Comments
Description
Transcript
クルス デル スル
クルス デル スル 平成25年度7月号 発行日 平成25年7月12日 発行者 島村正明 CRUZ DEL SUR (南十字星) これが亜熱帯の冬でしょうか。寒かったり、雨が続 ・派遣教員は国及び都道府県・政令都市の負担 いたり、そして、ここ数日、日中は夏同様。1週間の ・現地採用教員は運営委員会及び国の補助金 中に四季があるという話は事実でした。 ・現地採用職員は運営委員会 早いもので、4月の入学式、5月の運動会、6月の <考察> 移動教室、今月のマラソン大会と学校の行事も順調に ①教職員給与以外の学校運営費の大部分は保護者の 進みあっという間に冬休みを迎えます。 授業料に頼っている。 今年度は、木曜放課後勉強会、土曜勉強会がスター ②学校を管理するのは、学校運営委員会になります トし確実に軌道に乗りました。何とかこれを足がかり が、実際には教育行政の専門家ではありませんの に学力向上へ向けて前進できればと思っています。 で、文科省がいろんな形で日本人学校を支援して います。また、それだけ校長の力量も問われる所 (1)平成25年度 です。 学校の概要(その3) ②法律に基づき教育委員会は教員の研修を積極的に 実施しなければなりません。海外日本人学校では 今回は、アスンシオン日本人学校の置かれた立場を 教育委員会にあたる学校運営委員会が実施すべき 基に学校の課題を記載します。 でしょうが、現実には不可能です。そこで、校内 <国内の公立学校> で校長の責任の基、校内研修を進めなければなり ①設置者は都道府県市区町村 ②管理者は行政から独立した立場にある教育委員会 ません。 <課題> ※管理の実際は、教育委員会事務局が行い、教育 の多岐にわたる分野ごとの専門家が揃ってい つまり、授業料が高額であることと公機関による教 員の研修ができないことです。 る。 ・校長は、教育委員会の管理下、学校の経営にあ 授業料に関しては、数年前に児童生徒数が十数人に たる。 なっても学校運営ができることを目安に設定してあり ③財政負担は設置者である都道府県市区町村及び国 ます。これに関しては、児童生徒数の動向が明確に描 の補助金 ける状況ではありませんので、例えば20人を超えた ら授業料減額という訳にはいきません。 ・教員給与は地方自治体が 2/3、国が 1/3 を負担す 教員の研修に関しては、派遣教員は赴任前に文科省 る。・・・国が 1/3 を負担するのは、全国どの地 主催の合宿研修が1週間実施され、教員としての基本 域でも教育の均質な発展を図る為である。 的な姿勢、海外日本人学校の特性、新学習指導要領の <アスンシオン日本人学校> 観点、政治・経済動勢、健康安全他あらゆる研修を受 ①設置者も管理者も基本的には学校運営委員会 け、海外日本人学校の教員としての使命感をもって赴 ②財政負担 任することになっています。 ・施設設備の新設・増設・管理・維持は学校運営委 員会 また、本校では、指導力の向上を図るため全教員が 研究授業を実施し、互いに授業を検証するとともに教 財源は、国からの補助金が若干あるが、大 育目標達成へ向けて努力しているところです。 半は保護者が納付する授業料。 ※今回、研究授業の様子を記載する予定でしたが、で ・教職員の人件費 きませんでしたので次回に回します。 -1- 目安として偏差値を使います。それは、中3生はあら (2) 進学情報② ゆるテストを受けて自分の実力を測りますが、どのテ ストも偏差値で結果を表示すれば問題の難易度に関係 今回は、進路選択をする上で目安となる偏差値につ なく、また、テストを受けた層がほぼ同一であれば正 いて記載します。 確な自分の実力が表示されることになります。日本の <偏差値の基礎知識> 学校では、既に50年前から一般的に使われています。 (1)数式に基づいて偏差値を計算しますが、大まか 何しろ50年前、私も偏差値で受験高校を目論んでい に述べると以下のとおりです。 ましたから・・・。 ①平均点のところを偏差値 50 とする。 さて、平成13年度まで中学校の5段階評定は「5」 ②問題によって得点分布のばらつきが出ますので、ば 7%、 「4」24%、 「3」38%、 「2」24%、 「1」 らつきの平均を出す。・・・これを標準偏差(SD) 7%と決まっていましたが、平成14年度から絶対評 と言います。 価となり、「5」が何%という枠はなくなりました。 ③個人の得点xと平均点aとの差を標準偏差 SD で割 そこで大まかな目安として数値的に「5」は偏差値 る。 64以上、「4」が58以上です。これは、あくまで (x-a)/SD も目安です。 つまり、 ア)平均点が何点であっても平均点を偏差値 50 となる。 (3)漢字検定 イ)標準偏差で得点差を割り算をするので問題のばらつ きが修正できる。 現在、英検を実施していますが、今年度から漢検を 【図A=国】 人数 アスンシオン日本人学校教育の一環として実施したい と思います。 英検と違い、小学校1年生から受検できますので全 児童生徒で挑戦してもらいたいと考え原則全員受検す ることで7月学校運営委員会役員会にて一応承認をい 得点 平均点 ただきました。つまり、受験料も級によって高低があ 太郎君の得点 りますが、一律、運営委員会経費で執行するというこ とです。 人数 【図B=数】 ただし、原則全員受験ですから、保護者の方と相談 の上受験するかどうか決めたいと思います。 そこで、まだ職員会議で具体的な取組の詳細を決め ていませんが、現時点での実施要領を記します。 得点 平均点 ①実施のねらい 太郎君の得点 小学校1年生から中学3年生まで、漢字の学習は日 例えば、上図で太郎君の得点が国語・数学が同じ得 本人にとって必修である。 点でも国語の得点価値が数学よりはるかに高いことが おわかりと思います。 ○漢字検定を原則全員で受検することにより学校教 育(国語)と連携することができる。 こういった場合(全くでたらめな数値ですが)、国 ○個人にあった目標級あるいはより高い目標級をも の偏差値が75で数の偏差位置は60と出るわけで つことにより漢字学習の意欲を高める。 す。 ○努力して達成することを学び、学問全体への学習 そこで、受験する高校を何処にするか決めるときの 意欲を高める。 -2- ②実施期日 ③会場 11月1日(金) (4) 移動教室 アスンシオン日本人学校各教室 ④級ごとの出題レベル <10級>小1修了程度・・・・・・・・ 80字 本校の修学旅行に代わる移動教室の一端を報告しま < 9級>小2修了程度・・・・・・・・ 240字 す。 < 8級>小3修了程度・・・・・・・・ 440字 <1日目> < 7級>小4修了程度・・・・・・・・ 640字 7:15 私が学校に着くなり、N先生より「Kが朝から < 6級>小5修了程度・・・・・・・・ 825字 熱があり欠席させます。」との報告。聞けば昨日まで < 5級>小6修了程度・・・・・・・・1006字 何ともなかったとのこと。本人にとっては最大の楽し < 4級>中学在学程度・・・・・・・・1322字 みである旅行に参加できないことは、相当なショック < 3級>中学卒業程度・・・・・・・・1607字 を受けたに違いありません。父親の判断で有無を言わ <準2級>高校在学程度・・・・・・・・1940字 さず決まった様子。・・・日本の昔の父親?・・・引 < 率する立場からすると残念ですが、健康第一です。ま 2級>高校卒業・大学・一般程度・・2136字 ※1級、準 1 級は、海外での受検はできません。 た、父権ここにあり。 7:30 ⑤出題内容 出題内容は、 「漢字の読み」 「漢字の書取」 「部首」 「部 何とN兄弟が1番に学校着!張り切りようが よくわかる。 8:10 首名」「送り仮名」「四字熟語」「誤字修正」「対義語」 「類義語」「熟語」の構成。(級によって異なります。) すべての動きがそうであった様に予定より早 く学校を出発する。 ⑥出題数 とにかく車高が高いため街路樹を避けながらの走行 出題数は「120問前後」、8~10級は「100 であるためサンロレンソまでの町中はかなり時間を要 問前後」 する。 8:45 ⑦合格 国道に入ると同時に待ってましたとばかりに 約8割正答すれば合格(難易度によって若干違います) 持ち込んだスピーカーから歌が流れる。・・・ ⑧受検料 100%ゆうき・・・私には全く分からない。 <2級>39$、<準2~4級>20$、 M先生とKくんが乗っている。 <5~7級>17$、<8~10級>11$ Rくんが歌うと「かっこいい!」と黄色い声 ⑨漢字検定のホームページに漢検の特徴やメリット、 途中の町上下2車線の外側は雨で泥んこ状態。 過去問等詳細な情報がある。 アスンシオンに向かう反対車線は大渋滞。 ↓ 11:15 予定通り VillaFlorida のレストラン着、幸い つきましては、11月1日に実施予定ですので、各 曇天ながら雨が上がりレストラン裏側の川を望む東屋 家庭でもホームページでのチェック、担任との情報交 で2班に分かれ弁当。N兄弟以外は寒くて、Yさんは 換等で少しずつ準備を始めて下さい。学校では2学期 食後先輩の特権で手を温かそうな後輩のNくんの背中 から漢検へ向けて本格的な指導を開始します。 に当てて暖をとる始末。 11:45 なお、この取組は今年度赴任した国語科の三綿教諭 予定通り VillaFlorida を出発。 が漢検本部と掛け合って開始に結びつけていることを ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 申し添えます。とにかく、公益法人が主催する検定で ・・こんな感じでバス内、食事時、ホテル内等と6 すから、会場、開催期日他条件が揃わないと団体受検 歳から15歳の少年少女が家族生活を楽しんでいまし の認可はおりません。 た。・・ 15:00 ジェルバ工場着 小雨模様の中であったが、工場内を見学。とにかく 私から見れば昭和30年代の工場の雰囲気。マテ茶の -3- 原料となる枝付きの葉を回転炉で激しく熱し、乾燥さ 12:30 ~製粉工場 せて袋詰めをするという単純な行程であるが、児童生 ラパス農協経営の製粉工場は、最新の設備で非常に 徒には熱い炉の近くで汗を流しながら頑張っているパ 清潔感あふれる環境下にあった。見学者全員にヘルメ ラグアイ人の勤労に掛ける情熱、勤労の厳しさ、勤労 ットが渡され、全行程を見せていただいた。 の楽しさを見ることができたと思える。仕事をしなが 一粒一粒の小麦が4階から1階1階落とされる中 らも人なつっこく本当に親切に案内をしていただきま で、脱穀され、小さく切り刻まれ、何種類かの粉に分 した。 けられる行程をつぶさに見せていただいた。特に地震 <2日目> の様な振動を繰り返している大型のボックスには全員 8:30 手を触れ体感し大喜びでした。 トリニーダ遺跡到着 14:00 ラパス長寿会との交流 寒くて小雨の中での見学でした。緑の草原に残る遺 跡は、その昔、遠く離れたヨーロッパからやって来た 久し振りの演技となった南中ソーランの後、「春の 白人が原住民と関わり、文化を築いた痕跡です。私達 小川」「我は海の子」「紅葉」と続く唱歌を子ども達が も遠く離れた日本からやって来ましたが、彼らは船で 実に素直に歌っている姿は、おじいちゃん・おばあち 数百日を掛けてこの地まで来ていたのです。十分な事 ゃん達の日本での子ども時代を呼び戻した様で、目を 前の準備はできませんでしたが、少しは、当時の様子 潤ませおられる方が多かったようです。日本の古い文 を窺えたと思います。決して派手な世界遺産ではない 部省唱歌は大した魔力を持っています。 ので、結構、早めに子ども達は見て回るのかと思いき 15:40 ~ 16:10 田岡功氏に短い時間でしたが、駐日大使 や意外と一生懸命隅々まで見て回っていました。 時代のお話をしていただきました。 11:00 ・大使は、大統領だけでなく議会の承認がないといけ ラパス移住地 ラパス日本人会の藤井事務局長に移住資料館を案内 ないが、議会も100%承認された。 していただきました。 ・日本でも大使は180カ国以上あるが、英語が必須 藤井さんは、昭和35年中3の途中で両親とともに である。 来られたとのこと。学級の同級生は、がんばれよと言 ・天皇陛下にパラグアイ大統領からの信任状の奉呈を ってくれた。自分自身、不安は全くなく新しい生活に する時には、陛下指し回しの馬車が用意され東京駅前 希望溢れていた。ところが、ラパスに来てみると、生 から皇居まで馬車にて行った。 活できる環境は何もない。日本から持ってきたお金で ・最後に述べられたのは、日本人としての誇りでした。 現地の人を雇い、一緒になってジャングルを切り拓い 外交官のトップとしてパラグアイの為、日本政府と渡 た。また、木を切るための何種類かのノコギリ、ノミ り合ったが、日本人としての気高い誇りは捨てなかっ 等も持ち込んだとのことで、それらののこが資料館に た。皆さんも日本人の誇りを大切に持ってもらいたい 展示してある。4m程あるスズヘビという毒蛇の話と といったお話しでした。 か、猿・ウサギ等何でも食べたが、特に蜂蜜の甘くて ○ラパス長寿会からのおやつ 美味しかったという話には低学年の子ども達は食い入 長寿会の方々から沢山のおみやげをいただきまし る様に藤井さんの話を聞いていました。また、苦労し た。中でも、手作りの柏餅のおいしかったこと。餅を て19mも掘った井戸の話。19m掘ったらじわっと 包んである葉はアボガドの葉でした。 水がしみ出てきた時の感動話。上から空気を送らない 編集後記 と酸素がなくなり危険な作業であったこと。しかし、 クウェート時代に担任した生徒が、何とサウジアラビアに 水が出てきたら酸素は不思議とあった等実感のこもっ 駐在員として赴任した。運動神経は全くなかったが、何事に も真っ正面から立ち向かう子で、肝っ玉母さんの血を受け継 たものでした。 ぐ頼もしい子であった。数年前に会った時、全く同じ顔をし また、中3生の時、日本を出て、大人と同様の仕事 た息子にはびっくりした。今、子ども3人を連れてイスラム をしたということで同じ中3生のRくんには、自分の の国で仕事と子育てに頑張っている。彼なら何処に行っても 今と比較できる身近な体験談であった。 大丈夫。アスンシオンの子ども達も逞しい。何時か、南米に 自分の子どもを連れて赴任する子がいるに違いない。 -4-