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タクミ商事株式会社
2次元データを紙に印刷する通常のプリンターに対して 3次元データを立体に出力するプリンターを総称して3Dプリンターと言います。
もともとは大手メーカーが試作部品を作るものとして以前は数百万~数千万単位のコストが必要でしたが、近年数十万円程度の家
庭用3Dプリンターが発売され、アメリカを中心に世界中で急激に愛好者が増えています。
近年の3Dプリンター業界のハイライトとしては個人向けの普及を目的としたReprap互換プロジェクトが開始されたことです。3Dプリン
ターのハードとソフトの設計書が公開されており、電子知識と工作能力のある方は3Dプリンターを全て自作する事が可能になりまし
た(この動作原理で動く3Dプリンターは「Reprap互換機」と呼ばれています)。また、現在はキットや完成品も販売されるようになりまし
た。3Dプリンターの動作原理は熱で樹脂素材を押し出す吐出器(エキストルーダー)がX軸、Y軸、Z軸方向へ移動できるようになって
おり、CADの3次元の部品データ(部品の輪切りの積層データ:STL形式)から一般のCNC機器と同じGコードを生成して樹脂部品を
形成します。
左写真はReprapプロジェクト最
新機のMendel(メンデル)です。
初代はDarwin(ダーウィン)と名
付けられ、ハードウェアとソフト
ウェアの仕様が公開されてい
ます。
上部の樹脂エキストルー
ダー(樹脂吐出器)はX軸、
Y軸方向へ制御され、テー
ブルはZ軸方向へ移動しま
す。エキストルーダからは
溶けたABS樹脂が0.35〜
0.40mmのノズルから押し出
され、プラットホームに樹脂
を積層します。
現在一般家庭向けに生産されている3Dプリンターは「熱融解積層法(FDM方式)」が主流になりつつあります。この方式では 「樹脂フィ
ラメント」 とよばれる、入手が比較的容易で安価な材料を使用されます。一方で「光造形法(SLA方式)」とよばれる方式では「光硬化
樹脂」という材料が使用され、精度は非常に高いのですが、材料が樹脂フィラメントの5~10倍と非常に高価です。また光硬化樹脂は
使用期限があり、光を遮断する保存方法も注意を要するため、ランニングコスト、処理、清掃などの手間を考え、最初に「光造形法
(SLA方式) 」の3Dプリンターを購入してから「熱融解積層法(FDM方式)」へもどるユーザーもかなり見受けられます。
3Dプリンター全般の利点として
■切削加工ではなく熱による樹脂溶融積層法なので切削による騒音がなく、運転中の音がCNC切削に比べて静かである。
■小型のものは通常のプリンタと設置面積がほぼ同等。
■3Dデータがあればすぐに出力が可能
3Dプリンターは世の中の物づくりを
変える今世紀最大の産業革命です
すでにテレビなどでも紹介された3Dプリンターは物作りに画期的な革命を起こそうとしています。
今までは、樹脂成形部品を個人で作成することは困難でした。
<従来の樹脂成型部品の生産工程>
設計
金型製作
樹脂・溶解圧入
最終部品
※CAD/CAMによる加工
※大量生産が前提であるインジェクション生産方式は、莫大な投資が必要。金型作成時には完全な検証が必要で、再加工は困
難。
<従来の樹脂による多品種小生産工程>
設計
雄型モデル
雌型製作
樹脂投入
最終部品
※一部CAD/CAMが導入されていても、雌型から樹脂積層による生産工程では、職人による手作業になることが多い
※原型の型製作には深い知識と経験、膨大な手間をかけなければなりませんでした。
しかし、3Dプリンターの登場で、1台からでも簡単に、しかも優れた精度で最終部品を出力できるようになりました。
<3Dプリンターによる多品種小生産方法>
設計
試作検証・最終部品
コンピュータのCADでデザインした部品をそのまま
立体形状で出力できます。形状確認の試作サンプル
はもちろん、最終部品も作成可能です。
<3DプリンターとCNC加工の違い>
一般のCNC加工機にはCNCフライスやCNC旋盤などがあり、いずれも工作材料に対して切削して加工するのでその原理構造上、
下の写真のような入れ子になっている構造は再現が難しかったのですが、3Dプリンターであれば容易に出力できます。
<各3Dプリンターの方式 種類とその利点・欠点>
成形方法
光学造形法(STL方式)
熱溶解積層方(FDM方式)
粉末焼結方(SLS方式)
基本原理
樹脂に紫外線やレーザーなどを照射し、少
しずつ硬化させていく。
熱で融解した樹脂を少しずつ積み重ねてい
く。
粉末の石膏、樹脂に接着剤を使って硬化
させるものや、粉末金属をレーザー光線で
照射し、固めるものがある。
利
点
高精度な加工ができる。
構造がシンプルで、使用する材料も多品種
で安価。材料によっては実用に耐えられる
製品を作る事も可能。
石膏を使用する方式では多色インクでフル
カラーで出力できるものがある。金属を
レーザー照射して融解して造形するものは
最強の強度をもつ。
欠
点
材料である光樹脂材料が非常に高価。また
光で硬化するのでその材料には使用期限
があり、保存に注意を要する。完全な管理
にはUVランプ等が必要であったり、廃液処
理が必要。造形品は余分な材料を洗い流
すためにアルコール清掃などが必要(廃液
処理にコストがかかる)。材料そのものが一
般の熱融解積層法の材料に比べて高価で
ある為、ランニングコストが高くなる。
吐出ノズルの構造上、ノズル径以下の精度
は出せない。また10mm以下の小さなものを
出力することが難しい。また熱可塑性樹脂
により収縮率・線膨張率・溶解温度などの諸
条件が3Dプリンターを使用する環境によっ
て異なってくるため、環境によって設定を調
整する必要がある。
レーザー照射は大掛かりな装置になり、金
属粉体材料も極めて高価である。粉体を
結びつける接着法式は比較的もろいので、
試作部品にしかならないものがある。粉末
の中から取り出す為、造形品はコンプレッ
サー等で余分な材料を吹き飛ばす必要が
あり、後始末が大変(専用の清掃槽が必
要)。
高価
安価
高価
価格
3Dプリンターの利点と欠点
<利 点>
1.切削では再現できなかった中空形状・複雑な内部形状も対応可能。
2.中空構造の再現が可能なため、部品の軽量化が容易。
3.部品を製造するのではなく、一体化された完成形を一度で造形することも可能。
4.複数の異なるフィラメント材料を使用しての一体造形が可能。
5.誰が何個作っても毎回同じ物を作ることが出来る。
6.複数のモデルを一度に造形することが出来る。
※操作面では
1.操作者の技術力に依存しない。
2.機器の取り扱いが容易。造形に人手をあまり要さない。
3.CNC切削加工と違い刃物がないので機械の操作者への危険度が低い。
<欠 点>
■現状では大量生産への適用が難しい。
■現状では基本的に従来手法と比較して高価・低速なため要求される精度が高くなると
製作時間が増加する。
■樹脂の熱膨張/熱収縮により切削加工より精度が低くなる傾向がある。
■層の厚さが精度と直結するため強度を求められる部品への適用が難しい。
■使用可能な樹脂の制限や層間の剥離のため第一層接地部よりも上部の方が広い漏
斗型の形状ではサポート材を使用する必要があり、後行程で除去する手間がある。
実際に3Dプリンターを使用する場合のワークフロー
1.CADソフトウェアで、製品を設計。
■AutoCAD、SolidWorksなどの3DCADソフトウェア
■無償の3D用CAD(フリー・ソフトウェア)
TinkerCAD、123D、Fusion360、Sketchup等
3Dプリンター側の準備
■スライスピッチ(積層ピッチ)とノズルとビルドテーブルのギャッ
プ調整(ベッドとノズルの隙間)が同じか確認。
■プリヒート(予熱):ノズル、ベッドを熱して、フィラメントを装填。
■ノズルからフィラメント樹脂が吐出するか確認。
■X,Yステージ、Z軸の動作確認
■エキストルーダーの樹脂送り部のチェック
■ベッドへ固着剤の塗布
2.CADデータをSTL形式(3Dプリンターの標準ファイ
ル形式)に変換
3Dプリンター側での出力
3.スライスソフトウェアでSTLを読み込み、G-codeへ
変換。代表的なスライスソフトウェア
■Cura
■Repetier-Host
■サードパーティ製スライスソフトウェア
■各3Dプリンターメーカーが提供するソフトウェア
※3DVISION-XT-Plusの場合はMankatiUM(Cura)
3DプリンターのスライスソフトウェアでSTLデータを読
み込み、造形時の条件(ノズル温度、ベッド温度、出
力速度、サポート材の有無等)を設定してG-codeを
出力。
一番大事な事:第一層が完全にベッドに固着しているか確認。
■SDカードからスライスソフトウェア出力されたG-codeを読み
込み出力。(スタンドアロン型の3Dプリンターの場合。)
■パソコンからからUSB接続された3Dプリンターへ出力(この
場合、多くはスライスソフトウェアのGUIから主力します。
造形品の完成
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