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「理解しようとする気持ち」(PDF形式 60 キロバイト)
理解しようとする気持ち 長岡市立宮内中学校 1 年 田中旭 僕は、今年の七月に新潟から佐渡へ往復八十キロメートルの遠泳に挑戦しました。この プロジェクトは、ダウン症という障害のある中学生の女の子と、自閉症という障害のある 中学生の男の子も参加していました。 僕達が初めて出会ったのは、約二年前のプロジェクトの式典でした。僕はその時、 「初め て会う人達だし、仲良くなれるだろうか。」という不安もあり、緊張をしていました。しか し、会場に着くとダウン症の女の子は周りの人に自分から話しかけ、時々歌ったり、踊っ たりしていました。一方、自閉症の男の子は、周りの様子を見て、ずっとなにかをつぶや いているように見えました。その時、僕には何かおびえているように見えました。もしか したら僕と同じように緊張していたのかもしれません。結局初めて会った日は、あいさつ くらいしかできませんでした。 次に会ったのは遠泳の練習でした。ダウン症の女の子はまだ二十五メートルを泳ぐこと ができませんでした。数メートル泳ぐごとに休みながらやっと息つぎをしてやっと進んで いるかんじでした。プールからあがるときも、大人に手を引っ張ってもらっていました。 ダウン症の人は筋力がとても弱く、体力もあまりないということをこの時初めて知りまし た。 自閉症の男の子は、体力もありみんなと一緒に泳いでいました。 「次は何をするの?」 」 「何 時に終わるの?」と周りの人に何度も聞いていました。予定が変わったりすると急に怒り 出してしまいました。僕はすこしおどろきましたが、一つのことにこだわりを持ったり、 急な出来事や集団行動が苦手だったりするところが自閉症の人の特徴なのだと周りの人か ら教えてもらいました。 その後、約二年間この二人と一緒に練習をしてきて、練習以外でもずいぶんと仲良くな りました。ダウン症の女の子は、泳ぐ練習の他に筋力トレーニングも積み重ね、休まずに 何百メートルも泳げるようになりました。自閉症の男の子は、初めの頃のおびえた様子は すっかりなくなり、会えばすぐに笑顔で話せるようになりました。 遠泳本番では、みんなでサポートをしながら完泳することができました。サポートとい っても僕がしたことは「次は○○をするよ」 「もうすぐ○○だよ」と声をかけることと、 「が んばれ!」と彼らを応援することでした。彼らには障害があるかもしれないけれど少しの 手助けと彼らを理解する気持ちがあれば健常者と何も変わらない、と知りました。大切な のは、障害者を一人の人間として理解しようとする気持ちなのだと、この遠泳を通して僕 は学びました。 遠泳は終わったけれど、これからも彼らと交流を深めていきたいです。そして自閉症の 男の子の夢である「パラリンピック出場」を応援したいと思っています。