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1 宣教師方のお働きを心に留めて 中高部聖書科 高橋貞二郎 『東洋英和

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1 宣教師方のお働きを心に留めて 中高部聖書科 高橋貞二郎 『東洋英和
宣教師方のお働きを心に留めて
中高部聖書科
高橋貞二郎
『東洋英和女学院百年史』
東洋英和女学院百年史』を通して改
して改めて確認
めて確認したこと
確認したこと
この墓前礼拝で話をさせていただくために、先日、久しぶりに『百年史』
を開く機会を与えられました。そしてカートメル先生が、どのような思い
でこの学校を始められたのか、この学校の出発点ともいうべきことを改め
て確認する事ができました。少し長い引用になるかもしれませんが、学院
の設立の精神を確認すると言う意味では、とても重要な事なので、その部
分を読ませていただきます。
「来日後の活動を通して、カートメルは、日本のような異教的社会での
キリスト教伝道にとって、教育事業がきわめて重要である事を知った。彼
女の考えによれば、キリスト教の集会に一度でも出席した子ども 特に女
子に、継続してキリスト教的影響を与えるためには、婦人宣教師の監督の
下に、日本人キリスト教教師を雇い入れて、一つの学校を開く事が必要で
あった。そのような学校ができれば、日本人教師に生徒の家庭を訪問させ
て、生徒の継続的出席をすすめる事ができ、それと同時に、生徒の父母と
接触して父母達をも教会に近づける事が可能となるわけである。
」
(『東洋英和女学院百年史』より)
この言葉からカートメル先生が教育事業を始めたのは、キリスト伝道の
為であった事がわかります。つまり、東洋英和女学院の出発点は、キリス
ト教伝道であるという事です。「キリスト教伝道の為に東洋英和がある」
この思いは、カートメル先生から次の宣教師の先生方にたすきが渡されて
も変わる事なく受け継がれてきました。
それもそのはずです。カートメル先生を始め、次々に東洋英和に宣教師
を送った母体は、カナダ・メソジスト教会婦人伝道会社だったからです。
このカナダ・メソジスト教会婦人伝道会社の設立の精神は、マルコによる
福音書 16 章 15 節の
「全世界に行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えなさい」
というみ言葉です。
カートメル先生も次のスペンサー先生、ブラックモア先生も、皆そのみ
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言葉に応え、実践すべく日本に来られました。そして、東洋英和女学校の
校長として、使命を全うされていかれました。
私たち東洋英和に連なる者は、宣教師墓前礼拝において、宣教師の方々
がキリスト教伝道という尊い使命をもって来日され、働かれてこられた事
を改めて心に留めなければならないのではないかと思います。
中高部の
中高部の校舎に
校舎に展示された
展示されたパネル
されたパネル
ご存知の方も多いと思いますが、中高部では今年の創立記念日に向けて
今までに無い新しい企画をいたしました。それは、校長をなさって下さっ
た宣教師の先生方のパネルを作成してご略歴、先生方のお言葉、エピソー
ドなどを紹介するというものです。そのようなパネルを展示する事によっ
て、式や礼拝のお話だけで無く、視覚的にも建学の精神を受け継ぐ工夫を
したいと思って企画し実施いたしました。ただスペースに限りもあります
ので、今回は特に 5 人の宣教師の先生方を紹介させていただきました。そ
の 5 人とは、カートメル先生、スペンサー先生、ブラックモア先生、クレ
イグ先生、そしてハミルトン先生です。
私は、この中のクレイグ先生のパネル作成を担当させていただきました。
中高部の大講堂は、正式には「新マーガレット・クレイグ記念講堂」と申
します。そこから分かりますように、クレイグ先生のお名前は、私達中高
部の職員にとってはなじみ深いものがあります。しかし、先生がどのよう
なお働きをされたのかは、あまり良く知られておりません。私も、今回パ
ネルを作成するにあたって、初めて知った事も多くありました。その中の
一つをご紹介したいと思います。
クレイグ先生は、『五十年史』の言葉を借りれば「愛と熱と誠とをもっ
て生徒の指導に満腔の力を注がれた」方でした。その上、とてもお優しい
方で生徒達からは「慈悲深い母上」「理想の校長」とも言われていたよう
です。
そんなクレイグ先生には、熱烈なる信仰があり、伝道の姿勢も、カート
メル先生と同じように貫かれていました。
当時、東洋英和女学校は土曜日がお休みで、日曜日は出校日でした。出
校日と言っても、平日とはガラリと変わった別のカリキュラムがありまし
て、それはまったく「主の日」と呼ばれるに相応しいものだったそうです。
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そのプログラムの中でも生徒が楽しみにしていたのは、夕食前の 30 分間
だったそうです。みんなで講堂に集り、好きな讃美歌を選んで歌いました。
この時、ピアニストとなって讃美歌をリードしたのがクレイグ先生でした。
先生自らいつも神様を讃美する姿勢を示されたのでした。
今日は時間の関係で、一つしかエピソードをご紹介できない事が残念で
すが、その他、日頃の言葉によって、また態度によって信仰の影響と感化
を生徒達に及ぼしたと言われます。是非、中高部のパネルをご覧いただけ
ると幸いです。
拝読した
拝読した聖句
した聖句について
聖句について
ところで、今日、吾妻先生にお読みいただいた聖句には次のように書い
てありました。
終わりに、兄弟たち、すべて真実なこと、すべて気高いこと、すべて正し
いこと、すべて清いこと、すべて愛すべきこと、すべて名誉なことを、ま
た、徳や称賛に値することがあれば、それを心に留めなさい。わたしか
ら学んだこと、受けたこと、わたしについて聞いた事、見たことを実行し
なさい。そうすれば、平和の神はあなたがたと共におられます。
(フィリピの信徒への手紙 4 章 8~9 節)
この手紙は、使徒パウロが書いたものと言われていますが、パウロは、
前半の 8 節で倫理的に優れたものがあれば、それを心に留めるようにと伝
えています。また、9 節では自分がしてきた事を受け継いで実行してほし
いと伝えています。パウロがしてきた事、それは語弊を恐れず一言で言え
ば、愛の業に励みつつ、キリストの福音を宣べ伝えてきた事に他なりませ
ん。
私は、この聖句を読むときに、まさに宣教師の先生方が、これを実践さ
れてこられたと思えてなりません。そして、今、私たちも各々の生き方を
通して、宣教師方のようにこの聖句を実践する事が求められているのでは
ないでしょうか。
夢を持って
「愛の業に励みつつ」と言う言葉は、多くの方に受け入れてもらえるの
ではないかと思います。しかし、そのあとの「福音を宣べ伝える」という
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事になりますと、難しさを覚えられる方もいらっしゃるのではないでしょ
うか。確かに、クリスチャン人口が 1 パーセントに満たない日本社会にお
いてキリストの福音を宣べ伝える事は困難とも思えます。しかし、これこ
そカートメル先生を始め、宣教師の先生方が命をかけて日本に来られ、取
り組まれてこられたお働きでもあります。
先日、アメリカでオバマ氏が大統領になった知らせが日本中に告げられ
ました。あの直後、多くのテレビ番組や新聞で、ワシントン大行進で語っ
たキング牧師の「夢」が今実現したと報道されました。私もそのように思
った一人でした。
ところで、
1963 年のワシントン大行進で語られたキング牧師の演説は、
次のように始められました。
「友よ、私は今日、みなさんに申し上げたい。今日も明日も色々な困難
や挫折に直面しているが、それでもなお私には夢がある。」※
そして、彼は有名な演説を続けていくのです。
これは、キリスト教伝道でも言える事だと思います。東洋英和女学院の
歩みを通して愛の業、教育の業に励みつつ福音を宣べ伝える。この事に関
しては、今日も明日も色々な困難や挫折に直面すると思います。しかし、
それでもなお私たちは、愛の業、教育の業に励みつつ福音を宣べ伝える学
院となるように夢を持ち続けたいと思います。そして、神の栄光を現す学
院を共に築いてまいりたいと思うのです。
ご在天の父なる神様
カートメル先生をはじめとして、多くの宣教師の先生方を日本へ遣わし
てくださり心から御礼申し上げます。また、あなたの御名をほめたたえま
す。この墓前礼拝に行う事によって、宣教師の先生方のお働きを改めて心
に留める事が出来ました。どうか、私達が先生方の善き模範に習って、い
よいよ篤くあなたに仕えていく事が出来ますように導いて下さい。
東洋英和女学院は、少子化をはじめとしてさまざまな困難に直面してい
ます。しかし、その中にあっても主にある夢と希望を持って、互いに力を
合わせ励まし合って歩み、あなたのご栄光を現していく事ができますよう
に私達を整えて下さい。
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この祈りを学院の主であられるイエス・キリストの御名によって御前に
おささげ致します。
アーメン
※ 『キング牧師の言葉』コレッタ・スコット・キング編、
梶原寿・石井美恵子訳 日本キリスト教団出版局
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