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第1回「京都市客引き対策等対策懇談会」 摘録
第1回「京都市客引き対策等対策懇談会」 摘録 1 開催日時 平成26年8月1日(金) 午前10時30分から午後0時20分まで 2 開催場所 ホテル本能寺西館5階「雁」 3 出席者 ⑴ 委員 京都商店連盟副会長 宇治田 脩盂 同志社大学法学部教授 佐伯 彰洋(会長) 大阪学院大学商学部教授 田中 道雄 京都大学大学院法学研究科教授 毛利 透 ⑵ オブザーバー 京都府警察本部生活安全対策課長 長谷川 潤 ⑶ 京都市(事務局) 文化市民局長 平竹 耕三 文化市民局市民生活部長 吉川 昌弘 産業観光局商工部長 安河内 博 文化市民局市民生活部くらし安全推進課長 芳賀 正昭 産業観光局商工部商業振興課長 小山 幸司郎 事務局から,配布資料に基づいた客引き行為の現状や,他都市の取組状況について説明を 行った後,意見交換を実施した。 (委員名は,敬称略) 佐 伯: 事務局から客引き行為の現状や商店街のヒアリング結果,市の調査結果,他都 市の取組等について説明があった。 ここからは意見交換としたい。何か御意見はないか。 長谷川: 市が行った調査結果の資料について,資料 P9には,6月の平日で4時間におい て287人の客引き行為者を認めたとあるが,資料 P13の地図では,三条木屋町 で11人の客引き行為者を確認したと記載されている。 287人の内訳はどうなっているのか。 事務局: これは,7時,8時,9時,10時の各時点で30分間,それぞれの箇所にお いて調査した結果を合算した延べ人数の数字である。 「11人」というのは一番多い時の人数を記載しただけである。 毛 利: 風俗やガールズバーが多くを占めている調査場所があるが,これらは現行の法 令により規制されるのではないか。 事務局: この客引き行為者は,調査員が外観だけで判断した結果であり,単なる声かけ 行為も含まれる。 また,風俗やガールズバーの客引きと言っても,本当にその類いの店なのかま で確認されていない。 風営法の規制にかかっていない行為があるのではないかと考えている。 ガールズバーにあっては,カウンター越しのサービスを行うなど,風営店とは 認められない点もある。 佐 伯: この調査結果は,現行の法令で違法なことをやっているということなのか。 事務局: 府の迷惑行為防止条例違反となる執ような行為までには至っていないと認識し ている。 長谷川: 府警にあっては,風俗営業やガールズバーなどの違法行為は検挙している。 これらは現行の法律で網がかけられないもので,これから網をかけようとする ものを調査した結果ではないかと思うがいかが。 事務局: そのとおり。 毛 利: 府警もパトロールを行い,通報を受けた場合など対応していただいているのか。 長谷川: 通報を待たずして,独自に取締りを行っている。 そして,風営法や条例違反があれば検挙している。 ガールズバーにあっては,カウンター越しに一杯お酒をつぐ程度なら,風営法 の接待に当たらないが,常に談笑の相手となるなど接待行為を行えば,風営店と なる。風営法や条例で適用できるものは適用している。 佐 伯: 商店街の自主パトロールはやっているのか。 商店街,警察,行政でパトロールを行っている。 宇治田: 商店街だけでは,客引き行為者とトラブルになるおそれがあるので,警察に来 てもらっている。 河原町商店街振興組合では,商店街の地区協定により客引きを行わないよう協 力を求めている。 客引きを行う若者は,警察官がいると注意を聞いてくれるが,商店街だけで注 意しても効果がない。警察官と一緒に声を掛け注意をすると,従ってくれる。 佐 伯: 行為者から「何の根拠があって注意するのか。」と言われたり,営業の自由を主 張されたりすることはあるのか。 宇治田: 客引き行為者に「道路使用許可を取っているのか?」等警察と一緒にいれば注 意することはできる。 田 中: 「客引き行為」と「客待ち行為」の違いは。 「勧誘行為」と「勧誘待ち行為」の違いは。 また, 「客引き行為」と「勧誘行為」の違いは。 客待ち行為で,じっと待っているだけの行為を規制するのか。 事務局: 客引き行為は,客となるよう声を掛け誘う行為である。 客待ち行為は,公道上で客引き目的に待つ行為である。 長谷川: 客待ち行為は,前掛けを付け,メニューや割引券を持ち,まさに客引きを行お うとする状態であり,通行人が見ても,この人物が,これから客引きを行おうと することが明らかにわかる行為である。 勧誘行為とは,例えば,ホステスやモデルにならないかと通行人を誘う行為で ある。 田 中: 客待ち行為であるが,鞄の中にメニューやチラシなどワンセットで持って立っ ていた場合はどうなるのか。 長谷川: 外観上,客引きを行おうとする人物なのか判断できない。 我々もできないし,通行人もわからない場合などは,その行為に網をかけるの は困難だと思う。 川: どういう行為を規制の対象とするのか。 外見上,見分けがつくことやつかいないこともある。 また,どの行為まで注意や指導すべきなのか,もう一歩踏み込んで規制すべき なのか。 どういう行為を,どういう形で規制するのがよいのか。 地域でやっていただいている活動をどのように市が支援するのか。 当懇談会で御意見をお聴きし,条例制定も視野に入れながら,より効果的な対 策となるよう,市として考えて行きたい。 佐 伯: これまで「条例ができるならどういう行為を規制対象にするか。 」という点につ いて議論していただいたと思うが,大前提として,委員の中で,現段階,条例化 に反対する方や,条例や対策は必要ないという方はおられるか。 おられないのであれば,条例化に向けて議論させていただきたい。 宇治田: 客引きを行っている学生やアルバイトばかりを規制しても客引き行為は減らな い。 報酬を与え,客引きを雇用している店や業者側を規制しないといけない。 佐 伯: 条例化に向けて,どういう行為を規制の対象とするのか検討して行くことが必 要である。 自店舗前の公道上で客引きを行うことまでも,規制の対象とすべきか。 大阪市では,相手が拒絶する場合に規制するとある。 相手が嫌がっていない行為までも規制すべきか,御意見を伺いたい。 田 中: 自店舗前の客引きについては,あまり厳しくやると「営業の自由」の問題があ る。 営業というのは,なにも店舗で売るばかりではない。 自店舗前の客引き行為は,看板を出しているのと同じだと思う。 また,観光客の中には,トラブルさえなければ(客引きに)案内されるのも良 いことだと考える客もいる。 つきまとい行為は規制されるべきで,これは別問題であるが,全て規制するな ど厳格なだけでよいのかを考えなければならない。 毛 利: 全ての客引きをなくす方がよいのか慎重に考えなければならない。 佐 伯: 東京は対象の営業種を絞っている。 大阪市は,全ての営業種を対象としている。 京都市が条例を作った場合,対象営業種をどうするのかが課題である。 居酒屋やカラオケ,ガールズバーを対象とするのか,全ての業種を対象とする のか,条例化する時に考えなければならない。 また,全ての客引きがなくなると,街の賑わいがなくなる。 警察や商店街等が街をパトロールしていると,パトロールを行わないと街の安 全が保てないのかという印象を与えてしまう。 田 中: 本来,商店街というのは,店内に客を引き込むと客単価が上がる。 一方,店前で飲食などの商品を売り,客が歩きながら食べている商店街もある が,これは客単価が下がる。 一見客が賑わっているように見えるものの,街の商業力は落ちているのである。 京都の場合においても,四条通の物販の場合などの前売りはあまりないが,食 品系の店はどうしても前へ出て売ろうとする。 店から外へ一歩出て売ろうとする行為を,私は否定できないと思う。 宇治田: 店舗の玄関等の敷地内でやるのはよいが,歩道上での客引き行為はやめてもら いたい。 河原町商店街の場合,客引き行為者は,ほとんど公道上で,客と一緒に歩きな がら客引きを行っている。 客が,どの店に行けばよいのかわからず,客引き行為者に尋ねると,自分の有 利な店へ客を連れて行く状況にある。 自己の報酬を増やしたい為に,客引き行為がしつこくなっている。 佐 伯: 歩道上のティッシュ配布は構わないのか。 宇治田: 通行人に声をかけ,自分の店に呼び込む客引き行為とは異なり,ティッシュ配 布は客引き行為にならないと思っている。 佐 伯: 相手が嫌がっていなければ,自分の店へ来てもらうのは,営業行為として認め られるべきと思うが。 相手がどこまで嫌がっているのか線引きも難しいと思う。 どこまで踏み込んで規制できるか判断が難しい。 宇治田: 市全域でなく,客引きの多いところを重点地区に指定し,そこをクリーニング するべきだと思う。 田 中: 観光客が店を探している場合もある。 飲食の観光客向けの案内所はないのか。公的なものも含めて。 宇治田: 飲食店の案内所はない。店が費用を負担する余力がない。 しかし,河原町商店街にある「京都まちなか交通・観光案内所」というところ が,交通機関や飲食店等を案内するパンフレットを置いている。 英語,中国語,韓国語版も作成の方向でも進めている。 田 中: 客引き行為者を減らさなければならない一方,商店街だけでなく,行政を含め て飲食を利用する人の為に,サービスを提供するシステムも考えなければならな い。 押さえつけるだけでなく,ニーズがあるからこそ,バランスを考えなければな らない。 佐 伯: 条例を作った場合において,条例の実効性を確保するためには,どういう手段 が必要なのかも検討しなければならない。 豊島区や新宿区では罰則はなく,指導だけであるが,大きな効果があると聞い ているが,指導に従わない場合は店を公表する方法も効果があると思われる。 大阪市は罰則を設けている。 毛 利: 店舗を公表することは,実効性を確保する上で役に立つと思われる。 大阪市のように,禁止の度合いを強めるのは条例の趣旨に合っていると思われ る。 佐 伯: 幅広く客引き行為を規制し,罰則を設けた場合,営業の自由との問題がある。 京都市はどういうスタンスで行くのか,罰則をどうするのかを考えなければな らない。 田 中: また,客引き専門業の客引き行為者については,複数店舗から依頼されて客引 きを行っている場合が多く,規制した際,当日に依頼した店だけを公表するのか。 それとも,その行為者に依頼した全ての店を公表するのか考えなければならな い。 また,店が客引き行為者に依頼した時点で,公表対象の店となるのかも要検討。 抜け穴がないよう考えなければならない。 佐 伯: 市条例が出来た場合,大阪市のようにパトロールを行う警察 OB を雇用するこ とはできるのか。 事務局: 現在のところ,そこまで検討はしていないが,地元のパトロールをどの様に応 援,サポートできるのか,意見を伺いながら色々な手法を考えていく。 佐 伯: 他に意見はないか。 長谷川: 大阪市の客引き条例についてだが,全ての営業種の客引きを規制するとの話が あったが,全ての業種の客引きを規制しているのは禁止区域内の話で,禁止区域 外では,禁止区域より,少し緩やかな規制がなされているということである。 佐 伯: そのとおり。 禁止区域を限定し,厳しい規制をかけて行く手法であると思っている。 宇治田: やはり,市の姿勢が一番大事ではないかと思う。 我々が単に意見を出すだけでなく, 「京都は全国一番であり,世界に通ずる街を 目指す。 」と考えるなら,京都市は,もっと長期的な目を持って,このまちをどう しようとしているのかビジョンや原点を持たなければならないと思う。 佐 伯: 時間が来たので,このあたりで意見交換は終了する。