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SRT2013 報告書 - 北東アジア学生ラウンドテーブル

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SRT2013 報告書 - 北東アジア学生ラウンドテーブル
北東アジア学生ラウンドテーブル 2013
実施報告書
開催場所: 北京大学
2013 年 8 月 4 日~8 月 12 日
目次
1.
はじめに
2.
「SRT2013」の概要
3.
「SRT2013」の報告
4.
「SRT2013」の成果
5.
添付資料
(1) SRT の目的と沿革
(2) SRT2013 プログラム詳細
(3) 円卓会議詳細
(4) 企業訪問詳細
(5) 「SRT の将来」詳細
(6) 参加者名簿一覧
(7) 日程
(8) アンケート結果
(9) 写真
I. はじめに
北東アジア学生ラウンドテーブル 2013(以下 SRT2013)は 2013 年 8 月 4 日から 12 日までの
間、北京大学にて、Mainland China 19 名、Japan 22 名、Korea 14 名、Mongolia 7 名、Taiwan
4 名,Russia 2 名からの計 68 名の参加で開催された。(参加者詳細は添付資料 6 参照) 本報
告書は「北東アジア学生ラウンドテーブル 2013」の実施内容をとりまとめたものである。
SRT2013 では、前回のソウル大学校での Mainland China、Japan、Korea、Mongolia、Taiwan
の5ヶ国・地域会合をさらに発展させ、Russia を含めた初の全6ヶ国・地域がそろった記
念すべき会合となった。しかしながら、開催までの道のりは容易なものではなかった。初
の6ヶ国・地域開催を行うにあたっては、規模が大幅に拡大したため、参加国間での調整
に様々な困難に直面した。しかし、インターネット電話等を通し、各国が連携することで、
参加者の募集や選定、SRT2013 のプログラム作成や円卓会議の議題の絞込み等を行うことが
できた。おかげで互いの信頼醸成とネットワークの強化が図られたと考える。また、初の
中国での開催であったが、Mainland China の綿密な準備のおかげでほぼ当初の予定通りの
有意義な議論ができただけでなく、中国国家博物館、紫禁城、万里の長城などへのフィー
ルドトリップを通して中国の伝統や歴史も学ぶことができた。
今回の開催には、各方面より多大なご支援とご協力を賜った。開催にご助成を頂いた「三
菱 UFJ 国際財団」、「双日国際交流財団」、「東華教育文化交流財団」、「かめのり財団」、
「国際交流基金」、また本 SRT2013 の趣旨に賛同してご協賛を頂いた「秋田印刷製本株式
会社」、「秋田海陸運送株式会社」、「秋田いすゞ自動車」、「秋田活版印刷」、「新政
酒造」、「友愛ビルサービス」、 「秋田銀行」、「秋田清酒株式会社」、「秋田東北商事」、
「株式会社那波商店」の各位・各団体様には心より御礼を申し上げたい。こうしたご支援、
ご協力なしでは、学生主体の充実した SRT2013 の成功はあり得なかった。最後に、中国・
北京大学にてプログラムの運営に尽力した北京大学のメンバーの方々、今回会合に参加す
るために遠く中国まで足を運んでくれた参加学生、さらには出席はされなかったが準備ま
で種々ご尽力頂いた方々に対し、この場を借りて改めて厚く御礼を申し上げたい。
2013 年 8 月 19 日
北東アジア学生ラウンドテーブル
代表 和田智志
-1-
Ⅱ.「SRT2013」の概要
1. 「SRT2013」の方向性とねらい
SRT2013 における方向性とねらいとして、以下の4つを定めた。
1). 初の中国での開催とその意義
SRT2012 の北京大学からの参加者との協力のもとで、中国の学生と日本の学生によるが共
同運営で、SRT が発足して以来初の中国での開催が実現される。現在、領土問題や歴史認
識問題をめぐり日中の国家関係は悪化する傾向にあるが、そのような時だからこそ、将来
を担う中国の学生と日本の学生が協力し合い、共に一つの国際会議の運営を行っていくこ
とは、草の根レベルでの日中関係向上という点において大変意義がある。
2). 6ヶ国・地域開催
今回は極東ロシアからの学生の参加により、SRT 初の6ヶ国・地域開催が達成されること
になる。我々の定義する北東アジア全6ヶ国・地域の初の全対象国参加により、より深み
のある議論の展開を目指す。しかしその一方で、人数的に大規模であり、今までよりも運
営に困難を要する開催となることが見込まれるため、SRT 日本が開催国である北京大学学
生と充分に連携をとりながら綿密な計画を立て、運営を着実に進めることにする。
3). 分科会形式の導入と円卓会議の深化
円卓会議が大規模になった場合、議論に参加できない参加者が出てしまうとの過去の反省
を踏まえ、今回より全体を5つの分科会に分け、それぞれ議論を交わすという形式を取る。
これにより、参加者に発言のより多くの機会を提供すると共に、議論の更なる活発化を図
る。またその際、それぞれの国・地域間が相互に抱える歴史認識や政治的関係などを含め
た複雑で繊細な問題を十分に理解し、忌憚無く率直な意見交換が行えるように、主宰者お
よび運営者がリーダーシップを発揮し円滑な議論に導く。
4).企業訪問の導入
円卓会議での議論の結果をより現実味のあるものとするため、分科会ごとに議題に関連す
る企業を訪問する機会を設けることとする。これにより、企業の活動や目的、実際に働く
人の声を聞くことができ、会議の内容をより学術的で実現可能なものへと導くと共に、参
加者の中国の社会に対する理解を深めることにも繋がると期待できる。
-2-
2. 本開催のテーマ
今回 SRT2013 のテーマを次の通り決定した。なお、このテーマ決定に関しては、参加
国メンバーとスカイプなどを通して、協議をした。
「北東アジアが抱える問題~国家としての解決策と若者の使命~」
また、各分科会の議題は次の通りとした。
農業分科会
①「どのようにして日本と韓国の農作物が国際市場で生き残るか」
②「どのようにして中国とモンゴルの農業従事者の厳しい現状を打破するか」
文化分科会
「伝統文化の保存とソフトパワー」
経済分科会
「北京市内の経済格差」
教育分科会
「試験中心の教育制度」
環境・エネルギー分科会
「北東アジア各国・地域のポスト京都議定書における立場」
3. 主な内容と日程
8月4日
北京到着
8月5日
開会式
8月6日
円卓会議
8月7日
円卓会議・企業訪問
8月8日
フィールドトリップ
8月9日
円卓会議
8 月 10 日
フィールドトリップ
8 月 11 日
閉会式
8 月 12 日
北京空港にて解散
-3-
4. 参加大学と参加者
Mainland China
北京大学
13 名
吉林大学
6名
Korea
ソウル大学校
14 名
Mongolia
モンゴル国立大学
7名
国立台湾大学
3名
国立政治大学
1名
極東連邦大学
2名
国際教養大学
17 名
Taiwan
Russia
Japan
立教大学
1 名(欠席)
慶応義塾大学
1名
獨協大学
1名
立命館アジア太平洋大学
1名
共愛学園前橋国際大学
1名
計 68 名
-4-
Ⅲ.「SRT2013」の報告
1.内容
本開催は 2013 年 8 月 4 日から 8 月 12 日までの9日間にわたって中国・北京大学を会場と
して開催された。開催第1日目には開会式やアイスブレイキング、参加者全員による北京
大学キャンパスツアーを行い、仲間との交流を図った。その後の円卓会議は、第2日目、
3日目、5日目の3日間に渡り行われた。各国の学生が農業、文化、経済、教育、環境・
エネルギーの5つの分科会に分かれ、北東アジアの抱える問題に対する国家としての解決
策と若者が出来る解決策について熱心な議論を交わした。第3日目に行われた企業訪問で
は、各分科会の議論に関連した北京市内の企業および博物館を訪れ、各テーマについての
知見を広げた。第4日目、第6日目には再び全員でフィールドトリップを行った。頤和園、
紫禁城、万里の長城、天安門広場、国立博物館を訪れ、中国の歴史、文化への理解を深め、
南鑼鼓巷、后海では生の中国を肌で感じることが出来た。会議最終日には各分科会での議
論の結果をお互いに報告し合い、また各国の視点から SRT の今後の活動展開について討論
を行い、持続的な会議開催の方針を決定した。
2.円卓会議
本開催の「北東アジアの抱える問題~国家としての解決策と若者の使命~」というテーマ
のもと Mainland China、Japan、Korea、Mongolia、Taiwan、Russia の6カ国・地域の学
生が集まり、農業、文化、経済、教育、環境・エネルギーの5つの分科会に分かれ、議論
を展開した。分科会ごとで国家としての解決策と、若者が出来る解決策を議論した。各分
科会は開催初日に全体に向けてサブトピックなどについての発表を行い、また開催最終日
には集大成として議論結果をまとめた発表を行った。
農業分科会
「議題」
①「どのようにして日本と韓国の農作物が国際市場で生き残るか」
②「どのようにして中国とモンゴルの農業従事者の厳しい現状を打破するか」
「国家としての解決策」
①日本は日本の米に様々な手段で付加価値を付け海外に売り出す。韓国は韓国の伝統食
品を、ポップカルチャーを利用して海外に売り出す。
②中国は農業従事者への金銭的支援を行い収入を向上させる。モンゴルは国内にスーパ
ーマーケットを作ることを促す。
「若者としての解決策」
①日本は大学において留学生に日本の米の良さを伝えるイベントを実施する。韓国はイ
ンターネットを通じて韓国の伝統商品にまつわる話を配信する。
②中国は農業学部の学生と協力し研修旅行や市場調査を実施する。モンゴルは農村地域
への研修旅行を行う。
-5-
文化分科会
「議題」
伝統文化の保存とソフトパワー
「国家としての解決策」
伝統文化に関する教育を充実させる。
「若者としての解決策」
各国の伝統文化を紹介し合う国際的なイベントを開催する。
経済分科会
「議題」
北京市内の経済格差
「国家としての解決策」
北京市中心部では、住宅を2件以上買う人への税金を上げ、また低所得者への住宅購入
の支援をする。北京市郊外では、地域活性化のための支援をする。
「若者としての解決策」
企業に対する学生コンサルテーション、また地域活性化のためのウェブサイトを立ち上
げる。
教育分科会
「議題」
試験中心の教育制度
「国家としての解決策」
批判的思考力を養う教育を充実させる。生徒の将来の展望に対する意識を高める教育を
充実させる。
「若者としての解決策」
高校生を対象にディベート大会や講座を開く。職業や専攻についての情報を提供するウ
ェブサイトを立ち上げる。
環境・エネルギー分科会
「議題」
北東アジア各国・地域のポスト京都議定書における立場
「国家としての解決策」
全北東アジア国・地域が温室効果ガス削減の義務を負うとし、環境政策としては補助金
や罰則、技術協力や教育を行う。
「若者としての解決策」
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環境保護に関する学生活動を地域社会と協力して行う。
3.フィールドトリップ
過去の中国の姿、現在の中国の姿というテーマのもと、次の箇所へのフィールドトリップ
を行った。
① 頤和園、
② 万里の長城、
③ 天安門広場、
④ 国家博物館等
⑤ 南鑼鼓巷、
⑥ 后海
4.企業訪問
それぞれの分野の知見を広げるために、分科会ごとに次の企業への訪問を行った。
① 鳳凰公社有機栽培牧場(農業分科会)
② 中国国際放送局(文化分科会)
③ 華夏銀行(経済分科会)
④ 北大青鳥集団(教育分科会)
⑤ 中国科学技術館(環境・エネルギー分科会)
-7-
Ⅳ.「SRT2013」の成果
1.初の中国開催の成功
本年度の SRT 本開催は昨年度から当団体内で企画されていた通り、中国北京市の北京大学
にて開催することに成功した。運営は、主に中国の学生と共に行われ、週に1度のスカイ
プ会議などで連絡をとり、順調に進めることが出来た。北京市の大気汚染問題や、鳥イン
フルエンザの流行などが懸念されたが、結果的には主な変更もなく無事に開催することが
できた。
2.中国の学生との友好関係の建設
また本開催全体を通して、政治的には日中間の関係が悪化する今日、日本と中国の大学生
が友好関係を築き、会話をしたことは、学術的議論と相互理解の達成を目標に掲げた SRT
でこそ達成できた大きな成果である。開催中も会議以外の食事などの場で、日本の学生と
中国の学生とが交流する機会が多く見られた。また、中には日中問題について深い議論を
交わすことができた学生もおり、利害関係を持たない学生会合ならではの機会を生かすこ
とができた。また、日本だけでなく、他の国の参加者も、中国の学生との交流や、歴史的
な場所へのフィールドトリップなどを通して、中国文化・歴史を学び、中国への友好関係
を構築することができた。
3.極東ロシア人学生を加えた6か国参加
今回の開催は昨年参加した開催国地域の学生、すなわち Mainland China、Japan、Korea、
Mongolia、Taiwan の学生に加えて、Russia の学生がはじめて参加した。参加国の多さか
ら議論の決定や各大学との連絡に労力を要したが、6ヶ国地域ならではの多種多様な価値
観の共有、相互理解と文化交流を行うことができた。また開催後も通年のように、開催参
加者がソーシャルネットワークサービスなどを通して、継続的な友好関係を保持している。
4.ウラジオストクでの支部設立、および来年度の極東ロシア開催の動き
今回初の極東ロシア人参加者の一人である極東連邦大学の学生が同大学での SRT 支部の設
立と来年度の同大学内での来年度開催に強い意志が示された。これは SRT の目標である極
東ロシアの大学での SRT 支部の設置への大きな動きである。
5.分科会形式での会議開催の成功
本年度の開催は、規模の拡大から、議題を5つに分け、5グループによる分科会形式を採
用した。これによりこれまでの会合に比べて、議論自体もより活発的に、また円滑に行わ
れた。最初と最後の各分科会からの発表を全体で集まって行うことにより、全参加者がそ
れぞれの分科会の議論内容についても一定の理解をする場が設けられた。また各分科会が
それぞれ議論の議題、目標を設定することにより自由度の高い、すなわち参加者がより議
-8-
論したい内容の議論を行うことができ、また議題によっては「国家」という枠組みにとら
われない議論を行うことができた。
6.テーマ「若者が出来ること」の議論
昨年度の開催は、実りのある議論が展開されたものの、今回会合ではこれまでの「北東ア
ジアの軍事問題」といった高度に政治的な議題をさけ、学生がより身近に感じ、かつ発信
できるテーマを選び、単に議論だけで終わることなく、議論の結果報告の一部にアクショ
ンプランを盛り込める様にした。
7.より活発な相互交流の場の提供
従来の SRT 開催では参加者が参加国同士で集まってしまうケースが一部見受けられたため、
今回の会合はホテルの部屋割りなどで工夫を凝らし、異なる国の大学の学生同士が身近に
宿泊するなどの配慮を行った。また北京市内の現地見学を行う際、参加者を国地域が混合
になるように3つのグループに分けた。このような企画面での配慮により、円卓会議の席
上以外の場においても、国家間の垣根を越えた学生の交流がより一層促進され、SRT の団
体目標のひとつである相互理解の更なる達成がされたと考えられる。
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Ⅴ. 添付資料
添付資料 1
SRT の目的と沿革
1.活動概要
北東アジア学生ラウンドテーブル(以下 SRT)は、 北東アジア各国・地域に存在する支部及
びその他の国・地域の学生が年1回をめどにホスト校に集まり学生会議やフィールドトリ
ップなどを行う本会合、またその準備期間において、開催に向けての各大学で行う勉強会
や企画・運営作業、さらに本会合終了後の自国での発表会や交流会などの活動を行ってい
る。本会合においては、政治・経済・社会・伝統・文化・環境・開発・教育など参加大学
の学生が互いに興味・関心のある国際的テーマについて、プレゼンテーションやディスカ
ッションなどを行う学生会議のほか、本会合開催地の実情視察や相互協力の可能性を探る
フィールドトリップ、さらには地域社会での文化交流や意見交換会などを行う。なお、こ
れらの活動は、準備作業での各大学での研究、インターネットでの下打ち合わせ、人的・
金銭面の企画・運営等を含め、学生が主体的かつ共同で行う。
2.団体目的
「北東アジアの学生が自ら開催する国際会議への参加を通して相互理解を達成する」
3.団体目標
本団体は前項に定める目的を達成するため、以下の5つを目標として定めている。
(ⅰ)参加学生による、忌憚のない率直な意見交換や議論、共同作業を通じて、互いの社会・
文化や国民性等を効果的に学び、真の相互理解を図ると共に、それらを通した自己研鑽
の機会を提供すること。
(ⅱ)この学生間の相互理解や学びの機会を捉え、地域社会との積極的な交流を図り、その
成果等を発信することで、裾野の広い国際化や互いの社会・文化等の理解に貢献するこ
と。
(ⅲ)これら活動の実践と経験の成果を、将来にわたって重層的に継承・発展させてゆくた
めのネットワークの構築や基盤の形成を図ること。
(ⅳ)国際慣習に則り共通言語を全て英語とすると共に、よりフォーマルな形式での議論や
プレゼンテーション等を通し、多国間による会議や議論運営等の国際舞台での実践能力
を高めること。
(ⅴ)日々の活動及び本会合とそれに関連する準備等を通じて、学生それぞれの知見や教養
の深化やスキルの向上を図り、将来の学習・研究課題の発見や国際的なキャリア開発へ
とつなげてゆくこと。
- 10 -
4.沿革
2007 年 12 月 20 日
国際教養大学にて北東アジア学生ラウンドテーブル設立
2008 年 7 月 31 日~8 月 11 日
国際教養大学にて「北東アジア学生ラウンドテーブル 2008」開催
2009 年 12 月 5 日~7 日
高麗大学にて「北東アジア学生ラウンドテーブル 2009」開催
2010 年 8 月 1 日~3 日
国際教養大学にて「北東アジア学生ラウンドテーブル 2010 夏開催」開催
2011 年 1 月 13 日~16 日
国際教養大学にて「北東アジア学生ラウンドテーブル 2011 冬開催」開催
2011 年 2 月
国際教養大学の提携校であるモンゴル国立大学・ソウル大学校に SRT の支部を設立
2011 年 8 月 17 日~8 月 23 日
モンゴル国立大学にて「北東アジア学生ラウンドテーブル 2011」開催
2012 年 1 月 12 日~1 月 15 日
国際教養大学にて「北東アジア学生ラウンドテーブル 2012 冬開催」開催
2012 年 8 月 7 日〜8 月 11 日
ソウル大学校にて「北東アジア学生ラウンドテーブル 2012」開催
2013 年 8 月 5 日~8 月 11 日
北京大学にて「北東アジア学生ラウンドテーブル 2013」開催
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添付資料2
SRT2013 プログラム詳細
8月4日
北京到着
8月5日
<開会式>
SRT2013 皮切りの活動として、参加者全員が一同に会し、開会式を行った。開会式では、
Mainland China、Japan、Mongolia、Korea、Taiwan、Russia それぞれが、代表挨拶とそれ
ぞれの国・地域を紹介する簡単なプレゼンを行った。プレゼンの内容は、それぞれの文化
や政治から、所属大学や各々のメンバーを紹介するものまで多岐にわたり、各チームの個
性がよく表れていた。特に、中国の北京大学についてのプレゼンは、後で行われたキャン
パスツアーに関連づけることができ、非常に興味深かった。
<オリエンテーション>
開催地である北京大学の学生がパワーポイントを用いて全日程のスケジュールの説明や、
開催用のしおり、北京大学の地図、T シャツ等の配布物の確認を行った。これにより、参
加者が本開催の大まかな流れや、注意事項などを確認することができた。
<親睦会>
参加者の仲を深めることを目的とし親睦会を行った。いくつかのグループに分かれ、自己
紹介をした後、全員で協力しグループ名を考えた。さらに、そのグループ名を他の参加者
に発表する際は、それぞれのグループが知恵を出し合い、合言葉やジェスチャーを交え工
夫を凝らしていた。また、ゲームを通してグループ対抗で競争を行った。ゲームはお互い
話したことのない参加者が気軽に話しかけあう良いきっかけとなり、次第にグループの団
結力も増していった。親睦会は初めて6か国・地域のメンバーが協力する場であったので、
最初はお互い緊張していたが、様々な形で交流を進めていく中でその緊張も解れた。以後
の分科会を円滑に実施するための良い滑り出しとなった。
<キャンパスツアー>
北京大学のキャンパスツアーを行った。3班に分かれて行動し、それぞれ北京大学参加者
の引率により学内の様々な施設や名所を巡った。アジア最大の蔵書数を誇る図書館をはじ
め、様々な研究施設を目にすることができた。その中には、日本の宗教家の研究を行って
いるものもあり、中国と日本の身近さを感じることができた。また、広いキャンパス内で
は、未名湖などの自然や、歴史的建築物である博雅塔を見学することもでき、北京大学の
雄大さと長い歴史を体感することができた。
- 12 -
8月6日
<発表>
参加者全員が1つの部屋に集まり分科会ごとに 20 分間のプレゼンテーションを行った。
非常に短い時間ではあったが、国・地域のチーム単位で事前に長い時間をかけて作成した
資料を使ってプレゼンテーションを行ったので、非常に内容の濃いものとなった。このプ
レゼンテーションは、各分科会に分かれて議論を始める前に、それぞれ決定したサブトピ
ックと、それに関する各国・地域の背景を全参加者に知ってもらうために設けた場である。
各自の意見や主張は分科会ごとに議論するが、その前段階として各分科会のサブトピック
と各国・地域の背景を、パワーポイントを用いて全参加者にシェアした。分科会ごとの発
表ではなく、全参加者が集まった場での発表の機会を設けたのは、分科会に分かれる前に
お互いのサブトピックについて知る機会を作り、最終日の各分科会の議論の結論に関する
プレゼンテーションに関連させるためである。これによって、各国・地域参加者と関わる
機会や、お互いの分科会について知る機会を作ることができ、分科会のデメリットである
他の分科会の理解が促進されないという点を補うことができた。予定より時間がかかって
しまった点については、来年度開催に向けて見直す必要があるが、本来の目的を果たせた
という点においては、大変有意義な時間であった。
<円卓会議1>
分科会ごとに分かれて円卓会議1が行われた。プレゼンテーションに対する質疑応答の後、
事前に各国・地域で用意してきたサジェスチョンシートをもとに、サブトピックについて
の主張を行った。サジェスチョンシートとは、各国地域の背景や内情を考慮し、サブトピ
ックについてのそれぞれの考える結論を書いたものである。これは各国地域の意見同士を
戦わせるためではなく、国際的な観点から各国地域としての立場や実状を十分に理解した
上で、それぞれベースとなる意見を考え、後の議論を円滑に進めていくためのものである。
さらに、適宜データや資料を用いて結論に至るまでの理由を説明し、非常に詳細にサジェ
スチョンシートを作成した。これは、参加者全員と情報をシェアできるが、時間的制約の
ある事前プレゼンテーションを補完する役目を持たせるためである。すぐ議論を始めるの
ではなく、お互いの国地域の背景や意見、主張を明確にすることで、議論の方向性が見え、
その軸に沿って議論を行うことができた。
<円卓会議2>
円卓会議1でシェアした意見に関して、さらに質問や提案を投げかけることで、サブトピ
ックに対するより良い結論を模索した。最終的に分科会で一つのまとまった結論を出すか、
それとも各国・地域ごとに結論を出すかで議論の方法は変わるが、基本的には、両者とも
他国地域の状況やアドバイスを元々の意見に加味することで、社会・国家単位の解決策を
考えた。なお、詳しい議論内容については、添付資料4「分科会議論内容」参照のこと。
- 13 -
8月7日
<企業訪問>
参加者は、文献からだけでは想像しにくい問題の現状をより深く理解するために、関連す
る施設を訪問し、様々な体験をした。それぞれの分科会が訪問した施設は以下のとおりで
ある。農業分科会は鳳凰公社有機栽培牧場を、文化分科会は中国国際放送局を、経済分科
会は華夏銀行を、教育分科会は北大青鳥集団を、環境・エネルギー分科会は中国科学技術
館を訪問した。各施設内を見学したり、そこで働く方のお話を伺ったりした。テーマに関
わる施設を訪問し、現場を見たり専門家にお話しを伺ったりすることで、問題の現状やそ
れに対する取組みを自身の目で見ることができ議論のテーマに関する知識を深めること
ができた。
<円卓会議3>
円卓会議2に引き続き、5つの分科会に分かれて議論が行われた。議題や目的はそれぞれ
の分科会で異なるが、まとめとなる円卓会議4に向け、徐々に議論を詰めていった。なお、
添付資料 3「円卓会議詳細」参照のこと。
<清華大学の学生との交流会>
参加者は北京市内のレストランで、清華大学の大学生と夕食を共にした。どの学生も豊富
な知識、勉強への高い目的意識を持っていたため、交流が生徒の刺激になった。特に印象
深かったのは、自国への貢献のための努力を惜しまない点だった。彼らの視野は自国の大
気汚染、人権、国境などの問題の解決策を考えるために、国内に留まらず外にも向けられ
ており、言語の習得、留学、海外での仕事など将来の計画がはっきりと立てられていた。
そのため、熱心に他国の問題や文化を尋ね、互いに語り合う充実した交流会となった。
8月8日
<フィールドトリップ>
‐頤和園‐
参加者は市内にある世界文化遺産の頤和園を観光した。頤和園は宮廷で使用する水源であ
ると同時に水運のための貯水池でもある。参加者は小団体に分かれ、大陸中国参加者から
説明を受けながら、荘厳な装飾や歴史的な建造物、高台の佛香閣からの景色を楽しんだ。
どこまでも続いて見える昆明湖の眺めは壮大で、西太后が好んだのにも納得がいく素晴ら
しさであった。
- 14 -
‐人民大会堂、紫禁城、景山公園‐
参加者は、全国人民代表大会などの議場として用いられる人民大会堂と、明清朝の旧王宮
である紫禁城に向かうグループ、それらを俯瞰できる景山公園に向かうグループの二手に
分かれ、観光をした。大陸中国参加者から、それぞれの建物の持つ意味について説明を受
けながら、清朝滅亡、辛亥革命、毛沢東による建国宣言など奥深い中国の歴史を学んだ。
紫禁城は広大で、歩き進めながら中国の歴史を感じることができた。
‐南鑼鼓巷‐
参加者は、商店や喫茶店が多く立ち並ぶ、南北に延びる街道である南鑼鼓巷を観光しなが
ら、夕食や買い物を楽しんだ。商店では一風変わった中国ならではの商品を見つけること
ができた。一方で、日本のたこやき、菓子、キャラクターグッズを扱った店や、台湾発祥
の果実、タピオカ飲料を販売する屋台に長蛇の列ができていたことから、北東アジア諸文
化の根付きを肌で感じた。
8月9日
<議論4>
議論4では、分科会ごとに、議論1・2・3で話し合った内容を参考に、抱える問題に対
し「若者として」何ができるかを話し合い、具体的なアクションプランを作成した。なお、
詳しい議論内容については、添付資料4「分科会議論内容」参照のこと。
<プレゼンテーション準備>
本開催最終日に行われる、各分科会の議論内容についてのプレゼンテーションに向けて、
各国・地域のチームが協力し合い、パワーポイントの作成に取り組んだ。
8 月 10 日
<フィールドトリップ>
‐万里の長城‐
参加者は、万里の長城を訪れた。世界遺産に登録されているだけあり、世界各地からの観
光客で賑わっていた。現在の長城は明代に作られ、戦国の七雄といわれる趙や韓が作った
ものを始皇帝が繋げたものである。長城の坂道や階段の傾斜は激しいところもあり、皆息
を切らしながら登っていたが、そこから眺める景色は絶景で、どこまでも続く壮大な景色
に中国の歴史を感じた。遊牧民の侵入を防ぐために作られた万里の長城をモンゴル人、中
国人など多国籍な参加者と共に登り、感動を分かちあうことができ、大変有意義な時間と
なった。
- 15 -
‐国立博物館‐
参加者は、北京市内にある国立博物館を訪問した。開催地である中国の歴史や伝統文化を
より深く理解することが目的であった。博物館内には、中国古代から近代に至るまでの数
多くの作品が展示されており、参加者は有意義な時間を過ごすことができた。近代のコー
ナーでは、アヘン戦争や辛亥革命など、歴史的出来事が描かれた作品も展示されており、
中国の歴史に対する理解を深めるいい機会になった。また中国だけではなく、韓国、日本、
その他アジアの国々の展示品も多く収蔵されていた。この訪問では、SRT の理念である相
互理解に適った形で、アジア各国が歴史、文化を共有しているのだという認識をより深め
ることができた。その点で、SRT のディスカッションの基盤となる、北東アジアの一体感
をより強く感じることができた。
8 月 11 日
<全体発表>
各分科会のディスカッションの成果を報告するためのプレゼンテーションの時間が設け
られた。分科会それぞれが最初に設定したディスカッションの目的に沿ってプレゼンテー
ションを作成した。連日の議論の成果を余すところなく報告するため、プレゼンの動かし
方を工夫したり、図や表を挿入したり、文字を強調するなどして、各分科会が丁寧なプレ
ゼンテーションを作りこの日に臨んでいた。この日最も興味深かったのが、各分科会のプ
レゼンテーションの作り方である。他国・地域の参加者はいずれもその国・地域のトップ
レベルの大学から来ており、議論において鋭い意見を投げかけ、各メンバーの意見を簡潔
に要約して進行を円滑に進めるなど、ディスカッションにおいてその学力を発揮していた
が、プレゼンテーションの場においても、聴衆の目を引き付けるようなプレゼンテーショ
ン作りや、ユーモアを交えながら要所を押さえた発表など、プレゼンテーション発表の場
においても他国・地域参加者から学ぶことはたくさんあった。連日のディスカッションや
フィールドトリップで各参加者には疲れの色が見えていたが、どの分科会も非常に内容の
濃いプレゼンテーションを作っていた。
<SRT2013 の反省・SRT の将来>
各分科会のプレゼンテーションの後、参加者をいくつかのグループに分けて SRT2013 の反
省と、SRT の今後についての話し合いの場が設けられた。この時間で話し合った内容は大
きく分けて、(ⅰ)SRT2013 の振り返り、(ⅱ) SRT の将来、 (ⅲ)SRT での経験をどう社会に
伝えていくかの 3 点だった。(ⅰ)SRT2013 の振り返りでは、(a)本開催で良かった点と改善
すべき点(b)SRT の目標である相互理解をどのように達成できたかを、 (ⅱ) SRT の将来に
向けてでは、 (a)SRT2014 での議題案 (b)SRT の更なる発展のためにすべきことを 、
(ⅲ)SRT2013 での経験を社会に向けて発信する方法では、北東アジアの学生で一週間を共
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に過ごし、文化的・学術的交流を行う中で得た貴重な体験を、いかに社会に伝えるかにつ
てを話し合った。なお、詳しい内容については添付資料5「SRT の将来」詳細を参考のこ
と。
<送別会>
閉会式を終えたのち、送別会として、参加者は代表的な北京の鍋料理である涮羊肉を振る
舞ってくれるレストランへ移動した。学生会議や共同生活での楽しさ、難しさを実感した
一週間を振り返りながら、打ち解けた雰囲気の中で夕食を味わった。食事中は、那波商店
様・秋田清酒様よりいただいた日本酒やリキュールを参加者で楽しんだ。日本酒は特に香
りの良さと口当たりの評判がよく、次々と杯が交わされた。また、韓国チームからマッコ
リやソジュ、モンゴルチームからはモンゴル酒が提供された。参加者は別れを惜しみなが
ら、全員で過ごす最後の夜を楽しんだ。
8 月 12 日
北京空港にて解散
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添付資料3
円卓会議詳細
今回の会議の大きなテーマは、
「北東アジアが抱える問題~国家としての解決策と若者の
使命~」であった。全体を農業、文化、経済、教育、環境・エネルギーの5つの分野に分
け、それぞれの分科会がサブトピックを設け議論を交わした。
テーマ設定のポイントは「若者の使命」を取り入れた点であるが、これは、これまで
の開催では実りのある議論を展開するものの、最終的に議論だけに留まってしまって
いたという状況を改善することが目的である。各分科会は、諸問題に対する国家とし
ての解決策を模索した後、自分たち学生は問題解決の一助となるために何ができるの
かということを話し合い、国・地域によっては開催後にその案のいくつかを実行に移
すことを目標とした。
各分科会の議論内容は以下の通りである。
<農業分科会>
先進国である日本・韓国と発展途上国である中国・モンゴルとで課題が異なることから、
議題を2つ設定した。日本・韓国側の議題は“どのようにして日本と韓国の農作物が国際
市場で生き残るか”
。中国・モンゴル側の議題は“どのようにして大陸中国とモンゴルの
農耕従事者の厳しい現状を打破するか”であった。
円卓会議1では、先に行われたプレゼンテーションの内容に基づいて各国がより詳細な
現状を説明し、質問を交わしあった。中国では健康志向が大変高まっており、多少高価で
あっても安心・安全な食物を購入する傾向があることが分かった。モンゴルは独特の問題
を抱えており、他の参加者が理解するのに苦労した。モンゴルでは、現在でも遊牧民によ
る放牧が盛んに行われており、農耕はあまり盛んではない。また、農耕に利用できる土地
は国土の 10%ほどしかなく、農耕が可能なのは 1 年間で 2 ヶ月ほどである。そのため、多
くの農民が畜産と農耕の両方を行っている。
円卓会議2では、各国が事前に作成した提案書(政府機関が何をできるのかについて)を
発表し、参加者は質問をしたり改善点を指摘したりした。日本は土地集積、流通システム
の簡素化、戦略的販売の促進、農作物に付加価値をつける方法(高品質・安全・おいしい
作物を生産すること、有機栽培を促進すること、加工品販売を拡大すること、農作物にお
ける国際品評会を開催すること)を提案書の中で述べた。韓国は、マッコリ、Han-Gwa(ス
ナック菓子)、朝鮮人参、茶といった伝統的な食品の販売を促進することを提案した。中
国は、都市部と農村部での経済格差が広がっていることを踏まえたうえで、農民の収入を
上げることを提案した。モンゴルは、畜産も含めた農業生産品の輸出を拡大することを提
案した。
円卓会議3では、各国の提案書を踏まえた上で、政府機関が何をできるのかについて議
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論を交わし、結論に至った。また、議論の方向性を常に明確にし、話が逸脱することのな
いように各国が質問形式で議題を持ち寄った。日本は、円卓会議2で日本の農作物が低価
格競争戦略に出ることは不可能という指摘を受けたため農作物にいかに付加価値を付け
るかを議論することにした。世界的に日本食がブームになっていること、米の自給率が
96%(H24 農林水産省)あるため輸出する余裕があることから米に絞って議論することとし
た。日本の議題は“どのようにして日本米を海外に売り出すか”であった。議論の結果、
日本食店の海外進出を促進すること、高品質・安心安全を前面に打ち出すこと、一般家庭
も気軽に購入出来るように従来の米袋(10Kg や 5Kg)の他に米袋(1Kg)を生産すること(北東
アジア各国では祝いごとに際して日本米を購入するとの指摘を受けた)、海外で支持を集
めている日本伝統文様やキャラクター(ドラえもん、ちびまる子ちゃん、ハローキティな
ど)をパッケージに採用すること、炊飯器のあまり普及していないヨーロッパ諸国に向け
て炊飯器を促進すると同時にお湯や電子レンジのみで調理が出来る即席ご飯の販売を促
進すること、という結論に至った。韓国は、議題をどのように韓国の伝統食品(マッコリ、
朝鮮人参、茶の3点)の海外輸出を促進できるかにした。3点に共通して、美容・健康・
新鮮を前面に押し出して販売拡大を目指すこと、日本を始めとした北東アジア各国で絶大
な人気を誇っている韓流ドラマの中で韓国の伝統食品を食べるシーンを設けること、海外
プロモーションの際には国際的に人気のある K-POP のアイドルを採用すること、という結
論に至った。マッコリに関しては、商品ラベルを利用しておいしいマッコリ割(例えば、
ソーダ割り)を紹介すること、マッコリを使った化粧品の販売を促進することが提案され
た。朝鮮人参については、お酒・茶・キャンディー・化粧品のように幅広い用途があるこ
とが示された。茶に関しては、他国の茶との差別化を図るために独自のルーツや伝承など
を消費者に紹介していくことが必要であるとの認識に至った。中国の議題は“どのように
して農民の収入を向上させるか”で、成果を上げた農家に報奨金を与えること、農業従事
者に対する社会保険制度を拡充すること、農業機械購入の際に補助金を与えること、中間
業者を省くことで農家から直接消費者へ農作物が届くようにすること、個々の農家では大
型機械を購入する金銭的余裕がないため近隣農家が大型機会を共有できるようにするこ
と、JA のような団体を立ち上げ農家が協力し合える環境を作ること、収益性の高い果物や
花の生産を促進すること、という結論に至った。モンゴルは、農作物を生産しても市場が
ないという現状を踏まえた上で、国内にスーパーマーケットを作ることを促すという結論
に至った。
円卓会議4では、我々若者が何をできるのかについて議論を交わし、結論に至った。日
本は、全国有数の米どころである秋田の県庁に円卓会議3で得られた結論を知らせること
(E-mail か書簡なのかは未定)、SNS を利用して今回の円卓会議の内容を発表することを決
定した。また、海外留学生が多いという国際教養大学や立命館アジア太平洋大学の強みを
生かして、留学生に日本米を提供すること、コメを使った料理会を開催すること日本酒の
伝統を知ってもらうために日本酒工場への見学ツアーを企画することとした。韓国は、イ
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ンターネットを通じて韓国の伝統的商品にまつわる話を配信することを決定した。大陸中
国は、北京大学生と農業を専攻する他大学生が協力して、研修旅行や市場調査を実施する
ことを目標に掲げた。モンゴルは、夏休みを利用した農村地域への研修旅行を企画、実施
することとした。
<文化分科会>
文化分科会では、伝統文化の保存とソフトパワーという議題で議論を進めた。現代のグロ
ーバル社会の中で失われつつある伝統文化をいかに保存できるか、また、伝統文化をいか
にソフトパワーとして使えるかについて話し合った。議論1、2では「西洋文化」を分析
し、その定義と良い点、悪い点について、議論3、4では本題の「伝統文化を利用して、
いかに北東アジアのソフトパワーを高めるか」とそのために若者ができることについて議
論を交わした。
議論1では西洋化の定義について話し合ったが、文化が西洋の影響で変化することだと
結論付いた。
議論 2 では、西洋化の良い点と悪い点について話し合った。西洋化の良い点として、次
の2つが挙がった。一つ目は、西洋化されて生まれた新しい文化には、いい部分があると
いうことである。例として、中国へのバレンタインデーの普及が挙げられた。バレンタイ
ンデーは西洋の祝日ではあるが、中国にそれが広まったことを機に、バレンタインデーに
類似する中国独自の祝日も注目され、その伝統的な祝日がより盛大に祝われるようなった。
二つ目の良い点として多様性が挙がった。西洋から伝来したアイスクリームとアジア発祥
の抹茶が融合して、抹茶アイスクリームの概念が生まれたように、様々な面で(音楽、建
築、食べ物等)
、西洋化はアジアの文化に多様性をつけ発展させてきた。西洋化は抹茶な
ど伝統的なものを若者などに親しみやすいものにすることで、その持続性に貢献している
と言える。西洋化の悪い点は、西洋文化の受け入れによる伝統文化の衰退である。例とし
て、日本の歌舞伎が昔に比べるとその勢いを失いつつあることが挙げられる。西洋文化の
普及に伴い、若者はそういった文化ばかりに注目し、歌舞伎の観客数は減少しつつある。
また、歌舞伎をやる人の人口にも現象が見られ、歌舞伎の様々な技を伝承していくことも
大変なことである。
議論3では伝統文化を利用してどのようにソフトパワーを高めるかについて話し合っ
た。一つ目の案は、教育において自国の伝統文化について教える機会を増やすことである。
これによって各国の若者が伝統文化に興味を持つきっかけを作り出す。伝統文化のソフト
パワーを高めるためには国民がまず自国の伝統文化についての知識を身につけ、興味を持
たなければ、それを発信することができない。そのため、教育という場を使い若者が伝統
文化について学ぶことが有効だと考えた。例えば、音楽の授業で能や歌舞伎など伝統芸能
の鑑賞の機会を設けることなどである。また、人々が伝統文化のプログラムや行事などに
参加させる動機を政府が作ることも案として挙げられた(例:参加すると飛行機のマイレ
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ージがもらえる)
。その他に、オリンピックで伝統的なスポーツ(相撲、カンフー、テコ
ンドー)なども競技に加えることなども挙がった。
議論4では、伝統文化を守るために若者が出来ることについて話し合った。その結果、
国際的なイベントを企画して、自国の文化を紹介すること(例:祭り)、本団体 SRT など
の学生団体が主催する国際交流の場において自国の文化を紹介しあう時間を設けること
により、自分の国の伝統文化の魅力を教え合うことなどが挙がった。自国の伝統文化を知
ることは、自国の精神性やルーツ知る上で大変重要なことである。また、そういった伝統
文化を他国の人たちと共有し合うことは、楽しいだけでなくより深い相互理解に繋がる。
<経済分科会>
経済分科会では、北京市内の経済格差を議題に議論を進めた。まず、議論1では、各地
域の経済格差の現状と問題点、それに関わる各国政府や地方が行っている解決策について
共有した。また、中国チームから具体的に北京市内が抱える経済格差の問題についての発
表があった。これを基に、解決すべき北京市内の問題を、生活費の上昇、出稼ぎ労働者の
問題、若者の蟻族の問題の3つに決めた。
議論2では、これら3つの問題の原因を探った。北京市内の生活費の上昇は、北京市内
の住宅への投資、需要の急増によるものであり、出稼ぎ労働者は北京以外の地域の生活水
準、賃金の差によるもの、蟻族は厳しい労働市場の競争などによるものとなった。
議論3では、それぞれ3つの問題についての解決策について話し合った。解決策の話し
方としては、分科会内でさらに3、4人のグループに分かれてアイディアを出し、それを
全体で考察するという形をとった。北京市内での解決策、北京市郊外の解決策について分
けてそれぞれ考えた。まず、北京市内では住宅を2軒以上買う人への税金をあげること、
賃金の低い人への住宅購入の支援などがあがった。最低賃金をあげる案もあがったが、議
論の結果、最終的な結果が現れにくく、悪影響もあるということになり、解決策としては
不適切となった。また、北京郊外の解決策としては、地方の地域活性化のために政府が何
らかの支援をするべきだということになった。
議論4では、若者ができることについて話し合った。1つ目は、学生が企業に対して無
料でコンサルテーションをすること、2つ目は出稼ぎ労働者に対して基本的なパソコンや
知識や技術を教えること、3つ目は学生起業家のための学内のクラブをつくること、4つ
目は地方の地域活性化のために地方での生活などの情報をインターネットなどで伝える
こと、があがった。さらに、このうちの学生コンサルテーションと、地方の生活について
の情報共有については、分科会メンバーが実際にできそうなこととして具体的にどのよう
な方法で行うか、などについてまで話しあうことができた。これらについては、ホームペ
ージを立ち上げて活動を行うことに決まった。
今回の分科会では、北京市内の格差問題について話し合い、その解決策を考える過程で
北東アジア6ヶ国・地域それぞれの経済格差問題とその改善策についても知ることができ
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た。また、全メンバーで問題への解決策を探ることで、知識や考え方を共有し、お互いの
考え方や文化への理解も深めることが出来た。
<教育分科会>
教育分科会では、議題を「試験中心の教育制度」とし、その問題点やそれに対する解決
策について話し合った。議論1では、各国・地域のチームがテーマに関して抱える問題と
それらの問題に対する解決策を提案し合った。
議論2では、各チームが、議論1で他のチームの提案した解決策や、他のチームからの
アドバイスやコメントを参考に、より良い解決策を練り上げた。各チームの抱える問題と
それに対する最終的な解決策は次の通りであった。日本チームは問題として、生徒にかか
る強いストレス、批判的思考能力やリーダーシップなどが養えていなことを挙げた。これ
らの問題に対する解決案として、センター試験に記述問題を導入し学生の思考力を養うこ
と、センター試験を二回に分け学生への負担を減らすこと、二次試験にグループ面接を導
入することで学生のコミュニケーション能力やリーダーシップを測ること、ディベートの
授業を導入することが挙がった。中国チームは問題として、保護者からの圧力により子供
達の好奇心や創造力が失われていること、厳しい受験戦争の中で学生の身体的・精神的健
康が無視されていること、社会経験が少ないこと、州ごとの教育格差を挙げた。これらの
問題に対する解決案として、保護者が子供にプレッシャーを掛け過ぎないよう保護者の教
育を行うこと、生徒へのプレッシャーを軽減するため大学入試の回数を2回に増やすこと、
職業教育を充実させること、試験制度を全国で統一することが挙がった。韓国チームは問
題として、生徒の論理的思考力の欠如、将来適性を認識していないこと、自主性の欠如を
挙げた。これらの問題に対する解決案として、ディベートの授業を導入すること、職業教
育を充実させること、自主性をのばすために生徒が一学期を通して各々の興味のあるテー
マについて調べる授業を導入することが挙がった。台湾チームは問題として、生徒の知識
を自ら吸収していく意欲の低下、道徳や社会問題に対する関心の欠落、将来の展望の不足
を挙げた。これらの問題に対する解決案として、児童が自身の興味の幅や将来の展望を広
げることを促すことを目的とし小・中学校でリベラルアーツ教育を導入すること、キャリ
ア教育の充実を図ること、専門学校を推進することが挙がった。ロシアチームは問題とし
て、キャリア教育の欠如、生徒の大学入試への準備不足すなわち生徒の学力低下を挙げた。
これらの問題に対する解決案として、入試のための特別授業の開講すること、将来の展望
を広げることを目的とした高校の在校生と卒業生の交流会の開催、高校生がインターンシ
ップに参加する機会増やすこと、批判的思考能力やリーダーシップを養う内容の授業を導
入することが挙がった。モンゴルチームは問題として、教育の質の低下、生徒の努力と知
識の低下を挙げた。これらの問題に対する解決案として、大学入試に必修科目を設け作文
問題や面接も導入すること、研修や教師育成の段階で教師の教育スキルを向上させること、
入試の際点数だけでなく生徒の生活態度や課外活動なども考慮すること、研修を増やすな
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どして教師が堕落していくのを防ぐことが挙がった。
議論3から議論4前半にかけては、各国・地域が共通して抱える問題とその社会として
の解決策を話し合った。共通して抱える問題として、試験を重視する教育制度と、批判的
思考能力や創造力、自発性などを育む試験向け以外の教育のバランスがとれていないこと
が挙がった。解決策としては、教育制度全体を変えていくことは非常に困難なため、現在
の試験中心の教育制度に試験向け以外の教育の要素を加えていくことが最善策であると
結論付いた。具体的な解決策を考える際最初に、試験中心の教育で失われている重要なも
のを挙げ、その中で最も重要だと思われるもの、批判的思考能力と、生徒の将来の展望や
職業に対する興味・意識の2つを選んだ。批判的思考能力を養うための解決策として2つ
挙がった。一つ目はディベート授業を増やすことである。ディベートをより活発に行うこ
とにより、批判的思考能力のみならず、論理的思考能力や自分の意見を効果的に他者に伝
える力なども鍛えられる。二つ目は生徒が国際会議に参加するのを奨励することである。
自分と異なる考え方を持つ人々と議論を交わすことで批判的思考能力を養ったり国際感
覚や多角的な視点を得たりすることが期待できる。次に、生徒の将来の展望や職業に対す
る興味・意識を養うための解決策として、将来の職業に対する生徒の意識や興味を高める
ために、職業調べや職場見学など、職業について生徒が知る機会のさらなる充実を図るこ
とが挙がった。
議論4後半では、議論3及び議論4前半で導き出した社会としての解決策に関し、「若
者として」何ができるかについて話し合った。一つ目の批判的思考能力を養うための策に
関しては、大学生が、高校生のためのディベート大会を運営・開催することや、また、高
校生にディベートのスキルやテクニックを教えるディベート講座を開くことが挙がった。
二つ目の生徒の将来の展望や職業に対する興味・意識を養うための解決策に関しては、大
学生が、企業などが開催する高校生のための職業紹介イベントにボランティアとして参加
することや、職業や専攻についての情報を提供する、高校生のためのウェブページを作成
することが挙がった。
知識の蓄積や困難に対処する力を鍛えるために詰め込み教育もある程度必要ではある。
しかし、それによって犠牲にされている生徒の能力や精神的豊かさなどの重要さも無視し
ていてはいけない。本分科会では双方のバランスの取れた教育が必要であるということで
意見が一致した。そして、そのことを一番痛感している私たち学生が社会に働きかけてい
くことが大切であるということも再認識できた。
<環境・エネルギー分科会>
本分科会の議題は「北東アジア各国地域の、ポスト京都議定書における立場」であり、
夏開催中に日本・中国・韓国・モンゴル・台湾の5カ国・地域が 2020 年以降の成立が予
定されているポスト京都議定書においてどのような立場を取るべきかについて(台湾など
に関する政治的問題は考慮せず)議論を行った。この大枠の下に、環境保護と経済発展の
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両立・私たち若者がどう貢献できるのかについても議論を行った。
議論 1 及び 2 では、まず大枠のポスト京都議定書における立場については、最終的に全
5か国地域が温室効果ガス削減の義務を負うことに同意した。経済が比較的発展している
日本、韓国、及び台湾は削減義務に前向きであったのに対し、中国とモンゴルは経済発展
の重要性と先進国による歴史的責任を訴えたが、議論を通して温室効果ガス削減の重要性
には理解を示し、
「共通だが差異ある責任」という考えのもと先進国より緩和されるとい
う条件のもと、削減義務を負うことには同意した。
議論 3 では、先の議論中に、特に発展途上国において温室効果ガス削減への障害となっ
ている経済発展の重要性について、環境保護と経済発展の両立の困難さについて議論を行
った。困難の原因は大きく分けて政府にとっての優先度と経済産業構造にあり、世界的な
経済危機による雇用問題ななどに表れている深刻な経済問題への対策を政府が環境対策
などよりも優先せざるを得ないということ、また特に発展途上国においてエネルギーが石
炭などの環境への負荷が大きい資源に依存していることなどが挙げられた。解決策として
は国内での環境政策、例えば環境に関する企業活動への補助金や罰則の制定などの実施、
さらに各国間で行うものとして、北東アジア内では環境問題を克服してきた日本や韓国な
どがその経験に基づく技術やノウハウなどを現在直面している大陸中国などに供与・支援
すること、最後に社会全体への環境に関する教育の拡充が挙げられた。社会全体での環境
配慮などへの意識変化の影響は大きなものであり、環境に関する教育が社会の意識変化に
とって重要であるという結論に至った。
議論 4 では、最後の議題である若者としての貢献について、特にそれぞれの大学内での
活動について議論がなされた。国立台湾大学で行われているプラスチックごみ袋の削減活
動や、全大学での印刷物の削減についてなど大学生活に身近なものが挙げられ、実際にこ
れらのような学生活動は大学の周りの地域社会と一体となって行われるケースがあるこ
とから、学生活動は社会に対して環境への意識変化に貢献するという考えに至った。よっ
て環境保護に関する学生活動を地域社会と協力して行うなどして、さらにその活動内容を
SNS や HP などを通して社会に発信することで、学生同士での情報共有、及び社会全体への
意識変化へと貢献することが出来るという結論に至った。
本分科会では、まず国の立場からのポスト京都議定書に関する議論を行い、そこから最
終的には私たち学生の実生活に身近な活動がどう環境保護へ貢献できるのかについて学
生としての立場からも議論も行った。限られた時間であったが、環境保護という規模が大
きい問題ながらも参加者それぞれ異なる視点から、若者としての活動にまで落とし込んで
議論がすることが出来た。
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添付資料4
企業訪問詳細
各分科会は開催3日目に会議の内容に関連する企業や施設を訪問した。農業分科会は鳳凰
公社有機栽培牧場を、文化分科会は中国国際放送局を、経済分科会は華夏銀行を、教育分
科会は北大青鳥集団を、環境・エネルギー分科会は中国科学技術館を訪問した。なお、環
境・エネルギー分科会については、当初はテーマに関連した企業を訪れる予定であったが、
企業側の都合により科学技術館に変更となった。各分科会の活動内容は以下の通りである。
<農業分科会>
農業分科会は、中国最大のバイオダイナミック(※)農家である鳳凰公社有機栽培牧場を
訪問した。鳳凰公社有機栽培牧場は、中国で唯一デメテルインターナショナルに認証され
たバイオダイナミック農家である。今回はその中でも、経験を通して有機農作物の価値を
学ぶ「食の教育体験センター」を伺い、農家の小ツアーや肉まん作りを行った。
小ツアーでは、中国らしく土地を広々と使った農家の一部を、ガイドの説明付きで見学し
た。有機農作物の需要は中国ではまだ小さいものの、近代化とともに増えているようであ
る。惜しくも本開催の分科会では円卓会議において有機農作物にはあまり触れなかったが、
付加価値をつけて出荷増幅をねらうという点はとても参考になった。
肉まん作りは、会ったばかりの分科会のメンバーとの仲を更に深めてくれるとても良い機
会になった。肉まんには、小ツアーの際に摘み取った古くから中国に伝わる雑草を入れた。
どこか薬のような香りがし、中国の古くからの伝統を感じることができた。
※
バイオダイナミック農業とは、太陰暦に基づいた「農業暦」にしたがって種まきや収穫など
を行い、また牛の角や水晶粉などの特殊な物質を利用する有機栽培の一種である。
<文化分科会>
文化分科会は中国国際放送局という中国唯一の国営国際放送局を訪問した。この企業は首
都北京から約 200 ヶ国に向けて中国の文化や実際の中国社会の姿を放送している。私達は
その日本語部門で働く中国人男性と、元日本人アナウンサーの女性との対談を行った。そ
こで主に議題となったのは、放送局が担う中国文化の発信手段とその内容についてである。
この企業はラジオ、インターネット、SNS 等を使って発信している。その中で、インター
ネットが今や最もアクセス数が多く、有効な手段だそうだ。しかし、報道内容が何をもた
らすかという長期的な利益を考え、真実を誇張せず、わかりやすく伝えるべきなのである、
苦言を呈していた。この対談は私達の文化の議論にとても影響を与えた。長期的な利益の
ための報道という考え方は、ただ伝えればいいと考えていた私達に何を、どのように、何
の目的で伝えるのかという内容を深めるきっかけとなった。最後に、この企業訪問で私達
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が心に残っているメッセージがある。日本人はマスコミを信じすぎる傾向がある。だから、
様々な方向からの情報を見比べ、
自らの中での真実を見出すことが必要だと 2 人は述べた。
総じて、この企業訪問は議論だけではなく、私達の価値観にまで大きな影響をもたらす有
意義なものとなった。
<経済分科会>
経済分科会は華夏銀行を訪問した。華夏銀行は、中国の多くの支部を持っており、世界の
銀行のなかでも大きな銀行である。また、中国国内の企業のサービスなどの面でも上位に
ランクするなど、企業としても大きい企業である。今回の企業訪問では、この企業の女性
の北京支店長にお会いし、お話を伺うことができた。近年目覚ましい経済発展を遂げてき
た中国のトップに位置する企業としての取り組みや、どのような過程で会社が成長してき
たのかなどを聞くことができた。中国のトップの企業の話を聞くことはとても有意義な経
験となり、また経済分科会の議論にも役立たせることが出来た。
<教育分科会>
教育分科会は北大青鳥集団という企業を訪問した。北大青鳥集団は、北京大学と提携し学
校では盛んに行われていない職業教育を豊かにさせるために創立された企業である。この
企業は海外にも進出していて、協力している企業は一万社以上にものぼり現在はカナダと
イギリスにシェアを広げようとしている新興企業である。その充実した職業教育これまで
に社会的に有名な IT 企業に 50 万人もの IT のプロを輩出してきた。この企業に実際に訪
問しお話を伺うことで、分科会で必要となる知識をふかめることができた。中国での先進
的な教育系企業で実際に行われている情報教育について学んだことにより、今日の学生に
はメディアリテラシーと将来の職業で必要なコンピュータリテラシーが必要であると強
く感じた。そのため、議論の中で、若者としての解決策を話し合った際に、職業教育の一
環として IT 教育の促進を行うことで合意した。
<環境・エネルギー分科会>
環境・エネルギー分科会は、訪問予定先の企業側の都合により予定を変更し、中国科学技
術館を見学した。中国科学技術館は 2008 年北京オリンピック開催の地となった鳥の巣近
郊に位置し、国家の威信をかけた建造物であるということがうかがい知れた。壮大なホー
ルや、オブジェなどが配置してあり、日本の規模とはすべてが桁違いであると感じた。展
示物も中国石器時代からの歴史、生物の誕生から宇宙・航空に至るまで多岐に渡っていた。
分科会メンバーは、ここで太陽光発電の仕組みを説明する展示物を見学した。議論におい
て、二酸化炭素削減に役立つ再生可能エネルギーも話題になったため、太陽光発電の仕組
みを学ぶことは大変興味深かった。
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添付資料5
「SRT の将来」詳細
開催最終日には、SRT の持続性と更なる向上のために「SRT の将来」という時間が設けられ、
開催の反省や次開催について話し合われた。詳しい内容は以下の通りである。
1. SRT2013 の振り返り
(ⅰ)良かった点と改善すべき点
良かった点として、分科会は今回からの新しい試みであったにも関わらず、各分科会で濃
密な議論を展開でき最終日にはどの分科会もそれぞれ工夫のある興味深いプレゼンテー
ションができたことや、ホステルの部屋割りやフィールドトリップのグループ割りの工夫
により、より多くの参加者と交流できたことが挙がった。改善すべき点としては、参加者
への最終的スケジュールや参加費についての伝達の遅れや開催本番中のスケジュールの
遅れ、また、準備段階において分科会内で各国・地域間で連絡を取り合うことの難しかっ
たことや取り掛かりが遅かったことから、分科会の準備が十分でなかったことが挙がった。
(ⅱ)SRT の目標である相互理解をどのように達成できたか
7日間生活を共にし、ポップカルチャーなどを共有しあったり共通して持つ文化を発見し
たりするなど文化的交流をする中で相互理解を達成できたという意見が挙がった。また、
政治的しがらみに捕らわれずに領土問題や歴史認識問題などに対する意見を各国・地域学
生間で積極的に交換し合い、メディアなどによって植えつけられがちな偏見などを抜きに
して各国・地域への理解を深めることができたという声もあった。さらに、分科会におい
ても、3日間に渡り一つのテーマについて話し合うことにより、それぞれの国・地域がお
互いの国内事情や考え方について、理解を深めることができたということも挙がった。
2. SRT の将来に向けて
(ⅰ)SRT2014 での議題案
次回開催で議論したい議題案として、「地球温暖化」「災害リスクマネジメント」「地域活
性化」
「高齢化問題」等が挙げられた。
(ⅱ)SRT の更なる発展のためにすべきこと
SRT が発展していくためにすべきこととして、各国・地域の大学への独立した SRT の支部
の設立が挙げられた。日本、モンゴルには独立した SRT が存在するが、その他の国・地域
には存在せず、他の学生団体が活動の一環として本事業に参加していたり一から参加者を
募集したりしているため、支部の設立を急ぎ安定した参加者の確保に繋げたい。また、SRT
のホームページの充実や Youtube などを通して SRT の活動や成果を社会に宣伝していくこ
とも挙げられた。
- 27 -
(ⅲ)SRT2013 での経験を社会に向けて発信する方法
SRT2013 での貴重な体験を社会に向けて発信する方法として、各参加者が家族や友達など
身近な人に話すことはもちろん、ホームページやソーシャルネットワークシステムの更な
る活用が挙げられた。現在 SRT には公式 HP、Facebook ページ、Twitter アカウントが存在
するため、それらを通して参加者の感想や SRT2013 の様子などを発信していくべきだとい
う声もあった。
- 28 -
添付資料6 SRT2013 参加者名簿一覧
Mainland China
Chen Yi-Wen
北京大学
教育
Mei Meng-Xue
北京大学
経済
Zhu Tian-Lin
北京大学
環境・エネルギー
Cai Jing-Shu
北京大学
農業
Yu Zhou
北京大学
経済
Wang Jing-Kun
北京大学
経済
Luo Hao
吉林大学
経済
Qain Guang-Hao
北京大学
環境・エネルギー
Lin Yao
吉林大学
農業
Wang Qi
吉林大学
環境・エネルギー
Tao Yu-Qin
北京大学
農業
Wang Xing-Jie
北京大学
農業
Liu Shu-Yuan
吉林大学
教育
Cui Nai-Yu
吉林大学
教育
Wang Yi-Lian
北京大学
文化
Ding Xin-Yue
北京大学
文化
Li Nan-Ling
北京大学
教育
Liu Xing-Nan
吉林大学
文化
Tseng Yuan-Tzuoo
北京大学
文化
Lu Jia-Wen
北京大学
環境・エネルギー
- 29 -
Japan
和田智志
国際教養大学
環境・エネルギー
熊谷ひかり
国際教養大学
農業
飯島悠史
国際教養大学
経済
上野莉佳子
国際教養大学
経済
小田部潤
国際教養大学
経済
山岸紫
国際教養大学
農業
東美沙都
国際教養大学
環境・エネルギー
福田千晴
国際教養大学
教育
成沢拓磨
国際教養大学
文化
堀川侑意
国際教養大学
教育
中野亜未
国際教養大学
農業
武田智賢
国際教養大学
文化
松場勇人
国際教養大学
文化
塚田聖人
国際教養大学
農業
岩渕華奈
国際教養大学
教育
仁科真祐
国際教養大学
教育
小堺なお
国際教養大学
環境・エネルギー
大井俊平
立教大学
教育
新明桐香
立命館アジア太平洋大学
農業
進藤健介
共愛学園前橋国際大学
文化
千葉宗毅
獨協大学
環境・エネルギー
佐々木智也
慶応義塾大学
経済
- 30 -
Korea
Se-jin Choi
ソウル大学校
経済
Hee-tae Kim
ソウル大学校
教育
Jaek-wang Kim
ソウル大学校
農業
Sang-Gyu Park
ソウル大学校
文化
Jong-Woo Kim
ソウル大学校
文化
Keon-Hi Lee
ソウル大学校
文化
Nam-Hun Koo
ソウル大学校
環境・エネルギー
Kyung-Mi Lim
ソウル大学校
教育
Cheong Inwoo
ソウル大学校
経済
Jinyoung Je
ソウル大学校
環境・エネルギー
Min-Kyung Park
ソウル大学校
文化
So-Hyun Park
ソウル大学校
環境・エネルギー
To-Seung Kim
ソウル大学校
農業
Min-jung Kim
ソウル大学校
教育
Mongolia
Enkhzaya Batnasan
モンゴル国立大学
農業
Ulzii Nyamlkhagva
モンゴル国立大学
教育
Chinbold Erdene
モンゴル国立大学
農業
Goomaral Lhaghavaj
モンゴル国立大学
経済
Jargal Tsolmon
モンゴル国立大学
文化
Chantsaldulam Otgonbayar
モンゴル国立大学
教育
Orkhon Tserendavaa
モンゴル国立大学
環境・エネルギー
Taiwan
Hsueh Fang-Ling
国立台湾大学
環境・エネルギー
Chen Yi-Chun
国立台湾大学
教育
Huang Yi-Cha
国立政治大学
経済
Chen Shin-Ting
国立台湾大学
経済
Russia
Shishmakov Sergei
極東連邦大学
経済
Ekaterina Kharchishina
極東連邦大学
教育
- 31 -
添付資料7
日程
8 月 4 日 到着
時間
活動内容
場所
補足
北京到着
北京首都国際空港
鉄道にてホステルへ移動
チェックイン
休憩
夕食
レストラン
ホステル着
8 月 5 日 開会式、特別講義
時間
活動内容
場所
8:00 朝食
9:00-10:00 移動
北京大学
10:00-11:00 開会式
11:00-12:30
各チーム代表たちによる
プレゼンテーション
12:30-13:30
昼食
13:30-15:00 交流会
15:00-17:00 キャンパスツアー
17:00-19:30 夕食
19:30-20:30 移動
ホステル
- 32 -
補足
8 月 6 日 プレゼンテーション、議論
時間
活動内容
場所
補足
8:00 朝食
9:00-10:00 移動
10:00-11:15 プレゼンテーション 1
北京大学
北京大学
11:15-11:25 休憩
11:25-12:15 プレゼンテーション 2
12:15-12:40 各国提案発表
12:40-13:15 昼食
13:15-15:45 議論 1
15:45-16:15 休憩
16:15-18:15 議論 2
18:15-19:45 夕食
20:00
移動
ホステル
8 月 7 日 企業訪問・議論
時間
活動内容
場所
補足
企業
複数のグループに分かれそれぞ
れの議題に関連した企業を訪問
する
8:00 朝食
8:30 移動
9:00:11:00 企業訪問
11:00-11:30 移動
11:30-13:00 昼食
13:00-18:00 議論 3
問題点の詳細
18:00-19:00 移動
19:00-21:00 清華大学学生との夕食会
21:00 移動
ホステル
- 33 -
8 月 8 日 国内視察①
時間
活動内容
場所
補足
6:30 朝食
7:00-8:00 移動
8:00-11:30 頤和園
頤和園
11:30-12:30 移動
12:30-14:00 昼食
14:00-15:00 移動
15:00-17:00 紫禁城/景山公園
紫禁城/景山公園
17:00-18:00 移動
18:00-19:00 南鑼鼓巷
南鑼鼓巷
19:30-20:00 移動
20:00-22:00 后海
22:00-22:30 移動
ホステル
8 月 9 日 議論
時間
活動内容
8:00 朝食
場所
補足
ホステル
9:00-10:00 移動
10:30-12:30 議論 4
北京大学
12:30-13:30 昼食
13:30-17:30 プレゼンテーション準備
北京大学
17:30-19:00 夕食
19:00 移動
ホステル
- 34 -
結論/各グループの成果
8 月 10 日 国内視察②
時間
活動内容
場所
補足
7:00-8:30 移動、朝食
8:30-10:30 万里の長城
10:30-11:00 移動
万里の長城
11:00-12:30 昼食
12:30-14:00 移動
14:00-16:00 中国国家博物館
16:00-17:30 移動
中国国家博物館
17:00-18:00 前門
18:00-19:00 移動
前門
19:00-21:00 夕食
21:00 移動
ホステル
8 月 11 日 SRT2013 のまとめ・SRT の将来
時間
活動内容
8:00 朝食
場所
補足
ホステル
9:00-10:00 移動
10:00-12:00 SRT2013 のまとめ 1
12:00-13:50 休憩
13:50:14:50 SRT2013 のまとめ 2
15:00-17:00
SRT2013 の反省・SRT
北京大学
の将来
17:00-18:00 閉会式
18:00-21:00 送別会
21:00 移動
ホステル
8 月 12 日 解散
時間
活動内容
場所
チェックアウト
移動
北京首都空港
出発
北京首都空港
到着
成田空港
- 35 -
補足
添付資料8
アンケート結果
SRT2013 開催に関するアンケート調査
回答者総数:51 名
1. どのようにして SRT を知りましたか?
知人からの紹介:12 票
大学の BBS を見て:13 票
その他:24 票
2. SRT2013 に参加する前に何に期待していましたか?(複数回答可)
議論:27 票
企業訪問:5 票
フィールドトリップ:11
票
参加者との交流:31 票
その他:1 票
3. SRT2013 の内容に満足していますか?
とても満足している:36 票
満足している:12 票
満足していない:1 票
4. 最も満足しているのは次のうちどの項目ですか?
議論:10 票
している項目
企業訪問:6 票
フィールドトリップ:8 票
参加者との交流:33 票
その他:1 票
- 35 -
5. SRT2013 参加前に不安に思ったことはありましたか?
はい:20 票
いいえ:19 票
6. 開催期間についてどのように思いますか?
長すぎる:0 票
長い:5 票
適切である:29 票
短い:5 票
短すぎる:1 票
7. 参加費についてどう思いますか?
高すぎる:2 票
高い:7 票
適切である:27 票
安い:4 票
- 36 -
8. SRT 2014 に参加したいと思いますか?
はい:33 票
いいえ:5 票
9. SRT2014 を主催する側になりたいと思いますか?
はい:14 票
いいえ:24 票
- 37 -
10. SRT2013 の準備段階で困ったことはありましたか?また、議論をまとめる際に困ったことはありまし
たか?
はい:21 票
いいえ:29 票
11. 副議題を決める際、全員で投票して決めたいですか?それとも、SRT メンバーがあらかじめ決めた副
議題について議論したいですか?
投票して決める:20 票
SRT メンバーが決める:17 票
- 38 -
12. 各国・地域からの参加者の比率は適切だと思いますか?
はい:24 票
いいえ:23 票
いいえと答えた方にお聞きします。
以下のどの比率が適切でなかったと思いますか?
A. 分科会の各国・地域の:7 票
B. 全体の参加者の割合:16 票
要因
C. SRT 2013 参加者人数: 1 票
D. その他:0 票
- 39 -
添付資料8 写真
8月5日
- 40 -
8月6日
- 41 -
8月7日
- 42 -
8月8日
- 43 -
8月9日
- 44 -
8 月 10 日
- 45 -
8 月 11 日
- 46 -
助成団体
公益財団法人三菱 UFJ 国際財団
公益財団法人双日国際交流財団
公益財団法人東華教育文化交流財団
公益財団法人かめのり財団
独立行政法人国際交流基金
協賛企業
秋田印刷製本株式会社
秋田海陸運送株式会社
秋田いすゞ自動車株式会社
秋田海陸運送株式会社
秋田活版印刷株式会社
新政酒造株式会社
株式会社友愛ビルサービス
株式会社秋田銀行
秋田清酒株式会社
秋田東北商事株式会社
株式会社那波商店
(敬称略、順不同)
- 47 -
北東アジア学生ラウンドテーブル
〒010-1211 秋田県秋田市雄和椿川奥椿岱 193-2
公立大学法人
国際教養大学
森園浩一研究室内
TEL: +81-18-886-5900 FAX: +81-18-886-5910
E-mail: [email protected]
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