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座談会 戸建てタウンハウスの街づくりーグリーン

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座談会 戸建てタウンハウスの街づくりーグリーン
座談会
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戸建てタウンハウスの街づくり
ーグリーンタウン高尾財団住宅祭を終って
東京都住宅供給公社理事
㈱イカリ設計代表
蔵
夫夫
朗
殖産住宅相互㈱建築部建築課長
司会 住宅生産振興財団専務理事
和紀達重
この財団住宅祭を総括すると一
方面に高く評価された。 ︵団地全体図は27ページ参照︶
獺
獲一、
癖鞭翻
灘.
四期︵六十一年九月︶五十六戸の戸建てタウンハウスは、その卓抜した街並みと各社粒選りの住宅の質が各
第一期︵六十年五月︶百十八戸、第二期︵六十年十月︶五十六戸、第三期︵六十一年五月︶五十三戸、第
六十一年十月に完了した。
社、主催を住宅生産振興財団・日本経済新聞社として、昭和六十年五月から四期にわたって開催され、去る
グリーンタウン高尾財団住宅祭は、八王子市市川町二四四番外地を会場に、事業主体を東京都住宅供給公
とき・昭和六十一年十二月十七日 ところ・東京プリンスホテル
山永猪黒
東井狩坂
一6一
座談会・戸建てタウンハウスの街づくり
山東 本日は年末の大変お忙しいところを
課長においでいただきまして、座談会をやら
いろいろお世話になりました殖産住宅の永井
スビルダーの代表というとあれですが、後半
でした。当時は都公社もピークで約五百戸ほ
宅産業界全般が、非常に販売成績の悪い時期
︷
ありがとうございます。
ーザーのニーズのあるものをローコストで、
で、この高尾の事業については、良質の、ユ
ど売れ残りをかかえたときで、そういうなか
この九月の末から十月の初めにかけまし
せていただきたいと思います。
ン高尾の最後の地区、E地区の分譲を財団の
住宅祭ということでやらせていただきまし
関係をいたしました住宅についても大変成績
わりになったわけです。お陰さまで、財団の
手伝いをさせていただくことになりましたい
ンタウン高尾を私ども住宅生産振興財団がお
山東 最初に公社の黒坂理事から、グリー
イアヅプしてということは、特別法人という
ない。ノウハウのある特定の会社とじかにタ
宅地分譲あるいは戸建ての経験がここ十数年
いまお話のあったように、公社としては、
しく吟味したものにしなければいけないとい
という原点にかえり、事業企画をより一層厳
がよく、応募倍率で総戸数の四・二倍ぐらい
へんからお話をいただければと思います。
きさっと申しますか、当初の状況とか、その
た。これでグリーンタウン高尾が一応全部終
になり、即日完売という結果になりました。
供給公社の黒坂理事、コーディネーターをや
ころで、またここであらためて、東京都住宅
が、ひととおり済みまして区切りのついたと
に、いろいろな整理をさせていただきました
すでに財団にとっては第一回の分譲のとき
だいたことも大変喜んでおります。
じておりますし、また、お手伝いさせていた
ただぎまして、財団としても大変うれしく存
ましてもかなりの倍率で無事に終わらせてい
おやりではないようですけれども、それにし
戸建ての物件はここのところあまりたくさん
街化区域になるということで買ったようです
す。当時は市街化調整区域で、近い時期に市
この土地は四十七年三月に買収しておりま
方々に心から感謝している次第です。
ました。財団をはじめ、関係の会社、機関の
お陰さまで高い評価をいただいて完売いたし
百戸・区画を六回に分けて販売しましたが、
年の五月から六十一年の九月にかけて、約六
きましたように、グリーンタウン高尾は六十
触れさせていただきます。いまお話しいただ
黒坂 それでは皮切りに経過について少し
コストで、といういわゆる企画の提案をいた
商品に仕立て上げられるか、しかもまたロー
ったらよいか、また、戸建て住宅として良い
それで、高尾をどういうように開発してい
て財団にお願いしたわけです。
ーカーの方々に参加していただく、こう考え
する、財団加盟のできるだけ多数のハウスメ
社でなく多様なエネルギーを集約し総合編集
企業エネルギーを最大限に活かす、つまり一
を活用させていただいて、そのなかで加盟の
検討した結果、住宅生産振興財団、この機構
性格の公社では問題がありますし、いろいろ
だくよう、財団にお願いしたわけです。
っていただきました猪狩先生、それからハウ
域になったのが五十六年五月置約十年経過し
で、全体を宅地分譲及びタウンハウス方式で
一方で、地元市との開発協議の経過のなか
ウ,凋にはそれ.なりの利点 地域環境が、ト
事情があります。ご案内のように、タウンハ
開発することですでに話を進めて来ておった
に入ったわけですが、いろいろあって約二年
が、諸般の関係から長引きまして、市街化区
う模索に入ったわけです。
お聞きいたしましたところ、公社さんでの
はじめのいきさつ
て、東京都住宅供給公社さんのグリーンタウ
4
ております。地元の八王子市とすぐ開発協議
協議が整ったわけです。
有半かかり、五十八年の三月に基本的な開発
..五十七、八年は、これは公社に限らず、住
一7一
4
かけてやっていただいて、非常な好成績でし
引き受けするのには、ちょっといきさつがあ
せつかりました。実は私がそういう大役をお
ったようです。私は以前に、これは財団さん
た。これに力を得て、以後、財団との緊密な
協力態勢が確立したわけです。
の関係ではないのですが、今回参加の数社が
ンをつくりながら公団と各社の意見調整をし
まとまってつくった茨城県の竜ケ崎ニュータ
かで、街並みの形成あるいは熟成といった点
ったのですが、そのへんの役どころを認めて
つつ技術的におさえていくといった方法をと
ことば、ありがとうございます。
から、当初百十八戸のタウンハウスのご計画
山東 どうも、財団にとって大変光栄なお
をやるということで財団に話があったわけで
す。
ウンのタウンハウスをコーディネートしたこ
iタル計画ができ、維持される、また共同で
すね。
とがありました。そのときは、マスタープラ
の形成が比較的広く、深く、早いというよう
土地や施設を利用するなかで、コミュニティ
あれはもともとタウンハウス用地、集合住
いろいろな問題があったようですが、そのな
な利点から、タウンハウス方式を採用する事
十一月の末ごろで、財団さんからお電話をい
最初にご連絡がありましたのは五十八年の
計画の途上で、また市との協議.の過程でも
業体がふえていました。私どもも実は昭島で
うか。
宅用地としてブロック割りをしたわけでしょ
いただいたのではないかというふうに思いま
二戸建て、三戸建てのタウンハウスをやりま
いっぱいにまとめてくれというお話でびっく
ただいて、さっそく参上いたしました。二月
三月いっぱいで全マスタープランの公社承認
りしましたが、﹁公社のほうの都合もあるし、
を得なければならない。これをまとめ上げら
とでお引受けしました。
あ、もう正月返上でやりましょう﹂というこ
山東そこで、戸建てタウンハウスをどう
が、次に先生からお話をいただきたいと思い
ふうに言われまして、 ﹁わかりました。じゃ
ます。
ではとてもできない。ぜひとも十社の皆さん
﹁ただ、あらゆる調整ごとも含め、私一人
れるのは猪狩さんしかいない﹂と、こういう
そこで、全体約六百戸・区画について、戸
猪狩 私、今日こういう席に出席させてい
いうふうにつくっていくか、そのコーディネ
建てタウンハウスを相当数建てて、その高級
ただきまして大変光栄に存じております。そ
ートを猪狩先生におやりいただいたわけです
三ヵ月で基本設計をまとめる
黒坂 そうです。
したが、売れ行きがよくない。タウンハウス
方式では必然土地が共有となりますが、どう
いう面からきらわれるのではないか。タウン
もこの土地の共有という問題が、資産形成と
ハウス的なものを意図しながら、一方で土地
専有もできるというような方角にどうしても
いかざるをえないということで、戸建てタウ
ンハウスにするという方向が、これは財団と
住宅地としての熟成のなかで宅地分譲を進め
とうございます。
れから黒坂理事、六百戸・区画の完売おめで
もどもの検討のなかで出てきたわけです。
る、そういう企画・戦略が基本的にできまし
黒坂 ありがとうございます。
います﹂ということで、設計部会のメンバー
っていただきたい﹂ ﹁もちろんそれは考えて
から選手を出してもらって設計チームをつく
た。以降、財団さんとの緊密な共同作業、ま
た猪狩さんその他のお力をいただいて具体案
として出ていただいたのが、殖産の吉田さ
ん、ミサワの高沢さん、三井の深沢さんら各
猪狩 私、たまたま当初の、戸建てタウン
ハウスの基本設計及びコーディネート役を仰
ができ、事業に着手したわけです。
財団の住宅祭は、六十年の五月から六月に
一8一
座談会・戸建てタウンハウスの街づくり
社の精鋭です。みなさんの献身的な力添えを
う前提で計画を指導していただいたし、市の
いけれどバラ建てのタウンハウス団地だとい
です。ですから、公社も市側も、連棟ではな
さて、三月末日に一応マスタープラン、基
^
いただいた結果、非常にいいチームができま
しまして、図面としては十月ぐらいまでに全
本設計の大枠が決まり、四月いっぱいで修正
﹂
して、最後まで推進力の一端を担ってもらい
ていただいた。しかし今回のプロジェクトは
許認可業務は八十六条の一団地の扱いでやっ
の二通りのフォローがあったからだと思いま
わらずいろいろな提案が盛り込めたのは、次
条例でありながら、北側斜線以外はほとんど
いうことで一般条例になったのですが、一般
集合住宅ではない、戸建て計画ではないかと
月、工事が修了するまでずっと続いたわけで
にひっぱりだされました。それが翌年の五
柱やらで、私しょっちゅう公社と財団に調整
部上がったのですが、道路の仕様やら集合門
ったのだと思います。
ました。
者に大変納得のいく形ですんなり浸透してい
期間的にも経済的にも厳しかったにもかか
す。コストの枠がありますので、設計部会と
タウンハウスという考え方で市のほうが解釈
の設計ご担当の部課長さんはじめ、計画推進
フィードバックがありました。また、公社側
かったことです。公園、道路、下水処理場
もう一つ懸念した点は、共有地が大変に多
してくださった。
びっしり敷いたわけですが、その煉瓦の扱い
集合門柱をつけたり、厚さ六センチの煉瓦を
まりその責任をとれということで、たとえば
す。いろいろな提案をしたものですから、つ
建設部会とでしょっちゅういったりきたりの
課の、当初大塚さん、それから城野さんに代
︵テニスコート︶、そういうものが結果的には
とです。
ます。
に、これも市で受け入れてくれたのだと思い
全部住民管理だという前提条件だったため
きて、そういうものを一つ一つの現場に行っ
方、エッジの処理とかいろいろな問題が出て
って、実に綿密な設計打合せを逐一やったこ
盛り沢山な提案をしたのですが、それをほ
それと管理面などソフトの点では一、都
ったと思います。
ですが、そのなかで大きく二つのテーマがあ
う非常に柔らかい状態で仕事を進めていたの
けて皆さんでいろいろ議論していただくとい
ども設計部会は、ぽんと私がテーマを投げか
猪狩 次に、設計のテーマについては、私
﹁自然をいかした街づくり﹂他
せていただきました。
て、打ち合わせし、指導するという形をとら
ぼ九十パーセント受け入れてくださった。な
が、いわゆるマンションはベテランなわけで
公社としては戸建てははじめてださうです
すね。ですから公社の皆さんと協議したとき
つもあったのですが、それをあえて受け入れ
ていただいた。これが結果、今日みられるよ
かには土木的な常識を覆すような提案がいく
うな街並み景観の創成につながったと思いま
に、よく﹁これは戸建て団地だと考えない
員がそういう形で一線に並んだことが、公社
かりやすいですね﹂ということで、関係者全
ょう。そこから発想をスタートしたほうがわ
で、横に拡がったマンションだと考えまし
す。
まずこれは市の許認可が通らないのではな
いかという懸念もあったのですが、集合住宅
地だったということが非常に有効だったわけ
のみなさんのコミュニケーションという点で
もうまくいったのではないか。それで管理規
ということです。高尾というのは周りに緑が
いっぱいです。南に向かったなだらかな斜面
一つは自然をいかした街づくりにしよう、
宅団地のルールそのままを戸建て風に翻案し
で、自然条件はすばらしい。たしかに高尾二
約にしても、管理費にしても、従来の集合住
ておつくりになった。それが結果的に、入居
一9一
4
から三キロ以上離れていて奥まったという感
しました。また公園の中に自然石をたくさん
か、設計部会と建設部会の間で調整会議が何
分の煉瓦のコストアップをどこで吸収する
るカーポート床とグリーンベルトの立上り部
回も開かれ、結局庭木の本数を減らすこと、
るだけ自然材を使うように徹底したわけで
建物の方で若干吸収することでようやく結着
使ったり、自然の雰囲気を出すために、でき
す。
がつきました。
い自然がある。ぜひその自然を取り込んだ街
それから、ボンエルフ道路の材料をきめる
それで、煉瓦タイルの使用が決った前後
じはするけれども、奥まっただけにすばらし
づくりにしようということでした。 ﹁グリー
ンタウン高尾﹂というのは、かなりこの計画
が煮詰まったころ公社のほうでおきめになつ
で公社さんが昭島などでお使いになっていた
て、 ﹁煉瓦ブロックが決ったのなら、集合門
に、設計部会で集合門柱の話が出ておりまし
までには随分紆余曲折がありました。それま
インターロッキングをやめて、硬質レンガを
たと思います。
・た名前ですが、まさにぴったりの名前になっ
使用するに至るまで、そのメーカー選びから
がはじめから積極的でした。集合門柱は、外
ことになりました。これは、公社さんのほう
柱だって徹底してやろうではないか﹂という
と。道を広く見せ、道と家を一体化させ歩行
二つ目は、人と車の共存する街というこ
コスト比較、インターロッキングとの差額を
わゆるボンエルフ道路を採用しました。広い
ンクリートボックスの中に収め、これを受電
灯、ポスト、各種メーター類をプレキャストコ
を安全にするために、車を走りにくくしたい
にし、生活道路といわれるところは煉瓦を敷
せるというもので、これは理論上はうまくい
ポールと併用することで街並みをすっきりさ
六メートル道路はゆっくりカーブを描くよう
う二つの道をつくって、いわゆる住宅のエク
でもないんですけれども、工事面では大変な
くはずなのですが、またでき上ってみると何
き詰めて﹁みちひろば空間﹂とする。そうい
ステリアとして扱おう。こういう目標をもっ
なにしろ重さ六百キロのものですから簡単に
苦労があったようです。コンクリートボック
たわけです。
どこからどう捻出するかで、私のほうはメー
ようです。ご担当の公社の池崎さん、財団の
は動かないわけで、現場では実際難儀された
この二つの目標をもとに、細かいところを
カー側から各種見本や強度試験のデータを取
スの裾付けのさいに配管のズレが生じたり、
りでは、まず、各宅地のフロント部分に幅五
り寄せる間、公社の担当者の皆さんはそのコ
煮詰めていきました。自然を生かした街づく
からコミュニティの真中、一つの中心となる
十センチのグリーンベルトを通した。それ
円程度ならいいではないか、設計者の意図ど
言われ、私は意を強くしたようなわけです。
の後、多方面から、結果やってよかったなと
て、その度に現場に行って工夫しました。そ
青木さんから何度も私のところに電話があっ
おりやってよろしいという公社側からのOK
高尾のプ戸ジェクトは、ちょうど雪の多い
ストバランスに頭を悩まされたようです。一
戸建て団地ではやらないことなんです。こう
が出るまで、ほぼ三週間ぐらいかかったでし
異常気候のなかでの難工事でしたが、私は本
年で、三月になっても雪が何回も降るという
戸当りにして従来タイプとの差額が三万五千
して大小の緑をつなげるという仕掛けをしま
ょうか。さあそれからがまた大変です。財団
ーなど大きな木を植えました。これは普通、
した。それから、公園のベンチとかゲート、
側としては、各戸毎に道路と同じ材を使用す
ところに、ゲートツリー、アイストップツリ
に、厚い板や丸太を使ったりして、木を多用
団地の看板︵サインボード︶、そういうところ
一10一
座談会・戸建てタウンハウスの街づくり
アングル團定用インサート
ポスト
國一 L T τ r r ’
幽 . , ’
1r一・・η一
幽卜・・翌−
.=:=二二=}再:
た仕事だったと感じております。
当に公社、メーカー各社、財団の総力を上げ
す。
ールしていただけるものと期待しておりま
後に決りまして、これで市によってコントロ
くいいんですね。そしてユーザーの方に聞き
有地のなかでも、特に公園の管理がすばらし
で、その後の管理状況を瞥見しますと、共
したのですが、管理上の問題点がいくつかあ
猪狩 さて、建設入居以来約一年半が経過
かということです。
人が多数でてきた場合、これにどう対処する
が、将来どうしても上屋をつくりたいという
規約でカーポートの上屋を禁止したわけです
二点目は、街並みをよくするために、管理
の上にかかるので、どうしても上屋を架けた
ところまだないけれども、冬になると雪が車
村参事さんが言っておりましたが、 ﹁いまの
次のカーポートにつきましては、公社の上
理している。
大会をやっているということで、実によく管
ますと、夏は月に二度ぐらい集まって芝刈り
懸念された管理上の三つの点
ります。一つは、共有地の多いのが当団地の
くつもあって、その中間帯に共用の植木桝を
三点目は、街区内にペア式カーポートがい
な。ただお互いにその辺は牽・制し合っている
がる。ひと冬過ぎたけど、次の冬はどうか
特長ともなっていますが、その管理の問題で
ト、集会場、調整池、それから斜面の不利用
とった。これが共有部分に含まれず、専有部
す。道路、公園、コモン緑地、テニスコー
分に入っていて、二戸だけの共有物になるわ
:l l:
piii
集合門柱内側図−
私は集合住宅、タウンハウスのよさは、入
点もある﹂と。
地など、戸当りにして二一五平米の共有地が
il::
っしゃる丸山英気先生のご指摘の問題点です
けですね。これは、区分所有法の権威でいら
C ●
のあったところですが、屋根の色はおさえ、
そうです。実は壁の色は設計部会で一番議論
色までそろえなかったのか﹂という人がいた
底して街並みを整えたのなら、なんで住棟の
ことは確かのようです。例えば﹁ここまで徹
住んでいる人のなかで大変積極的な方がいる
るかはまだ何とも言えませんが、少なくとも
これからどこまでこういつた協調性が守れ
不文律ができあがる。
ろで勝手にこわしたりしないという、一種の
例えば共通外構部分についても、自分のとこ
いい街並みを維持しているのだと思います。
実はそれが絶対に必要であって、それが結果
を相互拘束効果といってるのですけれども、
︵本誌22号掲載﹁戸建て住宅団地の共有物件 居者がお互いに牽制し合うということ、それ
の管理について﹂参照︶。
ペア式カーポートのモデル(直角式)
ということが懸念されました。
あり、管理が十分行き届かないのではないか
は市が地区計画にかけるということが本計画
一 一.境*
囎
﹁−渤
隣地境界線 陶地境界線
中 十
グリーンベルトや生垣など町並みについて
噛・」 L .r
鳶
1
⊥ま
隣地境界線
隣地境界線
1
:・..・/
戸占
国安器取付木8反
一_保安器取付二丁
iインサート
..」
ト, ・r
の
1. ・
」
一圃竃用 『
インサート
F .一.
がス メーター
4
壁の色はある程度自由にして街並みに変化を
一11一
一暇付不二
てマ
一 電力メーター駿
一o
ガスメータ
インサート
373一「
I I
ポスト固定用
「一一52ア
開閉器電力メーター
にした結果は、私は景観のアクセントになっ
つけようというのが結論でした。色彩を自由
山東 内容までお触れいただきまして、 あ
のではないかなという気がします。
だけ上地して公有地化する。それから共有、
含んだ開発計画ですから、市のほうにできる
ころは、一般的な宅地分譲の完全区画の分も
それから、タウンハウス方式の利点であ
と考えておりました。
いうふうにうまく詰め切るかが実践編だろう
専有、また共用、専用の仕分け、これをどう
りがとうございました。
と当初の苦労
戸建てタウンハウスへの公社の期待
たと思います。
また、カーポートの上屋規制や二戸共有の
グリーンの管理にしても、いまのところうま
の戸建て入居者というのは、前住地がマンシ
くいっているという話ですし、それほどいま
てくると思います。特にこういう戸建てタウ
てまずけれども、そういう領域が必要になっ
曖昧空間というか、中間領域と私どもはいっ
部に公私の区分をきちっときめつけないで、
そんなことから私は、街の隅から隅まで全
じ、意をつよくしますね。
いこうという気持がはっきりとあることを感
を受けてきて、自分たちの街を美しく保って
思っておりました。ただ、昭島の例、あるい
価していますし、そういう利点は残したいと
もの自体の意味合いといいますか、これは評
黒坂 公社としては、タウンハウスという
お伺いできればと思います。
どんな条件をお考えであったか、そのへんを
おもちであったか、あるいは注文者側として
とき、公社さんとしてどのようなイメージを
ただいたようなかっこうですけれども、その
コミュニティの熟成であるわけです。
の主目標の一つが、ともすればうすれてゆく
あります。そして、東京都のマイタウン構想
の核としてコミュニティ活動が展開されつつ
すし、さらにその団地を越えてより広い地域
の後のコミュニティの熟成も理想的に思えま
りまして、これは事業経過も成功ですし、そ
十二戸という日本最大のコーポラティブをや
です。先年多摩ニュータウンのなかで、百四
の意味から、意識的に毎年実施しているわけ
は、コーポラティブハウス方式の事業を、そ
は、非常に大切なことです。実は都公社で
ンハウスの場合は、今回は一六五平米ですけ
は首都圏の公団その他の事業経過をみます
そういうわけですから、このタウンハウス
る、コミュニティ形成が早く深いということ
れども、あるいはもっと小さくなってくるか
と、売れ残りが非常に多い。そこで、これを
に、高尾の場合集合住宅用地の形でお任せい
もしれません。小さな宅地に住宅を建てるわ
魅力あるものにするためには、さっきお話し
にかくやりたい。やるについては、買ってい
も、売れないからやめちゃうではなくて、と
山東 話をちょっと戻しまして、黒坂理事
けですから、宅地でない部分、共有として供
したように、自己資産としての所有、土地建
ョンという方が多いということもあるでしょ
出する部分といいますか、そういうものの有
物とも個人所有として登記ができ、場合によ
うが、いわば社会性というか、そういう訓練
効な使い方で、どうも街の質の良否が決って
今回の高尾のタウンハウスは、いろいろな
共有、専有部分の具体策となりますと、猪狩
ういう折衷策があるのではないか。ただし、
はできなくなってしまう。そこで五十八年の
あまり細かい条件をつけますと、良いもの
で戸建てタウンハウスとなってきたわけです
ただけるものに仕立てなければいかん。そこ
意味の実験であったのではないか。実験をし
先生がお話しになったように、日本ではまだ
五月に財団に包括的なお願いをした。それか
っては抵当にも入れられるというような、そ
ょうと思ってやったのではなくて、よかれと
っても、管理がなかなか及びにくいようなと
あまり例がない。さらに、共用、共有とはい
ら猪狩先生のところに話がいったのが十一月
くるのではないかと思うわけです。
思って、なんとか売れるものにしようと思っ
ころが、特に周縁部ででてくる。そういうと
ね。
たその結果、こういうテーマができ、また将
来への課題として残るようなものを提出した
一12一
座談会・戸建てタウンハウスの街づくり
う価格で販売に出すか。そのなかで土地代は
いいますと、一つは価格の問題です。どうい
黒坂 その間にどういう経過があったかと
猪狩 そうです。
ですね。
いて、素直にそうだと言ったのは、そういう
識を持っていましたね。具体の提案をいただ
黒坂 基本的には、まったく同じような意
けですか。
さんは、メインテーマをお持ちでいらしたわ
うテーマが出てきたわけですけれども、公社
ら、残りの工区に財団がどのように参加させ
このA、B、C工区が五月に完売してか
せていただいておりました。
財団の四プロジェクトぐらいのお手伝いをさ
永井 ええそうです。それ以前には、私は
山東 技術的な指導を。
次の問題は宅地の各社配分の件です。宅地
タウンハウス﹂の問題を中心に、乱暴な言い
に、高尾のプロジェクトの前半は、 ﹁戸建て
山東 これまでのお話からわかりますよう
公庫さんから発表されましたが、私はこれが
う、きわめて高度な考え方の施策が住宅金融
うするうちに、いまお話しの高規格住宅とい
いろいろな議論があったと思います。そうこ
ていただくかということについて財団内部で
いくら、建物代はいくら、どの程度のレベル
にするかといった点を財団と協議し、交通整
意識を公社が持っておったということだと思
も一様でなく、眺望がよい場所とかいろいろ
とは予想しておりませんでした。ただこれが
直ちに高尾の次のプロジェクトに検討される
います。
ある。また各社手持ちの住戸タイプに向き不
がなされた。それが非常にうまくいって、入
方ですが結果的には実験的と言っていい試み
理ができた。
なかなかむずかしい問題のようでした。
向きの宅地もあるというわけで、その配分は
三分の一ぐらいの要素は、街並みづくりとい
お会いしたとき、 ﹁この高規格住宅のなかの
からだんだん具体的にブロック割りができま
られている。これは財団で関係するのにうっ
うことをイメージしていろいろなことが決め
発表されましたころ、財団の前の専務理事に
して、その上に、民間のハウスビルダーが仕
てつけの内容です。財団のプロジェクトはみ
それで、その後の計画では、一回目の手法
事をするという状況に移ってきている。その
な高規格的と言えますからね﹂というような
居者の方々にも受け入れられた。
は五月の末だ、これをはずしては困る。その
段階で、価格の問題とか社会的なニーズの変
ぶたってしまった。一方、販売に好適な時期
でに、ということになってしまったのだと思
結果、猪狩先生には十一月に話をして二月ま
化とかいうことから、高規格住宅みたいなも
そういう調整をしているうちに時間がだい
います。
コストについては、財団の高橋さんや武田
ことを申しあげたことがあります。
六月十四日の高規格の発表からたぶん一カ
のが採用されることになったわけですね。
﹁そんなことを言ったって⋮⋮﹂という各社
さんにいろいろご苦労いただいた。後ろには
永井 私ははじめのA、B、C工区のとき 応援してくれないか﹂という話が、ありまし
チされたわけですか。
山東 永井さんは、高尾には最初からタッ
宅を入れた建売りをやりたいから、なんとか
ないが、高尾の次のプロジェクトで高規格住
団さんから、 ﹁まだ都公社さんとは話をして
月ぐらいたったころだったと思いますが、財
で相当苦しい事情にある。財団と公社の間
いかかわりがあるものですから、 ﹁できる範
た。私どもの会社も財団さんとはいろいろ深
高規格住宅の導入に苦心さんたん
で、かなり厳しいやりとりがこの半年の間に
には直接はタヅチしておりませんで、これに
た用地ですから、市況のなかで事業化する面
がある。公社は公社で、十年もかかえておっ
あったわけですね。
関係している社員を指導するような立場に社
囲でお手伝いさせていただきます﹂というこ
計に入った段階で、﹁自然をいかす街づくり﹂
内ではありました。
山東 そういうことで、こんどは実際に設
あるいは﹁人と車の共存する街づくり﹂とい
一13一
とで、当時の礒谷部長を補助するという形で
スタートしたわけです。
苦労したのは、高規格住宅というのがまっ
たく新しい施策でしたので、どういう基準
で、どういう方法で評価されるのかまったく
わからなかったということが一つあります
ね。
それと、財団のなかには、工業化住宅に携
わっている会社と、私どもの会社のように木
ォー工法をやっている会社、大きく分けると
造軸組みをやっている会社、またツーバイフ
この三種類の業者があります。その業者全部
がクリアできるような、財団としての一つの
起させていただいたのは、六十年の八月九日
話し合いがありまして、正式に書類として提
ってきたものもそういうものだったと思いま
みんなも計画していましたし、実際でき上が
労することはなかったし、前のことに従って
す。
です。区画全体の財団住宅祭の計画と、高規
という﹁グリーンタウン高尾高規格住宅計画
格住宅はこの部分に入れさせていただきたい
造成が済んでいまして、駐車場も位置がきめ
ただ、いちばん違っていましたのは、二次
それからがものすごく忙しくなりまして、
かったコンクリ:ト擁壁がたくさんみえてい
られておりました。それと、できれば避けた
の提案﹂をつくりました。
この高規格住宅の住宅金融公庫さんの締切り
二戸ずつ企画したわけですけれども、十二社
と思います。そのなかで、高規格住宅街並み
後半の工区のものとの大きな差じゃないかな
に、短期間で書類、図面を完備しなければい
二十四戸分の書類を提出日までに全部そろえ
づくりの考え方というのは、仕様を読めば、
った前半の工区のものと、ここでやりました
るという非常にむずかしい作業になりまし
二重植栽をつくれというふうに書いてあるよ
たということ。そのへんが先生のおやりにな
た。私も何度財団にうかがったか覚えていま
うな状況もありますが、これは財団としては
けないわけです。十二社のメンバー会社が各
いきまして、書類をつくる作業に掛り切った
せんが、何しろ二、三日に一度は必ず財団に
くクリアできた部分です。
常日ごろやっていることですから、そこは軽
わけです。
あと、高規格住宅とそれ以外の住宅と、外
ました。実際、外構で差があるとしたら、植木
何をそろえたらいいのか、だれもよくわか
が一本多いぐらいじゃないかなと思います。
ようという考え方のほうが大勢を占めており
のお昼前後にやっと書類ができ上がってお持
観からみて、明らかな相違が出ることは避け
ちしたのじゃなかったかなと思います。それ
がまったく使えなくて、持って帰って徹夜で
何社かのメーカーさんには、出てきた書類
でした。公社さんには、それこそ締切りの日
からすぐ評価していただく建築センターのほ
らないという状況だったものですから、大変
うに回わしていただいた。物理的にずいぶん
考え方をまとめ、また、先生方に評価してい
う非常に大きな問題をかかえながらスタート
大変だったなあと、いま思い出しています。
ただくための統一的な書類をつくらなければ
してしまったわけです。
したというようなこともありましたが、つい
書き直してもらい、翌日公社さんにお持ちに
ならない。そういうことが可能なのかなとい
最初は礒谷部長と私と亡くなりました武田
高尾ははじめに猪狩先生が非常に緻密に計
ころで私のほうでお手伝いさせていただいた
画・監理をされ、基礎はでき上がっていたと
いたしました﹂という報告が入りまして、胸
格のほうも、お陰さまで相当高い倍率で完売
先だって、うちの財団の担当者から、 ﹁高規
部長と三人で公社さんにお伺いしまして、
ということでして、計画面については考え方
﹁こういうような形で残りの工区についても
参加させていただけませんか﹂ コ局規格住宅
がはっきりきまっておりましたから、そう苦
をなでおろしたところです。
という提案をいたしました。その後たびたび
をぜひ含めて建設させていただけませんか﹂
一14一
座談会・戸建てタウンハウスの街づくり
取り入れられたのは、都公社さんだけだった
たしか関東地方の公社さんで高規格住宅を
ら。
売れ残ったら、それこそマイナスの上塗りで
方としては、需要層の拡大という発想が納得
ある意味では決断かもしれませんが、考え
うのか﹂という意見もありました。
宅地分譲の一般的な動向は、いっぺんに百
さんからお話をいただいて、採用にふみきっ
性を得られたのだと思いますね。それで財団
けですね。高尾では、総量五百ですから大変
永井 あのときに、財団のメンバーさんの
たわけです。
なことです。ましてこの不況の中で、建物を
・いたい二十だとか、大手でもそうしているわ
区画を販売するなどということでなくて、だ
あるというわけです。しかも量が多いですか
のじゃないかと思います。そういう意味で都
公社さんの英断には感服したものでした。
住宅分譲事業と民間活力の利用
山東 グリーンタウン高尾の最初のきっか
りましたね。メーカーさんが申請したものの
なかでも、高規格を別の地域で申請されてお
ウンハウスをやってみうということで、財団
されないと宅地としての魅力も生まれないと
ところが、住宅地としての熟成が早く期待
な思想をもった設計が二十四戸あるからだろ
その原因が、たぶん高尾の場合はいろいろ
スクを感じていた。
建ててセヅトで売るということに、非常なリ
にお話があったわけですけれども、財団と申
いうことで、戸建てタウンハウスをやって、
ロックをご提供いただいて、そこに戸建てタ
けは、公社さんのほうから土地のスーパーブ
しましても、これは実質的には民間の力を使
ータルマネージによって前半の工区が成功し
猪狩さん、加盟各社の努力、財団の適切なト
の相違かなと思っていました。しかし、最後
うなということは想壕しつつも、結局は意見
そういうようなことで、公社というパブリッ
づきになっていらしたと思いますけれども、
あったわけです。もちろん公社さんでもお気
ら高規格住宅を使ったらどうかという提案が
できた。そこに高規格のお話をいただいたわ
と、適量戸建て分譲を入れることで思想統一
と、五百の宅地のままの販売はむずかしい
る形を一方ではっくりながらやっていかない
建物を入れて、ある街区、ブロックが成熟す
まずいそ、建物も適量入れようではないか、
が、建物についてはそんなに問題がなかった
ものですので実際の内容はよくわかりません
永井 そうですね。評価の記載もごく短い
すけれども⋮⋮。
境の評価とを別に区分けはしていないようで
山東 高規格については、建物の評価と環
は高尾もよく評価されて安心したのでした。
いた。
った高尾のほうがちょっと低い評価になって
うということですね。それからいまの高規格
たわけです。後半でも、宅地だけじゃやはり
ほうが評価がよくて、公社さんがおやりにな
の話も、つまりはむしろハウスビルダー側か
いは猪狩先生のような民間のコーディネータ
クな事業主体と民間のハウスビルダー、ある
けですね。
黒坂 問題は環境でしょうかね。
に思います。
を多様化すればするほど、需要層を拡げて確
共同分譲住宅を企画する場合、規模、仕様
ーの方々のご協力ででき上がったというふう
また黒坂理事にお聞きしたいのですが、民
を出しまして、階段の幅とか手摺りとか小屋
永井 設計についてはけっこうるさい注文
山東 話題をもう少し大きくいたします
いぶん要求を出してやったつもりです。
裏収納だとか、面積だとか、そんなものをず
ように感じています。
て、意思決定に相当なご決断があったのだろ
間のそういう能力を使ったということについ
るかということで、高規格のお話は、大西理
保できる。戸建ての場合それをどう多様化す
うにお感じになっていらっしゃいますか。
うと思いますけれども、そのへんどういうふ
た。しかし、 ﹁売れ残って五百近くかかえて
事と私は採用しようと話し合っておりまし
いる時期に、さらに建物投資のリスクを背負
黒坂 宅地分譲の部分については、宅地で
売るという方針でいました。住宅をつくって
一15一
からお話があって動いておりますが、先ほど
財団としては他のプロジェクトでも公社さん
と、グリーンタウン高尾だけでなく、いまも
は、そういうふうにしませんと、高地価のな
方には大変な魅力になります。いまの時点で
黒坂 非常に違いますね。これは買われる
山東 そんなに違うものですか。
のは、非常に重要なことだと思いますが、そ
ィネーターの方が補って提案をなさるという
れについてはどんなふうにお考えですか。
申し上げたように、いままでは公社さんの技
ケースが通常のケースなわけですけれども、
術陣でおやりになって、販売もやる、こういう
ですから戸建ての場合でも、私どもが設計
り立ちません。
かで、しかるべき規模の住宅の商品企画が成
の仕事がかなり増える傾向にあるようです。
と痛感します。と申しますのは、最近この種
事をさせていただいて、非常に大事なんだな
黒坂 いま私どもは、分譲事業については
はどういうふうにお考えになりましょうか。
では、建設コストに自ずから大きな差が出て
蓄積され合理化された設計及び工業化工法と
りとかセンターに最寄りとかのかなりいい場
ュータウンなどもそうなんですが、駅に最寄
ちの集合住宅地や、関西でも神戸市の西神ニ
例えば住宅・都市整備公団で東京外周にお持
ディネーターの役割というのは、こういう仕
民間側のハウスビルダーなり、あるいはコー
だいての在来工法と、それぞれのメーカーに
をした、あるいは設計事務所に設計していた
猪狩 たしかに、私どものような民間コー
まく活用するということは、公社さんとして
ディネーターなり、いろいろな方々の力をう
民間の力の活用のほうにむしろ向けていま
いただけるように商品の質は高くし、分譲価
くるわけです。やはりユーザーの方に買って
格はほどほどに仕立て上げるためには、いま
まして、それを戸建てタウンハウスにしょう
す。といいますのは、やはりユーザーの所得
と分譲価格との乖離をできるだけ小さくしな
はどうもその道しかないということで、別の
ーブロックの大画地が時代に即応しなくなり
いと事業につながらない。それには、総体的
との土地の価格設定を集合住宅に合わせてい
というのがたくさんあるわけですね。もとも
所で、当初集合住宅地としてとられたスーパ
な事業企画を立て、その事業企画のなかで、
す。
ますから、戸数密度をかなり上げませんとえ
らい高い売物になってしまう。売りやすい価
をえない。密度が高くなると、どうしても建
格帯にするために戸当り画地を小さくせざる
て詰まりがひどくなって街並みが崩れてきま
いうか、 一つのシナリオやシステムをつくっ
す。そこで、まさに街並みコーディネートと
て、どんなに軒がくっついてもそれほど混ん
ども、中高層住宅の場合には、かなり公社さ
山東 これは私の独断かもしれませんけれ
ウスビルダーの役割
重要な民間コーディネーターとハ
案件でもそういうことをお願いしておりま
いかに合理的に、また魅力あるものに仕立て
上げるかという具体の住宅企画、ひいては建
する必要がある。
設コストの企画、これらをなじませて商品化
中高層の分譲住宅ですと、コンクリートプ
レハブ工法を使って、それぞれのプレハブメ
ーカーが自社で開発したいちばん得意なもの
だ感じを与えないような工夫が必要で、それ
を駆使すればコストが下げられる。公社の事
●か街並みづくりとかについて、ノウハウやい
んなりパブリックな事業主体に、配置計画と
をあらかじめやるとやらないとでは、できた
業企画に基づいて、それぞれの社の固有のノ
ウハウを活用した性能競争提案をいただい
礼な言い方になりますが、戸建てタウンハウ
ろいろな蓄積があるように思います。大変失
スも含めて戸建ての住宅になると、街並み形
神ニュータウンのなかに公団がおやりになつ
私がやったものではないですけれども、西
ものに非常に差ができてくると言えます。
て、そのなかのいちばんぐあいのよいとこ
ろと契約させていただく。そうしますと、設
の周辺の方式では、そのへんを民間のコーデ
成のノウハウが比較的少ない。ことに大都市
額下げられるわけです。
備・仕様等を高めながら、建設コストが相当
一16一
座談会・戸建てタウンハウスの街づくり
あるんですね。あれはなかなかグッドアイデ
た二戸一と= を混在させたニュータウンが
住宅方式がますます重要視されてくると思い
は、これから戸建てタウンハウスという集合
る。それに影響を受けるような形を求めつつ
から完全に整備されている一つの街区をつく
めまして、そこにはいまお話のような住環境
黒坂 いまのお話を伺っていて思い田した
す。このように相当密度の高い一戸建てプラ
宅地規模をある程度抑えさせたわけです。
高額分譲物件になってしまうということで、
地規模が大きいにこしたことはないけれど、
ていただきましたように造園部門のスタッフ
ことを条件にしておりますし、今回もやらせ
とはほとんどしておりません。建物を建てる
でも、幸いうちは土地だけで売るというこ
いうところですね。.
ス草戸建てのいわゆるタウンハウス方式もあ
がたくさんいるものですから、造園、外構関
のですけれども、あの時期の販売として、宅
売っていくというぐらいが精いっぱいかなと
ます。
ィアだと思います。うまく混在しているため
に、二戸建てが入っているようには見えない
んです。ともあれ戸当りネットの敷地面積が
ると思います。
とすると、本当にみみっちい、まずい開発に
単純に土地を小さくして、専有で戸建てだ
ます。そういう意味では、ある程度の統一感
係の仕事も一緒に受注させていただいており
一五〇平米を切るといった場合も出てきま
っしゃいました所有権の問題ですね。日本で
あと、ネックになるのは、先ほど理事がお
た。ところがなかなか方向がみつからない。
なりますね。それで、財団でご議論なさっ
す。
いちばん根強い、共有物というものに対する
抵抗感があります。だから、軒と軒、壁と壁
いないかということで、その道のプロの優秀
街並みのトータルのマネージは⋮⋮。だれか
をとった街並みはできつつあると思っていま
がくっついていても、物理的に何らかの形で
は、ここ五年ぐらいじゃないですか。その前
ただ、そういう考え方が実際に出てきたの
切り離すことが可能であれば、いわゆるゼロ
な方にされたほうがいいんじゃないですか、
なわけですね。計画的にやれば、それででき
いる。そのほうがよほど空間もできて合理的
有でありながら、一方の壁はほぼくっついて
私は思います。つまり建物も専有、土地も専
にお考えになっているのでしょうか。
うかというようなことについてはどんなふう
もの、街並みをどうそろえながら売っていこ
ビルダー側として、そういう住環境みたいな
山東 たとえば永井さんの会社で、ハウス
猪狩 なるほど。
という考え方にだんだんなってきましたね。
できておりますので、そのほうがすばらしい
しゃったような思想をもってやった街並みが
なかったんですけれども、最近は先生のおっ
ばらにできていても、たいして違和感を感じ
ば、こうなったということですね。
ということをいろいろ注文つけていったら
ロヅト方式といいますか、そういう方式がこ
るわけですし、所有観念も満足させ得る。そ
やっとそういう一つの街並みをつくるとい
れからの解決方法としてあるのではないかと
れからこれ以外に有効なところに共有のコモ
永井 われわれのもっている土地を売ると
ってきたし、お客さんも一つの団地なら団地
うことを社会も会社も認めてくれるようにな
ですからこれは、専務のお.っしゃるとお
やく街並みができるわけですね。
ほど確保すればいいではないか。そこでよう
せんけれども、やはり指導的なブロックを定
く、今回ど似たようなことになるかもしれま
部を同じ方法で売るということはむずかし
の三つがありますね。やはり一つの分譲地全
い玄うちでは㍗ご存じかもしれませんけれ
う現状だと思います。
うがいいという評価をしてくれている、とい
のなかで街並み形成のされているところのほ
ったら洋風、次が和風、洋風、和風と、ばら
ンスペースとか小公園をとる。その公園も、
まう方法、建てるという条件で売る方法、こ
きは、建てて売る方法と土地だけで売ってし
までは、お客さまのいうとおり、洋風だとい
る。そういうものを、宅地面積が小さくなる
公共物として移管しない自分たちの公園にす
り、 一つの手法、ノウハウなんですね。私
一17一
尾を参考にさせていただいて、街並みづくり
ころがありますので、このグリーンタウン高
ども、この団地の近くにこれから造成すると
う方法をとりました。最終的には若干協定違
メーカーがそれを参考にして色ぎめするとい
ほうでマーキングして各社さんに渡し、担当
に心がけたいと考えています。
には目をつぶることにしました。︵笑︶私は、
反もあったようですが、これも売り切るため
る、そのまた近くに公社も一つ用地をもって
ますね。むしろ全部色を同じにしますと、退
あるルールを守れば、色は変えていいと思い
屈なつまらない街になってしまうと思いま
が違うから色は同じにしていいではないかと
す。プランがみんな違うわけですし、プラン
黒坂 カラーの統一というのは、多様のな
いうのは、そうでもないんですね。
山東 話は変わるのですけれども、さっき
独自の建物の形態、あるいは材料自体の差、
と、高尾的にはならないでしょうね。十二社
それから、一社が事業企画をされるとなる
かなと思いますね。
にも画一的な統一というのは、美としてどう
かでの統一ということでやるべきで、あまり
デザインの統一性と多様性
猪狩 そうですね。
おります。
黒坂 殖産さんがこの近くでやってくださ
隅コ麟薄
、驚、
猪狩先生がおっしゃったなかで、入居者の方
から、壁の色を統一したらどうだというよう
なご意見が出てきたということですね。
私の狭い経験ではむしろ、統一的という意
味を画一的というふうに解釈されて、無理や
らわれるというケースも多いようです。
り外観を同じようなものにすると購入者にき
が、それをいかに統一化するかというような
です。グリーンベルトとか集合門柱、カーポ
けるところにメリハリをつけようということ
しました。つまり統一するところと変化をつ
うコミュニティの醸成に役立っている。
なで環境づくりに精を出す。多様性はそうい
し、住まわれて管理組合で大事にして、みん
た方は、買うときに好みの選択があったろう
きていると思うし、それを買われて住まわれ
なかの統一というか、それであの雰囲気がで
同じ色でも微妙な違いがある。その多様の
ところのご苦心は、猪狩先生、最初に設計な
の色が変化の部分です。
ートなど共通外構がいわぽ統一部分で、外壁
騨糊
憲臨裂
か。やはり外構とかそういう部分ですか。
とで、地域のイメージになっているんですよ
現実にあそこは非常にいい団地だというこ
ね。なかなかいいハイレベルの住宅地だと。
てくることによって街並みを引き締める効果
そこで、こんどは宅地分譲を買われた方が、
壁の色で、ダークブラウンなど濃色をもっ
と、そうではなく、まったく個性豊かにそれ
ナーなど目立つ所ほどあるわけです。ですか
は、街路の突き当りになる部分や街角のコー
しろ完全に同じパターンを繰り返すところ
ぞれ思い思いにやっていくところを、はっき
建物を建てるスピードがまず速いし、建つ建
り分けようではないかということでスタート
ら、あらかじめマスタープランの段階で私の
猪狩 今回は、タウンハウスとはいえ、む
さるときどんなところにあったのでしょう
一つ一つの単体の建物はみんな違うわけです
そのへんの統一性とか画一性ということ、
灘
一18一
座談会・戸建てタウンハウスの街づくり
亀
られると思いますが、それは戸建てタウンハ
また現地にいらっしゃるとある雰囲気を感じ
う雰囲気をなおつくってきていますね。最近
物の雰囲気がまた、いいレベルの住宅地とい
ぶ苦労しています。︵笑︶しかし、うれしい話
黒坂 多いんです。当店のスタッフもだい
山東 大変見学者の多いところですね。
れていくらしいですね。
す。モデル地区として市のお客さんをよく連
計画をかけたモデルになっているんだそうで
黒坂 そうです。建設大臣賞もいただい
猪狩 松ケ谷ですね。
などを皆さんで相談されてつくられた。
単位の七棟の地域コープですが、七棟全体に
二戸がつくられた。これは二十戸ぐらいが一
ンに中層で在来工法のコーポラティブ百四十
たまたま先ほど申しあげた多摩ニュータウ
.ガ
ウスを猪狩先生にやっていただいた、それが
ですね。
噛
普遍して広がっているんだろうという気がし
いまお話しのように、市にも評判がいい。
古
ますね。それも多様のなかの一つのムードに
て、ずいぶんあちこちから視察も来た。それ
ミ .
なってくる。
あそこに出入りするタクシーの運転手さんも
ついて、棟単位に壁の色とかサッシュ、外構
高尾を当初に相談にいったときと、い次ま
のか﹂︵笑︶という。﹁いや、お金と皆さんの
黒坂 話がちょっと飛びまずけれども、市
れるとよくわかっていただける。
猪狩 本当にあれはよくできていますね。
お金の話だけじゃないでしょう。
しますと、 ﹁ほほう、こんないいのができる
山東 建物とかああいうものは、本物を見
ご希望があれば、いくらだってできますよ﹂。
を再開発組合の野暮つたいと言う方にご案内
せないとなかなか理解してもらえないです
それでいっぺんにオーケーになったんです。
﹁いいですねえ﹂と、評価が高い。
ども、だいぶ地元市の感じが違います。公社
ね。図面やなんかがきれいに書いてあって、
山東 お金もいりまずけれども⋮⋮きっと
の団地開発の相談に入りつつあるのですけれ
はいい開発をするということで。
だけないけれども、ちょっと現物をご覧にい
それをご覧にいれてもなかなかわかっていた
猪狩 都市計画の権威でいらっしゃる日笠
高尾の評判、公社の評判
端先生が八王子市の委員をなさっていまし
神谷宏治先生にまとめをお願いしたんです。
計事務所についてもらい、また全体について
各棟ごとに何にでも使える余裕室を二つず
黒坂 一棟ごとにオルガナイザーとして設
ルガナイザーとして入るんですが、 ﹁どうも
組合をつくる、そういうところに私どもがオ
公社や公団は着実なところは安心できるけれ
つつくって、ある棟の一部屋はお茶室、ある
街地のなかの権利者の方々が集まって再開発
ン高尾にご案内することになりまして、九月
をしてくださっていることからグリーンタウ
ども、つくるものが野暮つたい﹂と言う。ど
きに利用する寝室などにしている。また、い
棟のは音楽室、それから地方から客がきたと
て、市内の目白台にお住まいなんですね。私
の末ごろ、市の都市計画課の方々と一緒に先
ね。
うもと、二の足をふむ傾向があるんですよ
がいま関係していますプロジェクトの委員長
生を現地へお連れしたわけです。私は初対面
の人たちでしたが、その市の人がとくとくと
す。
てからというので、留保している分もありま
そういう用途をみんなで相談してきめてい
ますぐにきめないで、何年かたって落ち着い
る。管理・運営についても相談する。忌揮の
所得対策ですから、自ずからある自制の線が
を目指している。それがいまの時代になる
国家的にも公社自体にもあって、あるレベル
ないぶつかり合いがあるし、共同で維持管
ところが、それは公庫、政府資金を使う中
は﹁これはいいよ。こういう街をこれからは
と、野暮つたいということにつながるわけで
自慢していらっしゃるわけですよ。︵笑︶それ
っくらなければいけないよ。市の人が誇らし
すね。
で、地区計画制度の創始者でもある日笠先生
そんなぐあいで、当団地が八王子市での地区
げに言うわけだ﹂とおっしゃっていました。
一19一
が進む。いまのところものすごくよく回転し
理、経営していくことでなおコミュニティ化
えになっていらっしゃいますか。
理というのは、むずかしい問題があるとお考
います。
っておるし、行くゆく担保もできると思って
ら、管理していくための財政的な経費がどの
思っています。ですから、管理組合の規約か
ども、戸建てでそういう例はあまりないわけ
円にだいぶ議論がおありだったようですけれ
月一万円徴収していますね。当初、その一万
猪狩 管理費を、下水処理場も含めて、毎
猪狩 入居者の方にも見せていただきまし
ぐらいかかるか、そういうことをもろもろ管
黒坂 いや、むしろそれが目的の一つだと
たけれども、非常に喜んでいらしたですね。
ですね。これはマンションと同じ考えであれ
ているようです。
それと、隣の住宅と全然違うということが、
理準備組合に資料をさしあげて、管理組合成
とおっしゃっていましたね。
ば当然ではないかということで、踏み切った
黒坂 そうですね。
立のご指導はしております。むしろそういう
ものを適切に管理できるようにすることが、
猪狩 一万円のうち、六対四で四が下水処
黒坂 そうなんですね。
猪狩 プランがきめられていますから、入
ることが、私ども分譲の最終的な意義だと思
最終的に自主管理できるような管理組合にす
大変な誇りなんですね。
居者の自由になるのは内部だけなんだけれど
理場に使ってるそうです。
黒坂 下水処理のほうは当然清算ですか
っております。公社が建物を売るということ
も、それでも満足感が全然違うわけですね。
だけではなくて。
黒坂 そうそう。それと全体環境ね。全体
の色なども、建設委員会の議論のなかで、コ
です。何も固定することはないんです。
ら、余ってくれば、それを減らせばよいわけ
猪狩 ああ、そういうことなんですね。
とをもたらす⋮⋮。
黒坂 共有地をあえて残したということに
黒坂 先ほどの百四十二戸のコーポラティ
山東 むしろ共有地それ自身がそういうこ
は、そこに意義があるわけです。
ブは、七棟の管理組合の共同管理ですね。建
の系統色をおみせして、そういうなかからの
山東 いままでですと、共有地の管理が問
も、敷地全体は百四十二戸の共有です。独立
物はばらばらの区分所有の共同体ですけれど
いですね。
題になる、という意識のほうが強いことが多
ーディネートしてくださった先生がいくつか
選択です。
意義ある共有地の管理の指導
山東 いま松ケ谷の管理のお話が出ました
すと、管理組合の維持・経営ですね。それを
心会場の立派なものもあります。そうなりま
むしろ目的としているつもりです。
画された敷地区画ですね。それで、外まわり
だから、戸建てタウンハウスとあえてがん
黒坂 宅地分譲のほうは、完全に道路で区
王子市に移管するということでほぼ手続を終
共有地といいますか、残地ノリ面、これは八
が、おそらくグリーンタウン高尾の一期目の
た、共有地の管理が最初のご提案のときとく
えております。
ところの、はじめに猪狩先生がご指摘になっ
らべ将来どういうふうにランニングで進んで
ばったのは、そこにあるわけですね。ただ、
ところ大変うまくいっておるようですけれど
問題のように思います。高尾の場合、いまの
ご計画になると、何らかの形で残っていく
と思います。おそらく戸建てタウンハウスを
黒坂 いまのところ適胡に維持してくださ
き点になりましょうね。
山東 そのへんはこれから非常に注目すべ
むしろ目的としてあえて使う。
だから、戸建てタウンハウスの星団有地は、
ただ、おっしゃるように、共同住宅でも独
いということですね。
山東 そのへんは非常に日本ではむずかし
問題がやはり⋮⋮。
オール共有タウンハウスですと、資産形成の
いくかということは、かなり問題になろうか
も、公社さんとしても、そういう共有地の管
一20一
座談会・戸建てタウンハウスの街づくり
うけれども、初めからそういう条件での地域
黒坂 それが途中からというと大変でしょ
るか自分で使うかという差だけだと考えれば
なかでも要るはずですから、それが外側に出
でもある程度の個人的な管理費は、専有地の
また妙な話なのかもしれませんね。独立住宅
あって、違わなければおかしいというのも、
立住宅でも、本来管理費というのは、同じに
それはその相剋のなかで議論されて、管理
くかはあるでしょうが。
けですね。ただ、時とともにどう変化してい
は、そういう価値観のなかで選択しているわ
黒坂 少なくともいま居住の大多数の方々
はわかっているようですね。
しかし、こういう考え方は、住んでいる人
を管理規約でうたってあります。
それから門扉ですね。門扉も無断設置の禁止
下埋設はできなかったのですけれども⋮⋮。
黒坂 そうです。ただ、公社がたきつけて
かという気がするわけです。
実はそんなことが私はあっていいのではない
社さんなり設計者なりに相談に来るという、
理組合でそういう意見になった場合には、公
屋をのせたほうがいいではないかという、管
猪狩 車の維持のためには、どうしても上
黒坂 そのとおりですね。
ってきつつあるということですね。
のみならず、ソフトなコミュニティにつなが
墨磨 それは単なるハードなコミュニティ
は定着していますね。
:・:●o
形成のなかに入れば、そうむずかしいことじ
う。管理組合でいろいろ相談するということ
猪狩 そうだと思いますね。
相談のなかで動いてくるものでしょうね。
ということではなくて、地域の議論のなかで、
組合としてある軌道を補強すればよいでしょ
ゃないと思いますね。
管理上の問題がコミュ一一ティづく
りにつながる
山東 先ほど地区計画がすでにかかってい
猪狩 全部です。五百九十七区画全部にか
山東そのほか、カーポートの上屋とかい
かっています。
のへんまでですか。
猪狩 今後出てくると思います。それをど
山東 内容はどのへんまで地区計画はして
るというお話でしたが、地区計画の範囲はど
こまでコントロールできるかということです
おられるのですか。
ろいろありますが、これも非常にむずかしい
ね。カーポートの上屋をつける場合は、その
猪狩 ︵資料をみせながら︶これが内容で
問題がありますね。
して、それをオプションでユーザーに買って
す。
街並みにふさわしいデザインのモデル設計を
す。てんでんばらばらの上屋デザインでは、
もらうという方式をとれればいいと思うので
です。無断でやってはならない。壁面線の後
猪狩 全部届出制になっているということ
ことではないですね。
山東増改築は、まったくできないという
永井 そうなんです。
退とか、フェンスは生垣で、コンクリートブ
それだけで街並みが崩れてしまう。
屋と電信柱が、街並みの敵だとわれわれはよ
ロックとか石積みはいかんとか、要するに緑
猪狩 そういう意味では、カーポートの上
く言っているわけです。残念ながら電線の地
一21一
化協定、建築協定とまったく同等ですね。そ
すし⋮⋮。
か雰囲気ができ上がるまでに時間がかかりま
山東 やはり一般建物だけですと、なかな
ような感じがします。
これもまた多様の美ですよね。それができた
らなものになるおそれがある。戸建てタウン
黒坂 成熟するのにね。それから、ばらば
すね。
けです。
れが市に対する届出という形をとっているわ
猪狩 そういう意味では、民活のいい例で
とんど状況は変わらないだろうと思いますけ
山東 そのへんがうまく活用されれば、ほ
いうものだと思いますね。
猪狩 それぞれのメーカーの個性を最大限
永井 それをまた十分コントロールしてい
引っ張り出している。
いうことですね。
劇℃
ただいた、総合的な美しさの仕掛けもあると
羅 嚢纏
黒坂 しかも、実際に公社の事業ペース、
薄曇.・
ついがんばっちゃうんでしょうね。︵笑︶
のマネージをまた財団にしていただいた。
分譲価格ペースに乗らないといけない。そこ
の皆さんと調整することはなかなかできない
黒坂 公社がじかに個々のハウスメーカー
か時期とか、非常にリアリティのある問題と、
ところで、理事がおっしゃったように価格と
団の場合には、具体的にものをつくるという
の努力がなされてきたわけですけれども、財
山東 いままでも街並みについては各方面
し、いろいろ問題もあるし、だから財団さん
かつ全体的な統一という問題があります。財
民活の本来のすがた
山東 それはありますね。
るんでしょうね。隣に負けないようにとか、
猪狩 あとから建てるものが全部影響され
すね。周辺のレベルが必ず上がってきます。
永井 全体のレベルを上げるということで
ているような気がしますね。
ハウスの開発が、何とないインパクトを与え
黒坂 民活というものの本来は、私はこう
れども、しいて言うならば、問題は入居者が
入れ替わったりしたとき、コミュニティがど
う変わっていくかということになりましょう
ね。
ただ、いまのところは、すでにあそこの住
宅地としてのイメージが、タクシーの運転手
さんにまで徹底してきているということです
ね。
永井 きれいに緑が育ちまして、ほどよい
高さになっている、そういう美しさがA・B
工区にはうかがえますね。
猪狩 高規格のほうも、ひと夏過ぎてすっ
かり植栽密度が上がりまして、私、日笠先生
をご案内したときに、 ﹁こっちもなかなかい
いじゃないか﹂とおっしゃったですね。ずっ
と蔦をたらして擁壁を隠したりしているとこ
ろ、﹁こういうアイディアだよ、大事なのは。
これからはちょっとした心づかいだな﹂なん
て、しきりに言っておられた。
永井 前の山にちょっとかかっている部分
猪狩 けっこう風格のある住宅地という感
にお願いして、そこに猪狩さんがうまいぐあ
団がやるとすれば、そういうコーディネート
しれませんね。
じになってきましたね。
いに機能していただいているということで、
もありますから、借景としてはよろしいかも
黒坂 風格、品位がある。
一22一
座談会・戸建てタウンハウスの街づくり
いま別のもう一つの土地、八王子市川町の
ってきた限界がこれなんです。
ければと思いますね。
プロジェクトがあります。これについてはシ
というかフィルターとして役立たしていただ
黒坂 そのとおりです。ですから、私ども
エレメントを入れて多様の試案をつくり、そ
れぞれのエレメントのセッティングのなかで
ミュレーションをやっています。いろいろな
事業企画、商品企画の最終選択をしよう、そ
いるのですけれども、その自信というのは公
のうえでフィジカルプランを固めよう、とし
も同じような物件の場合には、自信をもって
ート、オルガナイズして同じような仕組みで
社単独での自信ではないんです。コーディネ
ています。
に土木造成工事が先行してしまった。言い換
高尾については、フィジカルプランの、特
その要素には皆さんが入っているわけです。
整ったレベルの高い住宅地になったと思いま
つよい思想というかマスターイメージという
たということですね。
えますと、こういう宅地開発の経験がなかっ
のきいた黒づくりになったのではないかと思
設計をさせていただいて、その後最後まで販
猪狩 私、グリーンタウン高尾の当初分の
お話を伺いたいと思います。
たとくに感じておられることがありましたら
ご注文がおありになるかもしれませんし、ま
黒坂 実は、高尾は五十六年に市街化区域
を出されただけに残念な気がしました。
も行われ、あそこまで公社さんのエネルギー
きらいがある。その後は思いきった土木対応
の処理にしても、既成概念にとらわれすぎた
少しあったならと思います。道路付けや擁壁
すための工夫が、当初の全体配置の際にもう
道路の扱い、擁壁の扱い、あるいはロット
直らないもので、いつも往生しております。
というわけですけれども、現実にはなかなか
しまっていて、それをどういうふうに直すか
が、やはり土木のフィジカルプランができて
いま一つは、調査委託を受けたときです
は公団におりましたときに感じました。
山東 そのへんのむずかしさを、私も一つ
か、そういったものがあればもっとメリハリ
すけれども、欲を言えば、当団地全体を貫く
やればやれるという自信をもっていまして、
︵笑︶
土木のフィジカルプランが先行し
ていたが⋮⋮
売状況が良好で全戸完売となったそうで、こ
になり、そこで土木設計事務所に設計委託し
うのです。
れ以上の喜びはありません。ただ大変うまく
て造成計画ができあがっており、フィジカル
例えば、団地全体のアイデンティティを出
いったプロジェクトだけに、若干心残りの点
プランが先行してしまっていたんです。
るいはこれからもう少しこんなことをという
があります。
猪狩 そういう感じが非常にいたしまし
山東 それでは、高尾が終わりまして、あ
実は私、この財団プロジェクトの後、セン
地域開発という視点も含め、軌道修正しても
黒坂 そういうなかから、採算性も含め、
た。
ター広場、店舗付住宅、他街区の集会場と実
にも感じたことがあります。それは、全体と
施に関係させていただいたのですが、その際
してはバラエティに富んだそして生活施設も
一23一
ちらがいいとか悪いとかいうのではなくて、
のあり方など、建築と土木では、けっしてど
猪狩 それから、住宅祭でいいのは、各種
れた。
ょう。皆さんの側は公社という信用を活用さ
競争ですからね。
ていますけれども、でもある部分では完全に
猪狩 違うんです。それは違って当然なん
はがんばらざるをえないですね。高規格なん
の住宅を比較できますでしょう。だから各社
タゥソをなさったハウスメーカーのほうに建
黒坂 宅地分譲を買われた方から、戸建て
山東 ものそのものは確かに競争ですね。
ていく、そんな仲間意識みたいなものをもっ
違うんですね。
です。
そうですね。
か、特にそうじやないですか。
あれは一種のコンペですね。
財団でのデータはないですか。
永井
黒坂 フィジカルの前にエコノミカルが入
築のお話がいって成約したとか、そのへんの
永井
猪狩
り、もう一方ソシアルが入り、というふうな
意識をもった、どんなものにするかという道
そうなんです。設計施工コンペなん
黒 坂 公社がどうだ、猪狩さんがどうだ、
ですね。
がしますね。
黒坂 高尾の場合はもっと高いような感じ
みがっかなくなっていたわけです。
そうすると、最終的なユーザーの方の応募選
処分は一律に合意のなかでやっていますね。
永井 メーカーの看板がしょっちゅう立っ
山東 そうかもしれませんね。
六、七割ぐらいそうだということですね。
ですね。そうではなくて、あるものができち
財団さんがどうだでなくて、最終的な土地の
山東 直接的にはありませんけれども、
を模索して、総合編集することが必要なわけ
ゃっていて、それで市と話し合って、ひつ込
ンで一線にそろいますとよろしいわけです
猪狩 トータルマネージが、スタートライ
たと思っております。︵笑︶
に、皆さんそれぞれがほどよく売れてよかっ
山東 承知いたしました。
もいいですね。
れば財団さんでトータル把握していただいて
ていましたから。
猪狩 残ると、残ったメーカーが気の毒で
それから、私どもも、完成したときにビデ
択、これはテストですよね。
黒坂 いまは先ほど申しあげたように民活
ね。担当者に挨拶しにくかったりして。︵笑︶
ね。
してやっていきますから、マネージが行き届
永井 これはもう倍率に一喜一憂するんで
おります。できれば、一年後にもういっぺん
オで全部撮って、保存しておこうかと思って
うなことはできないですか。その面で、でき
いています。だから売れている。︵笑︶
すから。刻々報告が入るんです。
黒坂 あれは財団で何か報告をとられるよ
五十九、六十、六十一の三年間は即完売で
しかし、たまたま売れ残りが出そうになり
うなことをやらせていただいて⋮⋮。
撮って、三年後にもういっぺん撮るというふ
猪狩 そうなんです。
す。それは、商品企画も多様化し、魅力もつ
ますと、財団としてのいろいろな機能が働き
黒坂 だから、私どもは全部売れると同時
くったし、コストは下がっているからです。
まして、自分のところにきているお客さんで
一喜一憂、しかしフォローが大切
猪狩、公社さんのいままで培った信用と実
猪狩 それは是非おやりになるといいです
績のうえに、財団でコーディネートしたメー
山東植栽がどういうふうに維持されてい
ね。
にお連れするということもよくやっていま
かとか、そういうものをかなり時間をかけて
るかとか、あるいはいまの外構がどう変わる
一人でも多いお客さんがいれば、他社のほう
ですから。
ですから、何とかうまく調整して完売にもっ
す。常にそういうことはやっておりましたね。
カーのノウハウがまさに全部のっかったわけ
は皆さんのエネルギーにのっかったわけでし
黒坂 それを編集したわけです。われわれ
一24一
座談会・戸建てタウンハウスの街づくり
撮っておきたい。ぜひまず高尾を撮らせてい
に自転車が置かれているかどうか⋮⋮。
意図して設計しましたけれども、そこに実際
った。最後の最後の拠り所を残しているとい
う、そういう感じですね。
まりいろんなものを置かずに広場にしていま
最近は公園をけっこう大きくつくって、あ
のをやらなきゃいけないのじゃないか、とい
すが、何らかの形でそういう神社みたいなも
う感じはもっております。
いい環境はできないと思いますね。
パヅで、あとは何も共有地はないとなると、
はり完全に真四角な敷地を道路で囲ってパッ
黒坂 戸建てで環境をつくるとなると、や
しますね。お祭りするときに。
永井 あとはお寺じゃないかなという気が
やはり環境となると、地形を利用しての共
ふうに用意するかということです。
一緒にやらなければいけないものをどういう
くて、自然発生的なみんなの努力のなかで、
黒坂 いかに共用生活を拘束するかではな
よりよいコミュニティづくりへ
ただこうと思っております。
猪狩 春と秋に撮ったり、それでまた季節
感があるでしょうし。
山東 ことに中間領域をどういうふうに使
われているかとか、そういう話はどうもいま
まであまり蓄積がございませんし、具体的な
形でなかなか残っていませんので、わからな
いんですね。
永井 そうですね。自転車置き場なんかは
山東 あそこの裏側に大きな神社がありま
ます。
有地的な部分がどうしても必要だろうと思い
いうと、戸建てでも、さっきお話のあったよ
中層の先ほどのコーポラティブの経験から
すね。
山東 〃夕焼け小焼け”のお寺ですね。
猪狩 観栖寺。
永井 われわれもいつも思うのですけれど
ね。
うに、共有があってもいいだろうと思います
りますし、共有の問題に入りやすいですけれ
山東 中高層ですと、区分所有のこともあ
かにつくりますが、どうしてもお祭りのシン
ボルになるものがほしいと言われますね。
も、そういう集会警みたいなものを団地のな
猪狩 それはほしいですね。
黒坂 本当にね。神社をつくると大変だ
やはりモデルとしてみせて差し上げない
すね。
る部分は共有できちんとやれるということで
かし強制するわけにはいかないとしても、あ
し、チャーチをつくると大変です。ですから
と、なかなかわからないものですからね。
ども、戸建ての方はなかなかむずかしい。し
公社は地鎮祭もやりません。ただ、おっしゃ
黒坂 だから、施設としての立派な集会場
業主体は宗教的なものは⋮⋮。
るように、お祭りは大事ですね。お祭広場的
山東 しかし大変ですね。パブリヅクな事
なものは一生懸命用意するんだけれども⋮。
は煩わしいという面はあるかもしれませんけ
やテニスコートはステイタスでしょう。これ
れども、同時に、いいものでステイタスにす
山東 具体的なものはむずかしいですね。
きはいつも、何か残したなと思ったらそれだ
永井 われわれが大きな分譲地をつくると
一25一
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