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株式会社 第一印刷所

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株式会社 第一印刷所
株式会社 第一印刷所
∼社員全員が働きやすい職場環境を目指す∼
認定企業事例
〶
☎
住所:〒950-8724 新潟市中央区和合町2丁目4番18号
電話:025-382-7400 社員数:293名 FAX:025-382-7415 男性:216名 ホームページ:http://www.dip.co.jp/
女性:77名 女性社員の割合:26.3%
小学校入学前の子どものいる社員の割合(社員全員に対しての割合) ¥
男性:18.5% 女性:22.1%
資本金:4,714万円
事業内容(業種):製造業(1)印刷及び出版に関する業務、
(2)各種情報加工及び処理に関する業務、
(3)前各号に附帯す
る一切の業務
1
行動計画の策定
株式会社第一印刷所は、昭和18年創立の新潟
県を代表する印刷会社である。
「朗らかに稼ごう
や」
「至誠守約」「和」の社是のもと、顧客満足と
同時に社員満足の向上を追求している。そのため、
男女を平等に扱うという視点から、平成13年よ
りポジティブ・アクション(男女格差を是正する
自主的・積極的な取組み)にも取り組み、均等推
進企業、ファミリー・フレンドリー企業表彰など
を受けている。
本社工場
平成16年秋、女性活用に積極的かつ300人規
模に近いといった理由で、モデル企業として行動
るための課題などを把握していて、利用者の視点
計画を策定するよう、新潟労働局雇用均等室から
から取得しやすい制度を提案してくれた。
協力要請があった。ポジティブ・アクションを推
第1回目の目標は別掲のとおり、配偶者出産休
進していた経営幹部が、これを快諾したのが行動
暇(出産予定日前後2週間内に3日の有給休暇)
計画に取組んだきっかけである。また、幹部内で
の導入、勤務時間短縮等の措置に準ずるものの導
別途、少子化対策になんとか貢献したいと話し
入、年次有給休暇の取得促進、など4つとした。
合っていた時期でもあった。
年休の促進は、単なる周知運動に終わらないよう、
計画策定にあたっては、仕事と子育ての両立と
具体策も盛り込んだ。家庭の行事に合わせて休み
同時に、子育て中ではない社員を含めた全員が働
やすい環境を整えることを目指し、結婚記念日、
きやすい環境をつくることを目指した。
本人・家族の誕生日などに年休を取る「マイホリ
具体的には、既存の社内委員会等を活用し、ボ
デー」を打ち出している。
トムアップ型で意見集約を行った。まず人事課の
女性が作成した基本案をもとに、既存の「ポジティ
ブ・アクションプロジェクトチーム」(各部門の
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2
行動計画の実施から認定の取得まで
積極的な女性7人で構成)で議論を重ね、取締役
当社は、モデル企業になるため、認定を目指し
会の承認を経て、決定した。プロジェクトはそれ
て計画を策定した。竹野茂人事課長は、女性の育
までの活動で、社員の要望や女性が働きやすくな
児休業は計画時点で定着していたため、後述の男
ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ
認定企業事例
感し、育児休業にもつながったようだ。中小企業
と思ったという。
で例のない男性の育休取得率は、トップの意思表
行動計画の内容や具体的な取組状況については
明や育児参加計画書による意識付け、有給化によ
随時、電子掲示板や社内報で社員に周知した。社
る所得保障、配偶者出産休暇による“お試し”が
外に対しても、認定を受けた事実に加えて、行動
相まった結果だろう。
計画の実績をホームページで公表している。
行動計画に定めた「目標達成のための対策」を
実践する段階では、前記のポジティブ・アクショ
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認定取得のコストと効果
ンプロジェクトチームと、同じく既存の「職場活
「くるみんマーク」は、ホームページのトップ
性委員会」(総務部長ほか労使で構成。毎月1回
ページに掲載、社用封筒類・入社案内・名刺へ印
開催)が活躍している。しかし、最も苦労したのは、 刷するなどで活用している。
人事課が担当する就業規則をはじめとする諸規程
中小企業にもかかわらず、男性の育休取得が多
の整備だった。新潟労働局雇用均等室や財団法人
いため、全国有名紙を含めた数多くのマスコミ、
21世紀職業財団新潟事務所の協力があり、乗り
専門誌に取り上げられた。男性の育児参加が可能
切れたという。
な職場づくりでトップレベルにあることを、内外
年休の取得も、なかなか進まなかった。計画期
にアピールできている。これが、社員の自信やモ
間の中盤から、課ごとに毎月の取得率を集計し、
ラールのアップに寄与しているのは、想像に難く
公表するなどで、向上に努めた。
ない。
男性の育児休業取得に向けては、社長が入社案
また、人材の確保、とくに女性の採用・定着で
内で「男性も育児参加を可能とする職場づくりを
は、困らなくなった。近年の新卒では、女性の採
行っている」と表明した上、男女とも最初の3日
用人数が多い。ポジティブ・アクションプロジェ
間を有給化した。
さらに、
「男性の育児参加計画書」
クトのメンバーが、女性社員のめざすべきモデル
を作成し、対象者へ配布している。
になっていて、女性役職者も年々増えている。子
第1回目の3年間、育児休業の取得者は、女性
を産む女性にとって、育児休業は当然の権利とし
5人(取得率100%)を、男性6人(同33%)
て定着している。現職復帰が原則で、復職後も子
が上回った。ただし、女性は全員約1年の長期休
育てを両立し、退職するようなケースはほとんど
業、男性は4∼11日の短期である。
ない。
株式会社 第一印刷所
性の育休取得が現れた時点で、認定が受けられる
男性初の取得者は、人事課のある本社とは離れ
た支店の営業職だった。このケースだけは、竹野
人事課長が支店長に連絡し、育休を勧めた。その後、
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第2回計画策定の際の課題と工夫
印刷オペレーター、事務職などへ広がり、いまで
第2回目は、平成20年4月からの5年間とし
は休業できない部署はないとみている。社内会議
た。新たな制度の導入は短時間勤務制度のみにと
で取得者数などを随時公表し続けたところ、
「子
どめ、前期に導入した配偶者出産休暇、マイホリ
供が生まれる部下がいるから、自分も勧めてみよ
デー休暇の利用がいまひとつとの評価から、その
うか」
といった管理職が現われ、取得が一層進んだ。 取得改善を継続目標にしている。男性の育児休業
これに加え、男性の配偶者出産休暇は、対象者
の目標値は、前期の「1人以上」から、
「20%以上」
の3分の2にあたる12人が取得した。このなか
という取得率表示へレベルアップ。他社が見れば
には、短期育児休業とダブルで利用している。上
厳しい数値だが、クリアする自信があるようだ。
記の初の育休者も、出産時にまず配偶者出産休暇
を取得。そこで休める環境が整っていることを実
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今後行動計画の策定から認定を
目指す企業へのアドバイス
(両立支援レベルアップ助成金、「男性労働者育
児参加促進コース」)。
竹野人事課長は、
「行動計画の取組みは、まず
関係法令の理解が不可欠。そのうえで社員全員参
認定企業事例
加により行うこと」をポイントとして挙げてくれ
た。現在は、行動計画取組みの実例が出ているか
ら、そのなかで自社のレベルに合ったものを参考
にすれば、認定取得は難しくない。「一歩ずつ制
度を整備し、育休の取得も徐々に進めていくこと
が大切」とアドバイスする。
男性が育児参加しやすい職場づくりへの取組み
が評価され、財団法人21世紀職業財団から100
万円(50万円を2年)の助成金を受給している
社内風景
参考資料:男性対象者向けの「育児参加計画書」(抜粋)
財団法人21世紀職業財団の資料を参考に、会社に合わせて作成。妊娠から小学校入学までのステージに分け、健診や保
育の流れ、そのとき夫(自分)が行おうとする育児参加を書き入れるこのシートが、男性の意識づけに役立っている。
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ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ
認定企業事例
【株式会社第一印刷所の行動計画(第1回)】
1.計画期間 平成17年4月1日から平成20年3月31日までの3年間
2.内 容
目標1 子どもが生まれる男性職員が出産予定日の前後2週間以内に3日以内取得できる
特別休暇(出産休暇)を導入し、取得率を30%以上にする。
【対策】
平成17年4月∼:制度の詳細を検討する。
平成18年 1月∼:管理職を対象とした研修の実施、掲示板等を活用した周知・啓
発の実施
株式会社 第一印刷所
当社では次世代育成支援対策推進法に基づき以下の行動計画を作成しました。職員の皆さんが仕
事と子育ての両立の実現と、子育てをしていない職員の皆さんも含めた全員が働きやすい環境をつ
くることによって、全ての職員がその能力を十分に発揮できるようにするため、4つの目標を掲げ
ました。社内全体での取り組みですので、各種調査等へのご協力をお願いします。
目標2 計画期間内に育児休業の取得状況を次の水準以上にする。
男性職員:期間中1人以上取得する。
女性職員:取得率を70%以上取得する。
【対策】
平成17年4月∼:取得を容易にするため育児休業期間のうち3日間は有給扱いと
する等の育児休業規程を検討する。
平成17年9月∼:管理職を対象とした研修の実施、掲示板等を活用した周知・啓
発の実施
目標3 平成18年1月までに、3歳から小学校に入学するまでの子を持つ職員が、希望す
る場合に利用できる勤務時間短縮等の措置に準ずる措置を導入する。(短時間勤務
の制度、所定外労働をさせない制度、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ制度、フレッ
クスタイム制のうちいずれか1つ以上)
【対策】
平成17年4月∼:職員の具体的なニーズの調査、制度の詳細を検討する。
平成18年1月∼:管理職を対象とした研修の実施、掲示板等を活用した周知・啓
発の実施
目標4 年次有給休暇の取得促進策として、マイホリデー(結婚記念日、本人・子供・配偶
者の誕生日)における休暇の取得を呼びかけ、年次有給休暇を持つ職員のうち、マ
イホリデーに年次有給休暇を取得した職員数を計画期間内に30%以上にする。
【対策】
平成17年4月∼:部署別に取得状況を公開し、促進を図る。
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【株式会社第一印刷所の行動計画(第2回)】
認定企業事例
当社では次世代育成支援対策推進法に基づき、2期目の行動計画(5年間)を作成しました。職
員の皆さんが仕事と子育ての両立の実現と、子育てをしていない職員の皆さんも含めた全員が働き
やすい環境をつくることによって、全ての職員がその能力を十分に発揮できるようにするため、4
つの目標を掲げました。社内全体での取り組みですのでご協力をお願いします。
1.計画期間 平成20年4月1日から平成25年3月31日までの5年間
2.内 容
目標1 子どもが生まれる男性職員が出産予定日の前後2週間以内に3日以内取得できる配
偶者出産休暇(出産休暇)を周知し、取得率を50%以上にする。
【対策】
平成20年4月∼:掲示板等を活用した周知・啓発の実施
目標2 計画期間内に育児休業の取得状況を次の水準以上にする。
男性職員:取得率を20%以上とする。
女性職員:取得率を80%以上とする。
【対策】
平成20年4月∼:取得を容易にするため育児休業期間のうち3日間は有給扱いと
する制度を周知し継続する。
目標3 平成21年1月までに、小学校に入学するまでの子を持つ職員が、希望する場合
に利用できる勤務時間短縮等の措置に準ずる措置を導入する。(短時間勤務の制度、
始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ制度のいずれか1つ以上)
【対策】
平成20年4月∼:具体的なニーズ調査、制度の詳細を検討する。
平成21年 1月∼:制度の実施を図る。
目標4 年次有給休暇の取得促進策として、マイホリデー(結婚記念日、本人・子供・配偶
者の誕生日)における休暇の取得を呼びかけ、年次有給休暇を持つ職員のうち、マ
イホリデーに年次有給休暇を取得した職員数を計画期間内に70%以上にする。
【対策】
平成20年4月∼:部署別に取得状況を公開し、促進を図る。
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