...

石炭利用次世代技術開発調査 <環境調和型石炭燃焼技術分野

by user

on
Category: Documents
15

views

Report

Comments

Transcript

石炭利用次世代技術開発調査 <環境調和型石炭燃焼技術分野
「石炭利用次世代技術開発調査
環境調和型石炭燃焼技術分野
<高温石炭燃焼ガス集塵技術>」
事後評価報告書
事後評価報告書
平成15年2月
新エネルギー・産業技術総合開発機構
技術評価委員会
目
はじめに
分科会委員名簿
審議経過
評価概要
技術評価委員会におけるコメント
技術評価委員会委員名簿
次
1
2
3
4
6
7
第1章 評価の実施方法
1-1
第2章 プロジェクトの概要
2-1
第3章 評価
1.総論
2.各論
3-1
第4章 評点法による評点結果
4-1
参考資料1 プロジェクトの概要説明資料
参考資料2 周辺動向調査
参考資料 1-1
参考資料 2-1
はじめに
石炭は埋蔵量が豊富で価格も安定していることから重要なエネルギ源ではあるが、
その一方で他の化石燃料に比べてCO2排出量が多いため近年の環境負荷低減の動き
に対応して、高効率石炭燃焼発電システムとして加圧流動層複合発電システム(PF
BC)や石炭ガス化複合発電システム(IGCC)の開発が進められてきており、各
技術とも高温高圧下による効率向上が期待されている。これら複合発電技術において
はガスタービン摩耗防止のため、その前段に高温集塵装置の設置が不可欠であるが、
高温下における集塵技術は未だ確立されていない。即ち高温集塵用フィルタ材の強度、
脱塵性等の性能評価手法が確立されておらず、高温集塵用フィルタ材の選定、開発が
困難であるのが現状である。本研究では上記現状に着目し、高温集塵に用いられるフ
ィルタ材料に関して同一条件下での共通評価手法確立を目的として平成8年度から
6年間の計画で実施されたものである。
今回の評価は事後評価として、平成14年度に新エネルギー・産業技術総合開発機
構 技術評価委員会「石炭利用次世代技術開発調査 環境調和型石炭燃焼技術分野<
高温石炭燃焼ガス集塵技術>」
(事後評価)分科会(分科会長:吉川 邦夫、東京工業
大学大学院 総合理工学研究科 教授)において行われたものである。
本プロジェクトは「石炭利用次世代技術開発調査
環境調和型石炭燃焼技術分野」
における一開発テーマとして実施され、本分科会では、当該分野に係わる国内外の研
究開発動向や社会情勢の変化も踏まえつつ、プロジェクトの目的・政策的位置付け、
目標・計画内容、研究開発体制や運営状況、成果の意義、実用化可能性や波及効果、
今後の展開等について評価を実施した。
本書は、これらの評価結果をとりまとめたものである。
平成14年12月
新エネルギー・産業技術総合開発機構
1
技術評価委員会
「石炭利用次世代技術開発調査
環境調和型石炭燃焼技術分野
<高温石炭燃焼ガス集塵技術>」
事後評価分科会委員名簿
(平成14年12月現在)
氏名
分科会
会長
分科会委員
所属
よしかわ
くにお
吉川
邦夫
まえ
かずひろ
前
一廣
たにぐち
まさゆき
谷口
正行
ひしぬま
ゆきお
菱沼
孝夫
まつかた
まさひこ
松方
正彦
みぞぐち
ただあき
溝口
忠昭
東京工業大学大学院
総合理工学研究科
京都大学大学院
工学研究科
(株)日立製作所
電力・電機開発研究所
北海道大学大学院
早稲田大学
東北大学
教授
工学研究科
理工学部
教授
応用化学科
主任研究員
教授
教授
超臨界溶媒工学研究センター
教授
(敬称略、五十音順)
事務局:新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術評価部
2
審議経過
●第1回分科会(平成14年10月11日)10:00∼17:00
公開セッション
1. 分科会の公開について
2. 評価のあり方及び評価の手順について
3. 評価の分担及び評価の論点について
4. 評価報告書の構成について
5. 周辺動向調査について
6. プロジェクトの詳細説明
7. コメント及び質疑応答(全体について)
●第 2 回分科会(平成14年12月10日)13:30∼17:00
公開セッション
1. 評価の進め方について
2. 評価報告書(案)の審議・確定について
3
その他
●第7回技術評価委員会(平成15年2月10日)14:00∼16:30
1.評価報告書の審議/報告
3
評価概要
1
総論
1)総合評価
高温集塵技術は石炭高効率利用技術のキーテクノロジーとして不可欠である
こと、及びプロジェクト開始時点では集塵フィルタの問題で PFBC の信頼性が損
なわれがちであるという課題があり、これは、民間企業のみでの解決は困難であ
った。従って、プロジェクトの必要性と目的は明確であり、得られた研究成果も
相対的評価とはいえデータベースの量、評価手法の確かさは公共財としての価値
は十分認められる。
しかし、成果としては過酷な条件で使用する場合のフィルタ特性の評価試験法
をはじめて提案した段階であり、評価手法の検証には実機試験を十分行うことが
望ましかった。プロセスの効率向上に最も有効な耐熱温度の目標を設定し、運転
中のトラブルから得た実用上の真の課題を事前に十分抽出して、評価手法の確立
に向け、他のプロジェクトとの緊密な連携が必要であったと思われる。
また、対象を PFBC および IGCC への高温集塵技術の適用に限定しているが、
廃棄物燃焼などの集塵技術開発への応用も考えられ、広く成果の普及を検討すべ
きであった。
2)今後に対する提言
研究の主体性や開発した評価手法のユーザを明確にすべきであり、スピーディ
で効率のよい開発を推進するには、本評価、解析を必要としているメーカやユー
ザの参画が不可欠である。
また波及効果をもたらすには、公開データのフォーマットの整備、データ公開
の手段と公共への浸透効果などの具体的なアクションプランが必要である。今後
は、NEDOの他プロジェクトにて、実機テストの導入などを検討し、本事業の
成果をさらに実証していくことが望まれる。さらに石炭利用に限らず広く廃棄物
燃焼・ガス化などへの適用拡大をめざして、高温集塵技術の可能性評価や普遍的
な評価手法、高性能フィルタ設計指針の開発を目的にした基盤研究として展開す
ることが望まれる。
2
各論
1)事業の目的・政策的位置付けについて
高温集塵技術はクリーンで高効率な石炭利用プロセスの核となる技術である
が、この種の研究は一民間企業でできる類のものではなく、国として実施すべき
公共性のある事業であるといえる。
しかし、他の稼働中の実用規模プロセスとの連携がなく、国家プロジェクトと
してのメリットが生かされなかったため、実機データが不足して評価手法の確立
4
まで至らなかったのは残念である。また、PFBC では高温集塵が重要であるが
PFBC そのものの将来性が不透明であり、IGCC については、高温集塵の必要性
が必ずしも明確ではない。こうした中で、PFBC と IGCC 以外への適用も視野に
入れるべきであった。
2)研究開発マネージメントについて
高温集塵技術の評価手法開発のために、入手できるフィルタを系統的に収集し、
フィルタに必要な要素を明確に評価できる手法を基礎試験から実ガス暴露実験
まで行っているという観点では、研究開発計画及び実施体制は概ね妥当であった。
しかし、目標値である「フィルタ材料性能評価手法確立」の必要条件が不明確
であり、既存の商用あるいはパイロットプラントにおいて発生した問題点の摘出
を十分に行うと同時に、プロセス面に立脚した目標設定をすべきであった。また、
実ガス試験による性能確認を十分行うことが望ましかった。
3)研究開発成果について
相対的評価とはいえ、多数のフィルタを収集し、特性を相互比較したこと、特
に小型脱塵試験によって各フィルタの脱塵、逆洗特性を把握したことは評価でき
る。つまり、評価のための試験手法の提案としては高く評価できるが、実ガスに
よる実証が試験装置などの制約から十分行われておらず、強度、腐食性、脱塵の
いずれの試験もフィルタ材を相互比較しているにとどまっている。今後、実証試
験の実施を工夫し、実用的なフィルタ材の選定につながる評価手法の確立までな
されることが望まれる。
また、査読付きの原著論文としての成果発表が少なく、国際的に見て、研究開
発成果がどの程度の水準にあるか判断できない。
4)実用化、事業化の見通しについて
評価手法の確立という本事業の目的から考えると、得られたデータベースの量、
評価手法の確かさは、公共財としての価値は十分ある。
しかし、実機での試験が十分行われておらず、実用的な評価手法を提案したと
いう段階であり、今後さらに実機ベースでの評価データの積み上げが必要である。
また、研究開発成果を誰がどのように活用するのかの明確なビジョンがない。
本成果の最大の受益者はフィルタのメーカや PFBC プラント等のユーザであり、
実用化可能性の評価のためには、メーカやユーザの意見を確認する必要がある。
5
技術評価委員会におけるコメント
第7回技術評価委員会(平成15年2月10日開催)に諮り、了承された。技術評価
委員からのコメントは特になし。
6
技術評価委員会委員名簿
委 員 長 岸 輝雄
稲田 絋
大滝 義博
大西 匡
垣田 行雄
小柳 光正
瀬田 重敏
曽我 直弘
高村 淑彦
谷 辰夫
冨田 房男
西村 吉雄
丹羽 清
畑村 洋太郎
平澤 泠
三浦 孝一
村上 路一
独立行政法人 物質・材料研究機構理事長
東京大学大学院工学系研究科教授
株式会社バイオフロンティアパートナーズ代表
取締役社長
豊田工機株式会社取締役会長
財団法人日本システム開発研究所専務理事
東北大学大学院工学研究科教授
旭化成株式会社特別顧問
独立行政法人産業技術総合研究所理事
東京電機大学工学部教授
諏訪東京理科大学工学部システム工学部長
北海道大学大学院農学研究科教授
東京大学大学院工学研究科教授
東京大学大学院総合文化研究科教授
工学院大学国際基礎工学科教授
政策研究大学院大学教授
京都大学大学院工学研究科教授
株式会社宇宙情報技術研究所代表取締役副社長
(合計 17名)
(敬称略、五十音順)
7
第1章
評価の実施方法
第1章 評価の実施方法
本評価は、
「技術評価実施要領」
(平成 13 年 5 月制定、同年 10 月改定、以下「実施
要領」という。)に基づいて以下のとおり行われた。なお、「技術評価実施要領」は、
以下の 2 つのガイドラインに定めるところによって評価を実施することになってい
る。
科学技術会議にて取りまとめられた「国の研究開発評価に関する大綱的指
針」(平成 13 年 11 月内閣総理大臣決定)
経済産業省にて取りまとめられた「経済産業省技術評価指針」
(平成 14 年
4 月経済産業省告示)
NEDO における技術評価の手順は、以下のように被評価プロジェクト毎に分科
会を設置し、同分科会にて技術評価を行い、評価報告書(案)を策定の上、技術評
価委員会において確定している。
「技術評価委員会設置・運営要領」に基づき技術評価委員会を設置
技術評価委員会はその下に分科会を設置
NEDO
理事長
評価報告書
事務局
技術評価委員会
NEDO
技術評価部
評価報告書(案)
分科会 A
分科会 D
分科会 B 分科会 C
図 1 評価手順
1-1
1.評価目的
実施要領において、評価の目的は、
評価をする者(評価者)と評価を受ける者(被評価者)が意見交換を通
じ研究開発の意義、内容、達成状況、今後の方向性等について検討し、
より効率的・効果的な研究開発を実施していくこと、
高度かつ専門的な内容を含む研究開発の意義や内容について、一般国民
にわかりやすく開示していくこと、
限られた研究開発リソースの中で、国の政策や戦略に対応した重点分
野・課題へのリソース配分をより効率的に実施していくこと、とされて
いる。
本評価においては、この趣旨を踏まえ、本事業の意義、研究開発目標・計画の妥当
性、計画と比較した達成度、成果の意義、成果の実用化の可能性等について検討・評
価した。
2.評価者
実施要領においては、事業の目的や態様に即した外部の専門家、有識者からなる委
員会方式により評価を行うこととされているとともに、技術評価委員選定に当たって
は、以下の事項に配慮した選定を行うこととされている。
科学技術全般に知見のある専門家、有識者
当該研究開発の分野の知見を有する専門家
研究開発マネージメントの専門家、経済学、環境問題その他社会的ニー
ズ関連の専門家、有識者
産業界の専門家、有識者
また、評価に対する中立性確保の観点から事業の推進側関係者を選任対象から除外
し、また、事前評価の妥当性を判断するとの側面に鑑み、事前評価に関与していない
者を主体とすることとしている。
これらに基づき、技術評価委員会分科会(以下、「本分科会」という)委員名簿に
ある6名が選任された。
なお、本分科会の事務局については、新エネルギー・産業技術総合開発機構技術評
価部評価業務課が担当した。
3.評価対象
平成8年度から平成13年度まで実施された「石炭利用次世代技術開発調査 環境
調和型石炭燃焼技術分野<高温石炭燃焼ガス集塵技術>」プロジェクトを評価対象と
した。
1-2
なお、本分科会においては、当該事業の推進部室(新エネルギー・産業技術総合開
発機構
エネルギー・環境技術開発室)及び以下の研究実施者等から提出された事業
原簿、プロジェクトの内容、成果に関する資料をもって評価した。
研究実施者等:財団法人
石炭利用総合センター
九州電力株式会社
電源開発株式会社
バブコック日立株式会社
川崎重工業株式会社
株式会社
財団法人
荏原製作所
ファインセラミックスセンター
株式会社
ササクラ
4.評価方法
本分科会においては、当該事業の推進部室及び研究実施者からのヒアリングと、そ
れを踏まえた本分科会委員による評価コメント作成、評点法による評価及び実施者側
等との議論等により評価作業を進めた。
なお、評価の透明性確保の観点から、知的財産保護の上で支障が生じると認められ
る場合等を除き、原則として、本分科会は公開とし、研究実施者と意見を交換する形
で審議を行うこととした。
5.評価項目、評価基準
本分科会においては、次に掲げる「標準的評価項目・評価基準」
(平成 14 年 4 月 9
日、第3回NEDO技術評価委員会)に準じ、大きく事業全体及び研究開発項目別に
分けて評価を行った。事業全体に係わる評価においては、主に事業の目的、計画、運
営、達成度、成果の意義や実用化への見通し等について、評価をおこなった。各研究
開発項目に係る評価については、主にその技術的達成度等について評価した。
1-3
標準的評価項目・評価基準
【本標準的項目・基準の位置付け(基本的考え方)】
本項目・基準は、あくまでも標準的な評価の視点の例であり、各分科会にお
ける評価項目・評価基準は、被評価プロジェクトの性格、中間・事後評価の別
等に応じて、各分科会において判断すべきものである。
なお、短期間(3年以下)又は少額(予算総額5億円以下)のプロジェクト
に係る事後評価については、以下の「3.」及び「4.」を主たる視点として、
より簡素な評価項目・評価基準を別途設定して評価をすることができるものと
する。
1.事業の目的・政策的位置付けについて
(1)NEDO(国)の事業としての妥当性
単独で立ち上げる事業については、以下の項目により評価することとする。なお、特定の
プログラム制度(研究開発制度)の下で実施する事業の場合、以下の項目を参照しつつ当該
制度の選定基準等への適合性を問うこととする。
【注1】
・
「市場の失敗」
(行政改革委員会「行政関与の在り方に関する基準」
(平成 8 年 12 月)参
照)に該当しているか。しない場合、民間活動のみでは改善できないこと、公共性の高
いことが説明されているか。その際、当該事業に必要な資金規模や研究開発期間、民間
企業の資金能力等は示されているか。
・他の類似事業や関連技術動向を踏まえ、NEDO(国)の関与がなかった場合(放置した
場合)と比較して、NEDO(国)が関与することの優位性がより高いものであるか。
・当該政策目的の達成に当たって当該事業を実施することによりもたらされる政策効果が、
投じた政策資源との比較において効率的・効果的であるか(費用対効果はどうか)
。
(知
的基盤・標準整備等のための研究開発の場合を除く)
(2)事業の目的・政策的位置付けの妥当性
・評価時点或いは事業開始時点の時代背景認識から見て、事業の目的は妥当で、政策的位
置付けは明確か。
・政策課題(問題)の解決に十分資するものであるか。
・国としての国際競争力に資するものであるか。
2.研究開発マネージメントについて
(1)研究開発目標の妥当性
・目標達成のために、具体的かつ明確な開発目標、目標水準を設定しているか。
・目標達成度を測定・判断するための適切な指標が設定されているか。
・費用対効果分析が適切に行われているか。
(エネルギー特別会計を使用している場合に
1-4
は、費用対効果分析を踏まえ定量的なエネルギー政策上の目標が立てられているか。
)
(2)研究開発計画の妥当性
・目標達成のために妥当なスケジュール、予算(各個別研究テーマ毎の配分を含む)とな
っているか。
・目標達成に必要な要素技術を過不足なく取り上げているか。
・研究開発フローにおける要素技術間の関係、順序は適切か。
(3)研究開発実施者の事業体制の妥当性
・目標を達成する上で、事業体制は適切なものか。
・各研究開発実施者の選定等は適切に行われたか。
・関係者間の連携/競争が十分行われるような体制となっているか。
(4)研究開発実施者の運営の妥当性
・意思決定、進捗状況、計画見直し等の検討が適切に行われているか。
・プロジェクトリーダー(サブテーマのリーダーを含む)が有効に機能しているか。
・プロジェクト開始後の情勢変化(目標未達が明らかになった場合を含む)への対応は適
切であったか。
(5)情勢変化への対応の妥当性
・技術動向や社会・市場ニーズの変化等に対応して、計画を適切に見直したか。
・計画の見直しに当たっては、時代背景の変化を考慮していたか。
3.研究開発成果について
(1)計画と比較した目標の達成度
・成果は目標値をクリアしているか。
・全体としての目標達成はどの程度か。
・立案時点または計画見直し時点の時代背景認識から見て、事業は研究開発として成功し
たといえるか。また、評価時の時代背景から見てどうか。
(2)要素技術から見た成果の意義
・世界最高水準、世界で初めて、又は国際水準から見て優れた成果があるか。
(ある場合は、その根拠及びインパクトが明確に説明されているか。
)
・新たな技術領域を開拓するような成果の独創性が認められるか。
(認められる場合は、新たな技術領域の内容、その根拠、規模及び発展性はどうか。
)
・新たな市場創造につながるような新規性、先進性が認められるか。
(認められる場合は、新たな市場の内容、その根拠及び発展性はどうか。
)
・汎用性のある(応用分野の広い)技術が開発されているか。
・当初想定していなかったような成果(派生技術等)はあるか。
1-5
・将来の時代背景の変化により、重要性の増すあるいは減る成果はどのようなものか。
(3)成果の普及、広報
・論文の発表は、質・量ともに十分か。
・特許は適切に取得されているか。
・基本特許が的確に取得されているか。
・特許性は十分あると判断されるか。
・外国特許が適切に出願されているか。
・必要に応じ、成果の規格化に向けた対応が取られているか。
・広報は一般向けを含め十分に行われているか。
(4)成果の公共性【注2】
・成果の公共性を担保するための措置、あるいは普及方策を講じているのか。
(JIS 化、
国際規格化等に向けた対応は図られているか、一般向け広報は積極的になされているか
等)
4.実用化、事業化の見通しについて
(1)成果の実用化可能性
・産業技術としての見極め(適用可能性の明確化)ができているか。
・公共財としての需要が実際にあるか。見込みはあるか。
・公共性は実際にあるか。見込みはあるか。
(2)波及効果
・成果は関連分野へのインパクトを期待できるものか。
・当初想定していなかった波及的な成果はあるのか。
・プロジェクトの実施自体が当該分野の研究開発を促進するなどの波及効果を生じている
か。
(3)事業化までのシナリオ
・コストダウン、導入普及、事業化までの期間、事業化とそれに伴う経済効果等の見通し
は立っているか。
【注1】
:
「必要性」の観点からの評価は、政策効果からみて、対象とする政策に係る行政目的が
国民や社会のニーズ又はより上位の行政目的に照らして妥当性を有しているか、行政
関与の在り方からみて当該政策を行政が担う必要があるか等を明らかにすることに
より行うものとする。
(政策評価に関する基本方針(閣議決定平成 13 年 12 月)参照)
【注2】
:知的基盤・標準整備等のための研究開発のみ。
【全体注】
:評価においてはプロジェクトに対する提言を含めて検討を実施するものとする。
1-6
(参考資料)
政策立案・評価ガイドライン(抜粋)
(平成 11 年 12 月経済産業省策定)
IV.評価事項
1.事前評価
(1) 施策・制度の必要性[どのような問題が存在するのか、なぜその問題を改善する上
で行政の関与が必要なのか]
民間活動のみでは改善できない問題であって、かつ、行政が関与することにより改
善できるものが存在することを論証しなければならない。
行政の関与の必要性については、「市場の失敗
市場の失敗」と関連付けて説明すべきことを原
市場の失敗
則とする。「市場の失敗
市場の失敗」については以下に概念を示すが、より詳しくは、行政改革
市場の失敗
委員会「行政関与の在り方に関する基準」(平成 8 年 12 月 16 日)の「行政関与の可
否に関する基準」による。
行政関与の必要性の説明として、「市場の失敗
市場の失敗」に該当しないものも許容するが、
市場の失敗
その場合には、上述した問題の存在することの説明や公共性が高いことの根拠はでき
る限り客観的に明らかにしなければならない。
<市場の失敗
市場の失敗>…行政改革委員会「行政関与の在り方に関する基準」
(平成 8 年 12 月)による
市場の失敗
(a) 公共財的性格を持つ財・サービスの供給(経済安全保障、市場の整備、情報の生産、
文化的価値を含む)
複数の人が同時に消費できたり、対価の支払いなしに(まま)消費を制限することが
困難である財・サービスのことをいう。
例:市場ルールの形成
(b) 外部性
ある個人・企業の活動が、市場を経ずに他の個人・企業の経営環境に影響すること
をいう。好ましいものを正の外部性、好ましくないものを負の外部性という。
例:負の外部性の例として地球環境問題(正の外部性については、解釈に幅があると
される)
(c) 市場の不完全性
不確実性や情報の偏在(財や価格について取引の当事者間で情報量にばらつきがあ
ること)などがあるために市場取引が成立しないこと。
例:技術開発(不確実性)
、製品事故(情報の偏在)
(d) 独占力
独占力は、一般には、市場におけるマーケット・シェアやライバル企業と異なる品
質の製品を提供することによって生まれる価格設定力である。市場参加者が大きな独
占力を持っている場合には、行政の関与が許容される場合があるとされる。
(e) 自然独占
平均生産費が、市場で需要される産出量を超えても逓減するため、新規参入が利潤
をもたらさず、また 1 社だけ存在することが効率的になるため生ずる独占のことをい
う。
(f) 公平の確保
公平の確保を図るための施策については、機会の均等を図ることを第一とし、事後
的な公平については、所得・資産の多寡を基準とした再分配に原則として限定し、そ
れ以外の施策からは原則として撤退する、とされている。
1-7
第2章
プロジェクトの概要
当該事業の推進部室及び研究実施者から提出された事業原簿をもって、当該プロジ
ェクトの概要とする。
石炭利用次世代技術開発調査
環境調和型石炭燃焼技術分野
「高温石炭燃焼ガス集塵技術」
事業原簿
作成者
新エネルギー・産業技術総合開発機構
エネルギー・環境技術開発室
作成時期
2002 年 10 月 4 日
目
次
0.概要
1. NEDO の関与の必要性・制度への適合性
2-1
2.事業の背景・目的・位置付け
2-1
2.1 事業の背景・目的・意義
2-1
2.2 事業の位置付け
2-1
3.事業の目標
2-2
4.事業の計画内容
2-2
4.1 事業全体、個別開発項目の計画内容
2-2
4.2 研究項目毎の内容詳細
2-3
4.2.1 調査研究
2-3
4.2.2 要素研究
2-4
4.3 研究開発実施主体の体制
2-5
5. 実用化の見通し
2-6
6.今後の展開
2-7
7.中間・事後評価の評価項目・評価基準、評価手法及び実施時期
2-7
8.研究開発成果
2-8
8.1 国内外高温集塵技術調査結果
2-8
8.2 集塵方式調査結果
2-8
8.3 評価用フィルタ材
2-10
8.4 評価手法
2-12
8.4.1 基礎物性試験
2-12
8.4.1.1 材料強度評価試験(Oリング圧環試験)
2-12
8.4.1.2 熱衝撃試験
2-15
8.4.2 小型評価試験
2-19
8.4.2.1 模擬ガス曝露腐食試験)
2-19
8.4.2.2 脱塵性能試験
2-23
8.4.2.3 熱応力解析
2-36
8.4.3 実ガス曝露試験
2-51
8.4.3.1 目 的
2-51
8.4.3.2 試験フィルタ
2-51
8.4.3.3 試験装置
2-51
8.4.3.4 試験結果
2-53
8.4.4 サンプルフィルタ作製
2-65
8.4.4.1 目 的
2-65
8.4.4.2 エレメント腐食検討
2-65
8.4.4.3 サンプルフィルタの作製
2-66
8.4.4.4 試作フィルタの特性
2-71
8.4.4.5 まとめ
2-73
8.4.5 高温集塵装置検討概要
2-73
8.4.5.1 目 的
2-73
8.4.5.2 ダスト付着および剥がれの検討方法
2-73
8.4.5.3 ダスト付着および剥がれの解析結果
2-76
8.4.5.4 まとめ
2-79
評価集計表
2-80
8.5 成果の普及、広報
2-85
用語集
2-87
0.概要
石炭利用次世代技術開発調査
石炭生産・利用技術振興
事業名
補助金
環境調和型石炭燃焼技術分野 高温石炭燃焼ガス集塵技術
事業の概要
実機試験を行うことが困難な高温集塵用フィルタ材について小型試験装置を用い
た基礎物性試験、脱塵、腐食試験類を行うことにより、実機での使用の可否判断が
できる性能評価手法を開発する。
1.NEDO の関与の必要
加圧流動層複合発電技術(PFBC)や石炭ガス化複合発電技術(IGCC)などの高効率発
性・制度への適合性 電システムにおいて、ガスタービンの前段に設置される高温集塵装置は、設備の安
定運転に係るキーテクノロジーの一つと言えるものである。
本プロジェクトは、高温集塵技術のうち、フィルタを用いた集塵技術に着目し、
各社から数多くのフィルタを集め、その評価方法を確立することにより、今後の高
効率石炭燃焼発電の開発へ寄与するものであり、研究期間、資金、難度から、民間
企業が単独で実施するのは大変困難と考える。また、研究体制としても、発電プロ
セスにかかわっている企業とセラミック業界などの異分野の業種との密接な連携が
必須であり、NEDO 等のリーダーシップ無くしては実現が困難である。
上述した理由により、NEDO の関与する必要性は非常に高いものである。
2.事業の背景・目的・位 石炭は豊富な埋蔵量、安定供給、価格も安定していることから、わが国にとって
置づけ
重要なエネルギー源に位置づけられているが、他の化石燃料に比べ CO2 排出量が多
く、近年地球温暖化問題意識の高まりから環境負荷低減が求められている。CO2 排出
量の低減には、高効率化による排出ガス量削減が最も現実的な対策である。
高効率石炭燃焼発電システムとしては、国内外で PFBC や IGCC の開発が進められ
てきており、各技術とも高温加圧化による効率向上が期待されている。これらの複
合発電技術においてはガスタービン摩耗防止のため、高温環境下における集塵技術
が欠くことのできない重要課題となっている。
高温集塵技術としては、フィルタを用いたろ過集塵装置が有望であるが、サイク
ロン、電気集塵器等による集塵装置と比べ技術的に確立されておらず、国内におけ
る大規模新設商用機には採用されていないという状況にある。
本プロジェクトの目的は、高温集塵に用いられるフィルタ材料に関して、現状で
は強度、脱塵性等の性能評価手法が確立されておらず、高温集塵用フィルタ材の選
定、開発が困難な状況にあることに着目し、フィルタ性能評価手法を確立すること
であり、このことにより実機へ適用できるフィルタ材料を選定することが容易にな
ることから、今後の PFBC、IGCC 開発の一助となり、高効率石炭燃焼発電システム
の開発推進が期待できる。
このフィルタ性能評価手法の確立は、高温集塵用フィルタを開発する実用技術へ
の橋渡しとなるものと位置づけられる。
制度名
3.事業の目標
(全体目標)
4.事業の計画内容
(単位:百万円)
一般会計
特別会計(電特)
特別会計(石特)
特別会計(エネ高)
総予算額(計)
項
目
開 発 目 標
フィルタ材料評
価手法
・フィルタ材料性能評価手法確立
酸化雰囲気 950℃
還元雰囲気 700℃
H8fy
H9fy
H10fy
H11fy
使用可能フィルタ性能評価手
法確立
H12fy
142
総額
(6年間)
191
195
134
146
142
H13fy
89
943
89
943
191
195
134
146
研究開発体制
(実態に併せて記載)
5.実用化、事業化の
見通し
6.今後の展開
7.中間・事後評価
8.研究開発成果
9.情勢変化への対応
省内担当原課
資源エネルギー庁 石炭課
運営機関
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
委託先
(財)石炭利用総合センター
再委託先
なし
研究協力先(共 バブコック日立㈱、㈱荏原製作所、川崎重工業㈱、(財)ファイ
同研究先含む) ンセラミックセンター
現状メーカーにおける評価データしかなく比較検討するすべがない高温集塵
用フィルタ性能について、本開発により評価手法が確立されるとともに、膨大な
試験データを得ることが出来たことから、今後フィルタの選定、開発の必要が生
じた際に、この評価手法が用いられ、試験データが活用されることとなると考え
られる。
国内の PFBC 火力発電所においては、集塵フィルタの信頼性が低いということ
から、2段サイクロンを採用し、ガスタービンを消耗品として扱っている傾向が
あり、本研究開発のデータ等の成果が、フィルタ式ろ過集塵装置導入の一助にな
ると考えられる。
また、試験データは多岐に亘っており、フィルタ製造業者、電力会社のみなら
ず、可燃廃棄物・バイオマス等の焼却に関わる業者を含め、有効に活用されるも
のである。
なお、実用化に当たっては、実ガスにおけるフィルタ挙動の更なる詳細なデー
タを取得することにより、評価手法としての精度が高まるものである。
また、開発の一環として、高温集塵に適合可能な革新性のあるサンプルフィル
タの設計指針を提示しており、実用的な製造方法を確立することにより、酸化雰
囲気に適用可能なフィルタ自体の実用化の可能性も考えられる。
この製造技術である「アルコキシド法を用いた低温焼成技術」と「ウイスカろ
過層付与技術」については、関東経済産業局による平成 13 年度即効型地域新生
コンソーシアム研究開発事業「セラミックファイバー製大型かつ高温フィルタの
製造技術開発と実証」における大型フィルタの基本製造技術に展開されている。
本研究開発は、当初予定した高温石炭燃焼ガス集塵用フィルタの性能評価手法
を開発、確立したことを持って終了する。
今後は、CCUJ、JFCC ホームページホームページ等に得られた性能評価手法を掲
載するとともに、関連学会誌等への投稿により広報活動に努める。
平成 11 年度終了後、
「高温石炭燃焼ガス集塵技術」についての中間評価を「石
炭次世代・基盤技術委員会(NEDO)」にて実施した。
H13 年度終了後に本プロジェクトの事後評価を実施する。
特許(出願):0 件(0 件)、口頭発表:20 件、査読論文数:2 件、
査読なし論文数:3 件、総説、解説、著書:0 件、新聞発表数:0 件
基本計画の変更
なし
変更内容
なし
評価履歴
10.今後の事業の方向性
平成 11 年度終了後、
「高温石炭燃焼ガス集塵技術」について
の中間評価を「石炭次世代・基盤技術委員会(NEDO)」にて実施
した。
H13 年度終了後に本プロジェクトの事後評価を実施する。
高温集塵フィルタの普及と相まって本プロジェクトの成果であるフィルタの
評価手法が活かされると思われることから、高温集塵フィルタそのものの実用化
開発を目指したプロジェクトを後継プロジェクトとして立ち上げることを目指
す。
また、ホームページ等に得られた性能評価手法を掲載するとともに、関連学会
誌等への投稿により広報活動に努める。
1.NEDO の関与の必要性・制度への適合性
加圧流動層複合発電技術(PFBC)や石炭ガス化複合発電技術(IGCC)などの高効率発電システ
ムにおいて、ガスタービンの前段に設置される高温集塵装置は、設備の安定運転に係るキーテ
クノロジーの一つと言えるものであるが、高温下における集塵技術が確立されておらず、現状、
充分な信頼性をもった高温集塵装置が開発されていない状況にある。
本プロジェクトは、高温集塵技術のうち、フィルタを用いた集塵技術に着目し、フィルタ製
作会社各社から数多くのフィルタを集め、その評価方法を確立することにより、フィルタを用
いたろ過集塵装置の開発へ適用することが可能となり、今後の高効率石炭燃焼発電の開発へ寄
与するものである。
この研究開発は、各種フィルタ物性の確認、高温度域での灰の挙動等解決すべき問題が多く、
非常に難度の高いものであり、また研究期間も長期間を要し、資金面からも民間企業が単独で
実施するのは大変困難である。
また、研究体制としても、発電プロセスに関わっている企業(電力会社等)とセラミック業
界などの異分野の業種との密接な連携が必須であり、NEDO 等のリーダーシップ無くしては実現
が困難である。
上述した理由により、NEDO の関与する必要性は非常に高いものである。
2.事業の背景・目的・位置付け
2.1 事業の背景・目的・意義
石炭は豊富な埋蔵量、安定供給、価格も安定していることから、わが国にとって重要な
エネルギー源に位置付けられているが、他の化石燃料に比べ CO2 排出量が多く、近年地球
温暖化問題意識の高まりから環境負荷低減が求められている。
CO2 排出量の低減には、高効率化による排出ガス量削減が最も現実的な対策であることか
ら、高効率石炭燃焼発電システムとして、国内外で加圧流動層複合発電技術(PFBC)や石炭
ガス化複合発電技術(IGCC)の開発が進められてきており、各技術とも高温高圧化による効
率向上が期待されている。
これらの複合発電技術においては、ガスタービン摩耗防止のため、集塵装置出口のダス
ト濃度 5∼10mg/m3 以下が求められており、高温下における集塵技術が欠くことのできない
重要課題となっている。
高温集塵技術としては、フィルタを用いたろ過集塵装置が有望であるが、サイクロン、
電気集塵器等による集塵装置と比べ技術的に確立されておらず、国内における 100MW 以上
の新設の商用機には採用されていないという状況にある。
本研究では、高温集塵に用いられるフィルタ材料に関して、現状では強度、脱塵性等の
性能評価手法が確立されておらず、高温集塵用フィルタ材の選定、開発が困難な状況にあ
ることに着目し、フィルタ性能評価手法を確立することを目的として開発を行うものであ
る。
2.2 事業の位置付け
本プロジェクトは市販の各種フィルタ材料を調査対象として、高温集塵フィルタに関す
2-1
る同一条件での共通評価手法を確立することを目的としている。
調査結果から得られた各種基礎データは、高温集塵用フィルタを開発する実用技術への
橋渡しとなるものと位置付けられる。
また、本評価手法の開発により、実機へ適用できるフィルタ材料を選定することが容易にな
ることから、今後の PFBC、IGCC 開発の一助となり、高効率石炭燃焼発電システムの開発推進
が期待できる。
3.事業の目標
高温集塵用フィルタ材の選定および実機への適用に関しては、実機試験が最も信頼できる評
価手法であるが、フィルタの規模・数量が大きいことから、特に開発段階のフィルタを使用し
て実機試験を行うことは不可能である。
このため、本研究開発は、小型試験装置を用いた基礎物性試験、脱塵、腐食性能試験類を行
うことにより、実機での使用の可否判断ができる評価手法を開発することを目標とした。
フィルタ使用環境としては、流動床ボイラの燃焼後の状態を酸化雰囲気:PFBC 環境とし、現
状のフィルタについて、材料の信頼性が確立されていないことから、実機への採用事例も低い
こととなっており、材料について充分な信頼性を確保することを目的とし、より過酷な条件と
して現状 PFBC使用環境である 850℃に 100℃加えた 950℃を開発目標環境とした。また、
石炭ガス化炉から出た燃焼前の状態を還元雰囲気:IGCC 環境とし、IGCC 使用環境は、現状 450℃
程度であるが、材料としては 600℃程度までの温度域まで使用可能となっていることから、PFBC
と同様、より過酷な条件として 600℃に 100℃加えた 700℃を開発目標環境とした。
第 3.1 表に開発目標を示す。
第 3.1 表 開発目標
項
目
フィルタ材料評価手法
開 発 目 標
・フィルタ材料性能評価手法確立
酸化雰囲気 950℃
還元雰囲気 700℃
使用可能フィルタ性能評価手法確立
4.事業の計画内容
4.1 事業全体、個別開発項目の計画内容
本研究開発は、文献調査等を主とした調査研究と試験を主とした要素研究により平成 8
年度から 13 年度までの6ヶ年で実施した。
研究開発に当たっては、市況において入手可能なフィルタを調査・入手し、体系化を行
なうとともに現状の集塵技術動向を調査し、開発課題の抽出を行った。
この入手したフィルタ材について文献、各種学会等からデータ収集した情報を元に評価
手法を検討・開発し、この中から実ガス曝露試験に適合するフィルタの絞込みを行い、実
ガス曝露試験用フィルタを選定するとともに、各評価手法によるデータ取得を行った。
実ガス曝露試験においては、選定したフィルタについて、実機環境下の熱応力・熱衝撃、
腐食ガス等に対するフィルタ性能の確認を行うとともに、試験結果から、実機環境での燃
焼灰付着、凝集挙動に関するアルカリの影響等の解明・整理を行った。
2-2
また、調査研究、要素研究から得た各種データを元に高温集塵に適合可能と思われるフ
ィルタ設計手法の提示を行った。
第 4.1.1 表 研究開発全体工程
H8
調査研究
H9
H10
H11
H12
H13
技術動向・開発課題抽出/基礎データ収集/集塵器内ダスト
流れ解析(高温集塵装置検討)
要素研究
基礎物性試験
基礎物性データ取得
小型評価試験
熱衝撃試験
模擬ガス曝露腐食試験・小型脱塵性能試験
熱応力解析
実ガス曝露試験
脱塵性能確認試
サンプルフィルタ作製
開発費推移(単位:百万円)
サンプルフィルタ作製
150
204
213
141
146
4.2 事業全体、研究項目毎の内容詳細
4.2.1 調査研究
(1) 基礎データ収集
発電システムの現状、高温集塵へのニーズなどの調査および既設高温集塵設備
の運用状況・問題点の調査をして開発課題を抽出・明確化を行った。また、各集
塵方式の調査とともに、フィルタ開発状況、運用状況の調査を行った。
ガス性状、灰挙動、アルカリ挙動などのデータを文献・要素試験データから収集
し、要素研究の試験結果を補完するとともに、検討・解析結果を要素試験、サン
プルフィルタ作製への参考資料として活用した。
・高温集塵問題点抽出、国内外開発動向整理
・フィルタエレメントの体系的整理
・フィルタエレメント腐食整理
・石炭燃焼灰付着、凝集挙動整理
・アルカリ挙動整理
(2) 高温集塵装置検討
集塵装置内のフィルタ配置等、各部構成を設計するうえで、重要な要素であるフ
ィルタ部へのダスト付着、付着ダスト除去のための逆洗時におけるフィルタ周りの
ガス流れおよびダスト挙動について、計算機シミュレーションにより解析を行った。
・高温集塵装置ダスト付着および逆洗時ダスト挙動シミュレーション
2-3
89
4.2.2 要素研究
(1) 基礎物性試験
メーカ毎にデータ取得条件が統一されていないフィルタ材料の基礎物性の評価
方法について、共通の条件下で基礎物性データを取得し、各フィルタ材料強度の横
並び比較評価を行い、統一した物性評価方法を確立した。
また、フィルタ付着ダスト除去逆洗時における急冷を模擬した熱衝撃試験を行い、
耐熱衝撃性評価手法を確立した。
・強度試験(Oリング圧環試験)
・熱衝撃試験
(2) 小型評価試験
酸化、還元雰囲気各模擬ガス・ダストを使用し、小型の試験装置によりフィルタ
の耐腐食性・脱塵性能・逆洗性能を各種条件下で試験し、性能の比較評価を行い、
腐食・脱塵性能評価手法を確立した。
また、フィルタ使用環境における逆洗時等の熱衝撃について、計算機シミュレー
ションによる熱応力解析を行い、フィルタが熱衝撃を受けた際の疲労寿命評価手法
の開発を行った。
・模擬ガス曝露腐食試験
・脱塵性能試験
・熱応力解析
(3) 実ガス曝露試験
基礎物性試験、小型評価試験から選定されたフィルタについて、実機石炭燃焼高
温ガス発生プラントを使用したフィルタの実ガス曝露試験を行い、実環境下におけ
る熱応力・熱衝撃、腐食ガス等に対するフィルタ性能の確認を行った。
また、試験結果から、実機環境での燃焼灰付着、凝集挙動に関するアルカリの影
響等について解明・整理を行った。
・実機使用環境における耐腐食性、脱塵性能データ整理
・実機燃焼灰付着、凝集挙動およびアルカリ挙動解明整理
(4) サンプルフィルタ作製
調査研究、要素研究から得た各種データを元に高温集塵に適合可能と思われる短
尺のサンプルフィルタ作製を行い、本研究の中で確立した評価手法で評価するとと
もに、フィルタ設計手法の提示を行った。
・高温集塵適合フィルタ設計手法提案
以上から今回開発した評価手法の総括を第 4.2.1 図にまとめた。
2-4
技術動向・開発課題調
基礎物性試験
評 価 手 法
・材料強度試験(O リング圧環試験)
・灰・ガス性状の検討
・灰付着性の検討
・熱衝撃試験
・エレメント腐食性の検討
・灰払落し性の検討
小型評価試験
・集塵技術の検討
・模擬ガス曝露腐食試験
・脱塵性能試験
第 4.2.1 図 フィルタ性能評価手法
4.3 研究開発実施主体の体制
本プロジェクトは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託により(財)石炭
利用総合センター(CCUJ)が学識経験者からなる「高温石炭燃焼ガス集塵技術調査・検討委
員会」を設けるとともに、企業からなるワーキンググループの参加を得て研究を進めた。
研究開発に当たっては、ワーキンググループにて開発計画を策定し、定期的に進捗状況
の把握、確認を行い、開発の方向性の検討を行うとともに、適宜、委員会に開発状況を報
告し、助言を得て開発を推進した。
研究開発実施体制を第 4.3.1 図に、各年度の実施回数を第 4.2.1 表に示す。
経済産業省 資源エネルギー庁
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
財団法人
石炭利用総合センター (CCUJ)
検討委員会
調査委員会
電源開発(株)
東京電力(株)
中部電力(株)
九州電力㈱
バブコック日立(株)
川崎重工業(株)
㈱荏原製作所
㈱ササクラ
金沢大学
名古屋工業大学
東京農工大学
中部大学
財団法人 電力中央研究所
財団法人 ファインセラミックスセンター
ワーキンググループ・役割分担
九州電力㈱
: FS 評価
電源開発(株)
: FS 評価
バブコック日立(株)
: 小型評価試験
川崎重工業(株)
: 集塵機内流動解析
㈱荏原製作所
: 実ガス試験(酸化ガス)
財団法人 ファインセラミックスセンター : 基礎物性調査
㈱ササクラ
: フィルターメーカー
第 4.3.1 図 研究開発実施体制
2-5
第 4.2.1 表 各年度委員会等実施回数
H8 年度
H9 年度
H10 年度
H11 年度
H12 年度
H13 年度
委員会
2回
5回
5回
3回
3回
4回
ワーキンググループ
4回
3回
5回
4回
3回
5回
5. 実用化の見通し
(1) 成果の実用化可能性
現状メーカにおける評価データしかなく比較検討するすべがないフィルタ性能について、
本開発により数値による横並び性能評価手法が確立され、膨大な試験データを得ることが出
来たことから、今後フィルタの選定、開発の必要が生じた際に、この評価手法が用いられ、
試験データが活用されることとなると考えられる。
国内の 100MW 以上の PFBC 火力発電所においては、集塵フィルタの信頼性が低いというこ
とから、2段サイクロンのみを採用しており、灰による摩耗をある程度容認し、ガスタービ
ンを消耗品として扱っている傾向があり、本研究開発から得られたデータ等成果が、フィル
タ式ろ過集塵装置導入の一助になるとともに、破損しないフィルタを選定する資料として活
用されるものとなる。
今回の研究開発により、高温集塵フィルタ選定までを一貫した流れとして下記のとおり、
整理・提案することができる。
フィルタ材調査
技術動向・開発課題調査
・フィルタ材の体系化整理・分類
基礎物性試験
評 価 手 法
・材料強度試験(O リング圧環試験)
・熱衝撃試験
・灰・ガス性状の検討
・灰付着性の検討
・エレメント腐食性の検討
・灰払落し性の検討
・集塵技術の検討
小型評価試験
・模擬ガス曝露腐食試験
・脱塵性能試験
・熱応力試験(疲労寿命評価)
実ガス曝露試験
サンプルフィルタ作製
使用環境に有望なフィルタの選定
集塵フィルタ実用化
第 5.1 図 高温集塵フィルタ選定までの流れ
2-6
なお、実用化に当たっては、実ガスにおけるフィルタ挙動の更なる詳細なデータを取得す
ることにより、評価手法としての精度が高まるものである。
また、今回の研究開発の一環として、高温集塵に適合可能な革新性のあるフィルタの設計
手法・製造方法を提示し、実サンプルフィルタを作製すると共に、基礎物性試験・小型評価
試験にて評価した結果、高温集塵装置への適応可能性が確認されたことから、フィルタ自体
の実用化も期待できる。
(2) 波及効果
石炭の燃焼とは異なるが、可燃性廃棄物・バイオマス等の低品位燃料利用技術、各種焼却
炉・化学プラント等における集塵フィルタ選定が可能となる。
また、フィルタの破損要因として、逆洗時の繰返し熱応力や未燃分のフィルタ表面での部
分燃焼によるフィルタ内外での過大な温度上昇があるが、今回の研究成果により熱応力の発
生しやすい部位や、フィルタが破損する限界燃焼温度および燃焼時間がシミュレーションに
より明らかとなったことから、これらのデータは実機においてフィルタ破損が生じた場合の
破損原因を究明や構造・運用方法改善の参考データとして活用することができる。
また、今回提示したサンプルフィルタの製造技術である「アルコキシド法を用いた低温焼
成技術」と「ウイスカろ過層付与技術」については、関東経済産業局による平成 13 年度即
効型地域新生コンソーシアム研究開発事業「セラミックファイバー製大型かつ高温フィルタ
の製造技術開発と実証」における大型フィルタの基本製造技術に展開されている。
6.今後の展開
本研究開発は、当初予定した高温石炭燃焼ガス集塵用フィルタの性能評価手法を開発、確
立したことを持って終了する。
今後は、NEDO および CCUJ のホームページ等に得られた性能評価手法を掲載するとともに、
関連学会誌等への投稿、発表により広報活動に努める。
7.中間・事後評価の評価項目・評価基準、評価手法及び実施時期
平成 11 年度終了後、「高温石炭燃焼ガス集塵技術」についての中間評価を「石炭次世代・
基盤技術委員会(NEDO)」にて実施した。
平成 13 年度終了後、事後評価を実施する。
2-7
8.研究開発成果
8.1 国内外高温集塵技術調査結果
高効率石炭燃焼発電システムに用いられる高温集塵技術としては、フィルタを用いたろ過
集塵装置が有望であるが、国内においては現在 85MW
PFBC プラント(北海道電力:苫東厚真
3号機)にフィルタ集塵装置として採用運転されているのみで、
大型発電用 PFBC プラント(九
州電力:苅田新 1 号機 360MW、中国電力:大崎 250MW)には、高温集塵フィルタの信頼性がま
だ十分ではないとして採用されていない状況にある。
第 8.1.1 表に国内の PFBC 発電所、第 8.1.2 表に海外の PFBC、IGCC プラントを示す。
第 8.1.1 表 国内の PFBC 発電所
若松PFBC
苫東厚真3号機
大崎発電所
苅田発電所
新1号機
サイクロン入口 サイクロン出口 フィルタ入口 フィルタ出口
mg/Nm3
mg/Nm3
mg/Nm3
mg/Nm3
電源開発
30,000
3,000
3,000
1.0
北海道電力
22,700
5,680
5,680
10.0
中国電力
20,000
1,000
------九州電力
27,400
710
-------
温度 プラント出力
℃
MW
850
71.0
852
85.0
860
250.0
870
360.0
第 8.1.2 表 海外の PFBC、IGCC
発電技術
Tidd
Escatron
Rhein braun
Demkolec
Wabash River
Tampa
Puertollano
Pinon Pine
アメリカ
スペイン
ドイツ
オランダ
アメリカ
アメリカ
スペイン
アメリカ
PFBC
PFBC
IGCC
IGCC
IGCC
IGCC
IGCC
IGCC
集塵装置
集塵方式
フィルタ形状
2段サイクロン
キャンドル型
2段サイクロン
キャンドル型
サイクロン+フィルタ
キャンドル型
フィルタ
キャンドル型
フィルタ
キャンドル型
サイクロン+フィルタ
キャンドル型
サイクロン+フィルタ
キャンドル型
サイクロン+フィルタ
キャンドル型
材質
セラミック
セラミック
セラミック
セラミック
金属
金属
セラミック
セラミック
プラント出力
MW
74.0
71.0
750t/d
253.0
262.0
250.0
300.0
99.0
※ Tidd、Escatron はサイクロン脱塵システムであるが、 ガスの一部を分流してセ
ラミックフィルタによる脱塵テストを行った。
8.2 集塵方式調査結果
高温加圧下における集塵方式としては、サイクロン、フィルタ、電気集塵等があり、各方式
は第 8.2.1 表のとおりの特徴を持つ。
集塵方式
① サイクロン
② 電気集塵
③ 粒子充填層
④ フィルタ
バグフィルタ
多孔質焼結体
第 8.2.1 表 各集塵方式長短所比較
長所
短所
・構造が簡単
・微小粒子の捕集が難
・低運転費
・高温域での捕集性能低下
・高効率
・高温域での使用は難
・低圧力損失
・捕集ダストの除去が難
・構造が簡単
・微小粒子の捕集が難
・低運転費
・捕集ダストの除去が難
・高捕集性能
・低圧力損失
・高捕集性能
・機械的強度が高い
各集塵方式の概要については、下記のとおりである。
2-8
・高温域において機械的強度が低
下する
・圧力損失が大きい
・熱衝撃によるフィルタの破損
① サイクロンによる集塵
サイクロンは、構造が簡単で安価であるため、広く集塵装置として利用されてい
る。また、セラミックフィルタなどで問題となっている熱衝撃による破損がなく、
操作性も簡単である。
しかし、ろ過集塵などと比較して、粉塵の集塵率が低く石炭火力発電などでは一
次集塵機としての利用が主な用途となっている。
② 電気集塵器による集塵
電気集塵器は、粉塵の電気移動度を利用して集塵を行なうものであり、粉塵の荷
電と集塵率は、粒子の電気抵抗率により決まる。
抵抗率が適当な範囲になければ捕集粒子の再飛散や、逆電離が生じ、正常な捕集
ができなくなる。
③ 粒子充填層による集塵
粒子充填層による集塵は重力・さえぎり・慣性・拡散の各効果により充填層を粉
塵が通過することによって集塵が行われるものである。
④ フィルタ
フィルタは粉塵捕集効率が高く、耐熱性に優れているため、高温集塵装置要素と
して最も注目されているが、克服すべき課題として熱疲労、強度低下、変形、機械
的・熱的ショックに弱いこと、金属部品との取付方法、高圧力損失、粉塵の目詰ま
り、付着未燃分の燃焼による破損、腐食性ガスとの反応侵食等がある。
具体的な克服すべき課題は、以下に示すとおりである。
(1) 付着性増加によるトラブル
(a) 灰粒子の払い落とし性の悪化と圧損上昇
高温加圧下で様々な成分を含む石炭飛灰粒子は、高温条件下では付着性が増大
し、パルス的逆洗などを行っても完全な払い落としが困難となることから、残留
した灰分により圧力損失が増大し、プラント安定運転の障害となる。
(b) 灰付着層の成長によるフィルタの破損
フィルタ外表面で灰を捕集する場合には、フィルタ間に灰の層が架橋構造を作
り、この灰付着層が成長すると閉塞を生じることとなり、場合によっては付着し
た灰にフィルタが圧迫されることで破損につながるケ−スもある。
さらに、フィルタ表面に厚く長時間付着した灰層が急激に剥離した場合は、急
冷による熱衝撃が発生し、これもフィルタ−破損の原因となる。
(2) 灰中の未燃分や腐食成分によるトラブル
(a) 未燃分の表面燃焼等による熱応力破壊
プラントの起動、停止時、または何らかの燃焼トラブル(石炭スラリ−の閉塞
2-9
や大量注入など)で不完全燃焼となることにより、未燃分を多く含んだ灰がフィ
ルタに飛来堆積した場合、フィルタ−表面またはその近傍で未燃分が燃焼して表
面温度が上昇し、熱衝撃または熱応力破壊が発生する恐れがある。
(b) アルカリ成分によるフィルタの腐食損傷
灰中に含まれる成分の中で特にアルカリ金属成分は、高温条件において灰成分
やセラミックスフィルタ成分と反応することにより固溶し腐食を促進する。
これら検討課題を考慮し、フィルタ材料の評価項目としては、材料として具備すべき強度、
耐熱衝撃性の基礎物性を第 1 ステップ、集塵における重要な要素として脱塵性、逆洗による
灰剥離の容易性および高温における耐食性を第2ステップとした評価手法を開発することと
した。
8.3 評価用フィルタ材
今回の研究開発では、第 8.3.1 表に記載した市況において入手可能な 22 種フィルタを用
い、材質、構造等から第 8.3.1 図のように体系化し、横並び評価手法の開発を行った。
2-10
第 8.3.1 表 評価用フィルタ材一覧
分
No
大
類
中
1
小
モ
ノ
リ
シ
ッ
ク
2
3
ッ
7
キ
ク
ャ
ス
8
シューマッハ
T10-20
日本ポール
Vitropore 326
SiC
SiC
ポール
京セラ
コージェライトフィルタ
保護層(硼酸アルミノシリケート繊維
を含めた 3 層構造
住友 3M
コンポジット 203
繊
住友スリーエム
セラミックコンポジットフィルタ
アルミナ短繊維+アルミノ
シリケートマトリックス
アルミナ長繊維+アルミノ
シリケートマトリックス
保護 層(アルミナ長繊 維)を含め
た 3 層構造
住友 3M 酸化
物系コンポジット
維
宇部興産
セラミック繊維強化セラミックフィルタ
ムライト
SiC 繊維+ムライトマト
リックス
強
ファインセラミックスセンター
セラミック繊維強化(1)
アルミナ繊維+ムライトマトリックス
化
ムライト
ル
型
ウイス
カー
20
バ
グ
21
22
型
セ
ラ
ミ
ッ
ク
ス
金
属
酸化物系含浸マトリクス
ニチアス(FFB-300)
ファインフレックスモールド強化タイプ
アルミノシリケート短繊維
ニチアス
FFB-300
ニチアス
硼酸アルミニウムウィスカー多孔体
硼酸アルミニウムウイスカー
硼酸アルミウィスカーの骨格
(9Al2 O 3 ・2B 2 O 3 )
ニチアス
硼酸アルミ
SUS310SC
溶接あり
ポール
SUS310SC
クボタ
SUS316L
SUS316L
溶接なし
金
クボタ
金属系多孔質 (2)
HU
溶接なし
クボタ
金属系多孔質 (3)
日本ポール
PSS メタルフィルタ(Fe-Al)
日本ポール
Palloy2000(NiCrFeAl)
SUSXM15J1
溶接なし
Fe-Al
溶接なし
Ni-Cr-Fe-Al
溶接なし
クボタ
HU
クボタ
SUSXM15J1
ポール
Fe-Al
ポール
Palloy2000
アルミナ/シリカ/硼酸系繊維
住友 3M
セラミックバグ
住友化学工業
アルミナ繊維 Altex フィルタバグ
アルミナ/シリカ系繊維
住友化学
セラミックバグ
ニチアス
アルミナ繊維フィルタバグ
アルミナ/シリカ系繊維
ニチアス
セラミックバグ
ホソカワミクロン
金属繊維フィルタバグ
インコネル 600
ホソカワミクロン
インコネルバグ
住友スリーエム
ネクステル 312 フィルタバグ AB-22
繊
維
ク
ロ
ス
JFCC
コンポジット(2)
ニチアス
ファインフレックス
クボタ
金属系多孔質(1)
化
合
物
19
JFCC
コンポジット(1)
合
属
18
ム ラ イ ト 被 覆 アル ミナ 繊
維+ムライトマトリックス
宇部
コンポジット
(アルミノシリケート+アルミナ)短繊維
日本ポール
PSS メタルフィルタ(SUS310SC)
13
17
ACI
PRD-66
硼酸アルミノシリケート長
繊維+SiC マトリックス
ニチアス
ファインフレックスモールドタイプ
16
コージェライト
アル ミナ短 繊 維 +SiC
マトリックス
ド
金
V326
京セラ
コージェライト
住友スリーエム
セラミックコンポジットフィルタ 203
10
15
支 持 層
SiC
ファインセラミックスセンター
セラミック繊維強化(2)
14
称
ムライト
ン
12
略
日本シューマッハ
Dia-Schumalith T10-20
9
11
考
アルミナ/ムライト/コージェラ
イト繊維
ラ
ミ
備
アルミナ
セ
6
造
ろ 過 層
ACI(アライドシグナル)
PRD-66
4
5
構
メーカー/型式
2-11
セラミックス
モノリシック
繊維強化
膜構造(メンブレン)
ACI PRD-66
宇部興産 セラミックコンポジット
JFCC セラミックコンポジット(2)
3層構造
住友3M コンポジット203
住友3M 酸化物コンポジット
単層構造(モノレイヤ)
JFCC セラミックコンポジット(1)
ニチアス ファインフレックス
ニチアス FFB-300
ウィスカー
単層構造(モノレイヤ)
ニチアス 硼酸アルミ
合
単層構造(モノレイヤ)
日本ポール SUS310SC
クボタ SUS316L
クボタ HU
クボタ SUSXM15J1
キャンドル
高温集塵フィルタ材料
チューブ
クロスフロー
金
金
属
ハニカム
金属間化合物
セラミックス
バ グ
金
膜構造(メンブレン)
日本シューマッハ T10-20
日本ポール V326
単層構造(モノレイヤ)
京セラ コージェライト
属
単層構造(モノレイヤ)
日本ポール Fe-Al
日本ポール Palloy2000
単層構造(モノレイヤ)
住友3M ネクステル312
住友化学 セラミックバグ
ニチアス セラミックバグ
単層構造(モノレイヤ)
ホソカワミクロン インコネルバグ
第 8.3.1 図 フィルタ材体系化図
8.4 評価手法
8.4.1 基礎物性試験
8.4.1.1 材料強度評価試験(Oリング圧環試験)
(1) 目 的
フィルタ材料として具備すべき強度に関する基礎物性を横並び評価することを目
的とし、また、模擬ガス曝露試験、小型脱塵試験および実ガス曝露試験の前後におけ
る強度評価にも適用する。
セラミック系の強度試験としては3点または4点曲げ試験(JIS R 1601、1604)が
一般的であるが、実ガス曝露試験後のフィルタ材料に適用可能な強度評価法としては
他にOまたはCリング圧環試験、Cリング引張試験、チューブ引張試験、チューブ内
圧(破壊)試験等が挙げられる。
しかし、試験片の加工の容易さを考慮して強度評価試験としては、Oリング圧環試
験法が妥当であると考え、その適用性を検討した。
(2) 試験方法
試験方法は、原則として JIS Z 2507(焼結含油軸受の圧環強さ試験方法)に従い
実施する。試験条件の詳細を第 8.4.1 表に示す。なお、試験片表面(加圧面)は無加
工で使用するため、平行度、元々の粗さ(凹凸)があり、片当たりや加圧盤への傷の
問題があるため、室温では銅シート(50μm)の使用を標準とする。
2-12
第 8.4.1 表 試験条件
項目
Oリング圧環試験
各リング×幅 25mm
(上下面平行度 0.1mm 以下、仕上げ 400 番)
25mm
試験片形状
および寸法
試験温度
室温、700℃、850℃、950℃、1050℃、1100℃
雰囲気
大気中、高温保持炉中(700℃は窒素雰囲気も実施)
0.5 mm/min(標準)、 5 mm/min (3M203 を除く繊維強化タイプ) 、
0.05 mm/min(クロスヘッド速度影響確認試験)
クロスヘッド速度
応力算出式
・・・・・(1)
σr=P(D-d)/ld2
ここで、σr :圧環強さ
P :破壊時の最大荷重
D::試験片の外径
d:肉厚
l :試験片長さ(今回 25mm)
(3) 試験装置
試験装置は室温では一般的な汎用の引張(圧縮)試験機を使用し、高温圧環試験は
Instron 製 MODEL4507 を使用した。
P
フィルタ切断片
ヒータ
ro
θ
ri
最大応力
P
第8.4.1図 Oリング圧環試験方法
2-13
(4) 試験評価項目および評価基準
評価項目は、室温での最大応力、最大応力温度依存性(高温強度)および荷重−変
位曲線(破壊特性)の3項目。
評価は、ABCの3段階評価とし、それぞれに3∼1point の得点として、3項目
の合計得点で、総合評価を行う。
各項目の評価基準を第 8.4.1 表、総合評価判定基準を第 8.4.2 表に示す。
第 8.4. 2 表
評価基準
評
項目
最大応力(室温)
価
A ( 3 point )
B ( 2 point )
C ( 1 point )
10 MPa 以上
10MPa∼5MPa
5MPa 以下
・ 950 ℃ ( 700 ℃ )
・950℃(700℃)ま ・950℃(700℃)まで
までの高温強度が
での高温強度が室温 の高温強度が室温強
温度依存性
室温強度と同程度
強度と同程度以上、 度よりも減少、かつ 10
(高温強度)
以 上 、 か つ 10 MP a
かつ 10 MPa 以下 ま MPa 以下
以上
たは
最大応力
・950℃(700℃)ま
での高温強度が室温
強度よりも減少、か
つ 10 MPa 以上
荷重−変位曲線
(破壊特性)
最大荷重発生後変位 最大荷重発生後変位 ・最大荷重発生後急速
に荷重低下
の増加を伴い徐々に の増加を伴い徐々に
荷重低下
荷重低下
(室温,高温とも)
(高温時のみ)
(室温,高温とも)
第 8. 4. 3 表 総合評価判定基準
判定
/ 一次スクリーニング合否
合計 point(3∼9point )
A
/ 合格
8 or 9 point
B
/ 条件付きで合格
5 or 6 or 7 point
C
/ 不合格
3 or 4 point
(5) 試験結果のまとめおよび評価(評価集計表−1および2参照)
(a)フィルタ材料強度の横並び評価方法として、O リング圧環試験が最適であること
を示した。
(b) PFBC 想定(950℃)においては、モノリシックセラミックス材系のシューマッ
ハ T10-20、セラミック繊維強化材系の3M 酸化物コンポジットおよび金属材の
クボタ SUSXM15J1 がA評価となった。次いでポール V326、JFCC コンポジット(2)、
クボタ HU、ポール Palloy2000 がB評価(7point)となり有望と考えられる。
(c)IGCC 想定(700℃)においては、3M 酸化物コンポジット、ポール SUS310SC、
2-14
クボタ SUS316L、クボタ SUSXM15J1V326 がA評価となった。次いでシューマッ
ハ T10-20、ポール V326、JFCC コンポジット(2)、クボタ HU がB評価(7point)
となり有望と考えられる。
8.4.1.2 熱衝撃試験
(1) 目 的
フィルタ材料として具備すべき耐熱衝撃性に関する基礎物性を評価する。
(2) 試験条件
第 8.4.4 表
熱衝撃試験条件
加熱媒体
燃焼ガス (都市ガス)
冷却媒体
圧縮空気 (0.35MPa)
設定温度
700℃ (内面温度)
送風冷却空気線流速
15cm/sec
送風冷却間隔
10min
送風冷却時間 (Δt)
1∼10sec
送風冷却回数 (N)
1∼1000 回
評価方法
室温圧環試験,ガス透過率測定
(3) 試験装置
熱衝撃試験概念図を第 8.4.2 図、熱衝撃時温度変化概念図を第 8.4.3 図ならびに送
風冷却中の試験片内部における温度分布の概念図を第 8.4.4 図に示す。
テストセクション
圧縮空気
燃料ガス
燃焼器
燃焼ガス
圧縮空気
燃焼ガ
点火プラグ
ノーズコーン
試験片
第 8.4.2 図 熱衝撃試験概念図
温度, T (℃)
Δt
ΔT’
燃焼ガス温度
TP 外表面温度
ΔT
TP 内部表面温度
2-15
時間 t (s)
第 8.4.3 図 熱衝撃時温度変化概念図
試験片
Temperature
Inner
surface
Outer
surface
θ2
θS2
h3
r1,r2:内半径,外半径
θ1,θ2:冷却空気温度,雰囲気温度
h2
θS1,θS2:内面温度,外面温度
h1
θ1
θS1
h1,h2,h3:熱伝達率(内表面,内部,外表
r1
0
r2
Radius
面)
r
第 8.4.4 図 送風冷却時フィルタ内温度分布概念図
(4) 試験手順
(a) 試験片加工
製品を 25mm 幅のOリング形状に切り出す。
(上下面平行度 0.1mm 以下、仕上
げ 400 番)
(b) 寸法測定
試験片の内外径および幅を、ノギスまたはマイクロメータを用いて測定する。
(c) 透過率測定
試験片内面から外方向に窒素ガスを透過させた際の圧力損失を計測する。
(d) 熱衝撃試験
装置への試験片の取り付けは、第 8.4.2 図に示すとおり、試験片を燃焼ガス
流に水平になるようにする。なお、送風冷却時に試験片に内圧をかけるため、
シール面からの漏洩が無いよう、シートパッキン等を取り付ける。また、試験
時の試験片表面温度を測定するため、試験片表面に熱電対を取り付ける。
試験片を高温の燃焼ガスで曝露しながら、定期的に試験片内部から外方向に
低温の圧縮空気を噴射し通過させることにより、試験片に熱衝撃を与える。こ
のときの試験条件は第 8.4.4 表に示すとおり。
(e) 透過率測定
(c)項と同様。
(f) Oリング圧環試験(室温)
材料強度評価試験(Oリング圧環試験)と同様。
(g) 熱応力解析
必要に応じて、熱物性値が測定可能なものについては、熱衝撃試験時の実測
試験片表面温度から、発生熱応力を算出する。
(5) 試験評価項目および評価基準
評価項目は、熱衝撃試験前後における、圧環強さの変化率(σ/σ0)、最大荷重に至
るまでに要する仕事量の変化率(W /W0)、ガス透過率の変化率(K /K0)の3項目。
評価は、ABCの3段階評価とし、それぞれに3∼1point の得点として、3項目
の合計得点で、総合評価を行う。
2-16
ただし、Cランクの供試材について発生熱応力計算が可能で、計算の結果、実機逆
洗時相当(逆洗時間 0.3 秒、灰の付着によりろ過面の約 1/2 が閉塞、と仮定)の熱応
力において 108 回以上の熱サイクルに耐え得る場合、Bランクとする。
第 8.4.5 表および 6 表に評価基準、評価フローチャートを第 8.4.3 図に示す。
また、以下に熱応力算出方法を示す。
熱伝導方程式ならびに初期条件、境界条件は次のように表され、実際の送風冷却時
における内外面温度の変化に対応するように熱伝達係数 h1,h2,h3 を求める。
 ∂ 2 θ 1 ∂θ  w
∂θ
+
= κ  2 +
∂t
r ∂r  ρC
 ∂r
t = 0 のとき, θ = θ 2
∂θ
∂θ
r = r1 のとき, −λ
= h1 (θ1 − θ S 1 ) , r = r2 のとき, −λ
= h 3 (θ S 2 − θ 2 )
∂r
∂r
t :時間,ρ:密度,C:比熱容量,κ:熱拡散率,λ:熱伝導率
軸対称中空円筒の円周熱応力の一般式は次のように表され、これを解くことにより
発生熱応力が算出する。
σθ =
αE 1
1− γ r2
∫
r
θrdr −
r1
c
αEθ
E  c1

+
+ 2
1 − γ 1 − γ  1 − 2γ r 2



σθ:円周応力,α:熱膨張率,E:ヤング率,ν:ポアソン比,c1,c2:未定係数
第 8.4.5 表 熱衝撃試験評価基準
評 価
項目
A ( 3 point )
B ( 2 point )
C ( 1 point )
変化がなかったもの
熱衝撃による強度低下が 熱衝撃破断したもの、ま
(変化率 0.9 以上)
認められるもの
たは強度 低下が著し い
圧環強さの変化
(変化率 0.8 以上 0.9 未満) もの
(変化率 0.8 未満)
変化がなかったもの
荷重−変位曲線の変化が 熱衝撃破断したもの、ま
最大荷重までに
たは荷重 −変位曲線 の
(変化率 0.9 以上)
微小、山数の変化無し
要する仕事量の
(変化率 0.8 以上 0.9 未 変化、二山 → 一山
変化
満)
(変化率 0.8 未満)
変化がなかったもの
熱衝撃によるガス透過率 熱衝撃破断したもの、ま
ガス透過率の変 (変化率 1.1 未満)
の上昇が認められるもの
たは著し く変化した も
化
(変化率 1.1 以上 1.2 未 の
満)
(変化率 1.2 以上)
2-17
判定
第 8.4.6 表 熱衝撃試験総合評価基準
合計 point(3∼9point )
A
合格
8 or 9 point
B
条件付きで合格
5 or 6 or 7 point
C*
使用環境に注意要
3 or 4 point
*発生熱応力計算が可能で、計算の結果、実機逆洗時相当の熱応力において 108
回以上の熱サイクルに耐え得る場合、Bランクとする。
(1)熱衝撃試験
冷却時間:10sec
冷却時間:1000 回
評価
≧5point
Yes
Yes
≧8point
評価 A
N
N
(2)熱疲労解析
許容逆洗回数
≧108 回
評価
評価 B
Yes
No
評価 C
第 8.4.5 図 耐熱衝撃特性評価フローチャート
(6) 試験結果のまとめおよび評価
・ACI 製 PRD-66C、3M 製酸化物、JFCC 製酸化物およびポール製 Palloy2000 は熱衝撃
による劣化、損傷は確認されず、A評価となった。
・シューマッハ製 T10-20、京セラ製コーディエライトは逆洗を模擬した熱衝撃試験
では、送風冷却時間と熱サイクル数を増大させると損傷した。
ただし、発生熱応力計算の結果、実機逆洗時相当(逆洗時間 0.3 秒、灰の付着
によりろ過面の約 1/2 が閉塞、と仮定)の熱応力において 108 回以上の熱サイクル
に耐え得ることから、実機の通常運用条件下では、逆洗での熱衝撃による影響は
非常に少なく問題とならないと考え、B評価となった。
2-18
8.4.2 小型評価試験
(目 的)
実験室規模の小型評価試験設備によりフィルタ材料について、フィルタ腐食および逆
洗を繰り返し実施した際のフィルタの集塵性能とクリーニング挙動確認試験を還元性、
酸化性雰囲気模擬ガス環境下において実施し、横並び評価を行う。
8.4.2.1 模擬ガス曝露腐食試験
(1) 目 的
PFBC、IGCC 実機環境を模擬した試験装置により、各種候補フィルタの暴露試験を行
い、腐食性(反応性)、強度変化、差圧変化を測定し、横並び評価するとともに、こ
れらの結果に基づき、実機適用可能性の評価を行う。
(2) 試験条件
第 8.4.7
表 試験条件
第 8.4.7 表
試験条件
酸化雰囲気
還元雰囲気
対象製品
PFBC
IGCC
温度
950℃
700℃
ガス組成
1000ppmSO2-5%O2-15%CO2-5%H2O-残N2
2000ppmH2S-200ppmHCl-60%CO-25%H2
-2%CO2-5%H2O-残N2
ガス流量
0.5㍑/min
0.5㍑/min
全条件にてアルカリ蒸気*添加
灰塗布条件の試験時のみアルカリ蒸気*添加
48h、300h連続
30h(6h×5サイクル)、300h連続
①ガスのみ
①ガスのみ
②荏原パイロット採取灰**
②HYCOL採取灰**
③上記+アルカリ塩***を10、50、100%添加
③上記+アルカリ塩***を10、30、50、100%添加
④300h連続試験は30%アルカリ添加灰使用
④300h連続試験は30%アルカリ添加灰使用
アルカリ蒸気*
試験時間
灰塗布
*:Na2CO3+ K2CO3等重量塩を試験部下部に設置し、試験温度で蒸発する量を添加
**:参考表-7-1-1参照
**:Na2CO3+ K2CO3等重量塩
(3) 試験装置および試験方法
試験装置は、試験片を一様かつ一定に加熱するための温度調節器、試験片を外気か
ら隔離するための試験部を備えた加熱装置、一定の雰囲気ガスを連続して供給し、か
つ、その流量を制御するための雰囲気ガス供給装置から構成する。
装置の構成を第 8.4.6 図に示す。
試験手順は以下の通りである。
(a) 試験片、アルカリ蒸気発生用 Na2CO3+ K2CO3 等重量塩を試験部に設置する(第
8.4.1 図 参照)。この際、灰との反応試験では灰を試験片の表面に塗布、または
2-19
灰中に埋没させる。
(b) 試験部を脱気し窒素ガスで置換し、窒素ガスを流しながら所定の温度に昇温する。
(c) 所定の温度に達したら、所定ガス組成の模擬ガスを試験部内に導入する。
(d) 系内が所定の模擬ガスで置換された後、模擬ガスを流しながら試験を開始する。
(e) 試験終了後は、試験内部を窒素ガスで置換し、降温する。
真空ポンプ
空気
洗浄塔
冷却器
MFM
試験槽
CO除去器
受器
還元ガス: H2S-HCl-H2-CO-CO2-N2
酸化ガス: SO2-O2-CO2-H2O-N2
予熱器
ヒータ
定量ポンプ
水タンク
試験片
アルカリ塩
蒸気―混合ガス_
アルカリ添加チャー
試験片
試験片サイズ
1)10×10mm
2)10×20mm
厚さ:受入のまま
(1)48時間曝露試験での灰塗布方法
アルカリ添加チャー
試験片
磁性皿
(2) 300時間曝露試験での灰中への試験片埋没方法
第 8.4.6 図
試験装置フローおよび試験片設置方法
(4) 試験評価項目および評価基準
第 8.4.8 表 に試験後の評価項目とその内容、第 8.4.9、 10 表 に 評価基準を示
す。
評価項目は、質量変化量、3点曲げ強度、Oリング圧環強度、圧損測定の4項目で、
その他に反応生成物の同定及び割れや剥離等の異常を調べるために、フィルタ表面の
SEM(Scanning Electron Microscopy)観察、EDX(Energy Dispersive X-ray)やX線
回折も行う。
2-20
第 8.4.8 表
No
試験後の評価項目とその内容
項目
内 容
試験前の試験片質量Mo、試験後の試験片質量Mdから質量変化量aを求める。なお、灰塗布また
1 質量変化量 は灰埋没試験では、超音波洗浄により灰を除去した後の試験片質量を試験後の質量Mdとする。
a=(Mo-Md)/Mo
JIS R1601 ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法に準拠した。なお、JISではクロスヘッド速度を
0.5mm/minと規定しているが、本試験では1.0mm/minとしている。
2
曲げ強さσb3(N/mm =MPa)の計算方法は下記の通りである。
2
2
3 点 曲 げ 強 σb3=3PL/2wt
度
P:試験片が破壊した時の最大荷重(N)、L:支点間距離(mm) 今回は30mm
W:試験片の幅(mm)、T:試験片の厚さ(mm)
試験数は5回以上とし、強度変化の解析にはワイブル分布を仮定して行った。
試験片の形状はW:3mm、l:40mm、T:4mmとしたが、厚さTはフィルタによって異なっている。
Oリング圧環
本試験は実フィルタから輪切りにして両面を仕上げた試験片を使用し、万能試験機で破壊させる
もので、圧環強度σrは次式で与えられる。クロスヘッド速度は1.0mm/minである。
強度
σr=KP/ID
P:破壊時の最大荷重、D:試験片の外径、d:試験片の肉厚、I:試験片長さ
本試験は3点曲げ試験に比べ実フィルタの評価が可能である長所を有しているが、試験部の制約
および灰との反応性評価が困難等の問題があり、曝露試験では一部の材料のガスのみとの反応
試験の評価のみに用いた。
3
試験片はD:60mm、I:25mmである。
4 圧損測定
本試験は試験片に一定流量の窒素ガスを流し、その際に発生する差圧を測定するもので、試験
片には実フィルタを使用し、ガス流量は1~4cm/sの範囲とした。
試験片は圧環強度測定に使用したものと同一のものである。
5 その他
試験後の外表面はEDX分析装置付の電子顕微鏡により観察および分析を行うとともに、X線回折
により灰、試験片表面の分析も行い、表面の形態変化や反応生成物の同定を行った。
評価項目は、質量変化、表面変化、強度および差圧の4項目で、評価は1∼3の3
段階評価とした。
第 8.4.9 表 試験結果の評価基準
Point
3
2
1
質量変化
<1%以下
1∼5%
>5%
外観
試験前と変化無
微細な割れ、反応物の 顕著な膨れ・割れ有
の形成有
差圧
試験前と変化無
10%未満の差圧増
強度
試験前と変化無
ワイブル係数m、γの ワイブル係数m、γが
変化はあるが、荷重- 変化し、荷重-変位カー
変位カーブの変化無
ブも変化
10%以上の差圧増
第 8.4.9 表 に示す判定基準に基づき、各供試フィルタの総合評価として、A(使
用可)
、B(条件付使用可)、C(使用不可)の3段階評価とした。
2-21
第 8.4.10 表 総合判定方法
評価項目
数
総合評価
4項目
3項目
2項目
12
9
6
B:条件付で使用可能*
8∼11
6∼8
4∼5
C:使用不可
7 以下
5 以下
3 以下
A:使用可能
*:1項目でも 1 がある場合は C 評価
(5) 試験結果のまとめおよび評価(評価集計表−3,4参照)
以下にA評価としたフィルタを示す。
<酸化雰囲気>
(a) ガスとの反応試験
A評価:モノリシック系では日本シューマッハ T10-20、日本ポール
Vitropore326、京セラ コージェライトの全数、繊維強化型 AC
I PRD66 の計 4 種
(b) 実機灰との反応試験
A評価:モノリシック系では日本シューマッハ T10-20、京セラ コージェ
ライト、繊維強化型 ACI PRD66 の計3種
(c) アルカリ添加灰との反応試験
A評価:なし
(d) 30%アルカリ添加灰との反応試験
A評価:なし
<還元雰囲気>
(a) ガスとの反応試験
A評価:モノリシック系では日本シューマッハ T10-20、日本ポール
Vitropore326、京セラ コージェライトの全数、繊維強化型 AC
I PRD66、3M セラミックコンポジット、化合物型 日本ポ
ール Fe-Al、3M バグフィルタの計7種
(b) 実機灰との反応試験
A評価:モノリシック系では京セラ コージェライト、繊維強化型 ACI
PRD66、化合物型 日本ポール Fe-Al の計4種
(c) アルカリ添加灰との反応試験
A評価:なし
(d) 30%アルカリ添加灰との反応試験
A評価:なし
(a)および(b) の試験では、A評価(実機使用可)となるフィルタを選定できた
が、(c) および(d)のアルカリ添加灰の試験では、いずれのフィルタとも総合評価は
2-22
B又はCとなっている。
これは、いずれのフィルタにおいても、アルカリ濃度が 30%以上になると、1%以上
の質量変化が認められ、また強度試験で明らかな強度変化が生じていたためである。
この原因としては、アルカリとフィルタの反応または実機灰との反応による反応物がフ
ィルタ表面に観察されたり、割れが発生していたことが挙げられる。
8.4.2.2 脱塵性能試験
(1) 目 的
前項の基礎物性及び模擬ガス曝露試験において、有望と判断されたフィルタについ
て、模擬ガス・実ダストを用いた小型脱塵試験装置を使用して PFBC 環境(最高温度:
950℃)
、IGCC 環境(最高温度:700℃)における脱塵性能を把握し、横並び評価する
とともに、実ガス脱塵試験へ適用するフィルタの選定を行う。
(2) 試験装置および装置構成
供試ダストをロータリーフィーダにより所定温度に保持された脱塵容器に導入し、
フィルタに付着したダストを、窒素タンクから供給する窒素により一定間隔で逆洗し
て払落し、ホッパに回収した。
脱塵容器では、逆洗時のダスト落下促進を考慮し、ガスが下降流となるよう容器の
中心部に上向きにガス導入管を配置し、フィルタの上部で反転して下方へ供給される
ようにした。
フィルタは、取付部のチューブシートから垂直に下げ、3本のフィルタを1組とし
て試験を実施した。
第 8.4.7 図、第 8.4.11 表に小型脱塵試験装置のフロー及び装置構成、第 8.4.8 図
に脱塵容器詳細、第 8.4.12 表に仕様を示す。
排気ライン
P
B
N2
ガス冷却器
フィルタ
N2
F 流量計
P
供試ダスト
ΔP
供試部
φ300
D
ダスト
モニタ
*
エレメント
T
ノッカー
950℃
逆洗N2タンク
P
(目標)
F
電気炉
ロータリ
フィーダ
電気炉
No.1
流量計
N2
ホッパー
電気炉
*エレメント:φ60-275(Max.)×3本
No.2
エジェクター ダスト濃度 50g/m3(Normal)(嵩比重0.3)
Max 1l/h
6m3/h
(Normal)
Pu
ポンプ
チラーユニット
ホッパー
T
T
ブロワ
第 8.4.7 図 小型脱塵試験装置のフロー
2-23
第 8.4.11 表 小型脱塵装置の装置構成
項 目
ガス循環ライン
ダスト供給部
脱塵容器
逆洗部
内 容
供試ガス循環用ブロワ
ガス流量範囲:1∼9.5m3(Normal)/h
ダスト供給用ホッパ(容量:約 15l)及び
ロータリーフィーダ(供給量:1l/h)
フィルタエレメント取付け供試部
フィルタハウジング内径:φ310mm,フィルタエレメント収容容
量:外径φ60mm,最長 300mm のフィルタエレメント3本収容
ダスト払落とし逆洗システム
ジェットパルス方式,N2 ガス,ノズル内径:φ2.1mm,
逆洗ガスタンク,圧力:通常 0.65MPa,最高 1MPa
電気炉
供試ガス昇温保持用ヒータ及び電気炉
排出ガス冷却システム
ガス冷却器及びチラーユニット
計測器
ガス流量計,温度計,圧力計,差圧計,ダストモニタ等
第 8.4.8 図 脱塵容器詳細
2-24
第 8.4.12 表 小型脱塵試験装置仕様
流
体
空気または窒素
圧
力
常圧
試験温度
250∼950℃
ガス流量
Max.9.5m3(Normal)/h
ダストの種類
フライアッシュ,実チャー(循環使用)
ダスト濃度
最大50g/m3(Normal)
(フィルタ入口)
ハウジング
内径φ300,全長1,250mm
フィルタエレメント
外形φ60mm×長さ200mm×3本
逆洗装置
方
式
ジェットパルス方式
流
体
窒素
圧
力
Max.最大1MPa
(3) 供試ダスト
供試ダストは、ダスト粒径と粉体特性が実機に近いことが必要であることから下記
の通りとした。特に、石炭チャーについては、HYCOL パイロットにおける設計炭であ
る太平洋炭チャーに性状が近いスカイライン炭チャーを選定した。
① PFBC 条件 模擬ダスト
電源開発(株)若松 PFBC 実証機のフライアッシュホッパ採取実灰
平均粒径 13.9μm、最大粒径 300μm
② IGCC 条件 模擬ダスト
バブコック日立(株)安芸津工場 1t/d 加圧ガス化炉採取スカイライン炭
チャー
平均粒径 4.5μm、最大粒径 20μm 以下
(ガス化炉の運転圧力 2.6MPa 時採取チャーをポット式ボールミルにより
粉砕・調整)
(4) 試験方法
① 初期差圧測定
ダストを供給しない状態で、ろ過速度と差圧の関係を求め、初期値とする。
② 脱塵試験
ダストを供給し、一定間隔で逆洗を実施、脱塵率を計測しながら、ろ過速度
と差圧の関係を求める。標準的試験時間は差圧が静定する 3∼7h とする。
第 8.4.13 表 に試験条件をまとめて示す。
ただし、フィルタエレメントの横並び評価を行うために、ろ過速度および逆
洗間隔は第 8.4.13 表 の太字を標準条件とする。
2-25
第 8.4.13 表 初期差圧および脱塵試験条件
試験内容
初期差圧
項 目
供給ガス
温度(℃)
温度(℃)
脱塵試験
入口ダスト濃度
(g/m3(Normal))
ろ過速度(cm/s)
逆洗間隔(min)
試験条件
空気
室温,300,400,600
PFBC
400,750,850,950
IGCC
400,500,600,700
15,30
1.0,1.4,1.8,2.2,2.6
2.5,5.0,10
③ 逆洗熱衝撃試験
本試験を、実ダストを流した状態での、IGCC 環境 700℃および PFBC 環境 950℃
における熱衝撃によるフィルタの耐久性試験と位置付け、試験前後のOリング圧
環強度と荷重−変位曲線の変化により行い、評価を行う。
④ 試験要領
脱塵試験要領をフローとして第 8.4.9 図に示す。
装置起動
条件設定
測 定
温度
ダスト濃度
ろ過速度
逆洗間隔
フィルタ差圧
脱塵率
装置停止後測定
ブロア起動
N2置換
電気加熱
ダスト供給
熱衝撃
ダスト付着
・EDX/SEM/目視
Oリング圧環
・強度
・荷重変位
逆洗
第 8.4.9 図 脱塵試験要領フロー
⑤ 評価方法及び内容
フィルタによる集塵効果は、第 8.4.10 図に示すように、灰が付着したことによ
り生じる内外面での最大差圧(許容差圧)ΔPm と、逆洗をすることにより低下し
た回復差圧 ΔPs との差で定義される有効差圧内に収まっている間であり、回復差
圧はフィルタ自身のガス透過係数、ダスト供給時のガス透過係数、無次元ガス透過
率、ダスト性状変化によるダスト厚み増大などで決まるため、以下の式により、高
温集塵用フィルタの評価法を行う。
2-26
集塵
ケーキ
含塵ガス
逆洗
フィルタ
フィルタ
剥離ケーキ
逆洗ガス
クリーンガス
落下
再付着
パーマネント
ケーキ
パーマネント
ケーキ
差 圧:ΔP
差圧の経時変化
逆洗
逆洗間隔
:τe
最大差圧:ΔPm
(許容差圧)
(平衡差圧)
回復差圧:ΔPs
試験開始差圧:ΔPo
初期差圧:ΔPi
時 間
第8.4.10図 脱塵,逆洗時の現象と差圧
(a) フィルタ
自体のガス透過係数(Ki)
ダストを供給しない状態(初期)で、ろ過速度と回復差圧の関係から
フィルタ自身のガス透過係数を式(1)から求める。
ΔPi=vf×μT/Ki ‥‥‥‥‥‥‥…‥‥‥‥‥‥‥‥……………(1)
ここで,vfはろ過速度,μTはガス粘度を示す。
(b) Ki と脱塵時のガス透過係数(Ks)
ダストを供給した際の回復差圧から、式(2)によりガス透過係数(Ks)を
求める。
ΔPs−ΔPi=vf×μT(1/Ks−1/Ki)‥‥‥‥‥…………………(2)
KiとKsが比例関係にあれば、Ki値の大きなフィルタの回復差圧が低いこ
ととなり、予め、既存のフィルタでKiとKsの関係を求めておけば、ダストを
流すことなく,Kiのみを評価する。
KiとKsが比例関係になければ、Kiのみでは評価できないため、ダストを
流し脱塵試験を実施して、Ksを求め、次項の無次元ガス透過率から評価する。
(c) 無次元ガス透過率(K*1)
無次元ガス透過率(脱塵時とフィルタ自体のガス透過係数の比:K*1)を式
2-27
(3)から算定する。
K*1=Ks/Ki …………………………………………………………… (3)
(=ΔPi/ΔPs)
(d) 最大許容ろ過速度(vfmax)
ろ過速度を大きくとれれば、フィルタエレメント本数を減らすことができ
るが、一方、ろ過速度を上げ過ぎると逆洗時にダストがホッパに回収されず
に差圧の急上昇を招くことから、集塵に当たっては、最大許容ろ過速度が大
きな意味を持つ。
最大許容ろ過速度vfmaxは、回復差圧とろ過速度の関係から評価する。
(e) ガス透過抵抗(Ks−1)の温度依存性
高温集塵では、付着ダストが焼結などで性状変化をきたせば、付着層が厚
くなり、運転に支障を来たす。IGCC環境で温度と回復差圧の関係から、ガス
透過抵抗の温度依存性を評価する。
(f) 脱塵率(η)
高温集塵の一つの目標を出口ダスト濃度 10mg/m3(Normal)とし、脱塵率η
(%)を式(4)から算定する。
η=100・(Ci−Co)/Ci
………………………………………… (4)
ここでCi、Coは、
Ci:入口ダスト濃度(g/m3(Normal))
Co:出口ダスト濃度(g/m3(Normal))
(g) 逆洗熱衝撃試験
試験前後のOリング圧環試験および試験後のフィルタの目視観察、SEM、E
DXによりダスト付着状況、フィルタ性状変化、割れなどを評価する。
フィルタによる集塵効果は、第 8.4.10 図に示すように、灰が付着したことによ
り生じる内外面での最大差圧(許容差圧)ΔPm と、逆洗をすることにより低下し
た回復差圧 ΔPs との差で定義される有効差圧内に収まっている間であり、回復差
圧はフィルタ自身のガス透過係数、ダスト供給時のガス透過係数、無次元ガス透過
率、ダスト性状変化によるダスト厚み増大などで決まるため、以下の式により、高
温集塵用フィルタの評価法を行う。
第 8.4.1 4 表 に高温集塵用フィルタの評価内容、
評価方法および評価点を示す。
評価点は各項目により良好:3、可:2、不可:1とし、総合点で 20∼21:A、
18∼19:B、17 以下:Cとした。
A:使用可、B:条件付使用可、C:使用不可と評価した。
2-28
第 8.4.14 表
No
高温集塵用フィルタの評価内容および方法
評価内容
評価方法
1
ろ過特性
Ks で評価
3
1.9≦
2
目詰まり
K*1 =Ks/Ki で評価
0.25≦
3
4
差圧が急上昇する最大許容ろ過
速度 vfmax で評価
ダスト性状変 Ks− 1 の温度依存性:試験後の付 依存性なし
化による付着 着ダスト厚みで評価。
I:≦100
厚み変化
IGCC(μm)
,PFBC(mm)
P:≦8
評価点
2
1.0≦Ks<1.9
1
<1.0
0.1≦K*1<
0.25
1.4≦vfmax≦1.8
<0.1
依存性あり
あり
100<d≦300
300<
8<d<15
15≦
<1.4
5
脱塵率
ηで評価
99.999%
99.999%未満
−
6
熱衝撃による
フィルタ健全
性
ろ過表面健全
性
O リング圧環強度,荷重変位曲
線:最高温度時で試験実施後,
新材と比較評価。
試験後の目視観察,SEM,EDX で
評価。
試験後/
試験前
≧0.95
変化なし
0.90≦後/前
<0.95
<0.90
7
変化あり
−
(5) 試験結果のまとめおよび評価
(a) フィルタ自体のガス透過係数(Ki)
類似構造のフィルタは、同様の値を示していたが、繊維強化型に分類され
た④PRD-66がセラミックモノリシックに近い値を示した。これは、ろ過層に
アルミナコーティングが施してあるためと推察される。
セラミックモノリシック型のKi値は、②>(④)>①>③の順であり、②が
大きく、③が極めて低かった。
繊維強化型では、⑤>⑥>(④)の順であったが、⑤,⑥はいずれの型より
大きな値を示した。
金属化合物型では⑰>⑱の順であり、①と同程度の値を示した。これは、セ
ラミックモノリシック型と同様な値を示し、構造が類似していることを示唆
した。
第 8.4.15表 各種フィルタのKi
No
①
②
③
④
⑤
⑥
⑰
⑱
形式
T10-20
Vit.326
コージェライト
PRD66
203
Oxide
Fe-Al
Palloy
Ki(10−10 m)
4.9
14.2
1.6
7.94
24.9
20.0
5.1
4.4
2-29
25
モノリシック
繊維
金属
20
15
Ki
(10 -1 0 m) 10
5
0
①
②
③
④
⑤
フィルタエレメント
⑥
⑰
⑱
(b) Ki と脱塵時のガス透過係数(Ks)
第 8.4.16表 各種フィルタエレントの脱塵時のKs
①
②
③
④
⑤
⑥
⑰
⑱
形
Ks(10−10 m)
式
T10-20
Vit.326
コージェライ
ト
PRD66
203
Oxide
Fe-Al
Palloy
IGCC
−
3.51
0.50
PFBC
2.07
−
0.49
1.90
1.93
1.07
1.97
−
2.75
−
0.72
−
2.23
モノリシック
繊維
金属
4
3.5
3
Ks
(10 -10 m)
2.5
2
1.5
1
0.5
0
①
②
③
④
⑤
⑥
⑰
⑱
フィルタエレメント
第8.4.11図にKiとKsの関係を示した。
繊維型(⑤、⑥)は、セラミックモノリシックおよび金属化合物型の直線
から大きくズレる結果となった。PRD-66(④)は、繊維型に分類されている
が、モノリシック及び金属化合物型の直線上にある。
モノリシックと金属化合物型ではKsとKiは比例関係にあり、大きなKiを有
するフィルタの回復差圧が低くなる。
所定のダストにより、フィルタに対して第8.4.6図の関係を予め作成してお
けば、同型式の新たなフィルタに関してはKiを求めれば、回復差圧を予測す
ることができる。
一方、比例関係からズレるフィルタに関しては、次項の無次元ガス透過係
数を評価する必要がある。
6
K s (10 -10 m)
No
4
②
⑱
①
2
④
⑤
⑰
③
⑥
0
0
10
20
K i (10
-10
m)
第 8.4.11 図 Ki と Ks の関係
2-30
30
(c) 無次元ガス透過率(K*1)
KiとKsが比例関係にあれば、K*1(無次元ガス透過率:脱塵時とフィルタ
自体のガス透過係数の比)は一定の値を示し、本値は目詰まりの尺度とみな
すことが出来る。
第 8.4.17表 にK*1の値を示す。
セラミックモノリシック(①、②(④)
)及び金属化合物型(⑰、⑱)はダ
ストの種類によらず、目詰まりは小さかった。一方、繊維型⑤,⑥ではK*1
が小さな値を示し、目詰まりは大きかった。PRD-66④はモノリシックの値を
示した。
第8.4.12図にKiとK*1の関係を示した。いずれのフィルタでもバラツキの
範囲内で一定値を示したが、繊維型は、Kiが大きいにもかかわらず、K*1が
極端に低く、目詰まりが激しく起こることを示した。
第 8.4.17 表 K*1の比較
No
①
②
③
④
⑤
⑥
⑰
⑱
形
K*1(10−10 m)
式
T10-20
Vit.326
コージェライト
PRD-66
203
Oxide
Fe-Al
Palloy
IGCC
−
0.25
0.31
0.24
0.078
0.054
0.39
−
PFBC
0.42
−
0.31
0.35
−
0.036
−
0.51
0.6
モノリシック
繊維
0.5
0.4
K *1
0.3
(10 -10 m)
0.2
0.1
0
①
②
③
④
*1
K (10
-10
m)
0.8
⑱
0.4
③
0.2
PFBC
①
⑰ ④
IGCC
②
⑥
0
0
10
20
K i (1 0 - 1 0 m )
第 8.4.12 図 Ki とK*1 の関係
2-31
⑤
フィルタエレメント
1
0.6
金属
⑤
30
⑥
⑰
⑱
(d) 最大許容ろ過速度 vfmax
第8.4.18表に最大許容ろ過速度vfmaxを示す。
vfmaxはIGCC環境では②>⑰>③∼④>⑤∼⑥であり、PFBC環境では①>⑱>④>
③∼⑥であった。vfmaxとK*1との関係を表中図に示す。
ほとんどのフィルタでダストの種類に依らず、1本の直線に乗り、vfmaxが
大きく取れるフィルタが目詰まりを起こしづらく有利であることが分かる。
第 8.4.18表 許容最大ろ過速度(400℃)
0.6
0.5
IGCC
PFBC
①
T10-20
−
2.6
②
Vit.326
2.2≺
−
-10
形式
*1
No
K*1 (10 -10 m)
vfmax(cm/s)
③
コージェライト
1.8
1.4
④
PRD-66
1.8
2.2
⑤
203
1.4
−
⑱
⑰
0.4
③
0.3
Oxide
1.4
1.4
⑰
Fe-Al
2.2≺
−
⑱
Palloy
−
2.5≺
③
④
0.2
②
⑤
0.1
⑥
0
0
⑥
①
1
2
vfmax(cm/s)
vfmaxとK*1の関係
(e) ガス透過抵抗(Ks−1)の温度依存性(ダスト焼結、フィルタ付着性)
付着ダストの焼結などの灰付着層が運転に与える影響について、IGCC
環境で温度と回復差圧の関係(第8.4.13図)から、ガス透過抵抗の温度依存
性を評価したが、依存性はなく(第8.4.14図)これより、チャーは700℃までは
焼結などの性状変化がないことが分かった。
7
回復差圧(kPa)
6
5
③
4
3
⑥
2
④
⑰
⑤②
1
0
0
200
400
温度(℃)
600
第 8.4.13 図 回復差圧の温度依存性(IGCC)
2-32
800
3
2
1.5
10
Ks-1(1010 m -1 )
③
⑥
1
④
⑰
⑤
②
0.5
0
0
200
第 8.4.14 図
400
温度(℃)
600
800
Ks−1の温度依存性(IGCC)
PFBC環境では高温で回復差圧が上昇する傾向があり、IGCC環境の場合と異
。特に950℃
なり850℃以上ではKS−1の温度依存性が顕在化した(第8.4.15図)
では影響は顕著となった(第8.4.16図)
。
14
③
回復差圧(kPa)
12
10
8
6
⑥
4
①
⑱
④
2
0
0
200
400
600
温度(℃)
800
1000
第 8.4.15 図 回復差圧の温度依存性(PFBC)
3
Ks-1 (10 10 m -1 )
2.5
③
2
⑥
1.5
1
①
⑱
④
0.5
0
0
200
400
600
温度(℃)
800
1000
第第
8.4.16
8.4.16
図図 Ks−1
Ks−1
の温度依存性(PFBC)
の温度依存性(PFBC)
2-33
(f) 脱塵率(η)
高温集塵の一つの目標は10mg/m3(Noromal)であるが、いずれのフィルタも
目標値をクリアした(第 8.4.19表 )。
第 8 .4 .19表 出口ダスト濃度及び脱塵率
No
形式
出口ダスト濃度mg/m3(Normal)
脱塵率(%)
IGCC*1
PFBC*2
IGCC
PFBC
①
T10-20
−
0.35
−
99.999
②
Vit.326
0.13
−
99.999
−
③
コージェライ
0.48
0.38
99.999
99.999
ト
④
PRD-66
0.08
0.50
99.999
99.999
⑤
203
0.30
−
99.999
−
⑥
Oxide
0.26
0.45
99.999
99.999
⑰
Fe-Al
0.13
−
99.999
−
⑱
Palloy
−
0.58
−
99.999
*1
:700℃,*2:950℃の値
(g) 逆洗熱衝撃試験
Oリング圧環強度結果と荷重−変位曲線結果の相関は良好であった(第 8.
4.20表 : I G C C 及び第 8.4.21表 : PFBC)。
Oリング圧環強度が新材と比較して大きな値を示したT10-20では、荷重−
変位曲線も最大荷重における破壊の変位は大きかった。また、Oリング圧環
強度が小さな値を示した。
Palloy2000では荷重−変位曲線も低下傾向を示した。
第 8.4. 20 表 O リング圧環強度(I G C C 環境)
No
最
新品
1
2
大 応 力(MPa)
3
①
②
103.1
99.2
96.0
101.1
6
平均/新品
88.5
114.4
−
0.97
6.77
6.61
6.47
1.16
150
162
155
0.99
−
5.72
6.61
6.92
6.52
⑤
−
⑥
−
⑰
5
−
③
④
4
158
157
155
⑱
157
−
2-34
第 8.4. 21 表 O リング圧環強度(PFBC 環境)
No
①
最
大 応 力(MPa)
新品
1
2
3
4
5
6
平均/新品
10.1
11.2
11.9
11.4
11.3
11.2
10.7
1.12
②
−
③
14.77
13.31
11.27
16.85
16.11
−
−
0.97
④
5.72
5.76
5.77
5.77
6.46
6.39
6.36
1.06
277.41
271.59
−
0.90
⑤
−
⑥
−
⑰
−
⑱
297.48
271.81
252.93
272.29
第 8.4.22表 にダスト厚みをまとめて示す。
IGCC環境では付着ダストの焼結などの問題がなく、付着層は薄かった。
一方、PFBC環境では850℃以上、特に950℃では付着ダストが焼結し厚くな
った。特に、ろ過層がアルミナ成分で出来ているPRD-66(④)およびOxide
(⑥)では15mm以上と厚く、フィルタと付着ダストとのミクロな反応が促進
されることを示唆した。
第 8.4.22 表 ダスト厚み
No
①
②
③
④
⑤
⑥
⑰
⑱
形式
T10-20
Vit.326
コージェライト
PRD-66
203
Oxide
Fe-Al
Palloy
ダスト厚み(d)
IGCC(μm)
−
100
500≻
160
300
200
40
−
PFBC(mm)
6
−
3
15
−
17
−
3
(h) 評価結果まとめ(評価集計表−5参照)
Oリング圧環強度が新材と比較して大きな値を示したT10-20では、荷重−
変位曲線も最大荷重における破壊の変位は大きかった。また、Oリング圧環
強度が小さな値を示した。
(1) IGCC 環境:700℃においてチャーの焼結は起こらなかった。
ⅰ) モノリシック形式の日本ポール社/Vitropore326(②)および合金
形式の日本ポール社/Fe−Al(⑰)がAと評価された。
2-35
ⅱ) モノリシック形式の範疇に入る ACI 社/PRD-66(④)は、ダストの
再付着が起こらないよう、ろ過速度を下げた運転など厳重に管理す
れば使用可能である(B 判定)
。
ⅲ) モノリシック形式の京セラ/コージェライト(③)
、繊維強化形式
の住友 3M 社/SiCCCF(⑤)住友 3M 社/Oxide CCF(⑥)は、目詰
まりが顕在化し、運転に支障を来たした(C 判定)
。
(2) PFBC 環境:850℃以上において付着ダストの焼結がおこることから、運
転管理が重要となってくる。
ⅰ) モノシリック形式の日本シューマッハ社/T10-20(①)及び合金
形式の日本ポール社/Palloy2000(⑱)はA判定であった。
ただし、前者では試験時ガスケットの変形のため、ダストリー
クが起こった。また、後者では低温部でもろいという問題があ
る。
ⅱ) ろ過表面がアルミナ成分からなる ACI 社/PRD-66(④)および住友
3M 社/OxideCCF(⑥)は高温部で焼結ダストがフィルタ表面に付
着し、差圧が上昇した。
また、住友 3M 社/OxideCCF(⑥)では、目詰まりが顕在化した。
④はB判定、⑥はC判定とした。
ⅲ) 京セラ/コージェライト(③)は、ろ過特性が低く、目詰まりが
顕在化し、C判定とした。
(3) 実ガス曝露試験用フィルタ選定
繊維型の ACI 社/PRD-66(④)および住友 3M 社/OxideCCF(⑥)
を選定した。
8.4.2.3 熱応力解析
(1) 目 的
実験室で実機と同じ形状の長尺フィルタの試験を行うことは非常に困難であるこ
とから、実機形状フィルタを想定し、有限要素解析により逆洗時の熱応力解析を行う
ことで、熱衝撃に対する評価を補完することを目的とした。
また、逆洗時以外で付着未燃分が局部燃焼した場合に過大な熱応力が発生し、フィ
ルタ破損に繋がる可能性がある。これを緊急時熱応力解析として、フィルタ付着未燃
分局部燃焼によるフィルタ損傷の可能性を有限要素解析により評価した。
(2) 逆洗時熱応力解析
(ⅰ) 熱応力解析手順
熱応力解析手順を第 8.4.17 図にまとめた。
試験としては、解析に必要な熱伝達係数を得るための逆洗時の温度分布測
定と解析結果から破損の可能性を検討するために必要な3点曲げによる高温
2-36
疲労試験を行った。試験方法および解析方法を以下に示す。
フィルタ
実験室模擬試験により 求める。
逆洗時の温度分布測定
T1
N2 ガス
T,V,P
Ta
流体
流体
Tb
T2
外
フィルタの熱伝達率の算出
実機条件に合せ修正
フィルタ肉厚
内
逆洗流体とフィルタの温度分布
ヒータ
外表面
シース熱電対
TC
記録計
温度
内表面
フィルタ表面
時間
材料物性値の取得
逆洗時の温度変化
ヤング率, ポアソン比,線膨張係数,密度,比熱,熱伝導率
逆洗時の熱応力解析
1)
2)
3)
4)
差圧
と
温度上昇
フィルタの形
,
状
モ
メッシュ:有限要素解析
解析条件の設定
応力解析:
汎用非線形解析プログラムMARC
相当
モデ ル応力
逆洗
時間
起動から逆洗時の応力変化
疲労線図と解析結果の照合
による寿命(破壊限界繰り 返し数)の予測
応力
・3点曲げ疲労試験により,熱サイクル数と
破断応力の関係を求める
σmax
Nf
繰り返し数 N
第 8.4.17 図 逆洗時の熱応力解析手順
(ⅱ) 試験方法
(a) 疲労試験
第 8.4.18 図に試験装置、第 8.4.23 表に試験条件をそれぞれ示す。
2-37
電気炉
制御盤
電気炉
試験片
荷重冶具
試験片
制御盤
疲労試験機
支持冶具
第 8.4.18 図 高温疲労試験装置
第 8.4.23 表 高温疲労試験条件
試験機
荷重容量±200 kgf の電気油圧サーボ式疲労試験機
試験方法
片振り(応力比 R=0.1)
負荷条件
Sin 波 15 Hz(荷重制御)
繰返し数
Nf < 107 回
試験温度
室温,700℃,950℃
雰囲気
大気中
試験は3点曲げによる疲労試験で、試験温度は室温、700℃および 950℃
の3条件とした。繰り返し数は最大 107 回とし、これで破壊しない場合は
その際の応力を疲労限界とした。第 8.4.19 図に試験片採取位置と荷重積
載方法を示すが、試験片は実フィルタから採取した。
2-38
40
10
40
8
φ6
供試材
φ6
20
第 8.4.19 図 高温疲労試験片採取位置および疲労試験載荷方法
セラミックスの疲労試験に関する規格は特にないが、本試験での試験片
サイズ及び支点間距離は JIS R1601 ファインセラミックスに記載されてい
る3点曲げ試験法を参考とした。
ただし、JIS では支点間距離は 30mm、試験片の断面は 3×4mm と規定さ
れているが、試験装置の制約から、JIS で規定されているサイズでは荷重
が小さく荷重制御が困難であることから、支点間距離を 20mm、断面積を
8mm×肉厚とした。
(b) 温度変化測定
第 8.4.23 表に試験条件を示す。
本試験は、逆洗窒素ガスを流した際のフィルタ内外の温度変化を確認す
るため行ったもので、測定条件を第 8.4.24 表に示す。
第 8.4.24 表 温度変化測定条件
雰囲気
測定温度
大気,常圧
Fe-Al (No.17):700℃
コージェライト(No.3),Dia-schumalith T10-20(NO.1):700 および 950℃
データ収集間隔
200 ms
フィルタ測温度高さ位置
端面より 100 mm 高さ
逆洗ガス
窒素
逆洗ガス温度
逆洗ガス流量・圧力
室温
ケース①
ケース②
ケース③
ケース④
:
:
:
:
20
40
49
40
NL/min, 98.07
NL/min, 98.07
NL/min, 98.07
NL/min,176.52
kPa
kPa
kPa
kPa
測定には実フィルタを使用、温度測定にはR熱電対を使用し、フィルタ
2-39
内中心雰囲気、内外表面、フィルタ内外表面近傍雰囲気の5ヶ所を同時に
測定した。
(ⅲ) 解析モデル
第 8.4.20 図に代表例として、Dia-Schumalith T10-20 フィルタ(No.1)の
要素分割と応力解析変位境界条件を示す。
なお、フィルタの全長は約2mとし、フィルタを吊り下げるタイプとした。
解析には汎用非線形解析プログラム MARC を使用した。
締め付け荷重は、運転時、フィルタが浮き上がらないように運転圧力と同
程度の荷重がかかるように設定した。
フィルタの外表面は 700 または 950℃の一定とし、700 または 950℃のフィ
ルタ内表面には、25℃の窒素ガスが圧力 5.88MPa、流量 0.48m3/min の条件で
0.5 秒間流れ、温度変化が生じるものとした。この逆洗ガス通気時間は、本
解析では 0.5 秒間とし強制対流熱伝達率を算出した。
(ⅳ) 解析に使用した応力
本研究で扱うフィルタ材料はメタル系とセラミックス系の2種類があるが、
メタル系も粉末を焼結させて製造させた多孔質体であり、脆性材料に分類さ
れるので、最大主応力(破壊応力)で評価した。
ただし、相当応力でも評価も合わせて行い、相当応力と主応力はほぼ同じ
値となることを確認している。
締付け荷重1768N
ガスケット回りは
軸方向のみタイイング
8節点軸対称要素
246要素、926節点
第 8.4.20 図 要素分割と応力解析変位境界条件
(ⅴ) 解析・試験条件の設定根拠
本解析はフィルタの逆洗時に発生する熱応力によりフィルタが破損するか
どうかを評価するために行ったものである。そこで、解析に使用したモデル
は実機と同じ形状を有するフィルタサイズとし、管板への取付け構造も実機
2-40
と同一としている。
熱応力の算出にあたっては、フィルタの物性値及び熱伝達係数が必要とな
るが、このうち、フィルタの物性値はメーカから入手し、熱伝達係数は逆洗
を模擬した試験から求めており、実際の使用条件に近い状態での解析となっ
ている。
得られた熱応力値は、別に行った高サイクル疲労試験で得られた疲労限界
応力と比較することで、フィルタの健全性を評価した。
得られた熱応力値は、別に行った高サイクル疲労試験で得られた疲労限界
応力と比較することで、フィルタの健全性を評価した。
本手法は一般の構造部材の安全性を確認する方法として使用されているも
のである。
(ⅵ) 解析結果
本解析はフィルタの逆洗時に発生する熱応力によりフィルタが破損するか
どうかを評価するために行ったものである。そこで、解析に使用したモデル
は実機と同じ形状を有するフィルタサイズとし、管板への取付け構造も実機
と同一としている。
(a) 疲労強度
第 8.4.21 図に3種類のフィルタおよび管板に使用されるステンレス鋼
バルク材(SUS316)の S-N 曲線を示す。
3種類のフィルタのうち、セラミックス系の2種類はメタル系(Fe-Al)
の約 1/10 の疲労強度である。
70
12
Dia-Schumalith
Dia-Schumalith T10-20(No.1)
T10-20(No.1)
応力振幅(MPa)
応力振幅(MPa)
25℃
60
10
8
6
50
40
30
4
2
0
102
20
20℃
700 ℃
950 ℃
Fe-Al(No.17)
Fe-Al(No.17)
10
0
103
700℃
104
105
繰返しサイクル数
106
107
104
105
106
6
250
SUS316
SUS316
5
応力振幅(MPa)
応力振幅(MPa)
200
4
3
2
20℃
0
102
室温
150
100
700 ℃
1
107
繰返しサイクル数
700℃
コージェライト(No.3)
コージェライト(No.3)
950 ℃
50
103
104
105
106
107
1.E+04
1.E+05
1.E+06
1.E+07
1.E+08
繰返しサイクル数
繰返しサイクル数
第 8.4.21 図 3種類のフィルタおよび管板に使用されるステンレス鋼(SUS316)の S-N 曲線
2-41
(b) 逆洗時の温度変化
第 8.4.22 図に各フィルタの逆洗時におけるフィルタ内表面の温度変化
を示す。
メタル系の Fe-Al(No.13)とセラミックス系のコージェライト系(No.3)
および SiC 系(No.1)を比較すると、Fe-Al は 0.5 秒で約 100℃の温度低
下が生じているのに対し、セラミックスの温度変化は 950℃でも 6∼7℃と
温度低下が小さくなっている。
2-42
950
720
Fe-Al(No.17)
Fe-Al(No.17)
700℃
700℃
680
948
温 度 (℃)
温 度 (℃)
700
660
640
0
0.1
0.2
0.3
時 間 (秒)
0.4
0.5
コージ
コージェライト(No.3)
ェライト(No.3)
700℃
700℃
0.1
0.2
0.3
時 間 (秒)
0.4
0.5
0.4
0.5
948
温 度 (℃)
700
温 度 (℃)
940
0
コージ
コージェライト(No.3)
ェライト(No.3)
950℃
950℃
950
701
699
698
697
946
944
Dia-Schumalith
Dia-Schumalith T10-20(No.1)
T10-20(No.1)
950℃
950℃
942
696
695
944
942
620
600
946
940
0
0.1
0.2
0.3
時 間 (秒)
0.4
0.5
0
0.1
0.2
0.3
時 間 (秒)
第 8.4.22 図 逆洗時のフィルタ内面の温度変化
(c) 発生応力
第 8.4.23 図に各フィルタの 700℃で起動から逆洗時のの最大主応力の時
間変化を示す。最も大きな応力が発生しているのは Fe-Al 系フィルタ
(No.13)である。一方、セラミックス系は Fe-Al の1/10 程度である。
これは前述した Fe-Al系の温度変化がセラミックス系に比べて大きい
ことが影響している。
(d) 寿命解析
解析で得られた応力の1/2 の値と疲労試験で得られた疲労限界値を比
較した結果を第 8.4.25 表に示す。
いずれのフィルタとも、
最大応力振幅値は疲労限界の 1/10 以下であり、
十分な裕度を有していると言える。
2-43
a
b
c d
Fe-Al(No.17)
Fe-Al(No.17)
700℃
700℃
35
30
25
20
15
10
接合
アダプタ
底部
5
0
1
2
3
4
c d
2.5
Dia-Schumalith
Dia-Schumalith T10-20
T10-20
(No.1) 700℃
(No.1) 700℃
2.0
5
6
7 8 9
時間 (sec)
a
1.0
0.5
0.0
-0.5
10 11 12 13 14 15
b
管板接合
ストレート外
ストレート内
底部内
底部外
1.5
0
0
b
3.0
最大主応力 (MPa)
最大主応力 (MPa)
a
3.5
40
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15
時間 (sec)
c d
3.0
最大主応力 (MPa)
2.5
コージェライト(No.3)
コージェライト(No.3)
700℃
700℃
2.0
1.5
管板接合
ストレート外
ストレート内
底部内
底部外
1.0
0.5
0.0
-0.5
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15
解析に使用した温度,差圧変化パターン
時間 (sec)
第 8.4.23 図
700℃における最大主応力値の時間変化解析結果
第 8.4.25 表 3種フィルタの逆洗時発生応力と限界応力に基づいた寿命評価
材料
温度
℃
Fe-Al
(No.17)
700
700
コージェライト
(No.3)
950
700
Dia-Schumalith
T10-20
(No.1)
950
部位
アダプタ接合部
接合部
底部
管板接合
ストレート外
ストレート内
底部内
底部外
管板接合
ストレート外
ストレート内
底部内
底部外
管板接合
ストレート外
ストレート内
底部内
底部外
管板接合
ストレート外
ストレート内
底部内
底部外
2-44
最大振幅応力 限界応力振幅
MPa
MPa
0.912
1.252
15
1.092
0.118
0.071
0.032
3.1
0.063
0.013
0.115
0.028
0.126
5.4
0.086
0.013
0.083
0.015
0.284
8.1
0.284
0.012
0.088
0.015
0.740
6.8
0.445
0.012
寿命評価
十分裕度有
十分裕度有
十分裕度有
十分裕度有
十分裕度有
(ⅶ) まとめ
コージェライト系、Dia Schumalith T10-20(SiC)および Fe-Al の逆洗時
に発生する熱応力について疲労試験、温度変化測定および熱応力解析を行っ
た結果、いずれのフィルタとも発生応力は疲労限界値の1/10 と低い値であ
り、実用上問題のないことを確認した。
本解析は3種類のフィルタを対象としたものであるが、本解析で行った手
法は他のフィルタ解析にも応用することが可能である。ただし、解析には熱
伝達係数の他に熱伝導率やヤング率等の物性値が必要である。
(3) 緊急時の熱応力解析
(ⅰ) 目 的
実機では使用中のフィルタ破損例がいくつか報告されており、フィルタ破
損原因としては、付着未燃分のおき燃焼に起因する熱衝撃、フィルタ間隙で
の灰の強固なブリッジによる機械的な破壊、フィルタ内でのガス爆発等いく
つかのケースが想定される。
本プロジェクトでは、特に PFBC で問題となる付着未燃分のおき燃焼による
セラミックフィルタの損傷の可能性を調べることを目的に緊急時の熱応力解
析として解析を行った。
PFBC においてフィルタ表面で未燃カーボンのおき燃焼が生じる過程を第
8.4.24 図に示す。未燃カーボンのおき燃焼は以下の過程で生じるとされ
ている。
(a) 石炭スラリー過剰供給等により、流動層燃焼炉内が一時的に酸素不足状態となり、
燃焼炉より未燃分を含むダストが脱塵装置内に供給され、フィルタ表面に付着堆
積する過程(第 8.4.24 図の過程①)
(b) 徐々に、正常な燃焼へ移行するとともに燃焼炉の酸素濃度が正常値に回復する過
程(第 8.4.24 図の過程②)
(c) 上記②の過程で供給される酸素によりフィルタ表面に付着した未燃分が着火燃
焼する過程(第 8.4.24 図の過程③)
これらの過程により、フィルタの表面温度が上昇し、フィルタの内外面で
温度差が生じることで発生する熱応力がフィルタの有する強度以上になった
場合にフィルタが破損すると考えられる。
2-45
ダスト中
カーボン濃度
着 火 濃度
酸素分圧
安定運転時
過程①
過程②
過程③
時間
第 8.4.24 図 フィルタ表面での未燃カーボンのおき燃焼機構
(ⅱ) 解析方法
フィルタ内外面での温度差は
(a) 未燃カーボン含有ダストのフィルタへの付着位置および範囲、
(b) 燃焼温度とその燃焼時間により変化すると考えられることから、
(a)に対しては、入口側壁の円周方向に帯状(半腹巻き状態)に付
着堆積したと想定し、(b)に対しては、温度上昇:1200∼1700℃、
燃焼時間:0.5 秒∼最大 20 秒と設定し、フィルタが破損する可能
性のある燃焼温度・時間を明らかにすることを目的に解析を行っ
た。
対象フィルタは、吊り下げタイプ構造の Dia SchumalithT10-20
(SiC 系、No.1)とした。
第 8.4.25 図に解析モデル、第-8.4.26 図に未燃チャー付着部位の温度条件
をそれぞれ示す。
未燃カーボンが管板近傍 200mm 長さで全周または半周に渡って、950℃に加
熱されているフィルタに付着し、おき燃焼することで、フィルタ外表面が第
-8.4.26 表に示す温度、時間に加熱され、おき燃焼が終了すると同時にフィ
ルタ表面の温度はまた 950℃まで低下すると仮定し、その際のフィルタの温
度変化およびそれに伴う応力変化を解析した。
なお、解析には逆洗時の熱応力解析で使用した本フィルタの 950℃での熱
伝達係数(1073W/m2/K)を使用した。
2-46
管板
境界1:燃焼面全周
(解析ケースA)
灰付着域
フィルタ
管板
境界1:燃焼面片側
(解析ケースB)
灰付着域
フィルタ
2 00
管板
2 00
境界
境界
第 8.4.25 図 解析モデル
2000
未燃チャー燃焼部
温度 (℃)
1800
1500℃
1600
1400
1073 W/m 2 k
1200
1000
800
t
950℃
0
5
時間 (sec)
フィルタ
外表面温度
第 8.4.26 図 未燃チャー付着部位の温度条件および熱伝達
2-47
第 8.4.26 表 解析マトリックス
温度
(℃)
1200
1300
1400
1500
1600
1700
3000
0.5
○
○
○
○
○
○
○
2.0
時間 (sec)
5.0
○
○
10.0
○
20.0
○
○
○
○
○
○
○
○
○
(ⅲ) 解析結果
実機では使用中のフィルタ破損例がいくつか報告されており、フィルタ破
損原因としては、付着未燃分のおき燃焼に起因する熱衝撃、フィルタ間隙で
の灰の強固なブリッジによる機械的な破壊、フィルタ内でのガス爆発等いく
つかのケースが想定される。
(a) 解 析 例
第 8.4.27 図に未燃チャーがフィルタ全周に付着し、燃焼温度
1500℃、燃焼時間 5 秒としたケースについてのフィルタ内外表面の
温度変化およびそれにともなう主応力の変化を示す。
温度の時間変化は未燃カーボンが全周に付着した場合と半周に
付着した場合でほぼ同じ挙動を示している。なお、燃焼完了後にお
いてフィルタ内外面の温度が逆転している。
これは燃焼完了後に外表面に供給される熱源(未燃カーボン)の
温度を 950℃に急激に低下させているためで、実際には燃焼完了後
も温度は緩やかに低下するため、このような挙動とはならないと言
える。
主応力の時間変化に関してみると、燃焼開始とともにフィルタ内
外表面の主応力の絶対値は増加し、燃焼過程で極大を示したのち、
燃焼完了とともにほぼ零になる挙動を示す。なお、主応力はフィル
タ外表面では負(圧縮)、フィルタ内面では正(引張り)となって
いる。この挙動は温度の場合と同様に、未燃チャー付着が全周の場
合と半周の場合でほぼ同じである。
30
1300
1250
内面
外面
10
主応力 (MPa)
1200
温度 (℃)
20
内面
外面
1150
1100
1050
1000
0
-10
0
10
20
30
-20
-30
950
-40
900
0
10
20
30
40
-50
時間 (sec)
時間 (sec)
第-8.4.27 図 未燃チャー全周付着での温度・主応力の時間変化
2-48
燃焼温度 1500℃、燃焼時間 5 秒
40
(b) 発生応力と燃焼温度・燃焼時間の関係
第 8.4.28 図に燃焼時間 0.5 および 20 秒での燃焼温度とフィルタ
内表面の主応力の関係を示す。燃焼温度の増加とともに主応力は直
線的に増加している。
第 8.4.29 図は、燃焼温度 1500℃における燃焼時間とフィルタ内
表面の主応力の関係で、燃焼時間が 5 秒までは燃焼時間の増加とと
もに主応力は直線的に増加するが、5秒以上では主応力値はほぼ飽
和する傾向が見られた。
未燃カーボンが全周に付着した場合と半周に付着した場合を比
較すると、フィルタ外表面に作用する応力は両者でほぼ同じ大きさ
であるが、内表面に作用する応力は前者の方が大きな値となってい
る。
40
●:0.5秒,全周付着
○:0.5秒,半周付着
■:20秒,全周付着
□:20秒,半周付着
35
主応力 (MPa)
30
25
20
15
フィルタ
10
の破損応
5
0
1000
1200
1400
1600
1800
温度 (℃)
第 8.4.28 図 燃焼温度とフィルタ内表面の主応力の関係
30
主応力 (MPa)
25
20
15
フィルタの
破損応力
10
●:全周付着
○:半周付着
5
0
0
5
10
15
20
25
時間 (秒)
第 8.4.29 図 燃焼時間とフィルタ内表面の主応力の関係(燃焼温度:1500℃)
2-49
(ⅳ) フィルタの破損に及ぼす燃焼温度・燃焼時間の影響
今回の解析対象とした Dia SchumalithT10-20(SiC 系、No.1)のOリング
圧環試験における破壊強度(最大引張応力)は 1100℃で 13MPa であり、この
値以上の応力が発生する条件になると、フィルタが破損する可能性があると
考えられる。
そこで、応力解析結果に基づきフィルタ内面に 13MPa 以上の引張り応力が
発生する燃焼温度と燃焼時間の関係を求め、第-8.4.30 図に線図として示し
た。
本結果によると、未燃カーボンが全周付着した場合の方が半周付着した場
合よりも低温・短時間でフィルタが破損する可能性があると言える。
1800
1800
全周付着
全周付着
1700
半周付着
半周付着
1700
フィルタ破損
温度 (℃)
1600
温度 (℃)
1600
フィルタ破損
1500
1500
1400
1400
1300
1300
フィルタ健全
1200
1100
0
5
10
フィルタ健全
1200
15
20
25
1100
0
5
時間 (sec)
10
15
20
時間 (sec)
第 8.4.30 図 フィルタ破損応力を 13MPa とした場合の Dia-Schumalith T10-20(No.1)
の破損する可能性のある未燃カーボン燃焼温度および燃焼時間
(ⅴ) まとめ
Dia Schumalith T10-20(No.1)を対象に、燃焼温度・時間を種々変化させた
応力解析を行い、圧環試験で得られた 1100℃での最大応力 13MPa を本フィル
タの破壊限界応力(引張応力)と仮定し、応力解析で得られたフィルタ内表
面の応力(引張応力)と比較することで、フィルタの破損する可能性のある
燃焼温度・時間の関係を提示した。
こうした解析を他のフィルタにも適用することで、未燃カーボンのおき燃
焼によるフィルタの破損の可否が予測可能になる。
2-50
25
8.4.3 実ガス曝露試験
8.4.3.1 目 的
基礎物性試験と小型評価試験から選定した高温集塵に適用可能なフィルタについ
て、実際の使用状態に近い環境における、高温実ガス環境下脱塵性能、フィルタ材料
強度変化(Oリング圧環試験による)を確認する。
また、フィルタ付着灰の性状分析、フィルタ腐食および灰付着要因について、デー
タ収集を行うとともに解析を行う。
8.4.3.2 試験フィルタ
試験フィルタは、基礎物性試験と小型評価試験から下記のフィルタを選定した。
・3M 酸化物系セラミックコンポジットフィルタ
・PRD−66 セラミックフィルタ
8.4.3.3 試験装置
試験装置としては、国内において唯一 PFBC 環境の実ガス試験が実施可能であった
加圧型内部循環流動床ボイラ/ホットモデルプラント(熱負荷4MWth){
(株)荏原製
作所 内部循環流動床ボイラ試験所(千葉県 袖ヶ浦市)}を使用した。
以下に装置仕様、第 8.4.27 表に試験内容、第 8.4.28 表に測定および評価項目を示
す。
第 8.4.27 表 試験内容
試
験
フィルタ
RUN1
RUN2
評価項目
目標温度
調整運転:評価対象外
700∼750℃
温度比較調査
750∼800℃
950℃影響調査
950℃
調整運転:評価対象外
700∼750℃
950℃影響調査
950℃
3M酸化物系セラミック
RUN3
RUN4
RUN5
PRD−66セラミック
※ 各試験終了後、集塵器を開放して灰付着状況の点検を行う。
第 8.4.28 表 測定及び評価項目
試 集塵器前後差圧
験 集塵器出口部ダスト濃度
中 集塵器出口排ガス性状(SOx、NOx、アルカリ分)
試 フィルタ強度(Oリング圧環試験による)
験 脱塵、曝露状況(目視、SEM 観察)
後 付着灰状況(粒度分布、成分分析等)
(1) 試験に使用するボイラの仕様
(a)炉の形状:円筒型
(b)炉の形式:加圧内部循環流動床燃焼方式
2-51
(c)最大負荷時 給炭量:約 410kg/hr(乾式)
本ボイラを集塵器に対する入口側ダスト供給設備として利用し、ボイラ出口に直結
する集塵器に対して高温・高圧・含塵ガスを送り込む構成とした。
試験装置構成を第 8.4.31 図に示す。
フィルタ収納容器
第 8.4.31 図 試験装置構成図
第 8.4.31 図 加圧内部循環流動床試験装置のシステムフロー
(2) 試験に使用する集塵器設備本体の仕様
(a) 集塵器本体圧力容器設計圧力:1.6MPaG
(b) 集塵器本体圧力容器設計温度:350℃(内部流体ガス設計温度 950℃)
5700 m3/hr(NTP)
(c) 集塵器入口排ガス量 :常用
(d) 集塵器入口ダスト濃度:常用 20g/m3(NTP)
最大
7000 m3/hr(NTP)
最大 60 g/m3(NTP)
(e) 集塵器出口ダスト濃度(設計値): 10 mg/m3(NTP)
(f) 集塵器入口・出口差圧:常用 10kPa
最大 20kPa(但しエレメントによって
異なる)
(g) ろ過面積 :15.68 m2
(h) ろ過流速 :常時
3.17 cm/sec
最大 3.88 cm/sec
(i) 逆洗圧:ヘッダー間逆洗間隔:45sec(8本ヘッダー)
パルス噴射時間:0.25sec
逆洗タンク圧設定:Pt=Ps+6+12.4×ΔP
Pt:逆洗タンク圧(bar)
Ps:集塵器運転圧力(bar)
ΔP:集塵器差圧(bar)
運転圧力 1000kPaG、差圧 30kPa の時、逆洗
タンク圧 1970 kPaG
2-52
(3) 試験条件
(a) 使用燃料:豪州産瀝青炭(N 炭)
流動媒体 :珪砂 6 号+7 号(1:1 にブレンド 主要粒径分布 0.125∼0.25mm
程度)
炉内脱硫剤:石灰石(銘柄:津久見産 粒径 平均 150μm程度)
(b) 集塵器入口温度: 750℃∼950℃で評価を行った。
(c) 給炭方式
: 乾式給炭(破砕炭6mm アンダー使用)
(d) 給炭量
: 410kg/hr(乾式最大負荷時)
(e) 燃焼ガス圧
: 最大約 1100kPaG
8.4.3.4 試験結果
試験装置としては、国内において唯一 PFBC 環境の実ガス試験が実施可能であった
加圧型内部循環流動床ボイラ/ホットモデルプラント(熱負荷4MWth){
(株)荏原製
作所 内部循環流動床ボイラ試験所(千葉県 袖ヶ浦市)}を使用した。
(1) 運転実績
第 8.4.29 表に実ガス曝露時間を示す。
第 8.4.29 表 実ガス曝露時間
ガス温度
3M酸化物系セラミック
PRD−66セラミック
750∼800℃
950℃
(注)
約110時間
約27時間(参考)
約9時間
約22時間
(内最大 1,000℃:0.6 時間) (内最大 970℃:1.4 時間)
(注)試験設備制約から 950 一定を保持できていない(表中最大温度以下で変動)
。
(2) 排ガス測定結果
第 8.4.30 表に試験時の排ガス測定結果、第 8.4.31 表にフィルタおよび付着灰 分
析結果、第 8.4.32 表に各 Run 後エレメント付着灰性状を示す。
第 8.4.30 表 試験時排ガス測定結果
3M酸化物系セラミック
PRD−66セラミック
750∼850℃
30∼35 kPa
5 kPa∼10 kPa(参考)
950℃
30∼35 kPa
5 kPa→25 kPa(注 1)
750∼800℃
200∼260mg/m3(Normal)(注 2)
10∼21mg/m3(Normal) (参考)
950℃
6∼15mg/m3(Normal)
24∼26mg/m3(Normal) (注 3)
集塵器前後差圧
集塵器出口ダスト濃度
NOx
4∼8ppm(注 5)
3
8∼9ppm(注 5)
Na
0.28 mg/m (Normal)
<0.1 mg/m3(Normal)
K
0.14 mg/m3(Normal)
<0.1 mg/m3(Normal)
(注 1) 経過時間とともに上昇、さらに上昇が続くと判断し運転停止。
2-53
(注2)取付フィルタ56本中1本にろ過層の脱落が認められた。
*曝露試験運転後、集塵器の開放点検を行ったところ、製造時の品質のバ
ラツキによるろ過層部の強度不足もしくは当初よりの欠損と推定され
た。
(注3)フィルタ保護動作。
*多量の灰の付着によりブリッジが生じ、これにより、エレメント自身の
破損をさけるため、エレメントが傾く機構が働き、シール部からのダス
トリークが生じた。
PRD-66 における 750∼850 運転域は、昇温前の調整運転時間であるが、参考と
して記載した。試験時に出口ダスト濃度が増加した温度域があり、この原因につい
て注釈として表下に記載したとおり、選定フィルタが実ガス試験結果、不適合とい
うことではなく、試験のため、通常運転範囲を超えた運転を行い、その結果多量の
灰ブリッジが生じ、フィルタが通常は有り得ない横からの圧迫を受けたことが原因
である。
第 8.4.31 表 フィルタおよび付着灰 分析結果
フィルタエレメント
Oリング圧環試験
表面目視観察
表面・断面SEM観察
付着灰
付着量目視800℃域
950℃
平均粒径 800℃域
950℃
Na,K 含有量(Na2O+K2O)
800℃域
950℃
3M酸化物系セラミック
PRD−66セラミック
脆化が認められた
損傷は認められない
断面に亀裂が認められた
顕著な差が認められない
同左
構造変化は認められない
付着量少
同左
(エレメント表面目視可能)
付着量多(厚み 15mm 以上)、 同左
エレメント間灰充満
(左より充填密度高)
約8μm
約5μm
約 14μm
11∼15μm
1.65wt%
1.25wt%
2-54
1.17wt%
1.75wt%
第 8.4.32 表 各 RUN 後エレメント付着灰性状
RUN2 灰
RUN3 灰
RUN4 灰
RUN5 灰
全水分 wt%
―
―
―
―
発熱量 cal/g
―
―
―
―
粉砕性 (HGI)
―
―
―
―
工 業 分 析
灰
組
水分
ad wt%
0.2
0.1
0.5
0.1
灰分
ad wt%
99.6
99.8
97.9
99.7
揮発分
ad wt%
0.2
0.1
1.6
0.2
固定炭素
ad wt%
0.0
0.0
0.0
0.0
SiO2
wt%
48.88
50.54
43.19
46.01
Al2O3
wt%
31.17
32.81
29.34
40.13
TiO2
wt%
1.32
1.32
1.39
1.65
Fe2O3
wt%
3.46
3.80
3.87
5.42
5.17
6.76
9.54
2.16
0.78
0.83
0.74
1.28
CaO
MgO
wt%
wt%
成
Na2O
wt%
0.46
0.35
0.13
0.16
K2 O
wt%
1.19
0.90
1.04
1.59
P2 O5
wt%
1.12
1.08
0.87
1.16
MnO
wt%
0.03
0.03
0.02
0.01
V2 O5
wt%
0.03
0.04
0.03
0.04
SO3
wt%
3.13
1.65
9.78
0.39
(3) 強度試験結果
(a) 3M 酸化物系セラミックエレメント
高温曝露した 3M 酸化物系セラミックエレメントは、最大荷重に達した後、急
速に強度低下し、僅かの変位で破断に至っており脆化が認められた。
試験後の破断状況を見ると、荷重軸に対し左右上下の破壊ポイントが明確であ
り、第 8.4.32 図 に示す荷重―変位曲線でステップ状に強度が低下するのは、こ
の破断状況に対応している。荷重―変位曲線において、最大荷重が大きい、ある
いは最大荷重に達するポイントが、変位量が小さい側に寄っているのは、高温曝
露により、繊維をつなぎ止めているマトリックスが焼結し、繊維を固定化させ、
フレキシビリティをなくしているためと思われる。
変形性の低下を起こした3M酸化物コンポジットは、高温度域運転中に
1000℃以上に曝されており、それが原因で硬化している(PRD-66 では、1000℃
に達しなかった)と推定され、一概に PRD-66 と比較することが出来ない結果と
なった。
(b) PRD-66 エレメント
同様に PRD-66 エレメントのOリング圧環試験における、荷重―変位の結果を第
2-55
8.4.33 図 に示す。
各部位とも、RUN4 暴露後で強度が増加する傾向が認められ、RUN5暴露後では
新品と同等程度の残留強度になることがわかる。
これは、RUN5試験の曝露温度が、エレメントを構成しているガラス質の軟化点
付近にあるためと推定される。
25
4
cut 1st
20
2
Load / kgf
荷重 kgf
3
original
run2
run2(hole)
5
10
15
変位 mm
20
25
10
(1) Part.1
0
0
0
New
run4
run5
5
run2+run3
1
15
30
0
10
20
30
40
-2
Displacement / *10 mm
第 8.4.32 図 3M酸化物系セラミックエレメント
荷重―変位曲線
第 8.4.33 図 PRD-66 エレメント
荷重―変位曲線
(4) 灰付着状況
(a) RUN2・RUN3 後、開放点検での灰付着状況
RUN3 運転終了後の開放点検時、エレメントに多量の灰が付着していた。
RUN3 後エレメントの灰のつき方は、エレメントの上半分が多く、下半分はや
や少な目であった。エレメント各部位の通気性の確認を行った結果、使用前およ
び RUN3 暴露エレメント共に、フランジ側の通気性が良く、キャップ側はフラン
ジ側に比較するとやや通気性が落ちることが解った。したがって、RUN3 での付
着灰の分布は、エレメント各部位での通気性の斑が原因の一つであることが判明
した。
第 8.4.35 図 RUN3(950℃)
第 8.4.34 図
集塵器解放後、灰付着状況
RUN2(800℃)
集塵器解放後、灰付着状況
2-56
50
(b) RUN4・RUN5 後、開放点検での灰付着状況
RUN5 においては、RUN3 を上回る灰のブリッジとエレメント付着灰の成長が発
生した。同じ 950℃運転においても、RUN3 より RUN5 の方が付着灰が厚く付いて
いる。
集塵器入口温度の最高温度は RUN5よりも RUN3の方が高いことから、付着灰
の厚さは、最高温度の影響より、950℃以上の保持時間の影響が大きいと考えら
れる。
第 8.4.36 図
RUN4(750℃)
第 8.4.37 図
集塵器解放後、灰付着状況
RUN5(950℃)
集塵器解放後、灰付着状況
第 8.4.33 表に示すように、灰の平均粒径は、払い落し灰より付着灰が比較的
大きく、エレメント上での灰の付着成長を裏付けている。
また、払い落し灰についても、950℃運転時の平均粒径がやや大きい。
第 8.4.33 表 灰の平均粒径
RUN2
RUN3
RUN4
RUN5
集塵器入口温度
800℃
950℃
750℃
950℃
逆洗払落し灰
4∼6μm
6∼12μm
4∼7μm
約10μm
エレメント付着灰
約8μm
約14μm
約5μm
11∼15μm
(注) 第 8.4.33 表にて示す平均粒径は、粒度分布測定装置にて粒度分布測定
した結果、求めた平均粒径を示す。
第 8.4.33 表に示すように、灰の平均粒径は、払い
落し灰より付着灰が比較的大きく、エレメント上で
の灰の付着成長を裏付けている。
灰を SEM 観察した結果、数μmの灰粒子が一部融
けて互いに付着し、15∼20μm程度になったものが、
多数見られた。
参考として、第 8.4.38 図に RUN3 終了後のフィル
10μm
2-57
第 8.4.38 図 RUN3 終了後
フィルタ付着灰(×3600 倍)
タ付着灰の顕微鏡写真図を示す。
この灰同士の付着性がエレメントでの灰成長を引き起こし、やがては灰ブリッ
ジを引き起こすと考えられ、以下に検討を実施した。
(5) 灰付着状況についての考察
基礎データ収集により、灰の凝集についてアルカリ成分との関連が指摘されてい
ることから、灰(主な成分:シリカ{SiO2}及びアルミナ{Al2O3}
)の凝集について、
アルカリ金属(ナトリウム:Na2O、カリウム:K2O)の影響に着目して検討を実施し
た。
実ガス試験から採取したエレメント付着灰及び燃料炭である N 炭について、粒子
の粒径と組成を測定するため、CCSEM(Computer Controlled Scanning Electron
Microscopy:コンピュータ制御走査型電子顕微鏡)を用いた分析を行った。
(a) アルカリ金属との関係
本実ガス試験で使用した原炭中の鉱物粒子には、(K2O+Na2O)/(Al2O3+SiO2) 値
の高い粒子(=5∼30wt%)が多数存在している。
CCSEM のデータを R2O/(Al2O3+SiO2)(R2O=Na2O または K2O)で整理した粒子の
アルカリ成分含有率と粒径分布との関係を第 8.4.39∼43 図示す。
R2O/(Al2O3+SiO2)
35
30
25
20
15
10
5
0
Na2O
K2O
0.1
1
10
100
Particle size[μm]
粒子径(μm)
N Coal
R2O/(Al2O3+SiO2)
第 8.4.39 図 N 炭粒子アルカリ含有率粒径分布
35
30
25
20
15
10
5
0
Na2O
K2O
0.1
1
10
100
Particle size[μm]
粒子径(μ)
R2
Filter Dust cake
第 8.4.40 図 RUN2フィルタ灰アルカリ含有率粒径
2-58
R2O/(Al2O3+SiO2)
35
30
25
20
15
10
5
0
Na2O
K2O
0.1
1
10
100
Particle size[μm]
粒子径
R3 Filter(μm)
Dust cake
第 8.4.41 図 RUN3フィルタ灰アルカリ含有率粒径分
K2O/(Al2O3+SiO2)[%]
Run4_FilterDustCake
20
15
10
5
0
0.1
1
10
粒子径 [μ m]
100
1000
粒子径(μm)
第 8.4.42 図 RUN4フィルタ灰アルカリ含有率粒
K2O/(Al2O3+SiO2)[%]
Run5_FilterDustCake
20
15
10
5
0
0.1
1
10
粒子径[μm]
100
1000
粒子径(μm)
第 8.4.43 図 RUN5フィルタ灰アルカリ含有率粒径分
原炭である N 炭のアルカリ成分(第 8.4.39 図)は、ほとんどが粘土鉱物中に
含まれる K の寄与である。
RUN2(800 ℃ : 第 8.4.40 図 ) に お い て は 、 ア ル カ リ 含 有 率 (K2O+Na2O) /
(Al2O3+SiO2) 値の高い(5∼15wt%)粒子が確認されているが、これに対して、
RUN3(950℃:第 8.4.41 図)の付着灰では、(K2O+Na2O)/(Al2O3+SiO2)値の高い粒子
が少なく、5wt%以下となっており、また粒子径が成長する傾向にある。
2-59
(b) 付着・凝集メカニズム
前項の結果から、低温域におけるアルカリ金属含有率の高い粒子の融液が、高
温下(約 960℃)においてバインダーのような役割となり、隣の粒子と溶融反応
してシリカ・アルミナ粒子の凝集・焼結が起こり灰の凝集を招き、これにより高
温にさらされた灰の融液量が減少していると推定される。
これを模式化すると第 8.4.44 図のような灰の凝集メカニズムが考えられる。
K含有割合の高
い粒子が800℃付
近から850℃にお
いて溶け出す。
固固反応が起こる
Ca
Ca
Ca
Al+Si
Al+Si
K
K
Al+Si
Al+Si
Al+Si
Ca
Al+Si
Al+Si
凝集
第 8.4.44 図 灰凝集メカニズム模式図
(c) 付着・凝集メカニズム予測と解明
前項により灰の凝集メカニズムを推察したが、高温集塵灰の粒子一個一個の組
成と粒径のデータをもとに、粒子間および粒子とフィルタとの間の融液発生量を
予測することで、粒子間にどの程度の強固な焼結が形成されるかを推定すること
が可能になると考えられる。
この検討を、灰粒子の温度上昇に伴う粒子群の収縮率(凝集性に相当)の測定
として TMA (Thermal Mechanical Analysis:熱機械収縮膨張システム評価法)
、
温度上昇に伴う粒子に生成する融液量の推測に平衡計算ソフトの FactSage/
ChemApp を用いて行った。
(ⅰ) TMA による灰の収縮挙動測定
第 8.4.45 図に、RUN2∼5 灰の TMA 測定の結果を一括して示す。
灰の収縮の開始温度は、RUN4、2、5、3 の順に高くなり、RUN4 で約 800℃、
RUN3 で 950℃となった。これらの開始温度は、実機の運転温度にほぼ対応し
ている。
2-60
5
TMA(%)
0
-5
-10
RUN2
RUN3
RUN4
RUN5
-15
-20
0
200
400
600
800
Temperature[C]
1000
1200
Run2.3.4.5
1
RUN3
0
TMA(%)
-1
RUN4
-2
RUN5
RUN2
RUN3
RUN4
RUN5
-3
-4
RUN2
-5
600
700
800
900
1000
Temperature[C]
1100
1200
Run2.3.4.5
第 8.4.45 図
RUN2∼5 の TMA 測定結果
第 8.4.46 図に、RUN2、RUN3 灰を 764℃∼960℃で約 41 時間保持した結果
を示す。
RUN2 条件に近い 764℃の収縮率は 0.5%程度であったが、
温度上昇に伴い、
収縮率が 2∼2.5%に増加した。TMA の温度 862℃のとき、RUN2 と RUN3 灰の
収縮率に大きな差が現れた。
これは、RUN2 灰は 800℃までの温度履歴の灰であることから 862℃での収
縮率が大きくなっていることを示しており、灰の収縮には、灰の温度履歴が
大きく影響することが明らかになった。
2-61
Run3
Run2
1
1
0
0
-1
-1
764℃
764℃
862℃
-2
862℃
収縮率(%)
収縮率(%)
-2
-3
-4
-3
960℃
-4
960℃
-5
-5
1025℃
-6
-6
1025℃
-7
0
5
10
15
20
Time[h]
25
30
35
40
-7
0
10
20
Time[h]
30
第 8.4.46 図 一定温度における収縮率変化
(ⅱ) 熱力学平衡ソフトによる灰粒子表面に生成する融液量の推定
融液量を定量的に把握するため、CCSEM で測定した約 3000 個の粒子につ
いての融液計算を FactSage(スラグなどの非理想溶液の熱力学データベー
スを有している)を使用して実施した。
第 8.4.47 図に、原炭鉱物および RUN2∼5 灰の温度に対する融液量の変化
を示す。
この図から、融液の発生温度は、700∼1200℃と広範囲にわたっており、
高温集塵の集塵温度である 800∼900℃においても融液の生成が起こること
がわかる。
多くの粒子の融液発生温度は 960℃以上であり、この温度に達すると、5
∼60wt%の融液を発生する。
原炭および RUN2∼5 灰を比較すると、温度履歴を経ていない原炭および
RUN2、RUN4 が低温で融液を発生する可能性が高いことが見てとれる。
2-62
40
NL coal
100
Liquidus [%]
80
60
40
20
0
700
800
900
1000
1100
1200
Temp [C]
Run4
100
100
80
80
Liquidus [%]
Liquidus[%]
Run2
60
40
40
20
20
0
700
60
800
900
1000
1100
0
700
1200
800
1000
1100
1200
1100
1200
Run5
100
100
80
80
Liquidus [%]
Liquidus [%]
Run3
60
40
20
0
700
900
Temp [C]
Temp [C]
60
40
20
800
900
1000
1100
1200
0
700
Temp [C]
第 8.4.47 図
800
900
1000
Temp [C]
FactSage による融液計算結果
2-63
800℃付着灰(RUN2)を 2∼3g取り、電気炉にて昇温速度 5℃/min で
850℃、900℃、950℃、1025℃に昇温したのち 48 時間保持をしたモデル灰(以
下それぞれ 850、900、950、1025℃
Run2-850
100
の融液量の発生を同様に FactSage
80
により計算し確認した。
この結果を第 8.4.48 図 に示す。
Liquidus [%]
モデル灰)を作成し、このモデル灰
これらの灰の融液生成温度は、概
60
40
20
ね 960℃であり、実ガス試験におい
0
700
て 950℃灰から灰粒子に焼結が認め
800
900
1000
1100
1200
1100
1200
1100
1200
1100
1200
Temp [C]
られた結果とほぼ一致している。
Run2-900
これらの結果から、本方式を用い
100
ることでフィルタに付着する灰の
80
することができた。
このことから、新たに石炭を導入
Liquidus [%]
焼結挙動が予測できることを確認
60
40
20
する場合の高温集塵における灰の
0
700
凝集挙動についてTMA測定、
800
FactSage による融液量の計算によ
900
1000
Temp [C]
り概ね予測することが可能となる。
Run2-950
この方法を第 8.4.49 図 に示す。
100
Liquidus [%]
80
60
40
20
0
700
800
900
1000
Temp [C]
Run2-1025
100
Liquidus [%]
80
60
40
20
0
700
800
900
1000
第 8.4.48 図 モデル灰の融液計算
2-64
灰の凝集挙動予測
サンプル
CCSEM 分析
FactSage による融液量
の計算
・石炭鉱物
石炭鉱物
・LTA灰
LTA灰
アルカリ金属の粒径分
Low Transfer Ash
200 ℃ 程 度 の 低 温
で燃焼させること
により Na、K 分を
残留させた灰
XRD 測定
石炭中 鉱物質/無機質
の定量
TMA 測定
・700
700∼
700∼1,000℃燃焼灰
1,000℃燃焼灰
収縮率の測定
第 8.4.49 図 灰の凝集挙動予測
8.4.4 サンプルフィルタ作製
8.4.4.1 目 的
調査研究、要素研究から得た各種データを元に短尺のサンプルフィルタ作製を行い、
高温集塵に適合可能と思われるフィルタ設計手法の提示を行うことを目的とした。
8.4.4.2 エレメント腐食検討
集塵器フィルタエレメント用素材として使用されているセラミックス系材質には、
以下に示すとおり、炭化ケイ素系、アルミナ−シリカ系、コージェライト系がある。
集塵器エレメントへ腐食作用を及ぼすアルカリ成分に対する各材質の挙動につい
て、相平衡状態図に基づいて検討し、高温集塵に適合可能と思われるフィルタ材質を
選定する。
(1) 炭化ケイ素系:SiC
800∼900℃の比較的低温から容易に酸化され始めるが、酸化されて表面に形成さ
れる SiO2 酸化皮膜が保護層的役割をなして、それ以上の酸化が阻止され、約 1600℃
まで安定に使用できる。一方、酸素分圧の低い環境下で使用されると、SiO2 膜の生
成ができなくなる。
アルカリが存在せず SiO2 のみが形成される場合、
融液が生成し始めるのが 1713℃
であるのに対して、アルカリが混入すると Na2O の場合には 793℃から、K2O の場合
には 764℃から、また、Na2O と K2O とが共存した場合には 540℃から融液が生成し始
2-65
める。
アルカリの存在により低温から融液が生成することは、SiC の酸化損傷を促進す
ると同時に灰付着を容易にすることになると考えられる。
(2) アルミナ−シリカ系:Al2O3-SiO2
アルミナ−シリカ系には、中間化合物としてムライト(3Al2O3・2SiO2)があり、
ムライトは、熱膨張率が比較的小さく(5.6×10-6)、融点が 1860℃の安定な化合物で
ある。
Na2O が混入した場合には 1050℃から、また、K2O が混入した場合には 985℃から
融液が生成し始める。
Na2O と K2O とが共存した場合については、詳細には不明であるが、類推すると、
800℃前後から融液が生成すると推定される。さらに、灰の主成分である SiO2、Al2O3、
並びに酸化物との反応に強い影響力をもつ K2O の擬三元系を対象とすると、ムライ
トは平衡相の一つとして存在するため、アルカリ濃縮がない石炭灰に対しては化学
的に安定であると考えられる。
(3) コージェライト系:Mg2Al4Si5O18
コージェライトの最大の特徴は、熱膨張係数が極めて小さいことであり、熱変動
に伴う箇所での使用には優れている。
しかし、コージェライトは、化学的にはムライトの場合と比較しても劣り、アル
カリと反応し易いと推定される。
8.4.4.3 サンプルフィルタの作製
セラミックス系集塵エレメント用素材のアルカリ成分に対する挙動を参考に、高温集
塵に有望と推定されるサンプルフィルタの作製を行った。
フィルタエレメントに対して灰の付着力が増大する原因の一つに、フィルタと石炭灰
間において化学反応が起こり得る場合が考えられる。
石炭灰には非常に多くの成分が含まれているが、灰の主成分である SiO2、Al2O3、並び
に酸化物との反応に強い影響力をもつ K2O の擬三元系を対象として検討する。
第 8.4.50 図に擬三元系状態図を用いて単純化した代表的な灰の組成分布を示す。
ムライト(3Al2O3・2SiO2)は、シリカリッチの灰組成に対して平衡相の一つとして存在
するため、石炭灰に対して化学的に安定である。
一方、アルミナはシリカリッチの灰組成に対しては非平衡相として存在するため、高
温において反応することになる。
以上より、フィルタの主構成相としてムライトを選定した。
2-66
SiO2
Coal Fly Ash
3Al2O3•2SiO2
Al2O 3
K2O
図-10.1 図単純化した灰組成(状態図:
Phase Diagram for Ceramists, 4th ed. , 1985
) ,1985)
第 8.4.50
単純化した灰組成状態図(phase
Diagram for Ceramists,4th ed.
(1) フィルタ構造
フィルタエレメントは、耐熱衝撃性や損傷許容性に優れることが要求されること
から、長繊維によりフィルタ全体を強化した支持層(内層)と主に集塵を行う ろ
過層(外層)から構成される。
(2) 支持層
難焼結性を有するムライトをマトリックスに用いて、ある程度の機械的強度を必
要とするフィルタを得るためには、高温焼成によりムライト粒子間のネックを成長
させ、粒子間の結合力を向上させる必要がある。
しかし、耐熱性に優れる酸化物系繊維としては、現状では高純度のアルミナ繊維
をおいて他に無い。そのため,本研究では強化材としてアルミナ繊維を選定した。
但し、アルミナ繊維と石炭灰との反応を抑制するために、繊維表面には保護膜効
果を有するムライト層を付与するのが望ましい。
(3) ろ過層
ろ過層はムライト粒子層からなる。また、灰の捕集効率と易逆洗性を向上させる
ためには、ろ過層内のムライト粒子の形態はウィスカ状であるのが望ましい。
2-67
(4) 開気孔径および開気孔率
評価してきたフィルタから選定された有望フィルタ材(第 8.4.34 表)の値を参
考にして、開気孔径を 50μm 以下、開気孔率を 30vol%以上とする。
また、逆洗による捕集灰の脱落を促進させるため、気孔径を支持層からろ過層方
向に小さくする傾斜構造とした。
ろ過層の開気孔径は石炭灰粒子径を考慮して、20μm 以下、開気孔率は支持層と
同等とする。
第 8.4.34 表 候補フィルタ(ろ過層+支持層)の開気孔径および開気孔率
フィルタ
平均開気孔径,μm
開気孔率,%
3M:Oxide
ACI:PRD-66C
22
62
43
43
シューマッハ:T10-20
開発材 目標値
40
<50
<20*
30
30<
支持層と同等*
*ろ過層
第 8.4.51 図にフィルタエレメント構造概念図を示す。
ろ過層
Al2O3(f)/3Al2O3・
クリーンガス
2SiO2(m)
支持層
含塵ガス
気孔径大
気孔径小
ムライトウイスカ
ムライト粒子
ムライトコーティングアルミナ繊維
第 8.4.51 図 フィルタエレメント構造の模式図
(5) 製造方法
第 8.4.52 図にフィルタエレメントの作製方法を示す。
始めに、高純度の Al2O3 長繊維(三井鉱山マテリアル製 ALMAX)をクロス織りしたシ
ートを用いて、単繊維上に石炭灰に対して保護膜効果を有するムライト層を形成さ
せる。方法としては、Si-N-C 系前駆体溶液である Perhydropolysilazane(PHPS:ク
2-68
ラリアントジャパン製 N-N110)をキシレンにて希釈した後、その溶液中に Al2O3 長繊
維シートを減圧含浸させる。
ムライト前駆体溶液の合成
アルミナ長繊維へのムライトコーティング
TEOS + HCl + H2O + EtOH
Perhydropolysilazane(PHPS)
脱水キシレン
還 流
0.1wt%-PHPSに調整
Al(OCH(CH3)2)3 + i-BuOH
窒素気流中
70°C×50h
アルミナ長繊維シートへの減圧含浸
還 流
混 合
窒素気流中
95°C×10h
窒素気流中,RT×24h
三井鉱山マテリアル製 ALMAX
熱分解+ムライト化
鈴木ら,日本セラミックス協会
学術論文誌,96,67-73(1988)
大気中,1200°C×1h
長繊維強化ムライト支持層の形成
ムライト粉末
共立窯業製 KM101
25wt%-ムライトに調整
ボールミル混合 RT×24h
ムライトコーティングアルミナ長繊維シートへの減圧含浸
成 型
φ55, 100w, 2.2t
乾 燥
100℃×5h
焼 成
大気中, 1400°C×2h
ムライトウィスカろ過層の形成
ムライトウィスカの製造方法
岡田清, 特開平1-212299準拠
TEOS + Al(NO3)3・9H2O + EtOH
AlF3
Al(NO3)3・9H2O の2wt%
撹 拌
濃NH4OH
沈殿物
大気中,300°C×5h
か 焼
EtOH
15wt%-固形分
バインダー(PVB)
塗 布
単位塗布面積当たりの
固形分量0.076g/cm2
乾 燥
室温×5h
焼 成
簡易密閉容器内
固形分の8wt%
大気中,1200°C×2h
第 8.4.52 図 フィルタエレメント作製方法
図-10.3 フィルタエレメント作製方法
その後、1200℃大気中において加熱することにより、Al2O3 長繊維表面の PHPS 層
が熱分解すると共に酸化され、その結果として生成した SiO2 が Al2O3 長繊維と反応
することで、ムライト層が in-situ 形成する。この方法のポイントは、Al2O3 長繊維
の劣化を伴わないで緻密かつ均一のムライト薄層を形成させることにある。
次に、アルコキシド法により合成したムライト前駆体溶液(TEOS+Al(OCH(CH3)2)3)
2-69
に、共立窯業製のムライト粉末を添加してスラリーを調整する。このスラリーに上
述のムライトコーティングした Al2O3 長繊維シートを減圧含浸させる。その後、シ
ートを筒状治具に巻き付けた後、1400℃大気中において焼成し、これを支持層とす
る。
ろ過層については、TEOS と Al(NO3)3・9H2O をエタノールに溶解させる。その後、
AlF3 粉末を添加し、十分撹拌して懸濁液とした後、濃アンモニア水添加による共沈
を行う。溶媒除去後、沈殿物を 300℃大気中においてか焼して粉末を得る。
この粉末をエタノール溶媒に分散して得たスラリーを支持層表面に塗布し、
1200℃大気中において焼成する。
これにより、フィルタ外面にムライトウィスカからなる ろ過層が形成される。
(6) フィルタエレメントの微細組織
第 8.4.53 図に今回作製したフィルタエレメントの微細組織を示す。
クリーンガス
10mm
含塵ガス
ろ過層表面
支持層内部
アルミナ長繊維
ムライト粒子
5μm
第 8.4.53 図 フィルタエレメントの微細組織
2-70
5μm
本プロセスにより、提案したフィルタ構造と同様の微細組織を有するフィルタエ
レメントが作製できた。
このろ過層は、最表面のムライトウィスカ層とその内側のムライト粒子層からな
る二重層であり、ムライトウィスカ層は数μm の厚さの均一層である。
また、
ムライトウィスカの化学組成を TEM-EDS により分析した結果、Al/Si=3.4(モ
ル比)となり、化学両論組成値(Al/Si=3.0)よりも大であることから、Al2O3 が若干固
溶したムライトであると考えられる。
ムライトウィスカ層は最表面に強固に固着しており、支持層表面に堆積したムラ
イト粒子を核とする気相析出により成長したものと推察された。
8.4.4.4 試作フィルタの特性
(1) 脱塵性能
供試材には、ムライトコーティングアルミナ長繊維強化ムライト支持層 (モデル
材-I)、その表面にムライトウィスカろ過層を付与したもの(モデル材-II)、並びに、
比較材としてシューマッハ製 SiC フィルタエレメント(T10-20)を使用した。また、
供試ダストには PFBC 灰(平均粒径 7.4μm)を使用し、試験温度を 400℃とした。
第 8.4.35 表に試験結果一覧を、第 8.4.54 図にフィルタエレメントの差圧の経時
変化を示す。
モデル材-I およびモデル材-II の比較において、ムライトウィスカろ過層を付与
することにより、捕集効率と易逆洗性を向上させることに成功した。
また、3M-Oxide(長繊維強化型フィルタ)の様な逆洗回数の増加に伴う差圧上
昇は無く一定の差圧を維持した。さらに、ムライトウィスカろ過層は、脱塵試験後
も維持されており、逆洗による脱落はほとんど無いことが確認された。
しかし、モデル材-II の捕集効率は、シューマッハ製 T10-20(モノリシックフィ
ルタ)よりも劣る上に、最大差圧は T10-20(約 0.3kPa)の約 3 倍であった。モデ
ル材-II の捕集効率が劣る原因としては、長繊維束間の大空隙を埋める程のろ過層
が十分に形成されていなかったためと推察される。
第 8.4.35 表 フィルタエレメントの脱塵性能
供試材
モデル材-II
モデル材-II
シューマッハ
(支持層のみ)
(支持層+ろ過層)
T10-20
供試ダスト
PFBC 灰
温度,℃
400
垂直管ダスト濃度,g/m
フィルタ面積,cm
3
5.8
2
173
ろ過速度,cm/s
0.97
逆洗ガス
空気
逆洗圧力(タンク圧力),MPa
0.2
逆洗時線流速,cm/s
16.2
逆洗時間,s
0.3
2-71
逆洗間隔,s
150
試験時間(逆洗回数)
30600 s(204 回)
1
試験前ガス透過率 ,m
2
1.5×10
-12
1.5×10-12
2.6×10-12
クリーン側含塵濃, mg/m3
1.373
0.784
0.196
捕集効率,%
99.97255
99.98431
99.99608
室温にて測定
8000
6000
・H13
-サンプルA
モデル材-II
支持層形成(1400℃×2h)→ウィスカ状ろ過層形成(1200℃×2h)
5000
・PFBC灰,400℃
Pressure drop, Pa
7000
(支持層+ろ過層)
4000
3000
2000
1000
0
0
2
4
6
8
10
Time, h
8000
Pressure drop, Pa
7000
PFBC灰,400℃
モデル材-I
(支持層の
6000
5000
み)
4000
3000
2000
1000
0
0
2
4
6
8
10
Time, h
8000
7000
Pressure drop, Pa
1
・シューマッハ T10-20
シューマッハ
T10-20
・PFBC灰,400℃
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
0
2
4
6
Time, h
第 8.4.54 図 フィルタエレメントの差圧の経時変化
2-72
8
10
(2) 耐食性
脱塵試験後のモデル材-II を 1100℃×5 時間大気中において熱処理した結果、ム
ライトウィスカろ過層表面に補足されていた石炭灰粒子は互いに液相を介して接
着しているのが観察されたが、ろ過層と反応した領域は認められなかった。また、
脱塵試験において使用したものと同じダストに 5%のアルカリを添加し、950℃で 300
時間保持しても明らかな反応領域は認められなかった。
以上より、ムライトウィスカ層を有するモデル材-II は、高温の石炭灰に対して
優れた耐食性を有することが確認された。このことは、耐食性マトリックスの選定
方法が妥当であることを意味する。
また、フィルタを構成するアルミナ長繊維とムライト粒子(粒状、ウィスカ状)
は、いずれも 1200℃程度までは十分な熱的安定性を有する。したがって、このフィ
ルタは、既存の集塵器フィルタエレメントよりも耐熱性に優れるものと考えられ、
より高温の苛酷環境下に適用できるものと期待される。
8.4.4.5 まとめ
エレメント腐食検討を踏まえ、石炭灰に対する反応を抑制し、かつ損傷許容性に優れ
る集塵フィルタとして、ムライトコーティングアルミナ長繊維強化ムライトフィルタを
提案した。このフィルタは、高温の石炭灰に対して優れた耐食性を有することから、相
平衡状態図を基にした耐食性マトリックスの選定方法が妥当であることが示された。
また、サンプルフィルタのろ過層最表面をムライトウィスカ化することにより、捕集
効率と易逆洗性が共に向上することがわかった。
本サンプルフィルタは、集塵性能の面からは改良の余地が残るものの、耐食性に関し
ては石炭燃焼ガス高温集塵器フィルタエレメントとして非常に有望なフィルタの一つ
と考えられる。
8.4.5 高温集塵装置検討
8.4.5.1 目 的
フィルタろ過集塵装置を効率的に運用するには、フィルタへのダスト堆積の偏りを
なくし、均一化を図るとともに、堆積したダストを逆洗ガスにより効率的に払い落と
すことが要求される。
そのためには、集塵装置内部におけるダスト集塵過程、堆積ダスト状況、逆洗時払
落し過程でのダストを含んだガスの流れ状況およびダストの挙動を把握することが
必要である。
本研究は、計算機シミュレーションによるガス、ダストの流れおよびフィルタへの
ダスト堆積などの解析を行い、効率的な集塵装置構成の設計、運用に関する指針を得
ることを目的とした。
8.4.5.2 ダスト付着および剥がれの検討方法
ガス流れ解析では乱流を考慮した3次元熱流動解析プログラムを、またダスト流れ
2-73
解析では、粒子とガスの相互作用を考慮した粒子軌跡解析プログラムを使用している。
第1段階としてダスト付着過程におけるガスおよびダスト挙動の解析を行い、集塵
装置の構成、運用に関する各種パラメータの影響を評価した。
第2段階では逆洗過程におけるダスト払い落とし状況をシミュレートするための
ダスト払い落としモデルの選定、ダスト払い落とし試験と解析との対比による検証の
後、ダスト払い落とし過程の解析を行い、ダスト剥がれにおけるガス温度等の影響を
評価した。
最終段階ではこれらを総合してダスト付着から払い落としまでの全体過程を複数
回解析し、フィルタの差圧の推移およびダスト付着の状況を求め、運用条件の影響を
検討した。
(1) 解析対象の選定
ここではフィルタろ過集塵装置として、フィルタ取り付け構造がシンプルであり
容易に大型化可能であるIGCCベンチ装置相当規模の高温石炭燃焼ガス集塵機
を選定し、解析対象として使用した。
解析対象の基本モデルを第 8.4.54 図に、主要目を以下に示す。
型
式:キャンドル型(フィルタ倒立設置)、
フィルタ本数:48本
ガス流入口:上向き4ヶ所流入
ただし、解析では対称面に関して1/2分割した領域を使用している。
(2) ダスト付着時の解析内容および条件
逆洗
ダスト付着時の解析は、ガスおよびダストの投入
口配置、個数および投入方向、ガス温度、性状、ろ
過速度をパラメータとして用い、それぞれの影響を
検討した。
解析で使用した条件を第 8.4.36 表に示す。
(3) ダスト剥がれ時の解析内容および条件
逆洗ガスによるダスト剥がれは、ダストの性状、
堆積状況、雰囲気条件により大きく影響される。こ
れらを総合的に考慮したダスト剥がれに関する定
式化は現在までほとんどなされていない。そこでダ
スト剥がれ条件は、「セラミックフィルタを用いた
高温集塵における圧損増加機構(神谷秀博 他 第
4回流動層シンポジウム講演集)」の結果との対比
により設定したものをダスト剥がれモデルとして
組み込んだ。
さらに、ダスト剥がれ状況については、「セラミ
ックフィルタによる高温集塵の基礎研究
2-74
第 8.4.54 図 集塵機解析モデル
(AMORNKITBAMRUNG MANA 金沢大学大学院 博士論文)
」のダスト剥がれ時
の差圧推移の結果(第 8.4.55 図)と比較することにより検証している。
第 8.4.36 表 ダスト付着時解析条件
Case モデル
雰囲気
温度(℃) 圧力(MPa)
ろ過速度(m/min)
1
model-1
IGCC
700
2.5
1.3
2
model-2
IGCC
700
2.5
1.3
3
model-3
IGCC
700
2.5
1.3
4
model-3
IGCC
450
2.5
1.3
5
model-3
PFBC
950
1.0
2.8
6
model-3
PFBC
850
1.0
2.8
7
model-3
IGCC
700
2.5
0.8
8
model-3
IGCC
700
2.5
1.8
9
model-3
PFBC
950
1.0
1.8
10
model-3
PFBC
950
1.0
3.8
11
model-3
IGCC
700
2.5
1.3
10
14000
12000
Tank pressure 300kPa
A
B
C
10000
Tank pressure 200kPa
ΔP [Pa]
Pressure difference ∆P (kPa)
フィルタエレメント
ガス性状条件
5
Tank pressure 100kPa
8000
ダスト剥離
6000
4000
2000
0
0
0.5
Time (s)
1
0
0
0.2
0.4
0.6
0.8
Tims [s]
(a)試験結果験
(b)解析結果験
第 8.4.55 図 ダスト剥がれ時の差圧推移
これらを踏まえて逆洗時のガスおよびダスト挙動の解析を行い、逆洗時のダスト
堆積層も含めたフィルタの差圧変化およびダストの剥がれ状況を求めた。
なお、逆洗ガスとフィルタとの伝熱については、本解析では考慮していない。
2-75
1
(4) 全体解析内容および条件
ダスト付着時から逆洗によるダスト剥がれまでを複数回繰り返して解析するこ
とにより、フィルタエレメントの差圧変化およびダスト付着の変化の状況を求める。
解析条件は、逆洗時と同様の条件を用いる。
8.4.5.3 ダスト付着および剥がれの解析結果
(1) ダスト付着時解析
ダスト付着時の解析結果より、以下のことが明らかとなった。
・ガス投入口について分散配置し、上部の端面等に衝突させた後、フィルタ
エレメント方向に向かうようにすることで第 8.4.56 図に示すようなダス
ト堆積量の均一化が図れる。
・ろ過速度は遅くすることでダスト堆積の均一化が図れる。
・ガス温度による堆積量分布への影響は少ない。
PFBC [Wt%]
PFBC(
∼ 5μm)
PFBC( 5μm∼20μm)
PFBC(20μm∼50μm)
PFBC(50μm∼
case1
)
[Wt%]
[Wt%]
[Wt%]
[Wt%]
3.2
3
2.8
2.6
2.4
2.2
2
1.8
1.6
0
ダスト挙動
2
4
6
8
10
12
14
distribusion [Wt%]
ダスト堆積量分布
第 8.4.56 図 ダスト付着時解析
(2) 逆洗によるダスト剥がれ時解析
逆洗時の解析結果の一例として、差圧変化およびフィルタエレメントガス速度の変化を
2-76
第 8.4.57 図に示す。また解析結果より明らかとなった点を以下に示す。
3000
2000
ΔP [Pa]
1000
A
B
C
D
E
F
0
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
0.2
0.25
0.3
-1000
-2000
-3000
-4000
Time [sec]
0.04
0.02
0
u [m/s]
0
0.05
0.1
0.15
A
B
C
D
E
F
-0.02
-0.04
-0.06
-0.08
Time [sec]
第 8.4.57 図 逆洗時解析
第 8.4.37 表 逆洗時解析条件
ガス条件
雰囲気条件
温度
圧力
ろ過速度
(℃)
(MPa)
(m/min)
PFBC
950
1.0
2.8
PFBC
850
↑
↑
PFBC
950
↑
3.8
ダスト条件
ダスト密度(g/Nm3)
ダスト堆積時間(min)
38
3
逆洗時間(sec)
逆洗ガス温度(℃)
0.3
20
逆洗条件
2-77
・フィルタ差圧は逆洗初期の短時間で変化する。
・逆洗時のフィルタ通過流速はダスト剥がれまでほぼ一定の比較的急な勾配で
変化し、ダスト剥がれによる差圧低下(絶対値が低下)とともに、速度の変化
は緩やかになり逆洗終了とともに急激に逆洗前の状態に回復する傾向にある。
・逆洗開始時、終了時ともに大きな差圧、流速の振動はみられない。
・逆洗管に近いフィルタは差圧、流速変化が急激であるのに対して、離れた
位置のフィルタは応答が遅い。
(3) 全体解析
全体解析結果のフィルタエレメント差圧推移を第 8.4.58 図に示す。また全体解
析結果より明らかになった点を以下に示す。
・集塵機内のガス流動について、温度変化による影響は小さい。
・フィルタ通過速度が大きい場合、集塵機下方においてガス速度の偏りが大きい。
・ダスト堆積は時間の経過とともに均一化する傾向にある。また、5μm 以下
の小粒径の粒子は、高さ方向にほぼ均一に付着するが、5μm∼20μm の粒子
はフィルタの上部と下部に多く堆積する傾向がある。また、付着、逆洗を複
数回繰り返すことによるダスト堆積量分布への明確な影響は認められない。
・フィルタのダスト堆積層は粒径の小さい粒子の割合が多く、ホッパ部では大
きい粒子の割合が多くなっている。また、ろ過速度が大きいほどホッパ部に
大きい粒子の割合が多くなる傾向にある。
・フィルタ内外の差圧は位置による変化はほとんど認められない。
30000
20000
10000
ΔP [Pa]
0
0
200
400
600
800
1000
-10000
-20000
-30000
-40000
ダスト
堆積
ダスト ダスト
堆積
堆積
ダスト ダスト
堆積
堆積
ダスト ダスト
堆積
堆積
A
B
C
D
E
F
A:集塵機外周フィルタ下部
逆洗
逆洗
逆洗
逆洗
逆洗
逆洗
-50000
逆洗
B:集塵機外周フィルタ中央部
C:集塵機外周フィルタ上部
時間 [s]
D:集塵機中心フィルタ下部
第 8.4.58 図 フィルタエレメント差圧推移
E:集塵機中心フィルタ中央部
F:集塵機中心フィルタ上部
2-78
8.4.5.4 まとめ
高温集塵機システムの集塵装置内部におけるダスト堆積および逆洗によるダスト払い
落し時のガス流れおよびダスト挙動を解析により求め、効率的な集塵装置とするための
ガス流入口の数、配置、逆洗ガスの運用方法に関する知見を得ることにより効率的な集
塵装置構成の設計、運用に関する指針を得ることが可能となった。
本解析は、形状、フィルタエレメント配置、運用条件の異なる集塵装置に対して、多
大な時間、費用を要する試験をすることなく、形状を考慮した解析用の格子作成、解析
条件の設定を行うことで、ガスおよびダストの流れ状況がシミュレートできるため、設
計の指針を得るツールとしての利用が期待できる。さらに、実ガス試験装置をはじめと
した各種フィルタエレメント配置に対する試験データとの対比により、解析精度の向上
を図ることで一層の効率化が図れる。
2-79
評価集計表-1 材料強度試験 1/2
構
分
No
大
類
中
メーカ/型式
2
3
ろ 過 層
支 持 層
室温
500℃
700℃
850℃
950℃
室温
700℃
850℃
950℃
1050℃
1100℃
平均
平均
平均
平均
平均
平均 *1
平均
平均
平均
平均
平均
(n=7)
(n=3)
(n=5)
(n=5)
(n=5)
(n=6or3)
(n=1)
(n=1)
(n=1)
(n=1)
(n=1)
ムライト
SiC
12.7
−
21.8
20.6
21.4
14.0
16.9
18.7
29.3
16.4
13.5
日本ポール
Vitropore 326
SiC
SiC
22.9
−
33.5
43.2
21.7
19.7
−
−
−
−
−
京セラ
コージェライトフィルタ
コージェライト
26.3
−
19.5
19.2
21.0
16.3
9.7
8.7
9.0
5.1
5.1
−
−
−
−
−
6.4
8.2
8.2
7.9
11.6
9.3
ACI(アライドシグナル)
PRD-66
5
ラ
6
ミ
7
8
考
Oリング圧環試験 (MPa)
日本シューマッハ
Dia-Schumalith T10-20
セ
4
備
小
モ
ノ
リ
シ
ッ
ク
1
3 点曲げ強度 (MPa)
造
アルミナ
アルミナ/ムライト/コージェラ
イト繊維
住友スリーエム
セラミックコンポジットフィルタ 203
アルミナ短繊維+SiC
マトリックス
硼酸アルミノシリケート長
繊維+SiC マトリックス
保護層(硼酸アルミノシリケート繊
維を含めた 3 層構造
−
−
−
−
−
17.2
−
−
−
−
−
繊
住友スリーエム
セラミックコンポジットフィルタ
アルミナ短繊維+アルミノ
シリケートマトリックス
アルミナ長繊維+アルミノ
シリケートマトリックス
保護層(アルミナ長繊維)を含
めた 3 層構造
−
−
−
−
−
15.4
15.8
17.4
17.4
20.4
23.6
ッ
維
宇部興産
セラミック繊維強化セラミックフィルタ
ムライト
SiC 繊維+ムライトマト
リックス
−
−
−
−
−
8.4
−
−
−
−
−
ク
強
ファインセラミックスセンター
セラミック繊維強化(1)
アルミナ繊維+ムライトマトリックス
21.7
−
17.7
14.8
8.5
−
−
−
−
−
−
ス
化
ファインセラミックスセンター
セラミック繊維強化(2)
ムライト
−
−
−
−
−
5.7
9.6
11.5
8.8
5.6
6.5
(アルミノシリケート+アルミナ)短繊維
−
−
−
−
−
1.3
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
2.0
−
−
−
−
−
キ
ャ
ムライト被覆アルミナ繊
維+ムライトマトリックス
9
ン
10
ド
ニチアス
ファインフレックスモールドタイプ
11
ル
ニチアス(FFB-300)
ファインフレックスモールド強化タイプ
アルミノシリケート短繊維
12
型
ニチアス
硼酸アルミニウムウィスカー多孔体
硼酸アルミニウムウイスカー
硼酸アルミウィスカーの骨格
(9Al2O3・2B2O3)
10.2
−
9.9
8.3
6.8
16.6
−
−
−
−
−
SUS310SC
溶接接合構造
219
160
102
−
−
202
−
−
−
−
−
ウイス
カー
日本ポール
PSS メタルフィルタ(SUS310SC)
13
14
金
15
SUS316L
一体構造、外径 114 ㎜
223
168
131
−
−
215
−
−
−
−
−
金
クボタ
金属系多孔質 (2)
HU
一体構造、外径 114 ㎜
189
154
114
64.8
38.3
180
−
−
−
−
−
クボタ
金属系多孔質 (3)
SUSXM15J1
一体構造、外径 114 ㎜
363
260
155
77.6
49.4
367
−
−
−
−
−
Fe-Al
一体構造
115
171
59.1
−
−
191
−
−
−
−
−
Ni-Cr-Fe-Al
一体構造
−
−
−
−
−
298
154
79.9
42.6
33.5
41.1
アルミナ/シリカ/硼酸系繊維
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
評価対象外
住友化学工業
アルミナ繊維 Altex フィルタバグ
アルミナ/シリカ系繊維
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
評価対象外
ニチアス
アルミナ繊維フィルタバグ
アルミナ/シリカ系繊維
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
評価対象外
ホソカワミクロン
金属繊維フィルタバグ
インコネル 600
100
91.2
(538℃)
41.2
(760℃)
−
−
−
−
−
−
−
−
評価対象外
化
合
物
19
バ
20
グ
21
型
22
セ
ラ
ミ
ッ
ク
ス
金
属
棒状試作材データ
クボタ
金属系多孔質(1)
属
18
考
合
16
17
酸化物系含浸マトリクス
備
日本ポール
PSS メタルフィルタ(Fe-Al)
日本ポール
Palloy2000(NiCrFeAl)
住友スリーエム
ネクステル 312 フィルタバグ AB-22
繊
維
ク
ロ
ス
*1
2-80
モノリシックセラミックス系は、n=6、金属系は n=3
評価集計表-2 材料強度試験 2/2
最大応力(室温)
構
No
分
類
造
メーカ/型式
備
考
PFBC,IGCC 共通
室温強度
大
中
モ
ノ
リ
シ
ッ
ク
1
2
3
評価
SiC
19.7
A/3
21.7
A/3
33.5
A/3
C/1
C/1
7
B
7
B
京セラ
コージェライトフィルタ
コージェライト
16.3
A/3
9.0
C/1
9.7
C/1
C/1
C/1
5
B
5
B
6.4
B/2
7.9
B/2
8.2
B/2
C/1
C/1
5
B
5
B
17.2
A/3
−
C/1
−
C/1
C/1
C/1
5
B
5
B
15.4
A/3
17.4
A/3
15.8
A/3
A/3
A/3
9
A
9
A
8.4
B/2
−
C/1
−
C/1
C/1
C/1
4
C
4
C
21.7
A/3
−
C/1
−
C/1
C/1
C/1
5
B
5
B
5.7
B/2
8.8
B/2
9.6
B/2
A/3
A/3
7
B
7
B
(アルミノシリケート+アルミナ)短繊維
1.3
C/1
−
C/1
−
C/1
C/1
C/1
3
C
3
C
2.0
C/1
−
C/1
−
C/1
C/1
C/1
3
C
3
C
16.6
A/3
6.8
C/1
9.9
C/1
C/1
C/1
5
B
5
B
維
宇部興産
セラミック繊維強化セラミックフィルタ
ムライト
SiC 繊維+ムライトマト
リックス
ク
強
ファインセラミックスセンター
セラミック繊維強化(1)
アルミナ繊維+ムライトマトリックス
ス
化
ファインセラミックスセンター
セラミック繊維強化(2)
ムライト
ニチアス
ファインフレックスモールドタイプ
11
ル
ニチアス(FFB-300)
ファインフレックスモールド強化タイプ
アルミノシリケート短繊維
12
型
ニチアス
硼酸アルミニウムウィスカー多孔体
硼酸アルミニウムウイスカー
日本ポール
PSS メタルフィルタ(SUS310SC)
ムライト被覆アルミナ繊
維+ムライトマトリックス
維を含めた 3 層構造
めた 3 層構造
酸化物系含浸マトリクス
硼酸アルミウィスカーの骨格
(9Al2O3・2B2O3)
SUS310SC
溶接接合構造
202
A/3
−
C/1
102
B/2
C/1
A/3
5
B
8
A
合
クボタ
金属系多孔質(1)
SUS316L
一体構造、外径 114 ㎜
215
A/3
−
C/1
131
B/2
C/1
A/3
5
B
8
A
金
クボタ
金属系多孔質 (2)
HU
一体構造、外径 114 ㎜
180
A/3
38.3
B/2
114
B/2
B/2
B/2
7
B
7
B
クボタ
金属系多孔質 (3)
SUSXM15J1
一体構造、外径 114 ㎜
367
A/3
49.4
B/2
155
B/2
A/3
A/3
8
A
8
A
Fe-Al
一体構造
191
A/3
−
C/1
59.1
B/2
C/1
C/1
5
B
6
B
Ni-Cr-Fe-Al
一体構造
298
A/3
42.6
B/2
154
B/2
B/2
C/1
7
B
6
B
アルミナ/シリカ/硼酸系繊維
−
−
−
−
−
−
−
−
評価対象外
住友化学工業
アルミナ繊維 Altex フィルタバグ
アルミナ/シリカ系繊維
−
−
−
−
−
−
−
−
評価対象外
ニチアス
アルミナ繊維フィルタバグ
アルミナ/シリカ系繊維
−
−
−
−
−
−
−
−
評価対象外
ホソカワミクロン
金属繊維フィルタバグ
インコネル 600
−
−
−
−
−
−
−
−
評価対象外
金
16
属
化
合
物
金
属
point
SiC
ド
22
point
日本ポール
Vitropore 326
10
型
/point
B
ン
21
/point
7
9
グ
/point
A
ャ
バ
(MPa)
8
8
20
/point
C/1
ッ
セ
ラ
ミ
ッ
ク
ス
(MPa)
B/2
保護層(アルミナ長繊維)を含
18
/point
A/3
アルミナ長繊維+アルミノ
シリケートマトリックス
17
(MPa)
合計
評価
16.9
アルミナ短繊維+アルミノ
シリケートマトリックス
15
合計
評価
A/3
住友スリーエム
セラミックコンポジットフィルタ
14
評価
IGCC(700℃)
29.3
繊
13
評価
PFBC(950℃)
A/3
ACI(アライドシグナル)
PRD-66
ウイス
カー
高温強度
IGCC(700℃)
14.0
保護層(硼酸アルミノシリケート繊
ミ
評価
PFBC(950℃)
SiC
硼酸アルミノシリケート長
繊維+SiC マトリックス
6
高温強度
IGCC(700℃)
総 合 評 価
ムライト
アルミナ短繊維+SiC
マトリックス
ラ
PFBC(950℃)
荷重-変位曲線(破壊特性)
日本シューマッハ
Dia-Schumalith T10-20
住友スリーエム
セラミックコンポジットフィルタ 203
5
19
支 持 層
アルミナ/ムライト/コージェラ
イト繊維
セ
キ
ろ 過 層
アルミナ
4
7
小
評価
最大応力温度依存性(高温強度)
日本ポール
PSS メタルフィルタ(Fe-Al)
日本ポール
Palloy2000(NiCrFeAl)
住友スリーエム
ネクステル 312 フィルタバグ AB-22
繊
維
ク
ロ
ス
注) 強度の値はOリング圧環試験データを主とし、データの無いものは3点曲げ試験結果を採用。
2-81
評価集計表-3 模擬ガス曝露腐食試験(還元雰囲気)
分 類
大
中
小
日本シューマッハ
1
モノ
リシ
2
ック
ACI(アライドシグナル)
PRD-66
6
7
強度
差圧
Point
ムライト
SiC
3
3
3
3
12
SiC
SiC
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
-
12
A
3
3
3
12
A
3
3
3
12
A
3
2
3
11
3
3
3
3
3
3
3
-
-
-
(アルミノシリケート+アルミナ)短繊維
アルミノシリケート短繊維
コージェライト
住友3M
アルミナ短繊維+
アルミナ長繊維+
保護層(アルミナ長繊
アルミノシリケート
アルミノシリケート
維)含め 3 層構造
強
ファインセラミックスセンター
化
セラミック繊維強化(1)
ファインセラミックスセンター
ン
セラミック繊維強化(2)
ド
ニチアス
ル
ファインフレックスモールドタイプ
ニチアス(FFB-300)
ファインフレックスモールド強化タイプ
12
ウィス
ニチアス
カ
硼酸アルミニウムウィスカ多孔体
ポール
PSS メタルフィルタ(SUS310SC)
クボタ/
14
合
金属系多孔質(1)
金
クボタ/
金属系多孔質 (2)
金
属
16
ェライト繊維
セラミックコンポジットフィルタ
キ
15
アルミナ/ムライト/コージ
アルミナ
ミ
宇部興産
クボタ/
金属系多孔質 (3)
17
化
合
物
18
ポール/
PSS メタルフィルタ(Fe-Al)
ポール
Pally2000(NiCrFeAl)
住友3M/
19
セラ
バ
ミッ
グ
クス
型
ネクステル 312 フィルタバグ
繊
住友化学工業/
維
アルミナ繊維 Altex フィルタバグ
クロ
ニチアス/
ス
アルミナ繊維フィルタバグ
金
ホソカワミクロン/
属
金属繊維フィルタバグ
700℃300h
-
セラ
セラミック繊維強化セラミックフィルタ
700℃30h
-
ート繊維含め 3 層構造
維
700℃30h
A
繊維+SiC マトリックス
繊
総合
Point
トリックス
ス
30%アルカリ添加灰との反応試験
表面
セラミックコンポジットフィルタ 203
ック
アルカリ添加灰反応試験
質量
保護層(硼酸アルミノシリケ
型
22
表面
硼酸アルミノシリケート長
11
21
質量
アルミナ短繊維+SiC マ
ャ
20
支持層
住友3M
5
10
Vitropore 326
ろ過層
コージェライトフィルタ
4
9
日本ポール
実機灰との反応試験
400~700℃30h、300h
備考
京セラ
3
8
Dia-Schumalith T10-20
ガスとの反応試験
構 造
メーカ
型式
評価:−実施せず
ムライト
SiC 繊維+ムライトマトリ
ックス
アルミナ繊維+ムライトマトリックス
ムライト
ムライト被覆アルミナ繊
酸化物系含浸
維+ムライト
マトリクス
硼酸アルミニウムウイスカー
硼酸アルミウィスカーの
骨格
総合
質量
表面
Point
-
-
-
-
6
A
2
2
3
6
A
2
3
3
6
A
B
-
-
-
12
A
-
-
2
11
B
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
総合
総合
表面
強度
Point
-
-
-
-
-
-
4
B
2
3
2
7
B
強度低下有
2
4
B
2
3
2
7
B
強度低下有
2
2
4
B
2
3
2
7
B
強度増加有
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1
5
C
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
5
C
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
評価
評価
評価
評価
SUS310SC
溶接接合構造
1
2
1
SUS316L
一体構造
2
2
1
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2
2
1
-
5
C
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
3
3
3
3
12
A
3
3
6
A
1
1
2
C
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2
1
3
C
2
1
3
C
-
-
-
-
-
アルミナ/シリカ/硼酸系繊維
3
3
3
-
9
A
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
アルミナ/シリカ系繊維
2
3
3
-
8
B
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
アルミナ/シリカ系繊維
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
インコネル 600
1
1
3
-
5
C
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
HU
SUSXM15J1
Fe-Al
Ni-Cr-Fe-Al
一体構造
一体構造
一体構造
一体構造
備 考
質量
2-82
表-7.1.8 酸化雰囲気曝露試験結果
評価集計表-4 模擬ガス曝露腐食試験(酸化雰囲気)
メーカ
分 類
NO
大
中
リシ
2
ック
京セラ
3
コージェライトフィルタ
ACI(アライドシグナル)
4
PRD-66
住友3M
5
セラミックコンポジットフィルタ 203
セラ
6
クス
10
住友3M
ミッ
7
9
繊
維
強
キ
化
ャ
ン
ド
ル
セラミック繊維強化セラミックフィルタ
ファインセラミックスセンター
セラミック繊維強化(1)
ニチアス
型
ファインフレックスモールドタイプ
ニチアス(FFB-300)
ファインフレックスモールド強化
ウィス
カ
ニチアス
硼酸アルミニウムウィスカ多孔体
ポール
13
PSS メタルフィルタ(SUS310SC)
クボタ/
14
合
15
金
金
金属系多孔質(1)
クボタ/
金属系多孔質 (2)
属
クボタ/
16
金属系多孔質 (3)
化
17
18
ポール/
合
PSS メタルフィルタ(Fe-Al)
物
ポール Pally2000(NiCrFeAl)
住友3M/
19
セラ
22
宇部興産
セラミック繊維強化(2)
12
21
セラミックコンポジットフィルタ
ファインセラミックスセンター
11
20
日本ポール
バ
ミッ
グ
クス
型
ネクステル 312 フィルタバグ
繊
維
クロ
ス
金
属
住友化学工業/
アルミナ繊維 Altex フィルタバグ
ニチアス/
アルミナ繊維フィルタバグ
ホソカワミクロン/
金属繊維フィルタバグ
アルカリ添加灰反応試験
30%アルカリ添加灰との反応試験
950℃48h
950℃48h
950℃300h
ろ過層
支持層
質量
表面
強度
差圧
Point
ムライト
SiC
3
3
3
3
12
3
3
3
3
3
3
3
3
3
2
総合
表面
Point
A
3
3
6
12
A
-
-
3
12
A
3
3
3
12
A
1
3
1
7
2
3
3
3
2
3
1
-
-
-
(アルミノシリケート+アルミナ)短繊維
アルミノシリケート短繊維
Dia-Schumalith T10-20
Vitropore 326
実機灰との反応試験
950℃48h
質量
日本シューマッハ
モノ
ガスとの反応試験
備考
小
1
8
構 造
型式
SiC
SiC
コージェライト
アルミナ/ムライト/コー
アルミナ
ジェライト繊維
アルミナ短繊維+SiC
マトリックス
硼酸アルミノシリケー
ト長繊維+SiC マト
リックス
保護層(硼酸アルミノシリケー
ト繊維を含め 3 層構造
アルミナ短繊維+アルミ
アルミナ長繊維+アルミ
保護層(アルミナ長繊維)を
ノシリケートマトリックス
ノシリケートマトリックス
含めた 3 層構造
SiC 繊維+ムライト
ムライト
マトリックス
アルミナ繊維+ムライトマトリックス
ムライト被覆アルミナ
ムライト
酸化物系含浸
繊維+ムライト
硼酸アルミニウムウイスカー
硼酸アルミウィスカ骨格
(9Al2O3・2B2O3)
評価:−/実施せず
総合
質量
表面
Point
A
2
2
4
-
-
-
-
3
6
A
2
3
3
6
A
C
-
-
-
11
B
2
3
2
8
C
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2
3
-
3
2
3
2
-
-
総合
総合
表面
強度
Point
B
2
3
2
7
B
-
-
-
-
-
-
-
2
4
B
2
3
2
7
B
灰付着大
2
2
4
B
2
3
2
7
B
融液付着
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
5
B
1
2
3
C
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1
2
2
5
C
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
8
B
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
3
10
B
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
評価
評価
評価
評価
SUS310SC
溶接接合構造
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
SUS316L
一体構造
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2
2
1
1
6
C
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2
2
2
6
B
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
アルミナ/シリカ系繊維
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
アルミナ/シリカ系繊維
2
3
2
-
7
B
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
インコネル 600
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
一体構造
HU
SUSXM15J1
一体構造
一体構造
Fe-Al
Ni-Cr-Fe-Al
アルミナ/シリカ/硼酸系繊維
一体構造
備 考
質量
2-83
融液付着
融液付着
融液付着
評価集計表-5 脱塵性能試験
表-7.2.18
No
1
2
3
4
5
脱塵各種フィルタエレメントの評価結果まとめ
分 類
大
キ
ャ
ン
ド
ル
型
中
セ
ラ
ミ
ッ
ク
ス
小
モ
ノ
リ
シ
ッ
ク
繊
維
強
化
構 造
メーカ/型式
日本シューマッハ
Dia-SchumalithT10-20
日本ポール
Vitropore326
京セラ
コージェライト
ACI
PRD-66
住友 3M
セラミックコンポジット 203
Ks
備 考
K*1
IGC
−
PFB IGC
3
−
3
−
コージェライト
2
アルミナ
3
ろ過層
ムライト
SiC
SiC
SiC
支持層
アルミナ/ムライト/
コージェライト
ア ル ミ ナ 短 繊 維 ホウ酸アルミノシリケート
+SiC マトリックス
長繊維+SiC マトリッ
クス
アルミナ短繊維+ア アルミナ長繊維+
ルミノシリケートマトリッ アルミノシリケートマトリック
クス
ス
ムライト
SiC 繊維+
ムライトマトリックス
アルミナ繊維+ムライトマトリックス
保護層(ホウ酸アルミノシリケ 3
ート繊維)を含む 3 層構
造
保護層(アルミナ長繊維) 2
を含む 3 層構造
vfmax
ダスト厚み
脱塵率
PFB IGC
3
−
熱衝撃
PFB IGC
3
−
ろ過表面
PFB IGC
3
−
総合評価
PFB
3
IGC
−
PFB IGC
3
−
PFB IGC
3
−
3
−
3
−
3
−
3
−
3
−
3
−
1
3
3
2
1
1
3
3
3
3
3
3
3
3
2
3
2
3
2
1
3
3
3
3
3
3
−
1
−
1
−
2
−
3
−
3
−
3
−
1
1
1
1
1
2
1
3
3
3
3
3
3
15
C
13
C
21
A
17
C
18
B
16
C
PFB
21
A
−
17
C
19
B
−
6
住友 3M
セラミックコンポジット
7
宇部興産
セラミック繊維強化
ファインセラミックセンタ
セラミック繊維強化(1)
ファインセラミックセンタ
ムライト
セラミック繊維強化(2)
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
ニチアス
ファインフレックスモールドタイプ
ニチアス
アルミノシリケート繊維
ファインフレックスモールド強化
タイプ
ニチアス
ホウ酸アルミニウムウィスカー
ホウ酸アルミニウムウィスカ多孔
体
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
ホウ酸アルミウィスカ骨格
(9Al2O3・2B2O3)
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
SUS310SC
溶接接合構造
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
SUS316L
一体構造
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
HU
一体構造
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
SUSXM15J1
一体構造
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
Fe-Al
一体構造
3
−
3
−
3
−
3
−
3
−
3
−
3
−
−
Ni-Cr-Fe-Al
一体構造
−
3
−
3
−
3
−
3
−
3
−
2
−
3
21
A
−
アルミナ/シリカ/ホウ酸系繊維
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
20
A
−
アルミナ/シリカ系繊維
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
アルミナ/シリカ系繊維
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
インコネル 600
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
ムライト被覆アルミナ繊 酸化物系含浸マトリックス
維
+ムライトマトリックス
(アルミノシリケート+アルミナ)短繊維
ウ
ィ
ス
カ
金 合 日本ポール
メ
タ
ル
属 金 PSS
(SUS310SC)
クボタ
金属系多孔質(1)
クボタ
金属系多孔質(2)
クボタ
金属系多孔質(3)
化 日本ポール
合 PSS メタル(Fe-Al)
物 日本ポール
Palloy2000
バ セ 繊 住友 3M
グ ラ 維 ネ ク ス テ ル 312 ハ ゙ ク ゙
型 ミ ク AB-22
ッ ロ 住友化学工業
ク ス アルミナ繊維 Altex バグ
ス
ニチアス
アルミナ繊維バグ
金
ホソカワミクロン
属
金属繊維バグ
2-84
8.5 成果の普及、広報
①査読のある原著論文
日付
2001
2002.6
題 名
発表先
Fabrication of a continous Alumina Ceramic Engineering and
fiber-reinforced mullite composite (プロ Science Proc.,
シーディング)
22,4,2798-284
高温集塵フィルタ用多孔質セラミックスの熱 材料 第 51 巻,第 6 号
サイクル疲労
P622-627,2002
発表者
北岡 諭
松島 康司
②査読のない原著論文
日付
1998.10
1999.6
1999.9
題 名
高温石炭燃焼ガス集塵技術研究
発表先
発表者
日本エネルギー学会誌 1 江原 範明
月号
IGCC 用脱塵フィルタの高温脱塵特性
日本エネルギー学会誌 3 山田 陸雄
月号
Evalution of fundamental propaties of 4th International
澤田 佳也
filter material at high temperature (プ symposium & Exhibition
ロシーディング)
gas cleaning at high
temperature、393-404
③総説、解説、著書
なし
④口頭発表
日付
1997.11
題 名
高温集塵フィルタの基礎物性に関する比較
1999.6
Hot gas filtration technology
1999.7
高温フィルタ材料の基礎物性評価
1999.9
LLB hot gas filter and operational
experience in Ebara PIFBC pilot
plant(phaseⅡ)
1999.9
キャンドル型フィルタの実ガス曝露試験
2000.3
アルミナ長繊維強化酸化物フィルタの作製と
特性評価
アルミナ長繊維強化ムライトフィルターの開
発
Fabrication of a continous Alumina
fiber-reinforced mullite composite
発表先
粉体工学会 1997 年度秋期研
究発表会
9th Japan/Australia joint
technical meeting
ファインセラミックスセンター 99 年度研究
発表会 ポスターセッション
4th International
symposium & Exhibition gas
cleaning at high
temperature
第9回石炭利用技術会議
発表者
荒木 健
山田 実
澤田 佳也
岡本 政秀
青木 克行
日本セラミックス協会 2000 年年会 川島 直樹
2001.4
日本セラミックス協会 2000 年秋期 川島 直樹
シンポジウム
25th Annual international 北岡 諭
conference on advanced
ceramics & composites
小型脱塵装置を用いた IGCC 用及び PFBC 用キ 化学工学会 第66年会
吉田 直美
ャンドルフィルターの高温集塵特性
IGCC 及び PFBC 模擬ガス環境下における各種 化学工学会 第66年会
村上 和美
フィルタの反応性
高温集塵器内ダスト流れおよび付着解析
化学工学会 第66年会
渡辺 大器
2001.4
高温集塵用セラミックスフィルターの開発
2000.10
2001.1
2001.4
2001.4
2-85
化学工学会 第66年会
川島 直樹
2001.4
キャンドル型フィルタの実ガス曝露試験
2001.5
高温集塵用フィルタ材料の熱衝撃試験特性
化学工学会 第66年会
日本材料学会創立 50 周年記
念総会学術講演会
高温石炭燃焼ガス集塵用フィルタの開発
ファインセラミックスセンター 2001 年度研
究発表会
高温集塵用フィルタの熱サイクル疲労
ファインセラミックスセンター 2001 年度研
究発表会
高温集塵用フィルタの熱サイクル疲労
日本材料学会 第 101 回セラ
ミック部門委員会
高温集塵用セラミックフィルタ材料の熱サイ 日本材料学会 第 51 回学術
クル疲労
講演会
ガス加熱冷却法による多孔質体の熱サイクル JFCC研究発表会
疲労特性評価法の確立
高温石炭燃焼ガス集塵用アルミナ長繊維強化 第15回秋季シンポジウム
ムライトフィルタの開発
2001.7
2001.7
2001.7
2002.5
2002.7
2002.9
⑤特許出願リスト(名称、出願番号、発明者等)
な
し
2-86
青木 克行
松島 康司
川島 直樹
松島 康司
松島 康司
松島 康司
松島 康司
川島 直樹
高温石炭燃焼ガス集塵技術関係 用語集
高効率発電関係
加圧流動層複合発電技術(PFBC:Pressurized Fluidized Bed Combustion)
石炭ガス化複合発電技術(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)
石炭ガス化燃料電池
(IGFC:Integrated coal Gasification Fuel Cellter)
開発経緯関係
酸化雰囲気、還元雰囲気
高温集塵機で処理するガスのうち、流動床ボイラの燃焼後のものを酸化雰囲気(PFBC 環境)
のガス、石炭のガス化炉から出て燃焼前のものを還元雰囲気(IGCC 環境)のガス(H2,CH4,CO
などか存在)とした。
集塵技術関係
パルス的逆洗(
、
パルス的逆洗 Reverse jet−pulse recleaning)
加圧ガスタンクから,フィルタエレメントの内面から外面に高速ガスを流してフィルタエレ
メントに付着したダストを剥離し,フィルタエレメントを再生すること。
パルスジェット方式(
パルスジェット方式 Pulse
jet
recleaning system)
、
上記加圧ガスタンクの圧力をできるだけ低下させないように,連続的に集塵装置を運転する
ために,フィルタエレメントの洗浄ガスをパルス的に行うシステム。
熱衝撃(
熱衝撃 Thermal
Shock)
フィルタエレメント上の未燃カーボンの着火燃焼や,付着ダストの急激な落下などのように,
急激な温度変化に伴って発生する大きな熱応力。
フィルタ構造関係
モノリシック(モノリシックセラミックス)
狭義には、単一材料から成るセラミックスをいうが、一般には、多成分系でも、比較的マク
ロなレベルで均一な組織をもったセラミックスをいう。セラミックス複合材に対するもの。
(JIS1600-1110)
ウィスカー(ウィスカー)
ひげ結晶ともいわれ、含まれる欠陥の数が非常に少ない繊維状単結晶。SiC や Si3N4 などの
ウィスカーは金属やセラミック複合材の強化材として利用される。
(JIS1600-1131)
2-87
コージェライト(コーディエライト)
2MgO・2Al2O3・5SiO2 組成をもつ斜方晶の鉱物で密度 2.60∼2.66g/cm3。天然物の多くは
少量の鉄と水を含む。広義には、六方晶のα型、斜方晶のβ型、及びμ型を総称して用いられ
る。α型は熱膨張係数が小さいので耐熱衝撃性に優れている。
自動車用排ガス浄化用触媒担体などに使用。
(JIS1600-2117)
セラミックコンポジット(セラミック複合材料)
セラミックスをマトリックスとする複合材料。多くはセラミックスの強度又はじん靭性を向
上させる目的で作成されている。複合・添加されるものの多くは耐熱性のある繊維又は粒子状
のものである。
(JIS1600-1112)
基礎物性試験関係(データ収集)
チッピング
一般に横割れと言い、錠剤機で打錠する際、錠剤の上側が薄く剥がれる現象を言う。
アブレージョン摩耗
材料が摩擦により消耗すること。耐火物では炉内で他物との接触において、挿入原料のあ
るいは粉粒などの衝突などの摩擦によって損傷する場合に用いる言葉である。
耐火物においては他材料と異なり、常温の磨耗の外に密質で圧縮強さのすぐれているもの
の耐磨耗性が大きいと言われているが、耐火物の種類によって異なる。
エロージョン摩耗
上記アブレージョン磨耗に対し、流体による物理的な力が作用して材料が損傷していく現
象を言う。
ワイブル統計、ワイブルプロット
ワイブル確率分布を前提とした統計的手法。一般に機械の故障、脆性材の破壊挙動を扱う
時に用いられる統計的手法。バラツキの大きいセラミックス材の破壊強度の分布はワイブル
分布に近似できるといわれる。
ホットプレス法
(1)高周波電気炉を用い加熱しながら油圧あるいは水圧で成形する方法。
(2)原料粉末を成形ダイスに入れたまま加熱し、高温の可塑性を利用してプレスする方法。セ
ラミックス分野では 1000℃以上の温度まで加熱するので、高温で塑性変形しがたいダイス
材料として広く黒鉛等が使われ、製品価格が高くつくが、ボイドを減少させ、精密なサイ
ズを得、機械的特性も著しく向上する。
溶融塩・アルカリ雰囲気
融解塩、イオン性液体とも言う。常温で固体の塩や酸化物を加熱融解して液体状態にした
物質を言う。
一般にイオンに基づく導電性が高い。融点は一般に 300℃∼1250 度の広範囲にあるが、混
合塩では低下する。
SEM(走査型電子顕微鏡)
集束電子線を試料表面上に走査して、各走査点から放出される電子を検出器に受け増幅し、
2-88
走査と同期させてブラウン管上に像として写し出す装置のこと。
表面の地形的観察に多く用いられるほか、各走査点から放出されるオージェ電子や特性 X
線をとらえて微小領域の元素分析装置として用いられている。
EDS(エネルギー分散スペクトル)
試料にX線を照射し、発生する蛍光X線のエネルギーを分析することで試料を構成する元
素の種類や含有量を調べる装置。
試料に 1 次照射線を入射することにより、励起された特性 X 線のエネルギースペクトル。
EDX(エネルギー分散型 X 線分析計)は、特性 X 線をエネルギー分散型の半導体検出器で分
光分析することにより、試料を構成する元素の種類や含有量を調べる装置。
従来の波長分散型X線分析装置と比較しても、定量精度が向上し、装置本体が小型軽量化
され、定量速度がアップする。
XRD(X 線回折装置)
ブラッグの分光計イオン室のかわりに、より鋭敏なガイガー・ミュラー計数管、または比
例計数管を置き換えた X 線分光計。
きわめて鋭敏であるので、粉末法の場合におけるような非常に弱い回折スペクトルの強度
をも直接見地することが可能であり、また測定強度の信頼性は写真法に比してはるかに高い
ので、種々な定量的測定に便利である。
なお、写真法に比して操作時間をきわめて短縮できるので近年大いに普及した。
ネフェリン
霞石。準長石の一種で、化学成分は大略 NaAlSiO4 であるが、一般に Na の一部を K が置
換している。六方晶系で短注状または板状。天然にはアルカリ火成岩中に限って産出する。
吹管で融解しガラス状になる。
小型評価試験関係
スクリーニング試験 screening test
多数の材料や部品に対し、所望の性能・品質レベルに応じた材料・部品を選別するために行
う試験のことである。
エネルギー分散型分光分析 Energy Dispersive Analysis of X-ray
材料に電子をあてると特性 X 線が放出されるので、その強度を測定することで、材料に含ま
れる原子の種類と濃度を判別する方法である。
特性 X 線を検出する方法には、波長分散とエネルギー分散型があり、エネルギー分散型は検
出部に半導体検出器を用いるが、波長分散型では分光結晶とゴニオメータを組み合わせたもの
を用いている。
通常は,走査型電子顕微鏡に取付けて使用する。
チャー char
石炭を乾留すると揮発成分と固形分が得られるが、このうち、固形分をチャーと呼ぶ。
チャーの成分は固定炭素と灰分であり、このチャーが燃焼すると未燃カーボン(未燃分)が
生成される。
2-89
フライアッシュ fly ash
石炭を燃焼させた時に発生する石炭燃焼灰のことで、一般には、電気集じん器により捕集さ
れた微粉末の灰のことを指す。
主成分はシリカ・アルミナで、球状、コンクリートなどに混ぜると流動性が向上するため、
助剤としての利用も行われている。
疲労限界 fatigue limit
金属を繰り返し折り曲げると、引っ張って切れるよりはるかに小さな力で破断する。これを
疲労破断と言う。鋼の場合は応力が小さくなるに従って破壊にいたる繰り返し数が増えていき、
応力がある程度以下になると繰り返し数をいくら多くしても材料は破壊されにくくなる。この
限度を「疲労限度」と言う。セラミックスの場合は、この「疲労限度」が明確に現れないため、
応力の繰り返し数が1千万回(107)の繰り返しに耐える応力を「疲労強さ」と定義している。
主応力 principal stress
3次元空間における物体には、3つの垂直応力(σx,σy,σz)と3つのせん断応力(τxy,
τyz,τzx)が作用している。ここで、物体内ののせん断応力が全て0となる座標軸を適当に
とった場合、これら3つの軸方向の垂直応力(σ1,σ2,σ3)を主応力と呼ぶ。
Mises(ミーゼス)相当応力
ミーゼス)相当応力 equivalent stress of Mises
Von Mises によって導入された相当応力である。
主応力をσx,σy,σz とした場合、ミーゼスの相当応力σmは次式のように表される。
2σm2=(σx-σy)2+(σy-σz)2+(σz-σx)2
汎用非線形解析 nonlinear analysis
一般に発生応力が大きくなると、応力-ひずみの関係が線形(比例関係)では無くなるが、こ
のような非線型性を考慮した解析を非線型解析と呼ぶ。
MARC
汎用の有限要素法プログラムの一つ。
1969 年にMARC社(MarcAnalysisResearchCorporation,現MSC社)によって開発さ
れた有限要素法プログラム。
未燃カーボンおき燃焼
燃焼炉内が一時的に酸素不足状態となり,燃焼炉より未燃カーボンを含むダストが脱塵装置
内に供給され,フィルタ表面に付着堆積し,その後,正常な燃焼へ移行するとともに燃焼炉
の酸素濃度が正常値に回復する過程で供給される酸素により,フィルタ表面に付着した未燃
カーボンが着火燃焼する現象のこと。
サンプルフィルタ作製関係
擬三元系状態図
物質系の多相平衡の関係を図示したものを状態図と呼ぶ。
擬三元系状態図とは、3つの化合物(酸化物など)を正三角形の頂点におき、正三角形内
の点で組成を表したもの。
非平衡相
2-90
非平衡相とは平衡状態にない相のことをいう。
平衡状態とは、任意の条件下で熱力学的にもっとも安定な状態をいう。すなわち、温度、
圧力、組成の各条件が与えられたとき、自由エネルギーの最低の状態であり、もはや変化し
ない状態をいう。
マトリックス
物質中の主構成相のことをいう。
開気孔径
物質中に含まれる貫通気孔の直径。
開気孔率
物質中に含まれる貫通気孔の体積分率。
前駆体溶液
温度あるいは圧力により変化する化合物溶液。
PHPS 層
Perhydropolysilazane(Si-N 系化合物)を塗布した層。
InIn-situ 形成
「その場反応」により化合物を形成すること。
アルコキシド法
アルコキシドとはアルコールの水酸基の水素を金属 M で置換した化合物の総称であり、こ
れを出発原料に用いて加水分解反応等を利用して化合物を合成する方法。
2-91
第3章
評価
第3章 評価
各評価項目における評価に続く肯定的意見/問題点・改善すべき点/その他の意見等
は、分科会委員のコメントを分類し、そのまま記述したものである。
1.総論
(1)総合評価
高温集塵技術は石炭高効率利用技術のキーテクノロジーとして不可欠である
こと、及びプロジェクト開始時点では集塵フィルタの問題で PFBC の信頼性が
損なわれがちであるという課題があり、これは、民間企業のみでの解決は困難
であった。従って、プロジェクトの必要性と目的は明確であり、得られた研究
成果も相対的評価とはいえデータベースの量、評価手法の確かさは公共財とし
ての価値は十分認められる。
しかし、成果としては過酷な条件で使用する場合のフィルタ特性の評価試験
法をはじめて提案した段階であり、評価手法の検証には実機試験を十分行うこ
とが望ましかった。プロセスの効率向上に最も有効な耐熱温度の目標を設定し、
運転中のトラブルから得た実用上の真の課題を事前に十分抽出して、評価手法
の確立に向け、他のプロジェクトとの緊密な連携が必要であったと思われる。
また、対象を PFBC および IGCC への高温集塵技術の適用に限定しているが、
廃棄物燃焼などの集塵技術開発への応用も考えられ、広く成果の普及を検討す
べきであった。
(肯定的意見)
○高温脱塵技術は石炭利用プロセス、ごみ処理プロセスなどで実用化されればプロセ
スの高効率化に有効な要素技術になるのでプロジェクトの推進は必要だと思われ
る。
○NEDOが推進している環境調和型の石炭高効率利用技術のキーテクノロジーと
して不可欠な事業であり、事業目的、政策的位置付けは妥当である。
○研究開発は明確かつ妥当な開発目標のもと、フィルタに必要な要素を明確に評価で
きる手法を、各社・大学が有機的に連携した体制で基礎∼実ガス暴露実験、モデリ
ングまで系統的に実施されている。
○研究成果は相対的評価とはいえ、これまで全く存在しなかったフィルタ評価手法を
確立した点では、目標は達成できたものと考えられる。また、莫大なデータは、一
民間企業では収集できないものであり、高温集塵フィルタ選定のデータベースとし
て、非常に貴重なものであると考えられ、公共性に富んだ成果と判断できる。予算
額から考えて、費用対効果はあったと判断できる。
○今後、得られたデータベースの量、評価手法の確かさは、公共財としての価値が十
分あるので、フィルタ製造企業へのフィードバックがなされれば、高性能高温集塵
フィルタ開発への大きな指針を与える点でも実用化への間接的波及効果はあるも
3-1
のと考えられる。
○高温集塵技術の評価手法の開発という目的そのものは NEDO のプロジェクト課題
として評価できる。
○技術的に確立していないということから高温集塵技術の必要性は認められる。また、
多数のフィルタを収集し,特性を相互比較した点は評価できる。
○プロジェクト開始時点では、集塵フィルタの問題で PFBC の信頼性が損なわれがち
であるという課題があり、これは、民間企業のみでの解決は困難であった。従って、
プロジェクトの必要性と目的は明確であり、貴重な成果が得られたと考える。
○高温集塵技術は石炭燃焼、ガス化技術において高効率化を達成するための中核的技
術の一つであり、その重要なパーツであるフィルタの一般的な評価手法を確立する
ことは、フィルタメーカ、プロセス開発技術者双方にとってメリットがあり、国の
知的な財産として確立することが望ましいテーマであった。また、廃棄物燃焼、ガ
ス化技術における集塵技術の評価手法として波及効果があれば、より一層プロジェ
クトの価値が深まると思われる。
(問題点・改善すべき点)
●開発の目的は高温集塵用フィルタの性能評価手法にあるため、実用化の道筋が不明
確である。22 種のフィルタを選定し基礎物性試験、小型評価試験,実ガス暴露試
験を行い、評価しているが、実機試験を行っていないので、この試験評価法で実用
装置での性能を評価できるかどうか明らかでなく、この手法が確立されたとはいえ
ない。フィルタの選別試験方法を明らかにしたといえる。
●また酸化雰囲気で 950℃、還元雰囲気で 750℃の耐熱温度の目標値を掲げているが、
プロセス側からの検討が不足していると思われる。プロセスの効率向上にもっとも
有効な温度を選ぶべきである。すでに国家プロジェクトで開発が進められている
IGCC,PFBC の重要な技術であるので更に緊密な関連を持った開発が必要である。
●他の石炭高効率発電関連のNEDO事業との有機的な連携のもと実施すべきであ
った。それによって、他のNEDO事業の早期実用化が促進され本事業の有用性が
具体的な形で現れたと考えられる。
●フィルタ製造企業の協力体制を強化できておれば、もっと有効に研究が推進したも
のと考えられる。また、実機試験を他のプロジェクトと連携して実施すべきであっ
た。
●相対的評価手法から普遍的なものとする点と望むフィルタの製造指針を与えるた
めに、フィルタの物理的物性、化学的物性とを結びつけるアプローチもなされるべ
きであった。
●対象を PFBC および IGCC への高温集塵技術の適用に限定したために、研究開発
成果の普及・活用の道が不透明となっている。
●高温集塵技術の評価手法としての妥当性を示す根拠が不明確である。
●高温集塵技術を実用化する上での真の課題(PFBC商用プラントで遭遇したトラ
3-2
ブル)が摘出されていないので,いかなる観点でフィルタ材を評価したらよいのか
が明らかにされていない。
●高温集塵技術が確立されていないことは認めるとしても,これを適用する PFBC,
IGCC の実用化が不透明であり,したがって支援事業の公共性という点で問題はな
かったか疑問である。
●最近の大型プラントではサイクロンが用いられている。H13 年度まで PFBC 向け
フィルタの検討を続ける必要があったかどうかは疑問。また、本件は明確なユーザ
が存在するが、成果がユーザにとって意義があったのか不透明。このため、成果の
価値判断がしにくい。本プロジェクトがユーザにとってどのようなメリットがあっ
たのか、示していただけると有り難い。
●産業界から全幅の信頼をおいて一般的な評価手法として認知されるような手法、す
なわち規格化できるような手法の確立までには至っていない。
(その他の意見)
△得られた莫大なデータは、広く公共で使われるべきものである。その普及が実行さ
れれば本事業の意義は大きい。
3-3
(2)今後に対する提言
研究の主体性や開発した評価手法のユーザを明確にすべきであり、スピーデ
ィで効率のよい開発を推進するには、本評価、解析を必要としているメーカや
ユーザの参画が不可欠である。
また波及効果をもたらすには、公開データのフォーマットの整備、データ公
開の手段と公共への浸透効果などの具体的なアクションプランが必要である。
今後は、NEDOの他プロジェクトにて、実機テストの導入などを検討し、本
事業の成果をさらに実証していくことが望まれる。さらに石炭利用に限らず広
く廃棄物燃焼・ガス化などへの適用拡大をめざして、高温集塵技術の可能性評
価や普遍的な評価手法、高性能フィルタ設計指針の開発を目的にした基盤研究
として展開することが望まれる。
(今後に対する提言)
○研究の主体性がどこにあるのか不明確である。高温集塵フィルタの評価手法が開発
されたら誰が使うのか不明確である。委託先は CCUJ となっているが、今後開発
された評価手法を武器に高温集塵フィルタの開発を推進するとは思われない。実際
の研究は再委託先で行われているので開発の責任体制も不明確になると思われる。
開発を必要としているメーカに直接委託することがスピーディで効率の良い開発
に繋がると思われる。
○波及効果をもたらすには、公開データのフォーマットの整備、データ公開の手段と
公共への浸透効果などの具体的なアクションプランが必要である。
○NEDOの他プロジェクトにて、実機テストの導入などを検討し、本事業の成果を
さらに実証していくことが望まれる。
○本事業のデータを提供することにより、さらに普遍的な評価手法、高性能フィルタ
設計指針を開発することを目的に、大学研究者向け基盤研究に展開していくことが
望まれる。
○石炭利用技術への適用に限らず、廃棄物燃焼・ガス化など、広く高温集塵技術の適
用の可能性を評価するべきである。
○評価手法の有用性は,それを適用したプラントが所定時間所期の性能を発揮して初
めて確認されるべきものである。NEDO は本プロジェクトに対してもっと実用的,
したがって公共性のある成果を要求できたのではないかと考えられる。特に,実ガ
ス試験の結果は高温集塵技術の保証を何ら裏付けるものになっていない。
○本プロジェクトの成果は次段階の研究(恐らく「高温集塵実用化技術の開発」
)に
は反映できないであろう。
○本件のように、ユーザが明確な場合には、ユーザ代表の参加も望む。今回は、実施
者、評価者のどちらにも、ユーザ代表がいなかった。
○こうした手法の確立を目指した国家プロジェクトは珍しく、推進する価値のあるも
のと思われる。一方で、成果がより広く普及するためには、規格化、標準化が必須
3-4
であると思われ、そのためのプロジェクトのフォーメーション、予算的措置に気を
配られると良いと思われます。また、本プロジェクトは、波及効果として廃棄物利
用技術への展開が当初から予想されていたものと思われ、このように波及効果が当
初から明確に予想できるものについては、プロジェクトの推進に当たって、周辺動
向調査も含めプロジェクト開始当初から意識した運営がなされると、より価値の大
きい成果が得られるのではないかと思います
(その他の意見)
△JIS規格のような形で、セラミック製造企業に利用してもらう手段を講じること
が望まれる。
△成果発表が若干少ない。今後、この種の研究成果は各種情報誌に解説・総説として
執筆することが望まれる。
3-5
2.各論
(1)事業の目的・政策的位置付けについて
高温集塵技術はクリーンで高効率な石炭利用プロセスの核となる技術である
が、この種の研究は一民間企業でできる類のものではなく、国として実施すべ
き公共性のある事業であるといえる。
しかし、他の稼働中の実用規模プロセスとの連携がなく、国家プロジェクト
としてのメリットが生かされなかったため、実機データが不足して評価手法の
確立まで至らなかったのは残念である。また、PFBC では高温集塵が重要であ
るが PFBC そのものの将来性が不透明であり、IGCC については、高温集塵の
必要性が必ずしも明確ではない。こうした中で、PFBC と IGCC 以外への適用
も視野に入れるべきであった。
(肯定的意見)
○クリーンで高効率プロセスの開発は重要であり、高温集塵技術は将来の高効率石炭
プロセスの核となる技術であるので国家プロジェクトとして推進することは望ま
しいと思われる。
○NEDOが実施している各種石炭高効率ガス化技術の重要な共通要素技術の一つ
であり、CO2削減に直結した環境調和型石炭利用技術の鍵となる技術でもあり、
国として実施すべき公共性のある事業と考えられる。また、この種の研究開発は一
民間企業でできる類のものではない。よって、事業目的、政策的位置付けは妥当で
ある。
○高温集塵技術は国家的な重要課題である。
○技術的には確立していないということから高温集塵技術の必要性は認められる。
○本案件(市販フィルタの評価)は、民間のみでの実施は困難であるし、たとえ実施
できても、評価の客観性に欠ける。従って、国の関与は必須であった。
○本研究の課題は、フィルタの選択に当たっての横並び評価を行い、評価技術を確立
するとともに、さらなるフィルタ開発への情報を得ることにある。本技術は、全体
プロセスの中のパーツという位置付けではあるものの、規模、必要とされる予算共
に大きく、またエネルギー、環境問題を鑑みて公共性も大きく、国が政策的に取り
組む価値のある課題であった。
(問題点・改善すべき点)
●すでに実用規模のプロセスが運転されており、連係を持って開発を進めることが必
要と思われるが、独立して推進しており、国家プロジェクトとしてのメリットが生
かされていないのは残念である。そのため実機データが不足しており、評価手法の
確立まで至っていないのは残念である。PFBC で高温脱塵方式が採用できないのは
信頼性に欠け、メインテナンスに費用がかかるためである。今回の成果により
PFBC で高温脱塵方式が採用可能であることを主張できるか疑問である。
3-6
●PFBC では高温集塵が重要であるが PFBC そのものの将来性が不透明であり、
IGCC については、高温集塵の必要性が必ずしも明確ではない。こうした中で、
PFBC と IGCC への適用に的を絞った高温集塵技術の評価手法を確立させる国家的
必要性が不明確である。
●三菱重工業が北海道電力/苫東厚真でPFBCに高温集塵法を採用し,自社技術開
発を推進している等の状況下にあって,国家プロジェクトとする必要性があったの
かどうか疑問である。
●高温集塵技術の開発に取り組むならば,「見事に高温集塵して見せる」ことが必要
である。「本プロジェクトの結果,高温集塵技術の実用化が推進される」という実
感が持てない。
●強いて挙げると、PFBC の立ち上がり時期から考えて、数年早く実施されるとよか
った。数年早いと、大型 PFBC の開発に、本成果が十二分に活用できた。
●本成果の技術水準については、他国との比較をして頂きたい。現状の資料では、国
際競争力の判断が充分できない。
(その他の意見)
△得られた莫大なデータは、広く公共で使われるべきものである。これが実行されれ
ば本事業の意義は大きい。
3-7
(2)研究開発マネージメントについて
高温集塵技術の評価手法開発のために、入手できるフィルタを系統的に収集
し、フィルタに必要な要素を明確に評価できる手法を基礎試験から実ガス暴露
実験まで行っているという観点では、研究開発計画及び実施体制は概ね妥当で
あった。
しかし、目標値である「フィルタ材料性能評価手法確立」の必要条件が不明
確であり、既存の商用あるいはパイロットプラントにおいて発生した問題点の
摘出を十分に行うと同時に、プロセス面に立脚した目標設定をすべきであった。
また、実ガス試験による性能確認を十分行うことが望ましかった。
(肯定的意見)
○高効率発電のために適切なフィルタ材料という明確な開発目標が設定されている。
また、入手できるフィルタを系統的に収集し、フィルタに必要な要素を明確に評価
できる手法を基礎試験∼実ガス暴露実験まで行っている、これによって、これまで
手探りで使用してみないと判らなかった高温集塵用フィルタを選定できる一手段
を得たことは明らかである。このように、計画、それを実施する体制も妥当で予算
額から考えて、費用対効果はあったと判断できる。さらに、中間評価時の評価事項
もワーキンググループ、委員会を定期的に開催して議論を実施しながら後半の研究
で確実に反映されている。
○高温集塵技術の評価手法開発という観点では、研究開発計画および実施体制は概ね
妥当である。
○中間評価の段階において当初の計画からの軌道修正がなされ、それに沿ってプロジ
ェクトが推進されてきたものと思われる。
(問題点・改善すべき点)
●目標の立て方に問題があり、プロセス面から設定することが望ましい。目標値であ
る「フィルタ材料性能評価手法確立」とはどのような条件を満たしたら確立といえ
るのか不明確であり、目標値となっていない。これは取りまとめ体制にも問題があ
ると思われる。開発に当たっては実機プラントサイドとの連携が必要だと思われる。
●フィルタ製造企業の協力体制を強化できておれば、もっと有効に研究が推進したも
のと考えられる。また、実機試験を他のプロジェクトと連携して実施すべきであっ
た。
●特に実用化されている材料が評価対象に含まれていないなど、高温集塵材料の評価
対象範囲が不十分である。
●プロジェクトの目標はあくまでも「高温集塵技術の開発」にあった筈である。北海
道電力/苫東厚真等の商用あるいはパイロットプラントにおいて発生した問題点
の摘出が不十分である。したがって,実用化に向けて「フィルタ材料評価」をいか
なる観点から行うべきかが明らかにされていない。
●メーカから提供されたフィルタ材料を相互評価しただけで,高温集塵の実用化が促
3-8
進されるとは考えられない。
●開発された評価手法の妥当性は,それを反映して行われた実ガス試験で然るべき成
果を上げることによって確認されるべきである。
●腐食試験‐脱塵試験‐実ガス試験の連携が必ずしも十分ではなかったのではない
かと思われる。実ガス試験によってもっと問題点を摘出し,また実ガス試験によっ
て性能確認すべきであった(マネージングすべきであった)のではないか。
●真に国家プロジェクトとして高温集塵技術を開発し,PFBCやIGCCの実用化
を推進しようとするならば,北海道電力や三菱重工業を途中からでも参画させるべ
きだったのではなかったか。
●成果目標が不明確である。研究目的が評価であるなら、評価技術として必要な技術
水準を今一度設定し、成果のレベル評価をして頂きたい。また、その際には、評価
技術としての国際レベル(これには、評価基準が公開されているかも含む)の自己
判定もして頂きたい。
●他の石炭高効率発電関連のNEDO事業との有機的な連携のもと実施すべきであ
った。それによって、他のNEDO事業の早期実用化が促進され本事業の有用性が
具体的な形で現れたと考えられる。今後、このような各プロジェクト間の連携を促
進させる体制をNEDOとして改善していくことが望まれる。
●研究開発の意義と目標をさらに明確にして、規格化、標準化を目指して研究が推進
されるべきではなかったかと思われる。
(その他の意見)
△特になし
3-9
(3)研究開発成果について
相対的評価とはいえ、多数のフィルタを収集し、特性を相互比較したこと、
特に小型脱塵試験によって各フィルタの脱塵、逆洗特性を把握したことは評価
できる。つまり、評価のための試験手法の提案としては高く評価できるが、実
ガスによる実証が試験装置などの制約から十分行われておらず、強度、腐食性、
脱塵のいずれの試験もフィルタ材を相互比較しているにとどまっている。今後、
実証試験の実施を工夫し、実用的なフィルタ材の選定につながる評価手法の確
立までなされることが望まれる。
また、査読付きの原著論文としての成果発表が少なく、国際的に見て、研究
開発成果がどの程度の水準にあるか判断できない。
(肯定的意見)
○高温脱塵の機構、フィルタの材質について設計基準が明らかになったことは一歩前
進したと評価できる。
○相対的評価とはいえ、これまで全く存在しなかったフィルタ評価手法を確立した点
では、目標は達成できたものと考えられる。特に、簡便な基礎物性評価手法を確立
し、高温集塵で重要な要素となる脱塵性、逆洗挙動、耐食性を評価する方法を、体
系的に実験を実施するとともに、シミュレーションモデルの開発まで実施しており、
十分独創性がある。また、莫大なデータは、一民間企業では収集できないものであ
り、高温集塵フィルタ選定のデータベースとして、非常に貴重なものであると考え
られ、公共性に富んだ成果と判断できる。さらに、評価結果に基づき、高温集塵性
能に優れたフィルタの構造を提示したことは意義深い。
○高温集塵材料評価結果の膨大なデータベースが得られたことは評価できる。
○多数のフィルタを収集し,特性を相互比較したこと,特に小型脱塵試験によって各
フィルタの脱塵,逆洗特性を把握したことは評価できる。ただし,それによって高
温集塵技術が高度化されたとは考えられない。
○与えられた予算と体制から判断して、目標とされた成果はほぼ得られたのではない
かと思われる。
(問題点・改善すべき点)
●実機データとの対応が不十分なため評価手法の確立まで至っていないことは残念
なことである。
●相対的評価手法から普遍的なものとする点と望むフィルタの製造指針を与えるた
めに、フィルタの物理的物性、化学的物性とを結びつけるアプローチもなされるべ
きであった。
●高温集塵技術の評価手法が確立されたとする根拠が不明確である。
●得られたデータベースの活用の見通しが不明確である。
●強度,腐食性,脱塵のいずれの試験もフィルタ材を単に相互比較しているに過ぎず,
3-10
その結果から実用的なフィルタ材を選定することはできない。高温集塵を実用化す
る上での課題が摘出されていないことが最大の問題である。
●「今回の研究成果がフィルタ開発の指針になる」と公表することには疑問を感じる。
●実ガス試験によってフィルタ材評価手法の妥当性を実証すべきであった。つまり、
実ガス試験の結果は中途半端な感じを与える。
●炭種の影響に関するデータが欲しい。
●査読のある原著論文が少なすぎます。公共性のある評価技術の開発が主目的ならば、
発表論文数は、成果を判断する上で重要な因子です。学会発表のみでは、多くの専
門家に認められたとは言い難いと思います。
(その他の意見)
△成果発表が若干少ない。今後、この種の研究成果は各種情報誌に解説・総説として
執筆することが望まれる。JIS規格のような形で、セラミック製造企業に利用し
てもらう手段を講じることが望まれる。
3-11
(4)実用化、事業化の見通しについて
評価手法の確立という本事業の目的から考えると、得られたデータベースの
量、評価手法の確かさは、公共財としての価値は十分ある。
しかし、実機での試験が十分行われておらず、実用的な評価手法を提案した
という段階であり、今後さらに実機ベースでの評価データの積み上げが必要で
ある。
また、研究開発成果を誰がどのように活用するのかの明確なビジョンがない。
本成果の最大の受益者はフィルタのメーカや PFBC プラント等のユーザであ
り、実用化可能性の評価のためには、メーカやユーザの意見を確認する必要が
ある。
(肯定的意見)
○高温フィルタの設計指針は明らかになってきたと思われる
○評価手法の確立という本事業内容から考えると、データがフィルタ選定のために広
く利用されることと評価手法が使用されることにある。この点から考えると、得ら
れたデータベースの量、評価手法の確かさは、公共財としての価値が十分ある。ま
た、フィルタ製造企業へのフィードバックがなされれば、高性能高温集塵フィルタ
開発への大きな指針を与える点でも実用化への間接的波及効果はあるものと考え
られる。
○横並び評価としては役割を果たした。
(問題点・改善すべき点)
●実機での試験が十分でなく評価手法が確立されていない。実用化に当たっては更に
実績データの積み上げが必要である。酸化雰囲気で高温フィルタを使用するために
は未燃カーボンの燃焼の問題があり、又多量のガスを処理するためにはフィルタを
多段に組上げ保持する方式の開発など、検討すべき課題が残っている。
●波及効果をもたらすには、公開データのフォーマットの整備、データ公開の手段と
公共への浸透効果などの具体的なアクションプランが必要である。Webでの公開
という一方向だけでは不十分で、それを浸透させるための手段も併せて考えていく
必要がある。また、NEDOの他プロジェクトにて、実機テストの導入などを検討
し、本事業の成果をさらに実証していくとともに、本事業のデータを提供すること
により、さらに普遍的な評価手法、高性能フィルタ設計指針を開発することを目的
に、大学研究者向け基盤研究に展開していくことが望まれる。
●研究開発成果を誰がどのように活用するのかの明確なビジョンがない。
●「高温集塵技術の実用化に当たっての真の問題点は何か?」について徹底的に検討
すべきであろう。今回の成果を基に実機適用可能なフィルタを選定(又は開発)で
きるとは考えられない。
●実用可能な高温集塵システムの開発を目指すべきだったのではないだろうか?
3-12
NEDOとしてはこれを目指したが,プロジェクト実施の過程で「→評価手法→相
対評価」という妥協をしてしまったことにより,事業化に貢献できる成果に繋がら
なかったように思われる。実用化可能で公共性がある成果を求めるべきだったので
はないだろうか。
●本成果の最大の受益者は、PFBC プラント等のユーザと思います。実用化可能性の
評価のためには、ユーザからの意見が聞きたいです。
●廃棄物関連分野への波及効果が見えるとなお良かった。実用化という観点からは判
断が難しい。本プロジェクト にとって規格化が実用化であるとすれば、当初から
そのような開発スキームに則って計画が推進されるべきであった。
(その他の意見)
△本事業は、事業化を目指したものではなく、例えば、新たなJIS規格の提案を実
施していくことが望まれ、そのためにも、実機テストと基礎物性試験の因果関係を
明確にしていくことが必要と考えられる。
△高温集塵技術を廃棄物やバイオマスなどの石炭以外の燃料に適用する場合は、本研
究開発で取り上げた評価手法のみでは不十分である。
3-13
第4章
評点法による評点結果
第4章 評点法による評点結果
「石炭利用次世代技術開発調査 環境調和型石炭燃焼技術分野<高温石炭燃焼ガス
集塵技術>」に係わる事後評価の実施に合わせて、下記に基づき、本分科会委員によ
る「評点法による評価」を実施した。
1. 経緯
(1)評点法の試行
通商産業省(当時)において、平成 11 年度に実施されたプロジェクトの
評価(39 件)を対象に、評点法を試行的に実施した。その結果を産業技術
審議会評価部会に諮ったところ、以下の判断がなされた。
数値の提示は評価結果の全体的傾向の把握に有効
評価者が異なっていてもプロジェクト間の相対的評価がある程度可能
(2)評点法の実施
平成 12 年 5 月の通商産業省技術評価指針改訂にて「必要に応じ、評点法
の活用による評価の定量化を行うこととする」旨規定された。
以降、プロジェクトの中間・事後評価において、定性的な評価に加え各評
価委員の概括的な判断に基づく評点法が実施されている。
2.評点法の目的
評価結果を分かりやすく提示すること
プロジェクト間の相対評価がある程度可能となるようにすること
3.評点の利用
評価報告書を取りまとめる際の議論の参考
評価報告書を補足する資料
分野別評価、制度評価の実施において活用
4.評点方法
(1)評点の付け方
各評価項目について4段階(A、B、C、D)で評価する。
(2)評点法実施のタイミング
第 1 回分科会において、各委員へ評価コメント票とともに上記(1)の点数の
記入を依頼する。
評価報告書(案)を審議する前に、評点結果を委員に提示、議論の際の参
4-1
考に供する。
上記審議を行った分科会終了後、当該分科会での議論等を踏まえた評点の
修正を依頼する。
評価報告書(案)の確定に合わせて、評点の確定を行う。
(3)評点結果の開示
評点法による評点結果を開示するが、個々の委員記入の結果(素点)につ
いては、「参考」として公表(匿名)する。
評点法による評価結果の開示については、あくまでも補助的な評価である
ことを踏まえ、評点のみが一人歩きすることのないように慎重に対応する。
具体的には、図表による結果の掲示等、評価の全体的な傾向がわかるよう
な形式をとることとする。
4-2
5.評点結果
2.3
1.事業の目的・政策的位置付け
1.5
2.研究開発マネジメント
1.8
3.研究開発成果
1.0
4.実用化・事業化の見通し
0.0
1.0
評価項目
2.0
3.0
平均値
素点(注)
1.事業の目的・政策的位置付けについて
2.3
A B A B C A
2.研究開発マネジメントについて
1.5
C B B C C B
3.研究開発成果について
1.8
B B B B D A
4.実用化・事業化の見通しについて
1.0
C C C C C C
(注)A=3,B=2,C=1,D=0として事務局が数値に換算。
4-3
<参考>
評点法
【記入方法、結果取扱いについて】
・各委員からは、各項目について、A、B、C、Dのいずれかを記入してく
ださい。
・各委員記入の結果(素点)は、「参考」として公表(匿名)いたします。
(1)事業の目的・政策的位置付けについて
<判定基準>
・非常に重要
→B
・概ね妥当
・妥当性がない又は失われた
→C
→D
(2)研究開発マネージメントについて
・概ね適切
・適切とはいえない
(3)研究開発成果について
<判定基準>
・非常によい
・よい
・概ね妥当
・妥当とはいえない
B
C
D
A
B
C
D
A
B
C
D
A
B
C
D
→A
・重要
<判定基準>
・非常によい
・よい
A
→A
→B
→C
→D
→A
→B
→C
→D
(4)実用化、事業化の見通しについて
<判定基準>
・明確に実現可能なプランあり →A
・実現可能なプランあり
→B
・概ね実現可能なプランあり
→C
・見通しが不明
→D
以
4-4
上
評価項目
事業の目的・政策的位置付け
評点
[ A B C D ]
評価に当たっての考慮事項
評価(委員限り)
非常に重要→A
NEDOの事業としての妥当性
[ a b c d ]
重要→B
事業目的・政策的位置付けの妥当性
[ a b c d ]
非常によい→A
研究開発目標の妥当性
[ a b c d ]
よい→B
研究開発計画の妥当性
[ a b c d ]
概ね適切→C
研究開発実施者の事業体制の妥当性
[ a b c d ]
適切とはいえない→D
研究開発実施者の運営の妥当性
[ a b c d ]
情勢変化への運営の妥当性
[ a b c d ]
非常によい→A
計画と比較した目標の達成度
[ a b c d ]
よい→B
要素技術から見た成果の意義
[ a b c d ]
概ね妥当→C
成果の普及広報
[ a b c d ]
妥当とはいえない→D
成果の公共性
[ a b c d ]
明確に実用可能なプランあり→A
成果の実用化可能性
[ a b c d ]
実現可能なプランあり→B
波及効果
[ a b c d ]
概ね実現可能なプランあり→C
事業化までのシナリオ
[ a b c d ]
概ね妥当→C
妥当性がない又は失われた→D
研究開発マネージメント
研究開発成果
実用化、事業化の見通し
[ A B C D ]
[ A B C D ]
[ A B C D ]
見通しが不明→D
4-5
参考資料1
プロジェクトの概要説明資料
本資料は、第1回「石炭利用次世代技術開発調査 環境調和型石炭燃焼技術分野<
高温石炭燃焼ガス集塵技術>」(事後評価)分科会において、プロジェクト実施者が
プロジェクトの概要を説明する際に使用したものである。
石炭利用次世代技術開発調査
環境調和型石炭燃焼技術分野
石炭燃焼ガス高温集塵技術
事後評価説明資料
平成14
平成14年10月11日
14年10月11日
新エネルギー・産業技術総合開発機構
石炭利用総合センター
表紙
1
石炭利用次世代技術開発調査の目的
革新的なクリ−ン・コ−ル・テクノロジー開発
世界的なエネルギ−需要が今後増大すると予想される一
方、地球環境問題が国際的な最重要課題として認識されて
いる。
この地球環境問題への対応として、21
この地球環境問題への対応として、21世紀における
21世紀におけるCO
世紀におけるCO2等
の環境負荷の低減を図る。
石炭利用次世代技術の調査研究
石炭利用次世代技術の 研究調査
研究 調査を行い、当該技術が実用
化研究へ進めるべきかどうかの可能性を見極めるた
めの基礎的な研究調査
New Energy and Industrial Technology Development Organization
参考資料1-1
2
石炭利用次世代技術開発調査スケジュール
4年度 5年度 6年度 7年度 8年度 9年度 10年度
10年度 11年度
11年度 12年度
12年度 13年度
13年度 14年度
14年度 15年度
15年度
('92)
('93)
('94)
('95)
('96)
('97)
('98)
('99)
('00)
('01)
('02)
('03)
環境調和型石炭燃焼技術分野
・トッピング燃焼技術
・酸素燃焼技術
・高度排煙処理技術
活性炭素繊維による脱硫・脱硝
未利用Ca
未利用Ca及びラジカル剤による脱硫・脱硝
Ca及びラジカル剤による脱硫・脱硝
・微量元素の測定及び除去技術
石炭熱分解技術分野
高ガス収率熱分解技術
高度石炭改質技術分野
高度石炭改質技術
事後 評 価
中間 評価
・高温石炭燃焼ガス集塵技術
高液収率熱分解技術
乾式石炭改質技術
~H19
~H19年度
H19年度
ハイパ-コール
利用高効率燃焼技術の開発
New Energy and Industrial Technology Development Organization
3
事後評価対象プロジェクト
<環境調和型石炭燃焼技術分野>
(1) トッピング燃焼技術 (H 7年度
7年度 終了)
終了)
(2) 酸素燃焼技術 酸素燃焼技術 (H11年度
H11年度 終了)
終了)
(3) 高度排煙処理技術 高度排煙処理技術 (
(H 7∼
7∼14年度
14年度)
年度)
(4) 微量元素の測定及び除去技術 (H11∼
H11∼15年度
15年度)
年度)
(5) 高温石炭燃焼ガス集塵技術 (H13年度
H13年度 終了)
終了)
<石炭熱分解技術分野> (H13年度
H13年度 終了)
終了)
<高度石炭改質技術分野> (
(H12年度
H12年度 終了)
終了)
<ハイパーコール利用高効率燃焼技術の開発>
(H14∼
H14∼19年度
19年度)
年度)
New Energy and Industrial Technology Development Organization
参考資料1-2
4
研究委託先の選定経緯
石炭利用次世代技術に関する専門能力及び知見を有し、さらに
石炭利用分野に係わり、且つ情報収集能力、計画策定能力を有
する機関に委託することとし、関連の団体などを比較検討し、
((財)石炭利用総合センター(
石炭利用総合センター(CCUJ)
CCUJ)
国(
国(通産省 資源エネルギー庁)
資源エネルギー庁)のコールフロンティア懇談会の提
言を受け、石炭利用に係わる供給、需要、ボイラー設備等にか
かわる会社が出資した財団法人で、経営基盤が安定している。
平成
平成4
随意契約)
平成4年度 委託先選考委員会にて承認 (随意契約)
New Energy and Industrial Technology Development Organization
5
石炭利用次世代技術開発調査
環境調和型石炭燃焼技術分野
石炭燃焼ガス高温集塵技術
事業概要
(H8~13年度
8~13年度)
年度)
New Energy and Industrial Technology Development Organization
参考資料1-3
6
背 景
石炭はわが国にとって重要なエネルギー源
使用上の
課 題
対応策
石炭使用によるCO2排出量 増加
地球温暖化等環境への負荷増大
高効率発電システムの開発
New Energy and Industrial Technology Development Organization
7
高効率発電システムの開発
(HHV)
55
電
効
率
発
微粉炭
流動床
石炭ガス化
50
PFBC
24..6 MPa
24
593/
593/593℃
45
(%)
40
微粉炭焚
24.
24.1 MPa
538/
/538℃
538
1980
A-PFBC
470MW
1350℃
(概念設計)
概念設計)
IGCC 1500℃
1500℃
(湿式)
湿式)
PFBC
360MW
24..1 MPa
24
593/
593/593℃
炭焚
微粉
1990
IGFC
(石炭ガス化燃料電池)
石炭ガス化燃料電池)
55% 以上
床
動
流
圧
加
USC
24.
24.5 MPa
600/
/600℃
600
USC
30..6 MPa
30
630/
630/630℃
IGCC
250MW
1200℃
実証機
若松PFBC実証
2000
2010
2020
2030(年)
New Energy and Industrial Technology Development Organization
参考資料1-4
8
高効率発電における高温集塵装置の必要性
参考:PFBC
850℃
850℃
集塵装置
排熱回収ボイラ
発電機
G
石炭
ガスタービン
排気スタック
石灰石
発電機
PFBC圧力容器
PFBC圧力容器
G
蒸気タービン
集塵装置設置箇所
復水器
New Energy and Industrial Technology Development Organization
9
集塵方式比較
集塵方式
サイクロン
サイクロン
長 所
短 所
・微小粒子の捕集が難
・高温域での捕集性能低下
バグフィルタ
・高捕集性能
・低圧力損失
・高温域において機械的
強度が低下
多孔質焼結体
・高捕集性能
・機械的強度が高い
・圧力損失が大きい
・熱衝撃によるフィルタの破損
電気集塵
・高効率
・低圧力損失
・高温域での使用は難
粒子充填層
・構造が簡単
・低運転費
・微小粒子の捕集が難
・捕集ダストの除去が難
フィルタ
・構造が簡単
・低運転費
New Energy and Industrial Technology Development Organization
参考資料1-5
10
フィルタ集塵装置の一例
ガス入口
ガス入口
エジェクタ
チューブフィルタ
チューブフィルタ
電源開発 若松PFBC
セラミックチューブフィルタ
ガス出口
ガス出口
(内面ろ過方式)
(内面ろ過方式)
New Energy and Industrial Technology Development Organization
11
国内PFBCにおける集塵装置の現状
プラント
電源開発株式会社
若松
北海道電力株式会社
苫東厚真3号機
中国電力株式会社
大崎発電所
九州電力株式会社
苅田発電所新1
苅田発電所新1号機
出力
集塵装置
運開年度
(MW)
セラミックフィルタ
実証試験
71
チューブ型
平成11
11年終了
平成
11年終了
85
セラミックフィルタ 平成10
平成10年
10年3月
チューブ型
250
サイクロン
平成12
平成12年
12年11月
11月
360
サイクロン
平成13
平成13年
13年7月
大型PFBC
大型PFBCではフィルタ集塵装置は未設置
PFBCではフィルタ集塵装置は未設置
New Energy and Industrial Technology Development Organization
参考資料1-6
12
フィルタ導入の課題
電源開発 若松実証試験
当初フィルタ集塵トラブル発生
限られたフィルタに関する情報のみ
海外プラント
情報非公開
フィルタ集塵に対する信頼性不十分
国内新規大型PFBC
国内新規大型PFBCでは未使用
PFBCでは未使用
New Energy and Industrial Technology Development Organization
13
本プロジェクトの位置づけ
高温集塵用フィルタ材の性能評価法が未確立
高温集塵用フィルタ材選定・開発困難
高温集塵用フィルタ材料評価手法確立
高温集塵用フィルタ開発指針の提示
高効率石炭燃焼発電技術開発推進への寄与
New Energy and Industrial Technology Development Organization
参考資料1-7
14
NEDOの関与の必要性
高効率発電技術において重要な要素となる高温
石炭燃焼ガス集塵技術について
・より多くのフィルタに関する情報
・異なる分野の連携
(ユーザー、メーカー、研究機関)
・難度の高い技術
(高温度域での灰の挙動、アルカリの影響)
・偏りのない評価手法
New Energy and Industrial Technology Development Organization
15
評価手法概念図
基礎物性試験
評
技術動向・開発課題調査
・材料強度試験
(Oリング圧環試験)
Oリング圧環試験)
・熱衝撃試験
価
小型評価試験
手
法
・模擬ガス曝露腐食試験
・脱塵性能試験
・熱応力試験(
・熱応力試験(疲労寿命評価)
疲労寿命評価)
・灰・ガス性状の検討
灰・ガス性状の検討
・灰付着性の検討
灰付着性の検討
・エレメント腐食性の検討
エレメント腐食性の検討
・灰払落し性の検討
灰払落し性の検討
・集塵技術の検討
集塵技術の検討
サンプルフィルタ作成
サンプルフィルタ作成
実ガス暴露試験
使用環境に有望なフィルタの選定
New Energy and Industrial Technology Development Organization
参考資料1-8
16
開 発 目 標
石炭燃焼ガス高温集塵技術
項
目
フィルタ材料評価手法
開発目標
・フィルタ材料性能評価手法確立
酸化雰囲気 950℃
950℃ (PFBC条件
PFBC条件)
条件)
700℃
還元雰囲気 700
℃ (IGCC(ガス化
IGCC(ガス化)
ガス化)条件)
条件)
使用可能フィルタ性能評価手法確立
PFBC使用環境
PFBC使用環境 :
<酸化雰囲気>
酸化雰囲気>
IGCC使用環境
IGCC使用環境 :
<還元雰囲気>
還元雰囲気>
850
850℃
850℃ + 100
+ 100℃ = 100℃ = 950
℃ = 950℃
950℃
(現状 PFBC使用環境)
PFBC使用環境) (
(開発目標環境)
開発目標環境)
現状450
450℃程度であるが、
現状
450
℃程度であるが、
600
600℃ 600℃ + 100
+ 100℃ = 100℃ = 700
℃ = 700℃
700℃
(材料の使用可能温度域)
材料の使用可能温度域) (開発目標環境)
開発目標環境)
New Energy and Industrial Technology Development Organization
17
選定22
選定22種フィルタ
22種フィルタ
メーカー
1 日本シューマ ッハー
日本ポール
2
3
京セラ
4 ACI( アライドシグナル)
住友3M
5
型
構
式
分 類
支持層
Dia-Schumalith T10-20
ムライト
SiC
Vitropore 326
SiC
SiC
モノリシック
コージェライト
コージェライトフィルタ
PRD-66
アルミナ
ア ルミナ/ ムライト/ コ ージ ェライト繊維
セラミッ クコンポジットフィルタ 203
ア ルミ ナ短繊 維+ S iCマ トリ ッ クス
硼酸 ア ルミノシリ ケ ート長繊維 + S iCマ トリ ッ クス
住友3M
セラミックコンホ ゚ジットフィルタ
7
宇部興産
セラミック繊維強化セラミックフィルタ
ア ルミ ナ短繊 維+ ア ルミ ノシリ ケ ートマ トリ ッ ク ス ア ルミナ長 繊維 + ア ルミノシリ ケ ートマ トリ ッ ク ス
ムライト
セラミッ ク繊維強化( 1)
S iC繊維+ ムライトマ トリ ッ ク ス
ア ルミナ繊 維+ ムライトマトリ ッ ク ス
セラミッ ク繊維強化(2)
ムライト
ファインフレックス モールドタイプ
ムライト被覆 ア ルミナ繊 維+ ムライトマ トリ ッ ク ス
繊
維
強
化
セ
ラ
ミ
ッッッッ
6
8 ファインセラミックス センター
9 ファインセラミックス センター
ニチアス
10
造
ろ過層
ク
ス
(アルミノシリケート+アルミナ)短繊維
11
ニチアス
ファインフレックス モールド強化タイプ
アルミノシリケート短繊維
12
ニチアス
硼酸アルミニウムウィスカー多孔体
硼酸アルミニウムウィスカー
13
日本ポール
PSSメタルフィルタ( SU S310SC)
SU S310SC
14
クボタ
金属系多孔体(1)
SUS3 16L
15
16
クボタ
金属系多孔体(2)
HU
クボタ
金属系多孔体(3)
SUSXM15J1
17
18
日本ポール
PSSメタルフィルタ( Fe -Al)
Fe- Al
日本ポール
Palloy2000(N i-Cr-Fe -Al)
N i-Cr-Fe -Al
19
住友3M
ネクス テル31 2フィルタバグ AB-22
アルミナ/シリカ/硼酸系繊維
20
21
住友化学工業
アルミナ繊維Altex フィルタハ ゙グ
アルミナ/シリカ系繊維
ニチアス
アルミナ繊維フィルタバグ
アルミナ/シリカ系繊維
22
ホソカワミクロン
金属繊維フィルタハ ゙グ
インコネル60 0
ウ ィス カ ー
合
金
金
属
金属間
化合物
-
-
セラ
ミッ
クス
金属
New Energy and Industrial Technology Development Organization
参考資料1-9
18
調査研究全体工程(
調査研究全体工程(高温石炭燃焼ガス集塵技術)
高温石炭燃焼ガス集塵技術)
H8年度 H9年度 H10年度 H11年度 H12年度 H13年度 H14年度
1.調査研究
・技術動向・開発課題抽出
・基礎データ収集
・集塵器内ダスト流れ解析
(高温集塵装置検討)
2.要素研究
・基礎物性試験
中
事
熱衝撃試験
間
後
・小型評価試験
評
評
価
価
基礎物性データ取得
模擬ガス曝露腐食試験
小型脱塵性能試験
熱応力解析
・実ガス曝露試験
脱塵性能確認試験
・サンプルフィルタ作製
New Energy and Industrial Technology Development Organization
19
調査研究体制 (高温石炭燃焼ガス集塵技術)
高温石炭燃焼ガス集塵技術)
経済産業省 資源エネルギー庁
新エネルギー・産業技術総合開発機構
石炭次世代・基盤技術委員会
石炭利用総合センター(
石炭利用総合センター(CCUJ)
調査委員会
検討委員会
委員長 金岡 千嘉男 金沢大学 教授 (H8∼
H8∼13)
委員 山口 明良 名古屋工業大学 教授 (H8∼
H8∼13)
委員 神谷 秀博 東京農工大学 助教授 (H8∼
H8∼13)
委員 二宮 善彦 中部大学 助教授
(H8∼
H8∼13)
13)
委員 牧野 尚夫 (
尚夫 (財)電力中央研究所
電力中央研究所
部長 (H8∼
H8∼13)
13)
委員 久保 幸雄 (財)ファインセラミックスセンター
副所長 (
副所長 (H8∼
H8∼11)
11)
委員 河本 洋 (財)ファインセラミックスセンター
所長代理 (H12∼
H12∼13)
委員長 電源開発(
委員長 電源開発(株)
委員 東京電力(
東京電力(株)
委員 中部電力(
中部電力(株)
委員 九州電力(
九州電力(株)
委員 バブコック日立(
バブコック日立(株)
委員 川崎重工業(
川崎重工業(株) 委員 (株)荏原製作所 委員 (株)ササクラ (H 8∼
8∼13)
(H 8∼
8∼13)
(H 8∼
8∼13)
(H 8∼
8∼13)
(H 8∼
8∼13)
(H 8∼
8∼13)
(H 8∼
8∼13)
(H12∼
H12∼13)
ワーキンググループ (研究協力先)
研究協力先)
九州電力(
九州電力(株) 電源開発(
電源開発(株) バブコック日立(
バブコック日立(株) 川崎重工業(
川崎重工業(株)
(
(株)荏原製作所 (
荏原製作所 (株)ササクラ (
ササクラ (財)ファインセラミックスセンター
New Energy and Industrial Technology Development Organization
参考資料1-10
20
検討・調査委員会、WG開催状況
実施回数
委員会
H8
2回
H9
5回
H10 H11 H12 H13
5回 3回 3回 4回
WG
4回
3回
5回
4回
3回
5回
主な助言内容
灰の挙動に関する実験室データからの助言
付着ダスト払落しに関する実験室データからの助言
若松実証実績から試験方法に関する助言
他
New Energy and Industrial Technology Development Organization
21
研究開発成果
22
参考資料1-11
キャンドルフィルタ
集塵装置の構造
ガス出口
キャンドル
フィルタ
ガス入口
23
フィルタ概念図
参考:繊維強化型(住友3M 酸化物コンポジット)
24
参考資料1-12
キャンドルフィルタによる集塵と逆洗
キャンドルフィルタによる集塵と逆洗
外面ろ過方式
集 塵
逆 洗
クリーンガス
フィルタ
逆洗ガス
クリーンガス
含塵ガス
含塵ガス
パーマネント
ケーキ
キャンドルフィルター
逆洗
ダスト剥離と落下
ケーキ
逆洗ガス
パーマネント
ケーキ
逆洗間隔
差圧Δ
差圧ΔP
差 圧: Δ P
ガス流れ時のエレメント
内外の差圧
時 間
25
高温集塵フィルターの問題点
(1)機械的応力による損傷 :
(1)機械的応力による損傷 (1)機械的応力による損傷 :
高温域での強度低下
(1)機械的応力による損傷 ::高温域での強度低下
(2)熱衝撃、熱疲労による損傷
(2)熱衝撃、熱疲労による損傷
・熱衝撃 :低温の逆洗ガス吹き込み、付着未燃粒子の燃焼
・熱衝撃 :低温の逆洗ガス吹き込み、付着未燃粒子の燃焼
・熱疲労 :粉塵の目詰まりによる逆洗圧の上昇
・熱疲労 :粉塵の目詰まりによる逆洗圧の上昇
(3)腐食による損傷
(3)腐食による損傷 :アルカリ等腐食性ガスによる浸食反応
:アルカリ等腐食性ガスによる浸食反応
取付部:シール性、熱応力割れ、振動
機械的応力による損傷
脱塵性能、灰の付着・固着、
粉塵の付着による
フィルタ目詰り、逆洗性能
逆洗圧の上昇
アルカリによる腐食
アルカリ等による腐食
剥離、未燃分燃焼等による熱衝撃
付着未燃粒子燃焼による
熱衝撃
26
参考資料1-13
フィルタ材料の評価特性
寿命に関わる
因子
機械的応力に
よる損傷
具備すべき
特性
熱衝撃、熱疲
労による損傷
耐熱衝撃
耐熱疲労
腐食による損
傷
耐腐食性
脱塵性
材料強度
評価試験
①Oリング圧環試験
②熱特性測定(弾性率、
熱膨張率、熱伝導率)
③熱衝撃試験
④模擬ガス曝露腐食 試験
27
研究開発の位置付け
1)高温集塵フィルタの評価手法の開発
1)高温集塵フィルタの評価手法の開発
2)フィルタの試作
2)フィルタの試作
評価手法
の検証
評価手法
の検証
3)高温集塵機のシミュレーションモデル
3)高温集塵機のシミュレーションモデル
28
参考資料1-14
高温集塵フィルタの評価フロー
フィルタ材調査
技術動向・開発課題調査
評価
価手
手法
法の
の開
開発
発
評
・フィルタ材の体系化整理・分類
・灰・ガス性状の検討
基礎物性試験
基礎物性試験
・灰付着性の検討
・材料強度試験(
・材料強度試験(Oリング圧環試験)
リング圧環試験)
・熱衝撃試験
・エレメント腐食性の検討
・灰払落し性の検討
・集塵技術の検討
小型評価試験
小型評価試験
・模擬ガス曝露腐食試験
・脱塵性能試験
・熱応力試験(
・熱応力試験(疲労寿命評価)
疲労寿命評価)
実ガス曝露試験
実ガス曝露試験
フィルタ試作
使用環境に有望なフィルタの選定
集塵フィルタ実用化
29
選定22種フィルタ
メーカー
1 日本シューマ ッハー
日本ポール
2
3
京セラ
4 ACI( アライドシグナル)
住友3M
5
型
構
式
分 類
支持層
Dia-Schumalith T10 -20
ムライト
SiC
Vitropore 326
SiC
SiC
コージェライト
コージェライトフィルタ
PRD-66
アルミナ
ア ルミ ナ/ ムライト/ コ ージ ェライト繊維
セラミッ クコンポジットフィルタ 20 3
ア ルミ ナ短繊維+ S iCマ トリ ッ ク ス
硼酸ア ルミノシリ ケ ート長繊維+ S iCマ ト リ ッ ク ス
セラミックコンポジットフィルタ
7
宇部興産
セラミック繊維強化セラミックフィルタ
モノリシッ
ク
ルミナ長繊維 + ア ルミ ノシリ ケ ート マ トリ ッ ク ス
ア ルミ ナ短繊維+ ア ルミノシリ ケ ートマ ト リ ッ ク ス ア ルミナ長繊維+
ムライト
セラミック繊維強化(1)
繊
維
強
化
S iC繊維+ ムライト マ トリ ッ ク ス
ア ルミ ナ繊維+ ムライト マ トリ ッ ク ス
セラミック繊維強化(2)
ムライト
ムライト被覆ア ルミナ繊維+ ムライトマ ト リ ッ ク ス
セ
ラ
ミ
ッッッッ
6
住友3M
8 ファインセラミックス センター
9 ファインセラミックス センター
造
ろ 過層
ク
ス
(アルミノシリケート+ アルミナ)短繊維
10
ニチアス
ファインフレッ クスモールドタイプ
11
ニチアス
ファインフレッ クスモールド強化タイプ
アルミノシリケート短繊維
12
ニチアス
硼酸アルミニウムウィス カー多孔体
硼酸アルミニウムウィス カー
13
日本ポール
PSSメタルフィルタ( SUS310SC)
SUS310SC
14
クボタ
金属系多孔体( 1)
SUS3 16L
15
クボタ
金属系多孔体( 2)
HU
16
クボタ
金属系多孔体( 3)
SUSXM15J1
17
18
日本ポール
PSSメタルフィルタ(Fe- Al)
Fe-Al
日本ポール
Palloy200 0(Ni-Cr-Fe-Al)
Ni-Cr-Fe-Al
19
住友3M
ネクス テル312フィルタハ ゙グ AB -22
アルミナ/シリカ/ 硼酸系繊維
20
21
住友化学工業
アルミナ繊維Altex フィルタバグ
アルミナ/シリカ系繊維
ニチアス
アルミナ繊維フィルタハ ゙グ
22
ホソカワミクロン
金属繊維フィルタバグ
ウィスカー
合
金
金属間
化合物
入手可能な材料を用いて
アルミナ/シリカ系繊維
入手可能な材料を用いて
インコネル60 0
評価手法を検討
評価手法を検討
参考資料1-15
金
属
-
セラ
ミッ
ク
ス
-
金属
30
高温集塵フィルタの評価手法の開発
高温集塵フィルタの評価手法の開発
1.基礎物性試験
●材料強度
●耐熱衝撃性
2.小型評価試験
●模擬ガス暴露腐食試験
●小型脱塵試験
●熱応力解析
3.実ガス曝露試験
31
高温集塵フィルタの評価
1.基礎物性試験
1.基礎物性試験
●
●材料強度
材料強度
●耐熱衝撃性
●耐熱衝撃性
32
参考資料1-16
材料強度評価試験
目 的
●フィルタ材料の高温強度特性の評価方法の
●フィルタ材料の高温強度特性の評価方法の
確立
確立
●模擬ガス曝露試験、小型脱塵試験および ●模擬ガス曝露試験、小型脱塵試験および 実ガス曝露試験における強度評価に適用
実ガス曝露試験における強度評価に適用
33
材料強度試験方法
P
フィルタ切断片
ヒータ
ro
θ
ri
最大応力
P
曲げ試験などから従来のO
曲げ試験などから従来のOリング圧環試験方法を選定:
リング圧環試験方法を選定
JIS Z 2507(焼結含油軸受の圧環強さ試験方法)
円筒フィルタから厚さ25mmの試験片を切り出し高温で荷重を掛
けて変位曲線(破壊特性)を測定
参考資料1-17
34
Oリング圧環試験の評価基準
リング圧環試験の評価基準
項目
A ( 3 point )
10 MPa 以上
最 大 応 力
(室温)
最大応力
温度依存性
(高温強度)
荷重-変位
曲線
(破壊特性)
破壊特性)
評 価
B ( 2 point )
10MPa~
10MPa~5MPa
C ( 1 point )
5MPa 以下
・高 温 強 度 が室 温
強 度 と同 程 度 以
上 、かつ 10 MPa 以
上
・ 高温強度が 室温 強
度と同程度以上、か
つ 10 MPa 以下
または
・ 高温強度が 室温 強
度よりも減少、かつ 10
MPa 以上
最大荷重発生後変位 最大荷重発生後変位
の増加を伴い徐々に の増加を伴い徐々に
荷重低下
荷重低下
(室温,
(高温時のみ)
室温,高温とも)
高温とも)
高温時のみ)
・ 高温強度 が室温 強
度よりも減少、かつ 10
MPa 以下
・ 最大荷重 発生後 急
速に荷重低下
(室温,
(室温,高温とも)
35
材料強度評価結果
強度
金属間化合物
モノリシック/ウィスカー
A
ポールPalloy2000
(298MPa ↓)
クボタSUSXM15J1
クボタSUSXM15J1 (220MPa ↓)
クボタHU (180MPa ↓)
ポールFe-Al
(156MPa ↓)
ポールSUS310SC
ポールSUS310SC (159MPa ↓)
ポールV326 (19.7MPa ↓)
京セラコージェライト (16.3MPa ↓)
ニチアス硼酸アルミ (16.6MPa ↓)
シューマッハT10
T10-20 (14.0MPa ↑)
シューマッハT10
JFCCコンポジット(1)
(21.7MPa ↓ )
注:( )内数値は室温強度を示す
↑→↓:
↑→↓
:950℃曝露後の強度変化
3Mコンポジット203
(17.2MPa ↓ )
↓:高温強度低下、変形量低下が著しく、
↓:高温強度低下、変形量低下が著しく、
評価ランクが1段下がる場合
評価ランクが1段下がる場合
3M酸化物系コンポジット
(15.4MPa↓)
10MPa
ACI PRD-66 (6.4MPa ↓)
B
宇部興産コンポジット
(8.2MPa ↓ )
JFCCコンポジット(2)
(5.7MPa ↑)
モノリシック
繊維強化
5MPa
C
合金
クボタSUS316L (223MPa ↓)
繊維強化
ニチアスFFB-300
(2.0MPa →)
ウィスカー
ニチアスファインフレックスモールド
(1.2MPa →)
合 金
金属間化合物
(バグを除く)
変形量
36
参考資料1-18
材料強度評価方法のまとめ
•• 横並び評価方法として、曲げ試験やCリン
横並び評価方法として、曲げ試験やCリン
グ圧環試験などO
グ圧環試験などO リング圧環試験を実施
リング圧環試験を実施
•• その結果、いずれも評価であるが、試験片
その結果、いずれも評価であるが、試験片
の加工が簡易なOリング圧環試験方法を
の加工が簡易なOリング圧環試験方法を
採択
採択
•• 室温ならびに高温での強度特性を評価
室温ならびに高温での強度特性を評価
37
高温集塵フィルタの評価
1.基礎物性試験
1.基礎物性試験
●材料強度
●材料強度
●材料強度
●材料強度
●
●耐熱衝撃性
耐熱衝撃性
38
参考資料1-19
熱衝撃試験
目 的
●フィルタ材料の逆洗時の熱衝撃特性を
横並び評価
適切な試験装置がない
<新たに逆洗を模擬した
<新たに逆洗を模擬した
熱衝撃試験装置を開発>
熱衝撃試験装置を開発>
39
熱衝撃
試験装置
加 熱 媒 体
冷 却 媒 体
設 定 温 度
送 風 冷 却
線 流 速
送 風 冷 却
送 風 冷 却
燃 焼 ガ ス (都 市 ガ ス )
圧 縮 空 気 (0 .3 5 M P a )
700℃ (内 面 温 度 )
空 気
間 隔
時 間
テストセクション
送 風 冷 却 回 数
15cm /sec
1 0 m in
1~ 10sec
1~ 1000 回
圧縮空気
低温の逆洗ガス
燃料ガス
燃焼器
燃焼ガス
圧縮空気
燃焼ガ
点火プラグ
試験片
ノーズコーン
試験片
40
参考資料1-20
試験方法
●逆洗を模擬して、試験片を高温の燃焼ガスで曝露しなが
●逆洗を模擬して、試験片を高温の燃焼ガスで曝露しなが
ら、定期的に試験片内部から外方向に低温の圧縮空気
ら、定期的に試験片内部から外方向に低温の圧縮空気
を噴射させることにより、熱衝撃を与える。
を噴射させることにより、熱衝撃を与える。
燃焼ガス温度
Δt
温 度,
T (℃
(℃ )
TP外表面温度
TP外表面温度
ΔT’
ΔT
TP内部表面温度
TP内部表面温度
サンプルの温度変化
サンプルの温度変化
時間,
時間, t (s)
41
熱衝撃試験評価方法
荷重, P (N)
未処理材
σ0
σ
熱衝撃後
W0
差圧
差圧,
, Δp (Pa)
①強度変化、②最大荷重までの仕事量変化、③ろ過性への影響
熱衝撃前透過率,K0
W
熱衝撃後透過率,K
変位, x (m)
線流速,
線流速, v (m/s)
最大荷重までの仕事量
ガス透過率
42
参考資料1-21
評価基準
評 価
項目
A ( 3 point )
B ( 2 point )
C ( 1 point )
変化なし
(変化率≧0.9
(変化率≧0.9)
0.9)
熱衝撃による
強度低下を確認
(0.8≦変化率
0.8≦変化率<
≦変化率<0.9)
0.9)
熱衝撃破断または
強度低下顕著
(変化率<0.8
(変化率<0.8)
0.8)
最大荷重
までの
変化なし
(変化率≧0.9
0.9)
0.9)
仕事量の (変化率≧
変化
荷重・変位曲線の
変化が微小、
山数の変化無し
(0.8≦変化率
0.8≦変化率<
≦変化率<0.9)
0.9)
熱衝撃破断または
荷重-変位曲線
の変化、
二山 → 一山
(変化率<0.8
(変化率<0.8)
0.8)
ガス透過
変化なし
(変化率<1.1
1.1)
1.1)
率の変化 (変化率<
熱衝撃によるガス透 熱衝撃破断または
過率の上昇を確認
著しい変化
(1.1≦変化率
(変化率≧1.2
1.1≦変化率<
≦変化率<1.2)
1.2)
(変化率≧1.2)
1.2)
圧環強さ
の変化
43
試験結果:応力-変位
試験結果:応力 変位 (例)
20
20
CHS: 0.05mm/min
Stress (MPa)
初期値
Δt=10s, N=1
exposed
CHS: 5mm/min
初期値
10
5
Stress (MPa)
15
熱衝撃試験後
15
10
initial
∆t=10s,N=1000
exposed
5
0
0
0
0.1
0.2
Displacement (mm)
0.3
0
シューマッハ製T10
T10-20
シューマッハ製T10
10
20
30
Displacement (mm)
40
3M製酸化物
44
参考資料1-22
2.5
0.5
2
0.4
ΔP (kPa)
4.1×10-12m2
1.5
1
initial
Δt=10s, N=1
exposed
0.5
4.2×10-12m2
4.3×10-12m2
0.3
4.5×10-12m2
0.2
initial
Δt=10s, N=1000
exposed
0.1
0
0
0
2
4
Velocity (cm/s)
0
6
2
4
6
Velocity (cm/s)
シューマッハ製T10
T10-20
シューマッハ製T10
3M製酸化物
45
実機への適用性評価:熱疲労解析
実機への適用性評価:熱疲労解析
20
シューマッハ製
T10T10-20
Ⅲ
Ⅱ
Ⅰ
15
Ⅰ
10
Ⅱ
Ⅲ
Load
Maximum thermal stress (MPa)
ΔP (kPa)
試験結果:ろ過特性評価例
Displacement
5
発生熱応力 S=4.7
発生熱応力 S=4.7Mpa
4.7Mpa
Δt=0.3s, S=4.7MPa
0
1
10
100
1000
Nmin
Nmin=3.0×
3.0×1013であり、実機の通常運用条件下に
おいては逆洗による熱衝撃の影響は問題とならない
参考資料1-23
46
耐熱衝撃性の評価フローチャート
(1)熱衝撃試験
1)熱衝撃試験
冷却時間:10
10sec
sec
冷却時間:10
冷却回数:1000
1000回
回
冷却回数:1000
評価
≧5point
Yes
No
Yes
評価 A
評価 A
No
(2)熱疲労解析
2)熱疲労解析
許容逆洗回数
≧108回
評価
≧8point
評価 B
評価 B
Yes
No
評価 C
評価 C
47
熱衝撃試験のまとめ
•• 逆洗時に受ける熱衝撃試験の加速評価手
逆洗時に受ける熱衝撃試験の加速評価手
法を新たに開発し、有用性を確認
法を新たに開発し、有用性を確認
•• 逆洗時に試験片内面に発生する引張り熱
逆洗時に試験片内面に発生する引張り熱
応力を算出し、逆洗による熱衝撃の影響
応力を算出し、逆洗による熱衝撃の影響
は問題にならないことが判った
は問題にならないことが判った
48
参考資料1-24
高温集塵フィルタの評価
2.小型評価試験
2.小型評価試験
● 模擬ガス曝露腐食試験
● 模擬ガス曝露腐食試験
● 小型脱塵試験
● 小型脱塵試験
● 熱応力解析
● 熱応力解析
49
目
目的
的
PFBCと
と
を模擬した雰囲気下で、また
PFBCと
とIGCCを模擬した雰囲気下で、また
IGCCを模擬した雰囲気下で、また
を模擬した雰囲気下で、また腐
腐
を模擬した雰囲気下で、また腐
食を促進させるためにアルカリ蒸気を添加
食を促進させるためにアルカリ蒸気を添加
して
して
・フィルタの曝露試験
・フィルタの曝露試験
を実施し、フィルタの耐食性を評価
を実施し、フィルタの耐食性を評価
50
参考資料1-25
模擬ガス曝露腐食試験装置
真空ポンプ
試験槽
ヒータ
空気
冷却器
洗浄塔
マスフロー CO除去器
メター
受器
H2S-HClHCl-H2-COCO-CO2-N2
試験片
アルカリ塩
水タンク
予熱器
蒸気―混合ガス
定量ポンプ
酸化雰囲気
還元雰囲気
対象製品
PFBC
IGCC
温度
950℃
950℃
700℃
700℃
ガス組成
1000ppmSO
1000ppmSO2-5%O2-15%CO2-5%H2O
2000ppmH
2000ppmH2S-200ppmHCl200ppmHCl-60%CO
-25%
25%H2-2%CO2-5%H2O
アルカリ蒸気
全条件にてアルカリ蒸気添加
灰塗布条件時のみアルカリ蒸気添加
51
模擬ガス曝露腐食試験の
評価項目
模擬ガス曝露腐食試験の評価項目
評価項目
3.差圧測定
3.差圧測定
1.質量変
1.質量変化
化
ΔP
差圧測定計
ガス出口
ガスとフィルタとの反応性を定量的に評価
PG
反応生成物
堆積・付着
反応生成物
蒸発・脱落・剥離
N
2
質量増加
質量減少
4.強度変化
2.強度変化
引張り試験
3点曲げ試験
P (荷重)
試験片
初期強度
・反応
・物性変化
ガス入口
フィルタエレメント
ガス流量計
フィルタエレメント設置部
・気孔閉塞
・反応進行の度合い
・フィルタ損傷の有無
圧環試験
初期差圧
差圧変化
P (荷
重)
試験
片
支持
台
・最大強度変化
・延性変化(金属)
・変形性変化(セラミックス)
4.表面観察
2.表面観察
目視,SEM/EDX分析,X線回折
・表面形態変化
(気孔閉塞,割れ,ひび)
・反応生成物の同定
52
参考資料1-26
腐食試験の評価基準
評価点
3
2
1
質量変化
<1%以 下
1~5%
>5%
外観
試 験 前 と変 化 無
微 細 な割 れ、反 応
物 のの形 成 有
顕 著 な膨 れ・割 れ
有
差圧
試 験 前 と変 化 無
10%未 満 の差 圧 増
10%以 上 の差 圧 増
試 験 前 と変 化 無
ワイブル係 数 m、γ
の変 化 はあるが、
荷 重 -変 位 カーブの
変化無
ワイブル係 数 m、γ
が変 化 し、荷 重 -変
位 カーブも変 化
強度変化
53
評価基準の設定根拠:質量変化量
・平均:0.2%,標準偏差(1σ):1.3%
評点
60
2
2
3
1
50
頻度
40
2σ
30
質量変化データの
ヒストグラム
20
10
0
-5
-4
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
質量変化量 (%)
平均0.2
54
参考資料1-27
評価基準の設定根拠:外観
・強度や脱塵性能に影響を及ぼさない範囲では微細な割れや腐食生成
物の存在は許容されることから,上記の判定基準とした。
試験後
評点
3
試験前試料
微細割れ
反応物付着
2
1
膨出
割れ
55
評価基準の設定根拠:差圧
評点 1 (変化率10%以上)
500
試験後
変化量
No.13 310SC
(Pall)
気孔率:45%
400
ΔP(
P(mmAq
mmAq
mmAq))
300
200
100
試験前
変化率
.
.
=0
<10%
評価
3
2
>10%
1
0
0
1
2
ガス流速(
ガス流速(cm/s)
3
4
変化率=
変化量×100
試験前の差圧
56
参考資料1-28
評価基準の設定根拠:強度
No.13 310SC (腐食量:多)
試験前
7.39
10
15
20 25 30
試験後
0
m = 3.69
γ=12.6
試験前
m = 15.6
γ=23.7
-1
-2
傾きm
1
1.5
2
2.5
10
3
3.5
4
5
7.39
10
15
20 25 30
54.6
40 50
99.9
99
98
95
90
80
70
63
50
40
30
20
Fe-Al系 ( Pall )
1
試験後
試験前
m = 21.1
γ=19.2
0
-1
m = 18.8
γ=22.1
-2
-3
10
1
lnσ(kgf/mm2)
評点
σ(kgf/mm2)
5
2
lnln1/(1-Fi)
1
累積破壊確率 Fi (%)
99
98
95
90
80
70
63
50
40
30
20
SUS310S ( Pall )
lnln1/(1-Fi)
2.718
3
99.9
2
-3
変位(mm)
54.6
40 50
1.5
2
2.5
3
3.5
4
累積破壊確率 Fi (%)
σ(kgf/mm2)
5
試験後
試験前
変位(mm)
再頻値γ
2.718
3
No.17 Fe-Al (腐食なし)
荷重(kgf)
荷重(kgf)
試験後
5
lnσ(kgf/mm2)
3
1
57
模擬ガス曝露腐食試験のまとめ
•• 小型試験装置を用いて腐食環境下で
小型試験装置を用いて腐食環境下で
使用されるフィルタ材料の横並び評価
使用されるフィルタ材料の横並び評価
試験方法を検討し、 試験方法を検討し、 ①質量、②外観、③差圧、④強度 ①質量、②外観、③差圧、④強度 の変化を測定することによる評価手
の変化
の変化を測定することによる評価手
法が有効であることが判った。 法が有効であることが判った。 58
参考資料1-29
高温集塵フィルタの評価
2.小型評価試験
2.小型評価試験
● 模擬ガス曝露腐食試験
● 模擬ガス曝露腐食試験
● 小型脱塵試験
● 小型脱塵試験
● 熱応力解析
● 熱応力解析
59
目
目的
的
・模擬ガス、実ダストを用いてPFBC
・模擬ガス、実ダストを用いて
・模擬ガス、実ダストを用いてPFBC
PFBC
・模擬ガス、実ダストを用いてPFBC
と
IGCC
とIGCCの環境下におけるフィルタの
IGCCの環境下におけるフィルタの
の環境下におけるフィルタの
IGCCの環境下におけるフィルタの
脱塵性能を把握し、高温集塵フィルタ
脱塵性能を把握し、高温集塵フィルタ
の評価手法を確立する
の評価手法を確立する
60
参考資料1-30
脱塵性能試験装置
脱塵性能試験装置
排気ライン
P
B
N2
フィルタ収納容器
ガス冷却器
フィルタ
N2
P
F 流量計
供試ダスト
ΔP
供試部
φ300
ダスト
モニタ
D
Pu
*
エレメント
ポンプ
チラーユニット
ホッパー
T
T
ノッカー
逆洗N2タンク
950℃
P
(目標)
F
電気炉
ロータリ
フィーダ
電気炉
No.1
6m3/h
(Normal)
T
ブロワ
流量計
N2
ホッパー
Max 1l/h 電気炉
*エレメント:φ60-275(Max.)×3本
No.2
エジェクター ダスト濃度 50g/m3(Normal)(嵩比重0.3)
61
集塵
ケーキ
含塵ガス
逆洗
フィルタ
フィルタ
剥離ケーキ
逆洗ガス
クリーンガス
落下
再付着
パーマネント
ケーキ
パーマネント
ケーキ
差 圧:
差 圧:Δ
ΔP
差圧の経時変化
逆洗
逆洗間隔
:τe
脱塵,逆洗時
脱塵,逆洗時
の現象と差圧
の現象と差圧
最大差圧:Δ
最大差圧:ΔPm
(許容差圧)
(平衡差圧)
回復差圧:Δ
ΔPs
回復差圧:
試験開始差圧:Δ
試験開始差圧:ΔPo
初期差圧:Δ
初期差圧:ΔPi
時 間
62
参考資料1-31
脱塵性能試験条件
流 体
空気または窒素
圧 力
常圧
試験温度
250∼950℃
ダストの種類
ダスト濃度
フライアッシュ,
実チャー(
(循環使用)
実チャー
循環使用)
最大50g/ Nm3 加圧ガス化炉
チャー
(フィルタ入口) (1t/d)チャー
ハウジング
内径φ300
内径φ300,
300,全長 1250mm
1250mm
フィルタ
エレメント
外形φ60
外形φ60×長さ
60×長さ 200mm
200mm
×3本
窒素による
ジェットパルス方式
ジェットパルス方式
逆洗方式
若松
灰
Max.9.5
Max.9.5Nm
.9.5Nm3/h PFBC灰
ガス流量
逆洗圧力
Max.最大1MPa
Max.最大1MPa
フィルター
エレメント
脱塵性能試験装置
63
試験結果(例)
シューマッハ製T10
シューマッハ製T10T10-20
8.0
5
7.0
4
差圧(kPa)
差圧(kPa)
6.0
600℃
600℃
5.0
400℃
400℃
4.0
3
2
3.0
300℃
300
℃
1
2.0
室温(33
(33℃
室温
(33
℃)
1.0
0.0
0.0
0
2.0
4.0
6.0
8.0
ろ過速度((cm/s)
ろ過速度
cm/s)
初期差圧
10.0
0
100
200
300
400
経過時間(min)
500
600
差圧の経過時間変化
PFBC 1.5cm/s,
1.5cm/s,950℃
950℃
64
参考資料1-32
ガス透過係数によるろ過特性評価
モノリシック
繊維
金属
4
評
価
3.5
3
2.5
Ks
-10
(10 -10 m)
3
2
2
1.5
1
1
0.5
0
①
②
③
④
⑤
⑥
フィルタエレメント
⑰
⑱
赤:PFBC環境
青:IGCC環境
65
目詰まりの評価結果
脱塵時とフィルタ自体のガス透過係数の比
0.6
モノリシック
繊維
金属
0.5
評
価
0.4
*1
K
0.3
-10
(10
m)
0.2
3
2
0.1
0
1
①
K*1=Ki/Ks
②
③
④
⑤
⑥
フィルタエレメント
⑰
⑱
赤:PFBC環境
青:IGCC環境
66
参考資料1-33
逆洗時の差圧上昇評価結果
評価
1
2
3
0.6
⑱
K*1 (10 -10 m)
0.5
⑰
0.4
③
0.3
①
③
②
④
0.2
⑤
0.1
⑥
0
0
1
2
3
vfmax(cm/s)
差圧が急上昇する最大許容ろ過速度
67
脱塵性能試験評価方法
No
評価内容
1
ろ過特性
目詰まり
逆洗時,
差圧上昇
ダスト性状
変化によ
る付着厚
み変化
脱塵率
熱衝撃に
よるフィル
タ健全性
ろ過表面
健全性
2
3
4
5
6
7
評価方法
Ks で評価
*1
K
=Ks/Ki で評価
3
評価点
2
1
1.9≦
1.9≦
1.0≦
1.0
≦Ks<1.9
<1.0
0.25≦
0.25≦
*1
0.1≦K
0.1≦K <0.25
<0.1
差圧が急上昇する最大許容ろ過
速度 vfmax で評価
Ks - 1 の温度依存性:試験後の付
着ダスト厚みで評価。
IGCC(μ
IGCC(μm
(μm),PFBC
),PFBC(
PFBC(mm)
mm)
1.8<
1.8<
1.4≦
1.4
≦vfmax≦1.8
<1.4
依存性なし
依存性あり
あり
I:≦100
100<
100
<d≦300
300<
300<
P:≦8
:≦8
8<d<15
<d<15
15≦
15≦
ηで評価
O リング圧環強度,荷重変位曲
線:最高温度時で試験実施後,新
材と比較評価。
99.999%
99.999%
試験後/
試験後/
試験前
≧0.95
99.999%未満
99.999%未満
-
0.90≦後
0.90≦後/
≦後/前
<0.95
<0.90
試験後の目視観察,SEM
試験後の目視観察,SEM,
SEM,EDX で
評価。
変化なし
変化あり
-
Ki : 脱塵前のガス透過係数、Ks
脱塵前のガス透過係数、Ks : 脱塵時のガス透過係数
K*1 : 脱塵時とフィルタ自体のガス透過係数の比
Ks-1 : ガス透過抵抗
参考資料1-34
68
小型脱塵試験のまとめ
•• PFBC
PFBCおよび
およびIGCC
IGCCの雰囲気における脱塵性能試
の雰囲気における脱塵性能試
験から下記特性によるフィルタの評価手法を確
験から下記特性によるフィルタの評価手法を確
立
立
(1)
(1)ろ過特性:ガス透過率、無次元ガス透過係数
ろ過特性:ガス透過率、無次元ガス透過係数
(2)
(2)最大許容ろ過速度
最大許容ろ過速度
(3)
(3)ガス透過抵抗の温度依存性と付着ダスト厚さ
ガス透過抵抗の温度依存性と付着ダスト厚さ
(4)
(4) 脱塵率
脱塵率
(5)
(5)熱衝撃による健全性:
熱衝撃による健全性:O
Oリング圧環強度試験、荷
リング圧環強度試験、荷
重
変位曲線、ろ過表面観察
重-変位曲線、ろ過表面観察
69
高温集塵フィルタの評価
2.小型評価試験
● 模擬ガス曝露腐食試験
● 小型脱塵試験
● 熱応力解析
70
参考資料1-35
熱応力解析
熱応力解析
目的:
長尺なフィルタで試験することは困難なので、実機形状フィルタを想定し、
有限要素解析により熱応力解析で、熱衝撃に対する評価を補完する。
締付け荷重1768N
ガスケット回りは
軸方向のみタイイング
要素分割と応力解析変位境界条件
8節点軸対称要素
246要素、926節点
71
応力解析による寿命評価結果
応力解析による寿命評価結果
材料
Fe-Al
(No.17)
温度
℃
700
700
コージェライト
(No.3)
950
700
Dia-Schumalith
T10-20
(No.1)
950
部位
アダプタ接合部
接合部
底部
管板接合
ストレート外
ストレート内
底部内
底部外
管板接合
ストレート外
ストレート内
底部内
底部外
管板接合
ストレート外
ストレート内
底部内
底部外
管板接合
ストレート外
ストレート内
底部内
底部外
最大振幅応力 限界応力振幅
MPa
MPa
0.912
1.252
15
1.092
0.118
0.071
0.032
3.1
0.063
0.013
0.115
0.028
0.126
5.4
0.086
0.013
0.083
0.015
0.284
8.1
0.284
0.012
0.088
0.015
0.740
6.8
0.445
0.012
寿命評価
十分裕度有
十分裕度有
十分裕度有
十分裕度有
十分裕度有
フィルタの発生応力は疲労限界の1/10と予測
72
参考資料1-36
熱応力解析のまとめ
•• 実機形状を想定して長尺フィルタの逆洗時
実機形状を想定して長尺フィルタの逆洗時
の熱応力を有限要素法で解析した
の熱応力を有限要素法で解析した
•• フィルタに掛かる熱応力は疲労限界値の
フィルタに掛かる熱応力は疲労限界値の
1/10と低く、実用上問題ない
1/10と低く、実用上問題ない
•• 灰の未燃炭素が全周で燃焼した場合には
灰の未燃炭素が全周で燃焼した場合には
フィルタ破損の可能性があり、その可否が
フィルタ破損の可能性があり、その可否が
予測できる
予測できる
73
高温集塵フィルタの評価
3.
実ガス曝露試験
3.実ガス曝露試験
74
参考資料1-37
実ガス曝露試験の目的
・・ 加圧型内部循環流動層ボイラにおいて、
加圧型内部循環流動層ボイラにおいて、
脱塵性能、材料強度変化を確認する
脱塵性能、材料強度変化を確認する
・・ フィルタ付着灰の性状分析、フィルタ腐食
フィルタ付着灰の性状分析、フィルタ腐食
および灰付着要因の解析を行う
および灰付着要因の解析を行う
75
実ガス集塵試験装置
実ガス集塵試験装置
フィルタ収納容器
(株)荏原製作所
(株)荏原製作所 内部循環流動床ボイラ 内部循環流動床ボイラ (熱負荷4MWth)
(熱負荷4MWth)
76
参考資料1-38
実ガス暴露試験条件
①圧力
②温度
:1.6MPaG
1.6MPaG
:350℃
350℃
(内部温度950
(内部温度950℃)
950℃)
③入口排ガス量 :常用5700
③入口排ガス量 :常用5700 m3/hr
④入口ダスト濃度:常用20
入口ダスト濃度:常用20g/m
20g/m3
⑤出口ダスト濃度:10
出口ダスト濃度:10 mg/m3
⑥入口・出口差圧:常用 10kPa
10kPa
⑦ろ過面積 :15.68
ろ過面積 :15.68 15.68 m2
⑧ろ過流速 :常時 3.17cm/s
3.17cm/s
⑨逆洗:逆洗間隔:45
逆洗:逆洗間隔:45s
45s、
パルス噴射時間:
パルス噴射時間:0.25
パルス噴射時間:0.25s
0.25s
加圧内部循環試験装置77
実ガス集塵試験結果
対象サンプル:これまでの評価結果から有望な2種類を選択
試 験
RUN1
RUN2
RUN3
RUN4
RUN5
フィルタ
3M酸化物系
セラミック
PRD−66
セラミック
評価項目
調整運転:評価対象外
Ca/
Ca/S比影響調査
950℃影響調査
950℃影響調査
調整運転:評価対象外
950℃影響調査
950℃影響調査
目標温度
700∼
∼750℃
700
750℃
750∼
750∼800℃
800℃
950℃
950℃
700∼
700∼750℃
750℃
950℃
950℃
測定結果
集塵器前後差圧
750∼850℃
950℃
集塵器出口ダスト濃度
750∼800℃
950℃
3M酸化物系セラミック
PRD−66セラミック
30∼
30∼35kPa
30∼
30∼35kPa
5kPa∼
kPa∼10kPa(参考)
10kPa(参考)
5kPa→
kPa→25kPa(注1)
5kPa(注1)
200∼
200∼260mg/m
260mg/m3(Normal)(注2
(Normal)(注2)
(注2)
6∼15mg/m
15mg/m3(Normal)
10∼
10∼21mg/m
21mg/m3(Normal) (参考)
24∼
24∼26mg/m
26mg/m3(Normal) (注3)
(注1) 経過時間とともに上昇、さらに上昇が続くと判断し運転停止。
(注2)
注2)取付フィルタ56本中2本にろ過層の脱落が認められた。
(注3)
注3)フィルタ傾きによるシール部不良。
78
参考資料1-39
4
cut 1st
3M酸化物系セラミック
強度試験結果
荷重 kgf
3
2
original
run2
run2+run3
1
run2(hole)
0
0
5
10
15
20
25
30
変位 mm
25
PRDPRD-66
Load / kgf
20
15
変形性の低下を起こした3M
酸化物コンポジットは、高温
度域運転中に1000
度域運転中に1000℃以上に
1000℃以上に
曝されており、それが原因で
硬化している(PRD
硬化している(PRDPRD-66では、
66では、
1000℃に達しなかった)と推
1000℃に達しなかった)と推
定され、一概にPRD
定され、一概にPRDPRD-66と比
66と比
較することが出来ない結果と
なった
New
run4
run5
10
5
(1) Part.1
0
0
10
20
30
40
50
-2
Displacement / *10 mm
79
実ガス集塵試験後 灰付着状況
RUN2(
RUN2(800℃)後
RUN3(
RUN3(950℃)後
RUN4(
RUN4(750℃)後
RUN5(
RUN5(950℃)後
80
参考資料1-40
付着灰状況
実ガス試験 付着灰平均粒径
集塵器入口温度
逆洗払落し灰
エレメント付着灰
RUN2
RUN2
800℃
800℃
4~6μm
約8μm
RUN3
RUN3
950℃
950℃
6~12μm
約14μm
RUN4
RUN4
750℃
750℃
4~7μm
約5μm
RUN5
RUN5
950℃
950℃
約10μm
11~15μm
15 μ m
10μm
950℃モデル灰
950℃モデル灰
RUN3終了後フィルタ付着灰
RUN3終了後フィルタ付着灰
球形化粒子のSEM
球形化粒子のSEM像
SEM像
81
アルカリ含有率
と粒径分布
R2O/(Al2O3+SiO2)
アルカリ含有率との関係
35
30
25
20
15
10
5
0
RUN2
UN2
Na2O
800℃
800℃
K2O
R2O/(Al2O3+SiO2)
0.1
35
30
25
20
15
10
5
0
0.1
1
Na2O
10
Particle size[μm]
粒子径
R2
Filter(μm)
Dust cake
950℃
950℃
K2O
1
100
RUN3
UN3
10
100
Particle size[μm]
粒子径(μm)
R3 Filter Dust cake
RUN2では、アルカリ含有率の高い(5
RUN2では、アルカリ含有率の高い(5~
(5~15wt%)
15wt%)粒子が多いが、RUN3
wt%)粒子が多いが、RUN3
では、アルカリ含有率が5
5wt%以下と低くなっており、また粒子径が大きい
では、アルカリ含有率が
wt%以下と低くなっており、また粒子径が大きい
82
参考資料1-41
灰付着・凝集メカニズム検討
アルカリ金属含有率の高い粒子は高温下において溶融し、バインダー
アルカリ金属含有率の高い粒子は高温下において溶融し、バインダー
のような役割となり、灰粒子の凝集を招いた結果、高温で実験した灰の
のような役割となり、灰粒子の凝集を招いた結果、高温で実験した灰の
融液量が減少していると推定される
融液量が減少していると推定される
K含有割合の高
い粒子が800℃付
近から850℃にお
いて溶け出す。
固固反応が起こる
Ca
Ca
Ca
Al+Si
Al+Si
K
Al+Si
K
Al+Si
Al+Si
Ca
Al+Si
Al+Si
凝集
灰付着・凝集メカニズム模式図
83
実ガス暴露試験のまとめ
•• 国内唯一の加圧型内部循環流動床ボイラ
国内唯一の加圧型内部循環流動床ボイラ
で、PFBC環境の実ガス試験を実施
で、PFBC環境の実ガス試験を実施
•• フィルタの脱塵性能や強度変化を評価
フィルタの脱塵性能や強度変化を評価
•• 灰の付着・凝集メカニズムを解明し、評価
灰の付着・凝集メカニズムを解明し、評価
の一助とした
の一助とした
84
参考資料1-42
フィルタ設計手法
85
フィルタ試作の目的
•• 今回の研究で得られた評価手法に基
今回の研究で得られた評価手法に基
づいて試作したフィルタ性能の検証
づいて試作したフィルタ性能の検証
→ 評価手法の検証
→ 評価手法の検証
•• 高温集塵フィルタの設計手法の提示
高温集塵フィルタの設計手法の提示
86
参考資料1-43
フィルタの設計指針
項目
集塵
特性
熱機
械的
特性
要求性能
・低圧力損失
・易逆洗性優
↓ 捕集効率優
制御因子
対策
石炭灰粒子-フィ
ルタエレメント間の
反応抑制
単純化した石炭灰組成(
単純化した石炭灰組成(SiO2-Al2O3K2O系)に対して平衡相
に対して平衡相であること
平衡相であること
→ ムライト
→ ムライト
・気孔率大
・気孔径小
ろ過層のウィスカ化
・損傷許容性優
・損傷許容性優 長繊維強化
・耐熱衝撃性優
・耐熱衝撃性優
・高温焼成を考慮し、耐熱性に優れる
高純度アルミナ繊維(
高純度アルミナ繊維(ALMAX)を選定
ALMAX)を選定
・ αm<αf より、繊維ーマトリックス界
面のdebonding
面のdebonding促進(破壊エネルギー大)
debonding促進(破壊エネルギー大)
87
フィルタ設計手法の提示
ろ 過層
Al2O3(f)/3Al2O3・
クリーンガス
2SiO2(m)
支持 層
含塵ガス
気 孔 径大
気孔径小
ム ラ イ トウ イ ス カ
ム ラ イ ト 粒子
ム ラ イト コ ー テ ィ ン グア ル ミ ナ 繊 維
フィルタ構造の模式図
フィルタ構造の特徴
・ムライトマトリックス : 石炭灰に対して化学的に安定
(フィルタ表面へのダスト固着抑制)
・長繊維強化
: 損傷許容性向上
・ろ過層のウィスカ化 : 捕集効率向上
88
参考資料1-44
試作フィルタ製作方法
長繊維の耐食性向上
アルミナ長繊維のムライト被覆
粗細混粒による焼結促進
ムライト前駆体溶液の合成
長繊維シート(ALMAX)
長繊維シート(ALMAX)
SiSi-O源
AlAl-O源
Perhydropolysilazane(PHPS)
Perhydropolysilazane(PHPS)含浸
(PHPS)含浸
TEOS+HCl
TEOS+HCl+H2O+EtOH
O+EtOH
Al(OCH(CH3)2)3 )+i)+i-BuOH
熱分解熱分解-ムライト化(大気中、1200
ムライト化(大気中、1200℃×
1200℃×1
℃×1h)
混合(
混合(窒素気流中、室温×24
窒素気流中、室温×24h)
24h)
長繊維強化ムライト支持層の形成
ムライト粉末
混合
SiSi-O源
長繊維シートへの減圧含浸
TEOS+Al(NO3)3・9H2O+EtOH
O+EtOH
AlF3
Al-O源
Al
円筒成型
乾燥
混合
焼成(大気中、1400
焼成(大気中、1400℃×
1400℃×2
℃×2h)
NH4OHによる共沈
OHによる共沈
ろ過層表面のムライトウィスカ化
仮焼(大気中、300
仮焼(大気中、300℃×
300℃×5
℃×5h)
EtOH
塗布
バインダー
乾燥
焼成(大気中、1200
焼成(大気中、1200℃×
1200℃×2
℃×2h)
簡易密閉容器内
89
セラミックフィルターの試作
アルミナ長繊維強化ムライトフィルタ:キャンドルフィルタ
アルミナ長繊維強化ムライトフィルタ:キャンドルフィルタ(外面ろ過方式)
外面ろ過方式)
ムライトマトリックス
ウィスカろ過層
・高耐食性
(石炭灰の固着抑制)
石炭灰の固着抑制)
・低圧力損失
・易逆洗性優
長繊維強化支持層
・損傷許容性優
・耐熱衝撃性優
90
参考資料1-45
フィルタ断面のSEM像
ウィスカ部:約2
ウィスカ部:約2μ
約2μ
(b)ろ過層断面拡大
(a)全体像
91
試作フィルタ性能比較
供試材
試 作 フィルタ
試 作 フィルタ
シ ュ ーマッ ハ
T10-20
(ウィスカ化 処 理 無 ) (ウィスカ化 処 理 有 )
供 試 ダ スト
℃
温度
試 験 前 ガ ス透 過 率 m 2
ク リ ー ン側 含 塵 濃 m g / m 3
捕集効率
%
P FB C 灰
400
1.5×10-12
1.373
9 9 . 97 2 5 5
1.5×10-12
0.784
99.98431
2.6×10-12
0 . 1 96
9 9 . 99 6 0 8
試作フィルタ:
ウィスカ化により差圧低下、脱塵性能が向上
シューマッハとの比較
捕集効率:
捕集効率:若干劣る 最大差圧:
最大差圧:約3倍
ろ過層の付与条件を最適化することで対処可能
92
参考資料1-46
フィルタ試作のまとめ
•• 本評価手法に基いたデータベースか
本評価手法に基いたデータベースか
ら高温集塵に最適なフィルタを試作
ら高温集塵に最適なフィルタを試作
•• ムライトコーティングアルミナ長繊維強
ムライトコーティングアルミナ長繊維強
化ムライトフィルタを提案
化ムライトフィルタを提案
•• 試作品は、集塵性能には改善の余地
試作品は、集塵性能には改善の余地
が残るものの耐食性に優れたフィルタ
が残るものの耐食性に優れたフィルタ
と評価
と評価
93
高温集塵装置検討
94
参考資料1-47
目 的
●ダストの流れおよびフィルタへの堆積の
●ダストの流れおよびフィルタへの堆積の
シミュレーション解析から、集塵機装置内
シミュレーション解析から、集塵機装置内
の不均一性を把握し、検討すべき評価方
の不均一性を把握し、検討すべき評価方
法を提示
法を提示
●波及効果:
●波及効果:
効率的な集塵装置構成の設計、運用に関
効率的な集塵装置構成の設計、運用に関
する指針を得る
する指針を得る
95
逆洗
解析モデル
・ガス流れ解析
3次元熱流動解析プログラム
・ダスト流れ解析
粒子軌跡解析プログラム
ダスト付着過程におけるダスト払い落とし状
況をシミュレーション。実験との対比で検証。
96
参考資料1-48
粉塵層剥離試験
実験条件
電磁弁
圧力センサ
圧力タンク
ノズル
高速ビデオ
カメラ
粉塵層の剥離
・粉塵供給量 粉塵供給量 0.8g/min
・ろ過条件 ろ過条件 ろ過速度5cm/sで堆積粉塵層
で堆積粉塵層
ろ過速度
による圧力損失が3,600Paにな
にな
による圧力損失が
るまで集塵→(1),(2)
るまで集塵→(1) (2)
(1)→ろ過気流を停止
(2)→圧密
(2)→圧密
・払い落とし圧力
300kPa
・圧縮空気噴射時間
220
ms
97
逆洗によるダスト払い落とし
上
下
98
参考資料1-49
剥がれ解析結果
3000
2000
1000
ΔP [Pa]
0
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
-1000
A
B
C
D
E
F
-2000
-3000
-4000
Time [sec]
・・フィルタ差圧は逆洗初期の短時間で変化する
フィルタ差圧は逆洗初期の短時間で変化する
・逆洗管に近いフィルタは差圧、流速変化が急激であるの
・逆洗管に近いフィルタは差圧、流速変化が急激であるの
に対して、離れた位置のフィルタは応答が遅い。
に対して、離れた位置のフィルタは応答が遅い。
99
ダスト付着解析結果
PFBC [Wt%]
PFBC(
∼ 5μm)
PFBC( 5μ
5μm∼20μ
20μm)
PFBC(20μ
PFBC(20μm∼50μ
50μm)
PFBC(50μ
μ m∼
)
case1
PFBC(50
[Wt%]
[Wt%]
[Wt%]
[Wt%]
3
2.8
2.6
2.4
・ろ過速度は遅くするこ
・ろ過速度は遅くするこ
とでダスト堆積の均一
とでダスト堆積の均一
化が図れる。
化が図れる。
2.2
2
1.8
1.6
0
解析結果
・ガス投入を上部の端
・ガス投入を上部の端
面等に衝突させた後、
面等に衝突させた後、
フィルタエレメント方向
フィルタエレメント方向
に向かうようにすること
に向かうようにすること
でダスト堆積量の均一
でダスト堆積量の均一
化が図れる。
化が図れる。
3.2
2
4
6
8
10
12 14
・堆積量分布へのガス
・堆積量分布へのガス
温度の影響は少ない。
温度の影響は少ない。
distribusion [Wt%]
ダスト挙動
ダスト堆積量分布
100
参考資料1-50
シミュレーションのまとめ
•• 集塵機内のダストの堆積および逆洗のシ
集塵機内のダストの堆積および逆洗のシ
ミュレーションモデルから、その均一性を確
ミュレーションモデルから、その均一性を確
認し、評価の変更要因は見当たらなかった
認し、評価の変更要因は見当たらなかった
•• 本シミュレーションモデルは設計指針を得
本シミュレーションモデルは設計指針を得
るツールとして利用できることが判った
るツールとして利用できることが判った
101
フィルタ評価のまとめ
分
No
大
類
中
モ
ノ
リ
シ
1
ッッッッ
2
3
6
8
キ
ン
ド
ル
型
セ
ラ
ミ
ク
ッッッッ
5
ャャャャ
4
小
ク
ス
繊
維
強
化
9
17
18
金
属
化
合
物
メーカー/型式
日本シュー マッハ
Dia-S chumalith T 10-20
日本ポ ール
V itropore 32 6
京セラ
コージ ェライトフィルタ
ACI(アライドシグナ ル)
P RD-66
住友スリーエム
セラミック コンポジットフィル タ 203
住友スリーエム
セラミ ックコンポジットフ ィルタ
ファインセ ラミックスセンター
セラミック繊維強化( 1)
ファインセ ラミックスセンター
セラミック繊維強化( 2)
日本ポ ール
PSS メタルフィルタ(Fe- Al)
日本ポ ール
Palloy20 00(NiCrFeAl )
材料強度試験
脱塵性能試験
模擬ガス曝露腐食試験
熱衝撃試験
PFBC(950℃) IGCC( 700℃)
PFBC(950 ℃) IGCC (700℃) PFBC(950℃) IGCC(7 00℃)
Po int 評価 Point 評価 Poin t 評価 Point 評価 Point 評価 Poi nt 評価 Point 評価
8
A
7
B
3
7
B
7
B
-
5
B
5
B
3
5
B
5
B
8
5
B
5
B
9
A
9
5
B
7
5
7
B
7
B
-
-
21
A
-
-
-
-
7
B
-
-
21
A
B
7
B
7
B
17
C
17
C
A
7
B
7
B
19
B
18
B
-
-
-
-
-
-
-
-
16
C
A
8
A
-
-
-
-
13
C
15
C
5
B
-
-
5
C
-
-
-
-
-
-
B
7
B
8
A
-
-
-
-
-
-
-
-
B
6
B
-
-
-
-
-
-
-
-
21
A
B
6
B
9
A
6
B
-
-
20
A
-
-
総合評価:
総合評価: 使用環境下におけるフィルタの材料強度、耐熱衝性、
耐腐食性、脱塵性の横並びの評価が可能
102
参考資料1-51
高温集塵フィルタ選定方法を確立
・材料強度評価
・模擬ガス曝露腐食試験
C評価
不適格
評評評評 価価価価 手手手手 順順順順
・熱衝撃試験
・脱塵性能試験
・熱応力試験
実ガス曝露試験
使用環境に最適な
使用環境に最適な
フィルタの選定
フィルタの選定
103
全体のまとめ
•• PFBC
PFBCや
IGCC
PFBCや
やIGCCなど高効率発電技術に向け
IGCCなど高効率発電技術に向け
など高効率発電技術に向け
PFBCや
IGCCなど高効率発電技術に向け
た高温集塵用フィルタの性能評価手法を
た高温集塵用フィルタの性能評価手法を
確立した
確立した
•• 集塵機内における粉塵の堆積、逆洗状況
集塵機内における粉塵の堆積、逆洗状況
をシミュレーションモデルで解析し、評価の
をシミュレーションモデルで解析し、評価の
有意性を確認
有意性を確認
•• 評価データをベースにフィルタを試作し、そ
評価データをベースにフィルタを試作し、そ
の有用性を検証
の有用性を検証
104
参考資料1-52
実用化、事業化の見通し
105
実用化の見通し
成果
・高温集塵フィルタの定量的な性能評価
手法の確立
・膨大な評価試験データベース
高温集塵用フィルタの評価選定基準として
活用
高効率発電システム
・フィルタ式ろ過集塵装置導入の一助
・信頼性のあるフィルタの開発指針として活用
106
参考資料1-53
今後の展開
z成果の普及:
成果の普及:CCUJ
成果の普及:
CCUJ
JFCC
z成果の普及:
成果の普及:CCUJ
CCUJや
やJFCCなどのホーム
JFCCなどのホーム
などのホーム
成果の普及:CCUJや
CCUJや
JFCCなどのホーム
ページ等に得られた評価手法を掲載する
ページ等に得られた評価手法を掲載する
とともに、関連学会誌等への投稿により
とともに、関連学会誌等への投稿により
広報活動に努める。
広報活動に努める。
z高温集塵フィルタの開発に展開: 高温集塵フィルタの開発に展開: z高温集塵フィルタの開発に展開: 高温集塵フィルタの開発に展開: NEDO
平成
14
NEDO平成
NEDO平成
平成14
14年度基盤技術研究促進事業
年度基盤技術研究促進事業
NEDO平成14
平成14年度基盤技術研究促進事業
14年度基盤技術研究促進事業
(民間基盤技術研究支援制度)等、高温
(民間基盤技術研究支援制度)等、高温
集塵フィルタの実用化開発プロジェクト
集塵フィルタの実用化開発プロジェクト
の立上げを検討していく。
の立上げを検討していく。
107
成果発表件数および特許出願
査読のある原著論文
Kitaoka: Fabrication of a continuous Alumina fiberreinforced mullite composite ,Ceramic Engineering
and Science Proc., 22,4,279-284(2001)など
査読のない原著論文
Sawada: Evaluation of fundamental properties of
filter material at high temperature; 4th International
symposium & Exhibition gas cleaning at high
temperature、
、393-404 (1999)など
など
2件
(英文1件)
3件
(英文1件)
学会等発表
20件
(英文3件)
特許出願
なし
108
参考資料1-54
実用化への展開
高効率発電用高機能集塵フィルタの開発
H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21
研究課題
①即効性地域新生コンソ
ーシアム
②NEDO 基盤研究:試作フィ
ルターを用いた PP 実証試
験
○
③実用化
H15年度
年度NEDO基盤
基盤
年度
研究に再チャレンジ
109
波及効果
・可燃性廃棄物・バイオマス等の 低品位燃料利用プロセス
・各種焼却炉・化学プラント等
における集塵フィルタ選定への活用が
期待される
110
参考資料1-55
参考資料2
周辺動向調査
本資料は、第1回「石炭利用次世代技術開発調査
環境調和型石炭燃焼技術
分野<高温石炭燃焼ガス集塵技術>」
(事後評価)分科会において、評価の事務
局である新エネルギー・産業技術総合開発機構技術評価部から、株式会社東レ
経営研究所へ関連技術の周辺動向調査を依頼したものである。
石炭利用技術振興事業/石炭利用次世代技術開発調査
環境調和型石炭燃焼技術分野<高温石炭燃焼ガス集塵技術>
周辺動向調査報告書
株式会社 東レ経営研究所
参考資料 2-1
目次
はじめに
1.本プロジェクトに関わる政策動向
1.11次エネルギー総供給の見通しと石炭の位置づけ
(1)1次エネルギー需要の推移と見通し
(2)日本の温室効果ガス削減対策
(3)エネルギー価格の推移
(4)世界のエネルギー資源の埋蔵量
1.2 日本の石炭政策
(1)石炭政策の推移
(2)今後の石炭利用技術戦略
2.高温石炭燃焼ガス集塵技術
2.1 高効率石炭燃焼発電
(1) 石炭の転換利用技術
(2) 高効率石炭燃焼発電システム開発の現状
2.2 高温ガス集塵技術の動向
(1)ガス精製(脱硫)技術
(2)高温ガス集塵技術
(3)国内外の複合発電開発プロジェクトの現状
2.3
本 PJ の波及効果
(1) IGCC の米国市場例
(2) バイオマス利用
3.関連する特許・文献・新聞記事
参考資料 2-2
はじめに
石炭は産業革命を機に最大のエネルギー源としていろんな分野に使用されて
きたが、戦後の石油化学の隆盛とともに、その地位を石油に奪われてしまった。
その後 1970 年代の二度にわたる石油危機や湾岸戦争によって石油の価格高騰、
供給の不安等が大きな国際問題としてクローズアップされ、石炭が見直され現
在に至っている。
エネルギーセキュリティの面では、日本のエネルギー自給率は 22%で、アメ
リカの 78%、英国の 118%、ドイツの 38%等に比べて先進国中最も低い。化石
燃料の中で最も埋蔵量が豊富かつ供給安定性の高い石炭の利用促進はエネルギ
ーセキュリティの確保として重要な政策課題になっている。
一方、地球環境問題が近年大きな国際問題となり、特に地球温暖化防止のた
めの温室効果ガス CO2発生の主犯といわれる化石燃料に代わる太陽光・風力発電
等の新エネルギーや再生可能エネルギー(バイオマス利用他)の開発、導入が
各国で取り組まれている。
しかし、このような化石燃料代替エネルギーは、まだ化石燃料との価格競争
力が低く、日本の代替エネルギー導入計画では 2010 年でも1次エネルギーの約
3%にしかならない。また、CO2発生の面でも有利な原子力の将来も昨今の安全
性問題等から楽観できない情勢にある。このような背景から、化石燃料代替エ
ネルギーの導入には時間を要するため、化石燃料依存は当面続くと予測されて
いる。石炭の利用促進に当たっては、温室効果ガス CO2の排出係数が化石燃料中
最大であるという欠点を克服する技術開発がもう一つの重要な政策課題である。
このために、エネルギーセキュリティの確保としての石炭利用促進策と併せ
て環境対策としての熱利用効率向上技術や CCT(クリン・コール・テクノロジー)
開発など、国内外で数多くの国家プロジェクトが推進されている。
本調査は、石炭利用促進政策としての「高温石炭燃焼ガス集塵技術」の周辺
動向を調査した。
参考資料 2-3
1.本プロジェクトに関わる政策動向
1.1 1次エネルギー総供給の見通しと石炭の位置づけ
(1) 1次エネルギー需要の推移と見通し
世界の1次エネルギー総供給は、図表 1-1 に示すように、1971 年の 5,012 百
万トン(石油換算)から、先進国を中心とする経済発展により 1997 年には 8,743
百万トンに増加した。今後も中国等の開発途上国の経済発展が牽引役となって
2010 年に 11,390 百万トン、2020 年には 13,710 百万トンと増加の一途をたどっ
て行くと予想されている。
これをエネルギー源別にみると、石油は二度の石油危機による価格高騰でそ
のシェアーを大きく下げたが、今後は現状並の 40%程度で推移する。石炭は今
まで微減してきたが今後はほぼ横ばいの約 25%で推移する。天然ガス、原子力
は今後とも増加し、化石燃料代替の新エネルギーが 2020 年には3%に成長する。
その中で、今後の石炭需要は、先進国においては温室効果ガス CO2 削減対策等
から伸びが抑制されるが、経済発展の著しいアジアを中心に伸び、全体として
は1次エネルギーの約1/4を今後とも占める。
石油換算百万トン
16,000
13710
14,000
11390
12,000
2%
3%
10,000
6%
3%
2%
5%
新エネ等
水力
原子力
26%
天然ガス
40%
石油
25%
24%
石炭
2010
2020
8,743
2%
3%
8,000
24%
7%
22%
5,012
6,000
1%
2%
4,000
40%
18%
41%
49%
2,000
26%
29%
0
1971
1997
図表 1-1 世界の1次エネルギー需要の推移と見通し
世界の1次エネルギー需要の推移と見通し
日本の 1970 年以降の1次エネルギー需要は図表 1-2 に示すように、今までは
世界の伸びほどではないが着実に増加してきた。経済成長の鈍化や現在取り組
んでいる温室効果ガス削減対策等によって、2010 年の需要は現状の約 3%増(基
準ケース)が予測されている。しかし、この計画のままでは、詳しくは後述す
参考資料 2-4
(年)
るCOP3での温室効果ガス削減枠の達成が難しく、新たに省エネルギーや新
エネルギー導入等を織り込んだ目標ケースが設定された。
エネルギー源別のシェアーをみると、石油が 1970 年代の二度にわたる石油危
機の影響でシェアーを大きく落とし、この分を天然ガス、原子力が代替えした。
石炭のシェアーは 1970 年の 18.9%から 1990 年の 16.5%まで微減で推移し、そ
の後はエネルギーセキュリティの確保政策等から増加に転じ、2010 年の基準ケ
ースでは 21.8%、目標ケースでも 19.0%になると見込まれている。
石油換算百万Kl
700
622
6 04
1.1 %
3.6
600
52 6
1.3 %
4.3
500
4 27
1.0 %
5 .3
4.7
3 40
400
9.4
1.0 %
1 2.4
602
程度
1 .6 %
3.0 %
3 .4
15 .0
15 .0
13 .1
新エ ネ等
3.2 水力・ 地熱
原子力
13 .2
14.0
10.1
天然ガス
6 .1
5.6
0.3
300
2.2
7 1.9
200
51.8
45.0
4 5.0
58.3
66.1
石油
100
18.9
17.0
16.5
1970
1980
1990
17.9
21.8
19.0 石炭
2000
2010
2010
0
(年)
( 基準ケー ス )( 目標ケー ス )
(出所) 総合エネルギー調査会需要部会中間報告(2001年7月)他
図表 1-2 日本の1次エネルギー需要の推移と見通し
(2) 日本の温室効果ガス削減対策
地球温暖化防止に向けた国際的な温室効果ガス排出量削減に関するCOP3
京都議定書(1997 年)の発効が最近決定し(最大の CO2排出国であるアメリカ
は不賛成で対案を提出している)、各国は 2010 年の目標達成に向けた検討に取
り組んでいる。
日本の達成目標値は 2010 年までに 1990 年の CO2排出量レベル(温室効果ガス
の CO2換算値)を6%削減することになっている。CO2を6%削減するための政
策は図表 1-3 の①に示すように、CO2、メタン、亜酸化窒素の排出抑制で 2.5%
減、土地利用の変化と森林活動による吸収で 3.7%減、共同実施、排出量取引で
1.8%減、代替フロン等の 2.0%増となっている。この中でエネルギー起源の
参考資料 2-5
CO2排出抑制は 1990 年のレベルを維持することとなっている。
現在、国を挙げて取り組んでいるエネルギー起源の CO2排出抑制対策では、
2010 年の CO2排出量は図表 1-3 の②に示す基準ケースの排出量となり、目標達
成が困難であることが明らかになった。このため、新たに省エネルギーの強化、
新エネルギーの導入促進、燃料転換等を織り込み、2010 年の1次エネルギー需
要を 2000 年レベルとする、目標ケースが設定された。
①COP3での日本の削減枠(1990年比)とその対策(2010年)
対 策
CO2、メタン、亜酸化窒素の排出抑制
・エネルギー起源の CO2 排出抑制
エネルギー需給両面にわたる最大限の対策の積上
・メタン、亜酸化窒素等の排出抑制
・革新的技術開発や国民各層における更なる努力
土地利用の変化と森林活動による吸収
代替フロン等(HFC,PFC,SF6)の排出抑制
共同実施、排出量取引などの活用
合 計
削減目標値
▲2.5%
( 0 )
(▲0.5)
(▲2.0)
▲3.7%
+2.0%
▲1.8%
▲ 6%
②エネルギー起源のCO2排出量
排出量
(百万トン-C)
1990
1999
287
313
2010
基準ケース 目標ケース
287
307
(▲20) (注)
(注) 省エネルギー ………6 百万トン-C
新エネルギー ………9
燃料転換等 ………5
(出所)総合資源エネルギー調査会 総合部会/需給部会報告書-今後のエネルギー政策について-
図表 1-3 日本の温室効果ガス削減対策
(3) エネルギー価格の推移
1973 年、1979 年の二度にわたる石油危機による原油価格の高騰はそれまで石
油化学・エネルギーに依存してきた経済に大きな影響をもたらし、国を挙げた
各種の対策が講じられた。特にエネルギー面においては、省エネルギー技術や
製品の軽薄短小化技術などの差別化技術の開発、国民の省エネルギー運動など
が展開されてきた。
このような状況下において、石炭は安価なエネルギー源として定着し、最近
のカロリー当たりのCIF価格(運賃、保険料込みの価格)を図表 1-4 に示し
たように、他の化石燃料に比べて 2002 年で半値以下になっている。
なお、天然ガス(LNG)は環境に優しいクリーンエネルギーとして注目され、着
実に需要を伸ばし、現在は次世代エネルギーと期待される燃料電池の燃料とし
て注目を集めている。
参考資料 2-6
(円/1000kcal)
2.5
CIF:運賃・保険料込みの価格
2.0
原油
C重油
石炭
LNG
1.5
1.0
0.5
0.0
97
98
99
2000
01
02/01
02/07
(年月)
(出所) EDMCエネルギートレンド2002
図表 11-4 エネルギー源別平均輸入 CIF 価格(カロリー当たり)の推移
(4) 世界のエネルギー資源の埋蔵量
石油資源の枯渇問題がクローズアップして久しいが、現状のエネルギー資源
の確認可採埋蔵量を示すと図表 1-5 のようになる。石油の埋蔵量は約 40 年で最
も短く、枯渇が身近の問題になりつつあることがわかる。天然ガスも 61 年と石
油よりは長いが十分とはいえず、石炭のみが 227 年と長く、最も豊富な資源で
ある。ただし、この石炭埋蔵量の中にはそのまま燃料には使用しがたく、何ら
かの前処理や改質処理が必要な低品位炭が約半分を占めている。この低品位炭
の有効利用技術の開発は重要課題である。
また、エネルギーセキュリティ確保に関しては、図表 1-5 の地域別賦存状況欄
に示したように、石油資源が政治的不安の大きい中東地区に集中しているのに
対して、石炭資源は世界中に分布しており、供給の安定性が非常に高いという
利点がある。
参考資料 2-7
石 油
確認可採埋蔵量
石 炭
(一般炭等/低品位炭)
ウラン
9,845億トン
(5,191/4,654)
395万トン
150兆 m3
3.4
4.3
26.1
(23.0/29.5)
17.9
11.7
5.2
2.3
(1.7/ 3.1)
6.2
欧州
1.9
3.5
12.3
( 9.1/16.0)
4.8
旧ソ連
6.4
37.8
23.4
(18.8/28.5)
29.4
65.3
35.0
0.2
( 0.3/ -)
0.0
7.1
7.4
5.6
(10.6/ 0.0)
18.6
アジア・大洋州
4.2
年生産量
262億バレル
可採年数
39.9年
6.8
m3
2.4兆 61.0年
30.1
(36.5/22.9)
43.4億トン
227年
23.0
3.5万トン
64.2年
中南米
中東
)
%
1兆460億
バレル
北米
(
地
域
別
賦
存
状
況
天然ガス
アフリカ
(出所)石油、天然ガス:BP統計2001
ウラン:OECD/NEA、IAEA、URANIUM1999
石炭:第18回世界エネルギー会議資料(2001年10月)
図表 1-5 世界のエネルギー資源埋蔵量(2000
世界のエネルギー資源埋蔵量(2000 年)
1.2 日本の石炭政策
(1) 石炭政策の推移
我が国の石炭政策は昭和 30 年代以降今日にいたるまで約 40 年間計 9 次にわ
たり、地域経済、雇用等への影響を考慮しつつ石炭鉱業の生産規模の縮小と移
行炭坑の徹底した合理化を図る石炭鉱業構造調整対策を推進し、世界的なエネ
ルギー革命の中で構造的不況に陥った石炭鉱業の、我が国における有り様の検
討を続けてきた歴史である。これを時系列的に整理すると次のようになる(補
足資料・1参照)。
第1次策(1963~65) ~ 第3次策(1967~69):
エネルギー資源の高い輸入依存度は、国際収支及び供給の安定という見地から
望ましくなく、重要な国産エネルギー資源である石炭の生産量は 5,000 万トン
台を維持する。
・原油輸入自由化(1962)
第4次策(1969~73) ~ 第7次策(1982~86):
国際競争力低下に伴う炭坑の集中閉山を避けるため、石炭の活用を促進し、生
産量は 2,000 万トン台を維持する。
・第1次、2次石油危機(1973,1979)
・一般炭の輸入開始(1974)
第8次策(1987~19) ~ 第9次策(1992~2001):
海外炭との競争条件改善は見込めず、国内炭の役割は変化し、段階的縮小はや
参考資料 2-8
むなし。
(2) 今後の石炭利用技術戦略
石炭は、すでに述べたように化石燃料の中で最も安価であり、埋蔵量が豊富
かつ供給安定性が高いという優れたエネルギー源であるが、大きな欠点がある。
それは、温室効果ガスである CO2の排出係数が石炭を 100 とすると石油製品が
75、天然ガスが 55 となり、化石燃料中最も大きいことである。この欠点をカバ
ーするために、石炭利用に当たっての熱効率向上技術や各種のクリーン化技術
の開発が国家プロジェクトとして進められている。このような石炭政策の現状
をまとめると次のようになる。
海外炭の安定供給確保:
・探鉱/開発段階前の各種調査に対する補助金、探鉱融資等の海外炭開発に対
する支援
・産炭国との石炭生産技術共同研究等の技術協力
・我が国炭坑を活用した炭坑技術移転5カ年計画による技術移転
環境に配慮した CCT の開発及び普及等:
・CO2発生量を低減させるための加圧流動床燃焼技術(PFBC)、石炭ガス化複合
発電技術(IGCC)、燃料電池用石炭ガス製造技術等の熱効率向上に資する技術の
開発
・環境負荷低減のための高効率石炭ボイラー(PCS,USC)の導入支援
・グリーンエイドプランに基づく、石炭利用に係わる地域の実情に応じたマス
タープランの作成や CCT の具体的な共同実施事業
(出所)エネルギー庁:石炭政策について
以上述べてきたことを、2030 年までの技術戦略として時系列的にまとめたも
のが図表 1-6 である。詳細は省略するが、1990 年代の CO210%削減を実現する
ための PFBC、PCS 技術等による高効率化第一世代から、2000 年代の IGCC 等の高
効率化第二世代、2010 年代の燃料電池等の高効率化ハイブリッド世代、2020 年
代のゼロエミッション世代の実現に向けた各種の石炭利用技術プロジェクトが
計画、推進されている。
参考資料 2-9
1990
環境制約
資源制約
2000
削減率:10%
CO2
2010
10~20%
2020
20~30%
高効率化第一世代
・PFBC
・PCS(USC)
2030
30~40% >40%
石油供給タイト化
高効率化第二世代
・石炭燃焼・ガス化複合サイ
クル発電(IGCC等)
・DIOS,SCOPE21
・エミッション低減-3Ten
PFBC
:加圧流動床燃焼複合発電
PCS :超臨界圧微粉炭焚火力発電
USC :超々臨界圧微粉炭焚火力発電
IGCC
:(石炭)ガス化複合発電
DIOS
:溶融還元製鉄技術
SCOPE21 :高度転換コークス製造技術
エミッション低減-3Ten:SOx<10ppm, NOx<10ppm,
煤塵<10mg/Nm3の達成
高効率化ハイブリッド世代
・石炭ガス化燃料電池発電
・発電と化学原料ガス併産
・石炭から水素製造( CO 2
回収・固定)
・エミッション低減-ゼロへ
ゼロエミッション世代
・石炭から水素-燃料電池、
タービン複合サイクル発電,
水素自動車
・石炭新産業構想-エネルギー・
鉄鋼・化学融合センター
・ 転換利用
CO 2
(注)年数は、開発課題の実用化時期を示す
CO2削減率は、開発課題の実用化時の削減率を示す
(出所) 第10回石炭利用技術会議講演集:我が国の21世紀石炭政策について(資源エネルギー庁)
図表 11-6 日本の石炭利用技術戦略―21世紀への挑戦
参考資料 2-10
2.高温石炭燃焼ガス集塵技術
2.1 高効率石炭燃焼発電
(1)石炭の転換利用技術
我が国における石炭の用途は、1999 年で鉄鋼分野が 49.1%、電力・ガス分野
が 36.5%、残りが製造業となっている(詳しくは補足資料・2参照)。
これらを石炭の転換利用技術でみると、図表 2-1 に示すように、従来からの
直接燃焼以外にガス化、水添ガス化、液化、改質(熱分解)に分類される。こ
の中で、本 PJ の高温石炭燃焼ガス集塵技術が対象となる分野は、直接燃焼ガス
利用の燃焼複合発電(PFBC 系)とガス化ガス燃焼のガス化複合発電(IGCC 系)が主
となる。このようなガスは高温でかつ発電用ガスタービンのブレードを損傷さ
せる粉塵を多量に含んでいるため、これを除去する高温ガス集塵技術が複合発
電システム開発の重要な要素技術となる。
『転換技術』
直接燃焼
ガス 化
石 炭
水添ガス化
液化
改質
『主力製品』
『新しい動き』
エネルギー
複合発電( P FBC)
化学原料、気体燃料
複合発電( IGCC)
気体燃料、化学原料
輸送用燃料
コークス,改質炭,化学原料
石炭直接利用(コークス)
低品位炭改質と高価化学原料
図表 22-1 石炭の転換利用技術
(2) 高効率石炭燃焼発電システム開発の現状
石炭利用技術としては、すでに述べたように温室効果ガス、特に CO2の排出量
削減が不可欠の要素技術となる。この CO2を削減するための技術には、エネルギ
ー効率の向上技術と発生する CO2の固定化・有効利用技術があるが、ここでは高
温ガス集塵技術に関連する前者についてまとめる。
複合発電システムにおけるエネルギー効率向上技術の中で特に重要なものを
あげると、設備の大型化、ガスタービン入口ガス温度の高温化、ガス/スチー
ムタービンによる複合発電システム化の3点となる。
参考資料 2-11
a) 設備の大型化
設備は大型化するにつれエネルギー効率は向上する。図表 2-2 に IGCC の検
討例を示したように、湿式脱硫方式の場合、送電端熱効率は出力 300MW で 42%
であったものが、650MW になると 46%と約 4 ポイント向上する。また、乾式
脱硫方式では湿式脱硫方式より約 2 ポイント送電端熱効率がよくなるが、両
者の違いについては後述する。
49
501G
701G2
48
乾式脱硫
湿式脱硫
送電端熱効率(%)
47
46
501F
(三菱IGCCシステム)
45
44
43
701F
701DC
42
41
0
100
200
300
400
発電端出力(MW)
500
600
700
(出所)複合発電IX、石炭利用複合発電IGCC/PFBC、火力原子力発電(1998年1月号)
図表 22-2 ガス化複合発電設備の規模と熱効率
b) ガスタービン入口ガス温度の高温化
ガスタービン入口ガス温度が高温になるほどエネルギー効率は向上する。
図表 2-3 に航空機用と産業用のガスタービン入口ガス温度の時系列的推移を
示す。先行している航空機用は 1950 年頃の 900℃から現在は 1,700℃に、産
業用では 1970 年頃の 950℃から現在は 1,500℃といずれもエネルギー効率向
上を目指した高温化が進んでいる。
参考資料 2-12
)
K
1700
1900
1600
1800
1500
1700
1400
1600
1300
1500
1200
1400
1100
1300
1000
1200
タービン入口ガス温度︵℃︶
ビ
ン
入
口
ガ
ス
温
度
1800
航空機用
産業用
2000
タービン入口ガス温度︵℃︶
タービ
ン入口ガス温度︵K︶ (
ー
タ
2100
900
1100
1950
1960
1970
1980
1990
2000
(年)
(出所)高温エネルギー交換技術としてのガスタービンの現在と今後の展開,化学工学論文集(第26巻2号)
図表 2-3 ガスタービン入口ガス温度推移
c) ガス/スチームタービンによる複合発電システム
図表 2-4 にボイラー単体、燃焼複合発電(PFBC)、ガス化複合発電(IGCC)、
燃料電池複合発電について石炭系(含重質油)を実線で、天然ガス系を点線
でその実現時期と発電端熱効率を示した。
超臨界圧ボイラー(PC-SC)、超々臨界圧ボイラー(USC)発電では発電端熱効
率が 43%位で頭打ちとなり、すでにクリーンな天然ガスを用いた熱効率が約
48%の天然ガス複合発電システム(LNG-CC)が導入されている。しかし、石炭
系では燃焼ガスやガス化ガスに含まれる粉塵を除去する高温ガス集塵技術や
大気汚染物質の一つである硫黄を除去する脱硫技術などの開発も含めたシス
テムとしての開発段階にある。
今後の予想としては、石炭系ではすでに PFBC が実用化段階にあり、2005 年
頃には IGCC が、2020 年頃には燃料電池系(溶融炭酸塩型)が実用化される。
一方、集塵や脱硫などを必要としないクリーンな天然ガス系は開発が先行し
ており、2010 年頃には燃料電池複合発電(溶融炭酸塩型)が実用化する。
参考資料 2-13
PC-SC,USC
PFBC
C-IGCC
H-IGCC
IG-MCFC
IG-SOFC
LNG-CC
LNG-MCFC
LNG-SOFC
:超臨界圧、超々臨界圧微粉炭焚火力発電
:加圧流動床燃焼複合発電
:石炭ガス化複合発電(1300~1500℃)
:超重質油ガス化複合発電
:石炭ガス化燃料電池複合発電(溶融炭酸塩型)
:石炭ガス化燃料電池複合発電(固体電解質型)
:LNG複合発電(1300~1500℃)
:LNG燃料電池複合発電(溶融炭酸塩型)
:LNG燃料電池複合発電(固体電解質型)
65
LNG-SOFC
IG-SOFC
発電端熱効率 (%)
60
LNG-MCFC
IG-MCFC
C-IGCC(O2)
55
LNG-CC
H-IGCC
50
C-IGCC(Air)
PFBC
45
40
1980
PC-SC USC
1990
2000
2010
2020
2030
2040
2050
(出所) 佐藤幹夫他:第37回石炭科学会議(2000)-石炭ガス化複合発電(IGCC)の実用化に向けて
2060
(年)
図表 22-4 高効率発電技術の流れ
2.2
(1)
高温ガス集塵技術の動向
ガス精製(脱硫)技術
クリーンな天然ガスを使用する LNG-CC はすでに実用化されているが、石炭燃
焼複合発電システムでは、燃焼ガス(PFBC)や分解ガス(IGCC)中に含まれる粉塵
以外の大気汚染源となる硫黄などを除去するガス精製技術がガス温度を支配す
ることになる。特に重要な脱硫技術には、ガス温度を低下させない乾式脱硫と
ガス温度を低下させる湿式脱硫がある。
a) 湿式脱硫技術
湿式脱硫は石油化学において完成された技術であり、IGCC 系の開発プラン
トに採用されている。湿式処理のためガス温度が下がり、ガスタービン入口ガ
ス温度が 450℃以下になるという、熱効率面での欠点がある。
現在、実用化されている主な湿式脱硫プロセスを図表 2-5 の①に示す。
b) 乾式脱硫技術
ガス温度を低下させない乾式脱硫は、PFBC 系では脱硫剤の石灰石が石炭燃
焼炉である流動床の流動媒体となる特徴を生かした技術が開発され、現在稼
働中の PFBC プラントに採用されている。ガスタービン入口ガス温度は 850℃
参考資料 2-14
位の高温になる。
一方、IGCC 系は熱分解炉外での脱硫方式を主に検討されており、現在は開
発段階にある。例えば、勿来 IGCC パイロットで乾式脱硫が検討されたが、現
在建設中の実証試験装置では長期運転の信頼性に問題があるとして湿式脱硫
に変更された。また、乾式脱硫を採用した米国のピニョン・パインプロジェ
クトはトラブル多発で中断している。
開発段階にある主な乾式脱硫パイロットプラントを図表 2-5 の②に示す。
参考資料 2-15
①採用されている主な湿式脱硫プロセス
プロセス
方
式
主成分
ライセンサ
精
製
ガ
H2S+COS
H2S 除 去
CO2 除去率
率(%)
(%)
< 40
≧98
≒25
(ppm)
Generic MDEA
化学吸収
MDEA
UCARSOL
化学吸収
MDEA
UCC
< 40
≧98
≒10
Gas/Spec
化学吸収
MDEA
Dow Chemical
< 40
> 99
< 10
AMDEA
化学吸収
MDEA
BASF
< 40
≒98
≒99
Sulfinol-M
化学・物理
MDEA+
Shell
< 40
≧98
≒40
吸収
Sulfolane
物理吸収
ポリプロピレン
UOP
< 40
≧98
≒20
Dow
< 40
≒99
---
Selexol
---
ス
ジメチルエーテル
Sulferox
直接酸化
鉄錯塩溶液
Chemical
MEDA
: m-メチルジエタノールアミン
Sulfolane: テトラメチレンスルホキシド
②主な乾式脱硫パイロットプラントの現状(IGCC)
開発者
方式
吸収剤
規
模
開
発
状
況
(石炭処理量)
石川島播磨重
炉外脱硫
工業
三菱重工業
DOE-MET
炉外脱硫
炉外脱硫
酸化鉄系
200t/日
1992 年 2 月∼1996 年 2 月運転(累
(流動床式)
(46,300m3/h)
積 2,981 時間)
酸化鉄系
20t/日
(ハニカム格子状)
(4,290m3/h)
1,586 時間)
TiO2-ZnO
200t/日
タンパ電力 250MW に 1/10 容量の試
(流動床式)
KRW
炉内脱硫
1993 年∼1995 年運転研究 (累積
ZnO-NiO 系
験装置(未稼働)
880t/日
100MW ピニョン・パイン PJ
トラベル多発で中断
(出所)複合発電-Ⅸ石炭利用複合発電 IGCC/PFBC、火力原子力発電(1998 年 6 月)及び ヒアリング結果
図表 22-5 ガス精製(脱硫)技術
(2) 高温ガス集塵技術
高温ガス集塵機としては、処理するガスの温度や粉塵除去率に対応した、サ
イクロン、バグフィルタ、電気集塵機、セラミックや金属フィルター等が実用
化されている。しかし、石炭の燃焼ガスや熱分解ガスの集塵技術は、粉塵であ
参考資料 2-16
る石炭灰以外に粘着性のあるタール等、融解性やアルカリ金属などの腐食性の
ある粉塵を処理する必要があり、PFBC のような高温領域においては開発段階に
ある。
本 PJ の開発目標であるフィルタ材料性能評価手法確立として設定された環境
温度は次の条件である。
酸化雰囲気(PFBC):950℃
還元雰囲気(IGCC):700℃
このような高温領域におけるフィルタの性能を評価するために、本 PJ は図表
2-6 に示す 22 種のフィルタを選定している。これらのフィルタの詳細や評価結
果に関しては、本研究開発事業原簿で詳しくまとめられることになるので省略
する。
ここでは、フィルタメーカー、エンジニアリング会社、電力会社にヒアリン
グした最近の高温ガスフィルタの動向についてまとめる。
高温ガス(PFBC)向けのセラミックフィルタは、今後の PFBC プラント建設がほ
とんど期待できない情勢にある。今後のフィルタ市場としては、PFBC 系よりむ
しろバイオマス燃焼・ガス化発電やゴミ発電向け等が期待される。
最近のセラミックフィルタに関するトピックスを次に示す。
・ポール社はフィルタにクラックが発生した場合の対策として、フェールセー
フ型を開発している。これは、各フィルタエレメントの処理ガス出口側に粗い
セラミックフィルタを設置して未処理ガスの漏出を防止するものである
・従来品の2倍強の強度をもつセラミックフィルタをマディソンフィルタ社が
開発した。しかし、PFBC、IGCC のような高い信頼性が要求される用途での評
価は得られていない
一方、中温ガス(IGCC)ではセラミックと金属の2種が採用されている。この
うち金属は、次のような利点があり、最近重視されるようになっている。
・高強度である。
・溶接ができるのでシール性に優れる。
・価格面でも有利である。
参考資料 2-17
メーカー
型
式
分
類
日本シューマッハー
Dia-Schumalith T10-20
日本ポール
Vitropore 326
京セラ
コージェライトフィルタ
ACI(アライドシグナル)
PRD-66
セ
住友3M
セラミックコンポジットフィルタ 203
ラ
住友3M
セラミックコンポジットフィルタ
ミ
宇部興産
セラミック繊維強化セラミックフィルタ
ファインセラミックスセンター
セラミック繊維強化(1)
ク
ファインセラミックスセンター
セラミック繊維強化(2)
ス
ニチアス
ファインフレックスモールドタイプ
ニチアス
ファインフレックスモールド強化タイプ
ニチアス
硼酸アルミニウムウイスカー多孔体
日本ポール
PSS メタルフィルタ(SUS310SC)
クボタ
金属系多孔体(1)
クボタ
金属系多孔体(2)
クボタ
金属系多孔体(3)
日本ポール
PSS メタルフィルタ(Fe-Al)
日本ポール
Palloy2000(Ni-Cr-Fe-Al)
住友3M
ネクステル 312 フィルタバグ AB-22
住友化学工業
アルミナ繊維 Altex
ニチアス
アルミナ繊維フィルタバグ
ホソカワミクロン
金属繊維フィルタバグ
モノリシック
繊維強化
ッ
ウイスカ
合金
金
金属間化合物
―
属
セッ
ラク
フィルタバグ
ミス
―
金属
図表 2-6 本 PJ で選定された 22 種のフィルタ
(3) 国内外の複合発電開発プロジェクトの現状
高温ガス集塵技術が適用される PFBC 系、IGCC 系の主な国内外プロジェクト
の現状を図表 2-7 に示した。要点をまとめると次のようになる。
PFBC 系(タービン入口ガス温度:~850℃):
・開発件数は日本が相対的に多い。
・脱硫技術はいずれも乾式が採用されている。
・集塵技術はサイクロンとセラミックフィルタの併用方式が検討されている。
セラミックフィルタは小規模プラントには採用されているが、国内の大型プ
参考資料 2-18
ラントには長期運転の安定性に欠けるとして採用されず、サイクロン単体で
ある。海外でも同様で、Tidd、Escatron は処理ガスの一部をバイパスさせ
てセラミックフィルタで処理するという技術の開発段階にあり、
ABB(Cottbus)はサイクロン単体である。
IGCC 系(タービン入口ガス温度:~450℃):
・海外では多くの商用プラントが稼働している。日本は IGCC 実証試験装置が
現在建設中の段階であり、海外に比べ約 10 年遅れている。
・脱硫技術はいずれも湿式が採用されている。ガス温度を高くできる乾式脱硫
は勿来パイロット等で試用されたが十分な成果が得られず、まだ開発段階に
ある。
・集塵技術は、湿式脱硫が採用されるため処理ガス温度が低くなり、既存技術
が適用されている。セラミックフィルタ、金属フィルタがサイクロンとの併
用又は単独で採用されている。
発電所又は
国
規模(MW)
プロジェクト
P
F
B
C
I
G
C
C
ガス精製
ガス温度
高温ガス集塵機
(脱硫)
サイクロン
フィルタ
若松PFBC
日本
71
乾式
○
○
苫東厚真3号機
日本
85
乾式
○
○
大崎発電所
日本
250
乾式
○
×
苅田発電所
日本
360
乾式
○
×
Tidd
アメリカ
74
乾式
○
○(一部)
Escatron
スペイン
71
乾式
○
○(一部)
ABB(Cottbus)
ドイツ
76
乾式
○
×
勿来パイロット
日本
乾式
○
○
Rheinbraun
ドイツ
750t/d
湿式
○
○
Demkolec
オランダ
253
湿式
Wabash River
アメリカ
262
湿式
Tampa
アメリカ
250
湿式
Puertollano
スペイン
300
Pinon Pine
アメリカ
99
--
高温
(~850℃)
○
中温
(~450℃)
○
○
○
湿式
○
○
乾式
○
○
(出所)複合発電-Ⅸ石炭利用複合発電 IGCC/PFBC、火力原子力発電(1998 年 6 月)及びヒアリング結果
図表 22-7 国内の主な外関連プロジェクトの現状
参考資料 2-19
このように、本 PJ の高温ガス集塵技術は PFBC 系が主な対象となるので、今
後の PFBC 系の国内外動向をフィルタメーカー、エンジニアリング会社、電力会
社にヒアリングし、その結果を以下にまとめる。
・現在稼働している商用プラントは、冬季のみ稼働させる苫東厚真3号機を除
くと、大崎発電所、苅田発電所、Escatron、ABB(Cottbus)となり、いずれも高
温ガス集塵機はサイクロン単体方式である
・国内外共に、次期 PFBC プラントの建設を表明しているものはなく、非常に
停滞した状態にある。次期プラントは IGCC になるのではないかという意見が
多い
・なお、エネルギー源として石炭を重視する中国や韓国は PFBC 開発を積極的
に推進している(例えば 2001 年の国際 PFBC 会議資料)
2.3 本 PJ の波及効果
高温空気燃焼技術を要素技術、開発目標、燃焼技術の相関図として示すと、図
表 2-8 のようになる。この中から本 PJ に関連する要素技術の高温ガスフィルタ
が適用される分野をあげると、次のものがある。なお、これ以外の将来技術と
して図表 2-4 に示した石炭ガス化燃料電池複合発電(溶融炭酸塩型)も対象に
なる。
・高効率燃焼…タービン燃焼(IGCC 等)、PFBC 技術、蓄熱燃焼
・低エミッション化…各種の廃棄物(含バイオマス)焼却他
・燃料高品位化…天然ガス、ガス化燃焼技術(IGCC、バイオマスガス化等)
この中から、特に重要な IGCC とバイオマスに関して調査を行った。
参考資料 2-20
[要素技術]
[燃焼技術]
[開発目標]
触媒燃焼
EGR技術
酸素富化燃焼
二層雰囲気燃焼
燃料電池
[用 途]
SCR技術
火炎内脱硝
水管群内燃焼
低NOx化
炉内構造改良
伝熱促進技術
還元炎
高効率燃焼
ガスタービン燃焼
加圧流動床燃焼
動力、発電
火炎安定化
バーナー構造
加熱炉
CWM燃焼技術
ラジアントチューブ
動力、発電
メタルファイバー
フラットフレーム
気泡分散燃焼
アセチレン製造
アセチレン燃焼
高温ガスフィルター
超高温発生
低エミッション化
蓄熱燃焼
加熱炉
廃棄物焼却 廃棄物焼却
環境対策
天然ガス
ガス化燃焼
動力、発電 PM除去
CO 2 分離回収
燃料高品位化
基礎研究
シュミレーション技術
火炎、伝熱・熱流動
火炎安定性
流動床内燃焼挙動
SCR:触媒燃焼技術
PM :粉塵
CWM:石炭と水の混合燃料
EGR:高温燃焼排ガスのリサ
イクル混合燃焼技術
(出所) H14 年度「高温空気燃焼に対応した高度燃焼制御技術の開発プロジェクト」評価(中間)報告書(NEDO)より作成
図表 2-8 高温空気燃焼技術
(1) IGCC の米国市場例
石炭系複合発電は今後 PFBC 系より IGCC 系が主流になるという意見が多い。
IGCC 系は湿式脱硫技術は確立しているが、将来は熱効率向上を目的に乾式脱硫
技術が開発されると予想され、本 PJ の高温ガス集塵技術の適用が期待されるの
で本資料を示した。
Mitretek Systems と CONSOL 社の調査によると、現在開発が進められてい
る IGCC 技術は、酸素吹き及び空気吹きの2種があり、これら IGCC システム
の熱消費率と資本コストは、各々8,106BTU(8.6MJ)/kWh と 1,392 ドル/kW、及
び 8,523BTU(9.0MJ)/kWh と 1,264 ドル/kW で、現状の微粉炭焚き技術よりも
コストが 2∼11%高い。さらに、競争相手の天然ガス複合発電(LNG-CC)は実用
化されている。
IGCC が十分な競争力を持つためには、熱消費率を 6,800BTU(7.2MJ)/kWh、
資本コストを 1,000 ドル/kW 以下まで大幅に改善した高度 IGCC 技術を開発す
る必要がある。必要な技術開発の中には乾式脱硫技術や高温ガス集塵技術も含
まれることになる。これが実現した場合の 2010 年における米国北東部の IGCC
プラントの市場を、炭素税と競合する LNG-CC の燃料である天然ガスの価格上
参考資料 2-21
昇率との関連で図表 2-9 がまとめられている。
炭素税がゼロの場合、天然ガス価格上昇率が 0.54%/年で全市場 67 基の内 37
基が、1.5%/年になると 63 基になる。しかし、炭素税が増えるにつれ、CO2排
出係数が天然ガスの約2倍である石炭を使用する IGCC は急速に競争力を失う
ことになる。このように石炭利用においては炭素税が導入されると、その影響
は非常に大きなものとなる。
熱効率改善 8,106~8,523→6,831BTU/kWh
設備費改善 1,264~1,392→971ドル/kWh
63
65
64
63
67
65
64
63
70
60
46
50
プ
ラ
ン
ト
数
36
37
40
30
20
20
10
4.5
3
9
0
0
0
1.5
0
25
0
50
炭素税(ドル/トン ・炭素)
0.54
天然ガス価格上昇率
(%/年)
100
(出所) D.Gray 他:国内電力生産向け IGCC の潜在マーケット、石炭利用技術情報(2000 年 2 月号)
図表 22-9 2010 年までの高度 IGCC 米国北東部マーケットへの進出
参考資料 2-22
(2) バイオマス利用
バイオマスは再生可能エネルギー源として注目されている。日本における石
油換算エネルギー賦存量は 2010 年に 2,600 万 kl となり、1次エネルギー需要
の約 4%と推定されている。図表 2-10 にその詳細を示したが、パルプ黒液や汚
泥等の産業廃棄物が全体の約 60%を占めている。
バイオマスは、直接燃焼、ガス化による気体燃料や化学原料回収など、今後
期待される資源である。特に、燃焼ガス、ガス化燃焼の複合発電の場合には、
高温ガス集塵装置が必要になる。また、参考欄に将来高温ガス集塵技術が適用
されると予想されるゴミ発電や古紙等のエネルギー賦存量を示した。
なお、ここに示したもののすべてが高温ガス集塵技術の対象となるわけでは
ないが、エネルギー効率の向上と環境問題対策の両面から、今後適用される領
域は広がって行くと予想される。
(単位:原油換算 万 kl)
分 類
バイオマス種
エネルギー活用量
エネルギー賦存量
(1999年度)
(2010年度)
農業廃棄物
もみ殻、稲わら、菜 9.2
467.5
種、バガス
畜産廃棄物
牛・豚糞尿、ブロイ NA
157.2
ラー鶏糞、
林業廃棄物
間伐材、林地残材、 0
216.1
枝条
産業系廃棄物
木くず、建築廃材等、 548.4
1,588.5
汚泥(有機物系廃液、
下水)、パルプ黒液
生活系廃棄物
厨芥類(生ゴミ)
、廃 2.1
114.9
天ぷら湯、し尿
その他
Landfill gas、薪炭
6.8
52.6
合計
566.5
2,596.8
(参考) (単位:原油換算 万 kl)
エネルギー活用量 エネルギー賦存量
(1999年度) (2010年度)
ゴミ発電、焼却余熱利用
データなし(*1)
676.0
食品廃棄物(外食産業等)
草木類
古紙
NA
0
NA
99.4
58.8
605.4
*1:国内の200t/日以下の廃棄物焼却炉は924基、43,829t/日
(電源開発調査資料より)
(出所) NEDO環境調和型技術開発室資料
図表 22-10 日本のバイオマスの導入実績と賦存量
参考資料 2-23
3.関連する特許・文献・新聞記事
本 PJ の調査研究がスタートした翌年の 1993 年以降における、高温ガスフィ
ルタに関連する特許、文献、新聞記事の件数推移を図表 3-1 に示す。なお、2002
年は最近データまでとした。
特許:
国内公開特許を対象に、出願日で件数を整理した。検索キーワードは石炭とセ
ラミックフィルタ他、燃焼ガスとフィルタの2種とした。
石炭とセラミックフィルタ他は年間1∼4件と少なく、経年的傾向は認められ
ない。対象を広くした燃焼ガスとフィルタでは、1993 年頃の年間 30 件程度
から最近は 40 件前後と増加している。
学術文献:
JOIS(日本語登録)を使用し、検索キーワードは石炭とセラミックフィルタ他と
した。国内文献は 1996 年から 1998 年にかけて増加したが、その後は5件/
年前後に減少している。
日本を含む世界でも、年間 10∼20 件の範囲にあり、件数は少なく経年的傾向
は認められない。
新聞記事:
日経4紙の見出しを対象に検索した。キーワードは石炭とセラミックフィル
タ他が調査期間全体で2件しかなかったので、セラミックフィルタのみとし
た。1993 年の7件から 1995 年に 13 件と増加したが、その後は年間5件程
度で推移しており、件数は少ない。
参考資料 2-24
60
①国内公開特許(出願日)
50
燃焼ガス×フィルター
40
特
30
許
20
10
石炭×セラミックフィルタ他
0
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002 年
1999
2000
2001
2002 年
2000
2001
2002 年
40
②学術文献(JOIS)
30
石炭×セラミックフィルタ他
文
20
献
世界
日本
10
0
1993
1994
1995
1996
1997
1998
20
③新聞記事(日経4紙)
15
石炭×セラミックフィルタ = 2件
記
10
事
セラミックフィルタ
5
0
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
図表 3-1 関連特許・文献・新聞記事
以上
参考資料 2-25
<補足資料・1>
日本の石炭政策の推移
第1次策
1963~1965
【基本方針】
・石炭鉱業崩壊のもた
らす経済・社旗への影
響を防止
・エネルギー革命の進
行に対応して生産構造
を再編
【生産目標】
5,500 万トン確保
第2次策
1965~1967
【基本方針】
・エルギーの高い輸入依
存度は、国際収支上も
供給の安定という見地
からも望ましくなく、重
要な国産エネルギー資源
たる石炭を確保
【生産目標】
5,500 万トン維持
第3次策
1967~1969
【基本方針】
・経営基盤回復対策と
ある程度の需要確保を
講ずれば、今後とも
5,000 万トン程度の出
炭維持は可能
【生産目標】
5,000 万トン確保
第4次策
1969~1973
【基本方針】
・安定した出炭,供給体
制構築
・石炭企業は再建に努
力する反面、維持・再
建困難となる場合には
進退を決すべき
【生産目標】
規模明示せず
<出来事>
<出来事>
・炭坑ストライキ頻発
・原油輸入自由化
(1962)
<出来事>
<出来事>
・石炭対策特別会計創 ・公害対策強化
設(1967)
・集中閉山
第6次策
1976~1982
【基本方針】
・エネルギーの安定供給
の一環として石炭を可
能な限り活用
・国内炭の生産を維持
し、海外炭の輸入を円
滑に行う
【生産目標】
2,000 万トン以上の生産
規模維持
<出来事>
・第2次石油危機
(1978)
・価格差縮小
第8次策
1987~1991
【基本方針】
・海外炭との競争条件
改善は見込めず、国内
炭の役割は変化、段階
的縮小やむなし
・集中閉山回避、経済・
雇用への影響を緩和
【生産目標】
最終的には 1,000 万トン
程度が適当
<出来事>
・鉄鋼業界による引取
協力終了(1990)
第7次策
1982~1986
【基本方針】
・安定性と安全保障の
両 面 か ら 貴 重な 国 内
炭を積極的に活用
・国内炭生産量を維持
し、石炭鉱業の自立達
成を支援
【生産目標】
2,000 万トン以上の生産
水準達成
<出来事>
・プラザ合意(1985)
・価格差拡大
(出所)資源エネルギー庁:石炭政策について
参考資料 2-26
第9次策
1992~2001
【基本方針
・90 年代を構造調整の
最終段階と位置づけ、
国 民 経 済 的な 役 割 と
負担 の 均 衡点 ま で 国
内炭生産の段階的縮
小を図る
【生産目標】
具体 的水 準を 明記せ
ず
<出来事>
・三井三池閉山(1997)
・松島閉山 (2001)
・太平洋閉山 (2002)
第5次策
1973~1976
【基本方針】
・石炭鉱業の急激な縮
小は多大な社会的混
乱を惹起するおそれが
あることに鑑み、需要
の引 き 上 げ及 び対策
の拡充を行う
【生産目標】
2,000 万トンを下らない
規模
<出来事>
・第1次石油危機
(1973)
・一般炭輸入開始
(1974)
<補足資料・2>
石炭の国内用途別販売量推移
16,000
13,965
13,027
14,000
11,517
11,094
12,000
販
︶
万
ト
ン
9,308
10,000
︵
売
量
8,000
9.6%
12.3%
1.9%
2.1%
11.1%
0.1%その他
0.1%
0.6%
14.3%
製造業
36.5%
電力・ガス
15.4%
15.1%
32.0%
21.8%
23.4%
76.0%
65.1%
60.9%
52.6%
49.1%
鉄鋼
1980
1985
1990
1995
1999
(年度)
6,000
4,000
2,000
0
(出所)経済産業省:エネルギー生産・需給統計年報
参考資料 2-27
Fly UP