...

住宅建築を取り巻く環境

by user

on
Category: Documents
14

views

Report

Comments

Transcript

住宅建築を取り巻く環境
② 住宅建築を取り巻く環境
既述のとおり、13年の住宅建築着工戸数は3年ぶりの低下に転じた。これは、景気
の悪化が進むなか、昨年までの牽引役である分譲住宅が減少に転じたことに加え、
持家が12年以降減少を続けていることが大きく影響している。一方、貸家については
13年は増加傾向で推移したが、増勢そのものが緩やかであったことから、全体を引き
上げるには至らなかった。
このところの持家着工の低迷について、資金別の戸数からみると、民間資金利用
の着工戸数は堅調であるのに対し、公庫利用による着工戸数が11年7∼9月期以降
落ち込んでいる。この背景として、10年後半の史上最低の公庫金利を背景とした需
要喚起の効果が剥落したことや、民間金利が低水準で推移するなか、公庫融資から
民間ローン利用への動きが生じていることが考えられる。さらに、都心部への活発な
マンション建築が、都心周辺部への持家建築からの需要代替を生じさせていると思わ
れる(第Ⅱ−2−21図)。
第Ⅱ−2−21図 住宅着工戸数における民間資金利用と公庫利用の推移
140
130
120
110
100
90
80
70
60
50
40
(%)
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
民間ローン利用
公庫融資利用
公庫基準金利(右目盛)
1.0
0.5
0.0
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ
└ 9 年 ┘ └ 10 年 ┘ └ 11 年 ┘ └ 12 年 ┘ └ 13 年 ┘
(注)公庫利用戸数については、一部額のみ公庫を利用したものについても含まれている。
季節調整値は、X-12-ARIMA の X-11 デフォルトにより独自に調整している。
資料:「建築着工統計」(国土交通省)、「住宅ローン金利の動向」(住宅金融公庫)
13年におけるマンション着工戸数の動向についてみると、当年は、1∼3月期に首
都圏の落ち込みから全体は大きく低下したものの、4∼6月期、7∼9月期は再び上昇
するなど、変動は大きいものの高水準で推移した。国内のマンション着工における地
域別の割合をみると、首都圏の割合は5割を超えており、全体の動向に大きな影響を
与えている。特に、東京におけるマンション着工戸数は、全国と比較して高水準で推
移するなど好調さがうかがえる。なお、近畿圏は年を通じて緩やかな上昇傾向で推移
129
していたが、10∼12月期は低下に転じた(第Ⅱ−2−22図)。
第Ⅱ−2−22図 マンション着工戸数の地域別推移
①指数水準(季節調整済、7年=100)
全国
東京
東京以外の首都圏
近畿圏
160
140
120
100
80
60
40
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ
└ 9 年 ┘ └ 10 年 ┘ └ 11 年 ┘ └ 12 年 ┘ └ 13 年 ┘
②地域圏別構成比
100%
22.7
80%
60%
28.6
26.7
27.9
26.5
東京
24.9
26.7
26.4
25.2
東京以外の首都圏
26.5
近畿圏
40%
20%
23.4
20.6
22.2
20.8
22.6
29.0
24.1
24.7
26.1
24.4
9
10
11
12
13
その他の地域
0%
年
資料:「建築着工統計」(国土交通省)
首都圏について、マンション売却戸数と契約率の推移をみると、契約率、売却戸数
とも昨年より低下しているものの、依然として高水準であることがわかる。そこで、前年
との契約率ポイント差を要因分解してみると、当年における契約率は、供給戸数が減
少し契約率の押し上げ要因として作用したものの、売却戸数が減少したことから低下
したことがわかる。このように需要が弱含む中、マンション用地の取得にも翳りがみえ
ており、今後のマンション着工減退による住宅建築の低下が懸念されるところである
(第Ⅱ−2−23図、第Ⅱ−2−24図)。
130
第Ⅱ−2−23図 地域圏別のマンション販売動向
①首都圏
(千戸)
(
%)
総供給戸数
総売却戸数
総契約率(右目盛)
40
35
80
75
30
70
25
65
20
60
15
55
10
50
5
45
40
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ
└ 9 年 ┘ └ 10 年 ┘ └ 11 年 ┘ └ 12 年 ┘ └ 13 年 ┘
②首都圏における契約率の要因分解
売上要因
供給要因
総契約率(前年同期ポイント差)
30
20
10
0
▲ 10
▲ 20
▲ 30
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ
└ 9 年 ┘ └ 10 年 ┘ └ 11 年 ┘ └ 12 年 ┘ └ 13 年 ┘
資料:「マンション市場動向」(㈱不動産経済研究所)
(注)総供給戸数=当期の新規供給戸数+前期までの残戸数
総売却戸数=当期売却された戸数
総契約率=総売却戸数/総供給戸数
Δ総契約率=Δ総売却戸数(売上要因)/Δ総供給戸数(供給要因)
供給要因については、総供給戸数が増加すれば、契約率が低下することとなる。
第Ⅱ−2−24図 分譲マンション用地取得D.I
(増加−減少)の推移
(%ポイント)
20
見通(6か月先)
実績
10
0
▲ 10
▲ 20
▲ 30
▲ 40
▲ 50
9
3
9
9
3
10
9
3
11
9
資料:「住宅建設D.I
調査」(住宅金融公庫)
131
3
12
9
3
13
9
年
Fly UP