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DK村におけるキノコ利用 ーキノコ栽培と野生キノコ利用ー
DK村におけるキノコ利用 ーキノコ栽培と野生キノコ利用ー 齋藤暖生(総合地球環境学研究所) はじめに • DK村では多様な野生キノコが採取・利用され てきた。 • 近年、DK村にキノコ栽培技術が導入される • それぞれにビエンチャン市の発展の影響 生態史の視点から • DK村のキノコ利用の形態はどうなってきた、 これからどうなる? →販売or自給 →栽培キノコvs野生キノコ →生態環境変化の影響? →社会経済環境変化の影響? 今日の報告 1.DK村におけるキノコ栽培の展開とその 背景 −ヘッ・ナンロムを中心に 2.DK村における野生キノコ採取 −利用種類と生態環境 3.まとめと今後の展開 1.DK村におけるキノコ栽培の展 開とその背景 ーヘッ・ナンロムを中心にー 調査期間と内容 • 調査期間:2006年1月12,13日 • 調査内容 創始者へのインタビュー 栽培プロセスの観察・インタビュー 種菌業者(ビエンチャン)へのインタビュー DK村で栽培されるキノコ ヘッ・ナンロム het nanlom ヘッ・フアン het fuang ウスヒラタケ(Pleurotus pulmonarius ) フクロタケ(Volvariella volvacea ) DK村のキノコ栽培の展開 • 2002年11月、S・B氏(男性、調査時36歳) に よりキノコ栽培が行なわれる。 ←現金収入源、農閑期の利用 • 2004年聞き取り調査では、4∼5軒 • 2006年(悉皆調査) 18軒。 栽培小屋 • 材料は周辺か ら調達 • 1,500,000kip (人夫賃など) 材料 • 培地:ワラ • ビニール袋(コスト不明) • 種菌:業者より購入 (1瓶2,000kip→15培地) 栽培プロセス 流通 • 村内にキノコ仲買が数人いる • 朝3時頃、栽培農家を訪問 • 買取価格は一律7,000kip/kg (S・B氏の場合、10∼30kg=70,000∼210,000kip) • タートルアンで販売 技術的特徴:ワラの利用 • 他地域では、通常オガクズ培地(2004年聞き 取り) • ワラが入手可能な時期=乾季 • 廃材の有効利用(ワラ→キノコ→肥料) • 労働配分、物質循環から見て効率的 • 弱点:生産の安定性、ワラの安定確保 DKキノコ栽培の性格 • 現金収入が主目的 • 水田稲作が卓越した環境に適応した農閑期 産業 DKキノコ栽培の成立背景 • 成長し続けるビエンチャン • 種菌の売り上げは2000年以降急激に増加 (ビエンチャン・種菌業者聞き取り) • 持続的な市場の拡大によって、ニッチを確保 可能(⇔通年生産地) DKキノコ栽培の展望 • 中長期的には、通年型の安価・安定的な大 規模生産体勢が有利 • 森林伐採禁止→オガクズ資源の枯渇 • ビールかす培地・工場生産による、さらに強 力な生産体制の台頭の可能性 ⇒DK村がニッチを確保し続けるためには、マー ケティング戦略が重要? • DK村内でのワラの配分は今後の課題 2.DK村における野生キノコ採取 ー利用種類と生態環境ー 調査期間と内容 • 調査期間:2006年6月7,8日 • 調査内容 ①6月7日:パー・コクにおけるキノコ採取活動、 サンプリング ②6月8日:パー・ドン散策。サンプリング キノコ採取場所(聞き取りから) • パー・コク キノコ採取を行なうのはここが中心。 • パー・ドン 種類は多くないが、シロアリタケ類を採る場合 はここで採ることが多い。 6月7日 Na Khok で 採取物 • • • • すべて外生菌根菌 Amanita Russula BOLETACEAE 出作り小屋のお昼ごはん • 午前中に採取されたキ ノコはさっそく昼ごはん のスープに。 • 歩いてすぐの国道13号 沿いで売りさばくことも ある 6月8日 Don Som phor で 採取物はわずか • であったキノコのほとん どが木材腐朽菌 • Clitocybe • Pleurocybella ドンとコクの差? • 熱帯地域の外生菌根菌のホストは、マメ科、 フタバガキ科 • 一般に外生菌根菌は、ストレスを受ける森林 に多いとされる。 • コクにおける人為撹乱が影響?(伐採、火入 れ) 3.まとめと今後の展開 まとめ • 栽培キノコと野生キノコの対照性 種類の相違 現金収入・農閑期⇔自家用・農繁期 • 都市化の影響 キノコ栽培の展開 野生キノコの商品化 今後の課題 • DKキノコ栽培の収支の定量的把握 • 栽培キノコ通年生産地における調査 • ワラ利用状況に関する調査(特に今年度は 作付面積激減の影響) • 2006年6月調査をもとに論文執筆(英文) • 野生キノコ利用形態(自家消費、分配・贈与、 饗食)に関する調査