Comments
Description
Transcript
H25県民フォーラム概要 [PDF:1880KB]
「くまもと教育の日」県民フォーラムを開催しました! 平 成 2 5 年 1 1 月 9 日( 土 )に ホ テ ル 熊 本 テ ル サ に お い て 、平 成 2 5 年 度「 く まもと教育の日」県民フォーラムを開催 しました。 当日は、教育関係者等約470人に御 参加いただき、田崎龍一教育長による主 催者挨拶に始まり、3つの表彰式(フォ トコンテスト、公立学校善行児童生徒、 教育功労(優秀教職員))とピーター・ フランクル氏による講演会を行いまし た。 フォトコンテストでは、学校や家庭で の教育に関して撮影された写真313点 の中から選ばれた入賞25点(最優秀賞 1 点 、優 秀 賞 4 点 、入 選 2 0 点 )の う ち 、 最優秀賞及び優秀賞に選ばれた5人の表 彰を行うとともに入賞作品を会場に展示 し、多くの参加者に鑑賞していただきま した。 公立学校善行児童生徒表彰では、環境 美化活動、社会福祉活動、人命救助など 他の模範となる活動を行った児童生徒 (団体:小学校1学年、中学校1校、特 別支援学校1校、個人:小学生1人、中 学生4人、高校1人)を表彰しました。 教 育 功 労( 優 秀 教 職 員 )表 彰 で は 、小 ・ 中・高・特別支援学校に在籍する教職員 のうち、学習指導、生徒指導、部活動指 導、特別支援教育などの分野において顕 著な功績のあった18人を表彰しまし た。 休 憩 を 挿 み 、講 演 会 で は 、国 際 的 数 学 者 に し て 大 道 芸 人 と し て も 有 名 な ピ ー タ ー・フ ラ ン ク ル さ ん が 登 壇 。ま ず は 華 麗 な ジ ャ グ リ ン グ の 披 露 で 会 場 全 体 が リ ラ ッ ク ス 。「 世 界 に 羽 ば た く た め の 学 習 法 」を テ ー マ に 、奥 深 い 内容を分かり易く話してくださいました。 随所に日本語の諺が織り込まれたユーモ ア 溢 れ る 講 演 で 、聴 衆 参 加 の 数 字 の パ ズ ル も 交 え な が ら 、あ っ と い う 間 に 9 0 分 が 過 ぎ て いきました。 講演の概要は以下のとおりです。 ============================================================ (グローバル人材とは) ・ 社会が国際化する中、手段としての英語の重要性に異論はないが、かとい って、英語ができればグローバル人材というわけではない。 ・ 英米のネイティブスピーカーのように流暢に話す必要はまったくない。大 事なのは話の内容。自信と誇りを持って日本語訛りの英語を話してよい。聞 き取りの耳は必要。 ・ グローバル人材にもっとも必要な資質は、異質な文化や慣習と向き合うと き の 寛 容 な 心 。心 の 門 戸 を 開 き 、ま ず は 相 手 の 話 を 聞 い て み よ う 。「 多 様 性 」 を理解し尊重することが重要。 (専門を持つこと) ・ 高度成長時代以降、雇用側の論理でジェネラリストが数多く養成されてき た。しかし、専門性を持たないジェネラリストは代替が容易なため、リスト ラの対象となりがち。 ・ 21世紀に必要なのは専門的な知識や技能を持つスペシャリスト。自分の 専門を見つけ磨きをかけること。 (設計図を描くこと) ・ ま ず 、自 分 が 将 来 ど の よ う に な り た い か 、そ の た め に ど う し た ら い い の か 、 という設計図を描くこと。 (時間を有効に使うこと) ・ すべての人に平等に1日24時間が与えられている。「自分の人生の主人 公」は自分という観点から、限られた資源である「時間」を有効に使うこと が重要。 ・ 例えばテレビ。見れば確かに面白いが、テレビの番組が「自分の今後の人 生」に影響することはまずない。 ・ 仕 事 や 学 校 が 終 わ っ て 帰 宅 し た と き 、テ レ ビ を 点 け る 前 に 一 度 立 ち 止 ま り 、 今日の一日を振り返って、「自分のため、今この時間に何をすべきか」を3 0秒考えてみよう。 (日本の今後の青写真) ・ 飛躍的な発展を遂げた明治期の日本がお手本としたのは、アメリカではな く欧州。アメリカは国土の広さや歴史の浅さなど日本との隔たりが大きく、 欧州に多くの類似点を見た当時の人々の慧眼によるもの。ところが太平洋戦 争後日本はアメリカ一辺倒になり今日に至る。 ・ 総体として見れば現在の日本は国際的にトップレベルの国だが、個々の分 野を見れば欧州の国々にも日本が学ぶべきものが沢山あるはず。 ・ 具体的な国を挙げるとすれば、まずドイツ。自分はユダヤ系であり、多数 の親族がナチス時代のドイツに殺されており、母親はアウシュビッツの生存 者。したがって、ドイツという国に特に好感を持っているということではな いが、現在のドイツは欧州の中心となり欧州経済を牽引。欧州各国からもド イツがリーダーであると認められている現状を客観的に見たうえでの感想。 (メリハリ) ・ 日本の教職員の多忙な状況は見聞きしている。通常の教科指導以外に、職 員朝礼、部活の指導、試験の採点、翌日の教材準備など夜遅くまで仕事をし ている。 ・ 比較のため、かつての交際相手であるドイツ人英語教師の日常を紹介。彼 女は毎日7:30に自宅を出て車で通勤。7:45学校着。8:00から授 業で14:30には放課となるため帰宅。職員朝礼もなく、教科の専門家と して授業をするのが仕事。午後の自由な時間は、地元のレストランに行った りスカッシュで汗を流してリフレッシュ。また、年間を通じて、夏6週間、 秋2週間、クリスマス休暇2週間、春2週間の、計12週間の有給休暇があ り国内外の旅行を楽しんだ。 ・ もちろんこのようなメリハリは教師だけではない。例えばドイツの弁護士 会会長のような重責を担う人でも6週間の夏休みをしっかり取得する。 ・ 参考までに、ドイツでは、教科担当の教師が勤務先の学校長から課外の部 活動まで面倒を見るよう指示されることはない。 (忙しさについての価値観) ・ 日本では、「忙しいですか?」という問いに「ええ、忙しくしています」 と返すのが、期待される一般的な挨拶。忙しいことは善であるとの暗黙の了 解がある。 ・ し か し 、自 分 が 主 人 公 の 人 生 で 、メ リ ハ リのない忙しさは本当にいいことなのか。 ・ 例 え ば 、日 本 で は 、子 ど も の ス ケ ジ ュ ー ル を 塾 や お 稽 古 事 で 埋 め て 、無 理 や り 忙 し く さ せ る 親 が い る 。子 ど も の 人 生 の 主 人 公 は 子 ど も 。自 分 の 頭 で モ ノ を 考 え る 時 間 も ない状況が本当にいいことなのか疑問。 (日本の学校の部活動) ・ 日本では、部活動の生徒は、学期中はもちろん土日を含め毎日、夏休み中 もお盆だろうがかまわず活動している。自分自身の時間はない。成長してい くうえで、読書したり、音楽を聞いたり、舞台を見たりなど部活以外のこと に活用する時間は本当に必要ないのか疑問。 ・ 本人ばかりではない。親もまた、子どもの部活に合わせて送迎、応援など に貴重な時間を割いている。 ・ 東京都ではおもしろい取組みを始めている。土日の公式戦は別にして、平 日の部活動は週3日以内に制限している学校がある。 ・ 仮に部活漬けの学校を「プロ」、週3日以内のように制限している学校を 「アマ」とし、全国大会もプロだけの大会、アマだけの大会と分けて実施し てはどうか。なお、アマの学校がルールを守っているかのチェックは必要 (海外への留学促進) ・ 文部科学省が海外への留学者数を6万人から倍増させる方針を打ち出した。 確かにアメリカなど海外の大学に日本人留学生は少なく、中国人・韓国人を 多く見かける。しかし、彼らの多くは海外に留学してその後も留まり、母国 に帰らない。 ・ 公費を使って留学を支援するのであれば、自分の国に帰って活躍してもら うことを考えるべき。そのためには、海外での暮らしにより視野を広げても らうことを目的とし、短期の留学を支援するのがよい。 ・ 留学先も欧米ばかりを志向せず、アジアの国々に行って、日本と違うこと を直接体験するのも意味のあること。青年海外協力隊の参加者も、知識や技 術を現地に伝達する一方、そこでの生活を通じて人間的に大きく成長する。 (愛国心と国粋主義) ・ 自分の生まれ育った国を愛し誇りに思うことは当然であり大事なこと。幼 児は自分の母親が一番美しく、賢く、強いと思うが、成長するにつれだんだ んと、そうではないかもしれないと思うようになる。しかし、はっきりそう だと分かった後も、母親を愛し、誇らしく思うもの。国の場合も同じ。この 気持ちが愛国心。 ・ 一方、国粋主義は、自分の国が一番だと主張し他を認めないもの。これは 愛国心ではなく、排他的な狭量な心。 ・ 世界中のどの国の人々も愛国心を持っており、他の国の人々はその気持ち を理解し、尊重することが重要。多様性の理解、尊重ということ。 ・ 関連して、昨今の世論調査で、日本人の大多数が「X国(という国)が嫌 い」という結果が報道されることがある。ここで注意すべきは、「X国人が 嫌い」というひとくくりにした表現は不適であること。今日この会場いるほ ぼ全員が熊本県人だと思うが、一人ひとり個性があり異なっている。同様に X国の国民全員が同じであるはずがない。「X国のY党政府が嫌い」という 意思表示であればまだ理解できる。 ============================================================ 会場を飾った第一高等学校華道部による生け花:作品名「心星(しんぼし)」 (参考) 同チームは、平成25年9月に開催された「Ikenobo花の甲子園20 13」九州沖縄地区大会においてみごと優勝されました。 さらに、その後11月17日に開催された全国大会では最優秀校の栄冠に輝 きました。