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国や行政が所有する地理空間情報の利用の状況について(一般財団法人

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国や行政が所有する地理空間情報の利用の状況について(一般財団法人
資料1-1
第23回電子行政タスクフォース
配布資料
国や行政が所有する
地理空間情報の利用の状況について
平 成 2 4 年 4 月 2 5 日
gコンテンツ流通推進協議会
事
務
局
坂
下
哲
也
s a k as h ita - te t s u ya @ j ipd e c . o r.j p
gコンテンツ流通推進協議会(http://www.g-contents.jp/)とは
 平成15年3月設立。会員数42社(平成24年4月現在)




会長:柴崎亮介東京大学教授
副会長:福井弘道中部大学教授、寺前秀一加賀市長
幹事会員:NTTドコモ、KDDI、ゼンリン
会員はSIベンダー、測量会社、地図会社、通信キャリア、コンテンツプロバイダー、旅行会社、
カーナビなど多岐に渡る。
 地理空間情報サービス事業者を中心にした唯一の団体である。
 活動目的
時空間情報を付不したコンテンツ(gコンテンツ)の新たなビジネスモデルの創出と流通促進。ユー
ザー視点での時空間関係施策への提言など
 活動状況
 委員会活動(シームレス測位、g-Life、LBCS-SVG)
 WG活動
 普及啓蒙活動
• gコンテンツ・ワールドの開催
(W3C、ジオメディアサミットなどと協働)
• 出版事業など
 平成23年2月
『官民連携による公共データの戦略的利活用に関する提言』を発表
(視点)
 地理空間情報を利用したサービスの高度化にあたっては、その網羅性と鮮度の
観点から、行政機関などが所有する情報の利用が有用である。
 特に、東日本災害対応を通じて、これらの情報が利用できる環境を整えることは
喫緊の課題であると共に、行政情報は営利・非営利を問わずに、積極的に利活用し、
価値を生み出して行くべきである。
1
地理空間情報を利用したサービスと情報
店舗の情報や、駐車場の情報など、事業者は利用者のニーズに応じて、様々な情報を提供しています。そ
の情報を提供するために、リソースになる情報を集める必要があります。従来から、この集める部分は、
現地調査など労働集約的な要素が高く、事業者からは効率化を求める声が上がっていました。
コンテンツ化
商品化
サービス化
コンテンツ
リソース
加工
(標準的なフォーマットへの変換など)
データの購入
「店舗ができた
(つぶれた)」
「病院ができた
(移転した)」
など
現地調査
「道路ができた」
「交差点ができた」
「駅ができた」
「バス停ができた」
「橋がかかった」など
網羅性の確保、鮮度の担保が重要
「競争領域として、集約する部分」と「協
調領域として、利用する部分」があるので
はないか?
(例)プレイスポット・・・・・・・・競争領域
交差点名称、橋がかかった・・・協調領域
2
国や行政が所有する地図の利用の課題
事業者が国土地理院などが所有する地図情報を利用しようとした場合に、承認を取るための申請の煩雑さ
や審査時間の長さなど以前から改善を求める声がありました。
3
震災とデータ
阪神淡路大震災と東日本大震災において、情報の利活用の点で、地理空間情報の観点からみると、前者の
時期は「地図」が問題になりましたが、後者の場合は「コンテンツ」が問題になりました。
項目
発生した問題
対策
阪神淡路大震災
・被災状況などを視覚化するための地図がなく、手書
きの地図などが作成された。
・関係省庁の密接な連携の下
にGISの効率的な整備及びそ
の相互利用を促進するため、
同年9月、内閣に省庁局長ク
ラスの「地理情報システム
(GIS)関係省庁連絡会議」
を設置。
・1996年12月に「国土空間
データ基盤の整備及びGISの
普及に関する長期計画」を発
表。国土空間データ基盤の整
備、地理情報の規格化・標準
化、行政サービスの電子化に
乗り出し、政府によるGISの
利用を開始。
東日本大震災
・地図は、国・民間などの提供により、問題は発生し
なかった。しかし、コンテンツが機械判読できる状態
になっておらず(PDFなど)、データ化の作業に時
間を要した。(避難所の地図掲載に72時間など)
二次利用を促進す
るデータ戦略が必
要ではないか?
4
会員のボランティア活動を通じて出た課題
東日本大震災の際に、可視化のために国や、行政が所有する公共地図など地理空間情報を利用したいというニーズが顕在化
しましたが、課題もありました。
■東日本大震災で起きたこと
■ボランティア活動の例
放射線量などを公開
出典:http://mmm0311.cloudapp.net/
会員の活動状況
http://www.gcontents.jp/filedown.php?item1=2&item2=6&page=380&type=1&mode=disp
事例
起きたこと
取られた対応
被災状況の確認のために航空
写真を利用したい(保険事業
者)
●従来公開しておらず、規約などがないため、断られた。
●自治体内が混乱しており、断念した。
○ボランティアの事業者が航空写真を提
供(無いところは、空撮を実施)して対
応
○衛星画像を利用して対応など
避難所データを地図を使って
知らせたい(サービス事業
者)
●PDFや、Jpegなどリストの形式でしか提供されなかった。 ○住所などを地図帳などで調べて、手作
●地域における呼び名(通称)などもあり、住所が丌明
業で緯度・経度を入力した
だった。
○住民にヒヤリングして入力したなど
災害時要支援者情報を利用し
たい(サービス事業者)
●行政機関個人情報保護法において、福祉部門の個人情報
は、防災部門で使えないという事で、断られた。
○地域住民(被災者)にヒヤリングして
対応など
5
バラバラな利用規約(航空写真の利用のケース)
国や自治体から情報が提供されていますが、「商用利用の御相談に応じます」、「個別に御相談下さい」、記載無しなど、利
用規約がバラバラです。また、提供される形式も、統一されていないので、利用するために大変手間(マッシュアップできな
いなど)がかかっています。
■航空写真の利用規約の例( 参考URL:http://airphoto.gis.go.jp/aplis/Riyoukyodaku.jsp; 100を超える行政機関の航空写真サ
イトが集められているが、利用規約はいずれもばらばら。 )
提供サービス(一部)
規約抜粋
国土変遷アーカイブ:空中写真閲覧サービス
「国土変遷アーカイブ:空中写真閲覧サービス」にて公開された空中写真デジ
タル画像は、閲覧以外の目的で使用することはできません。
空中写真閲覧サービス
利用の制限
閲覧以外の目的で空中写真画像を利用する場合は、下記へ問合せてください。
県域統合型GISポータル(複数事例あり)
お問い合わせは、各市町村窓口に連絡して下さい。
土砂災害情報マップ(複数事例あり)
(記載無し)
航空写真検索システム(複数事例あり)
営利目的に使用・複写・加工・配布すること及びこれらに類する行為を禁止し
ます。
【参考】
欧米では、国や公共機関のデータについて、
①オープンライセンスであること。
②データフォーマットが標準形式で統一
されていること。
③利用目的は自由であること。(但し、
それを利用した場合の責任は、利用者が
負うことも明記)
など統一されており、利用方法が判りやすく、
簡便になっています。(参考資料参照)
(事例)
テラサーバー
(http://www.terraserver.com/)
・米国、アラスカの地形図、
モノクロ航空写真、
カラー航空写真(解像度:
0.25m)などが二次利用可能な
状態で公開されている。
6
公共地図等を利用しようとした場合の事例
gコンテンツ流通推進協議会のヒヤリングで、これまで公共地図を利用しようとした場合に、課題になった点をヒヤリング
しました。
■公開されていた情報の利用に関する事例(一部)
事例
何が問題になったか
公共機関が所有する自然環境データベースを使って、動物
の分布などの情報提供を行うサービスを実施しようと許諾
申請をしたが断られた。(サービス事業者、2002発生)
●所有されていた自然環境データベースのデータの一部が、複数の公共
機関のデータであり、そこへ許諾を取ることが難しい、との判断があっ
た。
●地図は、その公共機関が所属する自治体のものであり、商用利用は認
められないという判断であった。
土地販売を行う際に、国や行政が公開しているボーリング
情報を利用し、その土地の性質等を分析しようと、その利
用を要請したが断られた。(丌動産事業者、2007発生)
●商用利用と判断され、商用利用は認められていなかった。
●その情報を利用、その資産(この場合は土地)の価値に影響が出た場
合に、責任が負えない、との説明があった。
公共地図を使ってサービスを実施しようとしたが、申請・
許諾の煩雑さから断念した。(サービス事業者、2006年
他、複数発生)
●審査に2週間以上かかる。(当時)
●媒体ごと(Web、書籍など)許諾を取る必要がある。
●申請を忘れると罰金が科される、他
配達の際に、運転手に注意を促すために、交通事敀多発地
点情報や、スクールゾーンの情報の利用を求めたが、断ら
れた。(物流事業者、2009年)
●デジタルデータになっていなかった。
●提供された情報を使って、事敀などが起きた時に、責任が持てない。
●提供する際のルールがない。
■データ公開を求めた事例(一部)
事例
何が問題になっているか
地震の揺れによる被害シュミレーションを行うため
に、ボーリング情報を利用したい(建築事業者、
2011)
●網羅性確保のために、国や自治体など多くの機関の情報を利用したいが、そ
れぞれで利用規約や、手続きが異なっている。
7
制限される商用利用
例えば、都市再生街区基本調査(都市部の地籍調査を推進するための基礎的データを整備したもの)の調査結果が、国土調査課よりイン
ターネットで無償公開されています(http://gaikuchosa.mlit.go.jp/gaiku/)。道路台帳等で用いられる地番を、座標変換するのに有効な情
報であるが、その利用については、制限があります。
利用の制限を示す規約例
◎利用の制限について(ホームページより抜粋)
 本サイトで提供している情報を加工する行為、著作物を作成する行為及び営利目的で使用する行為を原則、禁じます。
 本サイトで提供している情報について、全ての法律、政令、省令及び条例等の法規に違反する目的・手段・方法で利用することを一切禁じ
ます。また、他人の権利を侵害する目的・手段・方法での利用、公序良俗に反するような利用についても一切禁じます。
 本サイトから徔た情報を各種証明等の目的に使用することはできません。
■都市再生街区基本調査のデータを商用利用することで、サービスの高度化が期待できます。
■CSVでダウンロードしたイメージ
(市町村単位で指定可能)
これまで地番の情
報を手作業でデー
タ化していた部分
が効率化
機械判読な形式、かつ、低コストで取徔
新たなサービスの創出
8
産業界からの声(サービス利用)
当協会が事務局を務める「gコンテンツ流通推進協議会」は、2月『官民連携による公共データの戦略的利活
用に関する提言』を発表しました。この提言では、「行政情報は営利・非営利を問わず、積極的に利用し、
新たな価値を生み出していくべき」であること、「機械判読可能であることの原則」の明示や、「個人情報や
企業情報の活用、データの標準化、データの対価の考え方などを指針として整理」することを求めています。
利用可能にして
欲しい情報例
現状
利用により期待される
効果
飲食店の開業・廃業
開店前に保健所に「営業許可申請」が提出され、工事の
際に消防署に「防火対象物使用届」、開店時には個人事
業主の場合は「個人事業の開廃業等の届出書」、企業
の場合は「給不支払事務所等の開設届出書」が税務署
に提出される等
・店舗の開店、廃店のリア
ルタイムな反映
・地域広告配信の実現 他
路外駐車場の設置
一般公共の用に供する駐車場(丌特定多数の人が利用
できる駐車場)について、設置届や管理規定届を自治
体や警察署等にする(なお、変更、休止、廃止の場合
も同様)等
・車両の進行方向に応じた
駐車場案内 他
道路工事
道路工事(埋設管等の工事を含む)により、道路が片
側通行又は通行止めとなるなど、消防隊の通行又は消
火活動の支障となるような場合、道路管理者(又は工
事請負者)によって、「道路工事届出書」が消防署に
提出される等
・渋滞緩和の実現 他
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【事例】CO2削減と円滑な移動の確保
自動車だけでなく、自転車など生活圏での円滑な移動を支援するサービスの萌芽がみられることから、自治体や政府と連携
し、情報の民間利用を促し、混雑回避や、CO2削減などを目指すことができるのではないでしょうか。
自治体の効果(移動対策、環境対策)
・道路混雑の回避
・違法駐車(駐輪)の改善
・CO2削減
・迅速な都市計画(駐輪場設置
など)
・効果的な緑化対策 など
政府情報
民間情報
道路情報
駐車場空き情報
民間情報
自治体情報
プローブ情報
・駐車場の売上増
・駐車場(駐輪場)予約サービ
スの登場
・高度なナビゲーションサービ
ス(コンテンツ配信、自転車ナ
ビなど)の促進、など
道路台帳
工事情報
マッシュ
アップ
駐車場情報
民間の効果
駐輪場情報
都市計画図
ソーシャル情報
ユーザ情報
つぶやき、投稿写真等
自位置
波及効果
・これまでWEB発信してい
なかった地域店舗情報や、
イベント情報の発信
・自転車や自動車のシェア
ビジネスの促進
→ 来訪者、居住者増
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提言の概要
公共地図等の利用にあたって、利用規約が無く判断できないケースや、データそのものがデジタル化されていないケースな
どが様々な課題があります。国や行政が所有する情報を利用することで、サービスの高度化などに寄不することは明らかな
ので、データのカタログ化や、平準的なルールやデータ形式の標準化、品質評価の仕方など検討が必要だと考えています。
官民連携による公共データの戦略的利活用に関する提言(平成24年2月27日
gコンテンツ流通推進協議会)
視点
概要
戦略性
行政情報は営利・非営利を問わず、積極的に利用し、新たな価値を生み出していくべきである、特に、
その価値を最大化するための戦略を以て実施されるべきである。
迅速性
まず、現状のウェブの情報提供において、機械判読可能であることの原則を示し、個々のデータは元
よりサイト全体も機械判読できるような仕組みとすることや、それに即した規約等の改定が必要であ
る。
そして、国自身が率先してこうした行政情報の利活用を行い、自治体や関係公共機関と協力しつつ、
推進されるべきである。また、その実施にあたっては、個人情報や企業情報の活用、データの標準化、
データの対価の考え方などを指針として整理することも必要である。
柔軟性
行政情報利活用促進のために著作権処理について明確にする必要がある。パブリックドメインとして
利活用を促すか、または再配布やリミックスなどを考慮した著作権などを検討した上で、標準的な利
用条件の下で、データ利用者が容易に判断できる配慮が必要である。
具体化に向けたアクションアイテムの提案
(1)データ形式およびその表現方法の標準化
または指針・ガイドラインの作成
(2)データ利用条件の明確化、および標準化
(3)データの提供元責任および利用者責任の明記
(4)データ更新条件や修正条件の明確化
W3C( World Wide Web Consortium )で
は、2011年から「Government Linked Data
Working Group」が設置され、2013年4月を
目標に、データ品質のランク付けや、メタ
データの標準化が開始されていますので、
このような動きにも注目する必要がある
でしょう。
参考URL: http://www.g-contents.jp/sub.php?item1=4&item2=10&page=410&type=1&mode=disp
11
官民連携による公共データの利用とサービスの高度化
行政情報は営利・非営利を問わず、積極的に利用し、新たな価値(サービス、効果、産業など)を生み出していくことが必要です。その
ためには、行政機関・公共関係機関・民間企業と連携し、 個人情報や企業情報の活用、データの標準化、データの対価の考え方などを
指針として整理すると共に、具体的なビジネスケースを創出することが必要ではないかと考えています。
公共団体
自治体
集積情報など
届出情報など
◎公開できるデータのカタログ化
◎ データ形式およびその表現方法の
標準化やツール作成、指針の策定
◎利用条件(著作権、個人情報の扱
いなど)の明確化 など
機械判読可能な形での公開
民間事業者
ソーシャル
による情報
の更新など
事業者情報との融合
◎データ融合による
付加価値の定性的・
定量的評価
◎利用条件の検証
など
サービス利用(高度化、創出、融合)
車両の進行方向に
合わせた駐輪場誘導
狭域空間(屋内外)
の商業利用
非常時の情報提供
◎ビジネス化の検証
◎ビジネスの継続実
施
など
12
ありがとうございました。
gコンテンツ流通推進協議会 事務局
(一般財団法人日本情報経済社会推進協会
電子情報利活用推進部内)
e-mail: [email protected]
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