあまあ適切な行動)を得ることが 求められる. 28 多数対多数 y 味方がたくさんいる. ‒ それぞれが独立して行動. ‒ 協同で目的を達成する. ‒ 役割分担. y 相手もたくさんいる. ‒ 動的な環境(動く障害物). ‒ 積極的に邪魔をしてくる. y 場合の数が膨大. ‒ あらかじめ全ての場合を想定したプログラム は作れない. 29 情報は部分的かつ不確実 y たとえば,チェスでは,全ての情報は明確 にわかっている. y RoboCupでは,情報源はロボットに搭載さ れたセンサ. y 他のロボットの向こう側は見えない. y 遠いところは正確には見えない. y 実機では,ノイズの問題もある. 30 身体性(頭脳だけではできない) y チェスでは,状況から次の手を決めさえす ればいい. y ロボットサッカーでは,判断をするだけでな く,それを実現するハードウェアも求められ ている. y ソフトウェアとハードウェアのバランスの取 れたシステムが必要. y 人工知能とロボティクスの融合. 31 RoboCupの目標(1) 「西暦2050年までに 人間のサッカー 世界チャンピオンチームに 勝てるロボットチームを作る」 32 RoboCupの目標(2) y 「2050年」というのは後付け. y 根拠 ‒ ライト兄弟が飛行機を作ってから,人類が月 に行くまでに約50年. ‒ コンピュータが開発されてから,チェスの人間 のチャンピオンに勝つまでに約50年. y 科学技術は急激に進歩している. y 問題の困難さは明確になっていない. y しかし,「大きくて明確な目標」は重要. 33 RoboCupの目標(3) y 「人間と戦う」というのも後付け. y 現段階でも,たとえば,弾丸シュートを撃つ 機械は可能であろう. y 単に相手を負かせて点を入れるということ でなく,人間に「相手と認めさせる」ロボット を作る必要がある. 34 RoboCupの目標(4) y 「相手と認めさせる」とは,人間と共生する ロボットを求めている. ‒ 人間に危害を与えない. ‒ 人間に恐怖を与えない. ‒ 人間とコミュニケーションできる. ‒ 人間と場を共有できる. y より高い目標として,ロボットと人間の合同 チームでプレイをするという問題も重要. 共生がより求められる. 35 RoboCupの発展から得られるもの y 自律性の高いロボット ‒ 一瞬の判断能力に優れる ‒ 多様な状況にタフに対応できる y 複数台で協調して働くロボット ‒ 中央集権ではなく自律分散で ‒ 1台が不調でも他が補う y 人間と共生するロボット ‒ 人間が安全で安心な ‒ 人間とコミュニケーションできる 36 RoboCup全般のまとめ y y y y y 自律型ロボット 研究者のための競技 ロボットと人工知能の標準問題 大きな目標 「2050年に…」 国際的な草の根プロジェクト 37 RoboCup出場チームの実際 38 小型リーグのルールの概要 y y y y y y フィールドの大きさ:4.9m×3.4m ロボットの大きさ: 直径180mm以内 ロボットの台数:5台/チーム ボール:ゴルフボール 前半10分,後半10分 フィールド上空にカメラを設置できる. 「天井カメラ」と呼んでいる. (ロボットにカメラを積まなくてもいい) 39 フィールドの大きさ 3.4m 4.9m 40 「天井カメラ」 41 チームOMNIの歴史 y y y y y y y y y 1998年: RoboCupへの取り組みを開始 1999年: チーム名決定 2000年: ジャパンオープン 準優勝 2001年: ジャパンオープン 3位 2001年: 世界大会(シアトル)予選落ち 2002年: 世界大会(福岡)予選落ち 2003年: ジャパンオープン(新潟) 前半準優勝 2004年: ジャパンオープン(大阪)予選落ち 2005年: 世界大会(大阪) 42 システム構成 43 旧ロボット 44 新ロボット 45 新ロボット →実体投影機で本物を 46 全方向移動機構 y 前後,左右,回転の3自由度の動きを同時 に実現できるメカ. y 自動車などの普通の車輪を用いた場合は 真横に動くことができない. y オムニホイールという特殊な車輪を用いる. 47 ロボットを下から見たところ オムニ ホイール モータ 48 オムニホイール 駆動力 横方向力ゼロ (空回り) 49 前へ進むとき 50 横へ進むとき 51 キックデバイス y 高電圧をコンデンサに蓄え,電磁石に一気 に放出し,鉄心を引き込む 52 視覚 y チームOMNIは,もともと,小型リーグで敢 えて天井カメラを用いずに,搭載カメラだけ を利用するコンセプトで始めた. y 搭載カメラのことを「ローカルビジョン」, 天井カメラのことを「グローバルビジョン」 と呼んでいる. y 現在は,「擬似ローカルビジョンシステム」 を使っている. 53 全方位視覚 y Omni-Directional Vision 54 ローカルビジョンの問題 映像を電波で伝送 混信などの 映像伝送の 不具合に 非常に弱い 現時点では小型ローカルビジョンは技術的な困難が大きい 55 擬似ローカルビジョン 画像 ローカル情報 疑似ローカル ビジョン情報 天井カメラの映像を用いて 疑似的に搭載カメラで得られる情報を生成 56 ビデオ(1分9秒) y 擬似ローカルビジョンの説明 57 障害物検知 原画像 AND演算 2値化処理 テンプレート 障害物有無の判断 移動可能領域の検出 58 自己位置推定 原画像 境界の抽出 2値化処理 θ = −ψ , − ψ + π 凸包処理 床面上へ投影 w x = − x cosθ + y sin θ w y = − x sin θ + y cosθ 自己位置の推定 59 行動決定 y 小型リーグのルールでは,フィールド全体 の状態を把握して,単一の知能で全ての ロボットの行動を決めることが可能(中央 集権的). y それは,人間のサッカーとは異なる. y チームOMNIでは,個々が自分のセンサ 情報で行動決定するという設定にしている (自律分散的). y 他のリーグでは,ルールでそうなっている. 60 自律分散 y RoboCupの世界では色で物体識別が可能. y ロボット1台であれば, – オレンジ色(=ボール)に向かって進み – 黒いもの(=ロボット)があったら避けて – 近くなったら,青色(または,黄色=ゴール)の 方向へキック y 2台以上を同じプログラムで動かすと... →団子サッカー 61 協調の実現 y 「自分からボールまでの距離」をロボットが 互いに通信によって連絡. y 距離の順位によって行動を切り替え. y 団子サッカーはなくなった! y 実際にはもう少し工夫している. y 前回ビデオで紹介されていた中型リーグ 慶応大学チームの方法も同類. 62 アイコンタクト? y この方法はロボット間の「通信」を前提とし ている.また,ロボットの適切な位置を決め ているに過ぎない. y 人間は,そんなことをしていない. y アイコンタクトをロボットで実現するには? y 現在は,ロボットの知能(プログラム)の中 で,「プレイのモデル化」ができていない. y これが今後の研究課題! 63 ビデオ(9分27秒) y RoboCup2005におけるOMNIチームの ダイジェスト y 大阪大学 宮崎研究室編集 64 RoboCup2005における成績 y y y y y y 予選Dグループ 対OsaYans(日本) 2-1 対Eagle Knight(メキシコ) 2-2 対Cornell BigRed(アメリカ) 0-3 対vienna cubes(オーストリア) 1-6 1勝2敗1分.グループ中4位,予選落ち. 65 RoboCup2005の総括 y y y y 新型ロボットを投入 新しい天井カメラシステムを導入. 基本性能はアップ. 時間が足りず,システム全体をうまく動か すための調整が不十分. y 大会中にさまざまなバグが発覚. y 今回の経験を糧に研究を進めて, 次の機会に挑む. 66 ビデオ(2分40秒) y 小型リーグ 決勝戦 y ドイツ ベルリン自由大学 FU-Fighters vs アメリカ コーネル大学 Cornell BigRed y タイのPlazma-Zチーム編集 y 現在の小型リーグの最高レベルの試合 67 お知らせ y メディアコンピュータシステム学科の2年生 の学生実験では,小型リーグのロボットを 利用する予定. y 升谷研究室のプレゼミ(2年後期)のテーマ として,サッカーシミュレーションを検討中. 68 メンバ募集 y 学科・学年を問わず,一緒にRoboCupに参 加する学生を募集中. 69