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高澤君の留学報告第6回目

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高澤君の留学報告第6回目
American Life Report 6
------------------------------------------Introduction
-Life
-Study
-Postscript
-----------------------------------------氏名: 高澤 慧輔
所属: 小樽商科大学商学科
-Introduction
こんにちは。後1ヶ月もない留学生活を前にして、漠然と少し溶け込み過ぎたと感じる
今日この頃です。もちろん悪いことではないのですが、やはり別れが辛くなるのは否めな
いでしょう。とはいっても、今になって考えてみれば、もっと色んな人達と仲良くできた
のではないかと思うことが多々あります。
それでもわざわざ国を変えてまで勉強する自分なりの意味を突き通すためには、遊んで
ばかりもいられなかったのも事実です。何でも後悔が全くないのが一番ですが、僕にはど
んなに満足しても、ちょっぴり後悔がいつでも似合っているようです。
なにはともあれ、不思議なことにこちらに来る前の生活に戻るというだけのはずですが、
帰ってからの環境が来る前の環境と全く違って見えるところが不思議でしょうがありませ
ん。今ここにある生活も楽しみですが、今ここにある自分が日本に戻った時の生活も楽し
みだというのが正直なところです。
今月のレポートですが、生活面での大きなイベントはイースターというキリストのお祭
りがあり、それと同時に4日間の休暇があったこと。ビル・クリントン氏が大学にやって
きたこと。オバマ氏が大学にやってきたこと。友人の従姉妹の誕生日に招待されてニュー
ヨークで一晩過ごしたことなどがありました。勉強面では、実際の投資会社の委員会会議
に参加させてもらったことなどが、とりたてるべきことでしょうか。
はてさて、相変わらず読みにくい定期報告書になりそうですが、最後までお付き合い頂
ければ幸いです。
-Life
僕と同期の大学生の中には、そろそろ就職活動を終えて内定をもらう人が出てくる頃で
しょうか。お疲れ様です。留学には留学の苦労というものがありますが、何処にいたって
何をするかで苦労も実りも変わってくるのであって、僕が1年こちらにいた間に他の人達
にもどんな変化があったのだろうかと考えると会う日も一際楽しみです。
僕が履修しているクラスは、ビジネスの基礎科目を終えた生徒が履修している科目なの
で3,4年生の割合が非常に多いので就職活動についても話を聞く機会がありましたが、
驚いたことにミューレンバーグ大学の生徒の 3 年生で就職活動をしている生徒は一人もい
ませんでした。どんな仕事に就きたいのかと聞いてみても、
「まだ決められないね…」と答
えていました。4年生でこれから卒業するという生徒の内にも、今就職活動をしている人
がほとんどで就職が決まっているという生徒はわずかでしょうか。生徒の中には、卒業し
てから考えるという人もいるようで、日本のように時期を逃すと就職出来なくなってしま
うといった焦燥感は、そんなにないのかもしれません。
とはいうのも、僕自身が留学する前というか留学を始めてからもだったんですが、一時
期非常に就職のことで悩んだことがあったからなんです。僕と同期の大学生達が今就職活
動をしているということは、僕は卒業後一年の空白が出来るということになります。その
空白の一年をどう使うかというのが僕には悩みの種でした。僕としては、就職して何年か
後に大学院に戻るという選択を取りたかったのですが、大学に更に2年間いることは僕に
は魅力的ではなく、あえなく卒業後すぐの就職は断念して卒業後大学院への進学を目指す
ことで一年間の空白を失くそうという決断をしました。
決断をしたのは良いものも、大学院だって行くと決めたら行けるものではなく大学院試
験も突破しなければなりません。更に留学後には大学院試験に必要な TOEIC などの資格試
験もあり、商大が留学生に条件付けている提出書類などなど課題も山積みといったところ
でしょうか。今はまさにそんな状態にいるところで、日本語で商学の勉強をしつつ英語で
NPO や Entrepreneur の勉強をしたりと、せわしなく日々を過ごしている感じです。
現実を見れば、就職する際の年齢や時期というのは確かに大事なのでしょうが、ほんの
少しレールから外れてみれば何か腰が据わった感じがします。
はてさて、前回のレポートでも少し選挙についてお話しましたが、何の偶然か。3 月中頃
には民主党のヒラリー議員の後援者でもあり夫でもある前大統領ビル・クリントンがミュ
ーレンバーグ大学にやってきました。非常に混んでいましたが、おそらく人生で最初で最
後になるであろう、一国の大統領だった人を生で見てみる機会と割り切って話を聞きに行
ってきました。もちろんヒラリー議員の応援のためだったのですが、この前大統領の人気
というのは凄まじく更にアメリカのオーディエンスの反応も凄まじく、何か選挙というイ
ベントの大きさには圧倒されてしまいました。
一方で例年アメリカの選挙の投票率は、アメリカンアイドルというテレビで放映されて
いるアイドルオーディション番組の投票率より低く、政治への期待というのは低かったの
かもしれません。しかし今回は、原油高やドル安、イラク戦争の負債等でアメリカ経済も
悪化してきており、候補の顔ぶれからも国民の関心は高まっており、投票率は上がると考
えられているようです。
ビル・クリントンの演説会場について思ったことは、圧倒的に女性の数が多いというこ
とでしょうか。アメリカ初の黒人大統領か、女性大統領かなんて騒がれているのでフェミ
ニストの方が多かったのかもしれません。クリントンのスピーチは昔から高い評価を得て
いますが、話を聞いていると非常に単純な構造で、
「アメリカには○○問題がある」→「ヒ
ラリーは○○すると言っている」→「○○問題を解決するにはヒラリーに票を」というこ
との繰り返しでした。考えてみれば日本でも同じようなもの、でマニフェストを述べてい
くといった感じです。
ビル・クリントン本人も「昔のようにはもう上手くスピーチできないんだ」とスピーチ
が始まる前に冗談めかして言っていましたが、教育や保健制度などといった国民の生活の
質とイラク戦争の帰還者へのケア等にばかり触れていたのが印象的で、同じく民主党のオ
バマ議員が言うことと大きな違いは見出すことができませんでした。ヒラリー派には「オ
バマは全然ダメだ」という人も多く、オバマ派にも「ヒラリーは全然ダメだ」という人も
多く、そもそも同じ民主党の中でそんなに嫌う程の差があるものなのかと思い、数多くの
人オバマ派、ヒラリー派に「年齢や経験、女性黒人という問題を抜きにして、何がそんな
に違うの?」と聞いてみても、当の本人たちも全然理解していないようでした。これもま
た国民性なのか、正直その程度の興味関心で、選挙演説で叫び声を上げて熱狂する気持ち
は理解できませんでした。
同じく民主党のオバマ議員が自ら足を運んでミューレンバーグ大学に 3 月 31 日にやって
きました。やけにこの日だけ 3 月 31 日と日付がはっきりしているのは、31 日現在レポー
トを書いているからです。今回は厳重な警備のためもあってか、チケットを前日に4時間
も並んで受け取れた人だけが参加できるものだったため、僕は断念しました。オバマの影
響もあってか、朝からペインティングのクラスがあったのですが、9 時半に始まって 11 時
20 分に終わるクラスが 10 時頃にちらちらと人が帰り始めて、10 時半には教授も「娘と妻
とオバマ見に行くんだ~♪」とウキウキしながら帰っていきました。僕も含めて二人しか
いなくなった教室で友人と笑ってしまいましたが、何だかアメリカらしさというか日本ら
しくなさというものを改めて感じました。
当のオバマ氏のスピーチは、テレビの生中継で見ていました。個人的に印象的だったの
は、「世界をアメリカがリードしていくんだ!アメリカが変えていくんだ!」と強烈に言っ
た一言でしょうか。HOPE つまり、希望という言葉を多様していた気がします。加えて、
「共和党のマッケイン候補は敬意を表するが、彼はブッシュの政策を継続すると言ってい
るんだ!」とも言っていました。ビル・クリントン氏のヒラリー議員応援演説では、アメ
リカ国内の問題を主に取り上げていたのが印象的でしたが、オバマ氏の演説では世界とい
う少し広い視野で話を展開していたのが興味深かったですね。
それにしても個人的に気にかかったのは「世界をアメリカがリードしていく」
「世界をア
メリカが変えていく」という発言でしょうか。正直なところ、個人的にこの発現には少し
がっかりしました。僕はオバマ派でもヒラリー派でもなく、アメリカ選挙権も持たないた
だの日本人ですが、この国はこの考え方を何とかしなければ、どうにかならないのではな
いかという気がします。大体、アメリカという国はリードと変化を自分が正しいという思
う方向に持っていって、調和からは遠ざかっていく感じが否めません。正義は多様化する
ということを学んで欲しいものです。
さて、話をイースターに持っていきましょう。前回のレポートの最後にも少し紹介しま
したが、イースターというのはキリスト教の祭日でキリストが十字架にかけられて死んだ
日であり、復活した日を祝う日であります。おそらく「死んだ」という記述は敬虔なクリ
スチャンには嫌な顔をされるのでしょうが…。ちなみにイースターの目玉イベントはサン
タクロースのようにプレゼントを置いていってくれるイースターバニーの存在と、隠され
たタマゴを探すエッグハントの2つです。
宗教について話をすると取り止めがなく、このレポートの趣旨から外れてしまうので置
いておくとして、このイースターの日にまた友人トムのお宅へお邪魔させて頂きました。
トムの家族の他に親戚の子供達も集まってエッグハントをしました。ゆでたまごにペイン
トをしたものや、プラスチックの玩具たまごの中にお菓子等を入れて、庭などに大人が隠
し、それを子供達が捜す遊びです。一応友人達に聞いてみましたが、何故イースターバニ
ーなのか何故エッグハントなのかというのは誰も知りませんでした。おそらくクリスマス
のサンタクロースと一緒なのでしょう。トムの家族についていって教会にも行きましたが、
あと2,3世紀後ぐらいには宗教から乖離したイベントになるのかもしれませんね。
本当に今更という感じですが、ミューレンバーグ大学の1年生で日本語がかなり流暢な
メイゼンという友達を見つけました。きっかけは、メイゼンが日本への留学を考えていて、
たまたま大学内で僕の写真を見つけたらしく連絡をとってくれたとのことでした。
約2年間勉強したという日本語はとても流暢で、どうしてなかなか今となっては日本語
を話す時に考えてしまう僕と対等に会話が出来ることに驚きました。シリア生まれの両親
を持つため、アラビア語と英語と日本語という何とも奇妙なトライリンガルで、医者を目
指しているそうです。
以前会った生徒もそうでしたが、このメイゼンも日本のアニメから日本に興味を持った
ようで、今では日本の音楽も聞き映画も観て、日本のドラマも観るといった具合でした。
僕が英語学習のためにやっていたこととほぼ同じですが、そういった自分の娯楽と語学学
習を結びつけてやってきたとのことでした。日本で僕のような歳をした人がアニメが好き
だと言えば、少しマニアックな人だと怪訝されがちですが、こちらでの扱いを見ていると
日本でももう少し広く受け入れられても良いのではないかと思います。受け入れる側もそ
うですが、提供する側も間口を広くする努力というのは必要なのでしょう。
余談ですが、メイゼンは僕より4つ下、つまり本当なら高校3年生のはずなのに一年早
く大学に来ているという優秀な子です。楽器も嗜み IT 関係にも強く、トライリンガルで医
者を目指しているといった多才具合で、本当に驚かされます。とはいっても、天才と言う
表現があまり好きではないので避けますが、本当に多才で頭が良いなぁと感心する生徒に
今までの留学生活で4、5人は会ったでしょうか。
「アメリカにはよく賢過ぎる子がいる」
とは話には聞いていましたが、僕の想像以上の賢さに驚きつつ、せめて対等に話が出来る
ように自分も頑張らねばと思う次第です。
-Study
素描を学ぶ Drawing2 では、現在はフィギュアドローイングという領域で、人体を描く
学習をしています。毎回クラスにヌードモデルとなる人がやってきて、それを描くという
内容の授業です。商大でこんな機会を得ることは出来ないので、凄く貴重な体験だと思っ
て楽しんでいます。芸術には疎い僕ですが、人間の身体を描くというのは人間の身体の細
部をよく観るという行為と切り離せないものであり、本当に面白いもので普段気付かない
ことに気付いて「あぁ、人間の身体はこうなっているのか」と思うこともままあります。
そういった意味では、ものをよく見ると面白いということに気付かされたかもしれませ
ん。それと同時に、あまりものをよく見すぎるとよくわからなくなるような気もしていま
す。例えるならば、光と陰つまり明暗を素描で表現するという行為をする際には、もちろ
ん何処が影で何所が光かというのを見分けなければなりません。しかし影と光の具合を判
断するために同じ場所を凝視していると、自分の眼がその明るさに調整されてしまって正
確に見えなくなってしまうといったことです。近視眼的なんて言いますけど、そんな言葉
は素描にもあてはまるのかもしれませんね。
ペインティングのクラスでは残り一か月になってもまだ2つの油絵を完成させなければ
いけない状況です。前回のアクリルペイントに3か月も費やしたのに後1ヶ月で2つの油
絵とはどうかしているんじゃないかと思う次第です。もちろん僕は2つの油絵を同時進行
で進めているのですが、他の学生はまだ一つしか手をつけていなく中にはキャンバスが真
白な人もいるぐらいです。
このペインティングの話で思い出しましたが、課題やペイントなどを授業時間外にコツ
コツとやって終わらせておくと、よく多くのアメリカ人学生が「ものすごい努力家だね」
と言ってくれることがあります。僕からすれば、期日ギリギリに何でも適当に終わらせて
しまう人がただ怠けているようにしか思えないのですが、こちらではおおよそそれが普通
のようです。日本の学生には大学のことは出来るだけ早く終わらせて、資格試験の勉強を
している子達もたくさんいますが、こちらはほぼ大学の授業で学んで済ませるということ
が多いようです。
はてさて、話をペインティングに戻しますと、油絵一枚は彫刻作品、二枚目は自分で描
くものを選択できることになっています。簡単に油絵の工程を説明しますと、最初はアク
リルで実際の物体より、かなり白がかった色をペイントしていきます。この時のポイント
は黒を絶対に使わないことでしょうか。とはいうのも、今回の彫刻の周りにはカラフルな
ライトが沢山セットされていて、黒という部分は存在しないという考えに基づいているよ
うです。白の含量が多い理由は、オイルペイントがかなりの黒みを含んでいるからだそう
です。黒に近い色が必要な時は、とりあえず色んな色をまぜて黒に近づけていきます。
そんな行程を得ているうちに気付いたのが、色を混ぜて白をつくることが出来ないとい
うことです。不思議なことで、黒っていうのは色んな色をごちゃごちゃ混ぜていくとそれ
に近い色になっていくものです。しかし白はやはりどう頑張っても作れない。一方で黒に
近い色になっていくものも、完全な黒にはなれない。そう考えてみれば、色の三原色とい
われる赤・青・黄も純粋な色を創ることはできない。つまり、あたりまえなんですが赤・
青・黄・白・黒という5つの色は混ぜてつくるものではなくて、初めからなきゃいけない
ものなんです。
そこで考えてみたのが、世の中もっと色が存在しても良いのではないかということです。
幸いにして人間の目は様々な色が認識できます。動物の中には、特定の色しか識別できな
いものもいるので、こんなにカラフルな世界を認識できるという人間は恵まれているのか
もしれません。しかし、それと同時に人間が識別できない色がもっとあっても良いのでは
ないかという疑問も浮かび上がってきます。そこで「人間が認識できない色」というのを
想像してみようと試みましたが、何処か人間という動物の壁にぶつかったような気がしま
した。考えてみた結果、結局僕らは見たことがないものは想像出来ず、想像というのは今
まで見たものの寄せ集めで作られているのではないのでしょうか。
そんなことを考えていると、原子や元素の発見や電気の発見、自分の認識の範囲を超え
た存在に辿り着くといったことが、どれほど難しいことかとしみじみと感じます。小学生
や中学生の頃は「世の中、先人達が粗方公式を作ってしまったり、科学的発見をしていた
り、名言吐いていたりして、自分でも気付くことばかりでそんなに凄いのかなぁ」と自惚
れていましたが、馬鹿でしたねぇ…。
非営利団体の勉強をする Managing not for profit では、グループで非営利団体のビジネ
スプランを作るという作業をしています。しかし、以前のクラスでもそうでしたがどうに
もアメリカの学生の姿勢は肌に合いません。というのも、僕がビジネスプランを作る際は
考えているビジネスモデルに近いビジネス同じものの財務諸表などを探し出して、資本金
はどれぐらいであるかなどや、コストの割合や収益とコストの比較などをして数字を作っ
ていきます。しかし、こちらの学生は適当というかなんというか、「これはおそらく費用の
55%だよね」などといって、勝手に調べもしないで数字を作り上げてしまいます。僕は
「こんな学習なら、ビジネス学部の生徒じゃなくたって出来るよ」と思っているものの、
郷に入れば郷に従えと思いグループに合わせて学習していますが、さっぱり面白くないと
いった所が本当のところでしょうか。
またこれもその授業の最中に気付いたことですが、こちらの学生は自分で学ぶ割合とい
うのが日本人学生より低い気がします。要するに教授に何から何まで聞いてしまうという
ことです。日本人学生が教授に聞くことと言えば、
「自分で勉強したんだけれども、ここが
わからない」といった点ではないかと思います。何故なら自分でやってみてもいないこと
を、初めから人に聴くというのはただだらしがないか、怠けていると考えられるからでし
ょう。そのため授業中の質問は盛んですが、その多くがしょうもない質問であることが多
いのが事実です。
さて、話がそれてしまいましたが、NPOのクラスではNPOが抱える問題を中心に勉
強しています。例えば、寄付金の使い道に関して寄付者とNPOでずれがある際には、ど
のように調整していくのかといったことや、そもそもお金の使い道に関して寄付者にきち
んと公開する義務を背負い、そういった整備を整えるべきであるとかといったことでしょ
うか。寄付者の中には、自分の希望する福祉活動を実現してくれるNPOが見付からなく、
自分でNPO機関を立ち上げてしまう人もいるようです。
寄付に対して地位や名声といった見返りを求めてくる人も多く、そういった問題にどの
ように対処していくのかということを最近は学んでいます。
Entrepreneurial Policy & Strategy では、ロールプレイを一つ終えました。今回のロー
ルプレイは Emerald Stage2 というベンチャーキャピタルについてのものでした。この
Emerald Stage2 という会社は、新しく出来たばかりの投資会社で投資してくれる人材を募
っているという条件の下でのロールプレイでした。僕は Edison という別のベンチャーキャ
ピタルでの投資経験がある投資家という役割で、他の生徒も様々な条件を持った投資家と
して充実したロールプレイが出来たと思います。ところが、Emerald Stage2 の創始者の役
割を持った生徒はとても緊張してプレゼンテーションをしていたのが印象的でした。それ
もそのはず、今回ロールプレイに教授が連れてきたのは正しく本物の Emerald Stage2 の創
始者だったのです。なんというか、海外のドッキリ番組みたいだと思ってしまったものの、
ロールプレイ後には実際の投資会社の様子を聞くことが出来て、非常に有意義でした。
この授業の一環として、昨年卒業したミューレンバーグ大学の卒業生の話を聞くことも
できました。ほとんど日本の新卒採用者が一年を終えていうことと同じようなことを言っ
ていましたが、印象的だったのは「常に新しい職場を探している」といった言葉でしょう
か。こちらでは3年や4年で経歴や技術を身につけたら、次のより良い給料がもらえる仕
事へと職場を転々として変えていくようで、移り変わりの激しい世界のようです。日本で
も、最近3年で退社する新卒採用者などという言葉が出てきていましたが、新卒採用者の
みならず、常により良い給料がもらえる仕事を探している姿勢というのは、どうにも節操
がないような気もしました。
また、この授業は本当に沢山の機会を与えてくれているのですが、MAG Fund というベ
ンチャーキャピタルの実際の会議にも参加させて頂くことが出来ました。この MAG Fund
というのは少し特殊なベンチャーキャピタルで、エンジェルがリミテッドパートナーとし
て集まったうち志願者がジェネラルパートナーとなり運営されているファンドです。実際
の現場で 2500 万円が投資されるか否かを議論する模様や、実際に投票で投資が決まる瞬間
など目の前で今後見られることがあるのかと思うような良い経験でした。
また会議には2人のアントレプレナーがやってきて、プレゼンテーションも観ることが
できました。医療関係と IT 関係の会社だったにも関わらず 20 人近くいる委員会メンバー
の中の何人かが必ずその分野について詳しく知っていることには驚きました。2人のアン
トレプレナーのプレゼンテーションはとても上手だったとは言えないものの、第一ステッ
プを突破し次のステップへ足を運ぶこととなりました。アントレプレナーが去った後の投
資家達の会話はなかなか面白かったです。
-Postscript
さて、かなり勉強面の話は飛ばして書いてしまいましたが、いかんせん限られた時間の
中で用語の説明までするわけにはいかなくなってしまったので、多くを削ってしまいまし
た。すいません。
完全に余談ですが、ルームメイトになったヴァッシュが「どうしたら、君みたいにいつ
もハッピーであれるんだ?」とか「どうやって瞑想して気持ちを落ち着かせているんだ?」
といった質問を最近してくるようになりました。
確かに無理して笑っているようなハッピーの時もありますが、そういえばどうしてなん
だろうな…と自分で考えてみたところ、なんとなくありふれた日常がとても好きでそこに
満足しているのかなという気がします。僕がもう少し若かった頃は、日常は退屈で退屈で
常に何か非日常のことばかりを考えていた気がしますが、良くも悪くも少し落ち着いたよ
うです。そういえば、素描の課題で手を描くことになって、久々にじっと手を見てみると
細かいしわが沢山できていて久々に日本語で「歳とったなぁ…」と口走って、自分で笑っ
てしまったこともありました。瞑想の方法なんか聞かれたって…と思ったものの、こちら
の大学生と比べると、僕は少し落ち着き過ぎていて達観して見えるのかもしれません。残
念ながらただ落ち着いてるだけなので、何の役にも立たないでしょうが僕なりの気持ちの
落ち着け方を教えておきました。
はてさて、とりあえず今は書き残すことに一生懸命になるよりも、残された1ヶ月を過
ごすことに一生懸命になりたいと思います。
それでは、また次回。次回は帰国直前に書くことが出来たらなと思っています。最後ま
で読んで頂きありがとうございました。
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