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ホット雌犬

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ホット雌犬
珊 瑚 集
お風呂あり〼
三日月の切つ先にあり淡路島
絵屏風をひらぐやアラビアンナイト
冬かもめ指原莉乃といふ女
仏手柑の指「ゲージュツはバクハツだ」
煮凝のきらんぷるんと朝ごはん
「石」と「右」「王子」と「玉子」冬ごもり
船に積む荷物どんどんクリスマス
毛皮着てセカイノオザワふはふはと
忘年へ向かふ高速エレベーター
初雪や息子が恋人連れてくる
雪見障子上げたり下げたりしてひとり
大理石のお風呂あり〼冬銀河
おーたえつこ
今年は、些細なことでピーピーオロオロ
するのをやめること。
って、毎年言っている気がするのは気の
せいかな?
だいじょうぶ
だいじょうぶ
いたいのいたいのとんでいけー
って。
それで、私から人にそう言ってあげられ
る、ちゃんとしたおばちゃん目指すこと。
って、これまた毎年言っている気がする。
とりあえず、
がんばるっ。
珊 瑚 集
まほろば線
母さんにほめられた日の冬青空
まほろば線赤いブーツとヘッドホン
軽やかな自転車彼の冬帽子
目印は軒いっぱいの掛大根
五本指ソックス百畳冬座敷
猫の背のひゅっと逆立つ冬日差し
逆回りする十二月のアトリウム
換気扇窓より元朝の光
淑気満つ開山堂の覗き窓
ほこり高き布袋のおなか年新た
松過ぎの猫一歩ずつ後退す
どこからか鼾響いて三日かな
笹村 惠美子
老齢化のすでに始まっている我が家の犬
たち。二か月前には二匹の雌犬の歯石取り
と抜歯。それ以来、毎晩の歯磨き生活が始
まった。
とは言っても、今までしてきてないのに、
いきなり歯磨きなんて、犬もびっくり大迷
惑。なんとか雌二匹は受け入れてはくれた
が、十四歳の長老の雄犬に至っては、もっ
て の 外 と い う 顔。( 彼 も 三 回 の 歯 石 取 り と
二 十 本 の 抜 歯 の 経 験 者 )。 雌 二 匹 も、 ガ ー
ゼで拭き取るだけの事なのに、毎度嫌な顔
をする。八歳の犬はまだ好意的だが、十歳
の母親犬は嫌々が露骨で、近々噛まれそう
な予感。飼い犬に手を噛まれるなんて、そ、
そ ん な あ ほ な・・( ま ま あ る 話 だ が・・)。
もうやめちゃおか、と思い始めている私
と、歯石取りに要した費用や、犬たちの歯
の健康を慮ると、やめるわけにはいかない
私。綺麗になるんだからね、と言いきかせ
つつまた磨く。うーん育て方間違ってたの
か な あ。 子 犬 の 時 か ら の 歯 磨 き 習 慣 必 要
だったよと、今つくづく後悔し始めている。
珊 瑚 集
また雨か
勝手にシンドバッド独唱柿紅葉
数珠玉を転がす猫の昼休み
冬に入る
限界集落丸ごと冬紅葉
扉絵のゴルゴ
親を始めた。
鈴木 みのり
ある日近所に住むと言うオジさんが仔猫
を 連 れ て 来 た。「 犬 が 二 匹 い る の で 困 り ま
す」の押し問答の末「元の溝の所へ返して
来るけど、そしたら死ぬけど良ろしか」…
可愛い顔をしていたので、里親を探して
やれば良いかと安易に考え預った。ケージ
の中へ砂を入れてやると喜んで砂は掘るの
獣 医 さ ん で 診 察 し て も ら う と、「 生 れ つ
き障害があり排泄の感覚が無い」とのこと。
だが、トイレができない。
煮凝や大阪弁の丙午
後後この猫は自分のケージの鍵を中から
自分で開けた。
靴下に三ケ所、後足と尻尾用の穴を開け
た猫のパンパース /
/ ニャンパース。
私は親を始めた。
は出せない。
自力で排泄できるだけ儲けものだが里子に
「育たへん(かも知れない)」と言われた。ま、
寅さんの褪せた背広や福寿草
カーナビで探す煙突雪女
風花や焦がしバターのケーキ切る
起き抜けにつけるストーブ猫が来る
また雨かポリフェノール摂る浮寝鳥
小春日や縁の日溜り猫溜り
ダンスダンスダンス天晴懸大根
13
珊 瑚 集
蓮枯れて
ゆで玉子つるんとむける文化の日
せんせいと呼ばれていたの冬銀河
ゆりかもめ一期一会のはずだった
ピノキオを飲み込んだままクジラ行く
おばあちゃん話しこんでる白菜と
七色の色えんぴつやクリスマス
ほっとこかホットカーペットのふたり
冬帽子うしろ姿に見覚えが
折り返し地点のバスや鴨の声
くしゅんくしゅんやって来るかな小白鳥
蓮枯れてもっと楽しいことがある
短日のあなたがいない誕生日
たかはし すなお
「はじめる」何を?そりゃ終活でしょう。
その日がいつ来るかわからないのに。その
時が来たら、あとは野となれ山となれだよ
ね。散々迷惑かけて生きて来たけど、死ん
だ後もよろしくお願いします。
でもでも、その時までは活き活きと暮ら
し た い。 そ こ で は じ め る 一 日 二 分 の ス ー
パーマンポーズ(胸を張って腰に手を当て
るあのポーズ)何故このポーズが良いのか。
それはテストステロンホルモン値が上がり、
やる気が湧いて自信がつく。同時にストレ
スを受けると増加するコルチゾールホルモ
ン値が下がり、イライラ感が減少し、気分
も 落 ち 着 く そ う だ。 名 づ け て ハ イ パ ワ ー
ポーズ。
みなさん私と一緒に、始めませんか。一
日二分のハイパワーポーズ。
投句欄
勾 玉 集
カ ガ ミ ヨ カ ガ ミ 嫁 が 君 が 見 て ゐ る
足 の 骨 ポ キ ン と 折 れ て 春 が 来 た
佐藤千重子
冬 の バ ラ ゆ っ く り ゆ っ く り ひ ら く
山 に 凸 凹 海 に 凸 凹 冬 が 来 た
井上曜子
冬 木 の 芽 ラ ク ダ が 鼻 を よ せ て く る
武智由紀子
こ ん な に も 子 ど も が い た か 雪 の 朝
日 曜 は 寒 夕 焼 け の 中 に い る
さ ざ ん か の 垣 根 の 家 に 回 覧 板
ト ル ソ ー の 腰 の く び れ や 冬 の 蠅
菜
漬
け
の
試
食
会
田邉好美
ゆ る ゆ る と ゆ る ゆ る 体 操 小 春 風
白
太田沙良
場
山 茶 花 の ほ ろ ほ ろ 暮 れ て い く わ た し
市
大 根 の 緑 ふ さ ふ さ 朝 ご は ん
冬 木 立 マ シ ュ マ ロ く ら い の 嘘 ひ と つ
錦
お 屋 敷 の 空 気 疲 れ て い る 冬 日
冬 林 檎 五 十 五 歳 の 死 は 挫 折
骨 上 げ の 刻 で す 雪 よ も っ と 降 れ
高 貴美子
塗 師 町 に お 降 り お か ら 二 十 円
勾 玉 集
勾玉集を読む はしもと風里 曜子
○ こんなにも子どもがいたか雪の朝 子どもは雪が大好き。日頃は家遊びをしている
子ども達もどんどん出てきますからね。
「こんなに
も」に曜子さんの弾んだおどろきが。
沙良
○ お屋敷の空気疲れている冬日 冬は窓を開け放つことも少なくて、空気がよど
んでいると感じることあります。広いお屋敷なら
尚更。空気が疲れていると捉えたところがいい。
塗師町にお降りおから二十円 貴美子
静かな景に唐突な「おから二十円」俳人の目は
見逃しませんでした。○にしたいくらい。
山に凸凹海に凸凹冬が来た 千重子
山も海も凸凹。春夏秋ではなく絶対冬の景。
「冬が来た」あっけらかんと持ってきたこの季語
も巧みに使われています。
トルソーの腰のくびれや冬の蠅 由紀子
思わず両手で触れたくなるようなくびれですよ
ね。羨ましいこと。冬の蠅も離れません。
錦市場白菜漬けの試食会 好美
この時期の白菜漬け、それも錦市場の、俄然食
べたくなりました。活気が伝わります。
ハレルヤを園児等歌う降誕祭 信子
たくさんのハレルヤコーラスを聴いて来ました
が、園児が歌うものは一度も聴いていません。幼
稚園のクリスマス祭ですか。大きな口をあけて元
気いっぱいのハレルヤが聞こえるよう。
冬至の日でっかい風呂に入りたい いろは
柚子をいっぱい浮かべて、うーん気持ちいいね。
かざり気のない「でっかい」で成功。
○ ヴェスヴィオの稜線至る冬の海
久仁子
ポンペイは人類にとって特別の場所ですよね。
その地を詠むのに使われた季語は「冬の空」と「冬
の海」このシンプルさが読み手にそれぞれの想像
をふくらませてくれます。冬の海は凪いでいまし
たか。
年新た大きな背なの父のこと 夏子
父 上 は 離 れ た と こ ろ に お 住 ま い で し ょ う か。
物 思 う 背 中、 物 言 う 背 中、 懐 か し い。 節 目 節 目
に思い出します。
湯上りの保湿クリーム雪催 和代
ああ幸せな時間だなあ。この幸せ感は真冬だか
らこそ。
美佐
○ 住み古りし家並にとどく初明り 「住み古りし家並」で「初明り」がより神聖に思
えます。静かな景は心を穏やかにしてくれます。
肩に手を置かるる気配夕桜 ひむれ
前句で穏やかになった心が何やらざわざわして
きましたよ。季語もざわざわを助長する「夕桜」
ですし、このあとの展開気になるなあ。
〈以下略〉
琥 珀 集
清清と
はしもと 風里
メトロノームカチカチ冬の空真青
重ね置く皿の白さや寒波くる
ペディキュアの赤塗りかさね避寒かな
赤い傘行く清清と枯木立
大寒のオムレツの黄とバターの黄
冬薔薇の紅よ散るのを忘れたか
再会のハグ亜麻色のショールごと
室咲きやただのピンクのかたまりで
短日を白く吹かるるバスタオル
モノクロームの絵に描き足さう寒の月
琥 珀 集
枯木星
笹村 恵美子
もしもから始める話冬銀河
凍て星や色鉛筆で措く手紙
冬満月ジェンガ一瞬にて崩る
温ぬくを届けに行くよ枯木星
月冴ゆる電車が駅に着くメロディー
自販機に人待つ明かり小夜時雨
近づけば点る電灯散紅葉
嘘少し紛れ込ませてみる聖夜
月凍てて生あたたかき犬の舌
オハナとは家族今晩しばれるよ
琥 珀 集
木のスプーン
辻 水音
初売や一斗缶から茶碗出て
売り物をころがしてあり懐手
回廊に予約の板木冬帽子
買初の三人分の木のスプーン
おきあがりこぼし並べて稼初
ありがたや冷え冷え布袋さんの臍
ごはごはの道行衣鏡割り
初すずめ祈願の鈴が風に鳴る
胴ゆらし猫がくるりと恵方道
のら猫と遊びたりない初吟行
琥 珀 集
サンドイッチ
おーたえつこ
百科事典でんと捨てられ冬晴るる
冬日差しほうつと浴びて普通の日
昼月へ弾んで揺れて福袋
七草なづなサンドイツチの色とりどり
サンドイッチあちこちどつち冬ごもり
喉元のダイヤモンドや冬深む
絨毯に蹴つ躓いてジャンプ!
葉牡丹のほんの少うし不仕合はせ
雪女わすれちやつていいのよぜんぶ
北風と闘ふ 大丈夫か私
琥 珀 集
まだ二本
たかはし すなお
追いつけばすぐ滑りだすスキーかな
ローズピンクのスキーウェアちょと猫背
昼下がりカーブミラーに雪の山
彩雲のぽあと広がる冬の暮
やすし似の若き店長大吹雪
外は雪カレーうどんの汁が飛ぶ
樹の雪を棒で突いて廻る役
雪原を男と女掘り返す
クマのよな人は親切息白し
冬りんご囓る前歯はまだ二本
琥 珀 集
裸 木
火箱 ひろ
山眠る糠床眠る猫眠る
綿虫や幸いにして忘れんぼ
私からわたしになってゆく炬燵
飛ぶことに鳥も飽きます冬の湖
浮寝鳥くうと甘えた声漏らし
裸木め光りはじめているところ
裸木に午前の光午後の風
僕たちのシンボルにする六つの花
ダウンコートもこもこ笑っている背中
さてとこの二股人参どこから切る
Fly UP