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商店街の屋外広告物からみた街並み形成デザインコードの

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商店街の屋外広告物からみた街並み形成デザインコードの
商店街の屋外広告物からみた街並み形成デザインコードの提案
-和歌山市ぶらくり丁商店街を対象にして-
-Proposal of Townscape Regulation for Advertising in Burakuri,Wakayama空間デザイン研究室
60105030
土屋 寛恭
概要:衰退の一途をたどる市街地の商店街活性化は、歩行者中心の中心市街地活性化事業が盛んに行われている。一方で、
大規模な改修は費用負担が大きく、地域独特の商店街らしさを失う可能性もある。本研究では、商店街の街並みの印象やに
ぎわいを創出する要素として、看板などの屋外広告物に着目し、その街並みイメージ調査と分析を行う。これらの結果から
和歌山市ぶらくり丁商店街独自の街並み形成において指針となる「デザインコード」の提案を目的とする。最後に、3DCG
シミュレーションによるぶらくり丁商店街の景観改修デザイン案を提示する。
キーワード:
商店街、屋外広告物、街並み景観、3DCG、デザインコード
1.はじめに
衰退する商店街の活性化のために本研究では商店街の
屋外広告物に着目して、商店街独自の街並みを形成するデ
ザインコードの提案を行う。現状の和歌山市中心市街地に
おける商店街の問題点、そして実際に景観整備を行った商
店街と比較しデザインコードの必要性を明らかにする。ま
た3DCG を用いて景観シミュレーションを行うことでデ
ザインコードが景観向上に対して寄与しているのか検証
する。図 1 に研究の流れを示す。
図2.アンケートの集計結果
4.
景観整備を実施した商店街との比較実験
実際にカラー舗装や商店の外観を改修した商店街を対
象に、ぶらくり丁商店街との街並み景観を比較して、SD
図1.研究の流れ
法を用いて心的反応を測定する。比較対象の商店街を表1
に示す。
表1
2.研究対象地
立地条件
景観整備
粉浜商店街
○
△
天神橋三丁目商店街
○
○
ぶらくり丁商店街
×
△
本研究では、中心市街地商店街の一つである、和歌山市
ぶらくり丁商店街に設定した。ぶらくり丁商店街は和歌山
城からも近く、観光地に適した立地にありながらシャッタ
ーで閉じられた商店が多く、利用客も少ない。
(○・・・良い △・・・どちらでもない ×・・・悪い)
4.2.
3.
ぶらくり丁商店街におけるアンケート調査
現在のぶらくり丁商店街の街並み景観に対して、印象な
ど商店主を対象にアンケート調査を行った。
商店主 37 人に対してSD法を行った結果を図2に示す。
アンケート結果
本実験では和歌山大学の学生 20 人にスライドを用いて
ウォークスルー形式で呈示した。その屋外広告物に関する
印象評価の結果を図3に示す。総合的にみると、ぶらくり
丁商店街は3つの商店街の中で一番悪いと言える。
「活気
商店街と屋外広告物に対する印象はほぼ同じであり、
「活
がない」
、
「統一感がない」
、
「醜い」
などの評価が得られた。
気がない」
「統一感がない」という評価が得られた。
4.3.
相関分析
SD法から得られたデータをもとに相関分析を行った。
次にその結果を用いてt検定を行い、有意差があるか調べ
た。有意差があり、かつ、強い相関がみられたもの(±0.7
~±1)を選出した。屋外広告物からみたデザインコード
の必要性の観点から考察すると、粉浜商店街では、統一感
と美しさ、配色の良さと快適性に高い相関がみられた。天
神橋三丁目商店街には統一感と快適性に高い相関がみら
れた。ぶらくり丁商店街では統一感と調和性に高い相関が
みられた。よって統一感や配色の良さは、快適性や調和性
に深くかかわっていると考察できる。
図6.グラフィックデザイン案
6.景観シミュレーション実験
現況のぶらくり丁商店街の景観とデザインコードを適
図3.他商店街との比較アンケートの集計結果
用した修景案を CG コンテンツで、商店街の景観に対する
印象がどのように変化するのか確認した。
5.屋外広告物からみたデザインコードの提案
以上のことからもデザインコードは必要であると考え
SD法を用いて学生 30 人にアンケート調査を行ったと
ころ、
「変化がある―単調な」という評価項目以外はすべ
てにおいて修景案の評定平均値が上回っていた。(図7)
られ提案を行った。
和歌山城は日本に誇る天守閣を誇り、そこは歴史や情緒
に溢れている。その貴重な観光資源がありながら生かしき
れていない。そこで色彩計画やサインデザインなどをデザ
インコードに盛り込み、現代の城下町を提案する。
図7.現状と修景案の比較
7.まとめ
以上より、屋外広告物に統一感や配色に地域の風土を踏
まえることは、その地域の独自性や印象の向上に非常に有
図4.コンセプトカラースケール(一部)
効であり、本研究で提案した屋外広告物におけるデザイン
コードはデザインの指針を得る上で必要である。今後の展
開としてはデザインコードに関して地元住民の声などを
取り入れたさらなる展開、検証が必要である。
参考文献
[1] 早福毅大、岩佐明彦、
“商店街の街路形状に関する研
究”, 日本建築学会大会学術講演梗概集, 2003
[2]http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/shouten
図5.改修案
gai77sen/index.htm “がんばる商店街 77 選 HP”
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