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29巻 1号 (1997年6月発行) - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部

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29巻 1号 (1997年6月発行) - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部
29巻 1号
平 成 9年 6月
一
示
表
紙
の
説
明
ヘ ール ボ ップ彗星撮影顛末記
その印象的な形状 によ り、彗星 は天体写真 の花形 で ある。
1995年 7月 23日 (世 界時)に 発見 されたヘ ール・ ボ ップ彗星 は今世紀最大 (地 球か ら眺 めた場合 の話 )の 彗
星の 1つ である。 4月 1日 に太陽 に最 も接近 し、地球 へ の最接近 は 3月 22日 であつた。
彗星 の見頃は 3月 か ら 4月 上旬で、 3月 には明 け方、東 の空 に、 4月 には夕方、北西の空 に長 い尾 を引 いて、
肉眼 で も くっき りと見 ることがで きた。新聞や雑誌、 あるい はテ レビで も盛大 に報道 され、 ごらんになった方
も多 いことと思 う。
今 回 のヘ ール・ ボ ップ彗星、 あるいはち ょう ど 1年 前 に騒がれた百武彗星 の ように、突然発見 され有名 にな
る彗星 も多 い。 これ らは周期が長 い (あ るい は無限の)長 円軌道や放物線、 あるい は双 曲線軌道 をもってお り、
太陽系の果 て、 あるい は星 間空間 か らや って きたか もしれ な い遠来 の客である。原始太陽系の名残 をとどめて
い るか もしれないので ことさ ら珍重 され る。 い っぽう登録 されて軌道や位置が よ く知 られてい る周期彗星 も200
個 あまりあ り、 これ らは周期 も短 く (大 半 が10年 前後 )、 太陽系 の 内側 を巡 って いて突然現れ て観預1所 をあわて
させ るとい う ことはな い。
彗星観測 の重 要性 は次の 2点 に要約 され る
(1)ガ ス とチ リが蒸発 して尾 (テ ール)を 引 い てい るので太陽系空間のプラズマ を探 るよいプローブ (指 標 )
になる。
(2)初 めて発見 され るような彗星 は原始太陽系 の名残 を とどめてい る可能性 が高 いのでその成分 や核 の性質 に
●
:
興味 が ある。
前者 の目的のためには、広 い視野 と、高精度 のイメー ジングが本質的な重要性 をもつ。現在数 ある種類 の観
測装置のなかで も、この目的 にもっ ともかなった装置 が大型の シュ ミッ ト望遠鏡である。木 曽観測所 のシュ ミッ
ト望遠鏡 は日径 1.05m、 反射鏡 口径 1.5mの 巨大 な もので、36cm角 の写真乾板 に空の 6度 四方 を詳細 に写 し撮 る
ことがで きる広視野望遠鏡であ る。 同 レベル の もの は世界 に 3台 しかな い。木 曽観測所 では彗星 が現れ ると必
ず撮影 を行 い、研究資料 として広 く画像 を公 開 して い る。最近 ではヘ ール・ ボ ップ彗星、百武彗星、 シューメー
カー レビー、 あるい はさかのぼると有名 なハ レー彗星な ど、数多 くの彗星 の高精度撮像 を行 つて きた。
ここに紹介す る写真 は 3月 30日 の夕暮れ に105mシ ュ ミッ ト望遠鏡で撮影 されたヘール・ ボップ彗星である。
コマ (下 の まるい固 ま り)は 彗星本体 か ら蒸 発 したガスの雲で、地球 の10倍 くらい の大 きさに広がって い る
(コ ヤ の中心 にある彗星 の核 自体 は直径数km)。 コマか ら北北西 (上 方 に左 より)に のびる筋状 の尾 は電離 ガス
の流れでプラズマ テール と呼 ばれ る。太陽風 と一緒 に流れて くる磁力線が彗星 の プラズ マ にか らまり、太陽の
反対側 に押 し流 されてで きる。無数の筋 は磁 力線 の形状 を示 し、彗星 にひっかかった磁力線が折れ曲が って後
にたなび く様子 が くっきりとみえる。 この尾 とは別 に、写真 の右上方に、ややぼ んや りした形の尾が走 って い
彗星 と一緒 に軌道運動 を
るの もわか る。 これ はダス トテー ル と呼 ばれ、 コマ のガスに含 まれ る塵 (グ ス ト)力 ゛
しなが ら、太陽の光圧 をうけて序々 にコマ か ら離れて い きなが らで きる ものである。 したが って成分 はプラズ
マ テール とは全 く違 い (固 体 の粒子群 )、 色 もやや赤 みがかつて いる。
現在木 曽の シュ ミッ ト望遠鏡で はハ イテクの高視野 CCD撮 像 が主流である。 しか し CCDの 視野 はまだ 1度
四方 に満たないので、彗星 観測 のたびに、CCD装 置 をはず し、重 た い写真乾板 ホルダー を取 り付 けるやっか い
な作業 をしなければならな い。恒星 とちが う動 きをす る彗星 を大気差や機械誤差 を補 正 しなが ら追尾 し、常 に
変わ って い く彗星 の尾 の方 角 な ども考 えてない といけな い。 ごらんのよ うな見事 な写 真 が撮 れ るまでにはもろ
もろの名人技 (こ れがほん とのハ イテク ?)が 潜 んで い る ことも理解 していただ ける と幸 いで ある。
日間
撮撮
影
謝
写真 デー タ :撮 影望遠鏡
:
105mシ ュ ミッ ト望遠鏡
(東 京大学理学部天文学教育研究 セ ンター木 曽観測所 )
1997年 3月 30日
午後 7時 19分08秒 か ら 5分 露出 (日 本時間)
征矢野 隆 夫 (天 文学教育研究 セ ンター木 曽観測所 )
soyano(D kiso.ioaos.u‐ tokyo.ac.Jp
樽
沢
賢
一
中
田 好
一
祖父江
-2-
義
明
●
次
表紙 [ヘ ールボ ップ彗星撮影顛末記 ]
表紙 の説明 ………………………………………・……………… … …… …… …… … ……征矢野隆夫 ……
着任 にあたって
…………………………………………… ………………………………壽榮松宏仁 ……
4
退任 にあたって
………………………… ……………………………………………… …益田
5
隆司 ……
5
・
6
・
7
・
……………… ・… ………………………………………………………………志田嘉次郎 ……
3
1
化
1
1
変
0
1
イオ ン トラップを用 いた不安定原子核 の分光 …………………………………………片山 一郎 ……
着任 にあたって ……………………………………………………………………………安 田 一郎 ……
ビーム物 理の研 究 ……………… … ……………………… …… ……… …… …………… ……片山 武司 ……・
9
薫 ……
出戻 りの記 … …………………………………………………………… …………………潰 口 宏夫……
転任 に際 して ……… … ………………………… …………・…… …… ……………………・…・関 口 雅行 ……
シンクロ トロンによる原子物理の研究 ……… …… ……………… … … ………・………・田辺 徹美 ……・
8
《
新任教官紹介》
・
・……………………………… …… …………………… …・
・,… ………… 山内
・
再 び理学系 へ
1・
《
研究紹介》
作用素環 の指数理論「 (無 限次元 )/(無 限次元 )=有 限」 ・……………………………泉
情報学 とは何 か ……………… ……・…………………………………………………・… ……平木
正己 ……
敬 ……
深 く東縛 された π中間子原子 の発見 ………………………………… …早野 龍 五・ 板 橋 健太 ……
宇宙空間中の有機物 の検 出 ・…… …………………… ……………… ………………………尾中
敬……・
準定常 ロス ビー波 と大気循環異常 ……………………… …… ……… …………………………中村
尚……
… …・…・…・… …………………大西
走査 トンネル顕微鏡 による金 属酸化物表面 の動的観察
洋 ……
18
18
20
21
22
22
海 の猛 毒・ マ イ トトキシンの化 学構造 ………・…・………・………… ………・…………・村 田 道雄・…… 23
アフリカツメガエル卵 に存在するDNA捻 り/巻 き戻 し因子 (DUF)の 発見 …室伏
横 …… 24
細胞下の性 :ミ トコン ドリアの融合 と組換 え ・………………… … …… …………………河野 重 行 …… 25
日本海堆積物 に記録 された最終氷期以降 の突然かつ急激 な気候変動 … ………… …多田 隆治 …… 26
火星隕石 ALH84001中 の炭酸塩 とその複雑 な成因 について …Gordon McKay・ 三 河内 岳 …… 27
維管東組織 の形 成機構 を探 る
… … ………………………………………………………………… 出村
拓 ……
28
《
名誉教授 よ り》
……………………………… …… ……………………海野和 三郎 ……
29
……………… ……………… ……… … ………… … ピサヌ・ カノンシャイ ヨス……
31
32
大学教官教員の任期制 について
《
留学生か ら》
タイ国王 について
留学一 年生 の
Reporter ………………………… …………… …………………………金
攻秀 ……
《その他》
33
34
停年退官教官 を囲んでの記念撮 影 ………………………………………… ……………………………… 35
理学部・ 理学系研究 科技術 シンポジウムの開催 ……………… ……………・…………………… … … …… 35
…・……・……………… ……………… … …………………………… ………… 36
木 曽観測所 の特別公開 について 。
理学系研究 科長 (理 学部長 )と 理学部職員組合 との交渉 ………………………… ……… …………… 37
人事異動報告 ……… …………………………… ……………………… … …………… ……………… ……………… 39
博 士 (理 学 )学 位授与者 …………………………………………………… …… …………… …………… 42
本研究科附属原子核科学研究 センターが発足
植物園で学生・ 教職員 の交歓会 が 開かれ る
…………………… …… ………… …… …… ………… …
・t… ……………… …… ………………………… …
………・
-3-
着任 にあたって
壽榮松
宏
仁
(理 学系研究科長)
suematsu(D phys.s.u‐ tokyo.ac」 p
ここで各論 とは、勿論 、各 セ クションでの議論 と言 う
意味である。a)は 、論理的矛 盾 を含 まない。 このため、
(も しくは賛成 )を 表明す る ことにな
る。 もっ とも、真の指導者 は、 この場合で も信念 をもっ
多 くの長 は、反対
て総論 に立ち向か う ことになる。 b)は 、 a)と 同様 に
表現上 に論理矛盾 はないが 、 しか し、全 く似 て非 なるも
のである。明 らかに、b)に は推論 に「逆立 ち」がある。
しか も、 b)は 、時 に a)の 表現 をもって主張 され るこ
「大学の組織 の長 は、選挙 で選 ばれ るが、何 の権限 も
与 えられて い ない」 と多 く嘆 かれ る。実 際、専攻長 は各
とが あるため、凡庸 な者 には区別 が 困難 な場合 が多 い。
しか し、組織全体 に亘 る最適化の議論 を欠 いてることは
明 白である。
害 の峡 間 で苦慮 し、学長 は学部 の壁が高 く柔軟 な大 学運
営がで きない と嘆 かれ る。多 くの共鳴 を得て、か くして、
矛盾 と困難 をもた らして い る問題 の多 くは、 C)の 場
合 である。論理的矛盾 を内在 して い ることは、各論の主
張者 も認 識 して い るが、局所的 。個別的事情 で、 この矛
学長 の リー ダーシップ強化 のための経費 が予算 に計上 さ
れ ることになる。確 かに、財政 を含 め、我 々 の裁量権 は
盾的論 理 を掲 げざるを得 ない場合 で ある。 これには、基
本理念 を説得す ると同時 に、現実 には、矛盾 を最小化す
極 めて限 られて い る。
しか し、我 々の組織 における指導力 とは、権限の大 き
る方法 を探 ることになろう。 いわば、 1次 元 スケールで
解決 しない問題 を複素平面 に拡張す るような独創性 を意
さ とは質的 に異なるものであろう。指導力 とは、先見性
味す る。
しか し、長 い将来 を見通 した時 には、 よ り基本的な矛
教官の個性が強すぎる ことを恨 み、学部長 は各専攻 の利
と独創性 に基づ き現実性 のある提 案 とその説得力の大 き
さを指す もの と理解 した い。
我 々 は、多 くの問題 を抱 えて い る。 これ らは、大 き く
次の ように分類 される。
盾 のない理念 が生 き延 びることになる。それが科学者の
良心 であると信 じた い。理学系研究科 および理学部 の構
成員の方々には、是非 この視点でのご強力 をお願 い したい。
着任直後 のまだ多少元気 の残 るうちに、自戒 を込めて、
a)「 総論反対、 ゆえに各論反対 」 (ま たは逆の「総論
また 自 らを鼓舞 す るために、 この研究科 の公器 を私的 に
拝借 した。 ご理解頂 ければ幸 いである。
賛成、各論賛成」)
b)「 各論反対、 よって総論反対」
C)「 総論賛成、 しか し各論反対」
-4-
退任 に あた って
益
田
隆
司
[email protected]‐ tokyo.ac.jp
れ るように思 い ます。 そして、現状 において、大学 の組
織 の管理上、研究科 が必要 であるとい う こともよ く理解
で きます。 このよ うな立場か らではな く、教育研究 の遂
行上、研究科 は どの程度必要 な ものであるか とい う こと
です。学科、教室 の うえに、小 さな専攻 が数多 く存在 し
ていた ときには、専攻のよ りどころとして、研究科 の存
在 理 由 ははつき りしてい ました。 しか しなが ら、 この と
ころ、専攻 の編成 にかな りの動 きがあ ります。 この動 き
はよ り強 い国際競争力 のある研究者集団をつ くろうとい
2年 間 ほん とうにあ りが とうござい ました。何 とか任
期 をまっ とうす ることがで きたのは、評議員の先生方 を
はじめ とす る理学系研究 科 のすべ ての先生方、事務長 を
はじめ とする職員 の方々のおか げ とこころか ら感謝 をい
た してお ります。
うひ とつの必然性 を もってい るように思 い ます。数学 は
教養 と一緒 になってひ とつの まとまった組織 とな りまし
た。数学 とい う学問分野の発展 に とっては、 おそ らく組
この 2年 間 にあった こ とを振 り替 えってみます と、組
織 を大きくして自立 した方が よい とい うことが数学の方々
の判断であったので しょう。生物系 3専 攻 が 1専 攻 となっ
織 に関す ることとしては、生物科学専攻 が本格的 に立 ち
上が った こと、原子核科学研究 セ ンターが発足す る こと
た こと、情報 も他 と一 緒 になってひ とつの組織 をつ くろ
うとして い ます。 そして、現在 の物理学専攻 を含 めて、
になった こと、中間子科学研究 セ ンターが廃止 されて、
これ らはすべて20∼30講座 程度 の大 きさになっています。
すなわち、ある教育研究分野 を都合 よ くやって い こうと
新機構 に参加す ることになった こと、柏構想 が具体化 し
て きた こと、情報学 の新 しい組織 づ くりの検討が全学的
に始 まった こと、 な どが あげ られ ると思います。それぞ
れに多 くの先生方のた いへ んなエ ネル ギーが注 ぎ込 まれ
す ると、 この程度 の規模 が必要であるのではないか と考
えるわ けです。
の違 い はあれ、 これか らも継続的な検討 が必要な ものば
さて専攻 の規模 が この程度 の大 きさになってきた とき、
まだ、理学系 ではその過程 にあ りますが、研究科の もつ
意味、あるい は研究科 に果 たさせ るべ き役割 をい うのは、
か りであるように思 い ます。施設 セ ンターの重点化、事
かな りかわって くるので はないで しょうか。専攻 の 自立
務 の組織化 な どはまだ これか らの課題 として残 ってい ま
す。施設 センターの重点化 に関 しては、大間懇 で もとり
性 が、ず っ と高 まって くるのではないか と思い ます。 そ
の分、研究科 に依存す るところが弱 まって くるのではな
あげ られ、少 し前向きの動 きがでて きてい るようにみえ
いで しょうか。 日常的に この ことを考 えさせ られ る場 に
ます。建物 に関 しては、1号 館 の 2期 工事 がいつ約束 さ
れ るかが、 これか らの最大 の課題 です。本郷 キャンパ ス
出会 い ました。数学 をだ したのは、理学系 にとって、大
きなマ イナ スだった とい う ことをよ くききますが、 この
で も各部局 とも建 物要求 は 目自押 しのようにみえます。
ような とき、数学 の論理 を優先 させ るのか、研究科 の論
継続的な努力が必要です。 それに、天文学教育研究 セ ン
理を優先 させるのか、どの ように考 えるのが よいのでしょ
う。数学の発展のためには、独立す るよ りも理学系 に属
している方が よいのだ とい う ことを、他者 力れヽう ことは
・
難 しいよ うに思 い ます。 したが って、研究科 に残 る こ と
を主張する場 合 には、数学 という学問分野 の発展 よりも、
てい ます。 そして この どれをとって も、多少の進 捗状況
ターの教育研究棟 に関 しては、事務 サイ ドをあわせての
努力 により、大学本部 の担当課長 に現地 を視察 して もら
うな ど、可能性 が大 きい と考 えられて いただけに、見送
りになって しまった ことは非常 に残念 です。
この 2年 間何 とな くいつ も感 じて きた ことは研究科 と
はなにか とい う ことです。特 に、理学系研究科 にお い て
は、研 究科の意味、必然性がかな りかわって きて い るの
ではないか とい うことです。必要がない ということをいっ
ているのではまった くあ りません。理学 系研究科 は、 自
然現象 を研究対 象 とす る研究者 の集団であ り、専攻 はそ
れぞれの分野の専門家集団であることはよ く理解で きま
す。理学系研究科 に属す る多 くの先生方 は、理学系研究
科 を愛 し、 そ こへの帰属意識 が きわめて強 い ことも理解
で きます。研究科の一 員 であることに誇 りを感 じてお ら
-5-
理学 を守 るとい う論理が強 い ように感 じられるわけです。
この場 合、研究科 を優先 させ る必然性 はどの ような理 由
によるので しょうか。柏基盤科学 では理学系 か ら振 り替
え る講座 は理 学系研究科 として まとまっていることが必
要 であるといった ことが ず いぶ ん議論 され、そのように
な りました。柏基盤科学 は、あ るい は、基礎科学 の領域
を拡 げる機会 であったか もしれ ません。 その ときに、理
学系 か ら振 り替 える講座が まとまっていなければな らな
い とい う ことが、 ほん とうによい選択であったか どうか
が よ くわか らないのです。現在 の研究科 にどの くらい こ
はか る理 学院構想 よりも、東京 大学 を大学院 レベ ルで開
だわ るのが よいので しょうか。
もし近 い将来、理学系研究科 で地 球系 が 1専 攻 にまと
かれた大学 にしよ うとす る今回 の重点化 の方が優れてい
る構想 で あると、私 は考 えます。
まるような ことで もあると、研究科 の もつ意味 が大 き く
か わ るような気が します。 この ことは、数年前 にデパー
しか しなが ら、ここにひ とつの大 きな問題 が あ ります。
理学院構想 は、私たち (の 先輩)力 `自分 たちでつ くりあ
トメ ン ト制 とい うことで、 しば らくのあいだ、将来計画
委員会 で も話 し合 いが行 われ ましたが、改めて検討 をす
る ことが必要 になるのではないか と思い ます。一家のな
げた構想であったのに対 して、重点化 はその ほ とん どが
外 か ら与 えられた構想 であった とい う点 です。 したがっ
て、重点化 によって理 学系が何 を狙 ったか、あ るい は、
かに、物理 を長兄 とす る10数 人の兄弟 が いたのが、働 き
ざか りの 5人 程度 の兄弟 がそれぞれ に一家 を構 えて助 け
あ う、場合 によると家 をでて い こうとす る時代 にな りつ
東京大学 がなにを狙 っていたか とい う ことが曖昧の まま
に、それが進め られて しまった ことです。東京大学 は平
成 3年 度 に重 点化 を開始 して、 9年 度 に全部局 の重点化
を完了す るとい う ことが よ くいわれ、それが事実 である
つ あるとい うことです。 おのず と家 の もつ役割 がかわっ
`
て くるのではないか と思 うわけです。大家族 か ら核家族
へ の移行 とい った ようにも受 け止め られ ます。
ことは確 かなのですが、 これ までの ところだけで は、わ
れわれが考 えて自分たちの意志で重点化 を行 った とは必
私 が い ま感 じて い ることは、ひ とつの強 い研究組織 は
ず しもい えないのでないか と思 って しまうことが あ りま
す。私 は、重点化 は枠組 み としては、非常 によい もので
ほぼ20か ら30講 座位 をフラッ トな構造で保 ち、それに自
立性 をもた せ るのが よい のではないか ということです。
久城 さんの ときか らあ つたデパ ー トメ ン ト制 に近 い もの
ある と思っています。 しか しなが ら、枠組 みがで きただ
けであって、重点化が完了 した とは決 して思 いた くあ り
か もしれ ません。国際競争力 をつ けるにはどうして もひ
とつの分野 がその程度 の規模 が必要 であるように思 い ま
ません。 もし現時点で重点化 が完了 した とい うな らば、
重点化 は、他大学 よりも多少 の校費 を余分 にとるための
す。 そしてひ とつ の分野 がその程度 の規 模 になるとそれ
をい くつ も東ねて研究科 とした ときその果 たす役割 はど
手段 に しかす ぎなかった、その代償 として、大学院学生
の量的拡大を余儀 な くされ、質的低下 を招 いてしまった、
のような ことになるので しょう。
アップシフ トにより、若手研究者 のポス トを減 らして し
まった、などとい う情 けない ことにな りかね ません。東
理学系研究科 は、教 育研究 の面だけでな く、大学の管
理、運営、組織 の面で も、大学 の文化 を先頭 にたってひっ
ぱって い くことが必要 です。 日本 の大学 に改善すべ き点
があるな らば、理学系が まず始 めねばな りません。 その
意味で理学系研究科 は、保守的 であるよ りも、 もっ とも
進歩的であ らねばな りません。大学院重点化 は、 このよ
うな ことを考 えるいい機会 で したが、 これ までの ところ
形 だけの ものになってい ます。重点化大学 に合わせた教
育研究組織 はどうあるべ きか とい う ことを理学系研究科
京大学 が大学院 レベル で大 衆化 して しまった とい う こと
だけにになって しまい ます。わが 国の現状、 そのなかで
の東京大学 の果 たすべ き役割 を考 えるな らば、決 してそ
れでは許 されない はず です。与 えられた枠組 みであるに
せ よ、 この中味 をどうつ くりあげて い くかは、東京大学
だけでな く日本の将来 にとってきわめて重要な意味 をもっ
ていると考 えてい ます。理 学系 はそのイニ シアテ ィブを
が研究科 の枠 を越 えて示 して いか なければな りません。
この ところ専攻再編成の うごきは、大学院重点化 にあわ
とる資格 があ ります。
ち ょう ど 2年 前 にな りますが、学部長 に就任 してはじ
せた動 きになって い るように思 い ます。研究科 にもたせ
るべ き役割 を再度、検討 しなければな らない時期 がす ぐ
めての第 83回 10大 学理学部長会議 で、大学院重点化 に関
して以下 にような議題 を提案 して検討 していただ きまし
そこにきて い るように思 えてな りません。
理学系では、従来か ら理学院構想 があ りました。理学
た。
院構想 の理念 のひ とつは、学部、大学院の一貫教育 であつ
た と理解 してい ます。 国 のなか にお ける現在 の東京大学
議題
の位置 づ けの もと、すなわち、高校か らの もっ とも優秀
な学 生が東京大学 に集 まるとい う前提 の もとでは、理学
現 時点 は大 学 院重 点化 へ 向 けての最初 の枠組 みが実現
した段 階 と考 え るのが よい。大学 院重 点化 を大 学 あ るい
院構想 は非常 にす ぐれた ものである ことはまちがい あ り
ません。 これに対 して、今回 の重 点化 は、理念的には理
学院構想 とは大 き く異な り、大学院 レベルで東京大学 を
は これか らの 日本 を大 き く変 え るひ とつ の機会 を与 え る
開 かれた大学 にしようとい うものであるわけです。東京
大学 を頂 点 とす る単 純 な序列構造 が、 ある意味 では現在
の高校 か ら大学 へ の入学試験 の仕組 み、小学校 か らの熟
通 い、偏差値教育 を生 みだ し、結果 として、 それが、若
い人たちの個性 ある成長 を妨 げ、 さらには、我 が国 の均
質的な社会風土 をつ くりだ して い るひ とつの大 きな原 因
であ り、 これ を正すべ きときが きて い ると認識す るな ら
ば、現状 の上 にたって東京大学 のなかだけでの最適化 を
-6-
大学 院重 点化 を行 った大 学 の今後 の方 向 につ いて
もの として とらえ る こ とが で きな いか 。今後 の課題 とし
て考 え られ る もの を列挙 す る。
(1)大 学 院重 点化大 学 の責任 はな にか
(2)国 民 の 目 に重点化 大学 が 見 える よ うにす る こ と
(3)他 大 学 との種別 化 を どう図 るか
(4)大 学 院学 生 と学部 学 生 の数 のバ ラ ンス
(5)大 学 院学 生 、特 に後 期 学生 の生 活費 の保 証
(6)理 、 工 の再 編成
(7)産 業界 の認 識
(8)偏 差値 教育 の抜本 的改善 の可能 性
(9)集 団、均質文化 か ら個性重視 の文化 の育成
る。
(5)全 体 として、重点化大学、一般大学の いずれの大学
(6)に
ついて は、明 らか に、理、 工 でな く、 さらに幅
広 く書 き改 める必要が あ ります。 そ していま、私 が考 え
てい る ことは、重点化大学 は時間をかけてで もよいので、
(1)研 究科 をまた いだ組織 を再編 を行 う
(ド
クター コー
ス中心、 1グ ループ20∼ 30講 座程度 が魅力的、研究 の
層 の厚 さの保持 )一 これ は、重 点化大学 でな けれ ば
で きない ことで あ り、か つ重点化 によ り、大学院 レベ
も個性化、活性化 が可能 となる。特 に、重点化大学 で
は、各研究科、専攻 ごとに個性 を発揮 せ ざるを得 な く
なる。入学試験 はそれぞれの研究科、専攻 の特 徴 で行
われ る。 (paper ability,human abilityの バ ランス)
これ まで、日本 の大学 は、トップ レベル の大 学 で さえ、
国 を支 える官僚組織、企業組織 に対 して粒 のそろった、
潜在能力 の高 い人材提供 の役割 は果た してきましたが、
大学が社会的 に自立 した人材養成 機関 にはなっていなかっ
ルでの再編 がや りやす くなった。
(2)重 点化大学 は社会的 に大学院中心の大学 とみえると
た ような気が してな りません。 ほ とん ど唯一つ理学系研
究科 が 、 その学問上 の性格 によるので しょうか、例 外的
ころ まで、学部学生数 を減ず る、
(3)学 部、大学院 の切 り離 しを進 める、
に 自立 した人材養成機関 としての役割 を果た していた よ
とい う方向に動 くのが よい と思 ってい ます。 そ して、社
会的には、重点化大学の大学院 が、わが 国 の知的指導者
層 の養成 コー ス という意識付 けをす ることが必要です。
うに思 えます。 日本社会が さまざまな局面で行 き詰 ま り
をみせて い る現在、大学が よ り積極的 にこれか らの 日本
社会 を リー ドして い くことが必要な時代 になっているよ
東京大学 に入 学す るのではな く、東京大学の大学院 に入
学 して、そ こで学位 を取得す ることが、 日本の知的指導
者 として最 もす ぐれてい ると評価 され るような社会風土
うに思 い ます。 これ まで 自立性 の弱かった大学 が社会的
によ り自立 をして、人材育成 の役割 を果 たさなければな
らない時代 になったのだ と思 い ます。大学 の重要性 が増
をつ くって い くことが よい と考 えて い ます。 ここで期待
した と考 えた とき、東京大学 の果 たさなければな らない
され る効果 は、
役割 はきわめて重要です。わが国の将来 を左右す るほど
重要だ と感 じてい ます。理学系が もってい る リベ ラルな
風土、 自立性 の高 い文化 を大学全体 に広めて い くことが
(1)高 校 か ら大 学 へ の現在 の入 試 の焦 点 が、大学 か ら大
学 院へ と移 り、現行 の入試制度 の問題点 を大幅 に解消
で きる。
す ること力`
(2)学 部、修 士 レベル で活性化す る大学が重点化大学の
他 にかな りでき、重点化大学 と一般 の大学 の あいだで
何 よ りも必要な時代 になって い るのだ と思 い ます。 もし
この ような方向に東京大学 が動 けば、 これ までの 日本社
の住 み分 けが nJ能 となる。
(3)重 点化大学 は学部学生 とい う財産 を大幅 に放棄す る
が、 その分、大学院 での第 一線 の教育研究 に専従す る
ことが可能 になる。
(4)大 学生 になってか ら本格的に勉強す る学生 が増加す
-7-
会の均質的な風土、意識構造 をかえる可能性す ら含 んで
い ると認識 して い ます。
退任にあたってを越えた ことまで書いてしまいました。
任期 のあいだおつ きあいをいただきほんとうにあ りが と
うございました。改めて心か ら理学系研究科全員の皆様
にお礼 を申 し上げたい と考える次第 です。
《
新任教官紹介》
再 び理 学系 ヘ
山 内
薫 (化 学専攻 )
[email protected]― tokyo.ac.jp
わず多 くの先輩、同僚 と接 し、事務部 の方々 に助 けられ、
ある種 の変貌 を遂 げて いた。駒場 に赴任 した当初 は使 い
得 る時間 とエ ネルギーのほ とん どすべ て を研究 に投入 し、
研究者 として充実 した 日々を送 ることがで きた。その後、
研究室 を主宰す る ことを許 されてか らは、研究室の立ち
上 げだけでな く、新棟 の建設 作業、前期課程 カ リキ ュラ
ムの大改訂、総合文化研究科 の重 点化、基礎科学科第一
理学系研究科化学専門課程 を博 ± 2年 次が終わった と
ころで 中退 し、駒場 キャ ンパ ス教養学部 に助 手 として赴
の学生の進路指導、駒場寮廃寮 に関わ る動員 な ど多様 な
経験 を積 む機会 に恵 まれた。 この駒場 キャ ンパ ス ととも
に過 ごした年月 は、教育・ 研究組織 としての大学の活力
任 した私 は、 この12年 の間、本郷のキャ ンパ スをじっ く
りと歩 くことが無 かった。 その間、山上会館 で国際会議
を、教官 として体 で学 んだ貴重な 日々で もあった。
私 は、駒場 キャンパ スの時代 にも、化学 に分類 され る
を主催 した り、本部事務棟 を訪問 した り、あるい は、総
教官 であった。しか し、基礎科学科第一 (現 基礎科学科 )
とい う学際領域 の教育 を 目指す 「 自然科系 の後期課程学
長選挙 のために駒場 の同僚 と投票 に来 た ことはあったが、
化学 の建 物 には思い出す限 り、なぜか一度 も立 ち寄 る こ
とがなかった。
その様 な私 が、 この 4月 か ら本郷 の化学専攻 にご厄介
になることにな り、 3月 の末 に本当 に久 しぶ りに古巣 の
内側 に入 った。本郷キャンパ スの中で最古 の建 物 であ り、
い まなお大正時代の面影 を残す化 学旧館 (現 在 は化学東
館 と呼 ばれ る)の 廊下 を歩 き、先代 の教授 に挨拶 をし、
これか ら私 が使 うであろう化 学旧館 にある居室や化学新
科」 を担当 し、大学院 にお い ては、広域科学専攻相関基
礎科学系 とい う物理、化学、科学史 の教官 が構成す るグ
ループ に属 して いたため、数学、物理、化学、生物 といっ
た 区分 とは違 った別 の切 り口があるのが当然であると考
えるようになった。 自然科学諸分野の発展 は、以前 とは
比 べ物 にな らないほ ど速 く、それぞれの領域が きわめて
深 く理解 され るようになった。 しか し、その一 方で、 こ
館 (現 化学西館 )の 実験室 を訪れた。 そして、以前 と同
じくや さしくア ッ トホームに接 して くださる化学事務 の
れ までの学問 の切 り分 けでは分類 で きない領域横断的な
分野が拡大 しつ つ ある ことは言 を待たない。 もし、理学
系 にお ける教育 。研究の将来 に、わずかで も私 がお役 に
方 々 とお話 をした。学部学生、大学院生の頃 に馴染 んだ
たてることがあるとした ら、私の駒場 キャ ンパスでの経
雰囲気 をほ とん ど変わ らない形 で感 じることがで きたた
め、私 は、新 しい赴任先で感 じるで あろう不安や緊張で
験 を生か させていただ きた い と思 ってい る。
はな く、何 か とて もやす らいだ気分 を味わ う こととなっ
た。 それ と同時 に、瞬 きの うちに駒場 キャ ンパ スでの12
年間 が過 ぎ去って しまったかの ような不思議 な感覚 を覚
私 は、病院の方向に歩 き出 し、竜岡門方向 に曲が る手前
で、ふ と後 ろを振 り返 った。目に飛 び込んで きた景観 は、
えた。
私 の方 と言 えば、 この年月 の間 に駒場 で文系理系 を問
-8-
化学本館事務 室横 の木製 の名札 を裏 に反 して外 に出た
御殿下 グラ ン ドに向か い合 う化学旧館の、今 は閉 ざされ
ている点 を除 けば以前 と変わ らぬ落 ち着 いた正 面玄関の
たたず まいであった。
出戻 りの記
演
口
宏
夫 (化 学専攻 )
[email protected]‐ tokyo.ac.ip
か と思 い ますが 、 その ときは決 して尊敬の念が薄 いので
はな く、 よ リフラ ンクにお話 しした い とい う願望の現れ
である とご理解 いただけると幸 いです。
3
研究 および居住環境
化学専攻 での年間 の経常予算額 は、KAST時 代 に比
べ約 1桁 低 くな りました。研究室 の面積 は約 2/3で す。
しか し、私 は これ らの点 についてはそれほど悲観的 では
あ りません。研究費 に関 しては、頑張ればそれな りの額
を確保 で きる途が 開 けて い るし、最近 の測定機器 の小型
化 により研究 スペ ースを効率良 く利用する ことが可能 に
なって来 てい るか らです。 む しろ理 学系 の居住環境 が
KASTに 比 べ大変劣悪 で あ ることが気 にな ります。私
4月 1日 付 けで古巣の化学教室 (化 学専攻 )に 戻 って
きました。学部・ 大学院生、助手、講師、助教授 として
20年 以上 を過 ごした理学部 (系 )で はあ りますが、 7年
と3ヶ 月の間たっぶ りと外の空気 を吸 って来 たせ いで、
とまどうことの多 かった この 2ヶ 月で した。印象 が薄 ま
らない うちに ここに書 き記 して、皆様 へ の ごあい さつに
は化学東館 の天丼の高 い部屋 を居室 としているので、幸
いにして あまり圧迫感・ 閉塞感 を覚 える ことはあ りませ
んが、 それで も KAST時 代 の広 々 とした部屋 を好 まし
く想 いだ します。狭 い空間に閉 じこめ られて い ると、発
代 えた い と思 い ます。
1.教 授会 の構成員 の顔 ぶれがすっか り変わった こと
当た りまえの ことですが、定年制が理学系 とい う組織
想 も小 さ くなって しまうような気 が します。今後 は、少
な くとも民間の研究所 と同 レベル の居住環境 を強 く要求
の新陳代謝 に果 た している役害1の 大 きさを痛感 します。
今後、任期制 も含 めて この定年制度 をどのように運用 し
して行 くべ きであると思 い ます。昔 に比 べ れば随分 良 く
なった とい う議論 には組 み しません。
て行 くかが、理学系の将来 に とって極 めて重要であると
4.学 生
思 い ます。私見ですが、 (私 自身 の反省 も含 めて)一 つ
の研究機関 にあまり長 く居続 けるのは好 ましくない と思
理学系に戻 って くる決心 をした最大 の理 由は、優秀 な
若 い学生諸君 とサイエ ンスを語 りあいた い とい う ことで
われ るので、現行 の年齢 による定年制 に加 え、何 らかの
内規 をさらに設 ける ことを検討 して もよいのではないか
した。幸 い この希望 は着任後す ぐにかなえられて、 い ま
大変嬉 しく思 って い るところです。理科 に興味 を持 つ志
と思います。
2 「先生」
の高 い学生 を、今後 とも継続 して迎 え続 けて行 くことが、
理学系の研究・ 教育 の活性 を維持す るための必須条件 で
民間の研究期間 (財 団法人神奈川科学技術アカデ ミー、
Kanagawa
Academy of Science and「 rechn。 logy、 以
下 KASTと 略)に 5年 間在職 した こともあ り、同僚 を
「先生Jづ けで呼 ぶ ことに少 し違和感 を感 じて い ます。
世 の中 には様 々な種類 の「先生」 がいて、それ らの人々
が互 い に「先生」 と呼 びあうときに発散す る何 とな く胡
散 くさい雰囲気 を感 じる とい う こと もあ りますが、む し
ろ余 りにお互 い を尊重 しあって距 離 を置 いて しまうと、
フランクに話 が しに くくなるとい うのが実感です。今後、
私 が 同僚 の方々 を「さん」 づ けでお呼びする こともある
-9-
あると思 い ます。そのためには、前期課程 の教育 を担 っ
ている教養学部 の理科系教官 と、
協力す る ことが重要であ
ると考 えます。幸 い総合文化研究科 に 2年 間在籍 し、前
期教育 の問題点 をそれな りに理解す ることがで きました
ので、教養学部 とよ り建設的な関係 を構築す る方 向で何
かお手伝 いが で きることを願 って い ます。
以上、締 め切 りに追われて思 いつ くまま、順不同に書
きました。 いずれにせ よ、私 が30年 前抱 いていた理学部
お よび基礎科学研究 へ の漠然 としたあ こが れ、その原点
を大事 にして行 きたい と思 って い ます。
転任 に際 して
関
口 雅
行
(原 子核科学研究センター)
[email protected]― tokyo.ac』 p
原子核研究所では、サイクロ トロンの担当者 とい う仕
事 を長 い間やっていました。 これは共同利用のためのサ
イク ロ トロン施設 の維持・ 管理・ 改善のための、研究面
での コンサル タ ン トであった と理解 して い ます。研究面
では、 このサ イクロ トロン施設 を使 った研究 を行なって
きましたが、 最近 で は多価 イオ ン用 ECRイ オ ン源 の開
発研究 に関心 があ ります。サイク ロ トロンの性能向上 と
い う面か らこの仕事 に関与 したのですが、「重イオ ン・
平成 9年 4月 の原子核研究所の組織転換 により、原子
核研究所 の加速器研究部 か ら配 置替 えとなって、理学系
研究科 に移 って きました。個人的 には、学部・ 大学院 と
ビーム」 を使 う科学や技術 においては、多価 の重イオ ン
発生法 は決定的な重要性 をもちます。原子核科学研究 セ
ンター も、重イオ ン・ ビーム を使 つた研究 を主要な研究
理学部一号館 で過 ごし、最初 の職場 はや は り理学部一号
分野 としているので、センターの発展 に役立 てたいと思っ
てい ます。
館 だったので、理学部 には二度 目の赴任 とい う事 にな り
ます。
移 ってきた とはいえ、今回の転勤 は組織替 えに伴 うも
のなので、普通 とは違 った転勤 とな りました。普通 は、
原子核研究所では、最近 の20年 間 にわたって将来計画
として、新 しい キャ ンパスに移 る事 が念願であ りました。
1978年 頃か ら、最初 の約 10年 間 は「ニ ューマ トロン計画」
何 らかの原 因 で人が勤務先 を変更 し、勤務地 が変わって
転勤 となるので しょうが、今回 は勤務地 。オフィスはそ
を、次の約 10年 間 は「大型 ハ ドロン計画」 を柱 として、
その主要な活動 をこれ ら計画 の実現 とい う事 に設定 して
の まま、実験 装置 も核研 か ら移管 した ものなので これ ま
で と同 じ、原子核科学研究 セ ンターのメンバ ー も核研 か
来 ました。 その結果、研究所全体 の活動 が「将来計画」
に振 り回された感 を否 めません。比較的狭 い分野 の「 目
らの移籍組 なので変 わ りません。高 エ ネル ギー加速器研
究機構 が未 だ ここ数年 は田無分室 を作 って、原子核研究
的志向型」 の研究所 で あったため、やむを得 ない道筋で
あったのか とは思 い ますが、 ビ ッグ・ サイエ ンスの研究
所 の時 とほ とん ど同 じ活動 をす るとい うので、その面で
も3月 まで とあま り変 りません。
については、考 えさせ られ ます。今回は、悲願 達成の第
一歩 として、高 エ ネル ギー研究所 との組織統合 が達成 さ
れたので、今後 の発展 が期待 され ます。一方、われわれ
この ように、一見変化 がないよ うに見 えて も、教育 や
研究 が人 の組 み合わせ としての組織 によって行われ る以
は、理 学系研究科付属の原子核科学研究 セ ンター とい う
大学の中の研究所 なので、研究 テー マ の設定や運営の方
上、組織替 えは発展の契機 にな ります。新たに理学系研
究科付属の原子核科学研究 センター とい う組織が誕生 し、
向が もっ と自由 にで きると期待 して い ますが、 どの よう
に大学の研究機関 としての独 自性 を出 して行 くかが課題
そこに所属す る事 になった ことで、新 しい人や物 との出
会 い に期待 しています。
であると思っています。
-10-
シ ンク ロ トロンに よる原子物理 の研究
田
辺
徹
美
(原 子核科学研究センター)
[email protected]
従来 の手法 では発見 で きなかった い くつかの新 しい現象
が発見 された。研究 の進 展 に伴 って、 よ り精度 の高 い実
験 が必 要 になるが、電子冷却装置 では熱電子 を電子源 と
してい るた めに、 その温度約 1000° Cに 相 当 して 100meV
程度 のエ ネル ギーの広 が りがあ り、 この ことが電子冷却
の性能 と原子衝突実験 における分解能の限界 となって い
た。一 方、電子 を強 い磁場 の中で発生、加速 した後磁場
を下 げ、電子 ビーム断面 を膨張 させ る ことによって電子
の温 度 を下 げる ことがで きる。TARN Ⅱの電子冷却 は
原子核研究所 の高 エ ネル ギー加速器研究機構 へ の移行
に伴 う措置 として、私 の場合 は、原子核科学研究 センター
1994年 に 5 kGの 常伝導 ソレノイ ド磁場 を用 いて電子 ビー
に所属 しなが ら、研究 は機構 の加速器 グループで行 う こ
とになっている。そ こで、高 エ ネル ギー加速器研究機構、
田無分室のだヽ
型重イオ ンシンクロ トロン TARN Ⅱで行 っ
改造 を行 い、高速冷却 と精密実験 を行 う ことがで きた。
図 a)、 b)は その一例 で、4 HeH+イ オ ンの解離性再
ている研究 を紹介す る。 シンクロ トロン リング内を周回
す るイオ ンビームはエ ネル ギー的 に も空間的にも広が り
ム を10倍 に膨張 させ る第二世代 の断熱膨張冷却装置 へ の
結合 (4 HeH十 十 e→ 4 He+H)の エ ネ ル ギ ー スペ ク
トル を表わ し、 a)は 膨張率 1、 また、 b)は 10で 、膨
を持 ってい るが、粒子数 を保存 しなが らこの ような広 が
張率 を上 げる ことによって電子温度が1/10に 低下 し、相
対 エネルギー 0付 近の ピークの構造 が初 めて明 らかになっ
りを小 さ くす ることを冷却 と言 う。 また、 ビーム冷却装
置 を備 えた リング をクーラー リング と呼 んでいる。冷却
た。 さらに、3.5Tの 超伝導 ソレノイ ドを用 いて100倍 に
膨張 させ る第二世 代 の冷却装置 の建設 を行 ってきたが 、
にはい くつかの方法 があるが、 リングの直線部 で質 の良
い電子 ビーム と周回イオ ンビーム を合流 させることによっ
てイオ ンビーム を冷却す る方法 を電子 冷却法 と呼 ぶ。電
昨年末完成 し、高速冷却 と超精密実験 が可能 になった。
図 C)、 d)は その一 例 で、3 HeH+イ オ ンの解離性再
結合 のスペ ク トル を表わ し、C)は 膨張率 10、 また、 d)
子冷却では、イオ ンの速度 は電子 ビーム の速度 にほぼ等
し くなる。 一般 に、 イオ ンのエ ネル ギ ーは数 10MeVで
は100で 、膨張率 の増大 に伴 って分解能 が 向上す る様子
が 明瞭 にわか る。 この よ うに約 lmeVと い う世界最高
の分解能 が達成 され、電子捕獲反応 スペ ク トル の微細構
速度 は光速の10%程 度 もあるが、電子 もほぼイオ ンに近
い速度であるために相対 エネル ギーは極 めて低 く、 した
が って原子 、分子 のようなエ ネル ギーの階層 の低 い領域
の研究 も可能 になる。TARN Ⅱで は1989年 に電子冷却
装置 が完成 し、 その応用 として1991年 頃 か らクーラー リ
造 が明 らかにな りつつ ある。今後 もカロ
速器技術 の開発 と
原子衝突実験 を継続す る と共 に、将来 は、新 たな入射器
の設置 な どによって質量 1000程 度 のイオ ンの研究 も可能
にしたい と考 えてい る。
ングでは始 めて分子イオ ンの電子捕獲 の研究 を開始 し、
―-11-―
、
oご戸
一︻
︱ 馬 ︱
増ト
●︻
100
1
10
205 0520
100
E(meV)`
iV(kVl
DR― A
300
`
`ヽ
、
DR― B
500‐ 7∞
1340136013801400
V(V)
aHeH*+e-+4He+II
128013001320
/
緬
脚
0
500
1000
0
ExPans10n Factor 10 b)
´
´
´畑
1500
1
ExPansiOn Factor: 1
´
´
10
αυ
2000
2500
1000
nu
04
DRIB
504030 20
E(eV)
a)
1.8
´
1940
E(meV)
1960
E(meV)
2060
V(V)
2030
2100
fOO
50205052050
100
2140
2040
C)
d)
2120
2020
l0
3HeH++e→ 3He+H
2040
2000
V(V)
1980
Expansion Factor:
100 50 20 5 0 5.20 50 100
Expansion Factor:I
2020
0
50
100
150
.200
250
300
350
1920
0
1000
2000
3000
4000
5000
●
●
2ン
●一
2060
イオ ン トラ ップ を用 い た不安定原子核 の分光
片
山
一
良F(原 子核科学研究 セ ンター
)
ktynlichi@cns,s.u― tokyO.ac.jp
核磁気共鳴 による gI・ H(外 部磁頻 と原子核間の相互
作用 )の 比 同志 を比 べ る と103の 桁 で 1か らずれが生 じ
ます。 これが原 子核 内 の磁 化分布 の効果 によっているこ
とが Bohrと Weisshopfに よって理 論的 に説 明 され ま
した。 とい う ことで超微細 異常 は Bohr― Weisshopf効 果
とも呼ばれ ています。安定同位体 では一つのアイソ トー
プでは奇核 の数 は限 られて い ることもあって1970年 代末
で、 ほぼ測 定 しやす い原子核 については測定 しつ くされ
原子核研究所の転換 に伴 い、 4月 1日 付 けで原子核科
学研究 セ ンターに移 りました。 このセ ンターはい くつか
た面 もあ りました。 しか し、不安 定原子核迄 を対象 にす
ると、数が一挙 に数倍 に広 が ることにな り、原子核 の基
の研究分野 を抱 えてい ますが、当方 は当セ ンターに在 っ
て、筑波 と田無 でスター トした高 エ ネル ギー加速器研究
機構 が 中心 となって進 める大型 ハ ドロン計画 を、協力 し
底状態 を理解す るのに有用 なデータを提供す る ことがで
きるようにな ります。我 々のグループで は これ迄、 (1)
原子核反応 でで きた不安定原子核 を室温 エ ネル ギーの 1
て推進す る ことを主たる仕事 として考 えて い ます。具体
的 には 3GeVブ ース ター シン ク ロ トロンの ビーム を用
価 のイオ ンにし、イオ ン トラップに効率良 く蓄 える技術、
(2)数 個 のイオ ンを レーザー 冷却 して、感度 良 く共鳴蛍
いた不安定原子核 ビーム施設 (Eア レナ と呼 んで い ます)
の設 計、建設 とそこでの研究計画 の推進 です。 この Eア
レナプ ロ ジェク トは機構 の二つ の研究所 の内の一つ、素
光 を観測す る技術、等 の開発 を中心 に取 り組 んで きまし
た。 その結果、 (1)に ついて は高圧 の Heガ ス 中 にイオ
粒子原子核研究所 の第 4研 究系 が 中心 となって進 めるこ
とにな りますが、その準備 につ い ては核研時代 か ら既 に
ンを止 め、 ジ ェ ッ ト状 に吹 き 出 るガ ス 中 の イオ ン を
SPIG(Sextupole ion gtlide)と 呼 ぶ 6本 の棒 で構成す る
カ ゴ状 のチ ューブ に高周波 をかけて効 率良 く捕獲 し、輸
7年 以上の開発研究 を行 って きて い ます。施設の設計 に
送する ことに成功 しました。現在、 この技術 は世界 で こ
ついて は、 日本で まだ十分な経験 を持ち合わせて い ない
の種 の装置 を使用 しているところでは標準的 に採用 され
るようになってい ます。 また この 中でイオ ンにブレー キ
高放射線対策 の技術等 い くつかの挑戦的な課題 が あ りま
すが、 ここでは、不安定原子核 イオ ン対象 とす るイオ ン
をかけた り、蓄 めておいて一挙 に取 り出す ような ことも
トラップ実験 についてご紹介 します。
で きるようにな りました。図 1に 、 この方法の模式的配
当方 はもともと実験核物理 を生業 としてきましたが、
1990年 核研 に移 るまで阪大核物理研究 センターで核物理
研究用 に製作 された大型磁 気 スペ ク トログラフを用 いて
置 を示 します。 この技術 によ り、不安定核イオ ンを高真
空のイオ ン トラップに効 率良 く閉 じ込 める見通 しがつい
高 エ ネ ル ギ ー原子衝突実験 を行 って きま した。 これ は
0,の 反応実験 中 にた また ま出 くわ した
0,♂ )(電
子捕獲反応 )が 契機 になってお り、原子物理屋が′
心理的
バ
ロ
に リアを感ず るサイク トロン施設 で、あまり人 々の
い ない領域 の物 理 を好 んで手 が けて きた ことによってい
ます。 この辺か らも原子核 と原子物理の境界分野 に関心
をもつ ようになっています。イオ ン トラップは40年 以上
の歴史 をもち御存知 のように電子・ 陽電子 の10桁 近 い精
度 の し-21、 質量測定 を通 して CPTの 有効性 を検証 す
るような使われ方 が されて きました。 しか し不安定原子
核 の研究 に応用するのは、比較的最近 の話 です。ヨーロ ッ
パ での質量測定 は、業界 では世界的 に定評 を得 てい ます
た ことにな ります。 (2)に つい ては高分解能 レー ザー 系
とマ イクロ波系 を整 備 し、40 ca+と 9 Be+(い ずれ も安
定同位元素 )イ オ ンについてレー ザー冷却 に成功 しまし
た。図 2は (a)9Be+の レーザ ー冷却 と、 (b)9Be+の 3
個のイオ ンが401111n間 隔で リエ ア トラップの中で作 って い
る結晶 を示 します。 1個 だ けのイオ ンで も 1秒 間 に106
回 もレーザー光 を吸収 して、発光す る ことか ら輝 いて見
ることがで きます。
以上用意が整 った ところで、現在7 Be+(半 減期 53日 )
イオ ンのレーザー共 鳴実験 に挑戦 してい ますが、共鳴光
が見 つか らず、苦労 の真最中です。9 Be+の 共鳴光 が良
く判 っていれば7 Be+は す ぐ判 ると思 うとそうはいかず、
specific mass ttiftな る電子相関 エ ネル ギーヘ の核質量
を行 う ことを 目指 して開発 を進 めてい ます。超微細異常
効果 は大変な計算 で、世 の中で まだ求 められて いない こ
ともあって、実験 で レーザ ー波長 を少 しず つ変 えなが ら
が最初 に見 つかったのは1950年 の ことで す。83 Rbと
85Rbの 間 の超 微細相互作用 AIo J(電 子 と原子核 の
間
共鳴光 を探す ことを行 なって い ます。不安 定核 イオ ンを
対象 にした手際 の よい源l定 系 に仕上 げるにはまだ時間が
の磁気相互作用、I,」 は核 と電子 のスピンを示 す)と 、
かか りそうです。将来 は この方式 で、不安定原子核 イオ
が、我 々のグループでは原子核奇核 の超微細異常の実験
―-13-
ンのパ リティ混合 の問題 が狙 えないか と考 えてお り、 こ
上、 田 中 (仁 )、 電通大 レー ザーセ ンターの大谷、岡田
(D4)、 中村 (貴 )(D3)、 理 系 セ ンタ ー 藤 高 (D2)の
れは不安定核中の中性子分布 を議論す る新 しい データ と
なることが期 待 されて い ます。
皆 さん と共同 で進 めてお ります。
この実験 は、 高 エ ネル ギー加速器研究機構 の和 田、川
TT TΨ
tS
お
町
ltS
!on‐
Guide
Qs Ce‖
図 1
Skimmer
Skimmer 2
1
不安 定核 イオ ン (左 よ り薄膜 の 窓 を通 して入射 し He中 に 1価 のイオ ン状態で止 まる。図ではテス トの為 He中 の不純物
ガ ス を放電 で イオ ン化 してテス トイオ ン と して、 使用 している。
)を 効率良 く集 めて、イオ ン トラ ップに送 る高周波型 6
極 イオ ンガ イ ドの模 式的 な配置。
1000
。
。
。
0 。 。
4
8
6
o 〓oヽョcコ00
(a)
0
図 2
500
1000
1500
UV Frequency O■ set〔 20 MHz/si
2000
9Be+の レーザ ー 冷去 。 (a)レ ーザ ーの周波数 を低 い方か ら高 い にス キ ャ ン した と きの共 鳴 蛍光 の様 子、
日
方
(b)3個 の イオ
ンの結晶化。
―-14-
●
着任 にあた って
安
田
一
良F(地 球惑星物理学専攻 )
ichiro(Dgeoph s.u― tokyo.ac.jp
等値線図 を作 り、数人 のスタッフが集 まって今後 どうな
るか を検討す るのである。黒潮 と親潮、そして津軽暖流、
大小様 々な渦 が混在す る三 陸沖 の海 は大変複雑であ り、
とて も手 に負 えそうな気が しなかった。 その ころ普及 し
始 めた衛星 による海面水温 の画像 を使 うとともに、頻繁
に170ト ンの調査船 に乗 り込 み海洋調査 を繰 り返 した。
これ らのデー タを解 析す ると、一見無秩序 な海 の変動 の
中 に、確 かに流体力学 で表 され る様 々な現象 がみ られ る
ことがわかって きた。魚のデータを重ねると、海 の構造
13年 ぶ りに理学部 3号 館 にお世話 になることになった。
懐 か しい先生方、同級生 もお り、 また、学生時代 に引 っ
越 しに使 った リヤカーや前庭 に置 いて あった海底地震計
や変 動 と良 く対応す る魚 の現象 も多 くみ られ、海 洋 の変
動 の性質か らサバ 漁場 の短 期変動やサ ンマの漁場位置の
の係留装置 もその ままで、時折 タイ ムス リップした よう
経年変動 を予測す る方式 を開発す ることがで きた。渦 が
相互作用・ 合体す る現象 については、 マ サチ ューセ ッツ
な気持 ちになる。
エ科大学 に 1年 間滞在 して流体力学的な解析 を行 い、三
私 は、 1984年 に地球物理学科 の修 士課程 を終 えた後、
水産庁 に入 り 1年 間霞 ヶ関で行政官 として働 いた。修論
陸沖 にみ られ る様 々な現象が この機構 によって良 く理解
され ることがわかった。
では、 日本の南 を流れ る黒潮 が数年 の間隔で大 き く流路
が変化す るとい う黒潮大蛇行 について、数値 モデル を使 っ
最近約 5年 間 (北 海道大学大学院地球環境科学研究科
で の 2年 半 を含 む)は 、北太平洋の中層の塩分極小で特
た研究 をした。職 を得て本格的に黒潮の研究 をしようと
意気込 んでい たのだが、役所 での予算 や コ ピー とりの仕
徴付 けられ る北太平 洋中層水 の謎 に取 り組 んで きた。海
洋調査網 を組織化 して観測 を行 い、低塩分水 の元 々の起
事 は大 変苦痛 だった。 しか し、農水省 で行われ て いた研
究や行政 の現実 を目の当た りにし、仕事や研究 を少 し違
う視点か ら見 る機会 になった ことは確 かだった。
源 と輸送経路 を明 らかにした。北大 に移 ってか らは、化
学部門 と共同で炭酸 ガスの輸送 に対す る中層水 の研究 に
着手す るとともに、 マ イワシ と海洋の長周期変動 につ い
その後、宮城県塩釜市 にある東北区水産研究所 に 9年
半勤 めた。 日本 3大 漁場 である三 陸沖 の海 の構造 と変動
を研究 して、この海域 に分布す るイワシ、サバ 、サ ンマ、
ての研究 を始 めた。私 が三 陸沖 の海 とつ きあい始 めてか
ら、海 も魚 も、気候 も大 きく変化 した。特 に、 1988年 に
は三 陸沖 の水温 が急に上昇 し、 マ イワ シが急減 した。今
イカ等の漁場や資源 の変動 を予測で きるようにするのが
任務 であ り、経験 に基 く海 の水塊配置 の予測 も行 って い
後 は、現場 か らの発想 を大切 にしなが ら、海洋 に起 こる
様 々 な謎 を探 求す るとともに、気候の長期変動 に及 ぼす
た。集 めて きた水温 データか ら 1カ 月間 まとめて水温の
海 の研究 に挑戦 して行 きた い と考 えて い る。
-15-
ビーム物理 の研究
片
山 武
司
(原 子核科学研究センター)
katayama@insac8 clls.S.u‐ tokyo.ac]p
大学で こうした加速器研究 を行 って い るところは、東
京大学 の原子核科学研究 センター、物性研究所の放射光
施設、京都大学 の化学研究所、東北大学の原子 核研究施
設 な ど、数 は少 ない状況 ですが、国立共同利用研究所 の
大型プ ロ ジェク ト指向 のカロ
速器物理 とは異 なるユニ ー ク
な力日
速器研究分野 を育 てていきたい と考 えてい ます。
本年 4月 よ り発足 した原子核科学研究 センターに、他
の諸兄 ともども旧原子核研究所か ら移 つて きました。原
子核研究所 が東大 を離れ筑波地 区 に移 り、高 エ ネル ギー
物 理学研究所 とともに新 しい研究 機構 を創設 した事 に伴
い、研 究所 の大半 のメンバ ー は筑波 に移 りましたが、小
今 まで私 が 行 って きた研 究 は物性研 の500MeV放 射
光 リング、原子核研究所 の重 イオ ン蓄積 リング、高周波
4重 極 ライナ ックな どの設計 。建設 を行 ってきました。
また重イオ ンビーム を用 いた慣性核融合 の概念設計 な ど
も、名古屋大学 のプラズマ研究所の方々 と共同研究 を行 っ
生 は原子核科学研究 セ ンターに移 ることにな りました。
て きました。 その折 々で は国際的 にみてオ リジナル な力日
速器建設 をめざして研究 を行 って きたつ もりです。
現在私 が進 めて い る研究 は、米国 ブル ックヘ ブン研究
理 由は、従来 か らの私 の研究テーマが、重イオ ンに関連
した加速器物 理およびそれを用 いた科学 です ので、 セ ン
所 との国際共 同研究 で250GeV偏 極陽子 ビーム衝突器 で
の、 とくにサイベ リア ンスネー クによるスピンの挙動、
タ ーが掲 げる研究主 旨 と整合性 があると判断 したか らで
ビームカ学 の研究 を行 って い ます。 また理化学研究所 の
メンバ ー と共同研究 して い るラヂオアイ ソ トープビーム
す。
フ ァク トリーの加速器建設 お よびそれを用 いた物理 も重
粒子加速器 は、原子核・ 素粒子物理学 の研究 を始 め と
す る諸科学 の研究 に役 立てることを第 一 義 の 目的 として
要な研究テー マです。 これは国際的 にも類 をみない大胆
建設 され るわけですか ら、加速器 それ 自身の研究 は付加
的 か もしれ ません。ひ と昔 まえまでは、力日
速器 は ビーム
なアイデアに基ず く加速器 で、原子核物理学 をはじめ多
くの重イオ ン科学 の分野 にブ レイクスルー をもた らす も
仕様 を示 して、 お金 を出せばメーカーがつ くって くれ る
もの と考 える人 も多 くい ました。 しか し最近 の高性能加
の として期待 されてい ます。
速器の場合、ビーム の性能 を極端 に高 め、制御す るには、
私の略歴 は、東大教養学部基礎科学科 を卒業後、理学
系大学院修士課程 を経 て、原子核研究所 の助手、助教授
電磁 石や加速空洞か らの外部電磁場 とともに、荷電粒子
であるビーム 自身が発生す る電磁場 も含 めた、 自己無撞
着 な ビーム の運動 を可能 な限 り精度良 く把握す る ことが
と約 30年 間勤務 しました。原子核研究所 内部 で所属 も研
究 テー マ も変化 しましたが同 じ研究所 に長 く居す ぎた と
反省 していましたが、幸 いこの度原子核科学研究 センター
不可欠 となっています。単粒子 の運 動 に加 えて、 高密度
ビームの場合 には集団運動 の安 定性が重要 です。 また、
に移 る ことが 出来 て、共 同利用研究所 にはない、貧乏で
はあるが昴揚 した学問 の 自由 を感 じて い ます。従来 の研
線形運動 に加 えて、非線形 な電磁 場 内でのカオス現 象 を
含 む ビームカ学 の研究 が必須 とな ります。 とくに円形加
速器の場合、 ビーム は リング内を―
数百億 回 も周 回す るの
究環境 は駒場、田無 が 中心 で本郷 にはあまり縁 が あ りま
せんで した。田無 キャンパ ス はゆった りとしてお り、隣
で、 こうした研究 が重 要 とな ります。計算機 シミュレー
シ ョン時 には、 シンプレクテ イ ック性 をどのように保 つ
か も基本的事柄 です。加速器物理屋の仕事 は、新 しいコ
接 す る農学部 の演 習林 の緑 はすば らしく、昼食 後 の散 策
はか けが えのない ものです。それに上ヒ
較 して本郷 は学生、
職員 の数 が多 いせいか、狭 く緑が 少ない ように思 えます。
ンセプ トの加速器 を考案す ることとともに、精密科学 と
柏 キャ ンパス に欧米 の ようなゆ とりあ る大学 が一刻 も早
く整備 され る ことを望 みますが、 また別のアイデア とし
しての ビーム物理学 を発展 させ ることにあるといえます。
て田無地 区を再 開発 してはどうか とも思 えます。
-16-
0
化
志
田 嘉次良F(原 子核科学研究センター)
[email protected]― tokyo.ac.jp
慮 しなが らの設計 は難 し くな り、金がかかって使 い に く
い ものにな りかねず、結局、手 っ取 り早 く単能 な使 い捨
て型 を選ぶ ことになって しまう。最後 は、建前 か本音 か
の選択 になるのは、 どち らも同 じように思 える。 そ こで
採 られ る唯― の現実的な解 と思われた ことが、後 で唯一
で も現実的で もない ものであった りす るの も共通 して い
る。
研究面 では、サイク ロ トロンを用 いて原子核 の構造 を
調 べ るとい う ことにな るが、年齢的にタイム リバ ーサル
予定 より9年 遅れた原子核研究所の発展的解消 によ り、
新設の原子核科学研究 セ ンターに この四月移 って きまし
た。しか し、東京大学 に籍 を置 いてい るのは同 じであ り、
勤務地 も変わ らな い。 ただ雑用のみが非常 に増 えたが、
これはご く一 時的な現象 である、 と心底 か ら願 っている
がかかっているので、本音 を言 うと、単 に放射能 を作 っ
て調 べ た い とい う修士課程 に在学中だった頃の研究の原
点 に戻 ることになる。重 イオ ンビーム の種類や強度 も大
幅 に良 くなってい るので、実験 はずっ とや りやす くなる。
ただ、 より小 さな効果 をみる ことになるので、実験装置
この頃である。
の改 良 を進 めなければ と思 っている次第である。
今後 とも、社会 の変化 に伴 い組織 の リス トラや分裂・
合併 な どが行われ るのであろうし、 また、必要 だ と思 う
我 々のよ うな小 さい話 では、研究の効率 を向上 させ る
というのはよい ことで あるが、 これが社会全体 の話 とな
が 、 もっとスムーズな相転移 が行 なわれ、実務 にあまり
ると必ず しもそうではないよ うなのが不思議だ。なにが
よいのか、な にが反社会的なのか、 目標や規範 が大 きく
悪 い影響 を与 えないや りかたはな いのだろうか。社会や
組織 の柔構造化 が望 まれ るところだが、実際 にどうすれ
ば良 いのか見当 もつか ない。実験装置 も、起 こ りうる こ
とに対処すべ くしようとす ると、 マー フ ィーの法則 を考
〇
-17-
変化 してい くとき、効率的なのが よい とは必ず しも言 え
ない。兎 と亀 の話 の話 は、寓話ではあれでよい として も、
実際問題 としては大変 に難 しい ことは確 かである。
《
研究紹介》
作用素環の指数理論「(無 限次元)/(無 限次元)=有 限」
正
泉
己 (数 理科学研究 科 )
izumi@msu‐ tokyo.ac.jp
n tt n列 の複素行列全体 (行 列環 )は 、和、積、複素
次元 の数 学 の実験場 の役割 を果 た して い る観 がある。
数倍、随伴行列 に移 る (*演 算)と い う四つの演算 を持 っ
ている。行列を初 めて習った高校生が最 も戸惑うのは、
上の演算のうち (高 校生 は最初の三つしか習わないが
無限の自由度 を持 つ数学的対象 を扱 っている人々が共
通 に感 じて い ることの中 に、「無限 の 自由度 を持 つ系 に、
積 が可換 で はない ことで あろう。尤 も、 この世 のほ とん
どあ らゆる操作 は順番 を換 えて しまえば異な る結果 を導
くことを考 えると、 この積 のブト可換′
性はしご く当然 な こ
無限の自由度 を持 つ拘束条件 (例 えば対象性 )を 課す る
ことで得 られ る有限性 は、数 学的 にお もしろい構造 を持
とである。行列環 の よ うに、和、積、複素数倍、 *演 算
の四 つの演 算 を持 つ数学的対象 を、 *代 数 と呼 ぶ。私 の
研 究対象で ある作用素環 とは、 ヒルベル ト空間の作用素
扱 う ことの困難 さの裏返 しとも考 えられ る。作用素環論
において、 この「 (無 限 自由度 )/(無 限 自由度 )=有
)
か らなる *代 数 の ことで ある。実際 に我 々の興味が ある
のは無 限次元 の作用素環 であるが、 その最大 の特徴 の一
つで ある非可換性 を理解す るには、行列環 を考 えて もら
えば十分である。数学者以外の人が ヒルベル ト空間 とい
う言葉 を耳 にす るのは、 たいていの場合、量子力学 にお
いてであろう。実際、作用素環論の創始者 である F」
Murryと 」.vOn Neumarlllは 1936年 の第 一論文 で、 こ
.
つ」とい うのが ある。尤 も これ は素手 で無限 の 自由度 を
限」 の構 図が最 も顕著 に現れたのが、私 の専門 とす る指
数理論である。基本 になる発想 は ご く簡単 で、無限次元
の作用素環 を二つ考 え、一 方 の他方へ の埋 め込みを考 え
●
るので ある。 しか し ここで重要なのは、本来 この二つの
作用素環の「次元 の比 」 は「 (無 限大 )/(無 限大 )」 で
意味 を持たない にも関わ らず、 あたか もそれが有限であ
るような状況 を考 える ことが数学的 に可能 であるとい う
ことで ある。 この「次元 の比 」 は指数の名 で呼 ばれてお
の分野 を開拓す る理 由の一つ として量 子力学の基礎付 け
を挙 げて い る。 その後 この分野 は、場の理論や量子統計
り、指数 が有限 な埋 め込 みが いか なる構造 を持 つか、 そ
れ をいかにわか り易 く言
己述す るか という問題 に私 は取 り
力学な どと密接 な関係 を持 ちつつ発展 を続 けてい るが、
現在 では創始者 の予想 をはるかに越 えて、非可換 で無 限
組 んでいる。 この分野 は結 び 目の不変量 や有限群 の量子
化な ど多 くの副産物 を生みつつ現在 も発展 し続 けてい る。
●
情報学 とは何 か
平
木
情幸
長
科学専攻
敬 ぐ
)
hiraki@is s u‐ tokyo ac.jp
学問分野 の範 囲 を定義す ることは、研究のみな らず教
育 および産業 。社会 との関連 とい うコンテクス トと深 く
結び付 いてい る。本稿 では、現在情報科学専攻 で検討 し
ている情報学研究科設立 の背景 にある「情報学 とは何 か」
と述 べ た い。
現在実施 されている情報関連 の教 育 。研究の源流 は、
かつて広 く論 じられてきた「 ソフ トウ ェア危機」 に代表
され る問題 に対応 で きる、情報処理 の担 当者 を育成 し、
品質 の良 い ソフ トウ ェアを多量 に生産す ること、 ソフ ト
ウェアの運 用・ 保守 。改善 を円滑 にす る ことにあった。
しか しなが ら、予想 に反 し、量的 な意味でのソフ トウェ
ア危機 よ り質的な ものが より深刻 な問題 となった。す な
わち、大規模複雑化 し、実社会や 自然 と高度 に関係 し、
さらに優れた ヒューマ ンイ ンターフェイスを持 つ情報 シ
ステムは、情報 に関す るよ り大 きな枠組 を理解す る極 め
て高度 な人 材 によ り初 めて実現可能 であることが明確 に
なって きた。実際、今 日のマ イクロアーキテクチャ、基
本 ソフ トウ ェアか らアプ リケーシ ョンに至 るまで海外 に
お ける研究開発 に強 く依存す る結果 とな って現れてい る。
―-18-―
これ ら背景 を踏 まえると、情報学 の今 日における重要
性 は次 の 4点 に要約 され る
1.複 雑化 し、具体化 した 自然現象、生物現象、社会
:
現象 にわた る広範 な世界 を理解す るための重要な
基礎概念
「計 算 シス テ ム」 を結 ぶ情報 を扱 う主体 を横軸 に、「 ア
クテ ィブインフ ォメーシ ョン」と「 コ ミュニ ケー ション」
を結ぶ情報 の形態 を縦軸 に捉 える ことが可能 である。 こ
れ ら 4個 の柱 に囲 まれた領域 を、情報学教育 。研究 にお
2.情 報化社会 とい う言葉で象徴 され る急速な計算 シ
いて出発点 となる核部分 とし、 その周辺部分、すなわち
ステムの進歩 とその学術的 ,社 会的・ 産業的利用
の展開 が持 つ重要性
関連学問分野 との融合部分 を情報学関連領域 であると定
義す る ことが 自然 で あ ろう。理学系研究科 の例 では、情
3.自 然科学 と人文 科学 を統合す るとい う人間に とっ
報科学専攻 は計 算・ 基礎数理 を中心 とす る中核部分 をカ
バ ー し、他 の専攻 における計 算物 理、計 算化学、遺伝子
ての知の重要性
4.行 動的情報 の発現 や受理 による広範 な応用分野の
持 つ重要性
これ ら情報学 の要点 は別個 に存在す るものでな く、図
1に 示す様 に相互 に深 い関係 を持 つ と共 に、関連す る学
問分野 や更 には社会全体 と深 い関係 を持 つ ものである。
従 って、情報学 の効果的教育体制 と更なる発展 のための
研究体制 は情報学 の中核部分全 てをカバ ー し、総合的 で
ある ことが必然 であるとともに、効率的である。
以上 の考察 をさらに進 めるためには、「情報学 の核」
部分 とは何か ということを明確化す ることが必要である。
図 1に 示す ように、情報学 は社会、生物、 自然 と人間
情報処理、地球・ 宇宙 シ ミュレー ションな どの情報学関
連分野 を担当 して い る。
現在、検討 が進 みつつ ある新 しい形態 での「情報学」
教育体制 へ の試みは、 まさに上記 問題意識 の反映 として
とらえられ る。 そ こで は情報 を「複雑化 し、具体化 した
自然現象、生物現象、社会現象 にわた る広範な世界 を理
解す る基礎概念 」 と規定 し、情報処理技術や ソフ トウ ェ
ア作成技術 より深 層 にある情報 とその発現 を扱 う。本学
会 が対象 としているソフ トウェア科学 は、その基礎 科学
として位置付 けられるとともに新たに発展的に再定義 さ
れ ることを期待 して い る。
を結 びつ け、 知 を解 明す る学 問体 系 で あ り、
「知」 と
情報学 を構成する教育研究分野
生命科学系関連分野
理工系関連分野
人文・ 社会系関連分野
環境系関連分野
図
1
情報学 を構成 す る学問分野
-19-
深 く東縛 された π中間子原子 の発見
早
野
青目 五 (物 理学専攻 )
[email protected]‐ tokyo.ac.jp
板
橋
健
太 (物 理学専攻 )
[email protected]― tokyo ac.jp
電子 の代 わ りに約300倍 も重 い π中間子 が 原子核 に東
縛 され π中間子原子 を形成 した場 合、 lsや 2pの よう
値 のスペ ク トルに は、 その寿命 に応 じた幅 を持 つ ピー ク
として現れ るはずである。
な深 い軌道 は電磁相互作用か ら考 えると、完全 に原子核
図 1に 得 られた Q値 スペ ク トル を示す。横軸 はQ値 で
ある。上 図が実験結果で、縦軸 はスペ ク トル強度 を任意
スケール で示 して い る。下 図 は Hirenzaki等 に よって
に埋没 している。 π中間子 は原子核 に触れ る と強 い相互
作用 によって即座 に消滅 して しまうのに、理論的な予言
による と、 そのような軌道 で も π中間子 が安定 に生 存 し
観測可能 であると言 う。 その ような予 言 に基づいて、幾
度 かの探索実験 が行われたが、観測 に成功 した ものはい
なか った。我 々 は過去の実験か ら得 た知識 を元 に様 々な
実験以前 に計算 された理論予想 スペ ク トルで あ る。上下
の図 を比 べ る事 に よ り、 Q=-135MeV付 近 に見 える
ピー クは、 π中間子 が 2p状 態 に東縛 された事 を示 す
と同定 され る。 π中間子 の 2p状 態 の東縛 エ ネ ル ギ ー
改良 を施 した実験 を設計 した。
は5.4± 0.2MeV、
実験 は、平成 8年 4月 に ドイツ重イオ ン研究所で行 っ
た。 π中間子原子 を生 成す るためには、208 Pb(d,3He)
決定 された。
とい う原子核反応 を用 いた。 この手法の特長 は、 ビーム
のェネル ギーや標的変 える事で、 π中間子の東縛 され る
状態 を選択的に生 成す る事 が 出来 る点 にある。観測量 は
反応におけるQ値 である。Q値 は終状態 のポテンシャル・
エ ネル ギー と関連す るので、東縛状態が生成 した場 合 Q
quasi― free
2p状 態 の 巾の上 限値 は0.8MeVと
●
今回の実験 によって発見 された π中間子原子の深 い束
縛状態は、原子核反応 という観点か らも見 る事が 出来 る。
その場合、原子核 か ら π中間子 が一つ叩 きあげられて、
基底 状 態 よ り140MeVあ ま りも高 い所 に、非常 に 巾の
狭 い、新種 の共 鳴準位 が見出 された、と言 う ことになる。
rt‐
productiギ threshdd
●
T.Yamazaki et al
Z.Phys A355(1996)
[
>ΦΣヽのお■︼͡
ШOCO¥ヽう
図
50
S Hirenzaki et al
Phys Rev C44(1991)
%お
-140 ‐
135 -130 -125 -120
Q value lMeVI
―-20-―
1
Q値 スペ ク トル。上 図実線が今 回の実験 で得 たスペ ク
トル。 下 図 が実 験 以 前 に Hirenza晰 等 に よ って 計 算 さ
れ た予想 ス ペ ク トル。 Q値 140MeV付 近 の縦 の 点線 が
π中間子 の 自由生成 闘値 を表 す。上 図、左か ら π中間
子 の 自由生成 に伴 う連続 ス ペ ク トル、 3pあ るいは 4
pに 対 応 す る構 造 (140か ら-137MeV付 近 まで)、 続
い て今 回発 見 した 2p状 態の ピー ク (136MeV付 近 )
が あ る。 上 図-140MeV付 近 に CH2標 的 を用 い た場 合
の、 πO生 成 に伴 う単色 ピー クを重 ね て表示 した。
宇宙空間中の有機物の検出
尾
中
敬
(天 文学専攻)
[email protected]‐ tokyo.ac‐ jp
昨年、火星 の 隕石 中 に生 命活動 の証拠 が ある とい う
ニ ュースが一 時話題 となったが、 その証拠 のひ とつ とし
x10‐
6 w rr2srl
14
て挙 げ られ て い た 多環式芳香族 炭化 水素 (Polycyclic
Aromatic Hydrocarbon ;通 称 PAH)の 特徴 を持 つ赤
外 スペ ク トル は、 これ までにも、すでにい くつかの天体
12
で も検 出されていた。天体 で観測 されている物質 の 同定
10
側撃口誦
については、種 々の仮説 があ り、まだ収束 してい ないが、
原因物質がベ ンゼ ン環 を含 む有機物 であることはほぼ確
実 と考 えられて い る。 PAHは 有力 な候 補 であるが、天
体 で観測 されるスペ ク トル を完全には再現できてい ない。
へ
実験室内でメタ ンのプラズマか ら合成 した急冷炭素質物
質 も、観測 と似 たスペ ク トル を示す こと力洋長
告 されている。
、
rl、
︲
一部 の天体 では観測 されていた ものの、一般 の星 間空
︲
ヽ
ヽ
ヽ′、
ヽ
ヽ
間 にもこの ような有機物 が存在 しているか どうかは、大
きな未解決 の 問題 であった。 1995年 に HⅡ ロケ ッ ト 3
4
号機 により打 ち上 げられた SFU衛 星 に、 日本で初 めて、
世界 で も 3番 目の軌道赤外線望遠鏡 IRTSが 搭載 され、
星間空間中の広 い領域 で有機物 の特徴 を示すスペ ク トル
5
6
7
8
9
10
11
12
波 長 (ミ ク ロ ン)
の検出 に初 めて成功 した。銀河面 の周 りで観測 されたス
ペ ク トル には、6.2、 7.7、 8.6、 11.2μ mに この ような有
図
1.lRTSに よ る銀 河 面 の 周 りの 星間物 質 か らの赤外 放 射
スペ ク トル。 実戦、破 線、点線、― 点鎖線 と銀 河面 か
ら離れて い くス ペ ク トル を示 す。いずれ にも62、 7.7、
86、 112/mの 特 殊 な有機 物 の特徴 を示 す バ ン ドが み
られ る。
機物 の特徴 を示すバ ン ドが見 られ る (図 1)。 この うち
7.7μ mの バ ン ドの強度 の銀河面 の周 りの分布 を作 る と、
星が活発 に生成 されて い る領域 で強度 が強 くなって い る
が、 これ らの領域 を除 いた銀河面全体 に も7.7μmの バ ン
ドが広 く存在 して い るのがわか る (図 2)。 星間ガス、
あるい は星 間固体微粒子 の分布 と比較す ると、星間有機
物 は、 これ らの星 間物質 と非常 によ く混在 していること
力`
わか る。IRTSの 観測 によ り、 この ような有機物 が星
2
間空間 に普遍的 に存在 して い ることを初 めて確認す るこ
とができ、星間有機物 は星 間物質 の重要なメ ンバー と考
えられ るようになった。今後 は、検出 されて い る 4本 の
バ ン ドの強度変化等 か ら、星間有機物 の性質 の詳 しい研
究 が進む ことが期待 され る。
この観測 は NASAの グループ と東京大学 のグループ
が共 同 で開発 した観測装置 で行 われた。IRTSは 宇宙科
学研究所 が 中心 となって行われた計画 で、多 くの方の協
力 によって成功 を収 めることがで きた。IRTSに は 4つ
の観測装置 が搭載 され、 この他 にもい ろい ろの興 味深 い
成果 が得 られて い る。 なお、IRTSは 今年始 めに、若 田
飛行士 が搭乗 したスペー スシャ トル によって回収 され、
現在、飛翔後 の試験 が行われ てい る。
憲
0
‐
2
50
525
500
475
450
銀緯
図 2.銀 河 面 の周 り7 7μ mバ ン ドの強度分布。 銀河座標 で示
す。銀河面 は中央 、水平 に位置 す る。強度 の強 い領 域
は星生成 領 域 であるが、 これ ら以外 に銀河面 の まわ り
にバ ン ドが淡 くひろが つて分布 しているのが見 られる。
-21-―
準定常 ロス ビー波 と大気循環 異常
中
尚 (地 球惑星物理学専攻 )
村
[email protected]‐ tokyO.ac.jp
地球大気・ 海洋の大規模 な流れは水 平発散 が弱 く、 自
転 に伴 う渦度の緯度依存のため、ロスビー波が存在す る。
西向位相速度 が波長 と伴 に増大す るため、西風 の強 い中
高緯度対流圏 では水平波長約 8千 km以 上の波 は地球 に対
し静上 し得 る。 この定常 ロス ビー波 は分散性 で、背景西
風 の倍近 い東向群速度 を持 つ。大 山脈や海陸温度差で励
起 され る波長 約 1.5万 km以 上の ものは惑星波 とも呼 ばれ、
西風 。南北気温差 の東西不均衡 を作 り出す。南北気温差
を弱 めようと発達す る波長約 5千 km、 周期 4日 程度 の移
動性波動 の平均振幅分布 もこうして東西非一様 となる。
惑星波 には波長 1万 km程 度 の準定常擾乱 が常 に重畳す
るが、 その位相関係 はまちまちだ。重畳 した特 に強 い高
気圧性擾乱 はブ ロ ッキ ング高気圧 と呼 ばれ、西風 を蛇行
させ、移動性高低気圧波の経路や振幅 を大 き く変 えて し
まう。中高緯度 の持続的異常気象 の殆 どが こうした準定
常擾舌しに起 因す る。厄介 なのは、異常 な活動 をす る移動
性擾乱 が 、 その原 因た る準定常優舌しを維持 。強化す るよ
うな フ ィー ドバ ック (FB)を 及 ぼす ことで ある。
ここ20年 の研究の結果、 ブ ロ ッキ ングの形 成 。維持 は
のブ ロ ッキ ングの形成 。発達 には、入射す る準定常 ロス
ビー波束 が最 も寄与す る事実 を初 めて指摘 できた。惑星
波 に伴 い元 々西風 が弱 い所 に入射す る波束の先端 が 高気
圧性 な ら、そこの風が更 に弱 まる結果波束の伝播が阻害
され、入射す る波のエ ネル ギーが そ こに蓄積 され高気圧
が発達す る。 この正 の FBは 高気圧 がブ ロ ッキ ング とし
て「飽和」す るまで続 き、溜 ったエ ネル ギーが新 たな波
束 として東方へ放出され高気圧 は衰 える。 高気圧内 の渦
度 の振舞 は、 ロス ビー波の臨界層内の砕波 に伴 う吸収・
過乗1反 射 と同種 の非線型力学 として理解 で きそうだ。 日
3,93attF圭 /λ
准
[RT易 31亀 落
こ
進
穣
属
菖
F ●
さて、惑星波 で強 さや 向 きが緩 かに変わ る西風 中 を準
定常 ロス ビー波東 が 3次 元的 に伝播す る様 を、位相依存
しないフラックス形式 で記述す るのは、時間平均や東西
平均 が取れず容易 で はな い。最近、M2の 高谷君 と筆者
は、波 の作用 と活動度 との 2つ の保存式 を結合 させて定
式化 に成功 した。前者 は重力波 と同様、 エ ネル ギーに関
主 に移動性擾乱 か らの FBに 因 るとの定説が得 られた。
連する保存量だが、後者 は渦度の平方 (エ ンス トロフィー)
に関連す るロス ビー波独特の保存量である。
筆者 の学位論文 もその路線 であった。近年、移動性擾乱
の弱 い大陸上 で も定説通 りなのか と、過去 30年 に北半球
対流圏の定常 ロス ビー波が10年規模 の気候変動 に果 た
す役割 も研 究中だが、 その紹介 は別 の機会 に譲 りた い。
各地 で起 こったケースを風つぶ しに調 べ た結果、大陸上
│
走査 トンネル顕微鏡 による金属酸化物 表面 の動的観察
大
西
洋
ヒ学専攻 )
oni@chem s.u‐ tokyo.ac.jp
“
走査 トンネル顕微鏡 (STM)は 団体表面 に存在 す る
原子・ 分子 を実空 間で直接観察 で きる顕微鏡 で ある。我 々
り、単 一元素か らなる金属や共 有性半導体 の表 面 にはな
い複雑 な反応環境 が存在す ることも大 きな魅力 である。
は、固体表面 で化学反応が進行す る過程 を原子分解能 で
かつ リアル タイムに観察す ることをめざ して、金属酸化
物 の表面 を舞台 とした STM観 察 に取 り組 んで い る。イ
これ までに我 々は、表面温度 あるい は共存気体雰囲気
の圧力を変 えなが らの リアルタイム STM観 察 をお こなっ
て、反応中間体 の生成・ 消滅や表面拡散 をその場観察す
オ ン性化合物 である金属酸化物 の表面では、拡散 に対す
るエ ネル ギー障壁が高 いので、個 々の吸着種や反応サイ
ることに世界 ではじめて成功 している。その一例 として、
二 酸化チタ ン単結晶 の (110)表 面 に吸着 したギ酸 イオ ン
トの高分解能観察が反応温度 (室 温以上 )で も可能 にな
ると期待 したか らである。 さらに、金属酸化物表面 には
が表面 を拡 散す る過程 の連 続 STM像 を示そう。二 酸化
チタ ン表面 に作 ったギ酸イ オ ンの単分子吸着層 を STM
観察 しなが ら、STMの 探針 ―表面間 に高 い電圧 を加 え
多様 な組成 や配位構造 をもった反応サイ トが共存 してお
―-22-―
ら拡 散 す る過程 を連 続観察 した。 16nm四 方の正方形 に
作成 したパ ッチ (図 a)は 次第 に縮小 し (b,C)、 1時
の過 程 の ビデオ映像 を こ まどり編集 して個々のイオ ンの
移動 を手 に取 るように観察 し、隣 りあったギ酸イオ ン間
の反発力が表面拡散の駆動力であ ることを明 らかにした。
原子 スケールの分解能 をもつ STMで 表面反応 を反応
に発展 させ、 また STM自
中 に動画像化す る技法 をさら‐
間後 には消失 した(d)。 基板表面の構造 を反映 して、吸着
イオ ンの移動速度 には明 らかな異方性 が認 め られた。図
身の時間分解能 を向上 させ ることで、表面反応場や反応
分子の位置・ 配 向 を反応条件下 で識別す るチャンスが あ
の上 下方向 (結 晶 の [001]方 位 )に 沿 つた移動速度 は、
ると期待 され る。
ることによって探 針直下 のギ酸 イオ ンだ けを分解 して取
り除 き、基板表面 を露出 させ ることがで きる。 この よ う
に して作成 した基板表面パ ッチに、ギ酸イオ ンが周囲か
直交す る方向の速 度 の10倍 以上大 きかつた。 さらに、 こ
T102(110)表 面 に吸 着 したギ酸 イオ ンの拡
散 過 程 の STM像 。 画 像 サ イ ズ :30× 30
nm。 分 子 操 作 に よ って 16nm四 方 に吸 着
したギ酸 イオ ンを取 り去 つた後、 (a):10,
(b)26,(c)35,(d):63分 後 に観 察 した。 白
い粒子 がギ酸 イオ ンで ある。
海 の猛毒・ マ イ トトキ シ ンの化学構造
村 田 道 雄 (化 学専攻 )
murata@chemos,u‐ tokyo.acjp
天然物有機化学 の主な研究対 象は、生物 の二 次代謝産
物 で ある。二 次代謝産物 が あ るか らには、当然、一 次代
られて い る最 も複雑で分子量の大 きい二 次代謝産物 であ
る。マイ トトキシンは、単細胞藻類 である渦鞭毛藻 によっ
謝産物 とい う物 も存在す る。一次代謝産物 とは、核酸、
ア ミノ酸、糖、脂質な どの生命活動 に必要不可欠な もの
て生産 され るが、実 際、魚類 を通 じて人が摂食す る こと
があ り食中毒 の原 因 となる。 マ イ トトキ シンの化学構造
を言 う。 これ以外の ものが、二 次代謝産物 とい うことに
は、最近、当研究室 において最後 の部分 が解明 され、20
年 にお よぶ構造研究 にようや く決着 がついた。
一 次代謝産物 であるタンパ ク質や DNAな どの生体高
なる。身近 な例 では、抗生物質 や色 素 な どが含 まれ るが、
毒 もそのひ とつである。海洋生物 は、想像 を絶 す る強力
な有毒物質 を生産 してい るが、図 に構造 を示 した マ イ ト
トキ シンは、そのなかで も一際強 い毒性 を示す。現在知
―-23-
分子 を生合成す る時 は、人間 で も渦鞭毛藻で も例外な く
類似 した繰 り返 し単位 (モ ノマー)を まず作 つて、 それ
らをつ なぎあわせて分子量 を大 き くす る。 マ イ トトキシ
ンの構造 を特徴 づ ける32個 のエ ーテル環 は、一 見類似 し
た構造単位 の繰 り返 しにみえるが、実 はそうではな く、
端 か ら少 しず つ作 って いった と考 えられる。すなわち、
その生 合成 においては、 142個 の炭素鎖 の どこにメチル
基が入 り、 どこの酸素 が エー テル環 を作 る、 といった こ
とが、すべ てプ ログラムされて い ることになる。 これ を
い ち い ち酵素の特異的反応 によって行 った とす ると一体
どれだけの数 の酵素 が必要 になるだ ろう。渦鞭毛藻 は比
較的遺伝子 の量が多 い と言われ ているが、あ って もな く
て も命 に別条ない二 次代謝産物 に、膨大 な遺伝子 を割 く
ことは許 されないだろう。渦鞭毛藻は生合成において我々
の思い もよらない技 を身 につけてお り、少数の酵素で複
雑 な化学構造 を作 ることがで きるのか もしれない。 その
技 を知 りた い ものである。
図 :マ イ トトキシ ンの構造
伸 ばせ ば全長 110オ ン グ ス トロ
ミ
ζ
ー ム に も及 、
細長 い分子 であ る。
分子 の 後半 (構 造 図 で は、上 の 部
分 )が 疎水 的 で、 その他 の部分 は
の
親水 的 で あ る。 この 界面活性 斉」
よ うな構 造 が、生理活性 に関係 じ
て いる と考 え られて いる。
●
アフリカツメガエル卵に存在するDNA捻 り/巻 き戻し因子(DUF)の 発見
室
伏
擦
(生 物化学専攻)
shmurof()hongo.ecc.u‐ tokyo.ac.ip
DNAが 正 確 に複製 され ることは、細胞 の増殖 に とっ
て必 須 な条件 である。DNAの 複製機構 お よびその制御
機構 の解明 は、理学的見地のみな らず、がんの治療 とい
う医学的見地か らも非常 に重 要である。ア フリカツメガ
エル の初期胚 は DNA複 製活性 が 高 く、卵 をつぶ して得
た抽出液 に二重鎖 DNAを 加 えると、 それ を鋳型 として
DNA複 製 を行 う。 さらに、驚 くべ き ことに、抽 出液 を
適 当な温度 で保温す ると、生 きた細胞 と同 じように周期
的 に DNA複 製 が起 こる。 これ らの ことか ら、アフ リカ
ツメガ エル卵 は、DNA複 製 お よびその制御機構 の研究
材料 に最適 であると考 えられ る。
筆者 らは、二 重鎖 DNAに 結合 して二重鎖 を局部的 に
開 き、 その部分 を鋳型 として DNA複 製 を開始 させ る因
子 を、アフ リカツメガエル卵抽 出液 か ら初 めて精製 した。
この因子 は、二重鎖 DNAに 負 の捻れ を導入 して二 重鎖
を局部 的 に開 く活性 と、ATPの 水解 エ ネル ギ ー を利用
して二 重鎖 を巻 き戻 して一 本鎖部分 を増加 させ、DNA
ポ リメラーゼに よる DNA合 成 を開始 させ る働 きを持 つ
ことを見 いだ した (以 下、この因子 を DNA Untwisting(
捻 る)/Unwinding(巻 き戻 す)Factor、 DUFと 呼 ぶ
DUFに 対 す る抗体 を作 って、卵 の抽 出液 か らDUFを
DUFは 二 種類 のサ ブユニ ッ トか らで きてお り、 それ ら
のア ミノ酸配列 を決めた ところ、小 さい方のサブユニ ッ
トは、二 重鎖 DNAに 結合 して DNAを 折れ曲げる働 き
を持 つ SSRPと 呼 ばれ るタ ンパ ク質 (細 胞 内 での機能
はまだわかっていない)と 同 じであ り、大 きい方のサ ブ
ユニ ッ トは、 酵母 の転写調節 に関わ る Ccd68と よばれ
るタンパ ク質 (こ のタ ンパ ク質の機能 も充分 に解明 され
て い な いが、SSRPと 同 じ く二 重鎖 DNAの 構造変化 を
もた らす と考 えられ る)と あ る程度 の類似性 を持つ こと
がわか った。DUFも 二 重鎖 DNAに 結合 して DNAの
立体構造 を変化 させ ることによって二重鎖 を巻 き戻 し、
一本鎖部分 を作 ることによって DNA複 製 を可能 にす る
と思われ るが、 そのメカニ ズムは今後の研究 で明 らか に
していきたい。さらに、複製 の他 に、転写や、組み替 え、
修復 な どにおいて も、二 重鎖 DNAの 折 れ曲げ、捻 り、
巻 き戻 しな どの立体構造変化 が極 めて重要であると考 え
られてお り、DUFが 複製以外 の DNAの 構造変化 に も
関与す る可能性 が高 い と思われ る。今後、それ らの点 も
検討 して い きたい。
DUFの 精製 を行 うためには多量 の卵 が必要であるた
)。
除 くと、 抽 出液 の DNA複 製 が 起 こ らな くな った。
め、百数十匹のアフリカツメガエル を飼育 してお り、カ
エル の世話 に毎 日忙殺 されている。
―-24-―
0
細胞 下 の性 :ミ トコン ドリアの融合 と組換 え
河
野
重
行 (生物科学専攻 )
kawano@biol s.u‐ tOkyo.ac.jp
「パ ラサイ ト・ イブ」 はもうお読 みになったで しょう
か ?映 画が封切 られ、文庫本にもな り、テ レビコマーシ ャ
ル もあったので、「パ ラサイ ト」 や「 ミ トコン ドリア」
とい う言葉 も市民権 を得た ように思われ る。「なぜ こん
なに もミトコン ドリアに魅 せ られ るのだ ろうJと は葉月
理緒菜演ず る主人公、聖美の言葉 である。
石原教授のモ デル探 しは ともあれ、 このホラー の中で
彼 が語 る「 ミ トコン ドリアの共生起源説 Jの 影響 もあっ
てか、研究のバ ックグラウンドを説明するのが容易になっ
た。原核生物 か ら真核生物 へ の進化 とその分子機構 を明
10
らか にす ることが、私 たちの研究 目的 の一つである。 ミ
トコン ドリアの起源が太古 に真核細胞 の祖先 に共生 した
パ ラサイ ト、原核 の好気性細菌 にあるな ら (共 生起源説
その痕 跡 は今 も微生物 や私 た ち 自身 の ミ トコン ドリ
)、
アにも残 されてい るはずである。原始的な ミトコン ドリ
トコン ドリア遺伝 学 の最 も進んで い る酵母菌 で さえ、望
むような突然変異体 が単離 され ることはなかった。 そ こ
で、真正粘菌 を用 い、融合 の有無 をそれぞれの株 で一つ
ずつ観察す るとい う単純ではあるが気の遠 くな る ような
戦術 で、 ミトコン ドリアが融合す る株 と融合 しない株 を
単離す る ことがで きた。遺伝 解析 の結果、融合株 には ミ
トコン ドリア融 合 を誘起する特殊 な ミトコン ドリアプラ
ス ミドが い る ことをつ きとめた (図 1参 照 )。
mFと 名付 けた このプラス ミドに特徴的 なのは、 ミ ト
コン ドリア同士 を融 合 させ、融合相手 となった ミトコン
ドリアのゲノムに 自身 を組 む込む ことで ある。 この過程
は Fプ ラス ミドが支配す る大腸菌 の有性 (接 合 )過 程 に
酷似 してい る。好気性細菌 が共生 した太古 、 それが既 に
「性」 を獲 得 して いたな ら、その痕跡 が現在 の ミ トコン
ドリアに もあるはずである。「 ミトコン ドリアの′
性Jを
アゲノムに原核生物的 な情報 の痕跡 が よ り多 く残 されて
い ることが見 いだされて い る。私 たちの戦略 は、 これ を
誘起す るこの mFは それを裏 付 けるもの といえる。
性 は細胞 の諸過程 と密接 に関連 してお り、性 の起 源 と
一 歩進 めて、 ミトコン ドリアの動態 その ものなかに進化
の痕跡 を見出 そうとす るものである。 ミトコン ドリアは
進化 はその大部分 が生 命 その ものの起源お よび進 化 で も
ある。性 はパ ラサイ トの攻撃 に抵 抗す るために進 化 して
分裂増殖 し、融合 し、遺 伝子 を組 み替 え、遺伝す る。 こ
きた と考 える「赤の女王仮 説」 が現在最 も有力な学説 と
されている。 これ に対 して、mFプ ラス ミドの発見 は、
性 の起源 その ものがパ ラサイ トであった可能性 を示唆 し
うした緒過程のなかにも、悠久の進化の歴史のなかで刻
み込 まれた共生の痕跡 が見出 され るはずである。
多 くの生物で ミトコン ドリアの融合 や組換 えが観察 さ
れてい る。融合 と組換 え との関係 を明 らかにす るために
は突然変異体 が単離 で きることが望 ましい。 しか し、 ミ
ている。 このパ ラ ドックスは論争 に新 たな火種 を持 ち込
む とともに、性 の起源 を探 る一つの方法論 を提示 した も
の として高 く評価 されて い る。
le
oRFs
231'
-\
)
tu"Q ,.uD
l.* \
y
RNA
polymerase
l-s+z \
TP
mRNA
図
l mFプ ラス ミ ドは、 大 きさ約 14
5kbp(14,500塩 基 対 )の 線状 DNA分 子 で、 10個 の遺 伝子 (ORFs、 数字 の ある白抜 き矢印、
数字 は遺伝子 の ア ミノ酸数 )を もつて い る。既 に機 能 のわか つて い る遺伝子 に、 DNA、 RNAポ リメ レースや TP(末 端 タ ン
パ ク質 )な どが あるが、 これ は mFの パ ラサ イ ト的 な性 質 を顕 す もので もある。 また、両末端 の繰 り返 し構造 や mRNAの
転写様式 にもその性質 の一端 が うかが える。
―-25-―
日本海堆積物に記録された最終氷期以降の突然かつ急激な気候変動
多
田
隆
治
(地 質学専攻)
[email protected]‐ tokyO.ac.jp
最終氷期終了後の 1万 年間 は、温暖 で安定 した気候 が
続 き、人類 はそれ を亨受 しつつ急速 に文 明 を発展 させて
公表 されたので ある。 日本海堆積物 の明暗互層 をグ リー
ンラン ド氷床の酸素同位体比 と上ヒ
較す ると、 2つ のプ ロ
きた。 しか し、地球 の気候 は常 にこのよ うに安定 して い
たのだろうか ?1990年 代初頭 に、グ リーンラン ド中央 で、
ョーロ ッパ ぉ ょびァメ リカの 2つ の研究 グループに より
D― O cycleの 温暖期
に対応 した。理 由は ともか く、D‐ O Cycle のシグナル
は、 日本海 にまで到達 していたのだ。
が行われ、過去 15万 年間 の北半球高
相次 いで氷床 の掘 肖」
緯度域 における気候変動が詳細 に調 べ られた。その結果、
私 たちは、 このシグナルの意味 を明 らかにす るため、
堆積記録 を詳 し く調 べ た。 その結果、 1)堆 積物 の色 の
最終氷期 (7∼ 1.5万 年前)に 、数百 ∼ 数千年間隔で突
然かつ急激な気候変動が繰 り返 した事 が明 らかになった。
暗 さは有機物含有量 を反映 し、暗色 層 は日本海表層 での
生物生産が高 く、か つ深層水中の溶存酸素が欠乏 した時
この変動 は、僅 か10年 前後 に 7℃ 以上 も気温が上昇す る
急激な温暖化、徐 々 に寒冷化 しつつ数百 ∼ 数千年間継続
に堆積 した事、2)そ れ は東 シナ海沿岸水 が 日本海 に流
入 した時期 と重 な る事、 3)暗 色層堆積 開始時 には、黄
す る温暖期、数十年 の間 に起 こる急激 な寒 冷化、数百∼
砂起源粒子の含有量が減少す る事、な どが明 らかになつ
た。東 シナ海沿岸水 は、栄養塩 に富み、塩分濃度がやや
数千年間継続す る寒冷期 の繰返 しで特徴 づ けられ、発見
者 にちなんで Dansgaard‐ Oeschger Cycle(以 下 D,0
フ ァイル は良 く一 致 し、暗色層 は
Cycle)と 呼 ばれ る。D-O Cycle lま 、 その急激性 ゆえに
低 い ので、その 日本海 へ の流入 は、表 層 での生物生産 を
高 めると共 に日本海内での深 層水 の形 成 を抑制 した と解
注 目を浴びた。そして、 1)そ れが北半球高緯度域 に限 ら
れ るのか、 それ ともグ ローバル な現象 か ?、 2)そ れ は氷
釈 され る。では、D-O Cycle の温暖期 に何故東 シナ海
沿岸水 が 日本海 に流入 したのか ?暗 色層堆積時 に黄砂起
期 に限 られ るのか、それ とも現在 のような間氷期 に も起
こ りうるのか ?と 言 った疑問が提起 された。
源粒子 が減少 した事 は、 その時期 に黄砂 の供給源 である
黄土台地 が湿潤化 した ことを暗示 す る。 一 方、最終氷期
当時、私たち (北 大 の小 泉 格教授 と大学院生だ った
入野智久君 )は 、 日本海 の堆積記録 を詳 しく解析 し、過
去 15万 年間 の気候・ 海洋変動の復元 を試みて いた。 日本
には現在 よ り60∼ 120mも 海水準 が下 が り、黄河 の河 口
が対馬海峡の入 り口近 くまで前進 した ことが知 られて い
る。 これ らの事 を基 に、私 たちは D― O Cycleの 温暖期
海深部の堆積物 は、数cm∼ 数 10cmの 厚 さの明色、暗色 の
に黄土台地 が湿潤化 して黄河 の流出量 が増加 し、東 シナ
海沿岸水 が拡大 して対馬海峡 まで張 り出 したのではない
細粒堆積層の繰 り返 し (明 暗互層 )で 特徴 づ けられ、そ
れ ら 1枚 1枚 は、 日本海深部全域 に渡 って対比出来 る。
即 ち、 日本海全域 に渡 り同時 に繰 り返 した何 らかの海 洋
変動 を反映 して い る。 こ うした明暗互層 は、北半球 に本
格 的な大陸氷 床 が 出来始 めた250万 年前 か ら出現 し、氷
期 ―間氷期変動 の振幅 が大 き くなった120万 年前以降、 そ
│
か と考 えた。
以上の結果 は、D-O
Cycle がグ ローバル な気候変動
現象 であ り、東 アジアにお い て は乾燥 ―湿潤サイクル と
して発現 した事 を示 して い る。一方、後氷期や間氷期 に
は、 日本海堆積物 中 に明瞭な暗色層 は認 め られない。 こ
れが、 間氷期 における気候 の安定性 を示すのか、海水準
の コ ン トラス トが強 くなって い る。 しか し、 1対 の明暗
の繰 り返 しは、氷期 ―間氷期 サイクル よ り遥 かに短 い数
が上 昇 して黄河 の河 口が退いた事 によって黄河 の流出量
百 ∼ 数千年 とい う期間 を表わ していた。 この明暗互層 が
一体 どのよ うな気候 。海洋変動を反映 してい るのか、我 々
に対す る日本海 の応答感度 が鈍化 した事 を意味す るのか
について、現在検討 を進 めて い る。
が悩 んで い るまさにその時 にグ リー ンラ ン ド氷床記録が
―-26-―
│
火星隕石 A
L H 84001‐ 中の炭酸塩 とその複雑 な成因について
GordOn McKay(NASA Johnson space center″ /鉱 物学専攻)
gmckay@mil■ islu― tokyo.acJp
三河内
岳 鉱 物学専攻)
[email protected]‐ tokyO.acJo
南極産火星隕石 ALH84001中 に太古 の火星 に存在 し
た微生物の痕跡が見つか った との発表以来、 この1隕 石 に
関する研究が盛んに行なわれている。特 に この隕石中に
含 まれる炭酸塩 (下1図 )は 、生命存在 の舞台 として注目
を集め ているが、これまでの数多 くの研究 にも関わ らず、
これ らの炭酸塩が、いつで きたのか、 そしてどのような
ある。我 々は、円盤状 の炭酸塩が破砕 されて長石ガラス
の中に散 らばってい るものや、長石ガラスが炭酸塩の縁
から侵入 してい るこれまでには報告 されていない組織 を
見い出 した。これらの組織 は、炭酸塩が形成 されたのは、
長石ガラスが形成 されたの と同時か、 もしくは、それよ
りも前だ ったことを示 している。炭酸塩 は、長石 か長石
環境でできたのかは、今 だに分かっておらず、活発な議
論 を呼んで い る。我々 は、ALH84001中 の炭酸塩 を走
査型電子頭微鏡 および電子線 マイクロプローブを用いて
詳細 に分析 し、炭酸塩 と―
共存:す る長石組成 のガ ラス との
い
間 に観察 される くつかの特異 な組織 を見 い出 した。炭
酸塩 は、通常、下 図 に見 られるように大 きさが直径100
ミクロン以下の円形をしてい るが、実際には平たい円盤
状 だ と考 えられ、 この隕石 の大部分 を構成する斜方輝石
の割 れ 目な どに発 達 している。化学組 成 が、Ca、 Mを
に富んだ中心部分 か ら Fё や Mgに 富 んだ組成が帯状 に
見 られるェ ッジに向かつて、大 きく変化 してしているの
ガラスのどちらか を置換 して形成 されたとこれまで は考
えられていたが、我々の観察で は、長石ガラスの一部 に
は自形の結晶外形 を保 つているものが見 られることか ら、
炭酸塩 はこれ ら長石 ガラスのす き間を埋めただけのもの
だ と解釈 している。 また、長石ガラスは、光学顕微鏡 で
は非常 に均質 に見 えるが、その組成 はかな り不均質であ
が特徴であ り、1明 らか に非平衡の状況下で結晶化 した も
のと考 えられる。エ ッジの Feや Mgに 富んだ炭酸塩 の
部分 には、結晶成長 の際 に、ある結 晶学的方位 を保 って
成長 した ような組織 も見 られる。炭酸塩の中には 輝石
の結晶中のすき間 に点在 して見 られるものもあるが、 こ
れらの大 きさや化学組成 は、円盤状のものとほぼ同 じで
│、
ることも分かった。
このよ うに ALH84001中 の炭酸塩 と長石組成 ガラス
は、多 くの複雑 な組織 を示 していることが分 かったが、
残念ながらこれ らの炭酸塩 と長石ガラスが、 いつ、どの
ような条イ
牛で形成されたかについては、 これまで考えら
れてい る以上に複雑な経過を経 てできた とい うことが分
かつたにとどまってお り、最終的な形成史 を語れるには
至ちていない。今後 のさ らなる鉱物学的研究 によ り、 こ
れ らの炭酸塩が、生物起源か もしくは非生物起源かの議
論 に一石を投 じることができるものと考 えている。
:ALH84001隕 石 中 に見 られる炭 酸塩 と長 石組成ガラスの走査型電子顕微鏡 による後方散乱 電子像.軽 い元素が含 まれる部分
は暗 く、重 い元素が含 まれる部分 は明るい。 円形の鉱物が炭酸塩 で、申心の灰色の部分 は Caゃ Mgに 富む
ッジの明るい
ロン。
部分 は Feに 富み、暗 い部分 は Mgに 富んでいる。灰色の均質な部分 が長石組成 のガラス。横幅 は 350ミ ク`エ
―-27-―
維管束組織の形成機構を探る
出 村
拓
(理 学部附属植物園)
sderllura(Dhongo.ecc.u― tokyo.ac.Jp
維管束組織 は植物 において水や栄養分の通 り道 となる
組織 であ り、 いわば植物 の血 管 とも言 える大変重要な組
いて、管状要素 の形成機構 にア プローチ して い る。特 に
最近 は、 この系 を用 いて、分化 に関連 して発現す る様 々
織 である。そのため、古 くか ら維管東組織 に関す る形態
学的・ 生理 学的研究 が進 めら、最近 で は、維管東組織 を
な遺 伝子のクローニ ング とその発現様式・ 機能 の解析 を
進 めて い る。 その中で、管状要素分化の形態形成 (二 次
構成す る個々の細胞 (水 の通 り道である道管や栄養分 の
通 り道で あ る師管 な ど)の 形成機構 については徐 々 に明
壁形成や細 胞質 の 自己分解)先 だって1買 次発現す る遺伝
子群
(TED2⇒ TED4⇒ TED3)を 単 離 し、 その維 管
らかにされつつある。 しか しなが ら、維管東組織 には道
束組織 における発現様式 を詳細 に解析 した。 その結果、
管や師管 に加 えて、前形成層や形成層 と呼 ばれ る一群 の
始原細胞 。道管や師管 を取 り囲む本部 柔細胞 や 師部柔細
TED2が 前形成層 に、TED4が 本部細胞 に、TED3が 管
胞・ 植物体 に機械的強度 を与 え植 物体 を支 えるための繊
維細胞 な ど数多 くの細胞が含 まれてお り、維管束組織全
体 の形成 はそれぞれの細胞 が相 互 に作用 しなが ら、 ある
い は、維管束 をとりま く周囲の細胞 か らの影響 を受 けな
が ら進行 していると考 え られ、維管束組織全体 の形成機
構 に踏 み込 んだ研究 は大 変少 ないのが現状 である。 これ
は、維管東組織 に含 まれ る個々の細胞 を認識す るための
分子 マーカーが ほ とん ど知 られて い ない ことが大 きな原
因 となってい るもの と考 えられ る。
私 たちは、 ヒャクニ チ ソウの単離葉肉細胞 (図 1)か
ら管状要素 (道 管 の構成単位、螺旋状 の二 次細胞壁 をも
状要素前駆細胞 に発現す ることを明 らかにし、それぞれ
が、前形成 層 (TED2)。 本部細胞 (TED4)・ 管状要
素前駆細胞 (TED3)の 分子 マー カー となることを示 し
た。更 に この ことか ら、 ヒャクニ チ ソウ単離葉 肉細胞 か
●
ら管状要素 へ の分化 過程 が組織 内 にお ける原形成層か ら
管状要素 へ の分化過程 ― 維管束組織形成の初期過程 ―
を反映 しているとい う仮説 をたてた。現在 は、単 離 した
遺伝子の機能解析 を進 める とともに、この仮説 をもとに、
ヒャクニ チ ソウ管状要素分化系 を用 いて維管束組織形成
の初期過程 を追 跡す るための分子 マーカーの単離 を進 め
ている。 このような研究 によって、維管東組織 の形成機
構 に迫れ るのではないか と期待 して い る。
ち細胞質 が失われた死細胞、図 2)へ の細胞分化系 を用
el
図
1
ヒャクニチ ソウ芽生 えの第一葉 か ら単離 した葉 肉細胞
の ノマ ルスキー微分 干渉顕微鏡 写真。 この よ うな葉 肉
細胞 を培 養す る こ とによって、葉 肉 細胞 は、前形成 層
細胞様 の 細胞 吟本 部細胞様 の細胞 0道 管前駆細胞様 の
細胞 を経 て図 2に 示 した管状 要素 へ と分化 す る。
図2
―-28-―
ヒャクニ チ ソウ葉 肉細胞 か ら分化 した管状要素 の 蛍光
顕微鏡 写真。紫外 線 の照射 によつて、管状要素 の二 次
細胞 壁が 自色の 自家 蛍光 を発 している。右側 の細胞 が
よ り分化力淮 んだ細胞で、二次細胞壁の 自家蛍光が強 い。
《
名誉教授 より》
大学教官教員 の任期制 につい て
海
一つの改革 には、 目的 とした事柄 へ のプラス とマ イナ
スの影響 が あ り、それ以外 にプラス とマ イナスの波及効
果が必ずある。 また、 それ らの効果 には短 時 日で消 える
もの と長年月生 き残 るもの とあ り、 それ も後 々の手当 て
の仕方 で変わ る。 マ イナ スの影響 を恐れて いては進歩 は
ないが、 つ まらぬ改革 をす ると後始末が大変 で、元 に戻
すには改革 に要 したエ ネル ギーの何倍 ものエ ネル ギーを
要す る。先例 の有無 を先ず考 えるお役人根性 も理 由がな
いわ けではない。 しか し、教育 は未来志向の業であるか
ら、大学 は知力の限 りを尽 くして良 い改革 を絶 えず行 う
野
和 三 郎 (名 誉教授
)
が任期制導入 を奨励 すれば、管理者側 はそれを教員 の生
殺与奪 の権 を今以上 に握 る道 具 にす ることにな るであろ
う。私立大学の教員 は現在 で もあまり強 い立場 にはない
が、管理者側 に阿って保身 を図 ろうとする輩 が勢力 を持
つ ことになろう。独創性 の推進 どころの話 ではない。結
果 としての私立大学 の精神的沈滞 は国家的な大損害 とな
るで あ ろう。 この辺 りの機微 は私立大学 にいた ものでな
ければ理解で きず、文部省 の役人や エ リー トコースを歩
いた学長 クラスの人 には恐 らく分 か らないで あろう。か
つて教養部 を学部 に組 み込んで教養基礎科 目を専門科 目
必要がある。宇宙観、生命観、世界観 は21世 紀 に向かっ
て激 しく変わ りつつ ある。大学の姿 もそれに伴 ってすで
と一体 にして基礎 の充実 を計 る動 きがあった。多 くの私
立大 学 ではこれ を教養 科 目の軽視 と理解 し、常勤 の教 員
に変わ って来 ているし、 これか らも変わってい くことで
あろう。大学人 の未来 を洞察 した深 い知性 がい ま問われ
が止めた後 はその科 目の講義 を廃 止す るか非常勤 の教 員
にす るな どの措置 が取 られた。例 えば、地学 はい まや唯
ているのである。
国公立大 学教官 お よび私 立大 学教員 の任期制 が 問題 に
なってい る。任期制 の趣 旨は、教員人事の流動性の促進
一の総合的な理科 の科 目であるが、多 くの私立大 学 の講
義 が らも入試科 目か らも消 えて しまった。 それが また高
にあ り、それによって大学の閉鎖性 を打破 し、独創性 を
校 に も波及 し、地 学 を教 える先生 も減 り、 これ を学ぶ学
生 も著 し く減 って来て い る。人類 は地球 とともに生 きて
奨励 して学問 の進歩 を図 ろうとい うものである。任期制
は結果 として半強制的 な人事異動 になるか ら、直接 の効
行 かねばな らな い この時代 に、宇宙や地球規模の物 の見
方 をす る総合的 な理科教育 が この ところ急速 に衰微 して
果 は人 事 の流動 性 の促進 になるとい える。問題 は、大学
人事 を複雑系 と見 た ときに非線型効果 まで入れて果た し
い るのである。 この点 に関 しては文部省 の意 図 は完全 に
て任期告llaゞ 流動性 の促進 になるか どうかであるが、 この
問題 は一般 には予測不可能 で あ るので、後 で少 し触れ る
のに止めることにす る。次 の問題 は任期制 が閉鎖性 の打
破 になるか どうかであるが、形式的 にはイエ スで 当事者
裏 目に出た と言わ ざるをえない。実学 を重視 し効率 を重
視することはそれ 自体 は決 して悪 いことで はないのだが、
倉」
造 する人間に とっては もっ とたいせつな ものがある こ
とを忘れてはな らな い。
ところで、任期制 の直 接 のマ イナス面 は、長期間地味
が これ をうまく使 って閉鎖性 をな くす ようにできる場合
な基礎的研究 をす る人が落 ち着 いて研究 を続 ける ことが
もあるが、 もともと閉鎖性 の強 い大学や部局 に対 しては
難 し くなる ことで ある。上 に述 べた ように任期制 の御利
益が期待で きない とす ると、 この直接的 マ イナ スに も拘
結果 はむ しろ逆 になるもの と考 えられ る。例 えば、学問
的にはた い した ことはな いが政治的 に強力 な学界のボス
がいた としよ う。 これはえて して伝統 のない大学やそう
でな くとも保守的な学部 な どではよ く見 られ ることであ
る。そのボスは学問的 に 自信がないので 自分 の息のかかっ
た者 を 自分 の関係す る部局 の教員 に採用する ことになる。
自分 の所属 の助教授 や助手 には 自分 より優れ た者 は決 し
て採用 しない。 そのボス 自身 が任期制 です ぐに居 な くな
ればよいが、 い ま考 えて い る任期制 ではそうはな らな い
ようである。 その結果閉鎖性 は任期制 で一 層助長 され る
とい う皮肉な ことになる。勿論、学問的 に力 のある大学
については、そんなボスはいないだ ろうか らいずれ にし
て もあま り関係 ない。被害 はむ しろ閉鎖性 を打破 しなけ
ればな らない大学 で起 こる。一 方、私立大学 に於 いて は
わ らず任期制 を導入す るにはそれな りの理由が必要であ
る。例 えば、長期的 に見 て任期制 のプラスだけを残 し、
マ イナ スを減衰 させ る手だてがあればよいわけである。
人事 にボスの介入 を許 さない大学人 の自覚、教員の 自主
性 を高 く評価 しなければ私立大学 の 自滅 となることの認
識すなわ ちある種 の私 立大 学 の自浄作用 な どがその手 だ
て となるであろうか。 しか し、 こ うした他力本願では必
ず しもうま くい くとい う保証 はない。任期制 に代 る何 か
よい方法 はない ものだろうか。私の考 えた案 は以下 の二
つの案 である。一つは、他 か らの評 価 の制度化 である。
教員 一人 一人 に対 し同僚、学生、第 二者 か らの評価 を制
度化 して これを公表す る。 ただ し、その評価 は一切 の拘
束力 を持たないただの評価 で、 これ を人事等 に一切利用
人事権 の半 ば乃至 それ以上が企 業体 としての大学の管理
者側 にあって教授会側 にはない ことが多 い。 もし文 部省
―-29-―
してはい けない。 どんなに 自分 に対す る評価が厳 しくて
も自信 があれば平然 としているのが、大学人 としての資
る.│そ うしヽ
りた人が実蓑的に被害蟻被ら1楡ル
ヽ
よう
鷲であ・
二
にして奉がなければなられ ‐
黒 め案緑
事異動に
・
=人
樺って給与な何がしか磐やすことであも。i層 雫す割合に
よ―
つでどん奪勁暴が期待できるが誰鎌機シ菱‐
ユレ‐ショ
iも
ンをやっ曲
はどう.で │あ るうれ ,も っと 私渡ど瞳
-30-
結果にれ て職責任を駆る豪緯驚い,き もめらぽむ,楓
大学改革瞳高慶り知性の問題である。われとお・
ヽわれ人
はこ國間譲‐
にチャンフジ│し てよヽま
蜘應錢由│し てく経うこ
とを切に願 )ヽ 1鍮 であお。
.
留学生から》
《
タイ 国 王 につい て
ピサ ヌ・ カ ノンシ ャ ィ ヨス
ラマー九世 と呼ばれ ているタイの国王 は去年の 6月
9
日で50年 タイを支配 して来 た ことになる。 この50年 の間
に、 15版 の憲法、 17回 のクーデター、そ して21名 の総理
大臣な ど様 々な ことを経験 して い る。従 って、彼 は現代
のタイの歴史 に とって最 も重要 な役割 を果た してきたの
で これか らの話 は皆 さんに大変興味深 い と思 う。
国王 ラマー九世 はアメ リカのマ サチューセ ッツ州 にあ
るマ ウ ン トオーバ ン病院 で1927年 に生 まれた。 その時、
彼 の父、当時の国王の弟 はハ ーバ ー ド大学 で医学 を勉強
していた。 ラマー九世 はラマー七世国王 にプ ミポン・ ア
デ ュラヤデジと名付 けられた。プ ミポン王子が二歳 の時、
父は他界 して彼 は母、姉、兄 とスイスに移 り住 んだ。 ラ
マー七世が王位 を放棄 した後、彼 の兄、アナ ンタマ ヒ ド
(タ
イ、情報科学専攻 修± 1年 )
を支配す る」すべ てのタイ人 に50年 の間 にわたつて、 し
て下 さって い る。彼 は 自分 を水 に、女王 を森林 に例 えて、
仕事 を分 けた。 どんな遠 い地方に も彼 は自分で出かけて
行 って、色 々な問題 に対 して解決す る方法 を提 案す る。
さらに、彼 の住 んで い る王 宮 で色々な農業技術 。実験 も
させている。 このように、王が始 めたプ ロジェク トが千
以上 ある。
政治 の面 では、 タイの憲法 に よる と、国王 は相談 され
る権利 、奨励 す る権利、 そして警告す る権利 を持 って い
る。けれ ども、これまでに国王が実際の自分 の権力 を使 っ
た ことは二 回 しかない。 まず、 1973年 10月 の学生達 の独
裁的な政府 に反対す るデモによって何人 もの人々が殺 さ
ン王子がラマー八世 になつた。
れた時、 国王 は突然、 テ レビに出て 3人 の陸軍元師をや
めさせて国外 に追 い出 した。 そして彼 のおかげで この内
しか し、彼 と兄 は当時、 まだ10歳 に満たなかったので
ス イスで勉強 を続 け、やがて ロー ザ ンス大学 に入 った。
乱 はす ぐにおさまった。次 に1992年 5月 、20年 前 と同 じ
よ うな惨事 が もう一 回あつた。当時の総理大 臣は総理職
ところが二人が短期間の予定で帰国 した時 、 ラマー八世
は暗殺 されて しまって、 プ ミポン王 子 が 国王 ラマー九世
として王位 を継 ぐことになった。 最初 は彼 自身一 時的な
を自ら放棄 したので、国王 は国会議員 ではない新 しい総
理大臣を立て、混乱 はお さまった。
二年前、南 の方で大洪水 によって大 きな損害 があった
国王 で しかない と思っていたが、 スイスに勉強 を続 ける
ために戻 る時、道路 にいた彼 を送 りに来 た人々か ら「 王
時 も、 国王 はまた政府 の行 う対 策 を提案 した。
この ような政治 的手腕 の他、彼 は美術ゃ音楽や文学や
様、国民 の ことを見捨 てないで」 とい うような叫び声が
聞 こえて きた。 その時、国王 は「 もし国民が私の ことを
スポーツなどの様 々な分野 で も天才だ と言われ ている6
今 まで国 を支配 して来 た51年 間、国王 は 自分 の苦労 は気
必要 としているのに、 どうして私 が 国民の ことを見捨 て
にかけず、懸命 に即位式の宣誓 のように仕事 をして きた。
それは、彼 にとって国王 とい う地位 は国民 の主人でな く、
ただ、国民 に仕 える地位 を意味 してい るか らで あ る。徒 っ
られ るだろうか」 と思ったそうであ る。 20年 後、国王 は
当時、 自分 に向かって叫 んだ人 に会 った。 その人 は王様
が もう三度 と帰国 しないのではないか と不安だった と言っ
た。 そして、 国王 はあの叫 びが私 に 自分 の しなければな
らない仕事 を思 い知 らせて くれたのです と答 えた。
「私 はサイアム国民 の幸福 と恩恵のために有徳的に国
-31-
て、 タイ人 の深 く国王 を愛 し、尊敬 の念 は驚 くべ きこと
ではない。国王無 しでは今 のようなタイが存在す ること
は絶対 で きなかった。私 はその ように信 じてい る。
国王万歳
!
留学一年生の Reporter
金
去 年 の今 ごろは “さ よな らパ ー テ ィー "を や って い た
の
に
…・
I文
秀
(韓 国、生物化学専攻
修± 1年 )
た り、ゆき先の地名 を読 めな くて きいた りした。
今 は何 もない ことで笑 つち ゃうか もしれないがその時
今 日は一年間の 日本 生活 について語 っている。
一 年前 … 4月 1日 日本 に来 た時、雨 が降 っていた。
は深刻 な問題 だった。で も生活 は一回の経験 です ぐ慣 る
もので振 りかえってみる とお もしろいか も。で も、 日本
一生 忘れ られな いい としい雨 だった。
この季節 は雨が 多 いか な… 最近 は雨 をよ くみるけど、
人 とのつ き合 いはなかなか超 えに くい高 い壁か も知れな
い。
去年のあの雨 とは比 べ られない。
同 じ季節 を向か えるようになったな…
この雑誌 の同 じコラム を読 んだ ことが ある人 な ら “あ
―、 この人 もまた同 じ こと言 お う としている"と 思 うか
もう。
い
めての
について
そうとして
日本生活
初
話
たのに…
ウ ンー 日本 は違 う。私が育 って きた所 とは。
も知れないので私 はここで は語 らずに飛 ばそうとしてい
る。 (前 の ものを参考 に して下 さい。前 の コ ラムを読 ん
もちろん、 日本以外の国で生活 した こともな いので比 較
で きない し、新 しい生活で精一杯 だった一 年 であるた め
で “あ―私 と同 じことで悩 んでいたんだ"と 思 い ました
ので)け ど、 この国 の “
イ
中間入 り"っ て言 うチ ョウむ ず
日本 をみる余裕 もなかった し、一 年 の生 活 で “この国 は
××だ"と 言 いた くない。 で もこの国 は違 う。
か しい言葉 を 自分 は習 った 。 テ レビがない私 にとって こ
簡単な生活習慣 ― はしの重 さ、右側通行 な ど 一 か ら日
本人特有 の言 い方、 つ き合 い方、そ して私が絶ず に探 し
ている日本の倫理 な ど。
一人暮 らしを初 めて している
(し
か も外国での)私 に
とつては最初 “生活 "自 体 が 慣 れな く、洗剤 を買お う と
して も “これ は何 に使 うものかな″、 ″しょうゆ"っ て ど
んな漢字だったげ、な ど スーパ ーで わか らな くて迷 っ
た り、みか けわが国の と似 て るか らいいだろうと思って
買 ってみ ると、全然違 うものだった り、一人暮 しって い
う こと考 えず に家 の買 い ものをす るように大量 にかって
の社会 をみる窓 回は医科研 に行 く電車。私が 日本 を感 じ
られ る一番大 きな 日本社会。 い ろい ろな人がいてタクサ
ンのポスターが あ って、話 しが あ って楽 しい所。
最近み ったち ょっとお どろいたポスタには①電車 の中、
座 ってる若 い人 の前 におばあ さんが くる絵 →② おばあさ
んに席 をゆず る絵。 そ して コ メン トは “勇気 を出 して席
をゆず って よか った。"と 書 いて あった。席 をゆず る く
らい の ものが勇気 を出す ものなんだ。 この国では… もち
ろん私 と同 じ教育 を受 けてきた1人 たちではないので同 じ
だ と思 った ら間違 えだ ろうけど、 日本社会 一 ぱんの倫理
をまだみた ことがないよ うな気が した。
食 べ きれな くなった りして ドクター終 るまで使 える くら
いの しおを持 っていた りして失敗 と笑 い ものばか りだっ
隠れ ているらしい。 よし !お にになってみつけてや ろ
う !医 科研 のさ くらも今週で満開にな りそ うだ。 この国
た。
が一番美 しい時、 さ くらの咲 く4月 。 2回 目のお花見 が
くるだ ろう。
電車の切符だってあしたの朝 は込むか もしれない と思っ
て前 の 日二 枚買 っておいた ら “ぶ―"と な り使 えなか っ
医科研 の研 究室 で ヒアパーテ ィー (一 番右端 が金 さん)
―-32-―
《その他》
本研究科附属 の原 子核 科学研究 セ ンターが発足
平成 9年 4月 に本研究科附属の原子核科学研究センター
が新 たに誕生 した。 これまで本研究科 においては、原子
核研究所及び理学部付属 の中間子科学研究セ ンターが、
原子核科学分野の研究・ 教育の主要拠点 となっていたが、
これ ら研究所・ センター は、本年度、東京大学か ら分離
し、筑波地区に発足 した「高エネルギー加速器研究機構J
の一部 に改組・ 編入された。原子核科学研究センターは、
これ に代わって、当研究科 における原子核科学分野の研
究 と教育を担 うもの として新 たに設立された。 このセン
ターでは、原子核科学分野 の中で もとりわけ萌芽性 と学
際性 の高い「重イオ ン科学」を中心的研究課題 に設定 し、
重イオ ン加速器 で あ る SFサ イク ロ トロンを用 い て、
「重 イオ ン加速器 開発」、「重 イオ ン衝突過程」、及 び
「極限原子核構造」の三分野 の研究 を進めることになっ
ている。
重イオン加速器による原子核・原子核衝突を用いると、
原子核の様 々な存在形態や運動様式 を1実 現す ることが可
能 とな り、元素合成過程や原子核の変形、 さらには高速
回転、高温高密度の極限状態における原子核のふるまい
など、原子核 の1多 彩 な物性が調べ られる。 また、重イオ
ン核反応 は現象が多様 で、物理系の諸分野 をはじめ、宇
こ亘る幅広 い科学技術 にも
宙、エネルギー、工学、医学 ヤ
深い関わ りを持っている。原子核科学研究 センターでは、
このような原子核物性の研究 と学際的領域 の研究を重点
的 に推進 してい く。
置 され、教官 12名 と技官 3名 で構成 されてお り、さ らに
民間機関等か ら研究者 を招聘す るための客員講座 も設 け
られている。主要実験設備 ‐
として、各種元素の イオ ンを
10Mev/核
子 まで加速 で きる SFサ イ クロ トロン と、
約
高分解能反応粒子磁気分析器、核構造分光装置 な どの付
属装置 が原子核研究所 か ら移管 されている。SFサ イク
ロ トロン は老朽 器 なが ら、ECR型 多価 イオ ン源の開発
により強力 な重 イオ ンカロ
速器 として再生 しつつあ り、 さ
らに小型で簡便性 が高 いため、先端的研究 はもとよ り、
学部学生や大学院生 の教育や、関連研究分野 の研究者の
利用にも適 した施 設 として幅広 い利用が期待 されている。
同セ ンターでは、 この加 速器 による研究 を軸 として、他
機関 との共 同研究や高 エ ネル ギー重イオ ン衝突実験 など
の国際協力 も推進 し、 日本 における重イオ ン科学分野 の
中核的な研究拠点 に発展 す る ことを 目指 してい る。
6月 5日 には、田無 キャ ンパ スで原子核科学研究セ ン
ター発足 記念 式典及び祝 賀 会が行 われ、約 100名 の関係
者 の出席 が あった。式典 では、壽栄松研究科長の式辞、
石原 センター長 の施設概要説明 と経過報告 の後、蓮賞東
京大学総長 の挨拶 があ り、林 田英樹文部省国際学術局長、
有馬朗人理化学研究所理事長、菅原寛孝高 エ ネル ギー加
速器研究機構長 よ り祝辞 が あ つた。写真 は、発足記念式
―の門札 を掲 げ
典 にお いて、「原子 核科学研究 セ ンター」
る蓮 賞重彦総長、壽栄松宏仁研究科長、石原正泰原子核
科学研究 センター長。
同センターは、田無地区にある原子核研究所跡地に設
-33-―
植物園 で学 生・ 教職 員 の交歓会 が開 かれ る
恒例の学生 ど教職員の交歓会が 5月 12日 0、 小石川植
物園において開催 されました。昨年、一昨年 と雨続 きの
交歓会でしたが、今年は樹々の緑がまぶしいほどの五月
晴れで絶好の交歓会 日和 となりました。
-34-
会場 に は学生・ 教職員、名誉教授合わせて650人 以上
が集 まり、午後 3時 過ぎに壽榮松研究科長 と長田植物園
長 の歴史を交えた挨拶 と小間評議員 の発声 によ り交歓会
が開始 され、 日没前 に無事終了 しました。
平成 9年 3月 に退官 され る井野正三教授 (物 理学専
攻)、 安楽泰宏教授 (生 物科学専攻)、 脇 田 宏教授 (地
殻化学実験施設)、 近藤 保教授 (化 学専攻)、 田隅三生
(化 学専攻)を 囲み (鈴 木増雄教授 (物 理学専攻 )は ご
都合 により欠席 されました)理学部 1号 館正面玄関にお
いて理学系研究科 。理学部教授会構成員 と恒例 の記念撮
影を行 い ました。
東京大学理学部教授会 1997.3,17 於 ,理 学部 1号 館前
理 学部・ 理 学系研究科技術 シ ンポジウムの開催
理学部技術 シンポジウム は、今 日まで技術官相互の研
鑽 と交流 の場 として回を重ね、今年 で14回 目を迎 えます。
このシンポジウム を意義あ るもの として成功 させ るた め、
日 時
場
9月
所
発表予定者
一般講演
5日 0
13時 ∼ 17時
理学部 4号 館 2階
技術官 の皆様 や教官、事務 官の方 々の参加 と御協力 をお
願い いた します。
招待講演
物 理講義室
特別講演
森岡瑞枝 さん (動 物 )
樫村 圭造 さん (物 理 )
山田 等 さん (阪大産研技術室 )
平木 敬先 生 (情 報科学専I■ l
「高性能計算のための
イ ンフラス トラクチャJ
吉田英人 さん (地 質 )
理学部 。理学系研究科
技術 シンポジウム実行委員会
川島 孝 さん .(化 学 )
樽沢賢 一 さん (天文 センター)
-35-
文 特
東京大学理学部天 学教育研究 セ ンター
別公開 につい て
木 曽観測所
東京大学木曽観測所 を一般 の皆様 に公開いた します。
普段見 ることので きない望遠鏡の動 きや、測定装置 を見
学できるほか、観測所で とらえた最新 の天体画像や写真
等 がみ られます。本年 は、
「木曽 シュミッ ト望遠鏡が と
らえた星 の一生 Jを テーマ とした特別展 を行 い ます 。 ま
た、 9日 の夜 には、小望遠鏡 を用 いて惑星等 を観望す る
観望会 を開 きます。 また、隣接す る名古屋大学太陽地球
環境研究所施設 の公 開 も同時 に行 つています。
¨
〓ロ
期
間
已
時
4)研 究活動 の紹介
5)天 体観望会 (9日 のみ :雨 天中止 )
6)ビ デオ上映
7)天 体写真の展示
1997年 8月 9日 仕ソ10日 lEl
8月 9日 0
13時 ∼ 17時
天体観望会 19時 ∼22時
8月 10日 (日 )10時 ∼ 16時
備
開催場所
考
:
〒39701 長野県木 曽郡 三岳村 1076230
日昌言
舌:0264-52-336o 口
Ⅸ:0264-52-3361
当施設 へ の交 通手段 については、 JR中 央
西線木 曽福島駅 あるい は上松駅 よ り車 で30分
です。観測所 か ら 6 kmの ところまでバ スの便
があ ります。 (1日 数本 )
容
問 い合 せ先
木 曽観測所施設の公開 と説明
望遠鏡のデモ ンス トレーシ ョン
:
木 曽観預1所
特別展示「木 曽 シュ ミッ ト望遠鏡が と ら
えた星の一生J
-36-―
〒39701 長野県木 曽郡 三岳村 10762-30
月日言
舌:0264-52-3360 『 Ⅸ:0264-52-3361
理 学系研究科長 と理学部職員組合 との交渉
1997年 2月 28日 と3月 31日 に益田研究科長、柚原事務
長 と、 お よび 4月 21日 に壽榮松研究科長、柚原事務長 と
理学部職員組合 (理 職 )の 間 で定例研究科長交渉 が行わ
れた。主な内容 は以下の通 りである。
長 を要求で きるし専 門職員 の要求 もで きると答 えた。理
職 は、組織化 を待 つて処遇問題 を解決 しようとす ると、
時期的 に間 に合わ なかった職 員 は不遇 で あ り、個別 の待
遇改善 と全体 としての処遇改善 は矛盾 していない ことを
主張 した。
1.職 員の昇級・ 昇格等の待遇改善に関わる問題について
1)技 術職員
3)図 書職員
毎回 の交渉で理職 は、技術職員 の 7級 昇格 の結果 を質
したが、事務長 は東大事務 に確認 したが、結果 が来 てお
らず、 またその理 由 は不明であると答 えた。 3月 の交渉
で理職 は、技術長の助手 へ の振替 と核研 と中間子 の改組
に伴 って技術職員 2名 が理 学部 に移 る ことで生 じる技術
職員組織 の変化 を質 した。事務長 は、技術委員会 での検
討結果 であるとして、第四理学系 の技術長 を上 申中であ
る こと、核研 か らの技術職員が第 一 理学系 に入 ることに
なる ことを答 えた。新組織図 は 3月 交渉終了後理職 に手
2月 の交渉で理職 は、事務職員 か ら図書職員 へ の定数振
替 について、振替 がなされた ら直 ちに本人 に文書 で知 ら
せ るように要求 した。 これに対 して事務長 はすでに本人
に通知 済 みであると返答 した。 しか し、 3月 の交渉 にお
いて事務長 は定数振替 はまだ実現 してお らず、 4月 1日
付 けで行われ る事 を説明 した。 4月 の交渉で理 職 は、す
でに手交 してある図書職員の 5・ 6級 昇格要望書 に関連
して、図書職員 も専門職等の工夫 によって待遇改善 にむ
けて努力するように要望 した。
交 された。 4月 の交渉で理職 は、東大本部事務 と東大職
員組合 の折衝 では 6級 昇格 は先任技術専門職員 か ら行 う
との説明があった ことを説明 し、 6級 昇格要求技術職員
を専門職員 に位置 づ けるように要求 した。 これに対 して
事務長 は、技術委員会 において組織全体 のバ ランスを考
4)行
(二 )職 員
理職 は毎月 の交渉 にお いて、行 (二 )職 員 の処遇 改善
について要請 した。 2月 の交渉で事務長 は、同様 の要求
をもつ職員 が全 学的 に大勢 い るため、早期実現 は困難 で
えて専 門職員 の枝 を検討 した結果であると答 えた。理職
は、理学部技術職員 は 5∼ 6級 に人員構成 が集中 して い
あると答えた。理職は引き続 き昇格実現 に努力を要望 した。
るため、専門職員 を多 くおいて昇格 を進めるように要望
した。 4月 の交渉で理職 は、 6級 昇格 につ いては職務 内
2.第 9次 定員削減 について
容等 の資料 が重要 となるので、専攻 か らの資料提出 を求
めて昇格実現 に努力す るように要望 した。理職 はまた、
技術職員 の専行職移行問題 について、理学部技術部 はラ
イ ン制 の組織 にはな じまず、技術職員 の待遇改善 と効率
の高 い支援組織 であるスタ ッフ制 での組織化 を要望 した。
2)事 務職員
毎月の交渉 で理職 は、生物科学科 の統合 による業務内
容の統一化 に伴 い仕事 の増大 した生物科学教室事務 主任
毎月 の交渉 で理職 は、第 9次 定員削減 に対す る理学部
の方針 を質 した。 2月 の交渉 で事務長 は、職員 について
はユニ ッ ト数 に基づいて削減 に対応す ると述 べ た。理職
は、従来通 りの方針では教室系職員、特 に技術職員 が選
択的 に減 る ことにな り、理学部の研究・ 教育基盤 にかか
わ る問題 であることを指摘 した。 2月 の交渉 で研究科長
は、技官 だけではな く事務 や 図書職員 も減 っては困る事、
事務 を減 らした い とい う声 は聞 かない と答 えた。理職 は、
定員削減 が一部 に集中 しない ように理 学部全体 で負 うべ
きであることを主張 した。 4月 の交渉 で理職 は、柏 キャ
ンパ ス計画 に伴 い柏 へ の職員の転換 が必 要 とな り、理学
に相応 の処遇 をす るため、早期 の 6級 昇格 を要求 した。
事務長 は 2月 の交渉 で、状況 は承知 してお り東大本部事
務 に も要望 している事、平成 9年 度 は難 しい事、 10年 度
部 の支援組織 は非 常 に深刻な状況 になることを指摘 した。
これに対 して研究科長 は、頭 の痛 い問題 であ り、社会 に
の実現をめざしてい る事 を答 えた。3月 の交渉 で理職 は、
当該事務職員 の待遇改善 は専門職員 として対処す べ きで
向かって理工 系 では支援組織 が必要 であることを訴 え特
別 な配慮 を要求 し、大学 内ではOA化 な どによる簡素化
ある事 を要求 したが、事務長 は待遇改善 は個々人 よ り、
全体 としての向上 をめざす ことが第 一で あると答 えた。
を計 る ことを考 えて い ると答 えた。
3月 の交渉で理職 は、事務職員 が 4名 い なが ら事務主任
のい な い専攻事務室 では専門職 を要求す ると待遇改善 が
3。
教室事務・ 図書職員 の組織化問題 について
2月 の交渉 において理職 は、すでに限界 を超 えている
実現 されやす く、 そのためには事務職員 の組織化 は条件
とな らない とい う総務部長協議での結果 を伝 え、専門職
仕事量 を減 らす事が一 番重要 な問題 であるにもかかわ ら
ず、今回の組織化案の中で明確 になっていない事、待遇
の導入 を個別 に努力する ように要求 した。 これに対 して
事務長 は、理学部 では組織化 を検討 してお り、その中で
待遇改善 をしようとしてい る、 それ によって 6つ 目の係
改善 は組織化 しないで も進 め られ る事、事務 職員 につい
ては案中 の待遇改善 は微々たるものである事、教室系職
員組織 のみを再編成 すれば必ず矛盾が発生 しそれが職員
―-37-―
に集中す るようになることを指摘 し、理 学部全体 で抜本
的に組織化 を見直す ように要求 した。 これに対 して事務
の予定 を質 し、研究科長 は 自 ら委員長 を引 き続 き行 い、
長 は、専攻主任会議 で 出された各専攻 の意見 によれば、
検討 されて い る案 が大賛成 で あ るとい う ことはないが、
答 えた。
組織化 によって異 なる業務処 理 を経験 した組織 か ら最良
の方法 を取 る ことによって簡素化 に結びつ ける事がで き
4.柏 キ ャンパスの進捗状況 について
ると答 えた。 OA化 については、 まとまった予 算 が必要
であ り理学部だけで はで きない事、 しか し現状 の ままで
組織 の 内容、特 に理 学部 か ら転換 され る職員数 について
質 した。 これに対 して、研究科長・ 事務長 は、本部 か ら
は待遇改善 は図れない ことを返答 した。 3月 の交渉 で理
職 は、再度理学部全体 の事務組織 の見直 しを要求 した。
人数 が示 された段階 で検討 し、妥当である人 数 を出す こ
とになると答 えた。 3月 の交渉 で、研究科長 は学部長会
これに対 して事務長 は、教室事務 の組織化 は第 一段階 で
議 では本部 の第一 案 として、柏 に教 官 を出す部局 は相応
の人数 を、その他 の部局 で は全学協力 として職員 を出 し
て欲 しい とい う案が示 され、事務機構 としては研究所 と
あ り 第 二段階 として中央事務 も見直す ことを返答 した。
また事務長 は、図書職員 か ら壽榮松委員長 に提出 された
要望書 は承知 してい ると答 えた。 4月 の交渉で理職 は、
'、
組織化 を定員削減 の対策 にしな い事、研究教育組織 と対
応 した組織化 をする事、組織全体 の簡素化 をお こなう事、
テ ンポ としては来年度 のBll算 要求 をめざしてい る ことを
2月 お よび 3月 の交渉で理職 は、柏 キャ ンパ スの職員
研究科 が それぞれ統合 した事務 をもうけるとい う案 も出
された と述 べ た。理職 は、理学部 か ら柏 へ は職員 は出せ
ない と主 張す るように要求 した。
必要以上 の移動 を組織化 の 目的 としないことを要望 した。
(要 望書 を手交 )こ れに対 して研究 科長 は、組織化 を進
めるが現状 を無視 しては行 えない とい う こと、現状 のよ
うに小 さな専攻単位 で事務処 理 を行 う非効率なや り方 を
維持す るのは非常 に困難 であることを答 えた。 また、組
織化 は基本的 には総論 に基づいて進めて行 くべ きであ り、
個別 の問題 につ い ては各専攻 と当該職員 で話 し合 って解
決 して欲 しい と述 べ た。理職 は今後 の組織化検討委員会
5。
その他
理職 は毎回の交渉 で、理学部職員組合 は理学部 の正式
な構成員 であ り、ネ ッ トワークア ドレス をもつ ことは時
代 の流れか ら当然であ り理職 にア ドレス を給付す ること
を要求 した。 これに対 して事務長 はネ ッ トワーク委 員会
が対応 しきれない こと、情報発信 の責任 が曖昧 にな る こ
とを説明 した。理職 は、 引 き続 き検討 を要望 した。
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訂 正 お詫 び
前号 (28巻 4号 )に 掲載 いた しました職員人事異動 に氏名 の間違 いが あ りましたので訂正 し、お詫 び致 します。
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生 命化学
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学生部入試課入学試験第二掛 より
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博 士 (理 学 )学 位授与者
平成 9年 3月 10日 付学位授与者 (25名 )
種
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論
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星 を用 いた銀河系構造 の研究
天 文 学
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大陸規模 の水循環 の気候変化 。年 々変動 に関す る解析的研究
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山 正
史
動的赤外分光法 による高分子材料 に関す る研究
学
昇
プ
又
物
品
動的赤外 二色性 と二 次元相関分光法
クスラマ ン分光 の進 展 とパ ーシ ャリー コヒー レン トア ンチ
I了 ニ ラ支ラマ ン散乱 の発見
〃
〃
野
田
勇
夫
〃
〃
石
橋
孝
章
〃
生物化 学
小
嶋
徹
也
シ ョウジ ョウバエ成虫構造 の形成機構 についての研究
〃
生物科学
小
林
剛
マ ウス毛色 に影響 を与 える蛋白質 に関す る研究
〃
〃
池
田
穣
〃
地 理 学
阿 部
一
視覚世界 としての環境 と人間の相互関係 か ら見た文化の基層的な構造
〃
〃
中 俣
均
琉球諸島における集落 の空 間構成原理 に関す る地理 学的研究
〃
〃
谷
内
達
オース トラ リアの天然資源基盤 と都市 システム
〃
〃
隈
元
崇
活断層 の活動履歴 を考慮 して推定 した 日本 の内陸地震 の長期危 険度評価
7」ll瑚 礁生態系 における炭素動態
平成 9年 3月 28日 付学位授与者 (156名 )
種
別
専
攻
申 請 者 名
課程博士
情幸長科学
佐
藤
直
人
〃
〃
関
根
京
子
〃
〃
高
橋
成
雄
〃
〃
建
部
修
見
〃
物 理 学
千
葉
尚
志
〃
〃
大
上
雅
史
〃
〃
河
内
明
子
論
文
題
目
エク ト指向 ライブラ リ・ フレームワークにおけるモジ ュ
:び コンポーザ ビ リティ
サ79贅 喜 fジ
Tutte多 項式 の計 算アルゴ リズム とその応用
滑 らかな曲面のための臨界点 に基づ くモ デ リング
MGCG法
:ロ バ ス トで高効率 な並列解法
密度揺 らぎ と宇宙の熱史
2次 元 の特異 な レ ッジェ格子 の曲率 について
静止 K 吸 収 におけるハ イパ ーフラグメン トの生成
-42-―
種
│●
別
専
攻
申 請 者 名
課程博士
物 理 学
松
〃
〃
喬
〃
〃
浅
川
〃
〃
浅
海
〃
〃
阿
〃
〃
〃
論
文
題
目
之
宇宙線反陽子流束 の測定
山
スピン分解光電子分光法 による Ni(110)表 面吸着系 の電子状態 の研究
仁
境界 のある一次元量子 系 の研究
弘
保
相対論的 Faddeev方 程式 の解 としての核子 の電磁 的性質
部
英
幸
飯
野
陽一 良
『
〃
井
汲
景
太
スカーム模型 によるハ イペ ロンー核子相 互作用
ド モ デルお よびハ イセ ンベ ルグス ピン梯子 モ デル に関す る
襄洛焉絆髪
非漸近的平 坦な時空中での準局所 エ ネル ギ ーの定義 に向けて
〃
〃
出
渕
卓
モ ンテカル ロ法 による 3及 び 4次 元 における動的単体分割模型 の研究
〃
〃
板
倉
数
記
光円錐上の場の理論 における対称性 の破れ た相 の記述 について
〃
〃
伊
藤
健
靖
〃
〃
稲
垣
祐 一郎
〃
〃
宇治野
〃
〃
岡 崎
〃
〃
岡 本
正
芳
統計手法 を用 いた外力下 の乱流 モ デルに関す る理論的研究
〃
〃
小
野
俊
彦
物理系 にお いて運 動量写像 によって誘導 される力学的構造
〃
〃
加
藤
弘 詔
〃
〃
金
田 英
宏
「 あすか」衛星 による銀河面 X線放射 の研究
〃
〃
北
村
光
高密度 プラズマにお ける状態方程式、電子輸 送、お よび核反応
〃
〃
木
村
伸
第 一原理計算 によるチタ ン酸化物表面 の電子状態および表面構造 の研究
〃
〃
木
村
敬
偶奇本梯子系 における超伝導 の理論 的研究
〃
〃
金
佳
恵
不安定核 の反応
〃
〃
窪
秀
利
″
〃
鴻
井
克
彦
〃
〃
齋
藤
芳
隆
超強磁場下 におけるコバル ト系遍歴電子磁性体 のメタ磁 性
Aに よる ミ リ秒 パ ル サ ーやガ ンマ線 パ ル サーか らの X線 パル スの
傑蚤
〃
〃
佐 々木
成
朗
分子緩和法 に基づ く原子間力顕微鏡・ 摩擦力顕微鏡 の理 論
〃
〃
佐
藤
勇
二
二 次元量子 ブラ ックホールの研究
〃
″
佐
貫
智
行
宇宙線陽子 スペ ク トルの精密測定
〃
〃
首
藤
健
一
〃
〃
篠
原
孝
司
〃
〃
城
石
正
弘
〃
〃
鈴
木
勝
博
〃
〃
関
山
〃
〃
塚
本
〃
〃
中 沢
〃
〃
中 野
〃
〃
西
永
山
浩
秀
宇宙 におけ る構造形成の流体力学的 シミュレー ション
量子 カ ロゲ ロ模型 の代数的な研究
晃
彰
栄
K 中 間子水素原子 の X線 分光
‐
明
隆
之
‐ 合 を還元 した α―ラ ク トアルブ ミンをモ デル標 的タ ンパ
ソ香 と こ毛昌債ゝ
たシャペ ロニ ン GrOELの 研究
メゾス コ ピ ック系における永久電流
ASCAに
よるブ レーザーの観測 と広波長域 にわた る非熱的放射 の研究
Si(111)表 面 での塩素 および水素の光脱離 。光解離 と共吸着
るマ イクロ波反射計 を用 いた
ギ諄摺進 糠ξ碁i度 揺動 の研究
L―
modQ H.modeプ ラズ
1次 元強相関電子系 の可積分性
渦線運動 の リーマン幾何学的定式化 お よびヤ コビ場 による不安定性解析
分光 による有機導体 DCNQI‐ Cu塩 及び BEDT‐ TTF塩
房翁籍瞑 踪 予t態 の研究
C02レ ーザーにお けるカオス発振 のパ ラメーター変調 に対す る応答
誠
希 土類金属 お よび化合物 における二 次光学過程 の理論
博
生
量子 スピン系 における長 距離相互作用
由
弘
一 次元 における磁気的 に乱 れた基底状態 と隠れ た秩序
―-43-―
種
別
専
攻
申 請 者 名
論
文
題
目
課程博士
物 理 学
二
瓶
武
史
超重力模型 と CPの 破れ
〃
〃
平
野
真
司
デ ィリク レ粒子の量子ダイナ ミクス
〃
〃
堀
田
智
洋
超対称 ゲージ理論 の最近 の発展 とその現象論 へ の応用
〃
〃
前
橋
英
明
相互作用す るフ ェル ミ粒子系の電気伝導度
〃
〃
松
田 智
裕
大局的及び局所的な超対称性理論 におけるダイナ ミカルな効果
〃
〃
間
宮
一
敏
光電子・ 逆光電子分光法 による重い 3d遷 移金属 カル コゲナイ ドの研 究
〃
〃
水
田 秀
行
一 次元 ハ イゼ ンベル グ模型 の低温展開
〃
〃
宮
崎
彦
スピンギャップを示す高温超伝導関連物質の数値計算
〃
〃
孟
宇
天然の細 いフ ィラメ ン トの構成 タ ンパ ク質 と二 次元構造
〃
〃
森
道
康
ドープ された 1次 元 モ ッ ト絶縁体 の量子輸送現象
〃
〃
山
口 伸
也
ペ ロブスカィ ト型 Co酸 化物 にお ける電子構造転 移
〃
〃
若
狭
嗣
〃
〃
綿
貫
〃
天 文 学
多
賀
〃
〃
石
〃
〃
〃
智
智
t墨 貢こ夕記唇 占毅翻
偏極移行量測定 による原子核 アイ ソベ ク ト
徹
金属内包 フラー レン結晶 の構造 と磁性
正
敏
ブラックホール を持 つ銀河中心核 の平衡形状 と安定性
丸
友
里
銀河団及び銀河群 の進 化 における Ia型 及 び II型 超新星爆発の役割
伊
藤
信
成
〃
岩
本
弘
一
〃
〃
臼
田 知
史
大質量星生成領域 における近赤外水素分子輝線 の励起機構
〃
〃
大
仲
圭
一
炭素星 の大気構造 と元素組成及び同位体比解析 におけるその影響
〃
〃
奥
村
真 一郎
大質量星形成領域W51に お ける星形成活動の歴史
〃
〃
兒
玉
忠
恭
楕 円銀河 における最大規模 な星形 成期 の決定
〃
〃
齋
藤
正
雄
原始星 を取 り巻 く高密度ガスエンベ ロープの進化
〃
〃
高
田 将
郎
日震学 に基づ く太陽モ デルの構築 と太陽ニ ュー トリノ問題 の検討
〃
〃
野
澤
哲
生
一般相対論 にお ける非軸対称星の準定常状態
〃
〃
松
下
恭
子
早期 型銀河の高温星間物質の観測的研究
″
〃
峰
崎
岳
夫
南銀極領域の Kバ ン ド撮像観測 による銀河計数
〃
〃
吉
田 慎 一郎
一般相対論的な系の正視 モー ド解析
〃
〃
和
田 武
彦
近赤外線 による大 マ ゼラン銀河のサ ーベ イ観浪1
〃
〃
黄
文
宏
回転す る円盤状 の天体 のモデル としての円筒内部 の非線形 ロスビー波
線観演1を 基 にした楕円銀河 か ら Sb型 銀河 までのバ ジルお
]爆 タリ変ケ成分の性質の研究
Ia型 超新星 の光度曲線 モデル
〃 楊電
督
蒙曇 沈 林 峰 ず′
″
夢
靡
〃
〃
篠
〃
〃
中 谷
〃
〃
劉
〃
〃
井
出
哲
〃
〃
神
田
径
〃
〃
隅
田 育
郎
原
育
正
生
洪
靱
ヾ
訂
昇鍵
ぢ
墨
弊
鰤羅ち響
讃
磁気圏尾部電流 シー トの構造 と微視的不安定性
活′
陛化過程 による現象 としての断層摩擦 における時
簡鶏箪 万異a島 屏勢
ズ 内側 の酸素イオ ンジ ャロハ ーモニ ク波動
て 通 ガ異」機構及 び磁 気嵐 の時のプラズマ粒子 の診断∼
地震波解析 に基づ く断層すべ りの構成関係の決定
答 を用 いた深部比 抵抗探 査法 に関す る、測定 とモデル化の
李後 継ξ漏骨
地球 の内核 の構造
` と進化
と古地磁気学 による研究 ―
―-44-
種
別
専
攻
申 請
課程
博士 楊奄
抒曇 竹
〃
〃
内
鉦
鳳
文
題
目
希
新 しい計算手法 を用 いた実体波及 び表面波 の高精度理論波形計算
林
9201cn不 連続面及 びマ ン トル遷移層の地震学的研究
康
気候 の定常状態形成 における海洋 の重 要性
角
羽
生
古
屋
正
人
松
本
晃
治
望
月
公
廣
博
論
名
羽
毅
化学・ 同位体組成 に基づいた HIMU及 び EMマ グマ源 の成因 に関す る
研究 ― ポ リネシア地域のホ ッ トスポ ッ ト火山を例 として 一
大気 と太平洋の極運動 へ の影響
須
藤
重
人
〃
秋
田
健
行
衛星高度計 データに基づ く高精度海洋潮汐 モ デルの開発
潮岬沖南海 トラフの地震 ブロック境界 における不均質地殻構造 ―海洋地震
計データヘの非線形 P波速度インバージョン及び有限差分法波形計算の応用 ―
ユ ーラシアプレー トにおけるプ レー ト内部応力 の擬似 3次 元球殻 モデル
化 :プ レー トダイナ ミクスに対す る意 味
臭化 メチルお よび塩 化 メチル、 ヨウ化 メチ ル等 の濃度測定 に関
李ラ屏鍵
ニ トロキシドラジカル中心へのコンタク トを介 した磁気的相互作用の研究
〃
猪
飼
正
道
金属 表面 における昇温脱離及 び触媒反応 で脱離 して くる分子 の空間分布
〃
池
野
健
人
一電子酸化 によるラジカル種 の効率的生成法 とそれ を利用する炭素 骨格
形成手法の開発
〃
井
上
朋
也
Pt―
〃
大
野
文
彦
〃
奥
村
〃
加
藤
隆
志
〃
斉
木
利
幸
〃
末
吉
〃
高
橋
嘉
夫
〃
武
田
亘
弘
速度論的に安定化されたセレンおよびケイ素を含む低配位化合物の合成と反応
〃
田
中
秀
樹
クラスターイォ ンの衝突反応過程
〃
豊
田
栄
大気中ハ ロカーボン濃度 自動測定法 に関す る研究
〃
西
│1 洋
サ
行
界面相互作用 の弱 い系 におけるエ ピタキシ ャル成長 に関す る研究
〃
西
村
民
男
電子衝突 による Ca′群分子 の振動励起 についての理論的研究
〃
原
田
潤
結晶中 におけるアゾベ ンゼ ンお よびスチルベ ン類 の配座 変換
〃
古
屋
和
彦
密度汎関数法 を用 いた長鎖共役分子の構造 と振動解析
〃
松
森
信
明
遠隔 C‐ H核 スピン結合定数 を用 いた天然物鎖状構造の立体配置決定
生物化 学
大
木
理 恵子
〃
大
島
拓
大腸菌 リジル tRNA合 成酵素遺伝子 lysUの 発現制御機構 の研究
亀
田
隆
C―
北
山
智華 子
佐
藤
ちひ ろ
鈴
木
匡
関
根
俊
一
グル タ ミン tRNA合 成酵素 によるグルタ ミン酸 tRNAの 認識機構
高
橋
史
峰
ショウジ ョウバエの新 たな src遺 伝子 Dsrc41の 単離 と解析
田
口
友
彦
魏
化
●
者
平
東
和
剛
X異 種接合 の高選択的反応 へ の応用 に関す る研 究
高配位 16族 元素 を有す る新規 なオキセタン化合物 の合成、構造 お よびそ
の反応
グル マニ ウム酸化物薄層 の特性 とそれを担体 として用 いた担持 Rh触 媒
の構造 と触媒作用
ポ リメチ ン色素会合体 における分子配列 がその性質 に及 ぼす影響 :合 成
的ア プ ロー チ
ン骨格 に基づ く新規 な反応場 の構築 と高反
窓糎花革差 あ委 是花 kろ 思焔
銅単結晶低指数面上 における低温 での酸素 お よび NOの 振動分光 と反応
性 に関する研究
アクチノイ ド (Ⅲ )お よびランタノイ ド (Ⅲ )の フ ミン酸錯体 の生成 な
らびに固相吸着 に関す る研究
DNAの 組 み換えにおけるヌクレオソームの位相および DNA湾 曲部位の解析
」unと JunDに よる軟骨細胞 の成熟過程 の抑制 に関す る研究
2デ 雪″ 夢 鶏撃 籍 台 諾 襄帯躍景 ツ 諾姿為睾弄半 2遺 伝 子 に よって
コ
動物細胞 におけるオ リゴ 。ポ リシアル酸構造の多様性 と存在分布
′
中 性ペ プチ ド :N― グ リカナーゼ (PNGase)の 精製、
詔警響墾易季爵機能
鎖の 化学
決定
構造
づ多
蜃
T想 を
晏ビ
あ
昇三
ダ
盆
鼎雰あ
森繹魁群
堺 精密な
―-45-―
別
種
専
攻
申 請 者 名
論
文
題
目
課程博 士
生物化学
鶴
田 里沙子
マ ウスヘ ルパーT細 胞 における IL-2遺 伝子発現制御機構の解析
〃
〃
西
田 元
彦
原核 生物 由来 グル タチオ ンSニ トラ ンスフェラーゼの X線 結晶構造解析
〃
西
中
太
郎
NMRに よる大腸菌 RecAタ
〃
信
國 宇
洋
Aluに 関連 した反 復配列領域 を有す る新規蛋 白質 BCNTの 発見 とその
〃
三
枝
理
博
ムスカ リン性アセチルコリン受容体m4サ ブタイプ遺伝子の転写調節機構
〃
山 下
朗
分裂酵母の減数第一分裂を不能 にするmeiRNA変 異の抑圧遺伝子の解析
〃
横
地
智
貴
生物 科学
石
橋
百
枝
染色体分離 に必 須 な大 腸菌 DNAト ポイソメラーゼⅣの反応機構 の遺伝
学的解析
濡れ による光合成阻害 とそのメカニ ズムに関す る生理生態学的研究
〃
小
野
清
美
個体 の炭素 と窒素のバ ランスが個葉 の窒 素利用 に及 ぼす影響
〃
川
崎
政
人
〃
赤
染
康
久
〃
足
立
直
樹
〃
内
田 勝
久
魚類 の鰍 における塩類細胞 の機能分化 と内分泌系
〃
内
田 信
裕
〃
草
野
賢
一
〃
佐
藤
陽
子
紫外線誘発 DNA損 傷 とくに (6-4)光 産物の光回復 に関す る研究
マ ウスのアクチ ン関連蛋 自質 に関す る研究 :cDNAの クローニ ング と
一 次構造 の解析及 び細胞 内 におけ るその局在 につ い て
カタユ ウ レイボヤの変態機構 に関す る研究
〃
東
郷
建
二枚貝卵 の多精拒否機構 に関す る研究
〃
徳
田
岳
高等 シロア リのセル ロース消化 に関す る研究
〃
道
羅
英
夫
ゾウ リムシ大核 内共生細菌 に関す る分子細胞生物学的研究
〃
安
東
知
子
〃
呉
分裂酵母の ホスフォリパ ーゼ Cを 介 した情報伝達系 に関す る研究
Dlタ ンパ ク質 の光化学系 Ⅱ複合体 へ の組 込 み機構 に関す る研究
単離葉緑体 へ の輸送実験系 を用 いた解析一
〃
宇津木
国
江
ンパ ク質 に結合 した単鎖 DNAの 立体構造解析
諸性質
酵母 Vmalプ ロ トザイ ムのプロテイ ンスプライシング反 応 の研究
in v itro系 の構築 と構造的要因 の解析 ―
―
鳥類 お よび爬 虫類 の生 殖腺刺激 ホルモ ン受容体 cDNAの 構造 とニ フ ト
リ胚 における黄体形成 ホルモ ン受容体 の発現
アフ リカツメガエル初期発生 における遺 伝子発現 の蛍光 ディファレンシ
ャル・ デ ィスプレイ法 による解析
―
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
孝
彦
出芽酵母 TOMlの 分子遺伝学的解析
片
山 光
徳
河
津
維
酒
井
佐
藤
糸状性 ラン藻のアデニ ル酸 シクラーゼ遺伝子 の単離 と構造解析
被子植物 の 発生過程 にお け る ゴル ジ体 の役割 に関 す るテ クノ ビ ッ ト
D10C蛍 光顕微鏡法 による解析
タバ コ葉肉 プ ロ トプラス トか ら単離 されたオーキシン誘導遺伝子 の転写
制御機構 の解析
膜 タ ンパ ク質 の リサイク リングによる小胞体局在化機構 の研究 ― ゴ
ル ジ体 における選 別装置 としての Rerlp一
滝
田
陽
藤
野
員 理
太
田 博
達
也
健
子
出芽酵母 の Ca2+ホ メオスタシス維持に関与す る一連の遺伝子群について
酵母 Cdk Pho85キ ナーゼの遺 伝生化学的研究
樹
東南 アジアおよび東アジアの古人類集団の DNA分 析
泳
マ ウス胚肢芽細胞 の生体 内および試験管内放射線誘発 アポ トーシス
王
地 質 学
玄
相
民
北西太平洋及 び北大西洋 における古生産力 の復元 のための地球化学的研究
〃
木
曽 太
郎
サメ類 の歯及 び鱗 の化学的性質 とその進化的意 味付 け
佐
野
司
洪水玄武岩 のマ グマ成因論 :イ ン ド・ デカン トラップを例 とした研究
池
原
実
有機 。同位体地球化学的解析 に基づ く後期更新世南大洋 の古海洋変動
小
野
重
明
沈み込み帯 における水の移動
川
本
英
子
岩塩 および方解石剪断帯の脆性か ら完全塑性 に至 る変形挙動 と新 しい断
層 モ デル
〃
〃
貴
〃
〃
〃
―-46-―
種
別
専
攻
論
申 請 者 名
文
題
目
佐 々木
猛
智
現生原始腹足類 (軟 体動物 :腹 足綱 )の 比較解音」
学・ 系統学的研究
〃
水
谷
哲
也
三 波川変成岩 におけるアルバ イ ト斑状変晶の組織形成 に関 す る研究
鉱 物 学
田
中
正
幸
金属伝導性 酸 化物 PdCo02お よび PtCo02の 単結晶育成 とその物性
〃
油
上
恵
子
原始的 エ コン ドライ トの系統的鉱物学的研究 と分化過程
中新 田 育
子
中部山岳 におけるハ イマ ツ帯 の維持機構 と成帯構造
課程博 士
地 質 学
〃
〃 〃 〃
地 理 学
平成 9年 4月 14日 付学位授与者 (4名 )
種
別
課程博士
〃
論文博士
〃
専
攻
物 理 学
大
津
秀
暁
化
千
住
孝
俊
学
楊電抒曇
化
学
ニ ノン
中
別
コマ ラ
山 博
地 球 惑星
物 理 学
石
冨
学
〃
論
文
題
目
建
継 続 と並 行 トラ ンザ ク シ ョン :並 行計 算 のた めの拡 張可能 な言語 機構
太
郎
ジェ ッ ト天体 SS433の X線 観 測
正
樹
大 気構 造 の太 陽定 数依 存性 :暴 走 限界 の決 定 と暴走 温室状 態 の 数値 計 算
圭
一
建
児
田
松
〃 〃
化
学 における電気化学不活性 な陽イオ ンプロモー ターの役
研究
罰 皇冨客冨量 :ヒ
発生 工 学 の手 法 を用 い た イ ン ター フェ ロ ンー γの生 理 機能 解析
重
〃
イ ン ドネ シア、 ジャフ島 で観測 された対流圏オ ゾンの気候学的研究
一
渡
物 理 学
ヒ ドリド還元 における面選択性 の理論的考察
陽
谷
〃
よび (p,p')準 弾性散乱 の反応機構 の研究
名
田
情 報 科学
目
者
川
論 文博 士
小
生物 化学
田 脇
課程博 士
明
題
平成 9年 5月 26日 付学位授与者 (6名 )
攻
専
(p,n)お
文
請
申
種
論
申 請 者 名
Si° 2及 び [PtM06]/Mgo触 媒 の キ ャ ラ
yノ
り 夢 び6ビ タ
襦
光 に よ り生 成 す るス ピン源 を基 に した 分 子 性 磁 性 体 の 開発 ― ポ リカ
ルベ ン と新 しい系 につ いて 一
ロ ーガン
本富士警察署・ 交通課
9月 のス ローガ ン
8月 の ス ロー ガ ン
シー トベル ト
あ りが とう
笑顔 でかわす良 いマナー
あなた を守 る 命綱
∼秋 の全 国交通安全運動∼
9/21日 ・・ → 9/30日
■■ ■ ■ ■
■■■■■
―-47-―
餃 :蝙凸巫辟靡趙
1鰹
券 本
%@赫
江`国
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