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ペット販売業の持続的な経営に必要な社会 的責任の考察

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ペット販売業の持続的な経営に必要な社会 的責任の考察
Abstract /口頭発表抄録(3.5)
O-18
ペット販売業の持続的な経営に必要な社会
的責任の考察
Discussion of Social Responsibility of Pet Selling Business
〇奥田 順之 1)(Yoriyuki OKUDA)、東 善朗 2)(Yoshiro ADUMA)
1)特定非営利活動法人人と動物の共生センター(NPO Human Animal Symbiosis Center)
2)一般社団法人 Do It Yourself(Do It Yourself)
【背景及び目的】
しに行かない」と回答した人は、ネガティブ情報を知らない群
企業の社会的責任とは、
「責任ある行動がビジネスの持続的
( n = 40)では 42.5%(17 人)、少し知っている群( n = 183)
な成功をもたらすとの観点から、企業が事業活動やステーク
では 62.8%(115 人)、詳しく知っている群( n = 1378)では
ホルダーとの交流の中に、自主的に社会や環境への配慮を組
88.8%(1224 人)であった。ネガティブ情報を得る程、ペット
み込むこと」と定義されるが、ペット販売業においても重要な
ショップの利用意向が下がる傾向が見られた(図 1)。
経営課題になりつつある。2013 年、動物愛護管理法が改正さ
ポジティブ情報の認知の有無と、ペットショップ利用意向
れ、ペット販売業者に対する規制が強化された一方、2014 年
についての相関は見られなかった。
ごろより犬の大量遺棄事件が相次いで報道された。事件に合
ペットショップを利用する際に考慮する項目は、ネガティブ
わせて動物の飼養法や販売方法など、ペット販売業あり方を問
情報を知らない群に比べ、詳しく知っている群では、ブリーダ
題視する報道(以下、ネガティブ情報)
がなされた。近年のSNS
ー情報の開示、社会化の積極的な実施、展示方法の配慮など、
の発達に伴い動物愛護団体の情報発信が盛んになり、消費者
情報公開や犬猫に対する配慮に関する項目を重視し、立地・
がネガティブ情報に認知する機会は増えている。消費者がこ
アクセス、犬種猫種の豊富さなど利便性に関する項目を重視
れらの情報を認知することにより、ペットショップ利用意向の
しない傾向が見られた(図 2)。
変化や、利用の際考慮する項目の変化が予想される。
本研究の目的は、消費者がネガティブ情報や、ポジティブな
情報(ペットショップによる犬猫の保護活動等:以下ポジティ
ブ情報)を認知することで、ペットショップ利用意向に与える
影響を把握し、ペット販売業が持続的な経営をする上で必要な
社会的責任を考察することである。
【方法】
インターネットを用いたアンケート調査を実施した。調査
項目は①犬猫の飼育意向、②ネガティブ情報の認知の有無、
③ポジティブ情報の認知の有無、④ペットショップ利用意向
の有無、⑤ペットショップを利用する際に考慮する項目の 5
項目とした。調査期間は 2015 年 9 月 1 日〜 11 月 15 日とした。
【結果及び考察】
図 2 ペットショップを利用する際に考慮する項目
有効回答数 2535 人の内、今後新しく犬猫飼育する意向のあ
今後、マスメディアの報道や動物愛護団体の広報によって消
る人は 63.2%(1602 人)であった。その内、ペットショップの
費者とネガティブな情報との接触が増えた場合、ぺットショッ
利用意向について「犬猫を新しく飼う際にペットショップに探
プの利用意向が低下して、経営の持続性に影響を及ぼすと考
えられる。一方、ネガティブ情報を認知していてもペットショ
ップを利用する人の特徴は、情報公開や犬猫に対する配慮を
重視する点である。ペットショップが今後も持続的に消費者
の支持を得るためには、情報公開を進めると同時に犬猫への
配慮に注力した経営を行い、消費者がネガティブな情報を知
っていても利用されるペットショップであることが求められる
だろう。
図1 ネガティブ情報の認知とペットショップを利用しない人の割合の関係
Japanese Journal of Human Animal Relations 2016.3
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