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Page 1 平成18年6月5日判決言渡 同日原本領收 裁判所書記官 平成18

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Page 1 平成18年6月5日判決言渡 同日原本領收 裁判所書記官 平成18
平 成 1 8 年 6 月 5 日判 決 言渡 同 H 原 本 領 収 裁 判 所 書 記 官
平 成 1 8 年 けヽ第 4 4 号
口頭 弁 論 終 結 日
損 害賠償等請求事 件
平成 1 8 年 5 月 1 日
決
…
●ロ
原
告
同訴 訟代理 人弁 護 士
●
●
‐
近
藤
光
● 玉
富山市―
東 京 都 日黒 区 三 田 一 f 目 6 番 2 1 号
被
GEコ ンシューマー ・ファイナンス株式会社
告
同訴訟 代理 人弁 護士
同
同
宮
同
橿
主
彦
山
田
藤
洋
子
有
子
子
1専
明
文
1 被 告 は , 原 告 に 対 し, 1 ,
12月
昭
昭
保
同
対 す る平成 1 7 年
谷 井
熊 i口 檜 久
同代表者 代 表取締 役
29
278, 521円
及 び うち 9 7 8 , 0 4 7 円
に
日か ら支 払 済 み まで 年 6 % の 割 合 に よ る 金 員 を
支 払 え。
2 被 告 は , 原 告 に 対 し, 2 0 0 , 0 0 0 円
及 び これ に 対 す る 平 成 1 8 年
1月
2 7 日 か ら支 払済 み まで 年 5 % の 割 合 に よ る金 員 を支 払 え。
3 原 告 の そ の 余 の 請 求 を実 却 す る。
4 訴 訟 費 用 は これ を 7 分 し , そ の 1 を 原 告 の 負 担 と し , そ の 余 は 被 告 の 負 担
とす る。
-1
5 こ の 判 決 は , 第 1 項 及 び 第 2 項 に 限 り, 仮 に 執 行 す る こ とが で き る。
事 実
及
び
埋
由
第 1 請 求
1 被 告 は , 原 告 に 対 し, 1 , 2 7 8 , 5 9 3 円
対 す る平 成 1 7 年
12月
及 び うち 9 7 8 , 0 5 8 円
に
2 9 日 か ら支 払 済 み まで 年 6 % の 割 合 に よ る 金 員 を
支 払 え。
2 被 告 は , 原 告 に 対 し, 4 0 0 , 0 0 0 円
及 び これ に 対 す る 平 成 1 8 年
1月
2 7 日 か ら支 払 済 み まで 年 5 % の 割 合 によ る金 員 を支 払 え 。
第 2 事 案 の概 要
本 件 は , 原 告 が , ① 貸 金 業 者 で あ る 被 告 に 支 払 っ た 借 入 金 の 利 息 な い し遅
延 損 害 金 の うち , 利 息 制 限 法 に 基 づ く 制 限 利 率 を超 え る部 分 を 元 本 に 充 当 す
る と , 元 本 額 を 超 え て 過 払 い して い る こ と にな り, ま た , 被 告 は そ の こ と に
つ い て 悪 意 で あ っ た と主 張 して , 過 払 金 の 受 益 者 で あ る被 告 に 対 し, 不 当 利
得 返 還 請 求 権 に基 づ き , 過 払 金 9 7 8 , 0 5 8 円
の 返 還 を求 め る と と も に ,
これ に 対 す る 平 成 1 7 年
12月
る利 息 3 0 0 , 5 3 5 円
及 び 同 月 2 9 日 か ら支 払 済 み まで 同 じ く年 6 % の 割
28日
まで の 商事 法 定 利 率 年 6 % の 割 合 に よ
合 に よ る利 息 の 支 払 , ② 原 被 告 間 の 取 引 履 歴 に つ い て の 被 告 の 開 示 義 務 違 反
に よ る 不 法 行 為 に 基 づ き , 下 記 損 害 賠 償 金 及 び これ に 対 す る 訴 状 送 達 の 翌 日
で あ る平 成 1 8 年
1 月 2 7 日 か ら支 払 済 み ま で の 履 行 遅 滞 に よ る 民 法 所 定 の
年 5 % の 割 合 に よ る遅 延 損 害 金 の 支 払 を 求 め る事 案 で あ る。
記
適 時 に 債 務 整 理 が で き な か った こ と に よ る精 神 的 苦痛 に 対 す る 慰 謝 料
3 0 0 , 0 0 0 円
本 件 訴 訟 を 提 起 す る た め に 要 した 弁 護 士 費 用
1 0 0 , 0 0 o 円
前 提 とな る事 実 ( 証拠 を 掲 げ な い 事 実 は , 争 い な い か 又 は 弁 論 の 全 趣 旨 に
よ り認 め られ る。)
-2-
( 1 ) 被 告 は , 貸 金 業 の 規 制 等 に 関 す る 法 律 ( 以下 「貸 金 業 法 」 と い う。) 3
条 所 定 の 登 録 を受 けて 貸 金 業 を営 む 貸 金 業 者 で あ る。
( 2 ) 原 被 告 間 で 行 わ れ た 金 銭 消 費 貸 借 取 引 は , リボ ル ビ ン グ方 式 で あ り, 基
本 契 約 に基 づ き , 限 度 額 内 で 何 回 も借 入 れ , 返 済 を繰 り返 す も の で あ る 。
そ して , 原 被 告 間 に は , 別 紙 計 算 書 記 載 の 借 入 れ 及 び 返 済 の 金 銭 消 費 貸
借 取 引 ( 以下 「
本 件 金 銭 消 費 貸 借 取 引」 と い う。) が 存 在 す る。
( 3 ) ア原 告 は , 債 務 整 理 を 日的 と して , 平 成 1 7 年
10月
2 1 日 ころ, 被 告
に 対 し , 同 月 3 1 日 を 期 限 と して 原 被 告 間 の 全 取 引 履 歴 の 開 示 を求 め た
( 1 回 目 ( 甲 1 ) ) と ころ, 被 告宮 山駅 前 支 店 で は , 同 月 2 4 日
ころ,
原 告 に 対 し, 貸 付 残 高 額 , 利 息 額 , 延 滞 損 害 金 額 及 び 保 留 金 額 を 開 示 し,
今 後 は 東 京 の 被 告 会 社 法 務 集 中 サ ー ビス セ ン タ ー に 直 接 , 連 絡 , 交 渉 等
して ほ しい 旨 回 答 した ( 甲 1 5 ) 。
イ 原 告 は, 平 成 1 7 年
10月
26日
こ ろ , 被 告 に 対 し, 同 月 3 1 日 を期
限 と して 原 被 告 間 の 全 取 引 履 歴 の 開 示 を 求 め た ( 2 回 日 ( 「
P2))と
ろ, 被 告 は, 同 年 1 1 月
8 日 こ ろ , 原 告 に 対 し, 平 成 1 0 年
10月
こ
1日
か ら平 成 1 7 年 4 月 5 日 ま で の 取 引 獲 歴 を 開 示 し, 取 引履 歴 全 部 の 開 示
を希 望 す る と き は , さ ら に 連 絡 を くれ る よ う , そ うす れ ば , 十 営 業 日ほ
どで 送 付 で き る 旨等 回 答 した ( 甲 3 ) 。
ウ 原 告 は, 平 成 1 7 年
11月
8 日 こ ろ , 被 告 に 対 し, 原 被 告 間 の 全 取 引
履 歴 の 開示 を求 め た ( 3 回 日 ( 甲 4 ) ) と
日, 原 告 に 対 し , 平 成 5 年 1 0 月
ころ, 被 告 は, 同 年 1 2 月
5
7 日 か ら平 成 1 7 年 4 月 5 日 ま で の 原
被 告 間 の 取 引 履 歴 を 開 示 し , 平 成 5 年 9 月 以 前 の デ ー タ は 保 有 して お ら
ず , 一 部 の顧客 については, 同 デ ー タの 一部 を外部倉庫で保管 している
こ とが まれ にあるので , 同 デ ー タ の存否確認及び開示 の要望があれ ば,
さらに連絡 をくれるよ う, そ うすれば, 三 十営業 日ほどで送 付 できる旨
等回答 した ( 甲5 ) 。
-3-
上 記 開示 され た 取 引履 歴 の 冒頭 の 取 引 日平 成 5年 10月
同 日 の 貸 付 け が 100, 000円
76, 818円
,そ れ 以 前 の 貸 付 残 高 と の 合 計 額 が 1
,利 率 32 85∼
工 原 告 は ,平 成 17年
7日 の 欄 に は ,
12月
36 50と
の 記 載 が あ る。
6日 こ ろ ,被 告 に 対 し,原 被 告 間 の 最 初 か
ら の 取 引履 歴 の 開 示 及 び 最 初 の 借 入 時 の 申込 書等 の 書 類 の 送 付 を 求 め た
(4回 目 (甲 6))と
オ 原 告 は ,平 成 17年
こ ろ ,被 告 は , こ れ に 応 じな か った (甲 7)。
12月
12日
の と 同 内 容 の 請 求 を した (5回
こ ろ ,被 告 に 対 し,上 記 工 で 求 め た
目 (甲 7))が
,被 告 は , こ れ に 応 じな
か った 。
力 原 告 は ,平 成 17年
12月
28日
,本 件 訴 訟 を提 起 した 。
争 点 及 び 当事 者 の 主 張 の 要 旨
(1)み
な し弁 済 の 成 否
(被 告 の 主 張 )
被 告 は ,顧 客 と の 金 銭 消 費 貸 借 取 引 にお い て ,店 頭 取 引 ,ATM取
も ,顧 客 に 対 し ,貸 金 業 法 17条
し,ま た ,被 告 使 用 の ATMの
貸 金 業 法 43条
1項 及 び 18条
引と
1項 所 定 の 各 書 面 を 交 付
融 資 プ ロセ ス 画 面 及 び 返 済 プ ロセ ス 画 面 は ,
1項 の み な し弁 済 (以 下 「み な し弁 済 Jと い う。)の 成 立
に 何 らの 支 障 の な い もの で あ る。
本 件 金 銭 消 費 貸 借 取 引 にお い て も ,上 記 同様 で あ り,み な し弁 済 が 成 立
す る。
(原 告 の 主 張 )
争 う。
原 被 告 間 の リボ ル ビ ン グ方 式 の 基 本 契 約 書 で は , 「返 済 期 間 及 び 返 済 回
数」 及び各 回の 「
返 済 額 」 の 記 載 が な く, 貸 金 業 法 1 7 条
の 交 付 が あ っ た と認 め られ な い か ら , 同 法 4 3 条
欠 い て い る。
-
4
-
1 項 所定 の書 面
1 項 の規 定 の適 用 要 件 を
( 2 ) 悪 意 の 受 益 者 か 否 か 及 び 悪 意 の と き の 利 息 の利 率
( 原告 の 主 張 )
ア 被 告 は , 利 息 制 限 法 所 定 の 利 率 を 超 え る約 定 利 率 で , 原 告 に 貸 付 け を
行 い , 利 息 を受 領 して い た の で あ る か ら , 同 法 所 定 の 利 客 に 従 って 元 本
充 当 計 算 を す る と , 同 貸 付 け が 返 済 に よ って 消 滅 し , 過 払 い で あ る こ と
を知 って い た 。
イ 被 告 の 過 払 金 返 還 債 務 は , 貸 金 業 者 に よ る貸 付 け と 弁 済 の 受 領 と い う
商 行 為 に 起 因 し , 商 行 為 に よ り生 じた 債 務 に 準 ず る も の で あ る こ と , 被
告 が 貸 金 業 者 と して 原 告 か ら の 受 領 金 をそ の 営 業 の た め に 使 用 して い た
こ とな どか ら, 過 払 金 返 還 債 務 に つ い て の 利 息 の 利 率 は 商 事 法 定 利 率 年
6 % と す べ き で あ る。
( 被告 の 主 張 )
ア 本 件 金 銭 消 費 貸 借 取 引 に つ き , み な し弁 済 が 成 立 しな い と して も , 被
告 は , 利 息 な い し遅 延 損 害 金 の 収 受 に つ い て , み な し弁 済 が 成 立 しな い
こ と を認 識 して い な い の で , 悪 意 の 受 益 者 に は あ た らな い 。
イ 過 払 い に よ る不 当 利 得 返 還 請 求 権 は , 法 律 の 規 定 に よ って 発 生 す る 民
事 上 の 債 権 で あ り, 商 行 為 た る 行 為 に よ って 生 じた 債 権 又 は これ に 準 ず
る もの で な い 。
ま た , 不 当 利 得 返 還 請 求 権 は , 利 得 者 が 法 律 上 の 原 因 な く して 保 有 し
て い る 利 得 を , 損 失 者 に 対 し, 損 失 者 の 受 け た 損 失 の 限 度 で 返 還 す る こ
と を 内 容 とす る もの で あ り , 同 様 に 不 当 利 得 返 還 請 求 権 に 対 す る 利 息 請
求 権 も , 損 失 者 の 受 け た 損 失 の 限 度 の 損 害 を 回 復 さ せ る た め の もの で あ
る か ら, 商 人 で な い 損 失 者 の 原 告 が , 本 件 利 得 を 運 用 す る こ と に よ って
取 得 す る こ とが で き た 利 益 は 民 法 所 定 の 年 5 % の 割 合 に よ る べ きで あ る。
( 3 ) 原 告 の 被 告 か らの 新 た な 借 入 れ 時 に, 原 告 の既 発 生 過 払 金 債 権 を 同 借 入
金 債 務 に 充 当 す る こ との 可否
-
5
-
( 被告 の 主 張 )
原 告 が 利 息 制 限 法 所 定 の 利 率 を超 え る利 息 な い し遅 延 損 害 金 を 支 払 つた
こ と に よ って 生 じた 過 払 金 は , 民 法 4 9 1 条
の 規 定 に よ り, 当 然 , 当 該 過
払 金 債 権 が 発 生 した 当 時 残 存 す る 借 入 金 債 務 に 弁 済 充 当 され る が , 同 過 払
金 債 権 が 発 生 した 後 の 原 告 の 被 告 か ら の 借 入 金 債 務 に は 弁 済 充 当 され る こ
と は な く , 同 過 払 金 債 権 はそ の ま ま残 存 す る。
(4)平 成 5年 10月
6 日 以 前 の 原 被 告 間 の 取 引 経 過 に つ い て の 主 張 立 証 責任
の所在
( 原告 の 主 張 )
あ る 時 点 に お け る 貸 金 残 元 本 の 存 在 を主 張 す る 者 は , 具 体 的 な 取 引 経 過
を 主 張 す る 中 で , 同 残 元 木 額 を立 証 す る 責 任 が あ るか ら, 被 告 は , 1 0 0 ,
000円
を貸 し付 け た 平 成 5 年 1 0 月
7 日 当時 , 原 告 に 対 す る 7 6 , 8 1
8 円 の 貸 付 残 元 金 が あ っ た と主 張 す る な ら , 被 告 にそ の 立 証 責 任 が あ る。
( 被告 の 主 張 )
過 払 金 返 還 請 求 訴 訟 に お い て , 過 払 金 額 を基 礎 づ け る 取 引経 過 に つ い て
の 主 張 立 証 責 任 は 原 告 に あ る か ら, 平 成 5 年 1 0 月
6 日 以 前の取 引経過 に
つ い て の 主 張 立証 責 任 は 原 告 に あ る。
(5)平 成 7年 12月
2 8 日 以 前 に 発 生 した 不 当 利 得 返 還 請 求 権 に つ い て の 消
滅 時効 の成 否
( 被告 の 主 張 )
被 告 は , 原 告 に 対 し, 平 成 7 年 1 2 月
2 8 日 以 前 に 発 生 した 原 告 の 被 告
に対 す る過 払 金 返 還 請 求 権 に つ い て , 平 成 1 8 年
3 月 2 4 日 の本件弁 論準
備 手 続 期 日 にお い て , 消 滅 時 効 を援 用 す る との 意 思 表 示 を した 。
( 原告 の 主 張 )
原 被 告 間 の 基 本 契 約 に 基 づ き 発 生 した 過 払 金 は , そ の 後 の 借 入 金 債 務 に
順 次 充 当 され る の で , 過 払 金 返 還 請 求 権 の 消 滅 時 効 は , 取 引終 了 日か ら進
-
6
-
行 す る。 した が って , 消 滅 時 効 は未 だ 完 成 しな い 。
ま た , 本 件 金 銭 消 費 貸 借 取 引 にお い て , 過 払 金 が 発 生 した の は , 平 成 9
年 10月
1 日 で あ り, 同 目 を基 準 と して も , 原 告 の 被 告 に 対 す る 過 払 金 債
権 の 消滅 時 効 は 完 成 して い な い 。
(6)平
成 5 年 9 月 以 前 の 原 被 告 間 の 取 引腹 歴 の 保 存 の 有 無
( 被告 の 主 張 )
ア 被 告 は , 平 成 1 4 年 春 こ ろ , 保 存 デ ー タ の 流 出 の 危 険 を 回 避 し, 管 理
コ ス トの 削 減 を 図 る た め , 取 引履 歴 の 保 管 期 間 に 関 す る 運 用 規 則 の 策 定
に 取 りか か り, 貸 金 業 法 や 商 法 等 関 係 法 令 を十 分 検 討 し, 近 畿 財 務 局 に
も 相 談 し貸 金 業 法 上 の 問 題 の 指 摘 もな か った こ とか ら , 同 保 管 期 間 を 1
0年 定 め ,平 成 15年
1 月 か ら, 1 0 年
を経 過 した 取 引履 歴 は 消 去 す る
運 用 を 開 始 した 。
イ 被 告 が , 長 期 間 の 保 存 が 可 能 な カ セ ッ トテ ー プ 等 の 形 で 保 管 して い る
取 引履歴 に関す る情報 は , ① 顧年 が被 告 とオ ンライ ンで 取 引 を行 った 際
の ロ グ情報 の うち , 入 出金 の取 引デ ー タな どの更新 系 のデ ー タで あるユ
ー ザ ー ・ロギィ ング ・フ ァイル ( 以下 「U L F J と い
う。) , ② 当月 1 0
日, 2 0 日 及 び 木 日時点で の顧客 の残 高状態 を示す もの ( 以下 「
残 高マ
ス ター 」 とい う。) 及 び③ l 年 単位 で管理 され る顧客 の取 引履歴情報 ( 以
下 「
履歴 マ スター 」 とい う。) の 3 種 類が存在す る。
ウ ULFと
残 高 マ ス ター は, そ れぞれ 2 本 のカセ ッ トテ ー プが 作成 され ,
そ の うち 1 本 は , 毎 月末 に, 管 理委託 先 の倉庫 業者株 式会社 ワ ンビシア
ー カ イ ブズ ( 以下 「ワ ン ピシア ー カ ブズ
イ
J と い う。) に 引き渡 され て
保管 され , 1 本 は被 告会社 の デ ー タセ ンター ( 以下 「L I セ ンタ ー 」 と
い う。) に 保管 され て い た。 ほ 歴 マ ス タ ー の カセ ッ トテ ー プは , 1 本 の
み作成 され , L I セ
ンター に保管 されて いた。
工 被 告 は , 平 成 1 5 年 1 月 1 4 日 , ワ ン ビシアー カ イ ブズ との 間で, デ
-
7
-
― タ デ リー ト 埋
処 業 務 委 託 契 約 を 締 結 し, 同 契 約 に 基 づ き , ヮ ン ビ シ ア
ー カイ ブズ は
,平 成 15年
1 月 か ら同 年 9 月 ま で に 被 告 か ら廃 棄 依 頼 が
あ つた ワ ン ビシ アー カ イ ブズ保 管 分 の平 成 5 年 9 月 以 前 の U L F 及
び残
高 マ ス タ ー の カ セ ッ トテ ー プ に つ き , 物 理 的 に 粉 砕 す る 方 法 で す べ て 消
去 した 。
オ 被 告 は, L I セ
ン タ ー で 保 管 して い た 平 成 5 年 9 月 以 前 の U L F , 残
高 マ ス タ ー 及 び 履 歴 マ ス タ ー の カ セ ッ トテ ー プ に つ き , イ レ イ ザ ー と い
う機 械 に よ り磁 気 情 報 を 消 去 した 上 で , 物 理 的 に 粉 砕 す る か 又 は 上 書 き
す る こ と に よ り消 去 作 業 を行 った 。
力 ULFと
残 高 マ ス タ ー に つ い て は , カ セ ッ トテ ー プ の 他 に , L I セ
タ ー 内 に 保 管 され て い る V S M と
ン
い う大 容 量 の ハ ー ドデ ィ ス ク に も , 一
旦 保 存 され る が , そ れ は 常 に 1 3 か 月 を経 過 す る と 順 次 自動 的 に 消 去 さ
れ る よ う に プ ロ グ ラム され て い る。
履 歴 マ ス タ ー につ い て も , カ セ ッ トテ ー プ の 他 , 上 記 V S M に
も保 存
され て い た が , カ セ ッ トテ ー プ を 処 理 した の と 同 時 に , 上 書 き の 方 法 に
よ りす べ て の デ ー タ を 消 去 した 。
キ と ころが , 被 告 は, 平 成 1 5 年
1 0 月 , 金 融 庁 担 当官 か ら , 貸 金 業 施
行 規 則 1 7 条 に定 め る 「
最 終 の 返 済 期 日 ( また は 債 権 の 消 滅 した 日) 」
に 関 す る見 解 に 接 し, これ を 尊 重 し, 同 月 , 消 去 作 業 を 一 旦 停 止 し , 同
月以 降 の 取 引履 歴 を 保 存 す る こ と に 変 更 した 。
( 原告 の 主 張 )
被 告 が , 平 成 5 年 9 月 以 前 の 取 引 履 歴 を 消 去 した と の 主 張 は 信 用 で き な
Vヽ
。
被 告 は , 多 数 の 顧 客 か ら過 払 金 返 還 請 求 訴 訟 を 提 起 され , 同 訴 訟 にお い
て , 貸 付 け及 び 返 済 の 具 体 的 経 過 及 び 額 が 争 点 とな って お り, 1 0 年 以 上
前 の 取 引 履 歴 を 保 存 して お く必 要 性 が あ る に もか か わ らず , わ ざわ ざ , 手
00
間 や 経 費 を か け て , 1 0 年 を 経 過 す る ご と に , 同 取 引 履 歴 を消 去 等 す る こ
と の 必 要 性 や 合 理 性 は 認 め られ な い 。 ま た , 被 告 は , 他 の 事 件 で , 自動 消
去 方 法 を主 張 を す る な ど , 木 件 に お け る 主 張 と矛 盾 す る 主 張 を して い る。
さ ら に , 多 くの 裁 判 所 で は , 被 告 が 平 成 5 年 9 月 以 前 の 取 引履 歴 を所 持 し
て い な い との 主 張 を 認 め て い な い 。
( 7 ) 開 示 義務連 反 の有 無
( 原告 の 主 張 )
ア 貸 金 業 者 で あ る被 告 に は , 債 務 者 で あ る 原 告 代 理 人 弁 護 士 か ら取 引履
歴 の 開 示 を 求 め られ た 場 合 , 貸 金 業 法 の 適 用 を受 け る 金 銭 消 費 貸 借 契 約
の 付 随 的 義 務 と して , 信 義 則 上 , 業 務 帳 簿 等 に基 づ い て , 直 ち に , 取 引
履 歴 を 開 示 す る 義 務 が あ る。
そ して , 貸 金 業 者 の 取 引 履 歴 開 示 義 務 は , 開 示 まで の 期 間 や 開 示 態 様
に よ って , そ の 存 否 が 決 せ られ もので は な い 。
と こ ろ が , 被 告 は , 開 示 請 求 後 1 週 間 も あ れ ば , 容 易 に, コ ン ピ ュ ー
タ で 管 理 して い る 取 引 履 歴 を 開 示 す る こ とが で き る に もか か わ らず , 速
や か に 開 示 しな か った 。 この よ うな 被 告 の 態 度 に正 当 理 由 は な く , 開 示
拒 否 と 評 価 す べ き で あ る。
イ 被 告 は 平 成 5 年 9 月 以 前 の 取 引履 歴 を 開 示 して い な い 。
llRに
被 告 が 平 成 5 年 9 月 以 前 の 取 引履 歴 につ い て の 保 存 デ ー タ を 消 去
した と して も , 貸 金 業 者 で あ る 被 告 の 負 担 す る 開 示 義 務 は , 貸 金 業 法 の
適 用 を 受 け る 金 銭 消 費 貸 借 契 約 の 付 随 的 義 務 と して , 信 義 則 上 認 め られ
る の で あ るか ら , 同 開 示 義 務 は な くな る もの で な い 。 そ して , 取 引履 歴
の 開 示 義 務 を 負 った 被 告 が 開 示 で き な い こ と に よ る 不 利 益 は , い か な る
理 由が あ って も被 告 自身 が 負 担 す る。
( 被告 の 主 張 )
被 告 は , 本 件 訴 訟 提 起 前 か ら , 順 次 , 原 被 告 間 の 取 引履 歴 を 開 示 し, 取
-9-
引 履 歴 の 開 示 請 求 を 受 け た 日か ら 1 か 月 余 り後 に は , 保 存 して い た 平 成 5
年 1 0 月 以 降 の 取 引履 歴 す べ て を 開 示 し, 開 示 義 務 を 獲 行 した 。
( 8 ) 損 害 及 び 因共 関 係 の 有 無
( 被告 の 主 張 )
ア 精 神 的 損 害 につ い て
岡 原 告 の 受 け た と い う精 神 的 損 害 は金 銭 的 評価 に 値 しな い 。
l f ) 仮 に , 原 告 の 受 け た と い う精 神 的 損 害 が 金 銭 的 評 価 に 値 す る もの で あ
って も , 被 告 の 取 引 履 歴 の 開 示 が 遅 れ た こ と と の 因 果 関 係 が な く , 原 告
の債 務 整理 が遅 れ た ことの原 因 は, 原 告 が , 原 被 告 間 の金 銭 消 費貸 借 取
引 に つ い て , 被 告 か ら受 け 取 っ た 契 約 書 , 領 収 書 等 の 契 約 資 料 を 自 ら廃
実 した こ と に あ る。
( 功 原 告 が 被 った と い う精 神 的 苦 痛 の 内 容 は , 原 告 本 人 に よ る 陳 述 を 待 た
な けれ ば 明 らか に な る も の で な く , 客 観 的 事 実 の み の 主 張 立 証 に よ って
は , 原 告 の 精 神 的 苦 痛 の 有 無 や 金 銭 的 評 価 等 の 事 実 認 定 をす る こ と は で
き な い。
イ 木 訴 提 起 の 弁 護 士 費 用 につ い て
被 告 は , 原 告 の 本 件 訴 訟 提 起 前 に , 開 木 可 能 な 全 取 引履 歴 を 速 や か に 開
示 して い る の で , 本 件 訴 訟 の 提 起 は必 ず し も必 要 で あ っ た と い え ず , 本 訴
提 起 の 弁 護 士 費 用 に つ い て は , 被 告 の 行 為 と の 間 に 囚 果 関 係 が な く, そ も
そ も, 被 告 に よ る 不 法 行 為 が な い 。
( 原告 の 主 張 )
ア 取 引履 歴 不 開 示 に よ る慰 謝 料 及 び 本 訴 提 起 弁 護 士 費 用 は , 個 別 事 情 を 捨
象 して 定 型 的 に 判 断 で き る 事 柄 で あ り, 原 告 本 人 尋 問 の 必 要 は な い 。
イ 被 告 は , 取 引 不 開 示 に よ る慰 謝 料 請 求 権 を否 定 し , 平 成 5 年 9 月 以 前 の
取 引 履 歴 を 開 示 しな い 被 告 の 態 度 よ りす る と , 被 告 に 対 す る本 訴 請 求 の 必
要 性 は 当然 あ る。
-10-
第 3 争 点 に 対 す る判 断
1 上 記 争 点( 1 ) ( みな し弁 済 の 成 否 ) に つ い て
被 告 は , 本 件 金 銭 消 費 貸 借 取 引 に お け る個 々 の 貸 付 け , 返 済 に つ い て , 貸
金 業法 17条
1項 及び 18条
1 項 所 定 の 各 書 面 の 内 容 等 の 具 体 的 事 実 を主 張
立 証 して い な い か ら, み な し弁 済 の 成 立 を認 め る こ と は で き な い 。
2 上
記 争 点( 2 ) ( 悪意 の 受 益 者 か 否 か 及 び 悪 意 の と き の 利 息 の 利 率 ) に つ い て
( 1 ) 悪 意 の受 益者 か 否か
ア 金 銭 消 費 貸 借 契 約 の 貸 主 は , 借 主 か ら の 返 済 金 が 元 金 額 を超 え 過 払 い
で あ る こ と を知 って い る と き は , 悪 意 の 受 益 者 とな る。
そ して , 貸 金 業 者 で あ る貸 主 が , 利 息 制 限 法 所 定 の 利 率 を超 え る 利 率
で , 借 主 に 貸 し 付 け か つ 利 息 な い し遅 延 損 害 金 を 受 領 して い た と き は ,
同 利 率 を超 え て 受 領 した 利 息 な い し遅 延 損 害 金 を順 次 元 金 に 充 当 して い
け ば , 同 貸 主 と して は , 当 然 , 過 払 金 が 発 生 す る と の 認 識 が あ る の が 通
常 で あ る か ら , 同 貸 主 にお い て , み な し弁 済 が 成 立 す る と信 じた こ と に
合 理 的 な 理 由 が あ る と認 め る に 足 りる特 段 の 事 情 が な い 限 り, 過 払 金 が
発 生 す る 時 点 で 過 払 い で あ る と の 認 識 が あ った 悪 意 の 受 益 者 と推 認 す る
の が 相 当で あ る。
イ 本 件 金 銭 消 費 貸 借 取 引 にお い て , 貸 金 業 を営 む 被 告 は , 利 息 制 限 法 所
定 の 利 率 を超 え る利 率 で , 原 告 に 貸 し 付 けか つ 利 息 な い し損 害 金 を 受 領
して い た こ と に 争 い が な い 。
そ して , 被 告 は , 上 記 第 2 , 2 , ( 1 ) の とお り, み な し弁 済 が 成 立 す る
と主 張 し , 加 え て , み な し弁 済 が 成 立 しな い こ と を認 識 して い な か っ た
と主 張 す る に す ぎ ず , そ れ ら を も って は , 本 件 金 銭 消 費 貸 借 取 引 にお い
て , 上 記 特 段 の 事 情 を認 め る に 足 りな い か ら , 貸 金 業 者 で あ る 被 告 は ,
当 該 過 払 金 発 生 日か ら過 払 い で あ る と の 認 識 が あ っ た 悪 意 の 受 益 者 と認
め られ , 発 生 した 過 払 金 に 対 す る利 息 の 支 払 義 務 が あ る。
1
1
-
( 2 ) 悪 意 の ときの利息 の利率
ア 上 記 利 息 の 利 率 は , 法 定 利 率 年 5 % を 原 則 とす る。 しか し , 利 得 の 変
動 が相 対 的 , 実 質 的 に不 公 平 な もので あ る とき, 当 事 者 間 の均衡 を図 る
こ とが 不 法 利 得 制 度 の 趣 旨 で あ る か ら , 利 息 の 利 率 に つ い て も , 運 用 利
益 を 利 得 者 の 下 に 残 さな い こ と に よ っ て , 初 め て 当 事 者 間 の 均 衡 が 図 ら
れ る と解 され , 利 得 者 にお い て , 利 得 を営 業 に 利 用 した よ うな 場 合 に は ,
商 事 利 率 6 % と す る の が 相 当 で あ る。
イ 本 件 の 場 合 , 利 得 者 で あ る被 告 が 商 人 で あ り, か つ , 貸 金 業 者 と して
そ の 利 得 物 ( 金銭 ) を 営 業 の た め に 利 用 し収 益 を あ げ て い る こ と は 明 ら
か で あ る か ら, 上 記 利 息 の 利 率 は , 商 事 利 率 年 6 % と す る の が 相 当 で あ
る。
3 上 記 争 点( 3 ) ( 原告 の 被 告 か ら の 新 た な 借 入 れ 時 に , 原 告 の 既 発 生 過 払 金 債
権 を 同 借 入 金 債 務 に充 当 す る こ と の可 否 ) に つ い て
証拠 ( 甲 5 , 乙
1 ) 及 び 弁 論 の 全 趣 旨 に よ れ ば, 本 件 金 銭 消 費 貸 借 取 引 は ,
借 入 れ 及 び 返 済 が 繰 り返 され た 一
連 の 取 引 と 認 め られ る と こ ろ , 同 取 引 にお
い て は , 以 前 の 借 入 れ に 対 し利 息 制 限 法 所 定 の 利 率 を超 え る 利 息 な い し遅 延
損 害 金 を支 払 っ た こ と に よ って 発 生 した 過 払 金 は , 特 段 の 事 情 の な い 限 り,
民法 489条
, 491条
の 規 定 に 従 って , そ の 時 点 に 存 在 す る 借 入 金 債 務 に
充 当 され , ま た , そ の 後 に 発 生 した 借 入 金 債 務 の うち 当 該 過 払 金 分 に 相 当 す
る元 木 分 に つ い て , 貸 主 が 借 = か ら利 息 を取 得 で き る と い う の は 公 平 に反 す
る か ら , 同 債 務 に も 順 次 充 当 して 計 算 す べ き で あ る 。 そ して , そ の 際 , 過 払
金 に 利 息 が 加 算 され る と き は , 同 様 に 当事 者 間 の 公 平 の 観 点 か ら , 同 利 息 を
も 含 め て , 上 記 借 入 金 債 務 へ 充 当 計 算 す る方 法 が 相 当 と認 め られ る。
4 上
記 争 点( 4 ) ( 平成 5 年 1 0 月
6 日 以 前 の 原 被 告 間 の 取 引経 過 に つ い て の 主
張 立証 責 任 の 所 在 ) に つ い て
不 当 利 得 に基 づ く利 得 金 返 還 請 求 に お い て , 原 告 の 損 失 , 被 告 の 利 得 , 両
-12-
者 間 の 因果 関係 , 被 告 の利 得 が法 律 上 の原 因が な い ことにつ いて の 主張 立証
責 任 は 原 告 に あ る。
本 件 で , 被 告 との 間 の 平 成 5 年 1 0 月
7 日 以 降 の 金 銭 消 費 貸 借 取 引 にお い
て 生 じた 過 払 金 の 返 還 を求 め る 原 告 と して は , 同 日以 降 の 取 引経 過 に つ き 主
張 立 証 しな けれ ば な らず , か つ , そ れ で 足 りる。
した が つて , 原 告 に は , 平 成 5 年 1 0 月
6 日 以 前の原被告 間の金銭 消費貸
借 取 引 に つ い て の 主 張 立 証 責 任 は な く , も し, 被 告 が 原 告 と の 間 で , 同 取 引
に 基 づ く 残 元 金 等 の 債 権 が 存 在 す る と して , 原 告 請 求 の 過 払 金 額 に つ い て 争
うな らば , 被 告 にお い て , 同 債 権 の 存 在 につ き 主 張 立 証 しな けれ ば な らな い 。
と こ ろが , 本 件 で は , 被 告 は , 原 告 に 対 す る 上 記 7 6 , 8 1 8 円
の債権 の
存 在 につ い て 主 張 しな い し , 仮 に 同 主 張 が あ っ た と して も , 利 息 制 限 法 所 定
の 利 率 を超 え る 利 率 で 貸 付 け を行 っ て い た こ とが 推 認 され る 原 被 告 間 の 平 成
5年 10月
6 日 以 前 の 金 銭 消 費 貸 借 取 引 に お い て , 被 告 が , 原 告 に 対 し, 1
00,000円
を 貸 し付 け た 同 月 7 日 当 時 , 開 示 され た 取 引履 歴 ( 甲 5 ) に ,
元 金残高 7 6 , 8 1 8 円
の 記 載 が あ った と して も , 同 金 銭 消 費 貸 借 取 引 の 具
体 的 内 容 が 明 らか で な い か ら , 被 告 の 原 告 に 対 す る 同 額 の 債 権 の 存 在 を認 め
る に 足 りな い 。
5 上 記 争 点( 5 ) ( 平成 7 年 1 2 月
2 8 日 以 前 に 発 生 した 不 当 利 得 返 還 請 求 権 に
つ いて の 消 滅 時 効 の 成 否 ) に つ いて
別 紙 計 算 書 に よ る と, 本 件 金 銭 消 費 貸 借 取 引 に お いて , 原 告 の 被 告 に対 す
る 過 払 金 返 還 請 求 権 が 発 生 した の は , 原 告 主 張 の とお り, 平 成 9 年 1 0 月
1
日 と 認 め られ る。
した が つて , 過 払 金 請 求 債 権 の 消 滅 時 効 起 算 日が い つ で あ る か につ い て 判
断 を す る ま で もな く , 本 件 で は , 平 成 7 年 1 2 月
2 8 日 以 前 に, 原 告 の被告
に 対 す る過 払 金 返 還 請 求 権 が 発 生 して い な い か ら , 同 請 求 権 に つ い て の 消 滅
時 効 を援 用 す る 意 思 表 示 した との被 告 の 主 張 は 失 当 で あ る。
13-
以 上 に よ れ ば , 原 告 の 被 告 に 対 す る過 払 金 額 及 び 利 息 額 は , 別 紙 計 算 書 の
とお り とな る ( 過払 金 9 7 8 ,
息 300,474円
047円
, 平 成 1 7 年 1 2 月 2 8 日 現 在 の利
)。
6 上 記 争 点( 6 ) ( 平成 5 年 9 月 以 前 の 原 被 告 間 の 取 引履 歴 の 保 存 の 有 無 ) に つ
いて
( 1 ) 貸 金 業者 に は, 貸 金 業法 1 9 条 及 び 同法 施行 規 則 1 6 条 , 1 7 条 等 によ
り , 債 務 者 で あ る 顧 客 と の 取 引履 歴 を 記 載 した 業 務 帳 簿 の 備 付 け及 び 3 年
間 の 保 存 義 務 が 課 せ られ て い る か ら , 同 保 存 期 間 が 経 過 した と して も , 一
旦 存 在 した 同 帳 簿 に つ い て は , 減 失 , 廃 棄 等 した 具 体 的 事 実 に つ い て の 主
張 立 証 が な さ れ な い 限 り, 保 存 期 間 経 過 後 も , 保 存 が 継 続 され て い る と 推
認 す る の が 相 当 で あ る。
(2)証 拠 (乙19, 20, 21の
1∼ 10, 22の
1∼ 9, 23∼
び弁論 の全趣 旨 によれ ば, 被 告が作成, 保 存す るU L F , 残
25)及
高 マ ス ター 及
び 履 歴 マ ス タ ー の 各 カ セ ッ トテ ー プ は , 顧 客 と の 取 引履 歴 を 記 録 さ れ た 上
nL業
「
務 帳 簿 に 該 当 す る こ と , 被 告 は , 平 成 5 年 9 月 以 前 の 取 引履 歴 を 記 録
した U L F , 残
高 マ ス タ ー 及 び 履 歴 マ ス タ ー の 各 カ セ ッ トテ ー プ を L I セ
ン タ ー 及 び ワ ン ピ シ ア ー カ イ ブ ズ に お い て 保 管 して い た こ と ( ただ し, ヮ
ン ビシアー カ イ ブズで の保管 はU L F , 残
高 マ ス タ ー の 各 カ セ ッ トテ ー プ
の み で あ る 。) , ワ ン ビ シ ア ー カ ィ ブ ズ に お い て 保 管 して い た 同取 引履 歴 を
記 録 した 各 カ セ ッ トテ ー プ が 廃 棄 処 分 さ れ た こ と を認 め る こ とが で き る。
しか し , L I セ
ンター お いて , 平 成 5 年 1 0 月 以 降 の U L F , 残
ー及 び履 歴 マ ス
タ ー の 各 カ セ ッ トテ ー プ を 保 管 して い る こ と は 認 め られ る
もの の , 同 セ ン タ ー で 保 管 され て い た 同 年 9 月 以 前 の U L F , 残
ー及 び履 歴 マ ス ター の
高マスタ
高マスタ
各 カ セ ッ トテ ー プ が 消 去 され た こ と を認 め る に 足 り
る証拠が な い。
した が っ て , L I セ
ン タ ー で 保 管 して い た 平 成 5 年 9 月 以 前 の U L F ,
-14-
残 高 マ ス タ ー 及 び 履 歴 マ ス タ ー の 各 カ セ ッ トテ ー プ に つ い て は , 未 だ 保 管
が 継 続 され て い る と認 め る の が 相 当で あ る。
7 上 記 争 点( 7 ) ( 開示 義 務 連 反 の 有 無 ) に つ い て
( 1 ) 貸 金 業 者 は , 債 務 者 か ら取 引履 歴 の 開 示 を求 め られ た 場 合 に は , そ の 開
示 要 求 が 濫 用 にわ た る と認 め られ る な ど 特 段 の 事 情 の な い 限 り, 貸 金 業 法
の 適 用 を 受 け る 金 銭 消 費 貸 借 契 約 の 付 随 義 務 と して , 信 義 則 上 , 保 存 して
い る 業 務 帳 簿 ( 保存 期 間 を 経 過 して い る も の を 含 む 。) に 基 づ い て 取 引 腹
歴を開示すべき義務を負うものと解すべきである。そして, 貸 金業者がこ
の 義 務 に 違 反 して 取 引履 歴 を 開 示 しな い と き は , そ の 行 為 は , 違 法 性 を 有
し , 不 法 行 為 を構 成 す る と い う べ き で あ る ( 最高 裁 平 成 1 7 年
7月 19日
第二小法延判決) 。
そ して , 債 務 者 か らの 開 示 要 求 に 対 し, 貸 金 業 者 が これ を 1 度 で も 拒 絶
す れ ば , 違 法 性 が 発 生 す る と解 す る の が 相 当 で あ る。
( 3 ) 前 記 前提 とな る事 実 及 び 上 記 6 で 認 定 した 事 実 に よ れ ば , 債 務 整 理 を 目
的 と し , 当 初 か ら一 貫 して , 全 取 引 履 歴 の 速 や か な 開 示 を 求 め て い た 原 告
に 対 し, 一 度 に 金 取 , 1 履歴 を 開 示 す る こ とな く , 何 度 も 開 示 要 求 させ て ,
都 度 部 分 的 な 開 示 を す る と い う被 告 の 対 応 は , 開 示 な き 部 分 に つ い て , 開
示 拒 絶 を した に 等 し い もの と認 め る の が 相 当 で あ る。 ま た , 被 告 は , 平 成
5 年 9 月 以 前 の 取 引履 歴 に つ い て , ま った く , 開 示 して お らず , 被 告 は ,
開 示 要 求 を拒 絶 した もの と認 め る の が 相 当 で あ る。
そ して , 本 件 で は , 原 告 の 開 示 要 求 に 濫 用 にわ た る と認 め られ る な ど特
段 の 事 情 が 認 め られ な い 。
よ って , 被 告 に よ る 上 記 行 為 は 違 法 で あ る。
8 上 記 争 点( 8 ) ( 損害 及 び 因 果 関 係 の 有 無 ) に つ い て
( 1 ) 慰 謝料
前 記 前 提 とな る 事 実 及 び 上 記 6 で 認 定 した 事 実 に よ れ ば , 被 告 は , 原 告
-15-
か ら の 開 示 要 求 に 対 し , 平 成 5 年 1 0 月 以 降 の 取 引履 歴 につ い て は , 1 0
日余 り の 日数 で , 同 年 9 月 以 前 の 取 引履 歴 に つ い て は , 3 0 日 余 りの 日数
で 開 示 で き た こ と , 原 告 は , 被 告 に 対 し, 原 告 の 平 成 1 7 年
こ ろ か ら同 年 1 2 月
12日
10月
21日
こ ろ ま で の 約 5 2 日 間 に 5 回 もの 全 取 引 履 歴 の
開 示 要 求 を した が , 被 告 は , 原 告 か ら , 3 度 目 の 開 示 要 求 が あ っ た 後 , 1
回 日 の 同 要 求 日か ら 4 0 日
余 り後 に , よ うや く , 平 成 5 年 1 0 月 まで の 取
引履 歴 を 開 示 し, そ の 後 さ ら に 2 回 の 開 示 要 求 を 受 け た に もか か わ らず ,
同 年 9 月 以 前 の 取 引履 歴 の 開 示 に 応 じて い な い こ とが 認 め られ る。 そ の 結
果,原 告が,平 成 17年
12月
い て , 遅 く と も平 成 1 7 年
2 8 日 , 本 訴 提 起 に至 って お り, 原 告 にお
10月
21日
こ ろ に は 債 務 整 埋 に 着 手 して い る
に もか か わ らず , 適 時 に 債 務 整 理 を 完 遂 で き ず , 長 期 間 不 安 定 な 状 態 に 置
か れ , 相 当 な 精 神 的 苦 病 を 受 け た も の と 認 め られ る。 そ れ に 対 す る慰 謝 料
と して は , 1 5 0 , 0 0 0 円
と認 め る の が 相 当で あ る。
な お , 原 被 告 間 の 金 銭 消 費 貸 借 取 引 にお い て , 仮 に , 原 告 が , 被 告 か ら
受 け 取 っ た 契 約 書 , 領 収 書 等 の 契 約 資 料 を 自 ら廃 棄 した と して も , 上 記 の
とお り, 被 告 に は , 原 告 の 債 務 整 埋 が 遅 れ た こ と の 原 因 を認 め る こ とが で
き る。
( 2 ) 弁 護士 費用
一般私 人が法律 の
専 門 家 で あ る弁 護 士 に 訴 訟 の 遂 行 を 依 頼 す る こ と は 通
常 の こ とで あ り, そ の 際 に 費 用 を 要 す る こ と も 当 然 で あ るか ら , 被 告 の 不
法 行 為 と相 当 因 果 関 係 の あ る 弁 護 士 費 用 相 当 の 損 害 と して は , 5 0 , 0 0
0 円 と認 め る の が 相 当 で あ る。
9 以 上 の とお り, 原 告 の 本 訴 請 求 は 主 文 掲 記 の 限 度 で 理 由が あ る。
な お , 仮 執 行 免 脱 の 宣 言 に つ い て は , 相 当 で な い か ら これ を 付 さ な い こ と
とす る。
富
山
筒
易
裁
判
所
-16-
裁 判官
山 口 孝 哉
-17-
(別 紙 )
-18-
-19-
( 注意)
1 「 支 払 ( 借) 額 J 欄 の正 の 数字 は返済額 を, 負 の 数字 は借入 額 を示す ( ただ し, 同 桐 「1 9 9 6 1 l J
‐
の 「
1 」は , 直 前返済 日か ら 3 日 間で計算 をす る ところ , 2 日 と 1 日 で, 同 欄 「
「l J
2001 1 lJの
は , 直 前返済 日か ら 3 日 間で計算 をす る と ころ) 2 日 と 1 日 で , そ れぞ れ 分 けて計算 した こと
で 生 じた 誤差額 を調整 した もので ある) 。
2 1円
未満 は切捨 て 処理 とす る。
-20-
こ れ は 正 本 で あ る 。
平成 /′
年 ど月 す 日
富 山簡 易裁判所
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