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本日のテーマ (復習)個別企業の短期供給曲線 1)サンクコストと操業
(復習)個別企業の短期供給曲線 価格 本日のテーマ 短期供給曲線 費用 *操業停止点 価格 < AVC* 1.企業の戦略を考える上で、サンクコストが (AVC*:平均可変費用の最小値) 重要であることを理解する。 MC のとき生産に伴い損失拡大 AC 2.短期の市場均衡と長期の市場均衡の違いを理解する。 AVC 3.完全競争市場の望ましい性質を得るためには 「企業の自由な参入・退出」が必要であることを理解する。 **左図では暗黙のうちに AVC* 「固定費用は全てサンクしている」 ことを仮定。 操業停止点 0 1)サンクコストと操業停止点の関係 (仮設例)企業A, B, C の固定費用は全て等しいが、 → 操業停止 数量 1)-2. サンクコストと操業停止点の関係 操業を続けるかどうかの意志決定 サンクしている費用の大きさが異なる場合。 > 価格 P での最大利潤 = < ー(サンクした固定費用) ⇒ 企業A 売上ー(可変費用+サンクしてない固定費用+サンクした固定費用) > = < 企業B ⇒ 企業C 0 ー(サンクした固定費用) 20 40 サンクコスト 60 80 サンクしてない 100 固定費用 [Q] 各企業の操業停止の意志決定はどうなる? > 売上ー(可変費用+サンクしてない固定費用)= < 0 (ゼロ) 1)-3. サンクコストと操業停止点の関係 1)-4. サンクコストの重要性 価格 費用 価格 [Q]企業A, B, C が価格競争 MC 費用 (完全競争を無視) AC AC AVC 企業Cの操業停止点 企業Bの操業停止点 企業Aの操業停止点 0 MC A, B, Cの行動の違いは? AVC A企業が最もタフ 企業C 操業停止点 企業Bの操業停止点 B, C企業が操業停止する 価格以下に価格を下げる ことができる 企業Aの操業停止点 0 数量 数量 1)-5. サンクコストの重要性 2) 短期の均衡 市場にn個の同質的な企業があったとすると サンクしてしまった費用は、短期の意志決定に影響を与えない。 (覆水盆に返らず) 価格 費用 逆にこのことが、企業の戦略を他者へ伝える => サンクしているかどうかは他者へのメッセージになる 価格 MC S AC 短期の市場均衡 P* AVC その他の例 D 1)軍隊は決戦の覚悟を示すために退路を断つ 2)信用を得るためにサンクする 0 ys y0 数量 0 nys ny0 数量 *企業は正の利潤を得ているが、短期では参入(退出)は起らない 3)-1. 長期の均衡 3)-2. 長期の均衡 長期の個別供給曲線 価格 費用 [Q] 企業の長期供給曲線の水平和が市場供給曲線? [A] No. 長期では参入・退出があるため企業数が一定でない。 LMC *長期では固定費用無し LAC 新規参入・退出 が可能 最適規模 y* 0 ・要素価格が変化しない という状況では、 **長期では AC* ・生産技術の等しい企業が(潜在的には)無数に存在 長期の市場供給曲線は 数量 長期平均費用の最小点AC*を通る水平な直線 [Q] 企業の長期供給曲線の水平和が長期の市場供給曲線? 3)-3. 長期の均衡 3)-4. 長期の均衡 [Q] 長期の市場供給曲線は常に水平? 価格 費用 価格 MC 需要 短期の市場供給曲線 [A] No. ・産業全体での生産量とともに要素価格が変化する場合 長期均衡 AC ・企業によって生産技術が異なる場合 などでは、長期市場供給曲線は水平でない。 AVC P*=AC* 長期市場供給曲線 (例1)要素価格の変化 産業全体での生産量が増えると要素価格も増加 0 => 長期市場供給曲線は右上がり ys y* 数量 典型的企業の短期費用曲線 (y*を最小費用で生産できる規模) 0 n* y* 数量 *均衡では n*個の企業が生産 産業全体での生産量が増えると要素価格が減少 => 長期市場供給曲線は右下がり 3)-4. 長期の均衡 4) 市場の成果 *市場の成果を社会的厚生で測定 (例2)企業によって生産技術が異なる場合 タイプ1の企業がn1個, タイプ2の企業がn2個ある場合 P C 社会的厚生 = 消費者余剰 + 生産者余剰 価格 P タイプ2 * 需要曲線 長期市場供給曲線 消費者の支払意欲 **供給曲線 消費者余剰 生産者の限界費用 P* 生産者余剰 タイプ1 n1y2+n2y3 0 y1 y2 y3 y 0 n1 y 1 n1 y 2 この性質を利用して 「社会的厚生」 y 0 *長期の市場供給曲線は右上がり 5) -1. 自由な参入・退出 *「完全競争均衡で社会的厚生は最大」という性質は 企業の自由な参入・退出に強く依存 数量 y* を測定 5) -2. 自由な参入・退出 (反例)参入規制により自由な参入を制限した場合 (参入規制がないときの企業数が150企業であったものを、100企業に制限すると) 価格 費用 価格 MC (反例)参入規制により自由な参入を制限した場合 需要 100企業の 150企業の 市場供給曲線 市場供給曲線 AC AVC P0 長期市場供給曲線 AC* 厚生損失 0 ys y* y0 数量 0 100y0 150 y* 数量 *既存企業は正の利潤。ところが、参入規制により新規参入できない。 => 厚生損失が発生。 5) -3. 参入障壁 (Entry Barrier) 定義1:参入障壁 起業家が即座に新規企業をたち上げるのを妨げる全てのもの。 上の定義は多くのものを含み過ぎて実用的でない 定義2:(長期の)参入障壁 5) -4. 参入障壁 (Entry Barrier) 完全競争均衡の望ましい性質を実現するには 退出の障壁(Exit Barrier)が無いことも重要 (例)サンクコスト サンクコストが大きいと一時的な利潤を狙って参入するのが困難 新規企業が参入に際し、特別に負担しなければならないコスト (*「特別に」=「既存企業は負担しなくて良い」) (例)特許 新規参入者は、特許料を払わなければならない。 既存企業(発明者)は負担しない。 参入障壁の源泉(Bainによる) 1. 費用の優位性 2. 規模の経済 3. 製品差別化 *参入障壁の大きさは、 「市場構造」を決める最も大きな要因の一つ