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山の図書館
2016年8月25日
九州登山情報センター
山の図書館
第54号
ニュース
国民の祝日
祝 「山の日」
8月11日(木・祝)には、福岡県下の三か所、
風師山(北九州)、英彦山(筑豊)、宝満山(福
岡)で「山の日」を記念する登山大会が開
かれました。山岳団体が中心になって呼び
かけ、準備を進めてきたもの。宝満山では、
「史跡めぐり」などの企画もあり、終日、大
勢の登山者でにぎわいました。
「山の日」プレ・イベント
夏山フェスタ…6月25,26日
ン
レ・イベ
プ
日
山の
ト
6月25,26
日
福岡タワー
参て
加開
者催
がさ
あれ
り、
ま延
しべ
た4
。0
0
0
人
の
宝満山頂の賑わい (宝満山弘有の会・提供)
2015年度の足どり
が紹介された
福
岡
タ
ワ
ー
ホ
ー
ル
を
会
場
に
し
・2015年6月22~23日 宮城/福岡交流登山
鎮魂/復興祈願の集い(九重)…竹田市の
「映像 2015 九重の夏」に収録され、『夏山
フェスタ』で上映されました。
……①
・7月11~13日 山岳文献資料探査会 …
『のぼろ』2015 秋号(№10)に紹介 …②
・4月2日 ハピーハイカーズ 「お花見マー
ケット」・・・『のぼろ』夏号に紹介
…③
・日本山岳文化学会 論集 第13号
(2016年2月)に「山の図書館の蔵書と
10周年」が収載されました。
……④
③
目
次
山の文化祭2 / 第12回通常総会を終えて
巻き起れ 登山を発展させる体制の論議
山の画家 吉田 博 / ENSA情報センター
事故防止の視点 滝谷出合増水事故
書棚再発見
山の図書館日記
広告 アルパインツァー・編集後記
ページ
2~3
②
4
5
6
7
8
④
①
Page 2
山の図書館ニュース
山の文化祭Ⅱ
報告
講演光景と講師:森弘子氏(左)
山の文化祭Ⅱ アンケート
① 書籍・資料が置いてあるテーブルの近く
に2~3個椅子があると、足に負担なく拝読
できると思います。
Kさん(50才・男)
②宝満山に益々興味がわく講演であった。
Оさん(76才・男)
③ 峰入りを歩き、今回いろんな個所の映像
を見て、意味を実感することが出来まし
た。
Kさん(62才・男)
④ 峰入りの映像が感動的でした。仲間の
人達と5日間かけて歩きました。新しい山
登りの気持がわいてきます。Yさん(男)
⑤ 峰入りのDVDが良かった。Yさん(女)
⑥ 2016年1~4月に宝満山~英彦山の峰入
山
平の
岡絵
浩を
氏語
る
る国
大東
矢半
統島
士を
氏語
太宰府館 3F まほろばホール
会場 太宰府市宰府3-2-3 ℡ 092-9188700
宝
満山
山の
絵
登画
山・
資写
料真
展展
示
・
国 民の祝日「山の日」施行を
目前にして、登山の文化を考えようという趣
旨で「山の図書館」の所蔵資料を中心に展
示、映画の上映を行った。併せて地元の山・
宝満山にかかわる文化的な認識を深めるた
め講演会と映像上映した。
また平岡浩氏(画家)、山弘孝氏(写真家)の
ご協力を得て山の絵画、写真作品の展示し、
山と文化の接点を見る機会とした。
開催に当たっては、「宝満山弘有の会」と
の共催とし、太宰府市の後援を受け、同市内
の中学、高校、大学校に案内をして一般の登
山愛好者に加え、青少年にも鑑賞して欲しい
という取り組みをした。
講演 … 森弘子氏の講演「恵みの山宝満
山」では太宰府の歴史と共に山中で展開さ
れた修験道や古代の国家的祭祀の事績を受
け、国の史跡指定が報告された。また十六詣
りや水分信仰、近代の登山者の姿など地域と
密 着 し て 親 し げ な 宝 満 山 が 紹 介 さ れ た。
「十六詣り」の16歳になる女性は、久留米絣
の着物で宝満山に登り、山の精気をそのまま
に、田植えの際に着用して早乙女を務める。
大峰入り… 会場内に展示した「大峰入り」
(宝満山~英彦山)の踏査図は、同じような山
行をした人たちの関心を呼び、熱い討論を交
わす光景が見られた。講演を聞いた後の映
画「ザ ・ 修 験 道」は 、 あ ら た め て“厳 し い
行”の奥深さを共感する機会になった。
下図を参照ください
※イベント①②
6月18日(土)14~17時
参加費は共通
イベン
ト①
※14:00~15:00
映画
MOUNTAIN OF ORMS (米)
(参加費 500円 高校生以下無料)
6月19日 (日)10~17時
講演会
恵みの山宝満山 森 弘子氏
(参加費 500円 高校生以下無料)
・13:00~ ザ・修験道
DVD上映 ・14;00~ 映画 宝満山
・15;30~ 国東半島 心のふる里
主催
イベン
ト②
※11:00~12:00
・九州登山情報センター “山の図書館”
・宝満山 弘有の会
太宰府市 日本山岳会福岡支部
後援 福岡県山岳連盟 福岡県勤労者山岳連盟
り古道を歩いたので、峰入りの映像を大変
興味深く拝見しました。今回のイベントを
企画して頂いたことに大変感謝致します。
Iさん(66才・男)
⑦ 宝満山の歴史をスライドを混じえて森
先生の話で中身を聞けて本当に良かった。
峰入りの行程を見て、いかに宝満山~英彦
山が修験道の荒行か少し分ってきました
。 Mさん(74才・男)
⑧今年、私共も宝満山から英彦山までの峰
入りを石橋住職の助言を戴き,6回で歩くこ
とができました。その時の折々を思い出
し、大変感慨深く「ザ・修験道」を見させ頂
きました。大変良い企画で、修験道の荒行
か少し分ってきました。Iさん(58才・男)
第54号
Page 3
第12回
通常総会
を終えて
日時:6月18日(土)
会場:太宰府館
まほろばホール
「山の文化祭Ⅱ」を直後に控えて、慌ただ
しい雰囲気のなかで議事進行を迫られた。
☆ 活動報告(右表) 7月、山岳文献資料探査
会で「山の図書館」が視察対象となり、注目さ
れる施設となっていることが報告された。
今年4月、ハッピーハイカーズ立上げイベ
ント「お花見マーケット」が開催され、山の図
書館に若者達が多数参加し交流が進んだ。
☆ 蔵書の保存について、有数の蔵書(社会的
な価値評価)であり、永続的な保存策を検討
する必要があるという提案があった。
☆ 会計報告…会員数の停滞から厳しい状況
で、改善策が迫られている。
収入の構成
近年は会員の更新率が低下
しているが、昨年度の入会者
は13名を数えた。今年は「山
の日」で登山環境の変化を見
通し、更新の向上と入会者を
迎える取組みをしたい。
2016年度 後半の活動
子どもの登山支援
協力のお願い
今年後半の計画のうち,
熊本地震による影響などから,安全性の確
保のため一部計画に変更が生じていま
す。同行支援のスタッフを募集します。
協力いただける方はご連絡ください。
11月4日(金) 保育園児の登山…従来、久住
山登山を行ってきたが,今年は古処山(福
岡)に変更。(夜須高原少年自然の家・泊)
レインボーハイク 計画
月日 山域 目的 集合場所 時間 参加費
9月15日(水) 鞍岳~ツームシ山 (熊本)
秋の草花 天神日銀横 7:30 7,500円
10月26日(水) 三俣山 (九重) 紅葉
天神日銀横 7:30
7,000円
11月9日(水) 経ケ岳(長崎) 紅葉
天神日銀横 7:30
7,000円
12月8日(木) 八方ケ岳(熊本) 霧氷
天神日銀横 7:30
7,000円
2015年度の活動報告
2015年 6月22~23日 宮城/福岡交流登山
鎮魂/復興祈願の集い(九重)
6月27日 第11回 通常総会 記念講演
私のヒマラヤ巡礼(大矢統士氏 )
7月11~13日 山岳文献資料探査会
(日本山岳文化学会)…山の図書館/九重/長湯
2016年 1月31日 岳人の集い
映画180°SOUTH 主催日本山岳会福岡支部
4月2日 ハピーハイカーズ お花見マー
ケット於・山の図書館
山の図書館ニュース 発行 50号~53号
編集製作支援 県連通信 12回
子どもの登山支援
7月31日 学童クラブ 沢登り(金山 滝川谷)
10月10日 小学校宝満山 生徒60名
10月30日 保育園児の久住山登山 園児147名
アルピニズム・セミナー
2月19日、20日 ロッククライミング講習
3月24日、25日 確保技術/日本の岩場
4月9日 野北岩場 登攀練習実地
※ 過去の通常総会の回数表記に混乱がある。
2004年の創立総会、翌年を第1回とし今回で
第12回となり、今後は継承する。
セルフレス
キュー講習会
事故が起ってか
ら考えるのでは十
分な対処ができま
せん。事前に様々
な事態を想定し、
対策を検討するの
が登山計画です。
また登山中に安全
対策をとるのが登
山技術です。
いま習得したい基礎技術の理論と実技、そ
れと共に身体に優しい登山を講習します。
机上講習 会場:山の図書館
9月17日(土)
14:00~16:00
9月18日(日)
※机上講習は必須
登山と実習 場所:猫谷川新道~宝満山
9月19日(月・祝)
9:00 集合
9月25日(日)
山の図書館
※問合せ、申込先…山の図書館
Page 4
山の図書館ニュース
巻き起れ ‼
“登山を発展させる”体制の論議
「山の日」施行に際して
遭難対策の歩み
現在の広範な登山者を支えている仕組みと
いえば遭難事故に際して捜索、救助態勢の整
備が挙げられる.1960年代、登山ブームと
言われた頃、遭難事故も多発した。捜索、救
助費用が多額だったため、遭難すれば「家が
潰れる」と言われた。
これに対し登山者は遭難対策基金=共済
制度(労山の場合)を作り、万一の場合に備え
た。この制度によって生活破綻の恐れから
解放されることになり各方面に拡大した。
また、1980年代に年末年始の期間、ヘリコ
プターが待機して北アルプス等での山岳救
助に備える態勢がとられた。これは国会で
の質問が実を結んだもの。
暫定の措置だったが、それが定着し、現在
では防災ヘリの配置等により、迅速な救助活
動が行われるようになった。このように登
山者の真摯な要求は確実に前進している。
事故防止の取組みを
遭難事故は防止すべき課題という視点は、
登山者の討論で確立されてきた。なぜなら、
登山は人生を豊かにするためにこそ貢献す
るものだから。
日本では山岳事故が増加し続けているが、
ドイツ、イギリス等では教育活動の充実で事
今年7月、NHKTV番組・
日曜美術館『木版画 未踏
吉田 博
の頂へ 吉田博の挑戦』が
1876~1950年 放映された。 * * * * *
山の画家
吉田博は福岡出身(久留米生れ)、水彩画か
ら出発し油絵、版画へと広がる。
1896年(明29)、20歳で丸山晩霞と信州、奥
飛騨を跋渉する写生旅行
は、風景画家、山岳人・吉
田博の原点といわれる。
毎年二ヶ月は北アルプス
などの山に登り描いた。
山岳風景ばかりではな
く、登山や幕営光景を多
く描き、登山者としての
視線が濃い。
鷲羽池野営(版画)
故が減少した報告がある。厳しい自然条件
に対峙する登山に対して、個人の経験では限
界があることを示すのが現状であろう。
事故を防止するには、登山の伝統と科学的
な知見を備えた教育活動が求められてい
る。そこに登山者の知恵と力量を結集する
必要があるのではないだろうか。
“山の図書館”に集積された本や資料は、
多くの登山者の体験と登山観を物語り、登山
を志す人たちの目を開くだろう。登山者は
学び、登り、技術を習得し自己変革を積み、新
しい視野を広げてきた。そんな〈学ぶ〉登
山者を支援する登山資産を用意している。
そう“山の図書館”では、経験豊富な登山
者が、若者たちに向って厳しい登山の喜びを
にこやかに伝える場面を描いている。多彩
な活動に活用されてこそ、輝く拠点となる。
資料・Y
氏の提案
山岳会館 創設を 抜粋(再掲)
先ず、書物や見聞による「山へ
の憧れ」があり、次いで経験者による「登
山の素晴らしさ」の語りが必要だ。知識の
普及は急務。遭難は登山の中では零に出来
ない。①日山協と労山が合流して、全国
7ヶ所に「山岳会館」を創設、図書の整備と
初級講座の開設。②山岳ガイドを国家試験
とし、高校山岳部へコーチ派遣条件を作り
③共済制度を確立し、コンビニと提携した
「ワンコイン」の導入。④若者に過剰な手助
けは無用だが助成は必要。それがアルパイ
ン・スタイルを継続させる。
同行したのは上条嘉門次、小林喜作などの
名案内人で山行領域は広く、現在でも第一級
の足跡であろう。(末尾記載)
1936年、中村清太郎、丸山晩霞らと日本山
岳画協会を立上げた。著書に『高山の美を
語る』(昭和6年 実業之日本社刊)がある。
吉田博の登山(1920年以前)
①早月川~三田平~立山~薬師岳~太郎兵
衛平~雲の平~高瀬川
②島々~上高地~槍ヶ岳
③中房~穂高~上高地
④牧村~常念岳~上高地
⑤大町~烏帽子岳~槍ヶ岳~上高地
⑥針ノ木峠~平の小屋~五色ヶ原~立山
⑦四谷~白馬大池~唐松岳~八方~四谷
⑧白馬岳~鹿島槍~針ノ木岳~大町
⑨釣鐘~祖母谷~清水岳~白馬岳~四谷
⑩釣鐘~小黒部谷~剱岳~立山
第54号
Page 5
パンフレット
に見る概要
フランス国立スキー登山学校
ENSAの“図書館”…資料センター …
日本語表示部分を表
示転載しています。
E
NSA資料センターでは、遠征準備に必要なトポ
(ルート図)トポグラフィック(地形図)をはじめ、
雪質を科学的に研究した書籍やクライミングの知識
と実践書、アルペンスキーのDVDや山の小説など、
お探しの資料を見つけることができます。
ENSA資料センターの概要
山のスポーツに関する書籍、雑誌、資料をご提供して
います。(アルピニズム・キャニオニング・ハイキン
グ・スキー・山スキー・パラグライダー・スケート・マ
ウンテンバイク) また、山と学問を知識として関連
つけた書籍も所蔵しています。(法律・経済・社会
学・歴史・教育・医学・生理学…)
マルチメディア所蔵リスト
・書籍、トポガイド 16,000冊
・定期刊行物 412文献、フランス語272、外国語140
・世界のトポグラフィ-地図 1100
・FFME 報告書 200スライド、200写真
・イコノグラフィー:世界の山の画像(ルート付)
山(自然、スポーツ) 関連の雑誌(約35,000 冊)
・オーディオ資料 350点
(ビデオ、DVD、CD-ROM)
・基本参考文献 (75,000文献)
・山とシャモニーをテーマ
詳しくはホームページをご覧ください。
にした新聞記事のデジタ
www.ensa.sports.gouv.fr
ルデータ16,000 参照資料
http://alex.ensa.sports.gouv.fr
再評価の取組み
明治32年、23
歳のとき渡米、デ
トロイト美術舘
等で水彩、油彩画
の展覧会をして
好評を博したの
を始め、欧米で高評価を受け知名度も高い。
日本では紹介されることが少なかったが、
再評価の活動を続けてきた安永幸一氏(元福
岡アジア美術館長)の著書『山と水の画家
吉田博』(2009年 弦 書房)が出版されてい
る。福岡市美術館は、博の木版全242点を所
蔵しており重要な拠点。
清明なる絵画
ともかく美しい画風を安永
氏は「清明」と表現、心が洗われるような画を
博は次の通り表した。「 画家は、自然と人間
の間に立って、それをみることが出来ない人
のために、自然の美を表してみせるのが天職
である」
※『生誕140年 吉田博展』が巡回してお
り次の予定がある。・会場:久留米市美術館
・期間:2017年2月4日(土)~3月20日(月・祝)
ス
トピック
壊れた住宅の
雨漏り対策
震度7の揺れを観
測した熊本県益城町
では、登山愛好家のグ
ループが山登りの経
験を活かし、壊れた住宅の屋根に上がって
雨漏り対策をとるなどのボランティア活
動を行っています。 …5月1日 (NHK web)
山の図書館ニュース
事故発生から
2.5時間後の
現場光景
事故発生前の状況(参考図)
人
2014年8月穂高
滝谷出合 増水事故
渡渉
記事から書き起こしたもので、位
置や状況などの精度はありません
H
M
⇓
2014年8月、北アルプス・穂高山域で下山
中のパーティが、折からの雨で増水した谷
の渡渉に失敗して流され三名が死亡すると
い う事故が 発生した。その事故 の概要が
「登山時報」(日本勤労者山岳連盟)8月号に
報告された。現場は槍平から新穂高へ下る
登山道を横切る滝谷出合。
移動
中洲
N
槍
平
へ
I
M
L
J
K
B
O
O
F
G
I
深み
スリングなどを
繋いだ張り綱
新
穂
高
へ
N O I
➡
事故の概要
通常は容易に通過する流れが、手前(右岸)
から中洲の間で増水していたため渡渉点を
探す。この時、3パーティ(11人)が居合せた
が、「誰かロープを持ってないか」との声掛
けに応じてM、Hがスリングと2mのロープ、
カラビナを拠出しBのスリングを加え7mほ
どの“張り綱”が出来上がった。
その張り綱を右岸(2名)と中洲側(3名)で
引っ張るように支え持ち、それを手掛かりに
して右岸から中洲へ一人づつ渡渉、三人目の
О(女性)が渡りきる直前に、深みに足を取ら
れ、お尻から滑りこむように流された。
Оを捕まえようとして数人が動き、その一
連の荷重が張り綱にかかり中洲側の3人、次
いで右岸の一人が流れの中に引きずり込ま
れた。同時に濁流が押し寄せて5人は流さ
れた。そのうち一人は別の登山者に助けら
れ一人は岩にしがみついたが、3人は翌、
翌々日に下流で発見、死亡が確認された。
教訓としての 何を学ぶか
上記の報告では①渡渉技術の未熟 ②他の
パーティに依存したリスク管理の問題が指
摘され、教育の重要性が提起されている。
登山技術書や山岳雑誌には登山中の降雨
に際して、谷の“鉄砲水”“急激な増水”の
危険性は必ず解説されている。それでも、こ
のような事故がしばしば発生しており、現場
での状況判断が難しいことを物語る。
日常で経験することがない事態だけに、異
常事態と認識しようとしない作用が働く。
過去の事例を知り、登山では直面する課題
として具体的に認識することが第一だろ
う。その上で、安全対策として確保技術をき
ちんと学んでこそ防御技術となる。
何が起きたのか
張り綱を手掛かりに渡渉していたОが流さ
れ、直交方向に荷重がかかった①。
張り綱には固定支点の設定がなく、耐えら
れず両側の4人が引
きずり込まれた②
③。(横に張られた
ロープで中央に荷
張り綱
重がかかる場合、両
③
②
端に4倍の引張力
①
が発生する)
増水した状況に対処した事例
上記事故が発生した同日、(山域が異なる
が)八ヶ岳に入山中のカメラマンA氏は、南
沢で登山道を横切る水量が激しく増水した
場面に出くわした。しばらく前から降り続
いていた雨によるものと思い当り、手前の高
い所でしばらく待機することにした。
一時間ほどして水量もだいぶ減ってきた
のを見極め、立ち木にロープを固定し、カラ
ビナで確保したうえでひとりづつ渡した。
(山と渓谷2015年 月号)
右岸
第54号
Page 7
がたら極は遭の次槍ボ北きこ鹿
なかれ地か難間登 ツアなれ島大
からて法ながにら白ボの思も槍正
っ、いとりあ大れ馬ツ登い私の十
た強ない慎っ正て乗成頂出に初五
の行かう重た十い鞍功はでと登年
で往っ手にの二っ がそあっ頂三
あ復た段立で年た立報のるてに月
る以時がて、の。山じ数。は成、
。外代取た私松しなら年積か功積
こにでり。も尾かどれ前雪なし雪
のはあ入ま計峠しが、か期りた期
年手っれだ画のそ逐 らの大。の
北
ア
を
思
う
田
辺
和
雄
・
「山とお花畑 第一巻」
鹿島槍ヶ岳冬季初登頂の記録
・
・
(
抜
粋
)
(
にり天にmセ良れ た拠島勝人 は
目をの雪のルくで翌。地部)二そコ
的し日洞三をなパ十 と落と人しー
をてにを角しいー五中しの鹿(てス
達、往構点た日テ年略て狩島石大の
しつ復築のりにィ三 日野槍原正偵
たい十しあ、はを月 帰久を巌十察
。に九たる1途組に り太目、四に
三時り尾7中み、 往郎標故年終
月間し根6ま 同 復氏と塩三始
三のての6で天じ を宅し川月し
十頑、一.ラ候顔 企をて三にた
日張晴角9ッのぶ て根鹿千友。
)
、
北アルプスの名峰、鹿島槍ヶ岳の冬季登頂は
1926年(大正15)3月30日、という記録は長い間、知
る人ぞ知るという事であったらしい。
その35年後、大町山岳博物館の広報誌「山と博
物館」(1960年)、1961年「山とお花畑 第一巻」
(田辺和雄 著、高陽書院刊 写真)に随想「北アを
思う」(田辺和雄 右・抜粋)が掲載され、当事者に
よる初の記録発表という稀なケースとなった。
この経緯は「山岳文化17号」(2016年5月、日本
山岳文化学会)に「研究 続・
積雪期鹿島槍南峰の初登頂に
ついて」(中村純二、早川 滉)
により明らかにされた。
なお、田辺和雄氏は1961年、
早稲田大学アフリカ学術調査
隊(隊長)で調査行中に客死さ
れた。
山の図書館 日記
英彦山
☆韓国・国立山岳博物館
(再掲)…山の図書館ニュー
ス 53号にU氏の韓国・国立
山岳博物館視察と感想を紹
介した。 そ
の後、同館の
記事と写真
が「岳人」6
月号に掲載
全景
された。
☆ブログ・山の図書館日記
山の図書館HPからリンク、アクセス可
エ
ン
クト
ララ
イン
マス
ーホ
模ー
型ル
の
http://yaplog.jp/yamanotosyokan/
新着本
寄贈者
山と渓谷社
こんな本が届きました
書名 (著者) 発行年
分県ガイド 福岡県の山
※敬称略
☆ 夏本番‼
学童・沢登り 金山・滝川谷
8月10日、猛烈な暑さに見舞われたこの夏、
恒例の沢登りは絶好のタイミング。
小学5、6年(12名)は
喜々として水中へ。滝を
登り、飛込み、滑りとなか
なか上流へ捗らず途中タ
イムアップで、登山道を
下ることとなる。
☆ Newton ニュートン誌
熊本地震の詳細が特集、創刊
35周年記念誌が地震で急きょ
変更して掲載とのこと。前代
未聞の地震とは、震度7以上
が続いたこと、大分・日奈久な
ど他地域へ地震の連鎖は観測
史上に前例がない。4ヶ月後
も余震の震度5など、深刻度は大きい。
Page 8
山の図書館ニュース
当年度更新 2016年4月から創立13年目
に入っています。節目の年、引
のお願い 続き会員更新を願いします。
このニュースは季刊で発行
しています。また経費節減の
山の図書館
ために「山の図書館」ホーム
ニュースの ペ ー ジ を 利 用 い た だ け る 方
送付
「HP を 利 用 す る の で 送 付 不
要」のご連絡ください。
九州登山情報センター
太宰府市内山708番地 〒818-0115
℡・fax 092(928)2729
愛称 “山の図書館”
・開館 11時~16時 ・休館 水,木曜
E-mail:[email protected]
ホームページ http://www.geocities.jp/
yamano_tosyokan/
郵便振替 01780-8-78365
加入者名 山の図書館
スタッフ・仲間募集
山の図書館の活動
に共に取り組む方を求めています。空い
た時間を利用して活動できる方も歓迎。
「山の図書館」に、車で来館の皆さまへ
山の図書館前の駐車場は「山公(蕎麦
屋)専用駐車場」です。車で来館される
場合は事前にご相談ください。「山の図
書館」専用3台分が増設されました。
編集 ☆初の「山の日」国民の祝日は、暑
後記 い一日に見舞われ、酷暑の今年のも
う一つ熱い日。全国で大勢の人が
登ったであろう。その数や…。福岡でも、
登山団体が呼びかけ登山大会が行われた。
☆熊本地震で行方不明だったYさんが発見
され両親の元に戻った。悲しい姿だった。
その捜索に協力した登山者群がいた。
☆滝谷出合での増水事故は痛ましい。だが
北アルプスの特殊な事例ではない。近郷の
山でも、雨が降れば起こりうる条件。この
悲しい事例から学ぶことは何かを考える。
☆フランス国立スキー学校は世界最高峰の
研修機関。その研修を受講した田上氏から
その充実ぶりを聞く。とっても大変だ。
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