3 最終需要による生産誘発

３ 最終需要による生産誘発
先にも述べましたが、全ての生産活動は、最終需要を満たすために行われています。つまりは、全ての
生産活動は最終需要によって誘発されると言えます。このように、ある産業に生じた最終需要を賄うため
に、各産業で直接・間接に必要となる生産額を生産誘発額といいます。
このことから、平成 12 年の県内生産額 6 兆 6,612 億円は、最終需要 5 兆 9,758 億円により誘発さ
れたと考えられます。これを、最終需要の項目別にみると、移輸出が全体の約半数を占める３兆 2,209
億円と最も多くの生産を誘発していることが解ります。次いで民間消費支出が１兆 7,357 億円，一般政府
消費支出が 8,287 億円などとなっています。
（表 23）
表 23 最終需要と生産誘発
生産誘発額（百万円）
平成１２年
家計外消費支出
生産誘発依存度（％）
平成７年
平成１２年
生産誘発係数
平成７年
平成１２年
平成７年
104,408
111,045
1.6
1.6
0.863433
0.875367
1,735,715
1,565,348
26.1
22.6
0.839142
0.803887
一般政府消費支出
歌 県内総固定資本形成（公的）
828,666
685,479
12.4
9.9
1.180443
1.213824
293,676
406,036
4.4
5.9
1.213162
1.256480
山 （民間）
在庫純増
県
移輸出
471,875
594,724
7.1
8.6
0.849689
0.913774
5,969
6,146
0.1
0.1
0.784844
0.332505
3,220,925
3,545,735
48.4
51.3
1.413031
1.431203
6,661,234
6,914,513
100.0
100.0
0.960957
1.131905
和
民間消費支出
最終需要計
次に、各産業部門の生産が、どの最終需要項目によりどれだけ誘発されたかの割合を示している生産誘
発依存度をみてみると、上記で述べているように移輸出が 48.4%と全体の約半数を占めていることから、
本県の経済は県外の需要に多くを依存していることが解ります。ただ、過去からの変化をみてみると（昭
和 60 年：65.8％→平成 2 年：58.9％→平成 7 年：51.3％）と徐々に低下してきており、県内経済が
県外需要依存型から県内需用依存型に変化してきていることを示しています。
また、他の項目では、民間消費支出と一般政府消費支出の占める割合が増加してきていることが、下の
図 18 から読みとれます。
図 18 最終需要項目別生産誘発依存度
H 7 1 .6
H 1 2 1 .6
2 2 .6
9 .9
2 6 .1
1 2 .4
民間消費支出
一般政府
消費支出
8 .6
4 .4
0 .1
7 .1
5 1 .3
0 .1
4 8 .4
移輸出
県 内 総 固 定
在庫純増
資 本 形 成
(公 的 ) (民 間 )
家計外
消費支出
0%
5 .9
20%
40%
60%
80%
100%
また、１単位の最終需要によって、県内生産がどれだけ誘発されるかを示している生産誘発係数を最終
需要項目別にみてみます。
本県の経済が、県外の需要に多くを依存していることからも、移輸出が最も高く 1.413031 倍となっ
ています。次いで、1 倍を上回る高い値を示している県内総固定資本形成（公的）が 1.213162 倍，一
般政府消費支出が 1.180443 倍などとなっています。一方、値の低い民間消費支出などは、需要の県外
流出が多いことから、誘発の度合いが相対的に低いのが特徴です。
平成７年と比較をすると、全体的には低下の傾向であり、平成 12 年の最終需要全体では１倍を下回り、
0.960957 倍となっています。これは、１単位の需要があった場合に、1 単位の生産が行われないことに
なり、生産波及の県外に流出する割合が高まっていることを示しています。
（通常、すべての生産が県内で
賄われていれば、必ず１単位以上の生産が誘発されます。
）
（表 23，図 19）
図 19 最終需要項目別生産誘発係数
1.6
1.4
平成７年
平成１２年
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
家計外
消費支出
民間
消費支出
一般政府
消費支出
県内総固定
資本形成（公的）
県内総固定
資本形成（民間）
在庫純増
移輸出
解 説
生産誘発額
･･･最終需要項目別生産誘発額合計＝県内生産額
生産誘発依存度 ･･･生産誘発依存度＝各最終需要項目別生産誘発額／最終需要項目別生産誘発額合計
生産誘発係数
･･･生産誘発係数＝各最終需要項目別生産誘発額／各項目別最終需要額