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高効率火力発電の導入推進について

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高効率火力発電の導入推進について
総合資源エネルギー調査会
総合部会 第2回会合
参考2
資料3
高効率火力発電の導入推進について
平成25年4月
資源エネルギー庁
高効率火力の導入推進
○原子力発電の大部分が停止し、再生可能エネルギーの拡大にも時間を要する中、火力発
電の経済的・安定的活用は重要な課題。
○環境に配慮しつつ、新増設・リプレースにより最新設備の導入を促進する。これにより、バ
ランスのとれた石炭・LNG・石油火力の電源構成を実現する。
1.環境アセスメントの迅速化(期間短縮等)を進める。
・従来3年程度かかる火力のリプレースを1年強程度に短縮(発電所設置の際の環境アセスメントの迅
速化等に関する連絡会議中間報告(環境省・経済産業省))。
・経済産業省・環境省において、環境アセスメントにおけるCO2の取扱いについて整理し、できる限り
速やかに環境アセスメントの手続の明確化を図る。
2.技術開発を進め、世界最高水準の発電効率の更なる向上を目指す。
・先進超々臨界圧火力発電技術(A-USC)【平成25年度予算案:15.2億円】
・石炭ガス化発電(IGCC)及び石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)【平成25年度予算案:70.0億円】
・高効率ガスタービンの実用化技術開発のための実証【平成25年度予算案:22.5億円】
3.電源の新増設・リプレースについて原則入札とし、効率性、透明性を高める。
・平成24年9月に策定した「新しい火力電源入札の運用に係る指針」(資源エネルギー庁)に基づき、
一般電気事業者が1,000kW以上の火力電源を自社で新増設・リプレースしようとする場合は原則入
札を実施。
1
火力発電建設のリードタイムの概要
○発電投資を行うに当たっては、需給の見通し、燃料価格動向、流通設備建設計画、系統
アクセスコスト等から費用便益を総合的に判断し、最終的に投資を行うかどうかの意志決
定をすることになる。
○火力発電所の建設計画から運転開始まで要する標準的な期間は10年程度。
半年~1年
建設
地点
の選
定
工事工程
環境アセス
LNG・石油火力 3年程度
石炭火力
4年程度
3~4年
開発計画
の策定
・基本設計
環境アセス
建設工事・試運転
・詳細設計(機器等) ・工事契約、機器製作 ・基礎工事
・配慮書
・方法書、現況調査
(2013年4月から導入)
・準備書
・建屋建設、機器据付
運
転
開
始
・試運転
・評価書
2
発電所の新増設に係る環境アセスメントの手続き
○火力発電所の新増設に係る環境アセスメントについては、全体で通常3~4年程度の期
間を要している。
方法書手続(180日)
配慮書手続(90日)
着工
評価書手続(
30日)
意見
見解
準備書手続(
270日)
意見
聴取
調査・
予測・
評価
公告・縦覧
経産大臣勧告
知事意見
説明会
方法書届出・
送付
90日
意見及び見解
配慮書作成
経産大臣意見
環境大臣意見
配慮書送付・
公表
計画公表
45日
意見聴取
住民意見概要と見解
2013年4月から導入
3
高効率火力発電に係る環境アセスメントの迅速化等
○2012年11月に、経産省と環境省の「発電所設置の際の環境アセスメントの迅速化等に関
する連絡会議」において、環境アセスメント期間短縮等に向けた中間報告を取りまとめ。引
き続き検討を進めているところ。
1.火力発電所をリプレースする場合に、通常3年程度かかる環境アセスメント期間を最短
1年強まで短縮することを目指すことで経産省・環境省で合意。具体的な期間短縮の内
訳は以下のとおり。
①国の審査期間について、自治体審査と同時並行的に進めること等により最大4ヶ月
程度短縮すること(150日→45日)
②発電所設置区域において大気、水、動植物等に関する既存データが存在している場
合は、当該データを活用して環境影響の調査及び予測方法を簡素化し1年程度短縮
すること
③これらに加えて、自治体による審査及び事業者による資料作成の期間短縮に取り組
むこと
2.また、火力発電所のリプレースにおいて、旧設備の撤去であって、かつ、新設工事に先
立って行われる撤去工事については、環境影響評価の対象としないことが可能であると
整理して明示した。
4
石炭火力の環境アセスメント手続き明確化に関する主な論点
第6回日本経済再生本部(4月2日)における総理指示(抄)
(クリーンで経済的なエネルギー需給の実現)
環境大臣と経済産業大臣は、エネルギー制約克服に向けて、環境にも配慮した高効率の
石炭火力を活用するため、5月を目途に、できる限り速やかに環境アセスメントの手続きの
明確化を図ること。
《環境省と検討中の主な項目》
論点(1) 新たな設備に要求される「利用可能な最良の技術」(BAT※)
(※Best Available Technology)
論点(2) 「国等の計画との整合性」の審査の必要性・あり方
(電気事業分野における地球温暖化対策のあり方 等)
5
参考資料
6
震災後の電源構成の変化と燃料費の増加
○震災後、各原子力発電所が順次定期検査に入り長期停止しているため、国内発電量に占
める原子力の比率は大幅に低下。(大飯3,4号機は2012年7月に再稼働。)
○他方、火力発電比率は約9割まで上昇しており、特にLNG火力が5割近くを占めている。
○また、原子力発電所の停止に伴い、火力発電による代替に伴う燃料費は、2012年度推
計で2010年度比約3.1兆円増加する見込み。さらに、2013年度については、直近の為
替動向を踏まえて1ドル=100円に補正し、原子力発電所の稼働が2012年度と同等と
仮定して推計すると、2010年度比3.8兆円増加する見込み。
○震災後の電気事業者(一般・卸)の電源構成の推移
9%
28%
63%
11%
16%
73%
7%
8%
5%
5%
10%
81% 90%
17%
13%
12%
1%
12%
1%
87% 87%
16%
13%
7%
3%
6%
2%
16%
18%
8%
90% 92%
5%
41%
47%
42%
50%
46%
48%
11年4月
電源種
5%
32%
28%
20%
32%
48%
38%
16%
25%
7月
10%
26%
25%
5%
10月 12年1月
20%
1%
4月
27%
1%
7月
○原子力停止に伴う燃料コスト増
26%
3%
26%
2%
23%
10月 13年1月 10年度
石炭火力発電比率
LNG火力発電比率
石油火力発電比率
水力発電等
火力発電比率
原子力発電比率
原子力発電比率
燃料費
コスト影響額
(2012年度)
2012年度
推計
2013年度
推計(※)
原子力
1円/kWh
-0.3兆円
-0.3兆円
石炭
4円/kWh
+0.1兆円
+0.1兆円
LNG
11円/kWh
+1.4兆円
+1.6兆円
石油
16円/kWh
+1.9兆円
+2.4兆円
合計
-
+3.1兆円
+3.8兆円
※2013年度は、2012年度推計に用いた燃料価格を、直近の為替動向
を踏まえ為替レートを1ドル=100円に補正し、原子力の稼働を
2012年度と同等と仮定して推計。
7
発電電力量に占める火力発電の主要国比較(2010年)
○我が国の天然ガス発電の割合は世界平均と比べて高い比率。
○我が国の石炭火力発電の割合は中国・インドのみならず、米国・ドイツ等と比較しても低い。
発電電力量構成比(2010年)
100%
90%
3%
2%
7%
8%
2%
4%
16%
3%
1%
1%
10%
15%
11%
11%
80%
26%
70%
3%
13%
30%
19%
21%
76%
5%
2%
2%
0%
12%
3%
12%
23%
46%
1%
4%
1%
23%
19%
78%
68%
9%
1%
3%
44%
41%
27%
17%
2%
3%
14%
27%
20%
10%
16%
30%
1%
28%
22%
40%
6%
6%
1%
23%
42%
60%
50%
4%
27%
44%
46%
29%
26%
4%
1%
5%
0%
石炭
石油
天然ガス
原子力
水力
その他再生可能エネルギー等
出典: IEA/Energy Balances of OECD/NON-OECD 2012
8
火力電源ごとのメリット・デメリット
○供給安定性、経済性、環境特性、電源毎の運転特性等を踏まえた最適な電源構成とする
ことが重要。
電源種
L
石
石
メリット
デメリット
• 燃料の調達先が石油に比べ分散している。
• CO2の排出量が少ない。
• 長期契約中心であり供給が安定。
•
•
•
•
•
炭
• 資源量が豊富。
• 燃料の調達先が石油に比べ分散している。
• 他の化石燃料と比べ低価格で安定している。
• 発電過程でCO2の排出量が多い。
油
• 燃料貯蔵が容易。
• 供給弾力性に優れる。
• 価格は高めであり、燃料価格の変動
が大きい。
• 中東依存度が高い。(2011年実績87%)
N G
燃料輸送費が高い。
インフラ整備が必要。
スポット市場が小さい。
価格は高め。
貯蔵、輸送が難しい。
9
化石燃料の供給安定性
○石炭は確認可採埋蔵量が豊富で可採年数が長い。石油、天然ガスについては、非在来型
のシェールオイルやシェールガスの埋蔵量が確認されている。
○石油は中東に偏在しているが、石炭は世界に広く分布している。
資源の可採年数
資源の地域別埋蔵量分布
160
100%
140
非在来型資源等
100
非在来型資源等
120
143年
80%
アジア太平洋
60%
アフリカ
80
中東
60
中南米
59年
40
20
欧州・ユーラシア
40%
北米
44年
20%
0
石油
天然ガス
石炭
0%
石油
天然ガス
石炭
(注)確認可採埋蔵量について記載
出典:World Energy Outlook 2011, BGR2011
出典:BP Statistical Review of World Energy 2011
10
化石燃料の輸入状況
原油
その他,
ベトナム,
6.1%
インドネシ
2.3%
ア, 3.7%
22.5
ロシア,
8.3
13.6
4.7%
オマーン, 17.2
2.9% 10.5
イラク,
2012年
1.9% 7.0
イラン,
19.1
ホルムズ依存度80%
5.2%
(中東依存度83%)
総輸入:366万BD
28.0
クウェート,
7.6%
39.3
カタール,
10.7%
天然ガス
その他 7.4%
ナイジェリア
5.5%
サウジアラ
ビア,
120.733.0%
6.5
4.8
ブルネイ
6.8%
5.9
インドネシア
7.1% 6.2
カタール
17.9%
15.7
2012年
ホルムズ依存度24%
(中東依存度29%)
総輸入:87百万トン
5.5
UAE 6.3%
4.0
オマーン
4.6%
8.3
ロシア 9.5%
15.9
79.9
14.6
UAE,
21.8%
マレーシア
16.7%
オーストラリ
ア 18.2%
石炭(一般炭)
中国 1.5%その他
1.2%
カナダ 2.3%
ロシア 7.5%
8.1
18.3
インドネシア
17.0%
2.41.6
1.3
2012年
ホルムズ依存度0%
(中東依存度0%)
総輸入:108百万トン
76.0
オーストラリ
ア 70.5%
出典:財務省 貿易統計
11
燃料価格の推移と今後の見通し
○原油、LNGは価格変動が大きい一方、石炭は低位安定的に推移。
平均輸入CIF価格の推移
円/千kcal
12.0
10.0
8.0
6.0
原油
4.0
LNG
2.0
一般炭
0.0
燃料価格の将来見通し(IEA World Enegy Outlook2011)
IEAシナリオ
2010
2015
2020
2025
2030
2035
石炭
現行シナリオ
99.2
104.6
109.0
112.8
115.9
118.4
($/t)
新政策シナリオ
99.2
103.7
106.3
108.1
109.3
110.0
LNG
現行シナリオ
11.0
12.7
13.5
14.2
14.8
15.2
($/MBtu)
新政策シナリオ
11.0
12.2
12.9
13.4
13.9
14.3
原油
現行シナリオ
78.1
106.3
118.1
127.3
134.5
140.0
($/bbl)
新政策シナリオ
78.1
102.0
108.6
113.6
117.3
120.0
12
電源ごとの発電電力量当たりのCO2排出量について
○ライフサイクル全体で発生するCO2排出量は、以下のとおり。
1.2
発電燃料燃焼
1.0
0.943
【kg-CO2/kWh】
0.8
0.6
設備・運用
0.738
0.599
0.864
0.474
0.695
0.4
0.476
0.376
0.2
0
0.079
石炭火力
0.043
0.123
石油火力
LNG火力
0.098
LNGコンバインド
*発電燃料の燃焼に加え、原料の採掘から諸設備の建設・燃料輸送・精製・運用・保守等のために消費される全て
のエネルギーを対象としてCO2排出量を算出。
(出典:2010年 電力中央研究所報告書)
13
火力発電の経年状況
○2030年には石炭で約3割、LNGで約5割、石油では約9割が運転開始40年を超過。
○新設計画は、2021年度までに石炭で3基、220万kW、LNGで33基、1626万kW。
○効率化や設備信頼性の向上には、経年に応じた設備更新が必要。
○なお、1979年第3回IEA閣僚級理事会において採択された「石炭に関する行動原則」
において、ベースロード用の石油火力の新設、リプレースの禁止が定められている。
石炭火力
万kW
7,000
基数
140
万kW
7,000
6,000
120
5,000
4,000
3,000
57
77%
2,000
1,000
0
32%
16
7%
10% 12%
出力(40年超)
基数(40年超)
LNG火力
基数
石油火力
万kW
基数
140
7,000
140
6,000
120
6,000
126
120
100
5,000
100
5,000
100
80
4,000
80
4,000
60
3,000
84% 60
3,000
40
2,000
40
20
0
出力(40年未満)
88
2,000
52%
29
37%
1,000
0
17%
20
26%
0
出力(40年超)
出力(40年未満)
基数(40年超)
99% 80
96%
54
73%
56%
1,000
60
40
20
36%
0
0
出力(40年未満)
基数(40年超)
出力(40年超)
14
石炭火力の高効率化
○我が国の石炭火力は、現在、微粉炭火力の超々臨界圧(USC)が最高効率の技術とし
て実用化されている。
○今後、微粉炭火力の効率向上を進めるとともに、亜瀝青炭や褐炭も使用可能な石炭
ガス化火力(IGCC、IGFC)の技術開発を進めることで、更なる効率化を期待。
<石炭火力発電の効率向上>
既存の発電技術
60
今後の技術開発
石炭ガス化燃料電池複合発電
(IGFC)
熱効率(
%)
(
送電端・
HHV)
55
IGCC
1500℃GT
50
45
40
超々臨界圧(USC)
(蒸気温度566℃以上,蒸気圧22.1MPa)
亜臨界圧(Sub-SC)
(蒸気圧22.1MPa未満)
35
30
1960
1970
超臨界圧(SC)
(蒸気温度566℃以下,蒸気圧22.1MPa)
1980
1990
2000
IGCC
1700℃GT
先進超々臨界圧(A-USC)
(蒸気温度700℃,蒸気圧24.1MPa)
IGCC 1300℃GT
石炭ガス化複合発電
(IGCC)実証機
1200℃GT
2010
2020
2030
年
15
石炭火力の熱効率の国際比較
○我が国の石炭火力の熱効率は世界最高水準。
熱効率(発電端・LHV)
(%)
<石炭火力の熱効率の国際比較>
45.0
40.0
35.0
30.0
25.0
オーストラリア
中国
フランス
ドイツ
インド
日本
韓国
北欧諸国
イギリス+アイルランド
USA
20.0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
(年度)
出典:ECOFYS ”INTERNATIONAL COMPARISON OF FOSSIL POWER EFFICIENCY”(2011)
16
LNG火力の高効率化
○我が国は、世界に先駆けて、1500℃級のガスタービンを実用化し、熱効率52%を達成。
○大容量機向けには、1700℃級ガスタービンの技術開発に取り組み、熱効率57%の実用
化を目指す。
○中小容量機向けには、ガスタービンのみでコンバインドサイクルの熱効率に匹敵する、
高湿分空気利用ガスタービン(AHAT)を開発し、実用化を目指す。
<LNG火力発電の効率向上>
既存の発電技術
60
今後の技術開発
コンバインドサイクル発電
1600℃級
(約54%)
55
中小容量機向け
大容量機向け
( )(
熱
効
率
1700℃級
(約57%)
1500℃級
(約52%)
% 50
1350℃級
(約50%)
高湿分空気利用ガスタービン
(AHAT)
(約51%)
1100℃級
(約43%)
)
送
電
端
・ 45
H
H
V
40
LNG火力発電
(約38%)
35
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
2015
2020
2025
年
17
石炭火力の国際展開(技術移転による低炭素化の推進)
○我が国の石炭火力は、高効率技術(超臨界圧・超々臨界圧)と運転・管理ノウハウによ
り、世界最高水準の発電効率を達成し、運転開始後も長期にわたり維持。
○日本で運転中の最新式の石炭火力発電の効率を米、中、印の石炭火力発電に適用す
ると、CO2削減効果は、約15億トン(試算)
○今後も世界で石炭火力発電の需要が増加する見通しの中、相手国の産業構造に合わ
せた高効率石炭火力技術の技術移転や、石炭火力の運営管理技術(O&M)もセットに
したシステム輸出により、わが国の高効率石炭火力の海外展開を進めるともに技術競
争力の維持を図る。
石炭火力・経年劣化の比較例
出典:「IEA World Energy Outlook 2011」、「Ecofys International Comparison
of Fossil Power Efficiency and CO2 Intensity 2012」から作成
18
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