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Weekly Outlook
投資情報部 2015 年 8 月 6 日(木) Weekly Outlook 週刊投資情報 CONTENTS 1. 日本株見通しとポイント~日本株が世界景気回復シナリオの先陣を切るか ..............2 2. 米国株見通しとポイント~雇用統計の影響大きい ...............................................3 3. 円相場見通しとポイント~米早期利上げ期待からドルは更なる上昇へ .................4 4. 国内経済動向~雇用・所得の改善基調は継続、個人消費を下支え .....................6 5. 新興国市場・経済動向 ........................................................................................8 6. 主な国内株価指数とテクニカル指標の推移 .......................................................13 7. 今週のストラテジー・セレクション .......................................................................14 8. TPP大筋合意見送り~ギリギリの綱渡りシナリオと経済対策の現実味 ..............15 9. 市場評価の高まりが期待される 7 月、8 月高値の好業績銘柄 ...........................19 10. インド経済~予想通り政策金利は据え置き .......................................................20 11. 来週・再来週の主なスケジュール ......................................................................21 1 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 No.216 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 1.日本株見通しとポイント~日本株が世界景気回復シナリオの先陣を切るか 日本株担当: 長谷川 浩 東証1部の売買代金が7月30日に約3週ぶりに3兆円の大台に乗り、その後も比較的高水準の売買が続い ている。「出来高は株価に先行する」と言われる。6月以降の株価の上値が重い理由として世界景気の回復 の鈍さを指摘してきたが、その要因の一つである中国において、新たなインフラ投資策が発表された。中国 の景気減速懸念は依然としてくすぶるものの、日本株は「その先」を織り込み始めている可能性がある。 8月5日以降は円安、株高の動き 資が決定された。中国株安による景気下振れ懸念はあ るものの、政府部門による政策効果が顕在化し始めたこ とは中国の景気減速懸念の後退につながるとともに、世 界景気の回復に対する投資家の期待が高まることが考 えられる。こうしたタイミングを捉え、中国経済との関係 が比較的深いとみられる日本株が他の市場に先駆けて 上昇し始めるシナリオは検討に値しよう。足元の東証の 売買代金の増加と考えあわせると、その蓋然性は決し て低くはないように思われる。 先週末以降の日経平均はおおむね横ばい推移とな った。4日に発表された毎月勤労統計では6月の実質賃 金が前年同月比2.9%減となったが、ボーナス支給日の 後ずれの影響によるものとの解説で株価への影響は見 られなかった。5日に米国の利上げ観測が高まり、ドル 円が円安となったことから日経平均は前日比93円高と なり、翌6日の取引時間中には7月21日以来の20,800円 台まで上昇した。日銀の金融政策決定会合を受けて7 日に黒田総裁の会見が開かれるが、政策変更の予想 は少なく、事前の株価への影響は見られなかった。 図表1. 日経平均と東証1部売買代金の推移 売買代金の増加は高値更新のサインか (円) (兆円) 22,000 一般的に「出来高は株価に先行する」と言われる。す なわち、株価が上昇する前に売買代金が増加する傾向 があるとの相場格言である。実際、昨年12月以降の日 経平均と東証1部売買代金の関係を見ると、日経平均 がある程度の上昇期間に入る前に売買代金が底打ち、 あるいは増加に転じている(図表1)。足元では、7月30 日に約3週ぶりに3兆円の大台に乗った後、比較的高水 準で推移している(図表2)。7月第2週に売買代金が増 加したのは、上海総合指数の急落等によって、日経平 均が20,000円の大台を割った時である。投資部門別売 買動向では、この時は個人投資家が大幅買い越しとな っていた。しかし、7月30日以降の株価の動きをみると、 日経平均が2万円を割るような局面ではないにも関わら ず売買代金が増加している。世界景気回復の鈍さから、 当面日本株の上値は重いと見てきたが、夏休みシーズ ン入りで市場参加者が少なくなるとみられる中でのこの 売買代金の増加は、日本株が上値を抜ける前のサイン となっている可能性を考える必要がありそうだ。 3.0 20,000 日経平均(左軸) 2.8 18,000 2.6 2.4 16,000 東証1部売買代金 (25日平均)(右軸) 14,000 14/12/1 2.2 2.0 15/2/2 15/3/31 15/6/1 15/7/28 (年/月/日) 出所: Astra ManagerよりSMBC日興証券作成 図表2. 日経平均と東証1部売買代金の推移(直近) (円) (兆円) 21,000 8.0 7.0 日経平均(左軸) 20,500 6.0 5.0 中国に対する懸念後退が株価上昇の契機に 20,000 4.0 そこで思い当たるのが、中国経済の動きである。日本 株は比較的中国の株価や経済指標に左右される傾向 が見られる。中国では、やや低調に推移してきたインフ ラ投資の伸び率が6月には高まってきており、4月に決 定されたインフラ投資拡大政策の効果がようやく現れは じめた模様である。さらに、7月末には新たなインフラ投 3.0 19,500 2.0 東証1部売買代金(右軸) 19,000 15/4/1 1.0 15/6/2 15/7/29 (年/月/日) 出所: Astra ManagerよりSMBC日興証券作成 2 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 3.2 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 2.米国株見通しとポイント~雇用統計の影響大きい 日本株・米国株担当: 河田 剛 7月30日以降の米国株市場は、一部企業の決算が低調だったことや、利上げ観測などから軟調となった。 4-6月期決算は、事前予想を上回るペースだが、減益となる可能性が出てきており、目先の株価の重石とな ろう。利上げ時期を巡って、雇用統計の注目度が高まっており、7月雇用統計が事前予想を上回れば、9月 利上げの観測が強まり、株価は上値が重くなると見られるが、逆に予想を下回れば、株価は上昇しよう。 先週、今週のレビュー~軟調地合い続く 当面の見通し~雇用統計の影響大きい 7月30日の米国株市場は、7月25日終了週の新規失 業保険申請件数が事前予想を下回ったものの、プロク ター・アンド・ギャンブルの4-6月期決算が低調だったこ とや、4-6月期のGDP(速報値)が事前予想を下回ったこ となどから、ダウ工業株指数(NYダウ)は前日比▲5ドル となった。31日には、4-6月期の雇用コスト指数が事前 予想を下回り、利上げ期待がやや後退したものの、シェ ブロンやエクソン・モービルの4-6月期決算が事前予想 を下回ったことや、セントルイス連銀のブラード総裁が利 上げに前向きな発言を行ったことなどから、NYダウは▲ 56ドルとなった。週明け8月3日は、中国株が軟調だった ことや、7月のISM製造業景況指数、6月の建設支出が 事前予想を下回ったこと、原油価格の下落などから、 NYダウは▲91ドルとなった。4日は、商品価格の反発か らエネルギー株などが上昇したものの、アップルなどハ イテク株が軟調だったこと、アトランタ連銀のロックハート 総裁が9月の利上げに前向きな発言を行ったことなどか ら、NYダウは▲47ドルとなった。5日は、7月のADP雇用 統計が事前予想を下回り、利上げ期待の後退要因にな ったものの、7月のISM非製造業景況指数が事前予想 を大きく上回り、金利が上昇したことや、原油価格が下 落したことなどで、NYダウは▲10ドルとなった。 経済指標では7日発表予定の7月の雇用統計(事前 予想:非農業部門雇用者数、前月比+22.5万人、民間 部門雇用者数、+21.2万人、時間当たり賃金、+0.2%、 失業率5.3%)、13日発表予定の7月の小売売上高(事 前予想:前月比+0.4%)などが注目される。4-6月期の決 算については、8月5日までにS&P500採用企業のうち 425社(85.0%)が発表を終えているが、全産業のEPS(1 株当たり利益)が前年比▲1.7%、金融除くベースが▲ 3.2%、エネルギー除くベースが+4.8%と、7月7日の直前 予想(全産業▲6.5%、金融除く▲7.6%、エネルギー除 く+0.6%)を上回るペースとなっているが、全産業、金融 除くでは減益の可能性が出てきている。減益となった場 合、目先の株価の重石となる可能性があろう。一方、金 融政策面ではFRB(連邦準備制度理事会)が重視する 雇用コスト指数の4-6月期分が前四半期比+0.2%と低い 伸びにとどまったため、利上げ時期を占う上で、今後の 雇用統計で主要指標の改善が進むかどうかが市場の 最大の焦点となろう。7月の雇用統計が事前予想を上回 れば、9月利上げの観測が強まり、株価は上値が重くな ろう。逆に予想を下回った場合は利上げ先送りの見方 から株価は上昇しよう。 事前予想は Bloomberg、2015 年 8 月 6 日 10 時時点のもの 7月のISM製造業景況指数 8月3日に発表された7月のISM製造業景況指数は、 前月比▲0.8の52.7と、事前予想(53.5)を下回ったが、 景況感の分かれ目である50を32ヵ月連続で上回った。 内訳では新規受注が6月の56.0から56.5に上昇した。生 産も6月の54.0から56.0に上昇した。一方、雇用は6月の 55.5から52.7へと低下した。支払価格は6月の49.5から 44.0に低下した。これは鉄鋼、アルミなどの価格下落が 背景になっているとみられる。その他の指標では、7月 16日発表の7月のフィラデルフィア連銀景況指数は事 前予想を下回ったが、15日発表の7月のニューヨーク連 銀製造業景況指数、31日発表の7月のシカゴ購買部協 会景気指数、8月5日発表の7月のISM非製造業景況指 数は事前予想を上回る結果となった。全体としては、企 業景況感は改善傾向にあると考えられる。 図表1. ISM製造業景況指数の推移 (%) 65 60 55 50 45 景気の好不況の分かれ目の目安 となる50ライン 40 35 30 09 10 11 12 出所: BloombergよりSMBC日興証券作成 3 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 13 14 15 (年) 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 3.円相場見通しとポイント~米早期利上げ期待からドルは更なる上昇へ 欧米・為替担当: 本間 英至 ドル円は、これまで上値を抑えてきた「黒田シーリング」を突破し、一時約2ヵ月ぶりに125円台を回復した。 「シーリング」突破のトリガーとなったのは米国の早期利上げ観測の高まり。市場は早期利上げの可能性を 依然十分に織り込んでおらず、米景気の緩やかな拡大が確認されるにつれて、米金利の上昇とともに更な るドルの上昇が期待されよう。今週末の米雇用統計は重要イベントとなり要注目である。 この1週間(7/30~)のレビュー 米景気は「緩やかな拡大」が継続 ドル円は、週明けにかけて米経済指標に一喜一憂し ながらも、概ね124円を挟んでの小動きに終始した。しか し、4日に地区連銀総裁が9月利上げに前向きな姿勢を 示すとドルが上昇。翌5日には、ISM非製造業景況指数 の予想以上の上昇をきっかけにドル買いが加速し、一 時125円台を回復した。豪ドル円は上昇。4日に豪中銀 が発表した金融政策決定会合後の声明で、豪ドル高に 対する豪中銀の警戒姿勢が和らいだとの見方が浮上し、 一時92円台に乗せる場面もあった。一方、ユーロ円は、 31日に137.35円まで上昇後、5日には135.00円まで下 落するなど、米経済指標などを材料としたユーロの対ド ルでの動きに振り回される展開となった。NZドル円は、 下げ止まらない乳製品価格動向などを材料にじり安の 展開となり、5日には一時81.06円まで売られた。(東京 時間8/6正午時点) 米国の景気動向もドル上昇の大きな要因となってい る。5日に発表された7月のISM非製造業景況指数は約 10年ぶりの高水準を記録し、米景気の拡大ピッチの加 速を示唆。一方、3日のISM製造業景況指数は予想外 の低下となったものの、新規受注指数が4ヵ月連続で上 昇して昨年12月以来の高水準に達するなど悪くない内 容だった。FRBは年内利上げの可能性を示唆しつつも、 利上げのタイミングは「データ次第」との見解を繰り返し 円相場の見通しと来週にかけての注目材料 121 ドル円は一時「黒田シーリング」を突破 120 ドル円は6月中旬以降4度に亘り、市場が「黒田シーリ ング」として意識する124円台半ばから125円の壁に突き 返されてきたが、8月5日に「シーリング」の下限を突破す ると、ドル売り筋の買い戻しを巻き込んでドル高が加速。 一時125.01円と6月8日以来、約2ヵ月ぶりに125円の大 台を回復した。(「黒田シーリング」については、7/23付 「Weekly Outlook」為替欄を参照のこと) 119 図表1. ドル円相場の推移 126 6/5 125.86円 125 124 123 122 6/10 黒田総裁が発言 118 3/2 2015年 3/23 4/13 5/4 5/25 6/15 7/6 7/27 (月/日) 出所: BloombergよりSMBC日興証券作成 図表2. 米ISM製造業景況感指数の推移 66 「シーリング」突破は米早期利上げ期待がトリガー 64 これまで当欄でも指摘してきたように、「黒田シーリン グ」突破のトリガーは、やはり米早期利上げ期待の高ま りであった。アトランタ連銀のロックハート総裁は4日、 「深刻な経済の悪化が認められない限り、9月の利上げ が適切」と発言。ロックハート総裁が市場を動かすのは 珍しい。7月28~29日のFOMC(連邦公開市場委員会) からまだ日が浅く、FRB(連邦準備制度理事会)関係者 の発言は少ない。そうした中、同総裁は政策姿勢が中 立的でFRB内部のコンセンサスに従う傾向があることか ら、FRBは9月利上げの判断に傾きつつあるとの思惑を もたらす格好となった。 62 新規受注指数 総合指数 60 58 56 54 52 50 48 景気の好不調の目安とされる50のライン 46 12/1 12/5 12/9 13/1 13/5 13/9 14/1 14/5 14/9 15/1 15/5 (年/月) 出所:全米供給管理協会よりSMBC日興証券作成 4 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 「黒田シーリング」 下限の目安 (円/米ドル) 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 表明している。その際にFRBが確認したいのは、相当に 強い景気拡大ではなく、2%台半ば前後を目安とした 「緩やかな景気拡大」が続いていることであり、その持続 力の有無。上記のISM景況指数の他、一部やや期待外 れの経済指標も含めて総じてみると、米景気は着実に 「緩やかな拡大」基調を辿っている様子が窺え、9月の 利上げ開始を支援する状況と推測される。 は、7月NAB企業景況指数(8/11)発表の他、豪中銀の ロウ総裁補佐(8/12)、ケント総裁補佐(8/14)の講演がそ れぞれ予定されている。また、中国で8日以降発表され る貿易収支や小売売上高、鉱工業生産などの主要な 月次経済指標(いずれも7月分)も豪ドルの注目材料と なりそうだ。 市場は早期利上げを依然十分に織り込んでいない のが現状である。米景気は今後も引き続き良好に推移 する見込みであることを踏まえれば、ドル円は利上げ期 待の高まりとともにドル高円安基調を辿ることが期待され よう。 ギリシャは現在、ユーロ圏など債権者側と金融支援に 向けた協議が行われている。関係者の発言によると、協 議は概ね順調に進んでいる模様であり、引き続き、ECB (欧州中央銀行)が保有するギリシャ国債の償還日であ る8月20日までを目標に支援プログラムをまとめたい意 向とみられる。なお、欧州委員会のユンケル委員長は 20日ではなく8月末まで協議が続く可能性があるとの見 解を示したが、この場合つなぎ融資の実施が予想され、 ギリシャ国債の償還に絡む不安再燃の可能性は低いと みられる。 ギリシャの現状について 週末の雇用統計が目先最大の注目イベント 当面の注目材料だが、何よりも今週末(8/7)に発表さ れる7月の米雇用統計が最大の注目イベントとなる。7月 29日に発表されたFOMC声明では、利上げが正当化さ れる労働市場の条件に関する記述について、それまで の「更なる改善がみられれば」に「幾分の」を追加。条件 のクリアに相当程度接近しているとFRBが認識している ことが示唆された。市場(Bloomberg調査)では、非農業 部門雇用者数を前月比+22.5万人(前月:+22.3万人)と 予想。見込み通り、米景気の緩やかな拡大と整合的な 結果が示されれば、早期利上げへの思惑から一段のド ル高も期待されよう。来週にかけては、7月小売売上高 (8/13)、7月鉱工業生産(8/14)、8月ミシガン大学消費 者信頼感指数(速報、8/14)といった経済指標が発表予 定となっている。ただ、夏季休暇入りで市場参加者が減 少し、値動きが抑えられる可能性も想定される。 図表3. 米ISM非製造業景況指数の推移 65 60 55 50 45 40 豪ドルは当面ボックス推移の見込み 景気の好不調の目安とされる50のライン 5 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 千 35 05/1 06/1 07/1 08/1 09/1 10/1 11/1 12/1 13/1 14/1 15/1 豪ドルは月末月初に一時90円を割り込んだが、その (年/月) 後反発して一時92円台を回復した。4日の金融政策決 定会合(政策金利を2.00%で据え置き決定)後の声明で、 出所:全米供給管理協会からSMBC日興証券作成 前回までの「商品市況の急落を考慮すると、豪ドルは一 図表4. 豪ドル円と投機筋の対米ドルのポジション 段と下落する可能性と必然性がある」との記述が「豪ド (円/豪ドル) (千枚) (注:1枚=100,000豪ドル) 106 120 ルは商品市況の急落に適応しつつある」に変更。豪中 投機筋の豪ドルポジション 104 (対米ドル、豪ドル買い残高-売り残高、右軸) 銀の通貨高に対するけん制姿勢が和らいだとの見方が 80 102 浮上し、豪ドル売りを積み増していた投機筋などの買い 100 40 98 戻しをもたらす格好となっている。また、6月小売売上高 96 や7月雇用者数が事前予想を上回るなど良好な経済指 0 94 標も散見されており、景気の先行き不安の後退も豪ドル 92 -40 をサポートしている模様だ。ただ一方で、足元では反発 90 豪ドル円(左軸) 88 -80 しているとはいえ、鉄鉱石価格の動向には引き続き注 86 ※投機筋のポジションの直近は7/28 意を要しよう。当面は供給超過から同価格は下振れ懸 84 -120 13/1 13/4 13/7 13/10 14/1 14/4 14/7 14/10 15/1 15/4 15/7 念があり、豪ドルの上値抑制要因となることも予想される。 (年/月) これらから、豪ドルは好悪材料綱引きのなか、ボックス圏 出所:CFTC、BloombergよりSMBC日興証券作成 での推移が今しばらく続くと考えられよう。来週にかけて 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 4.国内経済動向~雇用・所得の改善基調は継続、個人消費を下支え 日本経済・金利担当: 野村 真司 6月も雇用・所得の改善傾向が続いている。雇用面では、女性を中心とする労働市場への参入が女性の就 業者数を過去最高に押し上げた。また、所得面では今春のベアを反映し基本給等の所定内給与の改善に つながっている。6月の個人消費関連指標は天候不順等も影響し低調。7月は自動車販売が低迷したもの の、雇用・所得の改善に猛暑効果も加わり、今夏は総じて底堅い個人消費が期待されよう。 6月雇用・所得関連:改善傾向が継続 図表1.完全失業率と有効求人倍率の推移 6月の完全失業率(季節調整値、以下同)は3.4%と、 前月から0.1ポイント上昇したものの、引き続き低水準を 維持している(図表1)。就業者数が前月比+34万人の 6,391万人と大幅に増加すると共に、完全失業者も同+4 万人の222万人と1月以来の増加に転じたことを受けて 失業率は上昇に転じた。ただ非労働力人口(労働市場 からの退出)が同▲35万人と大幅に減少。特に女性が 同▲25万人と大半を占めており、女性を中心に労働市 場に新たに参入していることが読み取れる。その結果、 女性の就業者数は同+25万人の2,772万人と過去最高 を更新した。失業率は上昇したものの、非労働力人口 の減少=労働力人口の増加が主因であり、前向きに評 価できよう。なお、3.4%という失業率は賃金が上昇しや すい雇用環境にある。3%台前半から半ばとみられる構 造的失業率は、求人と求職の間にあるミスマッチに起因 する失業の存在を前提として、過剰労働力が解消した 状態にあるためだ。 (%) 6.0 (倍) 5.5% 有効求人倍率 (右軸) 5.5 1.4 1.19倍 (2015/6) 1.2 5.0 1.0 4.5 0.8 4.0 0.6 3.4% (2015/6) 完全失業率 (左軸) 3.5 0.4 0.43倍 (シャドウ部分は景気後退期) 3.0 0.2 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (年) 出所: 総務省「労働力調査」 厚生労働省「一般職業紹介状況」よりSMBC日興証券作成 図表2.雇用者所得の推移 (前年同月比、寄与度、%) 6 3.9 4 3.6 2 一方、特殊要因もあり現金給与総額は落ち込み、雇 用者所得ベースでは2013年8月以来の前年同月比マイ ナスとなった(図表2)。6月の毎月勤労統計(従業員5人 以上)によれば、従業員1人当たり平均の現金給与総額 は同▲2.4%と2014年11月以来のマイナス。賞与にあた る特別給与の落ち込み(同▲6.5%)が主因だ。但し、① 相対的に賞与が大きい30人以上の事業所における6月 の支給割合が低下、②一部の事業所で5月に前倒し支 給が生じた可能性、③夏季賞与は7月、8月に支払われ ることが多いことから6~8月の状況を総合的に判断する 必要がある。また、基本給等の所定内給与は同+0.4%と 4ヵ月連続のプラス。春季労使交渉で広がったベースア ップ(ベア)の結果が反映されつつあり、賃金は緩やか に改善している。雇用の改善、特殊要因の剥落、マイル ドな物価動向を勘案すれば、名実共に雇用者所得の 改善が見込まれ、個人消費を下支えしよう。 0 -2 特別給与(賞与) 所定外給与(残業代) 所定内給与 常用雇用指数 雇用者所得(=雇用指数×給・賞与計) -4 -6 (注)事業所規模5人以上 -8 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年) 出所: 厚生労働省「毎月勤労統計」よりSMBC日興証券作成 図表3.個人消費関連指標の推移 (2010年平均=100) 112 110 108 消費総合指数 :右軸 (季節調整値) (2005年平均=100) 実質消費支出 :左軸 115 110 106 104 105 102 100 100 98 96 6月家計調査:総務省は基調判断を据え置き 94 92 家計調査によると、6月の実質消費支出(季調値)は 前月比▲3.0%(5月同+2.4%)と2ヵ月ぶりに減少した(図 表3)。また、GDPベースの民間最終消費の基礎統計と 95 小売業販売額指数 :左軸 実質消費支出(除く住居等) :左軸 90 09/1 09/7 10/1 10/7 11/1 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 (年/月) 出所: 経済産業省「商業動態統計」、総務省「家計調査」、 内閣府「月例経済報告」よりSMBC日興証券作成 6 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 -0.3 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 なる実質消費指数(除く住居等)も、前月比▲2.6%(5月 同+2.1%)と2ヵ月ぶりの減少。低温や多雨等の天候不 順が大きく影響した可能性が高い。また、百貨店のセー ルが7月にずれ込んだことも下押し要因となった。総務 省は、家事用耐久財等が回復してきていることから消費 支出の基調判断を「このところ持ち直している」に据え置 いた。 図表4.新設住宅着工戸数の推移 (万戸) 130 (季節調整済年率換算値) 120 110 100 90 80 6月新設住宅着工:政策効果もあり前年比2ケタ増 70 60 6月の新設住宅着工戸数は前年同月比+16.3%(5月 同+5.8%)と、4ヵ月連続のプラスとなり、消費増税前の 駆け込み需要の反動減が薄れ持ち直しに転じている。 また、季調済前月比でも+13.4%(5月同▲0.2%)と3ヵ月 ぶりのプラス。季調済年率換算値では103.3万戸と、消 費 増 税 前 の駆 け込み需要 のピーク時 ( 2013年 12月 : 103.4万戸)とほぼ同水準に達した(図表4)。 50 40 08 09 10 11 12 13 14 15 (年) 出所: 国土交通省「建築着工統計」よりSMBC日興証券作成 図表5.新車販売台数の推移 50 当面も、足元の雇用・所得環境の改善に加え、住宅 取得等資金に係る贈与税の非課税措置拡充、長期固 定型の住宅ローン【フラット35】Sの金利引き下げ幅の拡 大、省エネ住宅に関するポイント制度(最大45万円分の ポイント付与)の実施等、政策効果も追い風となり、底堅 い数字が見込まれる。 (万台) (季節調整値) 新車販売台数 (軽自動車を含む乗用車)2010年8月 45 エコカー補助金終了 (2012/9/21) 1月 45.3 45.2 東日本大震災 (2011/3/11) 40 35 7月 33.7 30 消費増税実施 (2014/4/1) エコカー補助金終了 (2010/9/7) 25 3月 7月新車販売台数:軽自動車中心に低迷 20 エコカー補助金復活 (2011/12/20) (注)季節調整は弊社試算 4月 7月の新車販売台数(軽自動車含む)は前年同月比 ▲ 7.6%の 42.5 万 台 と 7 ヵ 月 連 続 の マ イナ スと なった 。 660cc超の登録車が同▲1.3%と4ヵ月ぶりのマイナスに 転じたことに加え、軽自動車も4月に実施された軽自動 車税引き上げ前の駆け込み需要の反動が継続し、同▲ 18.1%と4ヵ月連続の2ケタ減となっている。 15 08 10 11 12 13 14 出所: 日本自動車販売協会連合会よりSMBC日興証券作成 季節調整値でも登録車、軽自動車共に低迷し、前月 比▲5.1%の33.7万台と直近のボトムである4月と同水準 (図表5)。当面も30万台半ば前後での横ばい圏の動き が見込まれる。雇用・所得環境の改善が継続しているこ とに加え、株高に伴う資産効果は新車販売にはプラス 要因。しかし、軽自動車で駆け込み需要の反動に加え、 大手メーカー間で年度末の3月まで繰り広げられた激し い販売競争の反動も残存している。また、今秋の東京 モーターショー開催を控え、夏場は新車投入が手控え られることも販売台数の押し上げにはつながりづらい。 7 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 09 15 (年) 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 5.新興国市場・経済動向 新興国担当: 山本 正樹 / 白岩 千幸 / 武田 泰典 / 前田 佑太 新興国株式市場は、中国株が落ち着きを取り戻す中、概ね買い戻しの動き。為替市場では、米早期利上げ 観測の高まりからドル全面高となり、新興国通貨は対ドルで総じて下落も、対円ではまちまちとなった。今週 末は7月米雇用統計発表を控えており、米利上げ観測の高まりによるリスク回避的な動きに警戒が必要な 時間帯となろう。新興国では中国、インド等の経済指標の他、トルコ、ブラジル等の政治動向が注目される。 最近の新興国市場の動向 新興国株式市場は、概ね堅調に推移。先週初に中 国株の急落を受けて下落したが、中国株市場が落ち着 きを取り戻す中、概ね買い戻しの動きとなっている。直 近1週間の株価指数騰落率(図表1、5日時点)では、イ ンドネシア株(+2.7%)やインド株(+2.4%)等が上位とな った。インドネシア株は先週初の中国株急落後、年初 来安値に沈んでいたが、値ごろ感や4-6月実質GDPが 大幅に減速しなかったことから、買い戻された。インド株 は、政府が国営銀行への資本注入規模を拡大する方 針を示したこと等が好感され、銀行株を中心に買われた。 一方、中国・上海株(▲2.5%)は、30日に開催された共 産党中央政治局会議で景気の下振れリスクに対する懸 念が示されたことに加え、軍制服組前トップが汚職問題 で党を除籍処分になり、政治的不透明感も重石となっ た。中国株は先週初の急落後はもみ合いとなっており、 下落基調には歯止めがかかりつつある。 為替市場では、米早期利上げ観測の高まりからドル が全面高となり、新興国通貨は対ドルで総じて下落した。 一方、円も対ドルで下落したことから、新興国通貨対円 相場はまちまちとなった。直近1週間の通貨騰落率(図 表1、5日時点、対円)では、インドルピー(+1.0%)が政 策金利の据え置き(4日)等を受けて堅調となり、対ドル でも小幅高となった。一方、ロシアルーブル(▲6.9%)は 原油安や追加利下げ(31日)を背景に大幅安となった。 また、ブラジルレアル(▲3.8%)は、利上げ打ち止め観 測や6月基礎的財政収支の大幅な悪化等を背景に売ら れた。(前田) 図表1. 主な新興国市場の動向 直近値 騰 落 率 (% ) 8月 5日 2015年 初 来 2014年 年 間 過 去 1週 間 過 去 30日 間 過 去 90日 間 過 去 1年 間 株価指数 中国 インド 韓 国 インドネシア タイ マレーシア フィリピン ロシア トルコ 南アフリカ ブラジル メキシコ 為替 上海総合指数 香港ハンセン指数 SENSEX30種指数 韓国総合指数 ジャカルタ総合指数 SET指数 FBM KLCI総合指数 フィリピン総合指数 MICEX指数 イスタンブール100種指数 JSE全株指数 ボベスパ指数 ボルサ指数 3,694.57 24,514.16 28,223.08 2,029.76 4,850.53 1,436.36 1,725.56 7,662.55 1,693.07 78,134.32 52,774.21 50,287.27 44,937.61 14.2 3.9 2.6 6.0 ▲7.2 ▲4.1 ▲2.0 6.0 21.2 ▲8.9 6.0 0.6 4.2 52.9 1.3 29.9 ▲4.8 22.3 15.3 ▲5.7 22.8 ▲7.1 26.4 7.6 ▲2.9 1.0 ▲2.5 ▲0.4 2.4 ▲0.4 2.7 1.3 1.6 2.4 4.4 0.1 2.3 0.1 1.0 ▲2.2 ▲2.9 0.1 ▲1.2 ▲1.3 ▲2.5 0.5 2.8 4.4 ▲5.1 2.7 ▲3.6 0.3 ▲10.2 ▲10.2 6.1 ▲2.9 ▲5.8 ▲4.1 ▲4.4 ▲2.0 0.4 ▲5.4 ▲0.9 ▲11.7 0.4 66.4 ▲0.5 8.9 ▲1.8 ▲5.1 ▲6.1 ▲8.1 9.9 24.7 ▲3.1 2.8 ▲10.5 1.0 4.2 3.3 ▲2.8 ▲4.3 ▲2.4 ▲6.1 1.7 ▲4.6 ▲12.6 ▲5.7 ▲20.5 ▲6.0 10.9 11.4 9.4 11.7 13.0 6.5 12.8 ▲35.6 4.6 3.2 1.0 0.5 0.7 1.0 ▲0.3 0.3 0.2 ▲1.1 0.1 ▲6.9 ▲0.0 ▲1.2 ▲3.8 0.2 1.9 1.1 ▲2.3 0.7 ▲2.0 ▲0.3 0.1 ▲8.7 ▲2.1 ▲1.3 ▲8.3 ▲2.2 4.2 5.1 ▲2.8 1.4 ▲0.6 ▲3.4 1.9 ▲17.3 0.5 ▲1.9 ▲9.5 ▲2.4 20.9 16.5 7.3 5.4 11.5 ▲0.3 15.5 ▲30.7 ▲6.0 2.4 ▲20.4 ▲1.2 ※プラスは外貨高・円安、マイナスは外貨安・円高 中 国 インド 韓 国 インドネシア タイ マレーシア フィリピン ロシア トルコ 南アフリカ ブラジル メキシコ 円/人民元 円/インドルピー 円/韓国ウォン(x100) 円/ルピア(x100) 円/バーツ 円/リンギ 円/フィリピンペソ 円/ルーブル 円/トルコリラ 円/ランド 円/レアル 円/メキシコペソ 20.10 1.95 10.63 0.92 3.54 32.08 2.71 1.96 44.78 9.76 35.80 7.62 注: 「直近値」については、当該日付が休場となっている場合は、その前営業日の値を掲載 出所: BloombergよりSMBC日興証券作成 8 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 新興国市場関連トピック 月28日の国務院常務会議では新たなインフラ投資とし て電線や通信回線等の地中化推進が決定された。 8月4日には発展改革委員会が承認した「特定建設 債実施法案」の内容が報じられた。これによると、政府 系の政策銀行がインフラ投資の資金調達を目的とする 「特定建設債」を起債し、利子の9割は中央政府が補助 する。政策銀行はその資金により投資ファンドを設立し、 投資ファンドは地方政府の投資プロジェクトに資本参加 する。インフラ投資拡大のため、今後複数年かけて総額 1兆元以上の特定建設債が発行されるとみられる。5日 には中国国家開発銀行と中国農業開発銀行が計3,000 億元の特定建設債を発行すると報じられた。(白岩) 中国~製造業の企業景況感は悪化 8月1日に中国物流購入連合会(CFLP)が発表した7 月の製造業購買担当者指数(PMI)は前月比▲0.2pt、 景況感の分かれ目となる50.0となった。サブ指数では、 新規受注が▲0.2ptとなったほか、世界的な商品市況の 下 落 と 国 内 需 要 の 鈍 化 などを背 景 に 購 買 価 格 は▲ 2.6ptと昨年3月以来の大幅低下となった。規模別では、 中小企業の景況感が大幅に悪化したとみられる。 また 、 8 月 3 日 に 発 表 された 財 新 の製 造 業 PMI( 旧 HSBC製造業PMI)確定値は、7月24日に発表された速 報値に比べて▲0.4ptの47.8(前月比▲1.6pt)と2013年7 月以来の低い水準となった。輸出向け新規受注は速報 値よりも高くなったものの、新規受注全体は速報値に比 べて▲0.9ptとなったことから、内需向けの新規受注は速 報値よりも大幅に落ち込んだとみられる。7月後半には 株価が落ち着きを取り戻しつつあったものの、企業景況 感の悪化には歯止めがかからなかったものとみられる。 中国~人民元SDR組み入れは来年10月以降の公算 日本時間の5日早朝、IMFはスタッフレポートを発表し た。同レポートでは、人民元について、SDR(特別引出 権)構成通貨の採用基準である国際決済での利用頻度 は拡大したものの、為替取引や金融市場の自由化が遅 れていると指摘した。また、人民元組み入れの最終判断 一方、1日に発表された7月のCFLP非製造業PMIは に必要なデータ収集や分析に時間がかかるとの見方を 前月比+1.0ptの53.9と5ヵ月ぶりの高い水準となった。ま 示 した。加 えて、人 民 元 をSDRに組 み入れた場 合 の た、3 日 に発 表 された財 新 サービ ス業 PMIも+2.0ptの SDR利用者の混乱を避けるためにも時間が必要との判 53.8と、株価急落にもかかわらず非製造業(サービス業) 断を示し、現在のSDR構成通貨を2016年9月末まで維 は好調を維持した。CFLPによると、旅行やネットショッピ 持すべきと提案した。これにより、人民元が来年初めに ング等の消費関連が堅調だったことに加え、インフラ投 SDRに組み入れられる可能性は事実上なくなったとい えよう。(白岩) 資の拡大を受けて建設業が好調を維持した。 製造業とサービス業を合わせた7月の財新コンポジッ トPMIは前月比▲0.4ptの50.2となった。(白岩) インドネシア~4-6月実質GDP成長率はわずかに減速 5日に発表された4-6月の実質GDPは前年比+4.67% と、1-3月の+4.72%をやや下回った(Bloombergによる市 場予想は+4.64%)。成長率(前年比)の減速は2四半期 連続。内訳では1-3月との比較で個人消費(+5.01%→ +4.97%)、政府消費(+2.71%→+2.28%)、総固定資本 形成(+4.29%→+3.55%)の内需がいずれも減速した。 また、輸出(▲0.85%→▲0.13%)のマイナス幅が縮小す る一方で輸入(▲2.27%→▲6.85%)のマイナス幅は拡 大し、外需(純輸出:輸出-輸入)の成長率に対する寄 与度は+1.60%ptと1-3月の+0.32%ptから拡大。内需の 減速を補った格好となっている。また、在庫の寄与度 (▲0.84pt)は4四半期ぶりにマイナスに転じ、成長率を 押し下げた。総じて、今年前半のインドネシア経済は低 調に推移したものの、年後半は政権交代により遅れて いた予算執行の進捗や中国景気の持ち直し等を背景 に景気はある程度上向くと予想している。 図表2. 中国の財新購買担当者指数(PMI) 55 サービス業 54 53 52 51 コンポジット 50 49 製造業 48 47 14/1 14/7 15/1 15/7 (年/月) 出所: Bloomberg、MarkitよりSMBC日興証券作成 中国~インフラ投資は一段の拡大へ 7月30日の中国共産党中央政治局会議では、景気 の下押し圧力が大きいため、年後半も積極的な財政政 策を維持し、金融政策は緩和と引き締めを適切に行い 合理的な流動性を維持することが決定された。また、7 株式市場では、4-6月実質GDP成長率の大幅な減速 も警戒されていたとみられ、統計発表後、ジャカルタ総 合指数は前日比上昇幅を拡大する展開となった。通貨 9 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 ルピア対ドルレートも発表後、一時下落幅を縮小するな ど、ポジティブな反応となった。(山本) 摘。投資や輸出が悪化した他、鉱業や建設業も引き続 き低迷しているとした。物価については、目先の見通し は改善したものの、予想される米国の利上げに伴う通貨 ペソ下落による物価への影響を引き続き注視していく必 要があるとしている。年後半のメキシコ中銀による政策 金利決定は、米国FOMC(連邦公開市場委員会)の直 後である9月21日の他、10月29日、12月17日となってお り、同中銀は米国の利上げに追随する形で利上げを開 始するとみている。 図表3. インドネシアの実質GDP 7.0 (前年比、%) 6.5 6.0 5.5 一方、メキシコ中銀は、金融政策の結果発表と同時 にペソの下落抑制を目的としたペソ買いドル売り為替介 入の強化策を発表した。これによると、毎営業日無条件 で実施されるペソ買いプログラムの規模は従来の1日当 たり0.52億ドルから2億ドルに拡大された。さらに、従来 ペソが前日比1.5%以上下落した場合、追加で1日当た り2億ドルのペソ買い介入が実施されているが、今後は 同1%以上下落した場合に実施される。いずれも7月31 日から9月30日まで実施される予定で状況に応じて見 直し・延長されることとなっている。 5.0 11年 12年 13年 14年 4-6月 1-3月 7-9月 10-12月 4-6月 1-3月 7-9月 10-12月 4-6月 1-3月 7-9月 10-12月 4-6月 1-3月 7-9月 10-12月 4-6月 1-3月 4.5 15年 出所: CEIC、インドネシア中央統計局よりSMBC日興証券作成 トルコ~金融政策の枠組み変更を発表 トルコ中央銀行のバシュチュ総裁は30日、主要政策 金利の他、市中金利の上下限に相当する金利を政策 金利とする現在の金融政策を変更し、単一の政策金利 にするとの方針を発表した。導入時期や詳細は8月18 日の定例会合後に公表するとしている。 ペソ買い介入プログラムは昨年12月9日に開始され、 3月11日に修正・強化されていた。30日のメキシコペソ対 ドル相場はペソ買い介入強化策の発表を受けて前日比 +0.1%と、新興国通貨が対ドルでほぼ全面安となる中、 逆行高となった。中銀は最近のペソ安に対する懸念を 強めており、こうした中銀の姿勢はペソの下支え要因と なろう。(武田) 現行の金融政策は、複雑で中銀の意図がわかりづら いと一部で批判されており、同総裁はこの変更により、 「信頼感が高まり、結果として外国人投資家の需要と投 資が増加すると期待している」と述べている。この変更は 直ちにリラの上昇につながるものではないが、金融政策 の透明性が向上し、中長期的にはリラのサポート要因に なると期待される。(前田) 図表5. メキシコの政策金利および消費者物価指数 10 9 図表4. トルコの政策金利と市中金利 14 (%) 8 主要政策金利(1週間物レポ金利) 10 9 政策金利 (右軸) 8 7 市中金利(翌日物銀行間金利) 12 (%) (前年比、%) 7 消費者物価指数 (左軸) 6 6 10 5 5 8 4 4 6 3 2 4 2 インフレターゲット 1 06/1 金利コリドー(グレー部分) :市中金利の誘導目標、上限が翌日物貸出金利・下限が翌日物借入金利 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 (年/月) 出所: BloombergよりSMBC日興証券作成 12/1 14/1 1 (年/月) ブラジル~6月の基礎的財政収支は市場予想を下回る 31日に発表された6月の基礎的財政収支は▲93億レ アルと、市場予想の▲54億レアルおよび前年同月の▲ 21億ドルを大幅に下回った。政府は22日に今年の基礎 的財政収支目標を+87億レアル(GDP比+0.15%)に引 き下げたが、1-6月の実績は+16億レアル(進捗率18.6%) メキシコ~中銀がペソ買いドル売り介入を強化 メキシコ中銀は30日、市場予想通り、9会合連続で政 策金利を3.0%に据え置くことを決定した。声明文では、 前回会合時に比べて景気の下振れリスクが増したと指 10 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 10/1 2 出所: CEIC及びメキシコ中央銀行などよりSMBC日興証券作成 0 12/1 08/1 3 消費者物価指数コア (左軸) 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 となっており、引き下げ後の目標も達成できるかどうか微 妙な状況となっている。これを受け、31日のブラジルレ アル対ドル相場は前日比▲1.4%と下落しており、引き 続き財政や格付けへの不安感がレアルの重石となって いる。(武田) インドネシアでは、7月末の外貨準備高(7日)、4-6月 経常収支(14日)、7月貿易収支(14~17日、未定)等の 経済指標が発表される。インドネシアの外貨準備高は6 月末時点で1,080億ドルと、月間輸入額や短期対外債 務との対比では遜色のない水準を維持している。しかし、 2月末の1,155億ドルを直近ピークとして4ヵ月連続の減 少となっており、米利上げ観測等を背景とした自国通貨 安圧力に対して為替介入を行ってきたことが窺える。一 方、インドネシア銀行(中央銀行)幹部が5日、外貨準備 の温存を図るため、今後は為替介入を控え、通貨の変 動を容認する旨の発言をしている。このため、7月末の 外貨準備高が大幅に減少していた場合には、当局が為 替介入を控えるとの観測から、通貨ルピア安圧力が強 まる可能性があろう。一方で、経常収支、貿易収支など の対外収支は引き続き輸入の減少を背景に改善傾向 が続くとみられ、サポート要因となろう。 図表6. ブラジルの財政収支および基礎的財政収支 (過去12ヵ月累積額の対GDP比、%) 4 基礎的財政収支(財政収支+利払い費) 3 2 1 0 ▲1 ▲2 ▲3 ▲4 ▲5 ▲6 ▲7 財政収支 ▲8 ※データは15年6月まで ▲9 11/1 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 (年/月) インドでは、6月鉱工業生産(12日)、7月消費者物価 指数(12日)、7月卸売物価指数(14日)などの経済指標 発表の他、7月21日に始まった今国会の会期が8月13 日に終了する。市場では、経済指標もさることながら、政 治動向にも注目が集まろう。今国会では、前国会から持 ち越された商品サービス税(GST)関連法案や土地収 用法改正が最大の焦点となっている。モディ政権は上 院で少数与党のため、成立には野党の協力が不可欠と なる。州ごとに異なる間接税を一本化するGSTは、現野 党第1党の国民会議派も与党時代に導入を目指してい た経緯があり、最終的には実現する可能性は高いとみ ている。一方、農民等の利害に直結する土地収用法改 正については、野党側がモディ政権を富裕層・企業寄り だとして攻撃する格好の材料となっており、政府として は慎重に対応せざるをえないだろう。もっとも、GST関連 法案だけでも成立すれば、モディ政権発足以来で最大 の成果となりうるだけに市場でも好感されよう。(山本) 出所: CEICおよびブラジル中央銀行SMBC日興証券作成 来週にかけてのスケジュールと見通し グローバル金融市場の最大の焦点となっている米国 の金融政策については、良好な米経済指標やFOMCメ ンバーによる9月利上げに前向きな発言などから、早期 利上げ観測が強まりつつある。そうした中、世界の株式 市場が比較的落ち着いた動きとなっていることもあり、為 替市場では、円高が進行するような典型的なリスクオフ モードとはなっていない。もっとも、米国では7日に7月雇 用統計の発表が控えており、引き続き、米利上げ観測 の高まりに警戒が必要な時間帯となろう。米利上げは中 長期的には円安ドル高要因となるが、世界的に株式市 場の調整色が強まる場合には、一時的に「安全資産」 の円が買われることも予想される。新興国通貨は、目先 的には対円でより下落しやすい展開も見ておく必要が あろう。 トルコでは、8月23日に組閣の期限が迫る中、連立協 議の行方が焦点となろう。与党AKP(公正発展党)と最 大野党CHP(共和人民党)は代表団による予備交渉を 終え、今後党首による会談が行われるとみられる。一部 来週にかけての新興国のスケジュールでは、以下の 報道によると、両党は外交、教育、クルド問題、大統領 権限、社会保障の5つで大きな意見の相違があるとみら ようなイベントが注目される。 れており、どこを妥協点とするのかが注目される。なお、 中国では、12日に7月の主要経済統計が発表される。 AKPのアルンチ副首相は、CHPとの交渉が決裂した場 7月の鉱工業生産は、市場予想によると前年比+6.6%(6 合、極右政党のMHP(民族主義者行動党)と交渉に入 月+6.8%)と若干鈍化するとみられる。ただし、予想に反 るとの方針を示している。 して大幅に鈍化した場合は、景気下振れ懸念が高まり ブラジルでは、引き続き政治・財政動向が注目される。 株式市場の売り材料となろう。 ルセフ大統領と対立しているクーニャ下院議長(連立与 党ブラジル民主運動党所属)が大統領の弾劾について 11 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 野党議員と協議したことが4日に報じられるなど、3日に 再開した議会では弾劾を巡る動向が焦点となっている。 8月16日には最大野党ブラジル民主社会党 がテレビ CMなどを通じて全面的に支援する反政府デモが予定 されており、弾劾を巡る動きに影響を与える可能性があ ろう。一方、8月中にも大手格付け会社のムーディーズ やフィッチがブラジルの格付けを見直すとみられ、その 動向も引き続き注目される。こうした政治的な不透明感 や格下げに対する警戒感は引き続き通貨レアルの重石 となろう。 (山本、白岩、武田、前田) 12 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 6.主な国内株価指数とテクニカル指標の推移 日本株担当: 横山 敦史 日経平均は方向感に欠けながらも小じっかりとなる一方で、マザーズ等新興市場は軟調な地合いとなった。 また、長期金利の低下などから、東証REIT指数は徐々に値を戻す展開となっている。目先の需給悪化など を7月上旬の下落である程度織り込んだとみられ、今後は緩やかな上昇基調を辿るものと想定される。外需 の先行き不透明感が高まる局面では、内需好業績銘柄に加えJ-REITも物色対象となる可能性があろう。 図表1. 主な国内株価指数とテクニカル指標の推移 【国内主要株価指数】 130 (150日前を100として指数化) 125 120 115 110 105 100 95 90 日経平均 東証マザーズ指数 85 日経JASDAQ指数 80 12/25 1/24 2/23 3/25 4/24 5/24 6/23 7/23 【日経平均と25日移動平均・乖離率】 (円) 【東証REIT指数と日本10年物国債利回り】 (pt) (%) 0.7 東証REIT指数(左軸) 2,000 0.6 1,950 0.5 1,900 1,850 0.4 1,800 0.3 1,750 0.2 1,700 日本10年物国債利回り (右軸) 1,650 (月/日) 2014年 2015年 22,000 2,050 (%) 20 1,600 12/25 1/24 0.1 0 2/23 3/25 4/24 5/24 6/23 7/23 (月/日) 2014年 2015年 22,000 (円) 【日経平均と100日移動平均・乖離率】 (%) 20 日経平均株価(左軸) 日経平均株価 (左軸) 20,000 15 15 20,000 10 25日移動平均(左軸) 18,000 10 5 18,000 5 0 0 16,000 16,000 -5 25日移動平均乖離率 (右軸) 14,000 12/25 1/24 2/23 3/25 4/24 100日移動平均(左軸) 5/24 6/23 2014年 2015年 (円) 22,000 7/23 -10 14,000 12/25 1/24 (月/日) (円) 250 3/25 4/24 5/24 6/23 7/23 (月/日) 【日経平均 ストキャスティクス(9日)】 300 22,000 20,000 -5 -10 2/23 2014年 2015年 【日経平均と東証一部25日騰落レシオ】 日経平均株価(左軸) 東証一部25日騰落レシオ(右軸) 100日移動平均乖離率(右軸) 300 日経平均株価(左軸) %D(右軸) Slow %D(右軸) 20,000 250 200 200 (%) 18,000 18,000 150 150 120%ライン 16,000 100 50 2014年 2015年 20%ライン 50 2/23 3/25 4/24 5/24 6/23 100 16,000 70%ライン 14,000 12/25 1/24 (%) 80%ライン 7/23 (月/日) 14,000 12/25 1/24 2014年 2015年 0 2/23 3/25 4/24 5/24 6/23 7/23 (月/日) 注: データは2015年8月5日まで。 出所: 各図表ともAstra ManagerよりSMBC日興証券作成 テクニカル指標の見方 騰落レシオ(25 日):過去 25 日間の値下がり銘柄数に対する値上がり銘柄数の割合。一般的に、120%以上で買わ れ過ぎを、70%以下で売られ過ぎを表す。 ストキャスティクス(9 日):直近の終値が過去のレンジで相対的にどのレベルに位置するのかを見るための指標。 %D=(直近終値と直近 9 日間の安値の乖離の 3 日移動平均)÷(直近 9 日間の高値と安値の乖離の 3 日移動平均) Slow%D は%D の 3 日移動平均。一般的に%D が 80%以上で買われ過ぎ、20%以下で売られ過ぎを表す。 13 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 7.今週のストラテジー・セレクション 日本株担当: 井場 浩之 / 松永 良輔 日興ストラテジー・セレクションのなかから、株価トレンド面を踏まえて以下の銘柄を紹介する。それぞれのポ イントは下記の通り。4-6月期決算発表で堅調な業績が確認できた銘柄に着目したい。 【株価チャート(週次)】 ◎日本触媒(4114) 売買単位:1,000 株 【会社概要と株価状況】 紙おむつに使用される高吸水性樹 脂(SAP)で世界トップ。 【注目ポイント】 SAP 販売好調で会社計画 16/3 期営 業利益は前期比 19%増で過去最高 益 水 準 と な る 見 通 し 。 8/5 発 表 の 週次移動平均線状況 8/6 現在 1Q(4-6 月期)決算はコンセンサスを上 1,873.0 株価 円 13週線 1,733 円 乖離率 8.05% 回り、上期会社計画の利益を増額。 26週線 1,712 円 乖離率 9.42% 株価は 7/30 に年初来高値を更新。 2,000 1,500 1,000 【注目ポイント】 7/30 発表の 1Q 決算はコンセンサスを 上回る水準。同時発表の今年 2 回目と なる自社株買いは前回の 2 倍規模でポ 週次移動平均線状況 8/6 現在 ジティブな印象。決算発表後の株価は 4,959.5 円 株価 13週線 4,642 円 乖離率 6.84% 堅調で 7/31 に 6 月高値を上抜き、8/6 26週線 4,479 円 乖離率 10.73% にも年初来高値を更新。 【注目ポイント】 7/22 発表の 1Q 決算はコンセンサスを 上回るポジティブな印象。連続最高益 予想の 16/3 期会社業績計画は据え置 週次移動平均線状況 8/6 現在 きとなったが保守的とみられる。決算 11,100.0 円 株価 13週線 9,648 円 乖離率 15.05% 発表後の株価は堅調で 8/3 に上場来 26週線 8,956 円 乖離率 23.94% 高値を更新。 6,000 15/2 (年/月) (円) 5,000 4,000 3,000 13週線 26週線 2,000 13/8 12,000 14/2 14/8 15/2 (年/月) (円) 9,000 6,000 3,000 13/8 13週線 26週線 14/2 14/8 15/2 (年/月) 【株価チャート(週次)】 ◎NTT データ(9613) 売買単位:100 株 【注目ポイント】 7/30 発表の 1Q 決算は営業利益がコ ンセンサスを大幅に上回りポジティブ な印象。16/3 期会社計画は据え置き だが、営業利益は前期比 19%増で過 去最高を 7 期ぶりに更新する見通し。 株価は 7/31 に年初来高値を更新。 7,000 【会社概要と株価状況】 ゲーム大手。ドラクエ等人気タイトル 保有。アミューズメント施設運営も。 【注目ポイント】 8/6 発表の 1Q 決算は 15/3 期 1Q が大 幅増益だったため、当初は反動から減 益とみられていた。しかし、スマホ向け 週次移動平均線状況 8/6 現在 の好調等でコンセンサス過達の増益を 3,150.0 円 株価 13週線 2,890 円 乖離率 9.01% 確保。広義の内需関連株として注目。 26週線 2,686 円 乖離率 17.26% 株価は年初来高値を 7/27 に更新。 (円) 6,000 5,000 4,000 3,000 13週線 26週線 2,000 13/8 14/2 3,500 15/2 (年/月) (円) 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 13/8 13週線 26週線 14/2 注: 中期的な株価トレンドが良好な銘柄を紹介。各種テクニカル指標をベースに判断 出所: 株式調査部アナリストレポート、東洋経済会社四季報最新銘柄レポート、Astra Manager等よりSMBC日興証券作成 14 14/8 【株価チャート(週次)】 ◎スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684) 売買単位:100 株 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 14/8 【株価チャート(週次)】 【会社概要と株価状況】 精密モータ大手で HDD 用は世界首 位。車載、産業用等に注力中。 週次移動平均線状況 8/6 現在 5,950.0 円 株価 13週線 5,508 円 乖離率 8.02% 26週線 5,337 円 乖離率 11.49% 14/2 【株価チャート(週次)】 ◎日本電産(6594) 売買単位:100 株 【会社概要と株価状況】 SI 専業国内最大手。官公庁、金融 機関向け大型システムに強み。 13週線 26週線 500 13/8 ◎富士フイルムホールディングス(4901) 売買単位:100 株 【会社概要と株価状況】 写真フィルムから医療、液晶材料な どに転換。傘下に富士ゼロックス。 (円) 14/8 15/2 (年/月) 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 8.TPP大筋合意見送り~ギリギリの綱渡りシナリオと経済対策の現実味 日本政治・政策担当: 司 淳 TPP交渉は大筋合意が見送られた。8月中の閣僚会合再開も困難視される中、TPP自体が「漂流」する可 能性も高まり、ギリギリの綱渡りシナリオとなってきた。安倍政権としては支持率を上向かせるきっかけをつ かみ損ねた。当面は、総裁選でガス抜きを図るなど、逆風の中で政権浮揚に布石を打っておく必要がある。 そうした中、農業対策にとどまらない総合的な経済対策の追加出動も現実味を帯びていこう。 TPP閣僚会合で大筋合意見送り~ギリギリの綱 渡りシナリオへ 環太平洋経済連携協定(TPP)を巡って米国ハワイ州 で開かれていた日米など12ヵ国閣僚会合は7月31日午 後(日本時間8月1日午前)、合意を見送って閉幕した。 今回はかつてないほど合意への機運が高まっていただ けに、関係者などの落胆はかなり大きいと見られる。医 薬品に関するデータ保護期間(知的財産ルール)という 難航が予想された分野と並んで、交渉の土壇場でニュ ージーランドが乳製品の輸入拡大で予想外の強硬姿 勢をとり続けたことが大筋合意を阻んだと報じられている。 参加国は8月中に閣僚会合を再開する方向を示すこと で、なんとか交渉の妥結に向けた機運をつなぎとめる形 となった。 各国は今後、2国間で事務レベルの協議を重ねて間 合いを縮めていこう。相互不信を解消し、恩恵を分かち 合うような落としどころを探ることができるかが、次回閣僚 会合での合意実現を左右すると考えられる。 図表2. アジア太平洋を中心としたメガFTAマップ 東アジア地域包括的経済連携(RCEP) ASEAN(10ヵ国) インドネシア フィリピン カンボジア タイ ミャンマー ラオス シンガポール マレーシア ブルネイ ベトナム 日中韓FTA オースト ラリア ニュージー ランド 日本 TPP(12ヵ国) 米国 カナダ メキシコ チリ ペルー 中国 韓国 インド FTAAP( アジア太平洋自由貿易圏構想、21ヵ国・地域) 注: FTAAPとはアジア太平洋地域において関税や貿易を制限する措置 を取り除くことで、経済上、幅広い分野での連携の強化を目指す構想で、 APEC加盟全21ヵ国・地域が対象とされているが、明確な定義は存在しな い。今のところ、カンボジア、ラオス、ミャンマーは未参加 出所: 各種報道よりSMBC日興証券作成 図表1. TPP閣僚共同声明のポイント(2015.7.31) ・ 1週間以上の生産的な会合を終え、大きな成果を得た。 ・ 残る数少ない課題について努力を続け、交渉妥結への道筋をつける。 ・ 閣僚や交渉官らはハワイを離れるが、今回の会合を弾みとして、緊密に 連絡を取り合い、共通認識を見出すため、集中的に作業を続けていく。 ・ 今回の最終段階の交渉で、これまでになく、TPPが雇用と経済成長を支 えると確信している。 甘利TPP担当相は8月4日の記者会見で、「米国の政 治日程からすると、すでに今回で相当厳しくなっている。 合意が9月より先になったら(妥結まで)空白期間が生じ る」と述べた。TPP発効には、交渉合意後に国内手続き (議会承認・批准など)が必要になる。米国では、大統 領がTPP協定に調印するには議会に通告してから90日 経過する必要があり、議会にTPP承認法案を提出できる のはさらに30日後である。今回の会合で合意にこぎつ けたとしても、年内成立が日程的にも、政治的にもギリ ギリのタイミングだった。なぜなら、大統領選の予備選を 開始する来年2月1日までに法案が成立しないと、TPP 反対圧力が一段と強まっていくと考えられるためだ。 ・ 妥結が手の届くところにまできているとの自信を深めている。 出所: 各種報道よりSMBC日興証券作成 TPP交渉の漂流を避けるためには、各国の溝を埋め た上で次の閣僚会合をできるだけ早く開くことがカギと なろう。8月4日、自民党議員向けに政府のTPP対策本 部が説明したところによると、TPP交渉が合意に達する ためには、計31章の協定文書をまとめる必要があるが、 最終的に残るのは知的財産にほぼ絞られるとした。すな わち、7月31日まで米ハワイ州で行われた12ヵ国閣僚会 合で、「金融サービス」や「環境」など計8章がほぼ決着 した。それまでに決着していた17章と合わせて計25章が ほぼまとまった。「前文」と「最終規定」の計2章は大筋合 一方、日本も今回の大筋合意先送りによって、国内 調整が遅れよう。自民党では当初、週明けから具体的 な農業対策の検討に入る予定であった。秋の臨時国会 15 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 意の時に確認するものとなっている。残る4章のうち、知 的財産以外の「国有企業改革」など計3章は、まもなく収 束する見込みと言われている。乳製品の輸入拡大で強 硬姿勢を崩さなかったニュージーランド(NZ)も、さすが に最終的には歩み寄ってくると見ているようだ。NZ貿易 相も5日の会見で、「妥協点を見い出せると確信してい る」と述べた。 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 で関連条約や法案を処理する当初の目算が狂ってきた。 仮に8月末に大筋合意に至っても、各国首脳による署 名は11月末になり、日本が国会審議に入るのはそれか らになる。12月は来年度予算編成や税制改正大綱など の作業が立て込むため、11月下旬から特別委員会で審 議することも可能だが、現実的ではないとされる。安倍 政権としては、来夏に予定される参院選まで1年を切っ たが、TPP交渉のみならず、安保法案の成立や原発再 稼働を急いできたのは、すべて来夏の参院選への不安 材料を早めに取り除きたいからだろう。TPPにはとくに農 業団体の反対論が根強い。来年の通常国会でTPPを 巡る攻防が続けば、農業票の離反を招きかねないとの 懸念があるためだ。 甘利TPP担当相によると、次回会合の日程を設定す ることに米国側がかなり慎重だったという。今回会合で は、交渉を主導する米国が乳製品の関税撤廃や新薬 のデータ保護などの難航分野で妥結する感触を事前に 得られないまま、会合を招集したという。交渉が遅れて いるカナダ抜きでの合意も示唆するなど、米国が力業で 合意にこぎ着けようとする姿勢をちらつかせたとも言わ れている。そうした準備不足による失敗への「学習効果」 もあろう。 図表3. メガFTAの経済・人口規模 経済規模 名目GDP 対世界シェア (兆ドル) (%) 人口規模 (億人) 対世界シェア 国・地域数 (%) TPP (環太平洋経済連携協定) 28.0 36.3 8.1 11.3 12 EUJ (日EU経済連携協定) 23.1 29.9 6.3 8.9 29 22.6 29.2 34.5 48.6 16 16.4 21.2 15.5 21.7 3 35.9 46.5 8.2 11.6 29 46.1 59.7 40.8 57.5 21 77.3 100.0 71.1 100.0 189 RCEP (東アジア地域包括的経済連携) CJK (日中韓FTA) TTIP (米国EU包括的貿易投資協定) FTAAP (アジア太平洋自由貿易圏) 世 界 注1: 経済規模と人口規模は2014年値 注2: ASEANでは、TPPにはブルネイ、マレーシア、シンガポール、ベトナ ムの4ヵ国のみ参加、FTAAPにはカンボジア、ラオス、ミャンマーは未参 加、この表ではインド、台湾、香港、パプアニューギニアを計上 出所: IMF「World Economic Outlook」 (2015年4月)よりSMBC日興証券作成 中国が主導するRCEPも、TPPの合意が遠のけば、 RCEPに前向きな中国のスタンスにブレーキをかける可 能性もある。中国は、日米主導のTPPを「中国に対抗す るための経済圏づくり」ととらえていたフシがあるためだ。 するとアジア太平洋地域全体の最終目標であるFTAAP (アジア太平洋自由貿易圏) (注 1 ) への動きも後退せざる を得ないだろう。 仮に、8月中に閣僚会合が開催できない場合は、TPP 交渉が「漂流」する可能性が高まろう。TPP12ヵ国は、8 月(22~25日)にマレーシアで開かれるASEAN経済閣 僚会合に合わせてTPPの閣僚会合を開くことを検討して いたが、複数の日米交渉関係筋によると、8月中の開催 は事実上困難になりつつあるという。かといって今秋以 降に閣僚会合を開く案は、2016年の米大統領選を控え て現実的ではないとの声が多い。来秋の米大統領選か ら逆算すると、年内にTPPの署名を済ませる必要がある。 したがって、かなりギリギリの綱渡りシナリオになってきた と言えよう。 注 1:FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)は、アジア太平洋地 域において、関税や貿易を制限する措置を取り除くことで、経 済上、幅広い分野での連携の強化を目指す構想。APEC は、 貿易投資自由化の長期的な目標として、2020 年までに APEC の地域経済を全て統合させることとしている。2006 年の APEC 首脳会議において、米国が主導して FTAAP 構想が合意され た。 メガFTA協定による中長期的経済効果 TPPやRCEPなどのメガFTAがもたらす経済効果は、 協定の締約国と非締約国において大きな差となる見込 みであることがわかった。日経センターの「アジア経済中 期予測(2015年7月)」によると、TPP協定が発効されれ ば 、た と え ば 締 約 国 である マ レー シアは実 質 GDP が 5.6%押し上げられるが、非締約国であるタイや中国へ TPP合意先送りはメガFTAづくりにも痛手 の効果は逆にマイナスとなる。ただし、TPPに関心を示し TPP交渉の閣僚会合で大筋合意が見送られたことは、 ている韓国、タイ、インドネシア、フィリピンがTPPに加わ 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)など、日 る場合、各国の経済効果はプラスに転じる。同時にアジ 本が同時並行的に進めているメガFTA(自由貿易協定) ア全域における経済効果もTPP+4になると、TPP(12ヵ国) づくりにとって痛手となろう。TPPが実現に向かうことで、 の0.4%から0.9%に跳ね上がる。一方、RCEPには米国 TPP交渉に参加していない国々も、それぞれの自由貿 が入っていないが、中国、インド、日本、韓国といったア 易の枠組みを強化しようとし、相乗効果を生んできたた ジア地域で巨大な経済国が貿易を自由化することにな めだ。日本とEUは5月、EPA交渉を年内に大筋合意さ るため、TPP(経済効果:+0.4%~+0.9%)よりも大きな経 せる目標を確認したが、関税引き下げ水準などを巡っ 済利益を生み出す(同+1.8%)。さらに包括的な経済協 て交渉は難航している。日EU交渉関係者の間ではTPP 定であるFTAAPから得られる経済利益はRCEPおよび 交渉の合意が日EUの協議を打開するカギと見られてお TPPよりもはるかに大きく、世界全体のGDPを2.3%押し り、波及効果が期待されていた。 上げる効果が見込まれる。 16 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 自民党総裁選~無投票回避の声 図表4. メガFTA締結による経済効果(GDP押し上げ、%) TPP12ヵ国 TPP+4 RCEP FTAAP 米国 0.4 0.5 0.0 1.6 アジア全域 0.4 0.9 1.8 4.7 中国 ▲ 0.2 ▲ 0.5 1.4 4.9 タイ ▲ 0.4 7.6 2.8 7.8 インドネシア ▲ 0.1 4.0 1.1 3.9 マレーシア 5.6 7.0 3.3 10.4 フィリピン ▲ 0.2 6.9 2.3 7.0 日本 2.0 2.4 1.8 4.4 韓国 ▲ 0.1 2.4 3.9 6.3 0.2 0.4 0.6 2.3 世界全体 TPPが合意に至れば、当初は難しいと見られていた だけに、日本の構造変化に対する期待感が高まり、内 閣支持率も上昇するきっかけにもなっていたであろう。 中長期的に日本株の追い風にもなると見られる。とくに 海外投資家は安倍内閣の支持率に関心を寄せており、 TPP合意をきっかけに支持率が上向けば、再び「痛み」 を伴う構造改革を進めやすくなるとの期待があった。し かし、支持率上昇のきっかけをつかみ損ねた今、安倍 総理の無投票再選が有力とみられていた9月の自民党 総裁選で、対抗馬を擁立し無投票を避けるべきとの声 が出てきた。 注1: 経済効果は2025年の標準ケースのGDPからの変化(%) 注2: 網掛けはそれぞれの交渉参加国 注3: TPP+4とは、TPP参加に関心を示したタイ、インドネシア、フィリピン、 韓国を加えたもの 出所: 「アジア経済中期予測」(2015年7月) 公益社団法人日本経済研究センターよりSMBC日興証券作成 党内では、自民党岸田派に影響力を持つ古賀誠元 幹事長が、日本経済新聞によると今月発売の月刊誌 「文芸春秋」でのインタビューで「無投票で安倍さんとい うことで、国民の皆さんが納得できるか。他にリーダー足 り得る人はいないのかと失望するだろう」と述べている。 古賀氏は、以前、一部報道でも、「自民党には多様な 意見を持つ人がいる。総裁選という機会を生かし、政策 論争をやってほしい」と主張していた。それに比べると、 トーンがかなり強まった印象もある。内閣支持率の低下 や、その後の国会での対応(磯崎総理補佐官発言)な ども踏まえて危機感が強まったことが窺える。安倍総理 の再選そのものは動かないとしても、無投票への抵抗感 が根強い党内の空気を踏まえて、ガス抜きを図る必要 性が高まってきたとみられる。自民党総裁選は、「9月8 日公示、20日投開票」が有力視されていたが、やや後 ろ倒しに検討するとみられる。 このように、より広範囲なメガFTAが締結すれば、日本 企業は輸出入取引などにおける国際競争力の強化が 期待されよう。それまでよりも広範囲なサプライチェーン が構築されることになり、企業の域内分業体制がより効 率化されることになろう。ただし、このように中長期的なメ リットが大きい反面、構造改革の「痛み」に対しては、政 治的な配慮が必要となる。自民党は5日、輸入米のミニ マムアクセス(最低輸入枠)のあり方を見直す特命チー ムを設置しており、近く農業対策の具体的な検討に入る 見込みである。 また、本田悦郎内閣官房参与は、8月4日報道のロイ ター通信のインタビューで、追加的財政政策の必要性 に言及している。足元で低迷している個人消費が復調 しなければ、7-9月期の指標を見た上で、今年度、国費 ベースで3兆円程度の補正予算で下支えする必要があ ると述べた。さらに2017年4月の消費税増税の環境整備 として、引き上げ前後に3兆円程度の補正予算が必要と の認識も明らかにした。7月下旬において、一部市場参 加者向けアンケート調査(債券担当者向け中心)による と、安倍内閣が支持率改善のために次に何をすると予 想するか聞いたところ、最も多かった回答は「経済政策 の強化」であった。 先行きは、安保法案の参院審議や原発再稼働 (8/11)、戦後70年談話(8/14;閣議決定の方向)など、 安倍政権にとって逆風が続きそうである。ここは逆転ホ ームランなどの決定打を狙わずに、すべてに目配せし ながら、政権浮揚に向けて次々と布石を打っておく時期 かもしれない。当面は、①戦後70年談話、②原発再稼 働、③参院での安保法制審議(「60日ルール」(注 2 )適用 の有無)、④自民党総裁選など、8~9月にかけての「イベ ント」が注目される。 注 2:衆院で可決され参院に送付された法案が 60 日以内に議 決されない場合、衆院は参院が法案を否決したものと見なす、 憲法 59 条 4 項の規定。衆院は 3 分の 2 以上の再議決により 法案を成立させることができる。 すなわち追加的な経済対策が市場で期待されつつ あり、政権のキーマンも、その必要性を主張し始めた。 単なる農業対策にとどまらない可能性も高まっていきそ うだ。GDP統計で言えば、4-6月の下振れから7-9月の戻 りが弱い場合は、経済対策の追加が現実味を帯びてこ よう。 17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 図表5. 当面の主な政治経済スケジュール 2015年 8月6日 人類初の原爆投下(広島)から70周年 〃 日銀金融政策決定会合(~7日) 〃 21世紀構造懇談会が安倍首相に報告書を提出 8月7日 ギリシャ短期債償還(10億ユーロ) 8月9日 長崎で平和祈念式典 〃 埼玉県知事選 8月11日 九州電力川内原発1号機再稼働 8月12日 日航ジャンボ機墜落事故から30年 8月14日 戦後70年談話発表(閣議決定の方向で調整中)(?) 〃 ギリシャ短期債償還(14億ユーロ) 8月15日 戦後70周年記念 8月17日 4-6月期GDP(国内総生産)(1次速報)発表 8月下旬 岸田外相が訪ロ(調整中) 8月20日 ECBが保有するギリシャ国債の償還(約31.9億ユーロ) 8月22日 ASEAN経済相会合(~25日、マレーシア) 8月下旬 TPP閣僚会合で大筋合意?(月内開催は困難視) 8月27日 米カンザスシティ連銀金融シンポジウム(~29日、ジャクソンホール)~イエレンFRB議長欠席 8月28日 女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム(~29日、東京) 8月30日 岸田外相が訪ロ(8/30~31を軸に調整中) 9月3日 中国で抗日戦争勝利70周年(村山元総理が記念式典に出席) 〃 同式典前後に安倍総理が訪中(検討中) 〃 ECB理事会 9月4日 G20財務相・中央銀行総裁会議(~5日、トルコ・アンカラ) 9月6日 岩手県知事選 9月8日 自民党総裁選告示(?) 9月9日 APEC財務相会合(~11日、フィリピン・セブ島) 〃 世界経済フォーラム夏季ダボス会議(~11、中国・大連) 9月10日 第22回APEC財務大臣会合(~11日、フィリピン・セブ) 9月13日 グアテマラ大統領選 9月14日 IAEA(国際原子力機関)定例理事会(~18日、ウィーン) 〃 「60日ルール」適用可能(安保法案) 〃 日銀金融政策決定会合(~15日) 9月15日 国連総会(~28日、NY) 9月16日 FOMC(~17日) 9月18日 中国の柳条湖事件記念日 9月20日 自民党総裁選(?) 9月27日 通常国会会期末 9月29日 安倍総理、国連総会で演説 9月下旬 九州電力川内原発2号機再稼働(?) 9月末 自民党総裁選任期満了 9月 習近平中国国家主席が訪米 〃 新国立競技場建設の新計画発表 〃 日韓首脳会談(?) 秋口 軽減税率案決定(?) 出所: 各種報道よりSMBC日興証券作成 18 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 9.市場評価の高まりが期待される7月、8月高値の好業績銘柄 日本株担当: 西尾 浩一郎 日経平均は6月高値を上抜けずに伸び悩んでいるが、個別では7月、8月に高値を更新するなど堅調な値動 きをみせる銘柄がある。小売り、情報・通信、食料品、サービスなどの内需関連がこれに該当し、輸送用機 器や電気機器、機械など外需関連の多くは軟調に推移している。エネルギー価格の下落と訪日外国人の旺 盛な消費は内需拡大に寄与すると考えられ、国内事業を柱とする企業への注目度は高まると考えられる。 業績拡大シナリオを描きやすい銘柄の株価は堅調 図表1. 家計のエネルギー消費額 賃金や雇用が伸びる中でのエネルギー価格の下落 は、実質的な所得増加の支援材料となる(図表1)。電 気・ガス料金は原油価格の変動が反映されるまでに約2 四半期のずれがあり、物価下落の効果は足元では十分 表れていないが、これから本格化し消費の拡大につな がると期待される。また、安倍政権が成長戦略で掲げる “観光立国ニッポン”は成果を上げており、訪日外国人 の増加は目覚ましいものがある。この恩恵は、例えば百 貨店の売上高に顕著に表れており、免税ベースの百貨 店売上高は一段と拡大している。訪日外国人の旅行消 費額に占める割合で最も大きいのは買物代(2014年の 訪日外国人旅行消費額の35.2%)であり、旺盛な消費は 内需の拡大に寄与しよう。 1.6 (年率換算、兆円) 家計のエネルギー支出額 (右軸) ドバイ原油価格 (1 四半期先行、左軸) 1.4 23 22 1.2 21 1.0 20 0.8 19 0.6 18 0.4 17 2.7 兆円の エネルギー減税効果 0.2 0.0 00 02 04 06 08 10 12 14 16 15 16 (年) 注: エネルギー支出額は、電気、都市ガス、プロパンガス、灯油、ガソリンの消 費額。家計調査の消費ウエイトからエネルギー消費額を推計 日経平均は6月高値を上抜けずに足踏みしているが、 個別では7月、8月に高値を更新するなど堅調な値動き をみせる銘柄がある。主に、小売り、情報・通信、食料 品、サービスなどの内需関連がこれに該当する。図表2 は、TOPIX採用銘柄のうち(変則決算及び会計基準の 変更で前年比が求められないものは除く)、(1)時価総額 1,000億円以上、(2)2015年の高値を7月、8月につけて い る 、(3) 今 期 コ ン セ ン サ ス予 想 が 増 収 、経 常 増 益 、 ROE5%以上が見込まれ、予想PERが50倍以下(いずれ も予想社数は3社以上)、(4)直近実績自己資本比率が 30%以上(通期と中間期が対象)、(5)直近本決算の海外 売上高比率が35%以下、(6)直近株価と25日移動平均 との乖離率が10%以下、との条件を満たす銘柄を経常 増益率の高い順に並べたもの(予想はQUICKコンセン サス予想でスクリーニングに用いたデータは8月5日時 点)。 輸出が伸び悩むなど国内経済は内需主導の拡大が 見込まれる中、ここに挙げた銘柄は、好業績で内需拡 大の恩恵を相対的に享受しやすい銘柄と捉えることが できる。中国やギリシャを巡る不透明感が高まれば、海 外要因に左右されない内需・ディフェンシブ銘柄として 選好されることもあろう。7月、8月高値で好業績銘柄へ の市場の評価は、今後高まると考えている。 出所: 総務省、内閣府、Bloomberg よりSMBC日興証券作成 図表2. 7月、8月に高値をつけた好業績銘柄 コード NEEDS業種名 -小分類・主業種 銘柄略称 予想 決算期 増収率 増益率 (%) (%) 予想 ROE (%) 2015年 7月、8月 高値(円) 8月5日 終値 (円) 9766 コナミ 家庭用ゲームソフト 2016/03 15.1 67.4 7.3 2,630 2,546 7599 ガリバー 自動車販売(中古車) 2016/02 21.7 62.6 14.1 1,310 1,189 9684 スクエニHD 家庭用ゲームソフト 2016/03 25.0 59.1 11.0 3,315 3,105 2685 アダストリア 衣料店(カジュアル) 2016/02 5.5 50.3 8.8 6,470 6,100 1808 長谷工 総合建設(ゼネコン) 2016/03 10.1 34.9 22.2 1,665 1,650 7581 サイゼリヤ ファミリーレストラン 2015/08 9.8 32.6 5.2 3,060 2,974 3861 王子HD 段ボール・板紙 2016/03 11.8 27.3 5.2 570 552 9613 NTTデータ SI 2016/03 3.3 26.2 7.4 6,110 5,910 2331 ALSOK 警備・セキュリティー 2016/03 7.9 25.4 9.3 5,910 5,220 1969 高砂熱 設備(空調) 2016/03 4.4 22.8 5.9 1,690 1,664 7453 良品計画 生活雑貨・日用品販売 2016/02 15.1 22.5 16.0 29,040 26,150 2127 M&A 経営・財務アドバイザ 2016/03 22.0 21.3 30.9 5,720 5,370 3092 スタートトゥ ネット通販 2016/03 21.3 19.3 38.9 4,380 4,190 9603 エイチ・アイエス 旅行代理店 2015/10 7.5 19.2 11.6 4,765 4,665 2220 亀田菓 2016/03 2.6 18.9 8.8 5,370 5,170 製菓 注: 7月及び8月の高値はザラ場ベースで、8月高値の期間は5日まで 出所: Astra ManagerよりSMBC日興証券作成 19 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 (万円/バレル) 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 10.インド経済~予想通り政策金利は据え置き 新興国・インド・ASEAN 担当: 山本 正樹 インド準備銀行は8月4日、市場予想通り、政策金利の据え置きを決定。1月、3月、6月に続く追加利下げを 見送った。声明文でインフレ見通しの改善を指摘しつつも、過去の金融緩和効果の浸透や内外不透明要因 の解消を待つ姿勢をみせ、当面の追加利下げには慎重姿勢を示した。株式市場では、当面「金融相場」は 期待しがたく、上値の重い展開となろうが、景気の持ち直し等を支えに徐々に値を切り上げるとみている。 前回よりインフレ見通しは改善 インド準備銀行(中央銀行、以下RBI)は8月4日、市 場予想通り、政策金利の据え置き(主要政策金利のレ ポレートは7.25%)を決定した。RBIは、2015年1月、3月、 6月と各0.25%ポイント(pt)、計0.75%ptの利下げを実施 している。前回6月の声明文では、物価の先行きについ て、モンスーン(雨季:6~9月)の雨量不足、原油価格、 外部環境の変化(米国の金融政策等に起因する通貨 安圧力等)の3つをインフレ上振れをもたらす要因として 指摘し、追加利下げに慎重な姿勢を示した。今回の声 明文でも、複数のインフレ上振れ要因を指摘したものの、 インフレ緩和要因として、原油安とモンスーン(雨季: 6~9月)の動向、政府の食品インフレ対策等を挙げ、総 じてインフレ見通しが前回よりも改善したとの認識を示し た。2016年1月時点のインフレ目標(消費者物価指数の 前年比+6.0%)に対するリスクは均衡しているとした。 当面の追加利下げには慎重姿勢 インフレ見通し改善の認識を示しながらも、今回は政 策金利を据え置いた理由として、声明文では、過去の 金融緩和効果が依然浸透していないこと、モンスーンや 米金融政策を巡る不透明要因等が示唆されている。 一方、今後の金融政策については、過去の金融緩 和効果の浸透を待ちながら、追加利下げ余地を探ると し、また数ヵ月以内には重要な不透明要因(モンスーン や米金融政策等)が解消されるとの見通しを示した。総 じてみると、当面の追加利下げには慎重姿勢を示したも のの、不透明要因の解消を待って、利下げを再開する 可能性にも含みを残したといえよう。なお、次回の金融 政策決定は9月29日に予定されている。 株式市場は目先的には上値の重い展開か 株式市場では、当面は追加利下げを手掛かりとした 「金融相場」は期待しにくい状況といえよう。また、上述 したモンスーンや米金融政策に加え、現在開会中の国 会における重要法案(商品サービス税導入関連法案、 土地収用法改正案)の行方等の不透明要因も当面株 価の頭を抑えるとみられる。もっとも、こうした不透明要 因がクリアとなれば、景気の持ち直し等を支えに株価は 値を切り上げる展開を予想している。 通貨ルピーは、市場が米国の利上げを織り込むにつ れ対ドルで下落圧力が強まる局面も想定される。ただし、 経常赤字の縮小やRBIの信認の高さ等を背景に新興 国通貨の中では下落圧力は小さく、特に対円では底堅 く推移しよう。 過去の金融緩和効果について、声明文では、今回の 利下げ局面(2015年1月~)で合計0.75%ptの利下げを 実施したにもかかわらず、銀行貸出金利の低下が 0.30%ptにとどまっていることを指摘した。また、最近発 表された政府による公営銀行への資本注入の動きも相 まって、今後は銀行貸出が伸び、貸出金利が低下する との見方を示した。追加利下げよりも、過去の金融緩和 効果が浸透するのを待つべきとのスタンスが窺える。 図表1. インドの政策金利 11 (%) 10 モンスーンの雨量については、インド気象庁(IMD) が6月に平年の88%にとどまるとの予測を発表し、先行き への懸念が強まったが、8月5日時点の累計雨量は平 年比▲6%と深刻な雨量不足には至っていない。しかし、 モンスーンの期間はまだ半分を残しており、先行きはな お予断を許さない。また、米国の金融政策については、 9月にも利上げが開始される可能性が浮上しており、今 後新興国通貨が全般に売られる可能性があろう。こうし 20 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 た目先の不透明要因を考慮すれば、現時点での追加 利下げには慎重にならざるを得ないということだろう。 9 MSFレート 8 レポレート 7 リバース レポレート 6 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 出所: BloombergよりSMBC日興証券作成 14/7 15/1 15/7 (年/月) 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 11.来週・再来週の主なスケジュール <来週のスケジュール> 発表日 国・ 地域 日本 8 月1 0 日(月) 中国 8 月1 1 日(火) 日本 独 ロシア トルコ 日本 ユーロ圏 英国 8 月1 2 日(水) 中国 インド ブラジル 日本 米国 8 月1 3 日(木) マレーシア フィリピン 韓国 ブラジル 日本 米国 8 月1 4 日(金) 8 月1 5 日(土) 8 月1 6 日(日) ユーロ圏 独 NZ インド インドネシア 日本 市場予想 前月・ 前期・ 前年 6月 7月 7月 4-6月期 7月 7月 - 8月 4-6月期 6月 - 6月 4-6月 7月 7月 1-7月 7月 6月 7月 6月 6月 7月 7月 4-6月期 - - 6月 4-6月期 - 7月 8月 4-6月期 7月 4-6月期 4-6月期 7月 7月 - 経常収支( 季調済) 景気ウォッチャー調査-現状判断DI 景気ウォッ チャー調査- 先行き判断DI 千代建決算 新規銀行融資( 発表日未定、 ~1 5 日) マネーサプライM2(前年比、発表日未定、~15日) 九州電力川内原発1号機再稼働 ZEW景気期待指数 実質GDP(前年比、速報、発表日未定、~12日) 経常収支 日銀金融政策決定会合議事要旨(7月14~15日分) 鉱工業生産(前月比) ILO失業率 失業保険申請件数 鉱工業生産( 前年比) 固定資産投資( 都市部、 年初来、 前年比) 小売売上高( 前年比) 鉱工業生産(前年比) 消費者物価指数(前年比) 小売売上高指数(前月比) 機械受注( 船舶・ 電力除く 民需、 前月比) 小売売上高( 前月比) 小売売上高( 除自動車、 前月比) 実質GDP(前年比) 政策金利 政策金利 経済活動指数(前月比、発表日未定、~14日) サイバダイン決算 戦後70年の安倍首相談話を発表(閣議決定の方向で調整)(?) 鉱工業生産指数( 前月比) ミシガン大学消費者信頼感指数( 速報) 実質GDP( 前期比、 速報) 消費者物価指数(前年比、確報、前回値は速報値) 実質GDP(前期比、速報) 実質小売売上高(前期比) 卸売物価指数(前年比) 貿易収支(発表日未定、~17日) 70回目の終戦記念日 - - - - 7 , 0 0 0 億元 11.7% - - ▲4.5% - - - - - 6.6% 11.5% 10.6% - - ▲0.6% - 0.4% 0.5% - - 1.50% - - - 0.3% 94.0 - - - - - - - 1 6 , 3 6 3 億円 51.0 53.5 - 1 2 , 7 9 1 億元 11.8% - 29.7 ▲2.2% ▲39.9億ドル - ▲0.4% 5.6% 7,000人 6.8% 11.4% 10.6% 2.7% 5.40% ▲0.9% 0.6% ▲0 . 3 % ▲0 . 1 % 5.6% 4.00% 1.50% 0.03% - - 0.2% 93.1 0.4% 0.2% 0.3% 2.7% ▲2.40% 4.77億ドル - 注: 発表日は現地時間。市場予想と実績は2015年8月6日12時時点のBloombergの値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります 出所: Bloombergおよび各種報道などよりSMBC日興証券作成 21 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 <再来週のスケジュール> 発表日 国・ 地域 ユーロ圏 メキシコ トルコ - 日本 8 月1 7 日(月) 米国 ユーロ圏 タイ ロシア 米国 8 月1 8 日(火) 英国 中国 インドネシア トルコ 日本 8 月1 9 日(水) 米国 マレーシア ロシア 南ア 日本 8 月2 0 日(木) 8 月2 2 日(土) 8 月2 3 日(日) 市場予想 前月・ 前期・ 前年 4-6月期 7月 8月 6月 4-6月期 7月 7月 7月 7月 7月 7月 7月 - - 7月 7月 7月 7月 7月 7月 - 7月 7月 7月 7月 7月 7月 8月 - 4-6月期 米国 実質GDP( 前期比年率、 1次速報) 全国百貨店売上高(前年比、発表日未定、~20日) ニュ ーヨーク連銀製造業景況指数 貿易収支(季調済) 実質GDP(前期比) 鉱工業生産(前年比、発表日未定、~18日) 住宅着工許可件数(年率換算) 住宅着工件数(年率換算) 住宅着工許可件数( 前月比) 住宅着工件数( 前月比) 消費者物価指数(前年比) 主要70都市の新築住宅価格 政策金利 政策金利 輸出( 前年比) 輸入( 前年比) 貿易収支( 季調済) 貿易収支 JNT O訪日外客数 消費者物価指数(除食品&エネルギー、前年比) FOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨(7月28~29日開催分) 消費者物価指数(前年比) 実質小売売上高(前年比) 消費者物価指数(前年比) 全国コンビニエンスストア売上高(前年比) 全国スーパー売上高(前年比、発表日未定、~25日) 中古住宅販売件数( 前月比) フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ECBが保有するギリシャ国債の償還(約31.9億ユーロ) 実質GDP(前期比) 与党AKP(公正発展党)の組閣期限 ▲1 . 8 % - - - - ▲4.6% - - - - - - - - - - - - - - - ▲9.8% - - - - - - - 3.9% 0.4% 3.86 212億ユーロ 0.3% ▲4.8% 133.7万戸 117.4万戸 7.0% 9.8% 0.0% - 7.50% 7.50% 9.5% ▲2 . 9 % ▲2 , 5 1 7 億円 ▲7 0 5 億円 160.2万人 1.8% - 2.5% ▲9.4% 4.7% 0.6% 0.3% 3.2% 5.7 - 0.4% - - - 注: 発表日は現地時間。市場予想と実績は2015年8月6日12時時点のBloombergの値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります 出所: Bloombergおよび各種報道などよりSMBC日興証券作成 22 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2015 年 8 月 6 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.216 投資情報部作成最新レポートのご紹介 【定期発行レポート】 Daily Outlook(日刊投資情報)、主要通貨デイリー 、新興国通貨デイリー、Global Market Review 、Japan Market Review、Weekly Outlook(週刊投資情報)、投資部門別売買動向(現物・先物)、月刊投資情報(株式・為替・金利の見 通し)、日本株投資戦略(月刊プレゼン資料)、日興ストラテジー・セレクション(注目銘柄リスト)、注目スケジュール etc 【スポット・レポート】 <日本株式> 2015/07/14 J-REIT 市場の今後の見通し <マクロ・為替・金利・新興国・海外株式> 2015/08/05 トルコ 地政学リスクや再選挙の可能性が高まる~当面のリラの見通し 2015/08/05 インド経済 予想通り政策金利は据え置き 2015/08/05 中国株式 8 月 4 日は追加株安対策とインフラ投資拡大期待で株価上昇 2015/08/03 米国株式 Hot Topics:米国でのインバウンド関連銘柄 2015/07/30 ブラジル経済 中銀が次回会合での政策金利据え置きを示唆 2015/07/29 ブラジル経済 S&P が格付け見通しを引き下げ 2015/07/28 中国株式 7 月 27 日の中国株の急落を受けて、政府は介入強化へ 2015/07/27 ブラジル経済 政権の弱体化で財政再建に暗雲 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が完全、正確であるとの保証はいたしかねます。情報が不完全または要約されている場合もあります。本資料に記載する価格、数値等 は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。かかる価格、数値等は予告なしに変更する ことがありますので、予めご了承くださいますようお願いいたします。本資料は将来の結果をお約束するものでもありませんし、本資料に ある情報をいかなる目的で使用される場合におきましても、お客様の判断と責任において使用されるものであり、本資料にある情報の 使用による結果について、弊社及び弊社の関連会社が責任を負うものではありません。本資料は、本資料を受領される特定のお客様 の財務状況、ニーズ又は投資目的を考慮して作成されているものではありません。本資料はお客様に対して税金・法律・投資上のアド バイスを提供する目的で作成されたものではありません。投資に関する最終決定は、契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目 論見書、お客様向け資料等をよくお読みになり、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。 本資料は、弊社又は弊社の関連会社から配布しています。本資料に含まれる情報は、提供されましたお客様限りでご使用ください。本 資料は弊社の著作物です。本資料のいかなる部分についても電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製 または転送等を行わないようにお願いいたします。本資料に関するお問い合わせは、弊社の営業担当者までお願いいたします。 本資料に記載された会社名、商品名またはサービス名等は、弊社または各社の商標または登録商標です。 【金融商品取引法第 37 条(広告等の規制)にかかる留意事項 】 手数料等について 弊社がご案内する商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等をご負担いただく場合があります。例えば、店舗における国内 の金融商品取引所に上場する株式等(売買単位未満株式を除く。)の場合は約定代金に対して最大 1.242%(ただし、最低手数料 5,400 円)の委託手数料をお支払いいただきます。投資信託の場合は銘柄ごとに設定された各種手数料等(直接的費用として、最大 4.32%の 申込手数料、最大 4.5%の換金手数料又は信託財産留保額、間接的費用として、最大年率 5.61%の信託報酬(又は運用管理費用)及 びその他の費用等)をお支払いいただきます。債券、株式等を募集、売出し等又は相対取引により購入する場合は、購入対価のみをお 支払いいただきます(債券の場合、購入対価に別途、経過利息をお支払いいただく場合があります。)。また、外貨建ての商品の場合、 円貨と外貨を交換、又は異なる外貨間での交換をする際には外国為替市場の動向に応じて弊社が決定した為替レートによるものとしま す。上記手数料等のうち、消費税が課せられるものについては、消費税分を含む料率又は金額を記載しております。 リスク等について 各商品等には株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等及び有価証券の発行者等の信用状況(財 務・経営状況を含む。)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)、又は元 本を超過する損失を生ずるおそれ(元本超過損リスク)があります。 なお、信用取引又はデリバティブ取引等(以下「デリバティブ取引等」といいます。)を行う場合は、デリバティブ取引等の額が当該デリバ ティブ取引等についてお客様の差入れた委託保証金又は証拠金の額(以下「委託保証金等の額」といいます。)を上回る場合があると共 に、対象となる有価証券の価格又は指標等の変動により損失の額がお客様の差入れた委託保証金等の額を上回るおそれ(元本超過 損リスク)があります。 また、店頭デリバティブ取引については、弊社が表示する金融商品の売付けの価格と買付けの価格に差がある場合があります。 上記の手数料等及びリスク等は商品毎に異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書又はお客様向け資料等をよ くお読みください。なお、目論見書等のお問い合わせは弊社各部店までお願いいたします。 商 号 等 SMBC日興証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2251 号 加入協会 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商 品取引業協会 (2015/04/09 版) 24