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組込みカーナビ向け SoC「SH7777」(SH-Nav

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組込みカーナビ向け SoC「SH7777」(SH-Nav
2009 年 10 月 8 日
株式会社ルネサス テクノロジ
ワンセグ対応などオーディオ・ビデオ機能を強化した、
組込みカーナビ向け SoC「SH7777」(SH-NaviJ3)を製品化
-業界標準のグラフィックス処理用プログラミングインタフェースOpenGL® ES1.1 に対応し、
高度で使い勝手のよい 3D グラフィックスの開発期間短縮に貢献-
株式会社ルネサス テクノロジ (本社:東京都千代田区、取締役会長 塚本 克博)は、こ
のたび、小型ポータブルナビや中級・普及レンジの組込み型カーナビゲーション機器(以下、
カーナビ)向けSoC(System on Chip)「SH-NaviJシリーズ」の第三弾として、「SH7777」
(SH-NaviJ3)を製品化しました。業界標準の組込み機器向けグラフィックス処理用プログ
ラミングインタフェースであるOpenGL® ES1.1(注1)対応により開発期間の短縮を図り、かつ、
ワンセグ(注2)対応などマルチメディア機能を強化しており、2009 年 10 月 8 日よりサンプル
出荷を開始します。
本製品により、今後需要拡大が見込まれる、カーナビ機能とオーディオ・ビデオ機能を
併せ持つ AV ナビ・システムの低コスト化、小型化、開発期間短縮が実現可能です。
「SH-NaviJ シリーズ」は、組込み型カーナビで多くの採用実績をもつ当社のハイエンド
機器向け SoC をベースとした地図描画機能や高品質を活かしつつ、ローエンドからミッド
レンジ機器向けに搭載機能を厳選し、カーナビシステムをコンパクトに 1 チップ化した SoC
であり、本「SH7777」(SH-NaviJ3)では、さらに次の点を強化しています。
(1) OpenGL® ES1.1 対応により、高度で使い勝手のよい 3Dグラフィックスの開発期間短縮に
貢献
本製品では、従来の「SH-NaviJ1」や「SH-NaviJ2」で搭載していた 2D/3D描画対応グラフ
ィックスプロセッサを強化し、組込み機器向けグラフィックス処理用のプログラミングイ
ンタフェースとして業界標準であるOpenGL® ES1.1 対応を実現しています。このため従来
開発ボードを用いて行っていた 3Dグラフィックス用ソフトウェア開発をPC上で行えます。
また、本グラフィックスプロセッサでは、例えば地図上の 3Dオブジェクトの多彩な表現や、
繊細かつより立体的でリアルな 3DによるGUI(注3)(グラフィカルユーザインタフェース)
表示などの、高度な画面表示が可能ですが、OpenGL® ES1.1 対応により、これらのソフト
ウェア開発の容易化や開発期間の短縮が図れます。
(2) ワンセグの再生・録画を実現する高性能で低消費電力のマルチ・コーデック動画像処
理IPを搭載
AVナビ・システムのニーズに対応するため、携帯電話等で採用されている地上デジタル放
送ISDB-T(ワンセグ)(注2)などの動画像圧縮規格のH.264/MPEG-4AVC(以下、H.264)に対応
したマルチ・コーデックの高性能動画像処理IP(VPU5F:Video Processing Unit 5F)を
新規搭載しています。
本IPは、当社の実績ある携帯電話システム向けアプリケーションプロセッサ「SH-Mobile
シリーズ」で培った技術を採用しており、VGAサイズで 30fps (frame per second)のエン
コード(符号化[録画])およびデコード(復号化[再生])性能を実現している上、MPEG-4
1
のエンコード/デコード、およびVC-1 のデコードにも対応しており、ムービー等の様々な
動画アプリケーションに対応することができます。加えて、海外の地上デジタル放送形式
である欧州のDVB-H(注4)や韓国のDMB(注5)等の方式にも対応可能です。
これにより、AV ナビ・システム実現用の外付け部品ないしソフトウェア処理量を削減でき
るため、システムの低コスト化が図れると共に、開発期間も短縮できます。また、
「SH-NaviJ シリーズ」第二弾製品と同サイズの 21mm×21mm で実現しており、システムの
小型化が可能です。
(3) マルチメディア対応の高性能で豊富な周辺機能を内蔵
本製品は、オーディオ処理用として 24 ビットオーディオ専用DSPを搭載しており、MP3 や
AAC(Advanced Audio Coding)、WMA(Windows Media Audio)(注6)などの圧縮オーディオに対
応可能です。また、地上デジタルTV放送や、携帯電話向けの音楽ダウンロードサービス等
で採用されている音声圧縮規格のaacPlus(Advanced Audio Coding Plus)(注7)の処理を専用
DSPで行うことにより、これまでソフトウェア処理を行う際に必要だったCPU処理量を当社
比で約 50MHz程度低減できます。このため、さらなるCPUの低消費電流化が実現できます。
また、地上デジタル放送の高画質表示が可能な拡大エッジ強調機能を搭載しており、ワン
セグの QVGA(320×240 画素)サイズ相当の画像を VGA(640×480 画素)や WVGA(832×496
画素)サイズの画面に拡大した際に画像がぼやけることを防ぎます。
その他、車載LANのCAN(注8)インタフェースはもちろん、新規にGPS(注9)ベースバンド処理モ
ジュール、地上デジタル放送受信のためのTSインタフェースなど、高性能で豊富な周辺機
能を内蔵しています。このため、システムの部品数を低減でき、高性能システムの低価格
化が図れます。
加えて、H.264 やMPEG-4、WMV(Windows Media Video)(注6)などの動画用ミドルウェア、MP3
やAAC、WMA、aacPlusなどのオーディオ用ミドルウェアなど、各種圧縮方式に対応した多
彩なミドルウェアを豊富に用意しており、トータルシステムへのソフトウェアソリューシ
ョンを提供します。
(4) 2 画面表示により幅広いアプリケーションを実現
本製品は従来の「SH-NaviJ2」同様、2画面表示を実現しており、例えばWVGAサイズのグラ
フィックス画像を2系統の表示が可能です。(1画面の場合は、最大でWXGAサイズ[1280×
768画素]の表示が可能)
これにより例えば、一方をカーナビ用に、もう一方を車内の後部座席用のリアモニタ用に
使用するといったシステムを構築することが可能でアプリケーションの幅を広げること
ができます。
さらに今回、2系統の入出力信号のうち1系統は、24ビットカラーのデジタルRGB出力が可
能なため、表示色の諧調をより詳細に表現することが可能になりました。
<製品化の背景>
近年、小型車向けなどの組込み型カーナビとして、小型で地図データの記録媒体にフラ
ッシュメモリを使用したメモリナビなど、低・中価格帯のカーナビ需要が増大すると見込
まれます。また、高機能化や使い勝手向上のニーズが増すことから、カーナビメーカでは、
ハイエンド機器の開発とほぼ平行してローエンド、ミッドレンジ機器の開発を進める必要
があり、その開発スピードも増してきています。このため、フラッシュカードや USB 等と
の接続性を有し、高性能かつコンパクトなカーナビ用システムを 1 チップで実現する SoC
2
が求められています。加えて、ハイエンド機器で開発したソフトウェア資産の有効活用な
どによる開発効率向上も重要になっています。
こうしたニーズに対応するため、当社では2008年に、当社のハイエンド機器向けSoC
「SH-Naviシリーズ」(注10)の高度な地図描画機能や高品質を活かしつつ、ローエンドからミ
ッドレンジの組込み型カーナビ等向けに機能を厳選し、コンパクトに1チップ化した
「SH-NaviJシリーズ」を製品化しています。
さらに、組込み型のカーナビから PND などの簡易型カーナビにおいても地上デジタル TV
放送対応機能の搭載が増加しており、今後、この傾向は、ますます拡大すると見込まれて
います。こうしたデジタル TV 放送等を再生する AV ナビ・システム対応への強いニーズに
対し、当社は、多くの携帯電話で採用されている、携帯電話システム向けアプリケーショ
ンプロセッサ「SH-Mobile シリーズ」で培った IP(Intellectual property)を「SH-NaviJ シ
リーズ」に展開することによりマルチメディア機能を強化した「SH7777」(SH-NaviJ3)を
製品化しました。
<製品の補足>
「SH7777」は、既存の「SH-Naviシリーズ」製品と同様に「SuperH(注 11)ファミリ」の最上
位CPUコア「SH-4A」を搭載しており、最大動作周波数が 533MHzで、CPUの処理性能は 960MIPS、
浮動小数点演算器(FPU:Floating-point Processing Unit)の処理性能は 3.73GFLOPS(giga
floating-point operations per second)を実現しています。これらの高い処理性能によ
り、高性能なシステムが実現可能です。また命令セットは「SH-4」の上位互換であるため、
「SH-4」を使用した既存システムのプログラムを流用することが可能です。これにより、
システムの開発期間を短縮できます。
また、2D/3Dグラフィックスプロセッサでは、従来の「SH-NaviJ1」、「SH-NaviJ2」で搭載
している太線描画機能やアンチエイリアス機能といった 2D描画機能と、トライアングル 3D
描画、テクスチャマッピングといった多彩な 3D描画機能をさらに発展させ、より立体的で
リアルな 3D描画を実現しています。例えば、マルチテクスチャ(注 12) といった表現手法が可
能になり、3Dオブジェクトの立体表面の模様や質感をリアルに表現できます。このため、
地図、アイコン、メニューなどの 2Dコンテンツはもちろん、地図上のビルやランドマーク
といった 3Dコンテンツのリアルで多彩な表現を組み合わせた高度な地図画面や、グラフィ
ックス機能を多用した表現力の高い 3DによるGUI画面を単一の描画プロセッサで実現でき
ます。
さらに、このグラフィックスプロセッサの性能を最大限に引き出す高性能な3Dおよび2Dグ
ラフィックスライブラリを提供します。3Dグラフィックスライブラリでは、上述のOpenGL®
ES1.1対応により、グラフィックスプロセッサがサポートする描画機能をより容易に使用す
ることが可能となります。そして、2Dグラフィックスライブラリでは、Microsoft
Corporationの Windows® Automotive(注13) 5.0 Service Pack 2 対応のGDI-Sub(注14)仕様に準
拠しています。
また、ユニファイド・メモリ・アーキテクチャを採用しており、各モジュールでの使用
メモリを共有できるため、外付けメモリの部品数を削減することができます。
その他、外部バスとして、高速な DDR2-SDRAM と接続可能な 32 ビット専用バス、並びにフ
ラッシュメモリや SRAM と接続するための 16 ビット幅の拡張バスを備えています。
開発環境としては、ホスト PC と USB インタフェースで接続する「E10A-USB」エミュレー
タが使用できます。さらに、オンチップデバッグ機能を搭載しているため、最大動作周波
数でのリアルタイムデバッグが可能です。
3
また、ユーザのシステム開発向けに、以下の特長を備えたリファレンスプラットフォー
ム(以下、PF)のご提供も受注対応します。
・車載情報機器向けの周辺回路を搭載し、ユーザシステムの実機検証環境を実現
・アプリケーションソフト等のソフトウェア開発ツールとして使用可能
・ユーザによるオリジナル機能の追加が可能。
本 PF のご使用により「SH-NaviJ3」の機能評価・アプリケーションフトウェアの開発、な
どユーザシステムを効率良く開発することが可能となります。
今後の組込み型カーナビ用 SoC の展開としては、ハイエンド機器向けにはマルチコア製
品の高性能化、高機能化などの開発を進め、ローエンド、ミッドレンジ機器向けには性能・
機能をより最適化した製品の開発を進めます。これらにより、市場ニーズに対応した製品
をタイムリーに投入していきます。
■注 記
(注 1) OpenGL® ES:OpenGL®は、米国Silicon Graphics Inc.が中心となって開発した 3Dグラフ
ィックス処理用のプログラミングインタフェースで、プラットフォームによらないことを特徴
としている。OpenGL® ESは、OpenGL®のサブセットに相当する組み込み機器向けのAPIで、仕様
策定は、OpenGL®の規格標準化団体であるKhronos Group(クロノスグループ)により進められ
ています。
OpenGL®は、米国Silicon Graphics Inc.の登録商標です。
(注 2) ワンセグ:日本で開発された地上デジタルテレビ放送規格 ISDB-T(Integrated Services
Digital Broadcasting - Terrestrial)において、携帯電話などの移動体向け放送は、ISDB-T
の全 13 セグメントのうち 1 セグメントを使用し、ワンセグ放送と呼ばれている。
(注 3) GUI(Graphical User Interface):情報がグラフィックスで表示され、ポインティングデ
バイスで直感的に操作することができるユーザインタフェース
(注 4) DVB-H(Digital Video Broadcast for Handhelds): 欧州で開発されたデジタルテレビ
放送規格(DVB)の移動体向け規格。
(注 5) DMB(Digital Multimedia Broadcasting): 韓国で開発された移動体向けデジタルテレ
ビ放送規格で地上波(Terrestrial)の地上波 DMB(T-DMB)と、衛星(Satellite)の衛星 DMB
(S-DMB)がある。
(注 6) Microsoft、Windows は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における
登録商標または商標です。
(注 7) aacPlus は、Dolby Sweden AB 社で開発された音声圧縮方式です。
(注 8) CAN:Controller Area Network の略で、独 Robert Bosch GmbH が提唱している車載用の
ネットワーク仕様です。
(注 9) GPS: Global Positioning System の略で、全地球測位システム。
(注 10) SH-Naviシリーズ:当社の 32 ビットRISC CPUコア「SuperH」を搭載した、カーナビ等の
車載情報端末等向けSoC。現在は、画像認識処理エンジン搭載の「SH7774」を含む 3 製品を量
産中。CPUコアを 2 個搭載したデュアルコア製品も製品化している。
(注 11) SuperH™は、(株)ルネサス テクノロジの商標です。
(注 12) マルチテクスチャ:3Dグラフィックス上の一つのポリゴンに複数のテクスチャと呼ばれ
る画像を重ねて貼り付けて合成し、より高度な表現を行う、3Dグラフィックスの表現技法の一
4
つ。
(注13) Windows Automotive は、Microsoft Corporation により開発された、車載情報端末用組
込みオペレーティングシステムです。
(注14) GDI-Sub: GDI(Graphics Device Interface)と呼び出し命令の互換性を持ったWindows
Automotive 独自のグラフィックスフレームワーク。特に GUI と地図の高速描画を想定して設
計されており、グラフィックス LSI の性能を最大限に発揮できるよう最適化されている。
* その他記載の製品名、会社名、ブランドは、それぞれの所有者に帰属します。
■応用機器例
●車載情報端末:ローエンドからミッドレンジのカーナビゲーション機器等
■価 格
製 品 名
(型名)
SH7777
(R8A77770DA01BG)
パッケージ
サンプル価格 (円)<税込>
440 ピン BGA
6,000
■お客様からの問い合わせ先
株式会社ルネサス テクノロジ マイコン統括本部 自動車事業部 自動車情報系製品技術部
〒100-0004 東京都千代田区大手町二丁目 6 番 2 号(日本ビル)
電話 03(5201)2949(ダイヤルイン)
E メール: [email protected]
以
5
上
【補足資料】
■仕 様
項 目
型名
電源電圧
最大動作周波数
処理性能
CPU コア
内蔵 RAM
キャッシュメモリ
外部メモリ
「SH7777」(SH-NaviJ3)仕様
R8A77770DA01BG
1.15V-1.3V(内部)/3.3V、1.8V(外部)
533MHz
960MIPS、3.73GFLOPS
SH-4A コア
ILRAM:16K バイト OLRAM:16K バイト
32K バイト命令/32K バイトデータ分離、
4 ウェイセットアソシアティブ方式
DDR2 専用バスに、DDR2-SDRAM を直結可能。
また、拡張バスに SRAM、ROM を直結可能。
アドレス空間:64M バイト×3
ルネサスグラフィックスプロセッサ 2(2D/3D)
VPU5F (H.264、MPEG-4、VC-1)
ビデオ画像処理機能(色変換、画像拡大・縮小、フィルタ処理)
画像ブレンド機能
表示制御 2 画面出力(デジタル RGB×2 チャネル)
ビデオ入力インタフェース
SD カードホストインタフェース×2 チャネル
マルチメディアカードインタフェース
USB 2.0 ホスト/ファンクションインタフェース
TS インタフェース
GPS ベースバンド処理モジュール
FM 多重デコーダ
コントローラエリアネットワーク(RCAN)インタフェース×2 チャネル
MOST インタフェースモジュール
各種サウンドインタフェース×7 チャネル
専用 DMAC×34 チャネル
I2C バスインタフェース×4 チャネル
シリアルコミュニケーションインタフェース(SCIF)×6 チャネル
リモコンインタフェース×1 チャネル
タイマ×9 チャネル
オンチップデバッグ機能
割り込みコントローラ(INTC)
クロック発振器(CPG):逓倍 PLL 内蔵
低消費電力モード
スリープモード
モジュールスタンバイモード
DDR-SDRAM 電源バックアップモード
パッケージ
440 ピン BGA (21mm×21mm)
* SD メモリカードインタフェースを使用するには、SD カードのライセンスを取得しているこ
とが必要です。
* *MOST:Media Oriented Systems Transport の略で、情報系の標準的な車載ネットワーク。
拡張バス
主な内蔵周辺機能
*その他記載の製品名、会社名、ブランドは、それぞれの所有者に帰属します。
以
*** このニュースリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。 ***
*** 発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。 ***
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