動かない人（Living Statue）

動かない人（Living Statue）
デナ・ガルブレス
アメリカの大きい町に行くと、色々なストリート・パフォーマーが見られる。ストリ
ート・パフォーマーというのは、にぎやかな道のそばで何かひとつの特技を選んで、芸
をするという人たちだ。その芸をすると周りの人が自由にお金を出してくれるから、本
物の仕事のような感じがある。特技によってもらえるお金が違うから、アルバイトでし
ている人もいれば、仕事でしている人もいる。音楽やダンスといった特技が一般的だが、
ストリート・パフォーマーの中で、何と言っても一番面白いのは「動かない人」という
人たちだ。
「動かない人」というのは、ピエロのような面白い服を着て像のように動かない人た
ちだ。「お金をもらわないと動かない」とか「お金をもらうと写真のモデルになるため
に動く」というルールがある。一時間も、三時間も、五時間も同じポーズをしている。
そして、周りの人が何をしても反応できないから、大変な仕事だ。
「動かない人」にはたくさんの種類がある。動物や天使や自由の女神像の姿で働いて
いる「動かない人」がたくさんいる。どんな姿をしていても、「動かない人」を見るこ
とはいつも面白い。トイレを使っている男の「動かない人」さえも見たことがある。そ
の男の人は毎日公園までトイレを運んで、メークをして、座って動かなかった。大変面
白かった。グループとして働いている「動かない人」もいるから、本当に自由に決めら
れる仕事だ。ニューヨークでもホノルルでも見たことがあるから、大きい町に行ったら、
ぜひ見に行ってほしい。それに、この人たちを見たらお金を出してほしい。それは大変
な仕事だからだ。