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Page 1 Page 2 北澤義弘先生に送る 「私的翻訳児童文学論」 神奈川

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Page 1 Page 2 北澤義弘先生に送る 「私的翻訳児童文学論」 神奈川
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Title
Author(s)
Citation
<麒麟> 北澤義弘先生に送る「私的翻訳児童文学論」
百々, 佑利子; MOMO, Yuriko
麒麟, 03: 30-39
Date
1994-03-01
Type
Departmental Bulletin Paper
Rights
publisher
KANAGAWA University Repository
北津義 弘先生 に送 る
「
私的翻訳児童文学論」
佑 利 子
波書店 刊 )だ った と思 う。東 京行 き の東海 道線 の電車 を
々
神奈 川大学平塚 キ ャソバ スに奉 職 し てから 五年経 った。
待 つ薄 暗 い平塚 駅 のホー ムで、 「あ の本 を読 ん で、 子ど
百
この歳月ほとりもなおきず、北洋先生 に教 えを頂 いた日 々
らし -' お とな し -' (
内容 も読む のも )易 し いのが子
も の本 のイ メー ジが変 わ りま した」 と仰 った。 「かわ い
ども の本 であ る」 と いう思 いこみをも つひと に始終 出会
スを散策 しなが ら' あ る いは平塚 のお いし い レ ストラ ソ
を めぐりながら、 英 文学 に ついてプ ライ ベー ト ・レ ッス
う私 は' 先 生 の感 想 を う かが ってと てもうれ し か った。
と重 な る。 四季 折 々の自 然 が美 し い広 々とし た キ ャソパ
ソを賜 った。 はじ め て大学 の専 任 職 に ついた私 に' 大学
この児童 文 学 と は何 かと いう テー マに ついては のち ほど
子ども の本 のイ メージを変 える児童文学 ﹃マソガ ここ﹄
述 べる。
に ついて'少 し説 明 した い。 豪 洲 タ ス マ ニア島 在 住 の ベ
人は如何 にあ る べき かと いう心がま えも教 え て下さ った。
大学 とは異 な る社会 でも働 いて いる私 に、 先生 はとき に
白 人 入植者 の子孫 )が' か つ
ス ・ロバー ツと いう女性 (
貴 重 な示唆 の数 々は肝 に銘 じ て いる。 ま た翻 訳者 とし て
厳 し いt だ が常 に温情溢 れ る読後感 を語 り'未来 への指
てタ ス マ ニア島 に独自 の文 化 を築 いた タ ス マ ニア先住 民
への績 罪 とし てあ る いは鎮魂 歌とし て書 いたも のであ る。
難 い師 であ り読者 である北洋先 生 を キ ャ ソパ スからお送
りす る にあ た って、 ささ やかな がら私 的児童 文学論 を綴
豪 大 陸 に渡 った アボ リ ジ ニーズ のうち、 南 下 し てタ ス マ
針 をも示 し て-だ さ った。 そう いうわ け で' ま こと に得
る こと が ふさわ し いと思 え る の であ る。
下 で暮 らす うち に、 大陸 人 とは違 う特長、 文化 を発達 さ
ニア島 に住 み ついた人 々は' 大陸 とかなり異 な る風土 の
北洋先 生 に いちば ん最初 に読 ん で頂 いた訳書 は、 ヤ ソ
せた. そ のた め人 頬 学者 は大陸 の先住者 と区別 し て、 タ
*
グ アダ ルー向 の小 説 ﹃マソガ こ このは てしな い族﹄ (
岩
30-
の豊 か な緑 し た た る美 し い島 だ。 白 人 が移 住 し てき た 一
と いわ れ る よ う に、 風光 明娼' 冬 期 の降 雪 のお かげ か水
タ ス マ ニア鳥 人 と書 - )
。 タ ス マ ニア島 は蒙 洲 の スイ ス
ス マ ニア ・ネ グ リー ト ・アポ ジ ナ ルと呼 ぶ (
小 文 では、
了解 し ただ け。 ただ し白 人 が も ち こんだ羊 肉 と いう食 糧
か った。 白 い肌 の人 々は、 珍 し い暮 し方 を す るも のだ と
人 は、 白 人 が 入植 し、 木 々を 倒 し て羊 を 放 し ても 動 じ な
にお け る 「ブ ラ ック ・ド ライヴ」 だ った。 タ ス マ ニア鳥
木 々のう ろ に溜 る蜜 と同 じ よ う に'牧 場 の羊 を 天 の恵 み
ニア鳥 人 は、 毎年実 る果実 や、 川面 を銀 に染 める魚群 や、
と み な し た。 天恵 は分 かち あ う も の。 遠 - へ遊 動 せず に
を見 逃 し も し な か った。 そ こか ら悲 劇 は始 ま る。 タ ス マ
ると いう半遊動生活 を送 っていた。部族 ご と のテリ トリー
手近 に いる羊 を捕 ら え て食 べる習 慣 が、 タ ス マ ニア鳥 人
の文 化 を営 み、 季節 に応 じ て食 糧 の豊富 な 土 地 へ移 動 す
は決 っていた が、 食 糧 調達 のた め に入 って- るも のは決
九世 紀 初 め の先 住者 の推 定 数 は 三千 人 であ る。 石 器 時 代
し て拒 ま な いと いう お お ら かな 人 々であ る。 これ ら の こ
一
31
のあ いだ にあ っと いう ま に広 ま った。 土 地 の私 有 観 念 の
な い先住 民 にと って、 柵 は何 も意 味 し な い。 山 野 を軽 が
る移 動 す るす べに長 け て いる人 々は、 柵 を乗 り越 え るな
l
地 にも 先 住者 が いた が、 先 住者 の土 地占 有 権 、 先 住者 の
ず し い線 の タ ス マ ニア島 が' ま ず視 界 に入 った。 ど の土
て いた。 放 牧 に適 し た大 陸 の線 の周縁 と、 全 土 が みず み
チソト ソ」 ぼ り に、 彼 ら にと って夢 の実現 は土地 にかか っ
ようと ロソド ソに出 てくる英国民話 の主人公 「ト ム ・ウ ィッ
は' 先 住 民 が鬼 のよ う に獣 のよ う に見 え た だ ろ う。 弾 丸
マ ニア鳥 人 の宇宙 観 や人 生哲 学 にま るき り無知 な白 人 に
を売 り払 った代 金 を充 て てそれ ら を購 入し た のだ。 タ ス
英 国 から運 ば れ てき たも のだ。 故 国を 出 る とき に家 財 等
る道 具 も、牧 草 の種 も' みな は るば る 三か月 も か け て'
し み は、 激 し い炎 のご と -吹 き 上 が った。 羊 も牧 場 を作
羊 を盗 ま れ た白 人 入植者 のタ ス マ ニア鳥 人 に対 す る憎
た。
ど朝 めし前。 島 の各 地 で羊 が盗 ま れ警
れ るよ う にな っ
と は推 測 では な い。 フリ ソダー ス島 でか ら - も 生 き延 び
た 元 タ ス マ ニア鳥 人 から 人類 学者 ら が聞 き取 り、 いま で
は 広 -知 られ て いる事 実 であ る。
1九世紀初 頭英 国 から豪 大 陸 に入植 しはじ めた人 々は'
人 権 に配慮 が な され るま でには、 それ か ら 百 五十 年 以 上
が、 ストリ キ ニーネ 入り の砂糖 が、 羊 を狙 う 「狼 」 を 駆
流 刑 囚 やそ の見 張 り の軍 人 だ け では な か った。 1旗 あげ
と の でき る先 任権 を、 銃 で苦 も な -吹 き 飛ば し た。
逐す るた め に使 われ た。 先住 民 の数 はじ りじり と減 少 し、
も か か る。 後 発 の移 住者 たち は、 何 万年 も さ か のぼ る こ
そ の象徴 的 な でき ご と が、 1八 三〇年 の タ ス マ ニア島
ク ・ド ライヴ は' 先 住 民 を絶 やす と ど め の作 戦 だ った の
部族単位 の古代 の暮 しが破壊され てい った。 そし てブ ラ ッ
う によ っては、 も っと 人 間 ら し い死を 迎 え る。 マソガ こ
病 院 で死 んだ。 マソガ こ こは も っと孤 独 な、 だ が考 え よ
こはあ る 日' 白 人 の牧 場 にし のび よ り、 可愛 い女 の子 を
は夢 中 で' 幼 女 を さ ら う。 楽 し い日 々が戻 った。 か つて
であ る。
物 語 は、 ブ ラ ック ・ド ライヴ を逃 れ は し た も の の、 仲
部 族 の子 に教 え た よ う に、 マソガ こ こは' 幼女 に ことば
見 かけ た。 さ び し い毎 日 の夢 に見 る子 ど も。 マソガ こ こ
間 と は ぐれ た女 マソガ ー
三 が' 部 族 の民 を も と め てさす
を教 え、 部族 のしき た り を伝 承 さ せた。 動 物 な ど の魂 を
*
*
ら う場 面 から始 ま る。 仲 間 と再会 し た い、 古 代 から続 け
天 の川 へ送 るしき た り も 含 め て。
ソガ ここは苛 酷 な逃 亡 生活 のは て に健 康 を損 ね、 余 命 い
二年 の月 日が流 れ、 雪 の季 節 が めぐ ってき た とき' マ
ら れ てき た 平和 な暮 し に戻 り た い。 旬 の食 糧 を 採集 し た
生存 に必要 な しき た り を教 え る こと を' 彼 女 は無 上 の楽
くぱ くも な いことを悟 った。 女 の子を抱 え て牧 場 に戻 り'
土 地 で祭 を お こな う こと、 幼 い子ど も た ち にさ まざ ま の
し み にし て いる。 だ が季 節 的 に遊 動 す るど の土 地 を 訪 れ
か に成長 し て いる。 誰 か が、 お そら - 彼 ら が獣 と信 じ て
女 の子 の家 族 は、 驚 喜 乱 舞 す る。 外 見 は汚 いけ ど、 健 や
いる生 き物 が 大切 に育 て て- れ た ら し い。 牧 場 から遠 -
納屋 に置 き去 り にした。 死 んだ と思 った子が生 き ていた。
る いは描 ら え られ て フリ ソダー ス島 など 不毛 の土 地 へ追
な いと ころ に' アポ - ジ ナ ルの女 の死体 が 見 つかり' 推
ても' 仲 間 の姿 は な い。 それ も そ のはず で' ブ ラ ック ・
い払 われ てしま った のだ。 歴史 によれ ば ' そ う いう女 は
測 が確 信 に変 わ った。 マソガ こ この遺 体 の埋葬 に集 ま っ
ド ライヴ ま でにお お かた のタ ス マ ニア鳥 人 が 殺 され、 あ
は、 最 後 のタ ス マ ニア鳥 人 と いわれ て いるが、 これ は タ
た 入植者 たち の見守 る な か、 女 の子 は ま じ な いを 唱 えな
実 在 し た。 彼 女 の名 前 は ト ルガ こ こと いう。 ト ルガ こ こ
ス マ ニア島 に残 った最後 の 一人 と いう意 味 であ る。 厳 密
が ら、 ふしぎ な儀 式 を執 り行 う。 それ は マソガ こ こが幼
て マソガ こ こを送 る と、 つぎ に参 会者 たち によ る賛 美歌
女 にた- し た部 族 の伝 東儀 式 だ った。 女 の子が 心 を こめ
作 者 は ト ルガ こ こを念 頭 にお い て マソガ こ こを創 造 し
が 雪 の降 り つむ な か に響 いた。 マソガ こ この魂 は' 二 つ
ダー ス島 出身 者 のな か に存 在 す る。
た。 ト ルガ こ こは捕 ら えられ て、 純 血 タ ス マ ニア ・ネ グ
の葬 送儀 式 を経 て部 族 の民 が焚 火 を た い て待 つ天 の川 へ
には タ ス マ ニア鳥 人 の血 を引 - 子孫 は、 いま でも フリ ソ
リー ト ・アポ リジ ナ ルの生き た標本 と し て丁重 に扱 われ、
3
2
と昇 ってい った。物 語 は これ で終 わ る。
***
残 酷 な場 面も あり悲 しみもあ り
、白人 の横 暴 さがも ろ
あま た の作家 たち が いる。 子ども たち に愛 され てき た作
そし てそ のどれも が、 一から 四ま でのどれ か の要 因を満
品 のリ ストはかなり長 い。 日本 の児童 文学 は花ざ かりだ。
な いが、 他 大学 の集 中講 義 や特 別講 義 で、 こ の大 き な命
学 とは何 か。 私 は神奈 川大学 では児童 文 学 を講 義 し てい
産 みかねな い。 そし てま た、 そう いうも のはよ-売れる。
る性格 のも の であ る ことが、 底 の浅 い児童 文学 の数 々を
こ の四点 のどれ も が、 安 直 に達 成 し よ うと思 えば でき
たし ている。 だが 四条件 す べ てとな るとど う か。
題 に学 生 ととも に取 り組む機会 があ る。 定 義 は ひと それ
幼 い子どもたち が出会 う カ タ ログ風絵本 (これ は犬 です、
に描 かれ ている ﹃マソガ ここ﹄ は、 児童 文 学 か。 児童 文
ぞれ なが ら、 私 なり に学 生 に問 いかけ る児童 文学 の定 義
わ んわ ん)は 一例 だ。 も っとも達 成 困難 な のは、 翻 訳者
る自 らを省 み ていえば、 「
豊 かな ことば の体験」 である。
(ト ラ ソスレイ ター) か つ裏 切 り者 (ト レイタ-) であ
はあ る。 児童 文学 は読者 の個人的体 験 であ る。 そし て次
一 ことば の体 験 が豊 か に でき る (
言語 のリズ ム、 響
の四条件 が 必須 では な いだ ろう か、 と。
合格点 に達 す る作 品 は多 - な いはず だ。 宮 滞賢 治 の 一見
読 みづら そうな文章 が、 読 み聞 か せ てみると、 な んと快
き、 詩 性 )
二 感 動 の快 い体 験 が でき る (
巧 みな ストーリー)
-唇 に感 じられ る こと か。 ほか の文学 を読 み聞 かせ て'
う。 ま た、 日本語 で日本 の読者 のため に書 -作家 たち に
比較 し てみれ ば第 一条件 の ハード ルの高 さがわ かるだ ろ
三 生 と人間 の世界 への慶 を開 ける (ユ ニークな素材、
想 像 力 を刺 激 す る挿 絵 )
四 愛情 (
と幸 せ) の種 が蒔 かれ る (
希 望 へつなぐ哲
読者 が' あ る訳書 を読 ん で額 にしわを よせたと聞 いた こ
に近 い。 例 えば 「アリ ス」 の原著 に快 い笑 いを誘 われ る
と ってす ら困難 なわざ を' 翻 訳者 が達 成す る のは 不可能
平凡 なが ら私 は児童 文学 を こ のよう に理解 し て いる。
学)
平凡 と は いえ これ ら の条件 を満 たし ている児童 文学 は、
とが あ る。 私 の読者 も お お か たが し かめ面 を し て読 ん で
ひるが え って、 大 人向 け の文学 はど う か。 「
ⅩⅩは、
多 いとも いえ る し、 多 - な いとも いえ る。 出 版点数 を見
子ど も に愛 され る文 学 だ (
大 人 のみ の文 学 と分 額す る の
いる のだ ろう。
頭 で伝 承され た民話、 伝 説 の再話集。 「赤 い鳥」 等 の書
れば、 世界 を含 めず 日本 だけ でも 子ども の本 は多 い。 口
き 手 たち、 宮 津 賢治' それ に戦 後 から現 在 ま で大活 躍 の
3
3
に想 定 し て書 かれ た文 学 ではな いが、 ストー リ ー に魅 了
﹃ロピ ソ ソツ ・ク ルー ソー﹄ だ。 も とも と 子 ど も を読 者
は 間 違 い)」 と いわ れ る 作 品 が あ る。 そ の代 表 格 は、
童 文学 にも定着 し て いる。 そ の意味 では 目新 し- はな い。
カ先 住 民 を はじ め、 虐 げ られ た先 住 民 と いう素 材 は、 児
スト ーリ ーは展開 し て い-。 第 三 の素 材、 挿 絵。 アメリ
教' 異 民族 に橋 を架 け' 未来 へ夢 を つな ぐと いう よう に'
助 け る。 表紙 は版 画 で、 素 材 の意 味 を伝 え る べ-、 色 の
され た 子ど も たち は勝 手 に自分 たち の世 界 に取 り こん で
コソト ラ ストが鮮 明 で印 象 的 だ。 第 四 の哲 学 は' 第 一の
ただ し豪 洲 の南端 の島 を何 万年 も占 有 し てき た タ ス マ ニ
私 は こ の後 者 の表現 に拘 る。 児 童 文学 にし てお - には
ことば の条 件 に ついで重 要 であ る。 こ の点 で、 本 書 の評
しま った。 「
ⅩⅩは' 児 童 文 学 では な い (も っと高 尚 な
も った いな いt と いう意 味 だ ろ う か。 児童 文 学 み た いな
価 は 二 つに分 かれ る. 一つは、 ト ルガ こ こが白 人 人 額 学
ア鳥 人 は、 読者 に新 たな世界 を開 -素 材 だ ろう。 挿絵 は、
やわ な文 学 では な い、 と いう意 味 だ ろ う か。 児 童 と呼 ば
者 、 考 古 学者 に利 用 され た事 実 を踏 ま え て、 いわば 「
感
タ ス マ ニア特 有 の動 植 物 で、 と - に外 国 の読者 の理解 を
れ る集 団 には吸 収 しき れ な い、 経 験 豊 かな 大 人 でな けれ
文 学 )」 と いわれ る作 品 が あ る。 マー ク ・ト ゥ エイ ソの
ば 真 実 が汲 み取 れ な いと いう意 味 だ ろ う か。 ど の意 味 に
傷 的 な、 あ る いは白 人作 家 の自 己満 足 的 な哲 学 で子ど も
文 学 等 であ る。
し ても、 児童 文 学 の誤解 から生 じ て いる。 いや、 む し ろ
だ から こそ、 融和 や相 互 理解 が 不 可欠 だ と いう作 家 の信
た世 界 の現 実 を よくも 悪 - も 子 ど も は継 東 さ せ られ る。
念 を支 持 した いと いうも の であ る。 訳者 であ る私 は後 者
を惑 わす」 と いうも の であ る。 それ に対 し、 大 人 が築 い
﹃マソガ こ こ﹄ を検 証 し よ う。 第 一条 件 は、 原 著 を読
の立 場 を と るが、 か と い って、 読 者 にそ の評価 を お し つ
も しれ な い。
ん で判 断 し て頂 - ほ かは な い。 素 直 で淡 々と し た味 わ い
け るわ け には いかな い。 本 は出 版 され た ら 一人 歩 き をす
子 ど も の総 合 的 誤解 か ら生 じ て いると いう ほうが適 切 か
わ れ れ ば、 それ は そ の通 りだ ろ う。 第 二の スト- リ -性
る。 出 て てい ってしま った本 を 追 いか けま わす手 だ ては、
深 い英 文 であ る。 邦 訳 が原著 の価 値 を半 減 し て いる と い
に つい て。 老 女 マソガ こ この孤 独 な身 の上 と、 つれ あ い
私 には な い。
上 に、 こ の世 界 を深 - 理解 し た が って いる。 大 人 が 思 う
し かし それ で い いのだ。 子 ど も は大 人 が 思 って いる以
が笑 顔 で励 ま す焚 火 の炎 の向 こう に展開 さ れ る夢 幻 の時
間 が横 糸 を織 り なす。 そ し て幼 い少 女 を得 て のち、 滅 び
ゆ - 文 化 の継 承 と いう事 業 が縦 糸 と な る。 異 文 化 、 異宗
3
4
童 文学 ではな い」 と評価 す る のは間違 いな の であ る。 同
こそ、 あ る児童文学 を高 み に上げ る意 図 で、 「これ は児
こと」 を知 ったり考 えたりす る ことを恐れ な い。 だ から
し て大人 がわ か っている以上 に、 子ども は 「む ず かし い
の旅 だち (
原題 は、 大 地 の子 ども たち )」 シリーズ の十
欧米 でのミリオ ソ ・セラー、 ジーソ ・アウ ル作 「始原 へ
い。 この本 は (め でた-出版 でき たら)全十 八巻 にな る、
読 ん で頂 いたも っとも最近 の訳書 に触 れな ければ なら な
児童 文学 と大 人 の文学 に ついて考 え ると、 北 洋先生 に
****
じ ょう に 「大人 が読 む に耐 え る子ど も の本」 と誉 め上げ
巻 と十 一巻 にあ た る ﹃大陸 を駆 ける エイ ラ﹄ 上中 (
評論
以上 に' 子ども の懐 は広 い。 子ども の本質 は寛 容 だ。 そ
る のも間違 いであ る。 「子 ど もが読 ん でも、 大 人 が読 ん
ま執筆 中 と いうす さまじ い長編 小説 だ。
とは いえ、 私 が現 在発 行 され て いる十 一巻 を全 部 訳 し
社刊 ) であ る。 下巻 は いま翻 訳中。 そ の先 は原著者 が い
た のではな い。 十年前 に訳出 され た 一巻 から九巻 ま では、
でも おも しろ い本」 とは、 「子ど も に読 ま せ る に耐 える
れを し ていると、 多- の人 々はそれぞれ の観点 から嘆-0
翻 訳 の大先輩 、 N氏 の名 訳 で出 版 され ている。 十巻 から
大 人 の本」 でなければ な らな い。 いま 子ども たち は本離
私 見 では、第 一、第 四 の条件 が満 たされ て いな い本' つ
急 に百 々佑利 子 の名 前 に変 わ ったも のだ から、 面 -ら っ
た読者 も相当 いたら し い。 なぜ - と問 う手紙 が評論社 に
よ うと しな い哲学 の持 ち主 の書 いた本 を、 与 えす ぎ てき
た結 果 ではな いか。 読 む技 術 の レベ ルと、 理解 の レベ ル
届 いて いると聞 -. 私 は 一巻 目 の ﹃大 地 の子 エイ ラ﹄ か
ま り ことば が磨 かれ ていず、 子 ども の真 しな要 求 に応 え
が 比例 し ていな い子ども たち は大勢 いる。 けれ ど、 私 た
れが なぜ、 私 の訳 に変 わ った か。 こ の答 えは児童 文学 と
人ま で、 次巻 の配本 を 心待 ち にす る読者 を獲 得 し た。 そ
で、読 む技 術 の レベ ルに見 合 った本 を与 え る。 心奥 がも
は何 か、 大人 の文学 とは何 かと いう命題 に関 わ っている。
ら、 N訳 の大 フ ァソだ った。 N氏 は小学校高学年 から大
と めるも のはそれ ではな い。 子ども は、 本 が むず かし い
そし て、 そ の命 題 を解 -重 要 な鍵 を私 は北洋先生 から頂
も は驚 - ほどむず かし い本 も受 容 でき る。 それ を しな い
から嫌 い' 読 ま な いの ではな い。 易 しすぎ る から おも し
ち が仲 介者 とな って、読 み聞 かせを厭 わ な けれ ば、 子ど
ろ-な い、 読 まな い、 の であ る。 北 洋先 生 の ﹃マソガ こ
長編小説な ので筋 を丹念 に書 -と紙幅が尽きる。大ざ っ
*****
戴 した の であ る。
こ﹄ を読 んだあ と の コメソトを、 以上 のよう な 理由 から
私 は最 大 の賛辞 と受 け取 った。
3
5
にな ろ う。 あ るとき地球 の景観 を変 え るような大 地震 が
ルター ル人 と ク ロマ ニヨソ人 の壮 大 なド ラ マと いう こと
ば に記 せば、 最終 氷河期 の欧 大陸 を舞 台 にしたネ ア ソデ
であ ると思 う。 お お かた の子 ども の読者 は'著者' 訳者
があ る。 こう いう場合、 翻 訳者 は誉 められ る べき か非難
だがまれ に原文 より はる か に美 し い訳文 が生 まれ る こと
され る。 そし て多 - の場合、 訳文 は原文 を超 えられな い。
の名前 には興味 を示 さな い。 日本 の文 学 か'翻 訳文学 か
され る べき か。 私 は児童 文学 の場 合 は、 誉 められ る べき
にも、 注意 を払 わ な い。 物 語 だ けが、 彼 ら の関 心 の的 で
ニヨソ人 の部族 のな か で' 幼女 エイ ラひとりが生存者 と
な った。 ライオ ソに襲 われ傷 ついた エイ ラを救 い育 て て
あ る。 そし て児童 文学 の第 一条件 を考 慮 すれば、 そし て
起 き た。 現 在 のクリ ミ ア半島 の付近 に住 ん でいた ク ロマ
-れ た のは、 ネ ア ソデ ルター ル人だ。 ク ロマ ニヨソ人 か
若 い読者 が さら に本 を読 みた いと動機 づ けられ なければ
なら な いとすれば' ことば は大切 であ る。 翻 訳 の場合'
エイ ラはた -ま しく成長 し、薬 師 と し て の知識 も身 に つ
けた。 ネ ア ソデ ルター ル人 の男 と のあ いだ に男 子 をも う
ストー リーが完壁 であれば、 よ い日本 文 に訳す ことは 可
らは頭骨 の形状 から平頭 と獣扱 いされ て いた人 々であ る。
ける。 だ が養 母 の 「自分 と同 じ種 族 を見 つけな さ い」 と
だが原文 に忠実 と いう条件 は、 文体 や語桑 や表現 だ け
能 だ。 N訳が原文 に忠実 であ れば、 さ ほど多 - の読者 を
てを見 にき た旅 人 ジ ョソダ ラ1と出会 い、養 母が願 った
でな-' も う 一つの要素 をも含 ん で いる。 それ は全 てを
獲 得 しな か った にち が いな い。
とお り に同 じ種 族 (ク ロマ ニヨソ人 の こと) の人 々を知
の翻 訳者 のな か でト ップ に君臨 す るN氏 は、 大 いにた め
訳す と いう こと であ る。 完 訳 が条 件 とな っている。 日本
いう遺 言 に励 ま され て、 エイ ラは ひと り旅 に出 る。 そ こ
る。 二人 は ジ ョソダ ラー の故郷 へ向 け て' ド ナ ウ川 を遡
で仏 の現 在 のド ルドー ニュ県 からは るば るド ナ ウ川 の果
る波乱 万丈 の旅 に出 る。 道中、 二人 はさまざ ま の土 地 を
を削除 しなければ な らな いと いうジ レソ マで。 ﹃ク マの
日本 の子ども たち に紹 介 した い。 そ のため にはあ る箇 所
らわれ た にち が いな い。 「ロピ ソソ ソ ・ク ルー ソー」 以
N訳 は簡 潔 にし て流麗' 語柔 が豊 か でしかも 平易' 翻
見' さ まざ ま の人 々とまじ わ り'数 々の発 明、 発 見 をす
訳 の手 本 とな る邦 訳 であ る。 私 は 日本語 訳 だ け読 ん でい
プ ーさ ん﹄ 等 を訳 し たⅠ氏 は、 こ こは 日本 の子ども には
上 に子とも たち から愛 され る可能 性 のあ る 「エイ ラ」 を'
たが' のち に原文 を 入手 し' これ は原文 を超 え る訳文 で
不要t と いう箇所 をば っさり削 除 し た。 そ の削 除 の判断
る。 これ は異文化遭 遇 および文 明史 の物 語 でも あ る。
あ ると感 嘆 した。 翻 訳者 は原文 に忠 実 であ る こと が要求
3
6
先を読 み急 ぎた いヤ ソグ ・アダ ルト向児童 文学 とな って、
がす ぐれ ていた こと でもⅠ氏 は名高 い。 「エイ ラ」 は、
児童 文学 の翻 訳 に長 い時 間 を捧 げ てき た のに、裏 切り行
置 き去 り にしな けれ ば なら な い。 児童 文学 を愛 し英語 圏
難易度 が高 ければ高 いほど挑戦意 欲 が わ いて- ると いう
いう声 が聞 こえる。 私 の内 な る声 でも あ った。 一方 で'
厄介 な性格 ももち あ わ せ て いる。 私 は禁断 の木 ノ実を手
為 のよう に思 え た。 では断 われば い い ではな いか。 そう
九巻 ま で刊行 され てから、 削 除 が問題 にされ た。 それ
にす る気持 ち で 「大人 にし か読 めな い本」 の仕事 にとり
日本 で出 版 され た。小学生 にも熱狂的 な 7 7ソが いると
を指摘 し た のは大 人 の読者 だ そうだ。 「エイ ラ」 が年 齢
かか った。
聞 く。
の末 だ ろ う、 初 心を貫 - べ-私 を十巻 から の訳者 に指 名
******
を問 わず受 け入れ られ ていた証 拠 でもあ る。N氏 は熟 考
され た。 いろ いろな経緯 も あ って引受 け たが' 私 は翻 訳
十巻 が できたとき、北滞先生 に読 ん で頂 いた。感想 は、
ているも のを児童 文学 ではな いと評価 す る のとは'全 く
者 にな ってから初 め ての苦 し みを 二重 に味 わ う こと にな
着 し て いるN氏苦 心 の訳語 -たとえば、 大地 の母な る女
異な る観点 から仰 っている のが わ か った。 大 人 には大 人
「
児童文学 ではな いです ね」と いうも のだ った。私はほ っ
秤 (
創 造 神 )、 兆 す (
妊娠 さ せる) Iなど の表現 は変 え
の文学 が 必要 な のだ。青 春 の嵐 を体 験 した こと のあ る大
とした。 トウ ェイ ソの作 品 のよう に児童文学 と認 められ
る こと は でき な い。 それ ぞれ の邦 訳 が異 な る のは' それ
に陶酔 し て いる読者 を失望 さ せた- な い。 ま たす でに定
ぞれ の翻 訳者 が独自 の語感 をも って いる からだ。 だ が'
てこそ、 より切実 に、 より明確 に、 よ り強烈 に共感 でき
人へ肉体が疾風怒涛 にもまれる時代 を経 てきた大人 であ っ
る。 まずへ 名訳者 のあとを つぐと いう苦 しみ。 「エイ ラ」
私 に要求 され て いる のは、 私 のそれ を前任者 のそれ に同
ると いう次 元 の歓 び や悲 し み は' 存 在 す る のだ。 時代 は
二万年前 でも' ホ モ ・サピ エソ ス ・サピ エソ スは同じ、
化 さ せ る こと で' これ は苦 し い。
も う ひと つは' 削除 し てはなら ぬと いう、 いわば翻 訳
ル人 が、墓 に花 を そな え、 弱者 を いたわ り育 てた痕跡 が
現代 の人間とち っとも変わらな いのだと。 ネ アソデ ルター
発掘 され たと は いえ、愛 の交 換 の面 では ク ロマ ニヨソ人
に、 「エイ ラ」 の物語 は セ ック ス描 写 が じ っは かな り多
い作 品 な のであ る。 子ども の活字離 れ が取 り沙 太 され て
とは大き な差 異が あ った にち が いな い のだと。
者 の判 断 を封 じられ た ことだ った。想 像 し て頂 け るよう
いる時 代 に' 九巻 ま で読 ん で-れ た子ど も たち を、 私 は
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ほど し か、 経 って いな い の では な いか。 言 い替 えれ ば、
から考 えれ ば、 現 人類 が現 れ てから ま だ ま は たき す る問
か。 地 球 が 生 まれ て' 生 命 が誕 生 し てと いう時 間 の配 分
氷 河時 代 と私 たち の時 代 の距離 は、 そ んな にあ るだ ろ う
す読者 も いるだろう。 し かし、 そうし て い いのだ ろ う か。
作 者 のイ マジネ ー シ ョンの産 物 にす ぎ な いと 一笑 にふ
写真 を た - さ ん見 せ て- だ き った。 これ ほど に読 み こん
旅 され、 帰 国 な さ ってか ら、 情 景 を 説 明 し て- だ さ り'
十 一巻 の舞 台 であ る ド ナ ウ ・ペ ソト や ハル シ ュタ ットを
忘れ 得 ぬ旅 が でき た。 北 洋 先 生 は'麗 子夫 人を伴 われ て、
ド- ニ ュ県 )を め ぐ った。 「エイ ラ」 のお かげ で、 一生
力 を得 て、 ド ナ ウ川 の源 泉 を 歩 き、 ラ ス コー洞窟 (
ドル
そ の世 界 に のめ り こん でし ま った。 つれ あ い の理解 と 助
最 近 見 た文章 に、 うろ覚 え だ が、 「先史時 代 の穴居 人
私 たち の異 性愛 の歴史 はま だ ひど -浅 い の であ る。 私 た
は、 梶 棒 を 用 い て、 自 分 よ り弱 いも のを脅 し た り、 示威
で-れ る読 者 と出 会 う こと の でき る幸 せな 訳者 は そう多
の行 為 にす ぎ な か った。 だ か ら こそ、 作 者 は長 編 小 説 の
運動 をす る」 とあ った。 と ん でも な い誤解'無知 であ る。
く は な いだ ろ う。
前 半 にネ ア ソデ ルター ル人 の性行 為 を描 き' つい でク ロ
彼 ら は' 弱者 を梶 棒 で脅 す 必 要 な ど な か った。 夜 は真 の
ついこ のあ いだ ま でそれ は生 命 の維 持 へ 種 の保 存 のた め
マ ニヨ ソ人 の愛 の行 為 を描 いた。 これ は文 化 のち が い の
闇 に包 まれ る時 代 、 霊 のわざ ほど強 力 な脅 し の武 器 は な
ち は性 のす べてを知 って いるよう にわ け知 り顔 をす るが、
では な いか。 ネ ア ソデ ルター ル人 も フリ ソトを 打 ち か い
か った。 彼 ら にと って、 長 い時 間 を かけ て作 った剥片 石
根 源 を なす のかも しれ な いと、 作者 は問題 提 起 を し た の
て剥片 石器 を作 った。 ク ロ マ ニヨソ人 は針 を、 槍 投 げ 器
作 業、 つま り食 糧 採 集 のた め に使 われ る貴 重 な道 具 だ。
な梶 棒 であ る。 それ はも っと も 困難 でか つ重 要 な 日常 の
強者 は とも あれ 、 弱 者 を脅 す た め に使 う 必然 性 は な い。
器 の斧 で木 を 倒 し削 り、 丹念 に辛 抱 強 -仕 上げ た、 大 事
大 人 のた め の' 大 人 が時空 を 超 え て分 かち あ え る' だ が
力 の誇 示 な ら、 梶 棒 を ふ り ま わす の ではな-' ど れ だ け
を、 斧 を発 明 し た。 そ のう え洞 穴 に動 物 の絵 を 描 いた。
も っとも 深 部 にあ って浮 か び 上 が り に- い人 間 性 を' す
多 - の獲 物 が とれ る か、 ど れ だ け見事 に部族 の民 を安 全
作 者 は、 放射 性炭 素 によ って制 作 年 代 が 同 定 され 得 な い
ことば が 示唆 し て下 さ った。
り越 え る こと で行 わ れ た はず であ る。 「ジー ソ ・アウ ル
に導 - ことが でき る かな ど、 石器時 代 の障害 の数 々を乗
ぐ れ た創 造 力 で文学 にし た の であ る。 それ を 北 洋 先 生 の
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恐 る恐 る始 め た 「エイ ラ」 の訳出 だ った が
、 し だ いに
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生 の言を、 名 は知 ら ぬが無 知 な作 者 に送 り た い。
の文 学 を読 めば、 す ぐわ か る こと です ね」 と いう北 洋 先
の存 在 が あ る。 そ し て私 のさ さ や かな実 りを とも に慶 ん
た道 程 には、 私 を そ の魅 力 のと り こ にし た児童 文学 翻 訳
で-れ る読者 には 心 から感 謝 し て いる。 文 学 を愛 す る粋
と いう天職 、 私 を 信 じ て仕 事 に打 ち こま せ て-れ る家 族
訳出 作 業 が続 い て息 が詰 ま り そ う にな ったあ る初 夏 の
人 の北浮 先 生 のよ う な方 々に私 は支 え られ ている のだ。
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明け方、 ふと エイ ラになろうと思 い ついた。 ジ ョソダ ラー
と エイ ラは' い つも毛 皮 を敷 い て、 毛 皮 に- るま って寝
ている。 そ こ で ムー トソの敷物 と毛 皮 の コー トを も って、
庭 にお り た。 芝 生 に敷 物 を広 げ ' コ1 -を - るま って横
にな った。 放 し飼 いの犬 が、 と こと こ寄 ってき てかぎ ま
わ り、 なじ ん で いる飼 い主 だ と わ か る と、 つま ら な そ う
に犬 小 屋 へ戻 ってしま った。 右 を 見 ても 木 々、 左 を 見 て
も木 々、 土 の匂 いが わ き た つ。 大 自 然 の懐 に抱 かれ て い
る感 じ に浸 る。 日 の出 はま だ、 空 には星 が い っぱ いだ。
星 明 り が、 こんな に明 る-雲 の流 れ を映 しだ す のか。 感
心 し な が ら、 雲 が ひと ひら ふ た ひら、 ゆ う ら り ゆ うら り
移 動 す る のを 見 て いるうち に、 眠 ってし ま ったら し い。
て、 かたわら には怠 け者 の犬 では な-、 つれ あ いが いた。
ふと 目が覚 め る とt も うま ぶ し いぐ ら い明 るく な って い
心配 そう な顔 、 ついに私 が お か し - な った と 心乱 れ た よ
うすだ。 つれあ いにはも うしわけなか ったが' エイ ラご っ
こは大 成功 だ った。 息 の詰 ま り そ う な感 じ は、 き れ いに
消 え た。 あ れ 以来 ' 大 自 然 の癒 しを す な お に信 じ る こと
が でき るよう にな った。 このようなすぼ らし い癒 し に至 っ
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