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ガラスキャピラリ中の 高速イオンビームの軌道計算
卒業研究報告 題目 ガラスキャピラリ中の 高速イオンビームの軌道計算 指導教員 成沢 忠 教授 報告者 1060230 高鍋 健 平成 18 年 2 月 21 日 高知工科大学 電子・光システム工学科 1 目次 第1章 序論 .......................................................................................................................3 1.1 はじめに .......................................................................................................................3 1.2 研究目的 .......................................................................................................................4 第2章 R B S の一般論......................................................................................................5 2.1 はじめに .......................................................................................................................5 2.2 概要...............................................................................................................................5 2.3 原理...............................................................................................................................6 2.3.1 元素の決定 ................................................................................................................8 2.3.2 深さ方向の分布.........................................................................................................8 2.3.3 組成比 .......................................................................................................................9 第3章 イオンビーム分析装置 ........................................................................................10 3.1 加速器 .........................................................................................................................10 3.2 マイクロビームライン................................................................................................11 3.3 ガラスキャピラリ.......................................................................................................13 3.3.1 構造 .........................................................................................................................13 3.3.2 ガラスキャピラリの作り方.....................................................................................14 第4章 計算方法 ..............................................................................................................15 4.1 はじめに .....................................................................................................................15 4.2 計算.............................................................................................................................15 4.2.1 計算したときの条件................................................................................................15 4.2.2 計算式 .....................................................................................................................16 4.3 結果.............................................................................................................................18 4.4 考察とまとめ ..............................................................................................................20 参考文献 ................................................................................................................................21 謝辞........................................................................................................................................22 2 第1章 序論 1.1 はじめに 加工技術の発達により微細な構造をもつ電子デバイスの開発が可能になった現在、そ の材料がどのような構造になっているか、設計者の思惑通りに出来ているかを調べるた めに様々な固体分析の手法が存在する。その中でも分析方法として使われているのがイ オン散乱分光である。 イオン散乱分光は keV程度の低エネルギーイオンを用いる低速イオン散乱分光( Low Energy Ion Scattering Spectrometry : LEIS)、数十 keV 程度の中エネルギーイオンを 用いる中速散乱分光( Medium Energy Ion Scattering Spectrometry : MEIS)、および MeV 程度の高エネルギーイオンを用いるラザフォード後方散乱分光( Rutherford Backscattering Spectrometry : RBS )に分けられ、あるエネルギーのイオンを試料に打 ち込み、そのイオンが散乱されてくる際のエネルギーを測定することで、散乱に寄与し た原子の質量に対応した値だけエネルギーを失っていることを利用するもので、基本的 な原理は同じである。 いずれの方法も元素分析の原理については共通だが、LEISS は最も表面に対して敏 感であり、MEISS と RBS は元素の深さ分析に対して有効である。高知工科大学では RBS 法が使われており、イオンビームの直径は 1mm 程度である。 しかし、現在の電子デバイスや光デバイスの高精細化が進み、この傾向が続くことを 考慮すると直径が 1mm ほどのイオンビームでは満足できる測定ができず、十分な情報 を得られない可能性がある。ビーム径を収束し分解能をあげるために、電磁界レンズを 使ってビーム径をサブミクロンオーダーまで収束する技術があるが、市販されている装 置が高価で、かつ加速器に取り付けるためにはビームラインの改造が必要になる。 そこで入射するビーム径を収束するために安価なガラスキャピラリというガラスの細い 管を使う。ガラスキャピラリは先端に向かって徐々に狭くなるような僅かなテーパーを持 つガラスの細管で、現在では電磁界レンズと同等のサブミクロンオーダーの収束に成功し ている。 3 1.2 研究目的 近年までガラスキャピラリを使った、高速イオンビームの収束は、ガラスキャピラリ に入射した一価の He イオンが、その内壁で前方散乱され出てくると考えられていた。 しかし、[1]N. Stolterfoht らによって、イオンが絶縁体であるガラスキャピラリに衝突す ることで charge up (帯電)により、ガラスキャピラリ内に電界が発生し、He+イオンが電界 の影響を受けキャピラリ内壁に衝突せずに出てくることを確認したという論文が発表され ている。 この考えを元に本研究では、簡略化した条件の下に高速でガラスキャピラリ内に入射し た He+イオンの軌道を計算し、He+イオンが入射する位置によって軌道がどのように変化 するかを計算し報告する。 4 第2章 R B S の一般論 2.1 はじめに この章では、本大学でも使われているイオンビーム分析の中でも RBS について説明 する。この方法は、H+イオンや He+イオンなどの軽元素を、加速器によって数 MeV 程 度に加速して試料にぶつける。入射したイオンは、試料中の原子核と衝突して広角散乱 され、そのイオンのエネルギーを検出することで組成分析や表面分析が行われる。この 分析方法は、原子の構造を調べるためにラザフォードが行った有名な実験から、ラザフ ォード後方散乱法と呼ばれる。 2.2 概要 Rutherford(ラザフォード)は自然放射能であるα粒子を金の薄い膜に当てると、大部 分は膜を透過するが、一部のものが散乱される現象を発見し、原子核の存在を明らかに し原子の構造を明らかにした。この実験は、原子の構造に関する有用な結果を導き出し たが、当時の粒子加速器ではイオンビームの強度にばらつきがあり、あまり良い測定が できず広く普及することはなかった。 後年、粒子加速器の性能が向上し、エネルギーの揃ったイオンビームが得られるよう になり、多層膜の組成分析などにイオン散乱分光実験が用いられるようになった。しか し、試料が多層膜の場合、元素分解能と、深さ分解能が干渉し、また検出感度がよくな いために上手く測定することができず、表面の情報を得ることは難しかった。表面分析 を行うために Stark(シュタルク)が提唱したチャネリング法を用いることで、表面の分 析も可能になった[2]。 この RBS の特徴は、 (1) 試料の組成と深さ方向の分布の情報を得ることができる。 (2) 試料内部にイオンビームを入射させ、その散乱されたイオンのエネルギーを分析 するため、特別な処理を施さなくとも、試料内部の組成を非破壊で測定できる。 (3) 試料の結晶性や格子内での原子の位置を知ることが出来る。 などが挙げられる。 5 2.3 原理 ここではラザフォード散乱のうち、運動量が保存される場合の散乱を用いて元素の決定、 深さ方向分布、組成比の測定をするときの方法について記述する。 まず試料に数 MeV 程度の運動エネルギーE0 を持つイオンが、図1のように試料表面 に入射したとする。衝突前のイオンの質量を m0、速度を v0 とし、この方向にx軸を取 り、さらに衝突後の速度を v1、散乱角をθ、散乱した後のエネルギーを E1 とする。イ オンをぶつける標的である原子の質量は m1 で、衝突前は静止しているのでエネルギー は 0 であり、衝突後の速さを v2、散乱方向の角をΦとすると、エネルギー保存の法則 と運動量保存の法則から、 1 1 1 m1v02 = m1v12 + m2 v22 ・・・(式1) (エネルギー保存則) 2 2 2 m1v0 = m1v1 cosq + m2 v2 cosf ・・・(式2)(運動量保存則) 0 = m1v1 sin q - m2 v2 sin f ・・・(式3)(運動量保存則) が成り立つ。 ここで E0 = 1 m 1 v 02 2 図1 E1 = 1 m 1 v 12 2 二物体の衝突モデル 6 である。 文献[2]の Si 基板に Au 膜を蒸着した試料から得られるスペクトル例である。この例 を使って、RBS で測定できる原理について説明する。図 2-(a)は Si 基板からの信号、図 2- (b)は Au 膜の信号、図 2- (c)は(a)、(b)の合成スペクトルで実際に Au(膜) / Si(基板) から得られたものである。また、Si-edge, Au-edge でスペクトルが立ち上がり台形状の スペクトルとなっている。edge(エッジ)とは原子により散乱されときのエネルギーを指 すものである。 図2.試料(Si 基板と Au 膜)のスペクトル 7 2.3.1 元素の決定 散乱前のエネルギーE0、散乱後のエネルギーを E1(0)としこのエネルギーの比を運動 学的因子 K (Kinematic factor)とすると Au の K 因子は KAu で E 1 ( 0 ) = K Au E o ・・・式(4) が成り立ち、運動量保存則と、エネルギー保存則から KAu は次式のように表せる。 K Au ìï m cos q + m 2 - m 2 sin 2 1 = í 1 m + m 1 2 ïî 2 2 q üï ý ・・・式(5) ïþ イオンが衝突する原子の種類によって、質量が異なるのでイオンの散乱後のエネルギー E1(0)が異なる。以上のことから He+が Au 表面で散乱されるエネルギー(Au-edge)を求めら れ、 図 2-(b)のように Au のスペクトルが信号として表れる。この K 因子を利用することで、 散乱イオンのエネルギー分析を行えば、元素の決定が可能になることがわかる。 2.3.2 深さ方向の分布 次に、試料の深さ方向について考える。エネルギーE0 の He+ が試料に入射されてか ら、試料表面で Au 原子により散乱され検出器に式(4)のエネルギーが飛び込んでくる。 試料表面から、深さ t で散乱されるエネルギーを E1(t)とすると、 E 1 ( t ) = K Au E 0 - t [S ]Au ・・・式(6) で表される。ここで出てきた[S]Au は[S]因子または、後方散乱エネルギー損失係数 æ dE ö ÷÷ を使って、次式で è dx( Au ) ø e (energy loss parameter)と呼ばれ、Au による電子阻止能 çç 求められる。 8 [S ]Au = K Au dE dx ( Au )K 1 cos q + = E 0 dE dx ( Au ) K = KAuE ・・・式(7) 0 この式で、第1項は往路、第 2 項は復路での電子阻止能を表し、イオンのエネルギー 損失に対応する。 したがって、Au 原子から散乱される粒子は式(4)の KAuE0 よりも低いエネルギーを持 つことになるのでスペクトルが台形状になることが理解される。同様に Au 膜下の Si からの散乱は、図 2-a のように Si-edge より低いエネルギーで立ち上がる。これは、Au 薄膜をイオンが通過するときにエネルギーを失うからである。このようなエネルギー損 失を測定することによって、Au 薄膜の深さ方向の分布、つまり膜厚を測定できる。 2.3.3 組成比 次に、図 2-a は Au 膜の下にある Si 基板のエネルギースペクトルの高さで、これを YAu とすると、図 2-b の Si のスペクトルと比べると、全体的にエネルギーが低いことが わかる。 これは、He+が Au を通過して Si に達して散乱され、再び Au を通って検出器で観測 されるまでのエネルギー損失によるものだと考である。Au のスペクトルの高さ YAu は ラザフォード散乱による断面積σ Au∝(ZAu/E)2 で ZAu は Au の原子番号、原子濃度を NAu とすると Y Au = KN Au s [S ]Au Au ・・・式(8) が成り立ち、運動学的因子 K は実験条件で決まる。σや[S]は今まで様々な研究者達の 蓄積により豊富なデータがある。ゆえに、RBS による原子濃度の測定は信頼性に富む といえる。 9 第3章 イオンビーム分析装置 3.1 加速器 高知工科大学で使用されている加速器の構成を図 3 に示す。 図3 イオンビーム加速装置 これはタンデム型加速器で、シェンケル型整流回路によってターミナル電圧を最大で 1.7MV までかけることが可能である。この整流回路と加速管は高電圧による大気の絶 縁破壊を防ぐために、高気圧絶縁ガス(SF6)中に収められている。また、加速管の周り には、制動放射による X 線を防ぐために厚さ 20cm の鉛の板によって遮蔽されている。 この加速器の加速管は、イオン源より搬送された負イオンを加速器の中で正のイオン に変換することで、多段で加速するタンデム方式を採用している。 10 3.2 マイクロビームライン このビームラインは、ガラスキャピラリの先端をビーム軸に取り付けるためのもので、 ビームラインにキャピラリを取り付けるための 2 軸ステージと、試料をキャピラリ先端 まで近づけるための粗動、微動の各 3 軸ステージがある。 また、キャピラリレンズを取り付ける時の方向調整のために He-Ne レーザーを使っ てキャピラリがキャピラリ保持配管に水平になるようにされている。このキャピラリ保 持配管は入射イオンビームの前に用意され、直径約 1mm のコリメータスリットを通っ て、ガラスキャピラリに到達する。この保持配管は直径 4mm、全長 300mm のもので、 この中を通ることでイオンビームは、ガラスキャピラリに入射するまでに方向の揃った ものを測定に用いることが出来る。 図4 マイクロビームライン 11 ガラスキャピラリによって収束されたイオンビームは、キャピラリ出口から出射される とき大きな発散角を持つ。つまり、キャピラリ先端径を 1μmΦ以下まで細くしても、サン プルとキャピラリ先端との間隔が大きいと、せっかく収束したイオンビームは広がってし まう。 そこで、図5で示すようにマイクロビームラインに、光学顕微鏡を取り付けガラスキャ ピラリと試料との距離を粗調整できるようにする。キャピラリ先端部分近くにポジション センサーを取り付けることで、センサー先端とサンプルが触れない仕組みになっている。 このセンサーとキャピラリ先端を揃えることでガラスキャピラリの先端と試料面は 1μ m 以下まで接近することが可能になり、出口径から出てきたイオンビームを発散させるこ となく、利用することができる。 図5 キャピラリアプローチの機構とステージ 12 3.3 ガラスキャピラリ 3.3.1 構造 ガラスキャピラリの構造を以下に示す。 図6-1 ガラスキャピラリの概略図 図 6 (a)アルミ管で保護されたガラスキャピラリの写真 (b)ガラスキャピラリ先端の SEM 画像 13 ガラスキャピラリは図 6-(a),(b)を見てもらうとわかるように、先に行くほど細くなる先細 りの構造になっている。大きさは入口径が 0.8mm、出口径は種々のものを製作可能である が、細いものでは、例えば 300nm となっており、長さが 50mm で先細りの形状を取って おり、0.5°のテーパー(傾き)をもっている。 図でみてもわかるように、先端が非常に細く脆いため図 6-a のように取り扱うときはアル ミの管のなかに接着剤で固定し保護する。 3.3.2 ガラスキャピラリの作り方 キャピラリの作り方は簡単で、図7のように微小電極製作器という装置に市販されてい る中空のガラス管を取り付けて、ヒーター部分のカンタル線に交流電流を流すと、抵抗加 熱によりカンタル線が熱を持つ。ヒーターにより高温で温められたガラス管が柔らかくな ったところを、下部分のマグネットで引張ることで、先端のとがったガラス細管を作り出 すことが出来る。 図7 キャピラリ作製装置のカラス管装着部分 14 第4章 計算方法 4.1 はじめに 2MeV に加速されたイオンが、ガラスキャピラリ内に入射し、ガラスキャピラリ内が帯電 することにより発生する電界によって、どのような影響を受けてどのような軌道を描いて 出てくるかを計算する。 4.2 計算 4.2.1 計算したときの条件 ガラスキャピラリがテーパーを持つ場合は困難なため、容易に計算するために図 8 のよ うな平行板をモデルとして計算を行った。また、絶縁物であるガラスキャピラリ内の帯電 は、入射してきたイオンがガラスキャピラリ内壁にぶつかることによって、すでに一様な 電 界 が 発 生 し て い る 状 態 で あ る と し て 計 算 を 行 っ た 。 電 界 は 100V/m,1000V/m,10000V/m,100000V/m がガラスキャピラリ内で発生していると仮定し た。また、キャピラリの内径は 0.8μm と仮定している。 帯電したガラスキャピラリは中心軸で対称とし、その中の電界は中心軸だと打ち消し あって、He+イオンが中心に入射してきた場合は電界の影響を受けずに真っ直ぐに直進 するものとした。そこで、He+イオンの入射してきた位置は、中心軸ぎりぎりの 0.01μ m、ガラスキャピラリ壁ぎりぎりの 0.39μm、0.05μm から 0.35μm までを 0.5μm ご とに入射する軌道を考えた。また、ガラスキャピラリは中心軸で対称なので、入射して きた He+イオンは軸対称で中心線の上下で同じ軌道を描くとした。 図 8 一様な電界中に入射する He+のイメージ 15 4.2.2 計算式 2MeV で水平に入射してきた He+イオンは、キャピラリに入ってから出るまでにかかる 時間は一定で、横軸を x とすると次式より x = v x 0 t ・・・式(9) vxo は 2MeV を m/s に換算したもので、9.81×106m/sec である。 次に、縦軸を y としガラスキャピラリに入射してきた He+イオンの位置を y0 とすると、 ガラスキャピラリの中は一様な電界 E が発生しているので、キャピラリ内を移動した縦軸 の高さ y は次式で求められる。 1 qE 2 y = y0 t 2 m で式(9)より 1 qE æ x ç y = y0 2 m çè v x 0 2 ö ÷÷ ・・・式(10) ø q とmは、 He+一個の電荷と質量である。式(10)により He+が入射してから中心軸に達する までが計算できる。 y ガラスキャピラリ壁 vx0で 入射 He+ y0 E(一様) vx0 0 中心 vy0 図 9 中心軸に達するまでの He+イオンが描く軌道のイメージ図 16 x 次に、中心軸に達した後の軌道は、電界により水平に入射してき He+イオンに縦軸方向 に力が掛かり、vyo で中心軸から斜方投射されたものとして計算した。 æ qE ö qE æç x0 v y0 = ç ÷t = m çè v xo è mø ö ÷÷ ・・・式(11) ø x0 は He+イオンが中心軸に達するまでの距離である。 式(11)を元に、中心軸に達した後の軌道を次式で求める。 æ x 1 qE 2 y = v y0t t = v y 0 çç 1 2 m è v xo ö 1 qE æ x1 ÷÷ çç ø 2 m è v xo 2 ö ÷÷ ・・・式(12) ø 水平移動距離 x1 として、変化させることで中心軸に達した後の He+イオンの軌道を描く ことができる。 図 10 中心軸に達した後の He+イオンが描く軌道のイメージ 17 4.3 結果 ここでは、計算した結果をグラフにして示す。 図 11 電界 100V/mのときのイオンの軌道 図 12 電界 1000V/mのときのイオンの軌道 18 図 13 10000V/m のときのイオンビームの軌道 図 14 100000V/m のとのイオンビームの軌道 19 4.4 考察とまとめ 4.3 の結果を見ると、電界が強くなるほど入射したイオンの軌道の曲がり具合は大きくな ることがわかる。電界がイオンの軌道に与える影響はこの計算条件の場合、ガラスキャピ ラリに入射する前は水平にだけ進むが、入射後は電界により縦軸方向に力を受けて曲がり だす。電界によるイオンの曲がり具合は、式(11)で求められた成分に依存し、x0 以外のパラ メーターは一定で、 x0 は He+イオンが中心軸に達したときの水平移動距離で yo に依存する。 以上の計算結果から、この計算条件のような一様な電界がキャピラリ内に分布している 場合、ガラスキャピラリ中の高速イオンビームの軌道は、イオンの入射する位置と電界に 依存することがわかる。 20 参考文献 [1] N.Stolterfoht :PHYSICAL REVIEW LETTERS vol.88, number.13,01 April 2002 [2] 青野正和 著:表面の組成分析、丸善株式会社(1999 年) [3] 平木昭夫、成沢忠 共著:表面・界面の分析と評価 (1994 年第1版第1刷発行) [4] 南條正男 著:加速器、共立出版株式会社(1988 年初版 3 刷発行) [5] Raymond A. Serway 著 松村 博之 訳:科学者と技術者のための物理学 Ia 力学・波動 学術図書出版社(2002 年 第 1 版 第7刷発行) [6] Raymond A. Serway 著 松村 博之 訳:科学者と技術者のための物理学Ⅲ 電磁気学 学術図書出版社(2002 年 第 1 版 第 6 刷発行) 21 謝辞 本研究は高知工科大学電子・光システム工学科、成沢忠教授のもとで行われ たものである。成沢教授には本研究の遂行及び本論文に関して多大なご指導、 適切な助言をいただきました。また、助手の根引拓也さんには研究を進めるに あたって、様々な助言をしていただきました。本研究はお二人のお力添えなし に、私一人の力でここまでの形にすることは出来ませんでした。 お二人には言葉では言い尽くせないほどお世話になりました。 心よりお礼申しあげます。 22