...

「反社会的勢力との銀行取引解消を通じて分かった暴力団事情」 森原

by user

on
Category: Documents
13

views

Report

Comments

Transcript

「反社会的勢力との銀行取引解消を通じて分かった暴力団事情」 森原
「反社会的勢力との銀行取引解消を通じて分かった暴力団事情」
森原憲司法律事務所
弁護士
それでは、みずほ銀行行政処分事
例です。早速中を見ていただきたい
のですが、まず 3 番目のスライドで
す。これは昨年 9 月 27 日の午後 4
時に金融庁から出た行政処分そのも
のです。少し該当する部分を読ませ
ていただきます。
行政処分では何が問題とされたの
か。「①提携ローンにおいて、多数
の反社会的勢力との取引が存在する
ことを把握してから 2 年以上も反社
会的勢力との取引の防止・解消のた
めの抜本的な対応を行っていなかっ
た」。「反社排除の問題」、これは
私がつけた注です。
「②反社会的勢力との取引が多数
存在するという情報も担当役員止ま
りとなっていること」。これは「ガ
バナンスの問題」です。
これが 9 月 27 日の午後 4 時のリ
リースです。翌日の朝 5 時、6 時に
出回った新聞報道で何が問題とされ
たか。次のスライドです。
行政処分翌日の 9 月 28 日朝刊の
キーワードは「みずほ銀」「暴力団
向け融資」「2 億円」「230 件」「2
年放置」。これがポイントとして大
きな活字でゴシックで示されたキー
ワードです。ここに「一夜にして誤
変換が行われた理由は何か」とあり
ますけれども、何が誤変換かお気づ
森原
憲司
氏
きでしょうか。私、これが誤変換だ
と分かったのはひと月先になるので
すけれども、これは誤変換です。
どこが誤変換かというと、金融庁
の行政処分には暴力団の「ぼ」の字
もありません。あくまで反社会的勢
力という言葉しか載っておりません。
この翌日の新聞報道についてはま
さにおどろおどろしいという印象し
か与えない、こういう報道がなされ
てしまいました。
なぜこれが誤変換かと申しますと、
一カ月後に信販会社が経産省のほう
に報告書を出しまして、真っ黒けの
暴力団は何人いたのかというと 、3
人だったことが明らかになっていま
す。
230 件と言われておりますけれど
も、真っ黒けで、即、対処に取り組
むことができる可能性があったのは
実は 230 件のうち 3 件ということで
す。
ここに、金融庁の 6 月 4 日付の監
督指針の改正に関するパブリックコ
メントの回答があります。
反社について「各社で定義を定め
て運用していくという理解でよい
か」ということについて、「ご理解
のとおりですが、本監督指針を参考
に、各社において実態を踏まえて検
討する必要があります」。つまり
1
「ご理解のとおりですが」というこ
とは各社で決めればいいということ
です。
みずほ銀行は真っ黒けから懸念先、
それから不芳属性という、芳しくな
い先ということで、全部で 25 万件
ぐらいの情報を入れていたというこ
とです。やくざの人口は今、日本で
5 万 8000 と言われていますから、
25 万というと、真っ黒けとそれに
近いところ以外、相当数の者を反社
データに入れていたということにな
ります。
そして、それは各社がそれぞれ決
めればいいということですから、み
ずほは別に間違ったことをやったわ
けではありません。ただ、一方で反
社との取引はやりませんと宣言して
いるわけですから、「おたくは多い
か少ないかの評価はあるかもしれな
いけれど、この 25 万を反社という
カテゴリーに入れたのだとすると、
重複する分が 230 あるのではない
か」と言われたら、ぐうの音も出ま
せん。
行政処分はその意味で間違ってい
ないわけです。多数の反社の取引が
あり抜本的な対応を取っていなかっ
たことは確かにそうだったのですか
ら。ただ、本当に排除できる反社取
引が何件あったのかというと、属性
の問題もあるでしょうし、暴排条項
が入っていたか、入っていなかった
かという問題についても今のところ
まだはっきりしておりません。した
がって、ある意味できないことをや
れと言われた要素も若干はあるのか
2
なと思います。
もちろんこれが反社の問題ではな
いとは言いませんけれども、この事
件からもっと別の学ぶべきことがあ
るのではないかと思います。それが
次のスライド、5 番目です。
これはみずほの第三者委員会、弁
護士さんが 20 人ぐらい集まって 3
週間あまり、おそらく徹夜で作った
報告書の中にこういう記述がござい
ました。
「次の 4 項目を読んで何を感じま
すか」というのは私が書いた文章で
す。この 4 項目は何かといいますと、
次の 6 のスライドの一番下に「報告
書における第 4 原因分析、本件にお
ける問題の所在」というのがありま
す。原因分析として取り上げられた
問題の所在の 4 項目です。何が書い
てあるか、1 番目。
「当初は取締役会やコンプライア
ンス委員会に報告されていた定期の
本キャプティブローンの事後チェッ
クの結果について、その頭取への報
告を義務付ける関連規程があるにも
かかわらず、取締役会やコンプライ
アンス委員会にその報告がなされな
くなり」とあります。まず、これは
どういう規程かといいますと、「組
織のトップへ報告を義務付ける活字
の規程」だったわけです。しかも
「当初は」とあるわけですから、き
ちんと最初は行っていたわけです。
「組織のトップへ報告を義務付ける
活字規程」があったにもかかわらず、
それがいつの間にかうやむやになっ
てしまったという、この 1 項目だけ
でもかなり問題有りですね。
もし社名を秘して、「皆さん、こ
ういう会社をどう思いますか」と聞
くと、「相当お粗末な会社だ」とお
思いになる経営者が大半ではないで
しょうか。
2 番目、「当初は検討課題とされ
ていた入口チェックの導入の可否や
本キャプティブローンの債務者に限
定しないみずほ FG の反社情報のオ
リコへの還元の可否等は、その後の
担当役員への報告書や業務計画にお
いて、認識課題から欠落し」。
「入口チェック」というのは反社
の入口チェックです。反社の入口チ
ェックや、みずほ FG における情報
共有というのは非常に大事な課題だ
と思いますけれども、それらがいっ
たん、まな板の上に載っていた。に
もかかわらず、いつの間にかフェイ
ドアウトしてしまったという話です。
フェイドアウトしたのは理由がご
ざいまして、システム障害が大きく
報じられましたけれども、システム
障害でてんやわんやしているうちに、
この入口チェックの問題や情報共有
の問題は消えてしまったということ
だそうです。
3 番目も、私は企業内弁護士とい
う経験もあるので、監査部の位置づ
けは平均的な弁護士より熟知してい
るつもりですけれど、これもちょっ
と驚きですね。
「経営課題の達成状況の検証を行
うべき業務監査部は、本キャプティ
ブローンの問題を認識しながら、監
査報告書において十分な指摘を行わ
3
ず」。
監査部というのはやはり会社の中
で一目を置かれ、怖い存在の部署で
す。そこが気付かなかったというの
であればともかく、気付いていなが
ら十分な指摘を行えなかった。かな
りこれは、びっくりな話かなと思い
ます。
4 番目。「金融庁の指摘がなされ
るまで、反社会的勢力との取引の解
消に向けて、更なる抜本的取組がな
されなかった」。
これは金融庁の行政処分で正面か
ら指摘された反社問題ですけれども、
実に 4 項目のうち 1、2、3 はコーポ
レートガバナンスの問題です。みず
ほについては反社の問題としてクロ
ーズアップされ、それは間違ってい
るとは申し上げませんけれども、ぜ
ひ皆様が加盟企業にご指導いただく
ときには、みずほは反社の問題でも
あるけれども、もっと手前の問題と
してコーポレートガバナンスがきち
んとできていたら、もっと違った形
になっていたのではないかというこ
とが、第三者委員会の報告書から読
み取れるわけです。したがって、反
社問題だけで終わらせてしまったら
もったいないという形でお伝えいた
だけたらよいのではないかと思って
おります。
7 番目のスライドですけれども、
「みずほの融資に問題はなかったの
か」というのが日経新聞に 出ていま
す。行政処分が出た 1 週間後、翌週
の金曜日です。実は行政処分が出た
27 日の金曜日、私は岡山で講演を
した帰りで、東京へ向かう新幹線が
小田原を過ぎたあたり、4 時ごろに
コンピューターを開いてこれを知っ
たわけです。えらいことが起きたな
と。大激震という感じでしたけれど
も、東京駅に着いたら金融機関やマ
スコミからいろいろな問い合わせが
ありました。
金融機関が心配していたところと、
マスコミが心配していたところはち
ょっと違ったのですけれども、それ
はさておき、とにかくみずほの融資
についてマスコミは当初、ちょっと
勘違いした論調が多かったと思いま
す。
まさにここにあるように、「金融
庁は暴力団への融資があるから処分
を出したわけではない」というとこ
ろです。金曜日に行政処分があって、
その翌週の月曜日に新聞記者が私の
事務所に来ました。ここは誰も書い
ていないから、一番何が問題だった
のかをもっと早く書かないといけな
いですよ、ということを言って、そ
の週末の金曜日に記事が出ました。
何が問題だったかというと、暴力
団に融資があったから駄目だという
のではなくて、「直接の原因は銀行
法に違反した点だ。特に『2 年以上
放置し、抜本的に取引を防止・解消
していない』ことを問題視した」と
いうことです。
もし融資があるということ自体で
×点がつくならば、日本の多くの金
融機関は全部行政処分を受けたと思
います。そこが問題なのではなくて
「反社取引」というリスクについて
4
どういうコントロールをやろうとし
ていたのか、その形跡が全く見えな
い、そこが怒られた一番のポイント
です。
融資があるから即アウトではなく
て、それについてどういうリスクコ
ントロールをしていたかということ
が問われました。まさにこれが、最
近の新聞に書いてありました。警察
への属性照会件数が 2.5 倍増加した
ということも書いておりましたけれ
ども、金融に限らず多くの事業会社
も業務委託等、そういった契約にお
いて、うちは反社との取引がある、
イコール、非常にこれは大きな非難
を受けるのではないかという勘違い
をして皆さんが属性照会に飛んでい
って、そこで契約書や約款をきちん
と精査することもなく、本当に解除
できるかどうかということを精査す
ることもなく解除通知を出してしま
うから、いろいろなトラブルが発生
したわけです。
反社との取引があること、それが
即アウトということではなく、それ
について約款や契約に基づいて、取
引解消できるのに、きちんとやるべ
きことをやっていない。そこが一番
の問題になるのかなと思います。そ
こが結構誤解されているところです。
次のスライドです。「反社排除問
題は特定部門の問題ではない」。第
三者委員会の報告書に次の記述があ
ります。「反社勢力に関する問題に
ついてはコンプライアンス統括部の
聖域であるかのごとき取扱い」。
コンプライアンス統括部の聖域だ
から監査部が口を出さなかったとい
う構図だったそうです。ある大手信
用金庫の役員が、全幹部職員、これ
は支店長はじめ営業部門も含めて全
部集めて「当金庫における反社排除
の取組について」という説明会を開
いたそうです。「それは結構なこと
ですけれども、なぜそういった説明
会を開こうと思ったのですか」とお
尋ねしたところ、その常務役員は
「この記述だ」とおっしゃいました。
「反社勢力に関する問題について
はコンプライアンス統括部の聖域で
あるかのごとき取扱い」。うちの支
店長連中には、総務やコンプライア
ンスの問題だと思っているやつが絶
対いる。しかし、そういうことでは
ない。これはコンプライアンス部門
の聖域ではなくて、なぜそもそも反
社排除をやっているかに立ち戻るべ
き問題である、と。それは森原弁護
士が、反社排除は社会の要請を受け
ての取組だといつも言っていること
につながる、と。スライドに「これ
は誰の要請を受けての取組か」とあ
りますけれども、警察に言われてや
っているのか、金融庁に言われてや
っているのか。そうではないでしょ
うと。皆様の金庫を取り巻く社会の
要請を受けてやっていることではな
いですか、ということです。社会の
要請を受けての取組だったら総務や
コンプライアンスで職務分掌として
それはあるかもしれないけれど、総
務・コンプライアンスの専権でしょ
うとか、そこの持ち場でしょうとい
うような発想は違います。営業部門
5
であっても、私たちは営業をやって
口座を獲得して投資信託を売れば、
それが私たちの仕事でしょうと思っ
ていたらそれは違う。それを営業現
場の人間にも津々浦々、認識をきち
んと持ってもらうために、この反社
排除の取組はこの金庫を取り巻く社
会の要請を受けてやっていることだ
ということをきちんと分かってもら
うためにそういう説明会を開いた、
という話をしておりました。
これは非常に大事な着眼点だと思
います。私もよく、やくざと交渉の
ときに「まあ、弁護士さんも大変だ
よな、警察や金融庁がうるさいから
な」なんて言われますけれども、そ
ういうときに、「いやあ、そうなん
ですよ。警察の指導が……」なんて
いうことは言いません。「ご指導が
あることは事実でございます。ただ、
指導があるからやっているわけでは
ありません。これはあくまで、当該
銀行を取り巻く社会の要請を受けて
銀行の経営判断としてやっておりま
す」ということをいつも言っていま
す。これも一つの毅然とした対応な
のかなと思います。
彼らが「警察がうるさくて大変だ
よな」と言ったときに私が「いや、
そうなんです。大変なんですよ」な
んて言ったら、反社流のいつもの流
れの話が出ていたのかもしれないけ
れど、そこでパシッと流れを断ち切
る。うちの経営判断でやっていると
いうことを示すわけです。
ともすれば会員企業の皆様も警察
や行政がいろいろ言っているからと、
だから横並びでやっていかなければ
いけないと思っていたら大間違いで
ありまして、これはあくまで社会の
要請です。
政府指針では一切の関係遮断と言
っていますが、警視庁の Q&A を見ま
すと日用品の取引はオーケーとなっ
ています。コンビニエンスストアで
やくざがお茶とかおにぎりを買うこ
とはオーケーなわけです。それは日
用品の取引だからオーケーというこ
とになるのかもしれませんが、要は
コンビニでそういうものを売買して
いるところ、やくざに売っていると
ころを見た市民が、「それにしても
コンビニというのは見識のない企業
だな」とは見ないからです。
今、ものすごい勢いで反社排除が
進んでいます。今後この流れが進ん
でいったときには、今よりもっと幅
広い取引について社会が「これはお
かしいぞ」と言うときが来るのでは
ないかと思っています。
そういう社会の要請を受けてやっ
ていることですから、コンビニはま
だオーケーになるかと思いますけれ
ど、今はセーフであっても今後はア
ウトになる取引があるかもしれない
と思っています。
数年前に山口組六代目司忍が府中
刑務所を出たときに、某鉄道事業者
が新神戸までグリーン車で一両貸し
切りのような状態で運輸したのをテ
レビで見ましたけれど、どうなのか
なと私は思いました。家族旅行をい
かんとは言いませんけれども、ああ
いった形で組長を取り囲んで黒服が
一両貸し切り状態というのはどうな
のかなと、もう 4 年ぐらい前になり
ますけれども思いました。
今、暴排は、司組長が府中刑務所
を出たときからさらに進んでいます
から、あの場面を見たときに「いい
のか?」と思う国民は数年前より確
実に増えていると思います。
要は当該企業、当該事業体を取り
まく社会環境がそれを許す範囲なの
かそうでないのか、そこに注目して
いくということが大事になってくる
と思います。
それでは暴力団情勢で、これは専
門家の皆様にお話するのは恐縮です
けれども、ご覧のとおりです。7 万
8600 人からきれいに一割減って 6
万 3000、また一割減って 5 万 8000
です。したがって、最近は 3 月に出
るようになっておりますので、恐ら
く来月には昨年暮れの数字が出るで
しょうけれども、5 万近くになるの
ではないかと思っております。
4 年連続減少の理由は「暴力団排
除条例を原因とする離脱と偽装離
脱」といわれております。「暴力団
排除条例が『警察 vs 反社』を『社
会 vs 反社』に決定付けた」と書い
てあります。よくこれは警察対反社
から社会対反社と言われますけれど
も、私はこれを説明するときには実
数を上げて説明しております。
すなわち警察官は何名ですかと、
インターネットで調べたところ 25
万人いらっしゃるそうです。そうす
ると 25 万対 5 万 8000 の戦いが、社
会ということになりますと、1 億
6
2000 万です。25 万対 5 万 8000 の戦
いが 1 億 2000 万対 5 万 8000 になっ
たら、それはもう、「やっていられ
ないな」と彼らが思うのも、むべな
ることかなと感じるところです。よ
く警察対反社から社会対反社と言わ
れますけれども、数字で見るとよく
分かると思います。
次は検挙人員数です。2 万 2861
人。この数字を見ていつも私が企業
の皆さんに話をするのは「警察はす
ごく頑張っていると思いませんか」
ということです。5 万 8000 ですか
ら、私がやくざだとしたら、私の右
隣と左隣の三人のうち一人は検挙さ
れるわけですから。そういう意味で
警察ときちんと連携している企業と
いうのは彼らのとってすごく怖い存
在だということがこの数字からよく
分かると思います。
この表からもう一つ、メッセージ
として伝えたいことがあります。そ
れは何かというと、この年は「覚せ
い剤、傷害、窃盗、詐欺、恐喝」で
すけれども、結構、窃盗が 2 番にな
る年もあります。彼らは暴力団とい
う呼称を使うと非常に怒るわけです。
それは警察が勝手に付けた呼称であ
って、俺らはあくまで「やくざ」だ
というようなことを言います。「暴
力団」でも怒るぐらいですから、い
わんや「反社会的勢力」なんて言い
ますと非常に嫌悪感を示すわけです。
ある広域暴力団の上から数えて
10 番目ぐらいというのは間違いな
く反社であり暴力団の幹部ですけれ
ども、弁護士を連れて私との口座取
7
引解消の場に現れました。それで、
「俺は反社じゃない」「いや、警察
できちんと照会したうえで私はこの
場に来ております」「俺は反社じゃ
ない」「おっしゃっていることが分
かりませんが」と言ったら横にいた
顧問弁護士が、「先生、この方は任
侠の世界に生きていると言いたいん
ですと」と言っておりました。
ただ、任侠の世界だというのであ
れば、私はどこかのインタビュー記
事を読みましたけれど、任侠の世界
では薬と盗みはご法度だと、その中
でおっしゃっていました。やくざで
薬と盗みをやるやつは風上にも置け
ないと言っておりますけれども、実
際の数字を見れば薬と盗みで捕まっ
ている連中が中核を占めています。
したがって任侠だと言っておりま
すけれども、数字が示すところは犯
罪集団にほかならないわけです。
日本のやくざ情勢が激変している
というのでフランスの NHK に相当す
るところがカメラを持って国内に取
材に参りました。名古屋の田中清隆
先生も取材を受けたそうで、実は私
も受けました。そのときのディレク
ターは女性だったのですが、彼女が
投げかけた質問が胸に刺さりました。
それはどういう質問かというと、日
本では一家の大黒柱が一生懸命闘病
して入院しているのに、そこにピス
トルを撃ちこまれて、要は人違いで
殺されてしまった。これは北九州の
事件でした。あるいは、一日働いた
後、癒しの場としてみんなで楽しく
お酒を飲んでいたら、やはりここも
組長が襲撃されて、組長は親指にか
すり傷を負っただけで、女性を含む
一般客が 3 人も射殺されたというよ
うな事件。これは群馬の話ですけれ
ども、そういうことがありました。
病院で戦っている、やくざとは何
の関係もないお父さんが撃ち殺され
たり、一生懸命働いて仕事の疲れを
癒そうとお酒を飲んでいた一般人が
巻き込まれて殺されて、「なぜ日本
人はみんなプラカードを持って立ち
上がらないのですか」と。たしかに
先日もフランスではテロに対して大
きな国民の動きがありました。フラ
ンスで同じことが起きたら間違いな
くその組事務所を取り囲んで、プラ
カードで「おまえら出ていけ」と、
「一般人を巻き添えにするような連
中は消えろ」と動くはずだが、なぜ
日本はそういうことにならないのか
と言われました。
私もいきなり直球の質問をされて、
弁護士として何か回答しないわけに
はいかず、「恐らくは国定忠治、清
水の次郎長の流れから、弱きを助け
強きをくじくというものが、私たち
の DNA の中に組み込まれているのか
もしれません。また、昭和の時代に
は皆さんもご存じのとおり、スーパ
ースター高倉健がやくざをヒーロー
のように演じました。そういったと
ころでやくざの実態とは全然違いま
すけれども、ああいったものだと誤
解している人がもしかしたら日本に
はたくさんいるかもしれませんね」
と。ただ、この数字を示して、「や
っていることは任侠でも何でもなく
8
犯罪集団だということを私は今のお
話を聞いてより一層伝えていかなく
てはいけないと思いました」と返し
ました。ということで、今もお伝え
している次第です。
ぜひ、単なる犯罪集団だと。一般
企業の中で、いまだに必要悪だとい
うようなことを言う人がいますが、
必要悪でも何でもないということで
す。
次は山口組で、全暴力団構成員の
45.5%。これは 24 年のデータで、
25 年のデータでは 43 ぐらいになっ
ていたかもしれません。なぜ 24 年
を載せたかというと、これは警察庁
から発表されているデータですけれ
ども、こういう記述があったのです。
「社会における高い暴排気運の中、
組織委員を中心に、勉強会の開催、対
応マニュアルの作成・配布等により、
暴排条例や改正暴力団対策法への対
策に力を入れた」とあります。実態
はどうなっているのか。これは二つ
お伝えすることがあります。
一つ目、去年の 3 月ですけれども、
稲川会の幹部と話をしていたときに
これが話題になりました。「弁護士
さん、西の会社の勉強会の話は知っ
ているか」「知っていますよ、警察
庁のリポートにも載っていたから知
っていますよ」と言ったところ、彼
は「じゃあ、去年の 11 月」、これ
は去年の 3 月に話している時点の
「去年」ですから 25 年になります。
「25 年の 11 月に勉強会をやめたの
を知っているか」「それは知らなか
ったですね」「やめたんだよ」「な
ぜやめたのですか」と聞いたら、そ
の答えがふるっていました。実はこ
の山口組の勉強会というのはかなり
レベルが高いのですけれども。なぜ、
このレベルの高い勉強会をやめたか
というと、稲川会の幹部が言うには、
「やればやるほど離脱者が続出で、
逆効果になるからやめた」というわ
けです。
おそらく、勉強会ですから今置か
れている自分たちの現況、状況を乗
り越えるためにはこうすればいい、
と。私に言わせれば、潜脱するため
にはこんな手があるという、二段階
方式だと思うのですけれども、第一
段階の、今置かれている現況を聞い
ただけでもう、嫌気がさしてしまう
のでしょう。勉強会をやればやるほ
ど離脱者続出で、逆効果だからやめ
たそうです。
さりながら一昨年の 11 月までや
っていた勉強会はレベルが高かった
と思います。なぜかというと、私は、
広域暴力団のいろいろな組員、幹部
と取引解消の合意折衝をやりますが、
山口組とやるのが一番肩の荷が重か
ったです。
と申しますのは、例えば口座取引。
いろいろ議論はありますけれども私
は強制ではなく合意解約という方式
でやっています。合意解約へいざな
う手紙を出すわけです。強制解約通
知を出している弁護士さんでも同じ
経験があると思いますけれども、大
体 3 つ聞いてくるのです。「手紙が
来たけど、3 つぐらい教えてくれ
や」と。まず一つ目。「これ、法律
9
を根拠にやってるのか」と言われま
す。1 個目は何とかかわせるのです
が、2 つ目 3 つ目は結構苦慮します。
2 つ目は「俺が口座を作ったのは
平成 4 年のことだ。おたくらが暴排
条項うんぬんを入れたのは 3 年前や
そこらのことでしょう。何で 20 年
前に作った口座に、おたくらが勝手
にルール変えました、「はい、さよ
うなら」と言えるんだ? それは後
出しじゃんけんで、子供だって分か
る卑怯な手だということが見え見え
でしょう。なぜこういうことができ
るのか、きちんと説明してくださ
い」と。警察庁とか金融庁とか全国
銀行協会の、手でバシンとやってい
るポスターには、過去の契約にも適
用されますと書いてありますけれど、
本当にその理由だけでいいのかと。
私はそれを疑問に思って合意解約を
やっておりますけれども。
金融庁のパブリックコメントが公
表されています。そこは重要な問題
として質問されておりましたけれど
も、金融庁は「遡及効の是非につい
て金融庁は回答する立場ではないか
ら回答を差し控えさせていただきた
い」と答えておりましたから、まだ
明確に白黒はついていないのですけ
れども、まあ遡及効の問題ですね。
これが 2 番目。
それから 3 番目。「おたくらは銀
行サイドだから口座の中は全部分か
っているんだろう。携帯電話でしょ
う、ケーブルテレビでしょう、保険
料でしょう。そりゃあ、マネーロン
ダリングに使っているんだからつぶ
せと言われたら、それはまだ分かる
けれど、この利用状況で何でつぶす
わけ? それは趣旨逸脱して行き過
ぎていませんか?」ということを言
われるわけです。
このようにつつかれるわけですけ
れども、1 個目の根拠にかかわる質
問は条例を背景に暴排条項を設けて
いるわけですからそれで説明がつく
かと思いますが、確かに遡及効であ
るとか生活口座のところは、直球で
聞かれたときには難しいのではない
かと思います。
ただ、そこも含めて私は合意解約
をやっていますので、彼らからこう
いう 3 つの質問を受けたときは、私
は「皆様ご指摘の問題があることは
重々承知しております。ですから私
はお願いしているのです」という話
をするのです。そうすると向こうは
ちょっと虚を突かれまして、「お願
いということは、嫌と言ったら残る
のか」と。「いえ、そういうものを
無理やりつぶすことはいたしません。
ただ、私が今からお話しすること、
皆様を取り巻く環境、それから銀行
を取り巻く環境について、きちんと
私の説明を聞いていただいて、それ
でもなお納得いかんという方は幸い
のところいらっしゃいませんでし
た」と。ここ最近は、ちょっと、2
人粘っている人がいるので、「ほと
んどいらっしゃいません」と言って
います。
私は合意解約でやっていますから、
今のようなちょっと難しい質問には
ストレートに答えないで、「問題あ
10
ることは承知しております。ですか
らお願いしております」とかわして
おりますけれども、今申し上げたと
おり、今の3つの質問はマニュアル
を見ながらしどろもどろで言ってい
るのではありませんから。自分の問
題意識として血となり肉となった言
葉で話していますから、そういう意
味では山口組の勉強会は進んでいた
かなと思います。もっとも、やめた
ということで、どんどん劣化してい
っているのかなと思いますけれども。
「関係遮断へ早期着手しなければ
ならない理由」ということで 2 つ挙
げております。「追い風が吹き続け
るとは限らない」。ある宅配業者が
荷受拒否の通知を出したというのを
2 年ぐらい前の経済誌で見たときに、
まずいなと思いました。要はその手
紙には、荷受はいたしませんとあり
ました。それに対してやくざの顧問
弁護士から、荷受をしないという趣
旨のレターとお見受けしたけれども、
まずもってお断りしますと。法律や
国交省のガイドラインに照らして何
が問題か分かるように説明してくだ
さい。お願いしている荷物には、贈
答品とかそういったものばかりでは
なく、日用品、生活必需品も含まれ
ておりますが、そういったものもお
断りという理由を分かるように説明
してください。組の荷物を断るだけ
でなく組員個々人の荷物も断るみた
いですが、なぜそんなことができる
のか説明してください、という手紙
を出したと経済誌に書いてあって、
それについて宅配事業者側の弁護士
が返事ができないというから訴訟に
なるかもしれないと書いてありまし
た。
どこの業界であれ、やくざに負け
る裁判所の判決が出るというのは、
彼らもばかではないですから、ちょ
っと今までいいようにやられ過ぎて
いたのではないかということで気づ
くきっかけになるから、出すのなら
きちんと反論できるようにして出し
てほしかったと思っておりました。
結果、この事案の顛末は、溝口敦
さんというジャーナリストが『暴力
団』という新書を書きまして、その
あと『続・暴力団』というのを一昨
年の暮れぐらいに出しましたが、そ
こに顛末が書いてありました。
本当に訴訟寸前まで行ったそうで
す。訴訟寸前になったけれど訴訟に
ならなかった。なぜかというと、直
営の事業所ではなくて業務委託先で、
昔でいうと私がまだ学生だったころ
なんかは角のたばこ屋さんに出して
いましたけれども、そういう他の事
業をやっているところが業務委託先
で荷物を受けるわけです。そこがも
う受け始めたわけです。「〇〇組」
と伝票に明記してある荷物を受け始
めたのです。もう荷物が流れている
ということになりましたら、もう訴
える理由がありませんから、訴訟を
やる意味がありません。
ということで訴訟は流れたのです
けれども、どこかの企業が契約書あ
るいは約款に照らして、ちょっと勇
み足ということをやったときに、司
法は勢いで判断するところではあり
11
ませんから事業者側にアウトという
判決を出すかもしれません。そうい
ったことが度重なるということにな
れば、今の追い風というのは、ぱた
りとやんでしまうかもしれません。
今、排除の風が、やや行き過ぎの
部分もあるかなと私は個人的には思
っておりますけれども、風が吹いて
いるうちにやるというのが大事なこ
とかなと思います。
それから「最後の一口座」ですけれ
ども、「最後の一口座」というのは 1
年半ぐらい前までは「信用金庫の口
座がなくなっても○○銀行があるか
ら分かったよ」というようなことを
言う人が多かったのですが、「もう
おまえのところが最後だから何とか
してくれ」という人が増えてきまし
た。やはり、まだほかの口座がある
うちはやりやすいということです。
その次の 12 番。社会対反社と言
われていますけれども、その中身は
何なのかということです。実は彼ら
の取引解消に向けて合意折衝で彼ら
を説得させているネタは、実はここ
にあるとおりです。このとおりに読
むわけではなくて、どんなことを言
うのかは、あとで具体的に話します。
まず、「動きは金融から始まっ
た」。金融庁の監督指針が改正され、
関係遮断という政府指針の考え方が
導入されました。それから経団連の
企業行動憲章は「断固として対決」
としか書いていなかったものが「断
固として対決し、関係遮断を徹底す
る」と。この関係遮断の 4 文字、こ
れが非常に重要なキーワードになる
と思いますけれども、入りました。
不動産業界においても取引金額も大
きいし、組事務所開設のリスクもあ
るということで反社排除のモデル条
項、23 年 6 月に全部入りました。
それから全国の新車販売をしている
1600 社が加盟している協会が新車
を売らないという決議をして通達を
出したのも同じ 23 年 6 月です。
「お茶の間に拡がる暴力団排除」。
島田紳助の話です。私はこの話をや
くざにします。「それにしても皆さ
んの今置かれている状況。これは
20 年かけて今の状況に至っている
のであれば、皆さんももう少し納得
感があったかもしれませんけれど、
それにしても早かったですよね。本
当に 3 年、4 年ではないですか。こ
の 3 年、4 年で口座が持てない、融
資は受けられない、マンションは借
りられない。マンションどころか駐
車場も借りられない。ゴルフはでき
ない、自動車も買えない。島田紳助
も引退する時代ですからね」と。
こういう話をすると、彼らの中で
勝手に走馬灯が回ってくれるみたい
です。自分たちはもう本当に追い込
まれて、追い込まれて、どうしよう
もない状況である。実際にそれが彼
らを取り巻く社会の情勢であり社会
の環境なのですが、それを丁寧に説
明すると、口座一個にがたがた言っ
ていても、とてもではないけれども
森原であったり、あるいは一銀行で
あったり、あるいは警察であったり、
そうではなくてもっと広い社会全体、
ちょっとここに書いてありますよう
12
に、実質、私は取引社会からの排除
だと思いますから 「(取引)社会 vs
反社」というのが正確かと思います
けれども、学齢期の子供や超高齢者
を除いても 1 億人近くはいるではな
いでしょうか。1 億対 5 万 8000 の
戦いの中で一口座をがたがた争って
もしょうがないということを理解し
てもらうわけです。
次のスライドです、13 番。政府
指針、平成 19 年 6 月 19 日リリース
ですけれども、これが与えた影響で
す。ここからちょっと釈迦に説法で
すみません。
従前は有事の対策、「不当要求の
拒絶」でした。これはまさに経団連
が断固とした対決姿勢としか言って
いなかったですね。まさに大きな声
を出して不当要求するやつが現れた
ときにそれを拒絶しなさい、断固と
して対決という経団連の言葉がまさ
にそれでした。それが断固として対
決だけではなく「関係遮断」という
4 文字が加わりました。不当要求の
拒絶というのは、企業にプレッシャ
ーをかけられたときに屈してしまっ
たら企業が侵食されてしまうと言っ
て、そこでしっかり頑張れというの
で、企業防衛という視点でした。と
ころが一切の関係遮断というのは、
きちんとした適正料金を払おうが、
態度においてもジェントルマンであ
ろうが、おたくをこの経済取引社会
のドアを開けて「さあ、どうぞ」と
入れるわけにはいかんのですよ、そ
れが当該企業における社会的責任な
のですよ、ということです。
従前の不当要求というのは、要は
大声を出したり、言っている中身が
それは無理でしょうという無茶な話
をしていたときの話ですが、適切な
フィーを払い、態度においてまとも
であっても、それでも駄目なわけで
す。ゴルフに関しては彼らは相当頭
にきているらしくて、よく私に文句
を言います。「弁護士さんがまず排
除すべきは俺らじゃなくて、マナー
の悪い一般客だ」と。私はゴルフ場
の仕事もしていますので、やくざが
こんなことを言っていますよとゴル
フ場関係者に言ったら、「先生のお
っしゃるとおりです。マナーの悪い
一般客のほうがよっぽど手に負えま
せん」というわけです。では、やく
ざの言っていることが正しいかとい
ったら、全然そんなことはないです
ね。マナーがいいかどうかではない
のです。彼らがそこで一緒に回って
結束を強めたり情報交換したり、そ
ういうことをさせませんよというこ
とを言っているわけです。
「会社が損害を被るかどうかだけ
ではなく、反社勢力を経済活動の中
に安住させない態勢整備がポイン
ト」。「なぜ、暴排条例は都民や事
業者を規制の対象としたのか」。暴
力団対策法も私たちの側が規制対象
となっているところが若干あります
が、条例のように明確に事業者もア
ウトというような形ではありません。
なぜ条例がパッと見、汗水垂らして
働いている私たちを規制対象とした
かというと、要は経済取引社会のド
アを真っ当にやっている事業者が開
13
けてしまったらそれはダメだという
ことです。
平成 4 年に、その数年後にオリエ
ンタル神戸で射殺された宅見勝が何
と言ったかというと、ちょうど暴対
法ができた年です。当時世間では、
暴力団は「地下に潜る」と言われま
した。平成 23 年の暴排条例のとき
も「地下に潜る」と言われました。
宅見は地下に潜れと言ったのではな
く何と言ったのかというと、これか
らは、やくざは税金を払える仕事で
食っていかなければいかん、表社会
に出てこいと言ったわけです。まさ
にフロント企業がどんどん出てくる
という話です。そのフロント企業が
どんどん出てきて、それでちゃんと
フィーが適正であったり、あるいは
態度がまともであったら、では付き
合いましょうかということが、暴排
条例が出るまでは許されたわけです。
宅見の言葉を受けて表社会に出てき
たやつが、契約を通じて取引社会に
進出したわけです。「契約というの
は最低限二当事者が必要ですから、
その当事者の一方にやくざが立ち、
一方が真っ当な事業者で、契約内容
がまともだからということで経済取
引社会のドアを開けて中に入れるこ
とを許してしまったら、いつまでも
やくざの資金獲得活動が続くわけで
す。
したがって事業者の側もドアを開
けてしまったら、それは社会的責任
に合致しない行動選択であるという
ことでアウトになりますよ、という
ことを明示したのが暴排条例です。
暴排条例施行のときも地下に潜ると
言われましたし、地下に潜るやつら
もゼロとは言いませんけれども、地
下に潜ればお金になるのであれば、
とっくの前に潜っていると思います。
地下に潜ったってやはりなかなか厳
しいから宅見はフロント企業で頑張
れと言ったわけで、そのフロント企
業も 23 年以降、今生きているのは
もう少し生き延びるかもしれません
けれども、早晩これも締め付けられ
る状況になるわけです。
14 番、「蛇の目ミシン最高裁判
決」。これは役員の皆様に警鐘を鳴
らすのに、企業の話ということです
から皆さんの材料としてお持ちにな
っていただければよろしいかと思い
ます。有名な判決ですけれども、 X
が Y 社の株を大量保有して取締役に
就任して、その人はその後の株主総
会で専務まで上がりましたから、相
当食いこんでいたのでしょうね。
「大阪からヒットマンが 2 人来て
いると脅迫して、300 億の迂回融資
の保証等を行い、株主代表訴訟が提
起されました」。これは東京地裁、
東京高裁、役員免責、勝っています。
ところが最高裁では「暴力団関係者
等会社にとって好ましくないと判断
される株主から、株主の地位を濫用
した不当な要求がなされた場合には、
法令に従った適切な対応をすべき義
務を有する」ということで、東京高
裁に差し戻しになりました。
平成 18 年の最高裁で平成 19 年の
東京高裁、差し戻し判決が出まして
580 億の賠償責任が、結局、その役
14
員らに課されることになりました。
この判決で注目すべきは、もちろん
金額の大きさということもあるので
すが、経営判断をしたのがいつかと
いうことです。経営判断をしたのが
いつかというとこれは平成元年です。
約 20 年たって、20 年ぐらい前の経
営判断に、たしか 840 億だったと思
いますけれど、800 億円超の責任を
おまえたちが取れと言われたわけで
す。
平成元年に役員だったのだから当
然会社からは退いているし、数年顧
問とかで残っていたとしても、平成
の十年代には完全に年金と退職金で
悠々自適と思っていた最中にこうい
うことになって、さぞかしショック
だっただろうと思いますけれども、
平成元年に企業を取り巻く環境、私
は企業を取り巻く環境というのが暴
排の基本だと考えておりますけれど
も、社会が何をその企業に求めてい
るのか。平成元年というのは、ずぶ
ずぶでしたね。どこで大きく変わっ
たかというと、いろいろな見方があ
ると思いますが、私はやはり平成 9
年にあった野村証券と第一勧業銀行
の総会屋利益供与事件、あれが大き
な節目だと思います。
ちょうど弁護士登録 3 年目でした
けれども、多くの上場企業が必要の
ない機関誌の購読の一斉拒絶という
のもやりました。私も当時色々お手
伝いしましたけれども、その時期で
した。あそこでやはり大きく潮目が
変わったわけです。平成元年という
のは、「殺し屋が来るかもしれない
ぞ」と言ったら、お金で解決すると
いうのが企業の作法だったような雰
囲気もなくはなかったです。だって
総会屋が怖くて相当数の企業が利益
を渡していたわけですから。
そういう意味では当時の企業を取
り巻く環境を考えれば、今の後知恵
の知識を持っている私たちがこんな
経営判断はあり得ないとか、それは
何百億円の責任を問われても、こう
いう経営者は仕方がないでしょう、
という批判はできるかもしれないけ
れども、この人たちは昭和の経験し
かないですから。平成元年に、この
会社の役員でなくったって、私も含
めて誰が 20 数年後にはやくざがゴ
ルフをできない時代が来ると予見し
たでしょうか。分からないですよ、
そんなこと。分からない、到底誰も
想定しなかった。口座が作れなくな
るとは想像もつかない時代です。
そのときの経営判断を約 20 年た
ってアウトと言われてしまうわけで
す。私は、この人たちがかわいそう
だということを言いたいわけではあ
りません。当時の当該企業を取り巻
く環境を鑑みればやむを得ない側面
があったかもしれない経営判断でも、
アウトと言われたのです。最初に勝
たせてくれた東京高裁は何と言った
かというと、これだけの激烈な脅し
を受けたら、殺し屋が来ると言われ
たら、まっことやむなき判断と判決
に書いています。ところが差し戻し
の高裁で何と言ったかというと、ま
っことやむなき判断が、「まっこと
稚拙な判断」に代わりました。まっ
15
こと稚拙と言われてしまったわけで
す。
元年の環境に照らしても稚拙と言
われたということは、平成 27 年以
降に経営者、あるいは役員として経
営の責任を負うべき立場の人という
のは、18 年の最高裁があり 19 年の
政府指針があり、23 年の暴力団廃
止条令があり、地方・行政・立法、
その全てが、国を挙げて反社排除を
やろうと。社会対反社と世の中が変
わったあとなのに、「何、緩い判断
をしてるの?」と言われるのは必定
ですよ。平成 27 年以降の役員とい
うのは、18 年の最高裁、19 年の指
針、23 年の暴排条例の三本柱、三
本の矢が出たあとで、「何を甘いこ
とを言っているんだ?」と言われる
のは必定ですから、そういう意味で
私はこの蛇の目ミシを引き合いに出
しています。言い訳が通るか通らな
いかは別として、言い分のあった役
員でさえこれだけ厳しいことを言わ
れている。今、現役の役員に何の材
料ありますかと、それが次の 15 番
のスライドです。
平成 18、19、23 年と、国を挙げ
ての取組になっていますねと。さら
にそれは、国の中の動きだけではあ
りません。平成 23 年のオバマ大統
領の発表で、「国際的組織犯罪に対
する戦略」に関する大統領令の中の
4 つの国際犯罪組織のうちの 1 つと
して、政府文書の中にこれらのロー
マ 字 が 載 っ て い ま す 。 「 YAKUZA
(BORYOKUDAN,GOKUDO)」が載って
いるのです。世界に何カ国あるかと
いうと、200 カ国ぐらいあります。
200 のうちのとんでもない犯罪組織
がある国の 4 つに日本は名指しされ
てしまっているわけです。国内の動
きだけではなく、もう、グローバル
な視点から見ても、やくざが必要悪
などというのは、いかに時代錯誤な
発言かということがよく分かると思
います。
司法のスタンスも非常に厳しいで
す。16 番のスライドです。25 年 3
月大阪高裁、「現在の日本社会にお
いて、企業活動からの反社勢力を排
除しようという要請は強い」。まず
ここでちょっと切ってください。
「企業活動からの反社勢力の排除」
というのは社会の要請だと言ってい
ます。そして次のロジック、「特に
金融取引の分野では、反社勢力の活
動への資金的支援となることを防止
するためにも、反社勢力との関係遮
断が強く求められている」。つまり、
反社排除は社会の要請で、特に金融
機関というのはより高いものが求め
られますよ、というロジックです。
次の東京高裁も裁判所は司法独立
ですから示し合せなんか全然ないの
ですけれども、大阪高裁と全く同じ
ロジックを言っています。「企業活
動からの反社勢力排除の要請は、現
代における国民生活上の社会的な課
題といってよく」、さっきと同じ話
です。社会的な要請というのを今度
は社会的な課題と言っています。
「特に反社勢力に対する資金支援を
封ずるため、金融機関については」
となっており、ロジックは一緒です。
16
社会の要請ですよ、社会の課題です
よ、特に金融機関の責任は重いよ、
というロジックです。
私は個別の金融機関だけではなく
て地銀研修所とか信金研修所とか、
そういった方々が集まるところでも
お話ししているのですけれども、こ
の二つの判決はご紹介して、ぜひ支
店単位で支店長が朝礼のときにこれ
はみんなで読み上げてほしい、そう
いう判決だと、金融機関の方は特に
この辺に注意しなくてはいけません
よと言っています。皆さんの加盟企
業においても、もちろん金融機関に
はこういうことをきちんと伝えてほ
しいですし、金融機関でなくとも前
段の部分は当てはまるわけですから、
社会的な要請、社会的な課題。暴追
センターが頑張ろうと言っているか
らやっているという発想だったら間
違っていますよという話です。これ
は社会の要請であり、社会の課題で
あり、また司法も判決文の中にきち
んと書いているということです。
次はちょっと毛色の変わったお話
ですけれども、これは刑事事件です。
普通預金通帳詐取事件について、控
訴審において憲法問題を弁護人が持
ち出したのです。営業の自由と生存
権が問題にされまして、裁判所は銀
行口座一つを取って憲法問題だとい
うのは筋違いだというようなことは
言いませんでした。確かに現代の取
引社会において口座を持つ重要性と
いうことは分かると。確かに憲法問
題にもなるような話だけれども、そ
の不利益はやくざをやめれば容易に
回避できるでしょうと。やめないの
だったらその不利益は甘受しなさい。
不利益は不利益だけど、やめれば回
避できるのだから、憲法の趣旨には
適合するという判決を出しました。
この判決はやくざに言わせると、
全然社会の実情に合致していないと
いうことです。というのは、やめた
ら容易に回避できるというけれど、
やめても 5 年間は何もできないでし
ょう、ということを彼らは言います。
これは正しい指摘だと思います。そ
ういう意味で、きょうは更生支援の
話も出ておりますけれども、やめた
ら容易に回避できるというのが社会
実態になかったら、この判決を支え
ている基礎が崩れていくことにもな
りかねませんので、そういう意味で、
今、関係遮断はもちろん大事な課題
ですけれども、それ一辺倒からそろ
そろ更生ということに多くの企業は
気づいていかないといけないのかな
と思います。
私は非常に僭越ですけれども、自
分が書いた本にサインをしてくれと
言われたときに一言添えるのに何と
書くかというと、「遮断の次なる課
題は更生」というふうに書いていま
す。
実際問題、口座の解消の時やくざ
の組長と話をしていたのですけれど
も、「俺とちょっと別組織なんだけ
ど、そこの幹部のやつがやめてユン
ボの操作の資格を取って親戚のやっ
ている建設会社に就職して、そこで
毎日ユンボを操作している。3 カ月
前に会ったところ、汗を流して働く
17
のは気持ちいいぞとうれしそうに言
っていた。俺も子供のこともあるし、
やくざをこれからずっとやっていく
というのはどうかなと思っていた中
で、彼の『汗を流して働くのは本当
に気持ちいいものだ』というのを聞
いたときに心が揺らいだ」と。とこ
ろがその幹部がしばらくして電話を
かけてきて、「会社を辞めることに
なった」と言ってきた。あれだけや
りがいを感じてやっていたのにどう
して辞めるのかと聞くと、実はうち
の親戚の会社のメインバンクが取引
について見直しをしたいという話が
きた。間違いなく俺のことだなと思
ったから、自分から身を引いたとい
うようなことを聞いたと言っていま
した。
私は金融機関の仕事を中心として
おりますが、あの業界はいいところ
もたくさんあるんです。コンプライ
アンスをきちんとやっていこうとい
う意識もちゃんとありますけれども、
ちょっと過敏に反応し過ぎるところ
があるのかなと思います。
ぜひとも加盟企業で金融をお持ち
のところは、先ほども私は、兵庫の
方の発表を聞いたときに、47 の賛
助事業者があると聞いたときに、金
融機関からいじめられたりしている
ところはないのですかと、心の中で
質問しました。結局、さっきの司法
判断で言うと、日本社会の要請であ
り課題であり、それをとりわけ金融
機関は高い意識を持ってきちんと受
け止めなくていけないと言われてい
るところなのですけれども、そこが、
真面目にやろうとしている元やくざ
の足を結果的に引っ張っているとい
うような状況が生まれてしまっては
本末転倒かなと思いますので、ぜひ、
ぜひ、加盟している金融機関の皆様
には、そうやって就職支援に一生懸
命やっている企業の足を引っ張るよ
うなことは絶対しないでくれ、とい
うことを言っていただければと思い
ます。
私も一弁護士として、いろいろな
ところで言っていこうとは思います
けれども、ぜひともトータルでの暴
排を考えていただきたいと思います。
最後のスライドです。暴力団員の
本音。口座取引解消についてはほと
んどもう諦めムードです。一つ頑張
っているのは、生活口座は何とかな
らないのかということはよく言われ
ます。
これは私が数年前に、当時の暴力
排除対策官と金融庁の検査局の検査
指導官の方と、弁護士さんが司会で、
あとは銀行の役員さんと座談会をや
りまして、銀行向けの雑誌の巻頭で
座談会を組まれて、そこで金融庁の
方が生活口座はよほどの事情がない
限り、例えば子供の学校費用等の場
合を除きアウトだということを発言
されて、それが活字になって生活口
座も原則アウトみたいな流れが今、
生まれています。
全国銀行協会の平野会長が昨年 6
月の記者会見で、やはり今後の課題
の一つとして生活口座をどう扱うか
という問題を指摘していらっしゃい
ました。先ほどの対策官のお話から
18
も生活口座については現在の対応の
あり方が正しいのかなという問題意
識を私はちょっと受け止めたのです
けれども、ここについてはこれから
の課題として、やはり生きている限
り人権はありますので、こういうこ
とは考えていかなくてはと思います。
それから家族へしめしがつかない。
これも人間としては結構大事なとこ
ろで、高校生の息子や娘に「お父さ
んは口座も持てない人なんだ」と思
われるのはつらいようです。今のと
ころ金融庁が生活口座はオーケーと
言っていませんから、私は納得ずく
で解消のほうに持っていっておりま
すけれども、今後の課題かと思いま
す。
それから、これは本には書けなか
ったことですけれども、「融資取引
解消」。みずほのことを契機に、融
資取引をどうするかということが課
題になりました。実は清野さんが対
策官だった時代に私は清野さんと話
をしておりまして、リスクベースで
考えないといけませんから、金融取
引の中で一番リスクが高いのは融資
だとおっしゃっていました。それで
それに準ずるのが当座取引だとおっ
しゃっていました。普通預金はリス
クベースで考えたときには、そんな
上位に上がるものではないのですが、
何しろ件数が多いものですから、ど
この金融機関も普通預金口座の取引
の解消からスタートしていたのです。
ところが、みずほのことで融資がま
な板に載りましたので、本筋にのっ
とって融資取引というのはリスクベ
ースで考えたときにこれは彼らへの
利益供与、資金提供となる可能性が
高いわけですから、きちんと手を付
けようという流れが生まれたこと、
これは結構なことなのですけれども、
どうすればいいのだというところで、
どこの金融機関も悩んでいます。
私もどうすればいいのだと思って
いました。特に暴排条項が入ってか
ら、安穏と融資をしている金融機関
などほとんどありませんから、問題
になるのは暴排条項が入っていない
融資です。こんなものはどうすれば
いいだろうと思っていましたけれど
も、案ずるより産むがやすしで、と
にかく折衝してみようと思って折衝
したところ、これができるのです。
なぜできるかというと、例えば住
宅ローンについてお話しすると、彼
らは勝手に競売されると思ってびび
っているのです。つまり暴排条項導
入後のローンだったら、属性がバツ
と分かったら一括請求して払えなか
ったら競売にかけますよと言えるわ
けです。ところが暴排条項導入前は
支払いが滞っていなかったら一括請
求できません。一括請求ができない
ということは競売にもつながらない
わけです。
私は弁護士ですからうそはつきま
せんけれども、彼らは応接に入って
くるなりものすごく緊張した面持ち
で、第一声としてこういうことを言
うわけです。「おい、弁護士さん。
競売とか物騒なことを考えてるんじ
ゃねえだろうな」というわけです。
そこでもし私が「競売をやろうと思
19
ったらできるんですけど、今日はそ
んな話じゃないですよ」と言ったら
うそですよね。やろうと思ってもで
きませんから。だから私はその前段
だけ端折ります。その美しき誤解は
彼らに誤解として残しておいたまま、
「いや、きょうはそういうお話では
ございません。もうローンを組んで
7 年、毎月毎月きちんと返済いただ
き、年末には一時金で一括で入れて
いただいておりますから、むしろ本
当に今までの返済にはお礼を申し上
げたいところです。ただ、みずほの
件もありますので今の約定返済をこ
のまま漫然と受け続けるということ
もいろいろ差しさわりがあるので
す」という話をすると、彼らは必至
でできる限りの案を掲げます。特に
子供がいるやくざは一生懸命掲げま
す。なぜかというと不動産に暴排条
項が入っているから、競売にかけら
れたら、橋の下か誰かの厄介になる
しかないのです。だから、今持って
いる家は何とかしてローンを払いき
って終のすみ家にしたいと思ってい
るわけです。ですから皆さん、競売
にかけられるのではないかと本当に
険しい顔でやってきて、私が「いえ
いえ、きょうはそういうお話ではご
ざいません」という話をしたら、み
んなほっとした顔になるわけです。
「ただ、みずほの件もありますので、
銀行としては融資取引について残が
15 年ありますけれど、これを少し
でも短縮すること、これも一つの解
消の在り方だと思いますので、でき
れば来月全部返していただきたいで
す。でも、それは無茶な話だと分か
っておりますので、できる限りのご
努力をいただきたい」とやると、か
なり努力した提案を持ってきます。
それから事業性ローンの引揚げで
す。これも要は先ほどの山口組の若
頭の宅見が言った、これから表社会
で生きていかなければいけない。税
金を払える仕事で生きていかなけれ
ばいけないというところで立てた表
の会社というのは、彼らにとってや
はり大事なのです。つまり、みかじ
め料とかではもう食っていけなくな
ってしまったものですから、表で、
追加融資は出ないにしても、何とか
この仕事を回して食い扶持をつなご
うと考えているわけです。したがっ
て、大体代表取締役にやくざが登記
簿謄本に載ったりするケースはまず
ありませんので、傀儡の社長を立て
ていて、傀儡の社長にちょっと話が
あるというふうにやると、裏で仕切
っているやくざがくっついて出てき
たりするわけです。それで私も今の
ローンについて一括がベストですけ
れども、それができないとしても、
早期回収に向けて努力をお願いした
いと言うと、「いやいや、道すがら
社長と……」、傀儡の社長ですが
「社長とも話していたんだけれど、
あまり金融機関がうるさいことを言
うようだったら、もう、たたんじゃ
うかという話をしていたんだよ。た
たんで清算となったら、そんな増額
返済どころの話じゃねえだろう。も
う雀の涙だよ。どっちがいいんだ
よ」ということをおっしゃいました。
20
私はそれに対して、実情を知って
いますから、「何をおっしゃいます
か。今のこの事業を何とか、追加が
出ないにしても回していかないと、
もう裏街道での上がりというのはこ
れから見込めないのだから、そんな
たたむだなんだのは、そういうお話
をするのではなくて、もっときちん
と現実に即した話をやりましょう」
という話をしたら、「何だ、そこま
で分かっているのか」ということで、
これまたダブルの返済をするとか、
ダブルというのは例えば月 15 万で
払っていたら、これからは 30 万返
すというのを、もちろん即日とは言
いませんけれども、「やっぱりここ
まで頑張ったという提案をいただけ
ませんか」と。「あなたの財布の中
身を私が知っているわけではありま
せんから、いくら返せというような
ことを言う立場ではないけれども、
この方はここまで頑張っているんだ
なというところはやはり示していた
だきたいですね」と言うと、一生懸
命返してきます。
これが最後の話ですけれども、口
座解除のお願いの通知を出したとき
に、うちの若い弁護士がやくざにこ
う聞かれたのです。「弁護士さん、
これ、口座解約に応じなかったら逮
捕されるのですか」と聞かれたので
す。彼は何と言ったかというと、
「○○さんの口座は暴排条項導入前
の口座ですから、これは逮捕される
とかそういうことはありません」と
言うから、電話を切ってから「おま
えなあ、向こうがせっかく美しい誤
解をしているのに、何でその誤解を
解くんだ。うちは取り締り当局じゃ
ないから逮捕するとかしないとか、
そういったことはちょっと分かりか
ねますが、と言っておけばいいじゃ
ないか」と。もし暴排条項導入後な
ら逮捕されていますよね、導入前だ
から逮捕されませんからご安心くだ
さいなんて言ったら、条項導入前の
やつだったら逮捕されないんだって、
すぐやくざの世界で回っちゃうだろ
う、という話をしました。
結構勉強しているようでもずぼら
なところがありますので、そこは、
こちらからうそを仕掛けることはや
ってはいけないと思いますけれども、
上手にそこの誤解を活用しながら取
引解消に向けて頑張ろうかなと思っ
てやっております。
若干時間が延びましたけれども、
ありがとうございました。
21
Fly UP