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学習メモ
テレビ学習メモ
地学基礎
監修講師:樋口 聡
第 3 編 地 球
第 33 回
風がつくる世界の気象
今回学ぶこと
陸の空気は乾燥し、海の空気は湿っています。赤道に近い空気は暖かく、極付
近には冷たい空気があります。こうした空気の集まりはいくつもあり、それぞれ
を気団といいます。晴れや雨、暑い日や寒い日といった日々の天気は、この気団
の配置にともなう空気の動き、すなわち風によって決まります。今回は日本周辺
の気団を中心に話を進め、どのように天気が決まるかについて学習しましょう。
陸と海の気団
地球には大陸と海洋がある。大陸は熱しやすく、
洋は暖かくなり、大陸から海洋に向かって風が吹く。
▼
冷めやすい。海洋は暖まりにくく、冷めにくい。海
これが冬、日本列島に吹きつける大陸からの冷たい
岸付近では、昼間は陸が海よりも暖まり上昇流が発
北風の正体である。一方で夏は、太平洋にある小笠
生し、海から陸へ風が吹いてくる。逆に夜間は陸が
原気団が大きくなる。日本列島はこの気団に覆われ、
冷えるため海の方が暖かく、陸から海へ風が吹く。
暖かく湿った南よりの風が吹く。
このように大陸と海洋の温度差によって空気の動
スケールを大きくすると、大陸と海洋の間でも同じ
き、すなわち風が発生する。同じようなことは、北
ように風が吹いている。
日本付近を例にすると、冬の大陸は冷え込むため、
非常に冷たいシベリア気団ができる。相対的に太平
アメリカ大陸と大西洋やオーストラリア大陸と太平
洋の間でも起きている。
モンスーン
季節的に、とくに冬と夏で風向が大きく変わる風
に吹く風もモンスーンの 1 つである。日本には梅雨
をモンスーン(季節風)という。冬の大陸から日本
がある。梅雨の終わりごろの大雨はアジアモンスー
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高校講座・学習メモ
地学基礎
風がつくる世界の気象
でくると、そのころにちょうど日本付近にある小笠
ンという季節風の影響を強く受けている。
このアジアモンスーンは、遠くインド洋から吹く
原気団とオホーツク海気団との間に細長く入ってく
風である。夏、ユーラシア大陸は暖まり、赤道をは
る。この暖かく湿った細長い空気の流れが舌のよう
さんでその南にあるインド洋との間で温度差ができ
な形に見えることから「湿舌」と呼ばれる。
る。するとインド洋からユーラシア大陸に向かう風
このようにして小笠原高気圧とオホーツク海高気
が生まれる。この風はヒマラヤ山脈があるために北
圧の間にできた梅雨前線に、暖かく湿った湿舌が梅
へは進めず東に向きを変え、東アジアにまで到達す
雨の終わりごろに伸びてくることで、大量の雲をつ
る。この風が大量の水分を含んだ暖かい空気を東ア
くり、大雨が降るのである。
ジアに運んでいるわけである。これが日本の周辺ま
台風・ハリケーン
台風は南の海で生まれた熱帯低気圧である。南の
たがって台風が通過するときの風向の変化は、台風
海の空気は海水温が高いため暖かく、水蒸気をたっ
がその地点の西側を通過するか、東側を通過するか
ぷりと含んでいる。この空気が上昇して雲をつくり、
で変わる。
台風は概ね小笠原高気圧の縁に沿って進む。一般
渦を巻き発達すると台風となる。
統計的に台風は、海面水温が 26 ~ 27℃以上の海
的に低緯度では北西に、その後北東に進路を変える。
▼
域で発生し、それ以下の水温の海域ではほとんど発
小笠原高気圧の張り出す 7 月ごろが最も西寄りの進
生しない。また、赤道をはさむ北緯 5 度~南緯 5 度
路をとり、10 月ごろにかけて徐々に東寄りの進路
くらいの間では渦が発達せず、台風は発生しない。
をとる。台風が本州に向かい北上すると、上空の偏
北半球の台風は、気象衛星画像を見ると、反時計回
西風の影響を受けるため速度を上げ北東に進む。こ
りに渦を巻きながら移動していることがわかる。し
のように台風は大きな風の流れに乗って移動する。
学習の
まとめ
陸と海では昼と夜で、大陸と海洋では季節で温度差ができ空気が動く、すなわち
風が発生する。温度や水蒸気量の質が同じような空気の集まりを気団といい、お
よそ1000km以上の広い範囲で存在する。
気団が季節ごとに大きくなったり、小さくなったりすることで風の向きが変わり、
気象が変化する。季節によって風向が変わる風をモンスーン(季節風)という。
台風・ハリケーン・サイクロンは、暖かい海で発生した熱帯低気圧が大きくなっ
たものである。その進路は高気圧や偏西風といった大きなスケールの大気の流れ
に乗って移動する。台風は小笠原高気圧の縁に沿って進み、偏西風に乗ると速度
を上げ北東に進む。
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