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講演資料 - Japanほどよし超小型衛星プロジェクト
2014年3月17日 「超小型衛星利用開拓成果×北海道ワークショップ in 札幌」 超小型衛星による 先進的リモートセンシング 北海道大学 大学院理学研究院 創成研究機構 宇宙ミッションセンター *栗原純一、高橋幸弘 1 自己紹介 理学部・理学院 宇宙理学専攻 宇宙惑星グループ http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~psg/ 創成研究機構 宇宙ミッションセンター http://www.cris.hokudai.ac.jp/cris/smc/ 2 超小型地球観測衛星「雷神2」 (RISING-2) • • • • 北大と東北大で共同開発 「SPRITE-SAT(雷神)」のリベンジと性能のグレードアップ 本格的な地球観測衛星 2014年5月24日、「ALOS-2(だいち2号)」に相乗り打ち上げ決定! 3 RISING-2 搭載理学機器 新規開発ユニット 高解像度マルチスペクトル望遠撮像系(HPT) [HPC-R] 撮像用CCD ダイクロイックミラー で光を分離 [HPT] 高解像度望遠鏡 (新素材ZPFミラー) [HPC-B] 撮像用CCD [HPC-G] 撮像用CCD [WFC] 理学観測用 魚眼CCDカメラ [HPC-M] 撮像用CCD [LCTF] 液晶波長可変 フィルター [LSI-1] 理学観測用 CMOSカメラ① (740 - 830 nm) [LSI-2] 理学観測用 CMOSカメラ② (762 nm) 視野角 29×29° 視野角 29×29° 口径 10 cm 焦点距離 1 m 地上分解能 5 m [VLFR] 理学観測用 VLF受信機 [BOL] 理学観測用 ボロメータアレイ (中間赤外) 視野角 134×180° 視野角 32×24° 4 RISING-2搭載・ マルチスペクトル望遠鏡(HPT) • 北大・東北大が共同開発する50 kg級超小型衛星「RISING-2」に搭載する 高機能マルチスペクトル望遠撮像系を開発 • RISING-2の主ミッションである地上 5 m分解能の高解像度地球観測を目指す • 新素材「ゼロ膨張セラミックス(ZPF)」を用いた高剛性反射鏡 • 液晶波長可変フィルタ(LCTF)による超多波長マルチスペクトル撮像 5 光学地球観測の利用分野と 要求される地上分解能(GSD) ハイパー スペクトル 水文・海洋 農業 森林 環境監視 マルチ スペクトル 情報収集 資源監視 交通 都市開発 パンクロ マチック GSD 5m m 光学地球観測において、 地上分解能 5 m は最も利用範囲が広い 地形 6 (Sandau et al., 2010) 地上分解能の達成に必要となる 衛星搭載光学系の口径 ※軌道高度 800kmの場合 紫外 地上分解能 可視 赤外 GSD 5m m 地上分解能 5 m を達成するには、 光学系の口径が最低 10 cm は必要である 口径 7 (Guelman and Ortenberg, 2009) RISING-2/HPTによる 地上分解能5m撮像 • • 高度約 700 km の太陽同期軌道から地球撮影 → 目標地点をコマンド設定、全地球の任意地点を撮影可能 解像度: 5m / pixel @ 700km (659×494 pixel = 3.2×2.4 km) 北大キャンパスを撮影した場合 2.4 km (494 pix) © Google 3.2 km (659 pix) 8 HPTの構造 カセグレン式反射望遠鏡 (口径 10 cm、焦点距離 1 m) CFRP製鏡筒 液晶波長可変 フィルター 重量:約 3.4 kg ZPF製主鏡・副鏡 (株)ジェネシア 9 液晶波長可変フィルター(LCTF) • 多層液晶セルによる波長可変の干渉フィルター • 波長範囲 650~1050 nm において 1 nm 刻みで中心波長を制御 → 400 バンド • バンド幅(FWHM): 10~30 nm、平均 20.8 nm • 遷移(スキャン)時間: 39~259 msec、平均 138 msec 重量80g、消費電力0.5W以下 LCTF本体 LCTFの透過率特性 10 (財)21あおもり 液晶先端技術研究センター(現・アスミタステクノロジー株式会社) 液晶波長可変フィルタを マルチスペクトル観測器に用いるメリット 従来型のフィルタ・ターレット方式の マルチスペクトル観測器 液晶波長可変フィルタ を用いた マルチスペクトル観測器 電気的 波長選択 機械式回転 PARASOL衛星搭載 POLDER-3観測器 重量:32kg バンド数:15 RISESAT衛星搭載 HPT 重量:3kg バンド数:680 バンド数の飛躍的な増加と、寸法・重量・消費電力の劇的な減少 航空機搭載用マルチカラーイメージャ Airborne Multicolor Imager (AMI) • 可視光用・液晶波長可変フィルタを搭載(420-700 nm) • 寸法:190 x 100 x 100 mm • 重量:1.3 kg(カメラ部のみ) インドネシア・西ジャワにおける UAV観測キャンペーン(2012/10/29-31) • SATREPS「インドネシアの泥炭・森林における火災と炭素管 理」の一環 • インドネシア技術評価応用庁(BPPT)の協力により、BPPTが 開発した無人航空機(UAV)を利用 • 北大からAMIを持ち込んでUAVに搭載した。 BBPTが開発したUAV「Wulung」 AMIは胴部に搭載 直下視で観測 飛行ルート パンガンダラン ヌサウィル空港 観測ターゲットエリア 片道:35km 高度:約1km 泥炭森林・海岸・河川・田畑 など多様な観測対象を持つ エリア マルチスペクトル動画 • 420-700 nm を10 nm ステップで合計29バンドスキャン • 1秒間に2 枚(=2バンド)取得 • 露光時間は 1/60 秒 15 取得画像の例 UAVアンテナ ~1.2 km UAVの 進行方向 ~30 m/s ~2.5 m/pixel 波長: 420 nm ~1.6 km 16h:40m:08s:918ms 16 波長: 500 nm 16h:40m:13s:115ms 17 波長: 600 nm 16h:40m:17s:954ms 18 波長: 700 nm 16h:40m:22s:763ms 19 解析結果の一例 森林の樹種判別 → (3-4バンドでは不可能) • 森林資源の維持管理 • 不法伐採の監視 • 二酸化炭素排出量の推定 → 排出権取引の根拠 液晶波長可変フィルタの応用実証に成功 20 ほどよしプロジェクト (サブテーマ8) • • ほどよし2号機衛星「RISESAT」の国際的な理学ミッション機器開発を支援 液晶波長可変フィルタ(LCTF)を用いた先進的なリモートセンシング機器を 開発 RISESAT サブテーマ8のプロジェクト組織に おける北海道大学の役割 ⇒ RISESAT搭載 マルチスペクトル望遠鏡の開発 ほどよし・平成25年度全体報告調整会 • 天体観測ミッション担当: National Central University(台湾中央 大学) • 地球観測ミッション担当: LAPAN(インドネシア国立航空宇宙研 究所)、BBPT(インドネシア技術評価 応用庁) 他の理学ミッション機器と異なり、海外大学・研究機関が日 本企業に製造を委託する形式であるため、予算面などで契 約交渉は困難を極めた 何とか取りまとめることができたのは将来の国際受注につな がる大きな成果 宇宙用LCTFの低コスト化 • H21~22年度:財団法人21あおもり産業総合支援センター – RISING-2搭載HPT用LCTFを製造 – H22年度末に液晶先端技術センターを廃止、株式会社アスミタステク ノロジーとして事業化 • H23年度:株式会社アスミタステクノロジー – RISESAT搭載HPT用LCTFを製造 – H23年度末以降、宇宙用LCTF製造は困難 • H24年度:仙台高等専門学校 – アスミタステクノロジーを退職して仙台高専に着任した若生一広准教 授と、北大が共同研究を開始 宇宙用LCTFは高コスト(1台1000万円)がネックだったが、従 来の1/10以下の超低コスト化に見通しが立った RISING-2・RISESAT搭載 マルチスペクトル望遠鏡(HPT)の比較 400 NIR bands + R/G/B bands Red CCD Dichroic Beam Splitter Blue CCD Green CCD 400 NIR bands + 280 VIS bands VIS CCD NIR CCD 650-1050 nm VIS LCTF NIR CCD Telescope NIR LCTF Dichroic Beam Splitter 420-700 nm RISING-2/HPT NIR LCTF 650-1050 nm RISESAT/HPT Telescope 完成した衛星たち RISING-2 RISESAT 25 超小型衛星のネットワーク運用が実現する 「スマート リモート センシング」 複数の衛星の協調動作(コンステレーション) ↓ 複数の超小型衛星をネットワークで結んで運用し、観測頻度を効率良く上げる 観測頻度が上がれば 災害監視能力が上がる 26 Smart Remote Sensing with Super-Constellation (極軌道)衛星 12 機 = 約 30 分毎 Smart Remote Sensing with Super-Constellation (赤道軌道)衛星 10 機 = 約 10 分毎 Smart Remote Sensing with Super-Constellation 衛星 48 機 = 約 7.5 分毎 超小型衛星による災害監視ネットワーク 洪水、津波、森林火災、干ばつなどの監視 宇宙ビジネスはモノづくりから情報産業へ 超小型衛星による「宇宙情報革命」 スマートフォンアプリによる市民への警報 ネットワークを通じた 災害情報・警報などの発振