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産業振興のための基本的方向

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産業振興のための基本的方向
産業振興のための基本的方向
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第4章
1
産業振興のための基本的方向
基本的な考え方
生産年齢人口をはじめとした人口の減少、経済のグローバル化、産業構造の変化など社会経済
情勢が大きく変化し、地域間の競争もますます激しくなる中で、将来にわたり本市産業が持続的
に発展していくためには、本市がもつ地域資源を強みとして活かし、産業間の連携を深めるなど、
技術、雇用、消費をしっかりと結びつけ、足腰の強い産業の振興を図ることが重要です。
本市は、豊かな森林資源、清らかな水、澄んだ空気、四季折々の景観、町並み、歴史、伝統、
文化、技、食などの世界に誇る数多くの地域資源を有しています。これらの地域資源やおもてな
しの心は、先人たちより受け継がれた貴重な財産であり、それらによって国内外から多くの人々
が訪れる観光地「飛騨高山」として全国に知られる都市に発展してきました。
本計画では、本市の強みである「飛騨高山ブランド」をさらに高めるとともに、豊かな自然や
伝統・文化をはじめとする地域資源の保存・活用をすすめます。さらに市内資金循環の取り組み
や産業間の連携を強化することによって、将来にわたり持続可能な産業の振興を図り、市民、事
業者が懐の深い豊かさを感じあえる地域経済の形成をめざします。
【産業振興の基本的な考え方】
飛騨高山ブランドのさらなる強化と、地域資源の活用による
持続可能な産業の振興
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2
視 点
基本的な考え方にもとづき、次の6つの視点で本市がもつ特性や時代の流れに的確に対応した産
業の振興をすすめます。
(1)次世代を担う人材の育成
生産年齢人口の減少、農林畜産業や伝統的工芸品産業の後継者不足などへの対応は、持続可
能な産業の振興を図るうえで重要な課題です。
事業者と行政が一体となり、新たな事業展開をすすめる上で必要な外部プロデューサーなど
の活用などをすすめ、地域内においてリーダーとなる人材、後継者、新たな経営者などを育成
するとともに、中高年齢者が豊かな経験や熟練した技術を活かすことができ、それらを次世代
に伝えることのできる環境づくりをすすめていきます。
また、将来を担う子どもや若者が地域や地場産品に誇りを持ち、郷土愛が深まるとともに、
市外に向けて本市の魅力を語り伝えることができる教育に取り組み、将来の本市の産業を支え
る人材の確保・育成や来訪者を迎えるおもてなしの心の醸成をめざします。
【重点的な取り組み】
○子ども・若者への教育
○担い手、後継者の確保・育成、技術の伝承
○職業能力の向上
○おもてなしの心の醸成
食農教育
高校生地元企業見学会
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(2)戦略的な交流の推進
人口の減少や価値観の多様化、地域間の誘客競争の激化など、産業を取り巻く環境がますま
す厳しくなる中で、国内外からの交流人口の増加や産学金官・農商工・異業種などの多様な連
携や交流による地域産業の新たな展開を促進し、観光客や観光消費額の増加を図ることが重要
な課題です。
中部山岳国立公園や温泉資源などの豊かな自然や歴史ある町並み、農山村景観、伝統文化、
伝統産業などの地域資源を活かし、個性・魅力ある滞在型・通年型のハブ観光地10としての位置
づけを強化するとともに、ニューツーリズム11や山岳観光、教育旅行などの多様な旅行ニーズに
各産業や地域、官民が一体となって取り組み、交流人口の増加を図ります。
特に、外国人の視点に立ち、関係機関との連携・協力を強化しながら海外からの誘客を促進
するとともに、海外との人や文化の交流を促進します。
また、誰もが安心して訪れることができるユニバーサルデザインに配慮したまちづくりや近
隣自治体との広域連携、都市間交流などにより、交通アクセスの向上を見据えた多様な交流、
話題性のある観光地づくりをすすめます。
【重点的な取り組み】
○地域資源を活用した滞在型・通年型の交流拠点づくり
○個性・魅力ある地域情報の発信
○海外からの誘客促進と受け入れ体制の強化
○産学金官・農商工連携、異業種・都市間交流の推進
海外からの観光客
新穂高ロープウェイ
10
ハブ観光地
:周辺地域からの交通アクセスや宿泊施設などの受け入れ体制が充実した観光地
11
ニューツーリズム
:従来の物見遊山的な観光に対して、これまでの観光資源としては気づかれていなかったような地域固有の資源を新
たに活用し、体験型・交流型の要素を取り入れた旅行の形態
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(3)地域資源を活かした個性・魅力あるものづくりの促進
国際競争や地域間競争がますます激しくなる中で、地域の活力を維持・増進していくために
は、地域資源を活かした個性・魅力あるものづくりを促進するとともに、新たな産業の立地や
企業誘致をすすめることが重要な課題です。
自然エネルギーや地域産材の活用を促進し、農林畜産業、建設業・製造業における経営体質
の強化や新分野への進出、地域の特色を活かしたものづくりや地域に根付いた伝統的な農産物
の生産、6 次産業化12を促進するとともに、市民、事業者の意識の醸成を図りながら地場産品
への愛着を高め、市内における消費拡大をめざします。
また、飛騨の匠から受け継いだものづくりへのこだわり、高い技術力、洗練されたデザイン
などを有する産業の強化を図るとともに、消費者の視点に立ったニーズの把握や、ターゲット
を明確にした新商品の開発などを促進し、国内外への販路開拓の新たな取り組みをすすめます。
【重点的な取り組み】
○地域資源の活用による経営体質の強化
○消費者ニーズを的確に捉えた付加価値の高いものづくり
○地産地消の促進
○海外への販路拡大
地産地消「食の見本市」
海外での展示会
12
6 次産業化
:第1次産業である農林水産業が、農林水産物の生産だけにとどまらず、それを原材料とした加工食品の製造・販売
や観光農園のような地域資源を活かしたサービスなど、第2次産業や第3次産業にまで踏み込むこと。1、2、3 を掛
け算して第 6 次産業としている。
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(4)地域の特色を活かしたまちづくりの推進
経済・社会が成熟し、全国的に人口も減少していく中、緑や憩いの空間に包まれ、21世
紀に相応しい成熟した魅力や文化力に満ち溢れた中心市街地や農山村地域の形成を図ること
が重要な課題です。
まちづくり三法13に対応した計画的な土地利用にもとづき、まちの顔である中心市街地への
都市機能の集積を図るとともに、町歩きの楽しさを高めるための車両進入制限、周遊性の向
上、歴史的な町並み景観や緑の保全などを図り、市民や観光客が安心して気軽に集えるよう
な、にぎわいのあるまちづくりをめざします。
里山や田園風景などのやすらぎとゆとりのある魅力的な空間づくりをすすめ、中心市街地
と一体的に情報発信しながら交流人口の増加を図り、市民や観光客の多様なニーズに対応し
た魅力あるまちづくりをめざします。
また、恵まれた自然環境やゆとりのある生活環境、歴史・文化・伝統産業などを活かしな
がら、起業・新規就農しやすい環境づくりや新分野への進出、新たな商品・サービスづくり
をすすめます。
【重点的な取り組み】
○「やさしさ」と「わかりやすさ」のあるまちづくり
○にぎわいのある魅力的な中心市街地づくり
○やすらぎとゆとりのある魅力的な農山村づくり
○個性・魅力ある店舗づくり
○起業・新規就農・産業立地しやすい環境づくり
宮川と中橋
農山村風景
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まちづくり三法
:中心市街地活性化法・都市計画法・大規模小売店舗立地法の三つの法律の総称
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(5)自然環境・景観の活用、次世代への継承
自然環境や歴史的町並み、農山村景観は貴重な地域資源であり、地域の個性やブランドを
構成する重要な要素です。
これらを保全するとともに、さらに研きをかけて活用し、次世代へ継承していくことが重
要な課題です。
特に森林や農地は、生態系の維持、温暖化防止、保水などの多面的機能の面からも重要で
す。
豊かな水と緑につつまれたまちの環境・景観を活用するとともに守り伝え、環境にやさし
い産業の振興を図り、低炭素化社会や自然エネルギーを活用した社会、循環型社会14の形成を
すすめます。
【重点的な取り組み】
○景観の保全・形成・継承
○環境にやさしい産業の振興
○森林資源の整備・多面的活用15
古い町並(三町伝統的建造物群保存地区)
植樹イベント
14
15
循環型社会
:廃棄物等の発生抑制、循環資源の循環的な利用及び適正な処分が確保されることによって、天然資源の消費を抑
制し、環境への負荷ができる限り低減される社会
多面的活用
:水質浄化等の水源かん養機能、リハビリテーション・森林浴・スポーツ等の療養・保養・レクリエーション機能、
自然とのふれあいなどの教育・学習機能、燃料材や建築材、木製品原料等の物質生産機能など、森林が有する様々
な機能を有効活用すること。
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(6)就労機会の拡大と労働環境の整備
事業者の経営体質の強化や新分野進出、起業などの積極的な取り組みを促進し、持続可能で
活発な経済活動が営まれることにより、就労・就農の場の創出を図り、若者の UIJ ターン16就
職や都市部からの移住をはじめとする人材の誘致を積極的にすすめることが重要な課題です。
地域資源を活用した新たな産業の創出や企業誘致、成長が見込まれる新分野への進出や経営
の多角化などを促進し、雇用の場の拡大をめざします。
また、均等な雇用機会や、多様なニーズにあった就労・就農機会を確保するため、事業者と
行政の連携のもと、仕事と生活を両立できる環境整備や、若者、高齢者、障がい者など、誰も
が安心して、生きがいをもって働ける環境づくりをすすめます。
【重点的な取り組み】
○若者の UIJ ターン就職者など人材の誘致
○仕事と生活の両立支援など働きやすい環境づくり
○事業の創出などによる就労機会の拡大
高校生就職セミナー
高校生地元企業説明会
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UIJ ターン
:U ターンは、就職や進学などで出身地から地域外に出て、再び出身地に戻ること。
I ターンは、出身地とは関係ないところへ移り住むこと。
J ターンは、就職や進学などで出身地から地域外に出て、出身地の近隣地域に戻ること。
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