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2013年4月
増補版
増補版の刊行にあたり
本増補版は,「口腔衛生学 2012」出版後に新たに
報告された平成 23 年歯科疾患実態調査,歯科口腔保
健の推進に関する基本的事項と目標,ならびに平成
25 年4月からの健康日本 21(第2次)について記載
した。
なお,1.平成 23 年歯科疾患実態調査に記載した
図と表は,厚生労働省が発表した平成 23 年歯科疾患
実態調査のデータをもとに作成したものである。本
増補版ではデータを表よりも図で示すことを重視し,
男女総数についてのデータを図または表として示す
ことに主眼をおいた。またこれまでの調査からデー
タの推移を示すものの一部においては,平成5年以
後の調査結果を示した。厚生労働省が公表している
「 資 料 2 結 果 の 概 要 図表」(http://www.mhlw.
go.jp/toukei/list/62-23.html)は,本増補版と相互に
補うものであり,参照していただきたい。
1
平成 23 年歯科疾患実態調査
●計算方法(厚生労働省 歯科疾患実態調査
結果の概要より)
2)永久歯
1人平均現在歯数(本)=
(永久歯の現在歯数)
(被調査者数)
※現在歯数:前記 2.1)に同じ
本調査の結果(統計表を含む)に示した主な数
被調査者数:前記 1.3)に同じ
値等は次の方法により算出した。
3.1人平均 df 歯数(dft 指数)および DMF 歯数
1.う蝕を持つ者の割合
(DMFT 指数)
1)乳 歯
1)乳 歯
う蝕を持つ者の割合(%)=
(現在歯の乳歯にう歯のある者の数)
(被 調 査 者 数)
× 100
※う 歯のある者の数:未処置歯,処置歯のいずれかを1
本以上有する者の数
被 調査者数:検査を受けた1歳以上 15 歳未満の者で,
う歯のない者,う歯のある者,歯のない者の総数
dft 指数=
(乳歯のう歯数)
(被調査者数)
※う歯数:未処置歯,処置歯の総数
被調査者数:前記 1.1)に同じ
2)永久歯
DMFT 指数=
(永久歯のう歯数)
(被調査者数)
2)乳歯+永久歯
※う歯数:未処置歯,処置歯,喪失歯の総数
う蝕を持つ者の割合(%)=
喪失歯数:喪失歯の総数
(現在歯の乳歯または永久歯にう歯のある者の数)
×100
(被 調 査 者 数)
被調査者数:前記 1.3)に同じ
※う歯のある者の数:未処置歯,処置歯,喪失歯(永久歯
4.喪失歯所有者率および1人平均喪失歯数
のみ)のいずれかを 1 本以上有する者の数
被 調査者数:調査を受けた5歳以上 15 歳未満の者で,
う歯のない者,う歯のある者,歯のない者の総数
1)永久歯
喪失歯所有者率(%)=(喪失歯のある者の数)
× 100
(被調査者数)
3)永久歯
※喪失歯のある者の数:喪失歯を 1 本以上有する者の数
う蝕を持つ者の割合(%)=
被調査者数:前記 1.3)に同じ
(現在歯の永久歯にう歯のある者の数)
× 100
(被調査者数)
2)永久歯
※う 歯のある者の数:未処置歯,処置歯,喪失歯のいず
1 人平均喪失歯数(本)= (喪失歯数)
れかを1本以上有する者の数
被 調査者数:調査を受けた5歳以上の者で,う歯のな
い者,う歯のある者,歯のない者の総数
2.1人平均現在歯数
1人平均現在歯数(本)=
2
● 口腔衛生学 2012 増補版
被調査者数:前記 1.3)に同じ
歯ブラシの使用者率(%)=
(乳歯の現在歯数)
(被調査者数)
※現在歯数:健全歯,未処置歯,処置歯の総数
被調査者数:前記 1.1)に同じ
※喪失歯数:前記 3.2)に同じ
5.歯ブラシの使用者率
1)乳 歯
× 100
(被調査者数)
(歯ブラシの使用者数)
(被調査者数)
× 100
※歯ブラシの使用者数,被調査者数:1歳以上の者
う歯のない者
処置完了の者
処置歯・未処置
歯を併有する者
未処置の者
総数
1
2
3
4
︵年齢︶
5
6
平成5年
平成17年
(%)
100
7
8
平成11年
平成23年
80
9
60
10
11
40
12
20
13
14
0
20
40
60
80
0
100
1
2
(%)
図 1:う歯の有無とその処置状況(割合),総数
3
4
(年齢)
5
6
図 2:う蝕有病者率の推移(平成 5 年〜 23 年),総数
年齢別(1〜 14 歳・乳歯)
年齢別(1 〜 6 歳・乳歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
厚生労働省 歯科疾患実態調査
(年齢)
総数
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
(dft)
8
平成11年
平成23年
7
6
5
4
3
2
1
健全歯
0
5
処置歯
10
(歯数)
0
未処置歯
15
20
図 3:健全歯・未処置歯(d歯)・処置歯(f歯)の
平成5年
平成17年
1人平均値,総数・年齢別(1 〜 14 歳・乳歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
1
2
3
4
(年齢)
5
6
図 4:1人平均 df 歯数の推移(平成 5 〜 23 年),
総数,年齢別(1 〜 6 歳・乳歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査
1 平成 23 年歯科疾患実態調査 ●
3
う歯(df歯、DMF歯)のない者
処置完了の者
処置歯・未処置歯を併有する者
未処置の者
総数
5
B型
5.2%
6
︵年齢︶
7
A型
12.3%
8
9
C1型
0.0%
10
C2型
0.0%
11
12
13
う歯のない者
82.6%
14
0
20
40
60
80
100
(%)
図 5:う歯(df 歯,DMF 歯)の有無とその処置状況
(割合),総数,年齢別(5 〜 14 歳・乳歯+永久歯)
図 6:う歯の状況(割合),O・A・B・C1・C2 型別分類,
総数,年齢別(1 〜 4 歳・乳歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
処置完了の者
処置歯・未処置
歯を併有する者
未処置の者
(年齢階級)
年齢
総数
総数
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
5∼9
10∼14
15∼19
20∼24
25∼29
30∼34
35∼39
40∼44
45∼49
50∼54
55∼59
60∼64
65∼69
70∼74
75∼79
80∼84
85∼
0
5
10
15
20
25
(%)
0
図 7:シーラント保有者(割合),総数,
う歯のない者
年齢別(1 〜 14 歳・乳歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
20
40
60
80
100
(%)
図 8:現在歯に対するう歯の有無とその処置状況(割合),
総数,年齢階級別(5 歳以上・永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
4
● 口腔衛生学 2012 増補版
(年齢階級)
健全歯
処置歯
未処置歯
喪失歯
総数
5∼9
15∼19
平成5年
平成17年
(歯数)
25∼29
7
35∼39
6
45∼49
5
55∼59
4
3
65∼69
2
75∼79
1
85∼
0
0
10
20
30
5
6
7
8
9
(歯数)
10
11
12
13
14
(年齢)
図 9:健全歯・未処置歯(D歯)
・処置歯(F歯)
・喪失歯(M歯)
平成11年
平成23年
の1人平均値,総数,年齢階級別(5 歳以上・永久歯)
図 10:1人平均 DMF 歯数(DMFT 指数)の推移
(平成 5 〜 23 年),総数,年齢別(5 〜 14 歳・
永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
厚生労働省 歯科疾患実態調査
0
1∼9
10∼19
20∼27
28∼
(年齢階級)
(年齢階級)
総数
総数
5∼14
5∼9
15∼24
18
10∼14
25∼34
22
26
15∼19
35∼44
20∼24
45∼54
25∼29
16
7
6
30∼34
55∼64
35∼39
65∼74
3
40∼44
75∼84
85∼
0
20
40
60
80
100
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
45∼49
1
50∼54
2
0.3
0
図 11:現在歯のある者(割合)(現在歯数の頻度分布),
総数,歯数区分・年齢階級別(5 歳以上・永久歯)
1
55∼59
(%)
4
10
20
30
図 12:シーラント保有者(割合),総数,
年齢階級別(5 歳以上・永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
1 平成 23 年歯科疾患実態調査 ●
5
(歯数)
1.0
平成 5 年
平成 11 年
平成 17 年
平成 23 年
0.8
0.6
0.4
0.2
84
85
∼
80
79
∼
75
74
∼
70
69
∼
65
64
∼
60
59
∼
55
54
∼
50
49
∼
45
44
∼
40
39
∼
35
34
∼
30
29
∼
25
24
∼
20
19
∼
15
14
∼
10
9
∼
5
∼
総数
0
(年齢階級)
図 13:1人平均シーラント歯数の推移(平成 5 年〜平成 23 年),総数,年齢階級別(5 歳以上・永久歯)
【注】シーラントは平成5年調査より診査基準に取り入れられた
30
28 28
25
厚生労働省 歯科疾患実態調査
29 29
28 28
27
26
23
22
24
23
21
︵歯数︶
20
17
15
16
12
10
9
8
5
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
14 19 24 29 34 39 44 49 54 59 64 69 74 79 84
∼
10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85
9
∼
5
∼
総数
0
(年齢階級)
図 14:1人平均現在歯数,総数,年齢階級別(5 歳以上・永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
6
● 口腔衛生学 2012 増補版
永久歯のない者
(%)
現在歯 20 本以上の者
現在歯 24 本以上の者
喪失歯を持つ者
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
84
85
∼
80
79
∼
75
74
∼
70
69
∼
65
64
∼
60
59
∼
55
54
∼
50
49
∼
45
44
∼
40
39
∼
35
34
∼
30
29
∼
25
24
∼
20
19
∼
15
14
∼
10
9
∼
5
∼
総数
0
(年齢階級)
図 15:永久歯のない者,
現在歯 20 本以上の者,
現在歯 24 本以上の者,
喪失歯を持つ者,
総数,
年齢階級別(5 歳以上・永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
一人平均現在歯数
一人平均喪失歯数
(年齢階級)
総数
15∼19
20∼24
25∼29
30∼34
35∼39
40∼44
45∼49
50∼54
55∼59
60∼64
65∼69
70∼74
75∼79
80∼84
85∼
0
10
(歯数)
20
30
図 16:1人平均現在歯数・喪失歯数,総数,年齢階級別(15 歳以上・永久歯)
分母=無歯顎の者を含む
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
1 平成 23 年歯科疾患実態調査 ●
7
30
29
28
昭和 32
昭和 38
昭和 44
昭和 62
平成5
平成 11
昭和 50
平成 17
昭和 56
平成 23
28
26
25
23
19
20
︵歯数︶
15
13
10
5
0
15∼24
25∼34
35∼44
45∼54
(年齢階級)
55∼64
65∼74
75∼
図 17:1人平均現在歯数の推移(昭和 32 年〜平成 23 年),総数,年齢階級別(15 歳以上・永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査
昭和 50
昭和 56
昭和 62
平成 11
平成 17
平成 23
平成5
(%)
70
60
50
40
30
19
20
10
0
45∼54
7
2
0
55∼64
65∼74
75∼
(年齢階級)
図 18:無歯顎者率の推移(昭和 50 年〜平成 23 年),総数,年齢階級別(15 歳以上・永久歯)
【注】平成 5 年以前は,喪失歯数の分布図から「28 本喪失」を無歯顎者とみなした。昭和 32 年〜昭和 44 年調査の報告書には喪失歯数・
現在歯数の分布表が出ていないため,無歯顎者率の算出はできない。
厚生労働省 歯科疾患実態調査
8
● 口腔衛生学 2012 増補版
昭和 56
昭和 50
(%)
97.1
100
昭和 62
平成5
平成 11
平成 17
平成 23
93.0
85.7
78.4
80
69.6
60
52.3
47.6
40
25.1
20
0
80
∼
79
∼
75
74
∼
70
69
∼
65
64
∼
60
59
∼
55
54
∼
50
49
∼
45
(年齢階級)
図 19:現在歯 20 歯以上の者の割合の推移,総数,年齢階級別(昭和 50 年〜平成 23 年)(45 歳以上・永久歯)
【注 1】平成 11 年以降は「現在歯数 20 歯以上」の者の数を分子として算出した数値であるが,平成 5 年以前の調査報告では現在歯数の頻度
表が示されてないため,「喪失歯数 8 歯以下」を「現在歯数 20 本以上」とみなして算出した。
【注2】平成 11 年の数値は,平成 5 年調査報告書に掲載されている数値と異なる。
【注 3】平成 11 年の 60 〜 64 歳は,平成 5 年調査報告書には 40.9%と掲載されている。
厚生労働省 歯科疾患実態調査
(歯数)
30
25
20
20
14
15
9
10
5
5
0
0
1
2
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
5 10 15 20 25 35 45 55 65 75 85
∼
総数
0
6
9 14 19 24 34 44 54 64 74 84
(年齢階級)
図 20:1人平均喪失歯数,総数,5 歳区分年齢階級別
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
1 平成 23 年歯科疾患実態調査 ●
9
1.0
全部床義歯
部分床義歯
架工義歯
0.8
︵補綴物数︶
0.6
0.4
0.2
84
85
∼
80
79
∼
75
74
∼
70
69
∼
65
64
∼
60
59
∼
55
54
∼
50
49
∼
45
44
∼
40
39
∼
35
34
∼
30
29
∼
25
24
∼
20
19
∼
15
∼
総数
0.0
(年齢階級)
図 21:補綴物数,1人平均値,年齢階級別,総数(15 歳以上・永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査
30
要補綴歯数
要補綴物数
補綴歯数
25
︵補綴歯数︶
20
15
10
5
19
24
29
34
39
44
49
54
59
64
69
74
79
84
85
∼
80
∼
75
∼
70
∼
65
∼
60
∼
55
∼
50
∼
45
∼
40
∼
35
∼
30
∼
25
∼
20
∼
15
∼
総数
0
(年齢階級)
図 22:補綴歯数,1人平均値,総数,年齢階級別(15 歳以上・永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査
10
● 口腔衛生学 2012 増補版
(%)
100
82
80
69
60
87
91 92
71
58
53
45
40
20
1
10
6
2
12
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
24 29 34 39 44 49 54 59 64 69 74 79 84
∼
19
∼
20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85
∼
15
∼
総数
0
25
19
(年齢階級)
図 23:補綴物(架工義歯,部分床義歯,全部床義歯)を装着している者の割合,総数,年齢階級別(15 歳以上・永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
(%)
100
下顎
上顎
上下顎
80
60
40
20
84
85
∼
80
79
∼
75
74
∼
70
69
∼
65
64
∼
60
59
∼
55
54
∼
50
49
∼
45
44
∼
40
39
∼
35
34
∼
30
29
∼
25
24
∼
20
19
∼
15
∼
総数
0
(年齢階級)
図 24:架工義歯を装着している者の割合,総数,上下顎,上顎,下顎別,年齢階級別(15 歳以上・永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
1 平成 23 年歯科疾患実態調査 ●
11
(%)
100
下顎
上顎
上下顎
80
60
40
20
19
24
29
34
39
44
49
54
59
64
69
74
79
84
85
∼
80
∼
75
∼
70
∼
65
∼
60
∼
55
∼
50
∼
45
∼
40
∼
35
∼
30
∼
25
∼
20
∼
15
∼
総数
0
(年齢階級)
図 25:部分床義歯を装着している者の割合,総数,上下顎,上顎,下顎,年齢階級別(15 歳以上・永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
(%)
100
下顎
上顎
上下顎
80
60
40
20
49
54
59
64
69
74
79
84
85
∼
80
∼
75
∼
44
70
∼
39
65
∼
34
60
∼
29
55
∼
24
50
∼
19
45
∼
40
∼
35
∼
30
∼
25
∼
20
∼
15
∼
総数
0
(年齢階級)
図 26:全部床義歯を装着している者の割合,総数,年齢階級別(15 歳以上・永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
12
● 口腔衛生学 2012 増補版
(年齢階級)
完了
一部
未処置
喪失歯なし
総数
15∼19
20∼24
25∼29
30∼34
35∼39
40∼44
45∼49
50∼54
55∼59
60∼64
65∼69
70∼74
75∼79
80∼84
85∼
0
20
40
60
(%)
80
100
図 27:補綴完了・一部完了・未処置等の者の割合,総数,年齢階級別(15 歳以上・永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
20∼29 歳
100
40∼49 歳
60∼69 歳
80 歳∼
80
60
(%)
40
20
平成
23
年
17
年
年
11
平成
平成
5
年
年
62
平成
昭和
56
年
年
50
昭和
昭和
44
年
年
38
昭和
昭和
0
図 28:補綴完了者の割合の推移(昭和 38 年〜平成 23 年),総数,年齢階級別(15 歳以上・永久歯)
【注】年齢階級の一部をグラフに含めた
厚生労働省 歯科疾患実態調査
1 平成 23 年歯科疾患実態調査 ●
13
総数
架工義歯
︵年齢階級︶
部分床義歯
全部床義歯
60∼64
インプラント
補綴物なし
70∼74
80∼84
0
5
10
15
20
25
30
一人平均喪失歯数
図 29:喪失歯の補綴状況(1人平均値),総数,年齢階級別(60 歳以上・永久歯)
【注】グラフは総数および年齢階級の一部について示している。
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
100
対象歯のない者
80
歯周ポケット 6mm 以上
歯石(+)
60
歯周ポケット 6mm 以上
歯石(−)
(%)
歯周ポケット 4mm 以上
6mm 未満 歯石(+)
40
歯周ポケット 4mm 以上
6mm 未満 歯石(−)
20
code-2 歯石の沈着
code-1 プロービング後の出血
9
∼
15 14
∼
20 19
∼
25 24
∼
30 30
∼
35 34
∼
40 39
∼
45 44
∼
50 49
∼
55 54
∼
60 59
∼
65 64
∼
70 69
∼
75 74
∼
80 79
∼
84
85
∼
5∼
code-0 所見のない者
10
総
数
0
(年齢階級)
図 30:歯肉の所見の有無(CPI 個人最大コード),総数,年齢階級別(5 歳以上・永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
14
● 口腔衛生学 2012 増補版
歯石沈着のある者:code-2、
code-3 歯石(+)、code-4 歯石(+)
(年齢階級)
総数
歯石沈着のない者:code-0、code-1、
code-3 歯石(ー)、code-4(ー)
20∼24
30∼34
(年齢階級)
総数
40∼44
41
5∼9
10∼14
15∼19
20∼24
25∼29
30∼34
35∼39
40∼44
45∼49
50∼54
55∼59
60∼64
65∼69
70∼74
75∼79
80∼84
85∼
60∼64
11
19
70∼74
20
0
50∼54
41
53
49
48
50
53
58
49
44
46
44
38
32
29
20
80∼84
0
2
3
4
5
6
(一人平均分画数)
code-0 所見のない部位
code-1 プロービング後の出血
code-2 歯石の沈着
code-3 歯周ポケット4mm以上6mm未満
code-4 歯周ポケット6mm以上
対象歯のない部位
40
60
80
100
図 32:歯肉の所見の有無(CPI コード別の1人平均
(%)
図 31:歯肉の所見の有無(歯石沈着のある者,歯石沈着
1
分画数),総数,年齢階級別(20 歳以上・永久歯)
【注】総数の対象者は 5 歳以上である。
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
のない者),総数,年齢階級別(5 歳以上・永久歯)
コード2以下の者 コード3以上の者
(年齢階級)
総 数
37
15∼24
9
25∼34
18
35∼44
24
45∼54
33
55∼64
47
65∼74
47
75∼84
46
85∼
37
0
20
40
60
80
100
(%)
図 33:CPI 最大コード3以上の者(割合),総数,年齢階級別(15 歳以上・永久歯)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
1 平成 23 年歯科疾患実態調査 ●
15
受けたことがある 市町村保健センター等
総数
1
受けたことがある その他の医療機関
2
受けたことがある 市町村保健センター等
+その他の医療機関
受けたことがない者
3
4
5
不 詳
︵年齢︶
6
7
8
9
10
11
12
13
14
0
20
40
60
(%)
80
100
図 34:フッ化物塗布経験の有無,総数,年齢別(1 〜 14 歳)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
(%)
100
ときどき
みがく者
1.8%
80
59
60
40
20
11
17
平成
5
3回以上
25.2%
平成
62
64
42
平成
平成
56
昭和
50
22
昭和
44
11
昭和
昭和
0
6
38
32
みがかない者
1.2%
不詳
1.6%
1回
21.9%
2回
48.3%
23
図 35:フッ化物塗布経験者の割合の推移(昭和 44 年〜
平成 23 年),総数(1 〜 14 歳)
厚生労働省 歯科疾患実態調査
16
● 口腔衛生学 2012 増補版
図 36:歯ブラシの使用状況,総数,年齢階級別(1 歳以上)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
1回
3回
2回
ときどきみがく者
昭和44
63
昭和50
60
40
83
74
61
20
平成17
25
平成23
0
0
男性
女性
総 数
図 37:歯ブラシの使用状況(毎日 2 回以上歯をみがく者
29
の割合),性別(1 歳以上)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
あり
総数
50 60 70 80 90 100
(%)
15∼24
7
25∼34
6
35∼44
4
45∼54
5
55∼64
3
2
75∼84
6
75∼84 1
85∼
6
85∼
20
40
60
(%)
80
100
いる者)(割合),総数,年齢階級別(15 歳以上)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
なし
3
65∼74
10
2
0
図 39:顎関節の自覚症状(大開閉口時に雑音を自覚して
10 20 30 40
25
平成 23 年),総数(1 歳以上)
︵年齢階級︶
︵年齢階級︶
21
0
21
49
あり
17
65∼74
19
48
なし
23
55∼64
4
【注】1 回,2 回,3 回以上の者は「毎日みがく者」である
厚生労働省 歯科疾患実態調査
30
45∼54
16
図 38:歯ブラシの使用状況の推移(昭和 44 年〜
23
35∼44
6
48
総数
25∼34
45
13
22
16
15∼24
8 7
42
33
平成11
9
37
39
平成5
80
25
46
昭和62
100
12
15
53
昭和56
(%)
みがかない者
20
40
60
(%)
80
100
図 40:顎関節の自覚症状(大開閉口時に関節痛を自覚
し ている者)(割合),総数,年齢階級別(15
歳以上)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
1 平成 23 年歯科疾患実態調査 ●
17
なし
あり
(年齢階級)
表1:被調査者数,性・年齢階級別
不詳
総数
被調査者数(人)
年齢階級
15∼24
25∼34
35∼44
総数
性別
男
女
総数
4,253
1,812
2,441
55∼64
1 ~ 4
155
84
71
65∼74
1
37
19
18
2
40
25
15
3
32
12
20
4
46
28
18
5 ~ 9
210
101
109
5
30
16
14
6
38
22
16
7
45
17
28
8
52
25
27
9
45
21
24
10 ~ 14
170
87
83
(年齢階級)
10
48
29
19
総数
11
38
13
25
15∼19
12
37
20
17
13
28
13
15
14
19
12
7
15 ~ 19
113
55
58
20 ~ 24
89
32
57
25 ~ 29
122
45
77
30 ~ 34
193
73
120
35 ~ 39
271
104
167
40 ~ 44
227
81
146
45 ~ 49
210
76
134
50 ~ 54
257
97
160
55 ~ 59
286
116
170
60 ~ 64
440
187
253
65 ~ 69
395
167
228
70 ~ 74
444
202
242
75 ~ 79
340
163
177
80 ~ 84
225
103
122
85 ~
106
39
67
45∼54
75∼84
85∼
0
20
40
60
(%)
80
100
図 41:インプラントの有無(割合),総数,年齢階級別
(15 歳以上)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
両側で接触のある者
片側のみ接触のある者
両側とも接触のない者
不詳
20∼24
25∼29
30∼34
35∼39
40∼44
45∼49
50∼54
55∼59
60∼64
65∼69
70∼74
75∼79
80∼84
85∼
0
20
40
60
(%)
80
100
図 42:かみあわせの状況,総数(割合),年齢階級別
(15 歳以上)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
18
● 口腔衛生学 2012 増補版
表2:歯の状態,男女別(1 〜 14 歳・乳歯)
総数
男
女
う歯のある者 (%)
35.3
35.3
35.4
処置完了の者
14.9
15.1
14.8
処置歯・未処置歯を併有する者
11.2
12.9
9.5
9.1
7.4
11.0
*
未処置の者
1 人平均現在歯数
11.3 (7.4)
11.8 (7.4)
10.8 (7.5)
1 人平均健全歯数
9.9 (7.5)
10.2 (7.5)
9.5 (7.5)
dft
1.4 (2.5)
1.5 (2.7)
1.3 (2.3)
未処置歯の1人平均値
0.5 (1.3)
0.5 (1.4)
0.5 (1.2)
処置歯の1人平均値
0.9 (1.9)
1.0 (2.1)
0.8 (1.8)
*う歯のある者:処置完了の者,処置歯・未処置歯を併有する者,未処置の者
( )内に標準偏差を示した。
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
表3:歯の状態,男女別(5 〜 14 歳・乳歯+永久歯)
総数
男
女
う歯のある者 (%)
53.4
54.3
52.6
処置完了の者
24.7
24.5
25
処置歯・未処置歯を併有する者
19.2
21.3
17.2
9.2
8
10.4
*
未処置の者
*う歯のある者:乳歯では未処置歯,処置歯のいずれかを 1 本以上有する者である。
永久歯では未処置歯,処置歯,喪失歯のいずれかを 1 本以上有する者である。
( )内に標準偏差を示した。
表4:歯の状態,男女別(5 歳以上・永久歯)
総数
男
女
う歯のある者 (%)
85.7
83.5
87.3
処置完了の者
51.4
47.1
54.5
処置歯・未処置歯を併有する者
31.3
32.2
30.6
3.1
4.2
2.2
1 人平均現在歯数
21.6 (9.0)
21.3 (9.4)
21.9 (8.7)
1 人平均健全歯数
11.7 (8.1)
12.3 (8.6)
11.3 (7.8)
DMF 歯数の1人平均値
15.5 (8.9)
14.7 (9.2)
16.1 (8.6)
未処置歯の1人平均値
0.9 (2.1)
1.1 (2.3)
0.8 (1.9)
喪失歯の1人平均値
5.6 (8.3)
5.8 (8.4)
5.5 (8.1)
処置歯の1人平均値
9.0 (6.5)
7.8 (6.3)
9.8 (6.4)
*
未処置の者
*:う歯のある者:処置完了の者,処置歯・未処置歯を併有する者,未処置の者
( )内に標準偏差を示した。
1 平成 23 年歯科疾患実態調査 ●
19
表5:1人平均う蝕経験歯数(平均 df 歯数・平均 DMF 歯数),総数,年齢別(5 ~ 14 歳・乳歯+永久歯 )
年齢(調査者数)
平均 dft ± SD
平均 DMFT ± SD
総数(380)
1.7 ± 2.7
0.6 ± 1.4
5(30)
2.8 ± 3.9
—
6(38)
1.8 ± 3.0
—
7(45)
2.6 ± 3.1
0.1 ± 0.5
8(52)
3.0 ± 2.9
0.3 ± 0.8
9(45)
1.7 ± 2.6
0.4 ± 0.7
10(48)
2.0 ± 2.6
0.5 ± 0.9
11(38)
0.7 ± 1.7
0.7 ± 1.2
12(37)
0.5 ± 1.2
13(28)
0.3 ± 0.8
1.8 ± 3.2
14(14)
—
1.3 ± 1.7
1.4 ± 2.3 *
*:12 歳児の平均 DMFT(DMFT 指数)は、国際比較によく用いられる。
表6:歯列の状況(叢生・空隙),総数,年齢階級別(12 ~ 20 歳 )
(単位:%)
な し
叢 生
空 隙
あ り
上下顎とも
上顎のみ
下顎のみ
不詳
総 数
54.2
12.5
14.4
16.2
2.8
12 ~ 15 歳
54.6
12.0
16.7
13.9
2.8
16 ~ 20 歳
53.7
13.0
12.0
18.5
2.8
総 数
84.7
0.9
6.5
4.6
3.2
12 ~ 15 歳
82.4
0.9
7.4
5.6
3.7
16 ~ 20 歳
87.0
0.9
5.6
3.7
2.8
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
表7:咬合の状況(オーバージェット,オーバーバイト),総数,年齢階級別(12 ~ 20 歳)
(単位:%)
オーバージェット
年 齢
- 4 mm
以上
- 3 mm ~
- 0.5 mm
± 0.5 mm
未満
0.5 mm
~ 3 mm
4 mm
~ 5 mm
6 mm
以上
不 詳
総 数
―
2.3
12.5
49.1
20.4
12.5
3.2
12 ~ 15 歳
―
2.8
12.0
48.1
20.4
13.9
2.8
16 ~ 20 歳
―
1.9
13.0
50.0
20.4
11.1
3.7
オーバーバイト
総 数
1.40
4.2
18.5
50.0
11.1
4.6
10.2
12 ~ 15 歳
1.90
1.9
18.5
53.7
10.2
4.6
9.3
16 ~ 20 歳
0.90
6.5
18.5
46.3
12.0
4.6
11.1
厚生労働省 歯科疾患実態調査(平成 23 年)
20
● 口腔衛生学 2012 増補版
2
歯科口腔保健の推進に関する法律
歯科口腔保健の推進に関する法律
(平成二十三年八月十日法律第九十五号)
2 地方公共団体は,基本理念にのっとり,歯科
口腔保健の推進に関する施策に関し,国との連
携を図りつつ,その地域の状況に応じた施策を
(目的)
第一 条 この法律は,口腔の健康が国民が健康で
策定し,及び実施する責務を有する。
(歯科医師等の責務)
質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割
第四 条 歯科医師,歯科衛生士,歯科技工士その
を果たしているとともに,国民の日常生活にお
他の歯科医療又は保健指導に係る業務(以下こ
ける歯科疾患の予防に向けた取組が口腔の健康
の条及び第十五条第二項において「歯科医療等
の保持に極めて有効であることに鑑み,歯科疾
業務」という。)に従事する者は,歯科口腔保健(歯
患の予防等による口腔の健康の保持(以下「歯
の機能の回復によるものを含む。)に資するよう,
科口腔保健」という。)の推進に関し,基本理念
医師その他歯科医療等業務に関連する業務に従
を定め,並びに国及び地方公共団体の責務等を
事する者との緊密な連携を図りつつ,適切にそ
明らかにするとともに,歯科口腔保健の推進に
の業務を行うとともに,国及び地方公共団体が
関する施策の基本となる事項を定めること等に
歯科口腔保健の推進に関して講ずる施策に協力
より,歯科口腔保健の推進に関する施策を総合
的に推進し,もって国民保健の向上に寄与する
ことを目的とする。
(基本理念)
するよう努めるものとする。
(国民の健康の保持増進のために必要な事業を行
う者の責務)
第五 条 法令に基づき国民の健康の保持増進のた
第二 条 歯科口腔保健の推進に関する施策は,次
めに必要な事業を行う者は,国及び地方公共団
に掲げる事項を基本として行われなければなら
体が歯科口腔保健の推進に関して講ずる施策に
ない。
一 国民が,生涯にわたって日常生活において歯
協力するよう努めるものとする。
(国民の責務)
科疾患の予防に向けた取組を行うとともに,歯
第六 条 国民は,歯科口腔保健に関する正しい知
科疾患を早期に発見し,早期に治療を受けるこ
識を持ち,生涯にわたって日常生活において自
とを促進すること。
ら歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに,
二 乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期に
定期的に歯科に係る検診(健康診査及び健康診
おける口腔とその機能の状態及び歯科疾患の特
断を含む。第八条において同じ。)を受け,及び
性に応じて,適切かつ効果的に歯科口腔保健を
必要に応じて歯科保健指導を受けることにより,
推進すること。
歯科口腔保健に努めるものとする。
三 保健,医療,社会福祉,労働衛生,教育その
(歯科口腔保健に関する知識等の普及啓発等)
他の関連施策の有機的な連携を図りつつ,その
第七 条 国及び地方公共団体は,国民が,歯科口
関係者の協力を得て,総合的に歯科口腔保健を
腔保健に関する正しい知識を持つとともに,生
推進すること。
涯にわたって日常生活において歯科疾患の予防
(国及び地方公共団体の責務)
に向けた取組を行うことを促進するため,歯科
第三条 国は,前条の基本理念(次項において「基
口腔保健に関する知識及び歯科疾患の予防に向
本理念」という。)にのっとり,歯科口腔保健の
けた取組に関する普及啓発,歯科口腔保健に関
推進に関する施策を策定し,及び実施する責務
する国民の意欲を高めるための運動の促進その
を有する。
他の必要な施策を講ずるものとする。
2 歯科口腔保健の推進に関する法律 ●
21
(定期的に歯科検診を受けること等の勧奨等)
方針,地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)
第八 条 国及び地方公共団体は,国民が定期的に
第四条第一項に規定する基本指針その他の法律
歯科に係る検診を受けること及び必要に応じて
の規定による方針又は指針であって保健,医療
歯科保健指導を受けること(以下この条及び次
又は福祉に関する事項を定めるものと調和が保
条において「定期的に歯科検診を受けること等」
たれたものでなければならない。
という。)を促進するため,定期的に歯科検診を
3 厚生労働大臣は,第一項の基本的事項を定め,
受けること等の勧奨その他の必要な施策を講ず
又はこれを変更しようとするときは,あらかじ
るものとする。
(障害者等が定期的に歯科検診を受けること等の
ための施策等)
第九 条 国及び地方公共団体は,障害者,介護を
め,関係行政機関の長に協議するものとする。
4 厚生労働大臣は,第一項の基本的事項を定め,
又はこれを変更したときは,遅滞なく,これを
公表するものとする。
必要とする高齢者その他の者であって定期的に
第十 三条 都道府県は,前条第一項の基本的事項
歯科検診を受けること等又は歯科医療を受ける
を勘案して,かつ,地域の状況に応じて,当該
ことが困難なものが,定期的に歯科検診を受け
都道府県において第七条から第十一条までの規
ること等又は歯科医療を受けることができるよ
定により講ぜられる施策につき,それらの総合
うにするため,必要な施策を講ずるものとする。
的な実施のための方針,目標,計画その他の基
(歯科疾患の予防のための措置等)
本的事項を定めるよう努めなければならない。
第十 条 前三条に規定するもののほか,国及び地
2 前項の基本的事項は,健康増進法第八条第一
方公共団体は,個別的に又は公衆衛生の見地か
項に規定する都道府県健康増進計画その他の法
ら行う歯科疾患の効果的な予防のための措置そ
律の規定による計画であって保健,医療又は福
の他の歯科口腔保健のための措置に関する施策
祉に関する事項を定めるものと調和が保たれた
を講ずるものとする。
ものでなければならない。
(口腔の健康に関する調査及び研究の推進等)
(財政上の措置等)
第十 一条 国及び地方公共団体は,口腔の健康に
第十 四条 国及び地方公共団体は,歯科口腔保健
関する実態の定期的な調査,口腔の状態が全身
の推進に関する施策を実施するために必要な財
の健康に及ぼす影響に関する研究,歯科疾患に
政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるも
係るより効果的な予防及び医療に関する研究そ
のとする。
の他の口腔の健康に関する調査及び研究の推進
(口腔保健支援センター)
並びにその成果の活用の促進のために必要な施
第十 五条 都道府県,保健所を設置する市及び特
策を講ずるものとする。
(歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の策定
等)
別区は,口腔保健支援センターを設けることが
できる。
2 口腔保健支援センターは,第七条から第十一
第十 二条 厚生労働大臣は,第七条から前条まで
条までに規定する施策の実施のため,歯科医療
の規定により講ぜられる施策につき,それらの
等業務に従事する者等に対する情報の提供,研
総合的な実施のための方針,目標,計画その他
修の実施その他の支援を行う機関とする。
の基本的事項を定めるものとする。
2 前項の基本的事項は,健康増進法(平成十四
年法律第百三号)第七条第一項に規定する基本
22
● 口腔衛生学 2012 増補版
附 則
この法律は,公布の日から施行する。
「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」
(平成 24 年7月 23 日,厚生労働省告示)
2.歯科疾患の予防
う蝕,歯周病等の歯科疾患がない社会を目
指して,広く国民に歯科疾患の成り立ち及び
歯科口腔保健の推進に関する法律(平成 23 年法
予防方法について普及啓発を行うとともに,
律第 95 号)第 12 条第1項の規定に基づき,歯科
健康を増進する一次予防に重点を置いた対策
口腔保健の推進に関する国及び地方公共団体の施
を総合的に推進する。
策を総合的に推進するための基本的事項を次のよ
また,歯科疾患の発症のリスクが高い集団
うに定める。
に対する取組や環境の整備等により生活習慣
この基本的事項は,高齢化が進む中で将来を見
の改善等ができるようにする取組等を組み合わ
据え,乳幼児期からの生涯を通じた歯科疾患の予
せることにより,歯科疾患の予防を実現する。
防,口腔機能の獲得・保持等により,すべての国
3.生活の質の向上に向けた口腔機能の維持・向上
民が心身ともに健やかで心豊かな生活ができる社
食べる喜び,話す楽しみ等の QOL(生活の
会を実現することを目的に,保健,医療,社会福祉,
質)の向上を図るためには,口腔機能の維持・
労働衛生,教育その他の関連施策及びその関係者
向上が重要である。高齢期においては摂食・
との相互連携を図り,歯科口腔保健に関する国及
嚥下等の口腔機能が低下しやすいため,これ
び地方公共団体の施策等を総合的に推進するため
を防ぐためには,特に,乳幼児期から学齢期(満
の基本的な事項を示すものである。
六歳に達した日の翌日以後における最初の学
年の初めから満二十歳に達するまでの期間を
第一 歯科口腔保健の推進のための基本的な方針 いう。以下同じ。)にかけては良好な口腔・顎
顔面の成長発育及び適切な口腔機能の獲得が,
1.口腔の健康の保持・増進に関する健康格差の縮小
成人期から高齢期にかけては口腔機能の維持・
口腔の健康の保持・増進が,健康で質の高
向上を図っていくことが重要である。具体的
い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果
には,口腔機能の健全な育成,口腔機能に彫
たしていることから,歯科口腔保健に関する
響を与える習癖等の改善,口腔機能訓練等に
施策の推進を通じて国民保健の向上を図る。
関する歯科保健指導等が効果的である。
口腔の健康の保持・増進は,国民が主体的
4.定期的な歯科検診又は歯科医療を受けることが
に取り組むべき課題であるが,国民一人一人
困難な者に対する歯科口腔保健
が行う取組に加え,家庭,学校,職域,地域(保
障害者・障害児,要介護高齢者等で,定期
健所,市町村保健センター等),医療機関(病
的に歯科検診(健康診査及び健康診断を含む。
院歯科・歯科診療所を含む。),障害者支援施
以下同じ。)又は歯科医療を受けることが困難
設,障害児入所施設,介護保険施設等を含め
な者に対しては,その状況に応じた支援をし
た社会全体としてもその取組を支援し,さら
た上で歯科疾患の予防等による口腔の健康田
に,歯科医師,歯科衛生士等が行う指導・助言・
保持・増進を図っていく必要がある。
管理等により口腔の健康の保持・増進に関す
5.歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境
る健康格差(地域や社会経済状況の違いによ
の整備
る集団聞の健康状態の差をいう。以下同じ。)
歯科口腔保健に関する施策を総合的に推進
の縮小を実現する。そのための取組を適切か
していくため,国及び地方公共団体に歯科専
つ効果的に行うために,ライフステージごと
門職である歯科医師,歯科衛生士及び歯科技
の特性等を踏まえつつ,生涯を通じた切れ目
工士を記置すること,また,地方公共団体に,
のない歯科口腔保健に関する施策を展開する
歯科医療又は保健指導に係る業務に従事する
ことが重要である。また,平成元年(1989 年)
者等に対する情報の提供,研修の実施その他
より 80 歳で 20 本以上の歯を残すことをスロー
の支援を行う口腔保健支援センターを設置す
ガンとして取り組んできた「8020(ハチマル
ることが望ましい。
ニイマル)運動」は,すべての国民の生涯を
また,歯科に関する疾患の早期発見及び早
通じた口腔の健康及び口腔機能の維持・向上
期治療を行うため,定期的に歯科に係る検診
の観点から更に推進していくこととする。
を受けることの勧奨を行うための支援体制の
2 歯科口腔保健の推進に関する法律 ●
23
整備が必要である。
縮小に関する具体的な目療は特に設定しない
が,次の2)から5)までに掲げる目標・計
第二 歯科口腔保健を推進するための目標, 画を達成すること等により実現を目指すこと
計画に関する事項 とする。
2)歯科疾患の予防における目標・計画
口腔の健康の保持・増進に関する健康格差の縮
う蝕,歯周病等の歯科疾患はライフステー
小を目指して,国は,第一の1から5までについて,
ジごとの特性を踏まえ,乳幼児期学齢期,妊
それぞれアウトカムとしての目標及びプロセスと
産婦である期間を含む成人期,高齢期に分け
しての計画を設定する。
1.目標,計画設定と評価の考え方
国は,歯科口腔保健にかかわる多くの関係
健全な歯・口腔の育成を目標に設定し,そ
者が共通の認識として持つ科学的根拠に基づ
の実現を図るため,歯科疾患等に関する知識
いた,実態把握が可能であり,かつ,具体的
の普及啓発,食生活及び発達の程度に応じた
な目標を設定することを原則とする。
歯口清掃に係る歯科保健指導並びにう蝕予防
具体的な目標・計画については,おおむね
ための取組等に関する計画の具体的項目を設
10 年後を達成時期として設定することとし,
「歯科疾患の予防」及び「生活の質の向上に向
定する。
⑵学齢期
けた口腔機能の維持・向上」のための目標・
口腔状態の向上を目標に設定し,その実現
計画は,ライフステージごとの特性を踏まえ
を図るため,歯科疾患及び口腔の外傷等に関
たものとする。
する知識の普及啓発,食生活及び歯口清掃に
また,設定した目標については,継続的に
係る歯科保健指導並びにう蝕及び歯周病を予
数値の推移等の調査及び分析を行い,計画及
防するための取組等に関する計画の具体的項
び諸活動の成果を適切に評価することで,設
定した目標の達成に向け必要な施策を行うよ
目を設定する。
⑶成人期(妊産婦である期間を含む。)
う努める。
健全な口腔状態の維持を目標に設定し,そ
さらに,歯科口腔保健の推進にかかる施策
の実現を図るため,歯周病と糖尿病・喫煙・
の成果については,基本的事項の策定後5年
早産等との関係性に関する知識の普及啓発,
を目途に中間評価を行うとともに,10 年後を
食生活及び歯口清掃に係る歯科保健指導,う
日途に最終評価を行うことにより,目標を達
蝕及び歯周病の予防並びに生活習慣の改善(禁
成するための計画及び諸活動の成果を適切に
煙等)のための取組等に関する計画の具体的
評価し,その後の歯科口腔保健の推進にかか
る施策に反映させる。
2.歯科口腔保健を推進するための目標,計画
項目を設定する。
⑷高齢期
歯の喪失防止を目標に設定し,その実現を
国が国民の歯科口腔保健について設定する
図るため,根面う蝕,口腔がん等に関する知
具体的な目標,計画は,別表第一から別表第
識の普及啓発,食生活及び歯口清掃に係る歯
四(省略)(表 補 2-1 参照)に掲げるものと
科保健指導並びにう蝕及び歯周病を予防する
し,国はこれらの目標,計画に基づき,歯科
ための取組等に関する計画の具体的項目を設
口腔保健の推進に取り組むとともに進行管理
を行っていくものとする。
1)口腔の健康の保持・増進に関する健康格差の
縮小に関する目標・計画
定する。
3)生活の質の向上に向けた口腔機能の維持・向上
における目標・計画
生活の質の向上に向けた口腔機能の維持・
口腔の健康の保持・増進に関する健康格差
向上は,ライフステージごとの特性を踏まえ,
の縮小は,生活習慣の改善や社会環境の整備
乳幼児期から学齢期,また,成人期から高齢
によって我が国全体として実現されるべき最
期に分けて目標・計画の具体的指標及び項目
終的な目標である。本基本的事項において,
を設定する。
口腔の健康の保持・増進に関する健康格差の
24
て目標・計画を設定する。
⑴乳幼児期
● 口腔衛生学 2012 増補版
⑴乳幼児期及び学齢期
る検診の勧奨及び実施体制の整備,口腔保健
口腔機能の獲得を目標に設定し,その実現
支援センターの設置並びに研修の充実等に関
を図るため,口腔・顎・顔面の成長発育等に
する計画の具体的項目を設定する。
関する知識の普及啓発,口腔機能の獲得に影
響を及ぼす習癖等の除去,食育等に係る歯科
第三 都道府県及び市町村の歯科口腔保健の 保健指導等に関する計画の具体的項目を設定
基本的事項の策定に関する事項 する。
(内容省略) ⑵成人期及び高齢期
口腔機能の維持・向上を目標に設定し,そ
1)歯科口腔保健推進に関する目標,計画の設定
の実現を図るため,口腔の状態と全身の健康と
と評価
の関係等に関する知識の普及啓発,義歯の手
2)目標,計画策定の留意事項
入れを含む歯口清掃及び食育等の歯科保健指
⑴都道府県の役割
導並びに口腔機能の維持・向上に関する取組
⑵保健所の役割
の推進に関する計画の具体的項目を設定する。
⑶市町村の役割
4)定 期的に歯科検診文は歯科医療を受けること
⑷目標,計画の設定,評価
が 困 難 な 者 に対する歯科口腔保健における
⑸調和に配慮
目標・計画
定期的に歯科検診又は歯科医療を受けるこ
とが困難な障害者・障害児,要介護高齢者等
第四 調査及び研究に関する基本的な事項 については,定期的な歯科検診・歯科医療に
(内容省略) 関する目標を設定し,その実現を図るため,
定期的な歯科検診・歯科医療に関する実態の
1)調査の実施及び活用
把握,実践に即した効果的な対策の実施,歯
2)研究の推進
科疾患及び医療・介護サービス等に関する知
⑴その他歯科口腔保健の推進に関する重要事項
識の普及啓発等に関する計画の具体的項目を
⑵歯 科口腔保健に関する正しい知識の普及に関
設定する。
する事項
5)歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境
⑶歯科口腔保健を担う人材
の整備における目標・計画
⑷歯 科口腔保健を担う者の連携および協力に関
歯科口腔保健の推進体制の整備に向けた目
する事項
標を設定し,その実現を図るため,歯科に係
2 歯科口腔保健の推進に関する法律 ●
25
表 補 2-1:歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(歯科口腔保健を推進するための目標)
現状値
目標値
(2012) (平成 34 年度(2022))
口腔の健康の保持・増進,歯科口腔保健に関する健康格差の縮小に関する目標 次の2から5に掲げる目標等を達成することにより実現を目指す
歯科疾患の予防における目標 ⑴乳幼児期
◦ 3 歳児、
う蝕のない者
77.1%
→
90%
⑵学齢期(高等学校等を含む)
◦ 12 歳児、
う蝕のない者
54.6%
→
65%
◦中学生・高校生、
歯肉に炎症所見を有する者
25.1%
→
20%
⑶成人期(妊産婦を含む)
◦ 20 歳代、
歯肉に炎症所見を有する者*
31.7%
→
25%
◦ 40 歳代、
進行した歯周炎を有する者*
37.3%
→
25%
◦ 40 歳、
未処置歯を有する者
40.3%
→
10%
◦ 40 歳、
喪失歯のない者
54.1%
→
75%
37.6%
→
10%
*
(4)高齢期
◦ 60 歳、
未処置歯を有する者
◦ 60 歳代、
進行した歯周炎を有する者
54.7%
→
45%
◦ 60 歳、
24 歯以上自分の歯を有する者*
60.2%
→
70%
◦ 80 歳、
20 歯以上自分の歯を有する者
5.0%
→
50%
不正咬合等が認められる者
12.3%
→
10%
咀嚼良好者*(なんでも噛んで食べることができ
ると回答した者)
73.4%
→
80%
66.9%
→
90%
19.2%
→
50%
*
*
生活の質の向上に向けた口腔機能の維持・向上における目標 ⑴乳幼児期、学齢期(高等学校等を含む)
◦ 3 歳児、
⑵成人期、高齢期
◦ 60 歳代、
定期的に歯科検診、歯科医療を受けることが困難な者における目標 ⑴障害者
◦定期的な歯科検診実施率
※障害(児)者入所施設
⑵要介護高齢者
◦定期的な歯科検診実施率
※介護老人福祉施設、介護老人保健施設
歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境の整備における目標 ◦歯科検診受診者
過去1年間に歯科健康診査を受診した者*
34.1%
→
65%
◦3歳児、
う蝕がない者が 80%以上の都道府県数*
6
→
23
◦ 12 歳児、
一人平均う歯数が 1 未満の都道府県数
7
→
28
26
→
36
*
◦歯科口腔保健の推進に関する条例を策定している都道府県数
*健康日本 21(第2次)の歯・口腔の健康の目標値
26
● 口腔衛生学 2012 増補版
歯科口腔保健の推進に関する法律の概要
図 補1-1
○口腔の健康は、国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割
○国民の日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組が口腔の健康の保持に極めて有効
国民保健の向上に寄与するため、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持(以下「歯科口腔保健」)の推進に関する施策を総合的に推進
基本理念
①国民が、生涯にわたって日常生活において歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに、歯科疾患を早期に発見し、早期に治療を受けることを促進
②乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期における口腔とその機能の状態及び歯科疾患の特性に応じて、適切かつ効果的に歯科口腔保健を推進
③保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育その他の関連施策の有機的な連携を図りつつ、その関係者の協力を得て、総合的に歯科口腔保健を推進
責務
①国及び地方公共団体、②歯科医師、歯科衛生士、③国民の健康の保持増進のために必要な事業を行う者、④国民について、責務を規定
歯科口腔保健の推進に関する施策
①歯科口腔保健に関する知識等の普及啓発等
②定期的に歯科検診を受けること等への勧奨等
③障害者等が定期的に歯科検診を受けること等のための施策等
④歯科疾患の予防のための措置等
⑤口腔の健康に関する調査及び研究の推進等
実施体制
基本的事項の策定等
口腔保健支援センター
都道府県、保健所設置市及び特別区が設置〔任意設置〕
※センターは、歯科医療等業務に従事する者等に対する情報
の提供、研修の実施等の支援を実施
国:施策の総合的な実施のための方針、目標、計画その他の
基本的事項を策定・公表
都道府県:基本的事項の策定の努力義務
※国及び地方公共団体は、必要な財政上の措置等を講ずるよう努める。
(出典 厚生労働省 HP より)
図 補2-2
歯科口腔保健の推進に関する基本的事項のイメージ図
国の基本的事項
国の基本方針
基本的な方針、目標等
口腔の健康の保持・増進に関する健康格差の縮小
歯科疾患
予防
生活の質の向上
に向けた
口腔機能の維持・
向上
定期的に歯科検診又
は歯科医療を
受けることが困難な
者に対する
歯科口腔保健
調和
健康日本21
(第2次)
都道府県、市町村
の
基本的事項作成の
留意事項
歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境の整備
歯科口腔保健の推進に関する重要事項
調査の実施及び活用
研究の推進
歯科口腔保健に関する正しい知識の普及
歯科口腔保健を担う人材の確保、資質向上
歯科口腔保健を担う者の連携及び協力
国の基本的事項を
勘案し、地域の状況に
応じて作成
国の歯科口腔保健に関する施策を総合的に推進
都道府県等の基本的事項
調和
都道府県等
の
健康増進計画
都道府県の歯科口腔保健に関する施策を総合的に推進
国民保健の向上に寄与
(出典 厚生労働省 HP より)
2 歯科口腔保健の推進に関する法律 ●
27
3
健康日本 21(21世紀における国民健康づくり運動)
(第 1 次、第 2 次)
1.健康日本 21(第1次計画)2000 年(平成元年)
なお,9分野の目標の中,主なものは,以下の
より 2012 年(平成 24 年)の成果
とおりであった。
(厚生科学審議会地域健康増進栄養部会,次期国民健康づ
A:メタ ボリックシンドロームを認知している国
民の割合の増加
くり運動プラン策定専門委員会:健康日本 21(第2次)
の推進に関する参考資料より)
高齢 者で外出について積極的態度をもつ人の
80歳で 20 歯以上・60 歳で 24 歯以上の自分の
増加
健康日本 21 では9分野の目標(80 項目,うち参
歯を有する人の増加など
考指標1項目及び再掲 21 項目を含む。)を設定し
ており,これらの目標の達成状況や関連する取組
B: 食塩摂取量の減少
の状況の評価などを行った。
意識的に運動を心がけている人の増加
喫煙 が及ぼす健康影響についての十分な知識
⑴全体の目標達成状況等の評価
糖尿病やがん検診の促進 など
9つの分野の全指標 80 項目のうち,再掲 21 項
C: 自殺者の減少,多量に飲酒する人の減少
目を除く 59 項目の達成状況は次のとおりである。
メタ ボリックシンドロームの該当者・予備群
いないが改善傾向にある」を合わせ,全体の約6
高脂血症の減少 など
割で一定の改善がみられた。
D: 日常生活における歩数の増加
1.最終評価の結果
の普及
の減少
Aの「目標値に達した」とBの「目標値に達して
評価区分
(策定時*の値と
直近値を比較)
糖尿病合併症の減少など
E: 特定健康診査・特定保健指導の受診者数の向上
該当項目数〈割合〉
A 目標値に達した
10 項目〈16.9%〉
B 目標値に達していな
いが改善傾向にある
25 項目〈42.4%〉
C 変わらない
14 項目〈23.7%〉
D 悪化している
9項目〈15.3%〉
E 評価困難
1項目〈1.7%〉
合計 59 項目〈100.0%〉
*中間評価時に設定された指標については,中間評価時の値
と比較
(平 成 20 年からの2か年のデータに限定され
ため)
⑵取組状況の評価
都道府県及び市町村においては,住民の健康増
進に関する施策についての基本的な計画である健
康増進計画の策定が進み,平成 14 年3月には全
ての都道府県で健康増進計画が策定された。また,
市町村については,中間評価の際の平成 18 年7月
時点において全 1,859 市町村のうち 1,001 の市町村
(約 54%)で健康増進計画が策定されていたが,平
成 22 年 12 月時点では全 1,750 市町村のうち 1,333
の市町村(約 76%)で策定されていた。
98%の都道府県で健康増進計画の評価を行う体
制があり,中間評価も実施されていたが,市町村
では約半数であった。また,健康増進施策の推進
体制については,98%の都道府県で関係団体,民
28
● 口腔衛生学 2012 増補版
間企業,住民組織が参加する協議会・連絡会等の
状況を整理したのが以下の表である。指標によっ
体制があり,市町村でも7割弱を占めた。
ては,指標の達成状況の評価が高く,取組状況の
各分野の代表項目ごとに,指標の達成状況と,
割合も高いものがある一方,取組状況の割合は高
都道府県および市町村,団体の推進に関する取組
いが,指標の達成状況が低いもの等があった。
表 補 3-1:代表項目に関する指標の達成状況と推進に関する取組状況
栄養・食生活
身体活動・
運動
休養・こころの
健康づくり
たばこ
アル
コール
歯の健康
糖尿病
循環器病
がん
代表項目
達
* 成状況
指標の
分野
推進に関する取組状況
都道府県
施策(分野別)を
充実した割合(%)
目標設定した
割合(%)
市町村
団体
施策を充実した
割合(%)
施策を実施した
割合(%)
適正体重を維持している人の増加
C
74
46
44
脂肪エネルギー比率の減少
C
98
31
44
野菜の摂取量の増加
C
朝食を欠食する人の減少
D
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症
候群)を認知している国民の割合の増加
A
日常生活における歩数の増加
(成人、高齢者)
77
D
96
46
53
96
50
53
87
54
49
94
43
62
100
58
55
89
32
40
64
運動習慣者の増加
C
睡眠による休養を十分にとれない人の減少
A
70
自殺者の減少
C
91
47
26
未成年者の喫煙をなくす
B
91
28
42
公共の場及び職場における分煙の徹底
及び効果の高い分煙に関する知識の普及
B
66
56
48
83
禁煙支援プログラムの普及
B
60
20
43
喫煙をやめたい人がいる
B
43
28
40
多量に飲酒する人の減少
C
94
22
45
未成年者の飲酒をなくす
B
85
16
25
91
43
23
100
40
34
(学齢期のう蝕予防)一人平均う歯数の減少
( 歯 の 喪 失 防 止 )80 歳 で 20 歯 以 上、
60 歳で 24 歯以上の自分の歯を有する
人の増加
23
B
A
74
糖尿病検診受診後の事後指導の推進
B
49
45
44
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症
候群)の該当者・予備群の減少
C
96
54
57
87
61
49
メタボリックシンドローム
(内臓脂肪症候群)の概念を導入した
健診・保健指導の受診者数の向上
66
E
糖尿病有病者の増加の抑制(推計)
A
87
32
42
健康診断を受ける人の増加
B
55
57
55
高脂血症の減少
C
81
34
45
28
33
44
96
66
51
生活習慣の改善等による循環器病の減少
(推計)
がん検診の受診者の増加
43
B
B
89
*A:目標値に達した B:目標値に達していないが、改善傾向にある C:変わらない D:悪化している E:評価困難
厚生労働省 健康日本 21(第2次)の推進に関する参考資料(平成 24 年)
3 健康日本 21 ●
29
食生活の改善や運動習慣の定着等による一次予防
健康日本 21(第2次)
(厚生労働省告示第 430 号) (生活習慣を改善して健康を増進し,生活習慣病の
健康増進法(平成 14 年法律第 103 号)第七条第
を推進するとともに,合併症の発症や症状の進展
一項の規定に基づき,国民の健康の増進の総合的
等の重症化予防に重点を置いた対策を推進する。
な推進を図るための基本的な方針)平成 15 年厚生
(注)がん,循環器疾患,糖尿病及び COPD は,
労働省告示第 195 号)の全部を次のように改正し,
それぞれ我が国においては生活習慣病の一つとし
平成 25 年4月1日から適用することとしたので,
て位置づけられている。一方,国際的には,これ
同条第四項の規定に基づき公表する。(平成 24 年 7
ら四つの疾患を重要な NCD(非感染性疾患をいう。
月 10 日)
以下同じ。)として捉え,予防及び管理のための包
発症を予防することをいう。)に重点を置いた対策
括的な対策を講じることが重視されているところ
国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基
である。
本的な方針
この方針は,21 世紀の我が国において少子高齢
3.社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上
化や疾病構造の変化が進む中で,生活習慣及び社
国民が自立した日常生活を営むことを目指し,
会環境の改善を通じて,子どもから高齢者まで全
乳幼児期から高齢期まで,それぞれのライフステー
ての国民が共に支え合いながら希望や生きがいを
ジにおいて,心身機能の維持及び向上につながる
持ち,ライフステージ(乳幼児期,青壮年期,高
対策に取り組む。
齢期等の人の生涯における各段階をいう。以下同
また,生活習慣病を予防し,又はその発症時期
じ。)に応じて,健やかで心豊かに生活できる活力
を遅らせることができるよう,子どもの頃から健
ある社会を実現し,その結果,社会保障制度が持
康な生活習慣づくりに取り組む。
続可能なものとなるよう,国民の健康の増進の総
さらに,働く世代のメンタルヘルス対策等によ
合的な推進を図るための基本的な事項を示し,平
り,ライフステージに応じた「こころの健康づくり」
成 25 年度から平成 34 年度までの「21 世紀におけ
に取り組む。
る第二次国民健康づくり運動(健康日本 21(第二
次))」(以下「国民運動」という。)を推進するも
4.健康を支え,守るための社会環境の整備
のである。
個人の健康は,家庭,学校,地域,職場等の社
会環境の影響を受けることから,社会全体として,
Ⅰ 国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向
個人の健康を支え,守る環境づくりに努めていく
1.健康寿命の延伸と健康格差の縮小
ことが重要であり,行政機関のみならず,広く国
我が国における高齢化の進展及び疾病構造の変
民の健康づくりを支援する企業,民間団体等の積
化を踏まえ,生活習慣病の予防,社会生活を営む
極的な参加協力を得るなど,国民が主体的に行う
ために必要な機能の維持及び向上等により,健康
健康づくりの取組を総合的に支援する環境を整備
寿命(健康上の問題で日常生活が制限されること
する。
なく生活できる期間をいう。以下同じ。)の延伸を
また,地域や世代間の相互扶助など,地域や社
実現する。
会の絆,職場の支援等が機能することにより,時
また,あらゆる世代の健やかな暮らしを支える
間的又は精神的にゆとりのある生活の確保が困難
良好な社会環境を構築することにより,健康格差
な者や,健康づくりに関心のない者等も含めて,
(地域や社会経済状況の違いによる集団間の健康状
社会全体が相互に支え合いながら,国民の健康を
態の差をいう。以下同じ。)の縮小を実現する。
守る環境を整備する。
2.生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底
5.栄養・食生活,身体活動・運動,休養,飲酒,
(NCDa の予防)
喫煙及び歯・口(くう)腔の健康に関する生活
がん,循環器疾患,糖尿病及び COPD (慢性閉
習慣及び社会環境の改善
塞性肺疾患をいう。以下同じ。)に対処するため,
上記1から4までの基本的な方向を実現するた
b
30
● 口腔衛生学 2012 増補版
め,国民の健康増進を形成する基本要素となる栄
2.目標設定の考え方
養・食生活,身体活動・運動,休養,飲酒,喫煙
健康寿命の延伸及び健康格差の縮小の実現に向
及び歯・口腔の健康に関する生活習慣の改善が重
けて,生活習慣病の発症予防や重症化予防を図る
要である。生活習慣の改善を含めた健康づくりを
とともに,社会生活を営むために必要な機能の維
効果的に推進するため,乳幼児期から高齢期まで
持及び向上を目指し,これらの目標達成のために,
のライフステージや性差,社会経済的状況等の違
生活習慣の改善及び社会環境の整備に取り組むこ
いに着目し,こうした違いに基づき区分された対
とを目標とする。
象集団ごとの特性やニーズ,健康課題等の十分な
把握を行う。
1)健康寿命の延伸と健康格差の縮小
その上で,その内容に応じて,生活習慣病を発
健康寿命の延伸及び健康格差の縮小は,生活習
症する危険度の高い集団や,総人口に占める高齢
慣の改善や社会環境の整備によって我が国におい
者の割合が最も高くなる時期に高齢期を迎える現
て実現されるべき最終的な目標である。具体的な
在の青壮年期の世代への生活習慣の改善に向けた
目標は,日常生活に制限のない期間の平均の指標
働きかけを重点的に行うとともに,社会環境の改
に基づき,別表第一(省略)のとおり設定する。
善が国民の健康に影響を及ぼすことも踏まえ,地
また,当該目標の達成に向けて,国は,生活習慣
域や職場等を通じて国民に対し健康増進への働き
病対策の総合的な推進を図るほか,医療や介護な
かけを進める。
ど様々な分野における支援等の取組を進める。
Ⅱ 国民の健康の増進の目標に関する事項
2)主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底
1.目標の設定と評価
我が国の主要な死亡原因であるがん及び循環器
国は,国民の健康増進について全国的な目標を
疾患への対策に加え,患者数が増加傾向にあり,
設定し,広く国民や健康づくりに関わる多くの関
かつ,重大な合併症を引き起こすおそれのある糖
係者に対してその目標を周知するとともに,継続
尿病や,死亡原因として急速に増加すると予測さ
的に健康指標の推移等の調査及び分析を行い,そ
れる COPD への対策は,国民の健康寿命の延伸を
の結果に関する情報を国民や関係者に還元するこ
図る上で重要な課題である。
とにより,関係者を始め広く国民一般の意識の向
がんは,予防,診断,治療等を総合的に推進す
上及び自主的な取組を支援するものとする。
る観点から,年齢調整死亡率の減少とともに,特
また,国民の健康増進の取組を効果的に推進す
に早期発見を促すために,がん検診の受診率の向
るため,国が具体的な目標を設定するに当たって
上を目標とする。
は,健康づくりに関わる多くの関係者が情報を共
循環器疾患は,脳血管疾患及び虚血性心疾患の
有しながら,現状及び課題について共通の認識を
発症の危険因子となる高血圧の改善並びに脂質異
持った上で,課題を選択し,科学的根拠に基づく
常症の減少と,これらの疾患による死亡率の減少
ものであり,かつ,実態の把握が可能な具体的目
等を目標とする。
標を設定するものとする。
糖尿病は,その発症予防により有病者の増加の
なお,具体的目標については,おおむね 10 年間
抑制を図るとともに,重症化を予防するために,
を目途として設定することとし,国は,当該目標
血糖値の適正な管理,治療中断者の減少及び合併
を達成するための取組を計画的に行うものとする。
症の減少等を目標とする。
また,設定した目標のうち,主要なものについて
COPD は,喫煙が最大の発症要因であるため,
は継続的に数値の推移等の調査及び分析を行うと
禁煙により予防可能であるとともに,早期発見が
ともに,都道府県における健康状態や生活習慣の
重要であることから,これらについての認知度の
状況の差の把握に努める。さらに,目標設定後5
向上を目標とする。
年を目途に全ての目標について中間評価を行うと
上記に係る具体的な目標は別表第二(省略)の
ともに,目標設定後 10 年を目途に最終評価を行う
とおりとし,当該目標の達成に向けて,国は,こ
ことにより,目標を達成するための諸活動の成果
れらの疾患の発症予防や重症化予防として,適切
を適切に評価し,その後の健康増進の取組に反映
な食事,適度な運動,禁煙など健康に有益な行動
する。
変容の促進や社会環境の整備のほか,医療連携体
3 健康日本 21 ●
31
制の推進,特定健康診査・特定保健指導の実施等
課題となる健康格差の実態を把握し,対策に取り
に取り組む。
組む地方公共団体の増加について設定する。
当該目標の達成に向けて,国は,健康づくりに
3)社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上
自発的に取り組む企業,民間団体等の動機づけを
少子高齢化が進む中で,健康寿命の延伸を実現
促すため,当該企業,団体等の活動に関する情報
するには,生活習慣病の予防とともに,社会生活
提供やそれらの活動の評価等に取り組む。
を営むための機能を高齢になっても可能な限り維
持することが重要である。
5)栄養・食生活,身体活動・運動,休養,飲酒,
社会生活を営むために必要な機能を維持するた
喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び
めに,身体の健康と共に重要なものが,こころの
社会環境の改善
健康である。その健全な維持は,個人の生活の質
栄養・食生活,身体活動・運動,休養,飲酒,
を大きく左右するものであり,自殺等の社会的損
喫煙及び歯・口腔の健康に関する目標は,それぞ
失を防止するため,全ての世代の健やかな心を支
れ次の考え方に基づき,別表第五(歯・口腔の保
える社会づくりを目指し,自殺者の減少,重い抑
健以外省略)のとおりとする。
鬱や不安の低減,職場の支援環境の充実及び子ど
もの心身の問題への対応の充実を目標とする。
⑴栄養・食生活
また,将来を担う次世代の健康を支えるため,
栄養・食生活は,生活習慣病の予防のほか,社
妊婦や子どもの健康増進が重要であり,子どもの
会生活機能の維持及び向上並びに生活の質の向上
頃からの健全な生活習慣の獲得及び適正体重の子
の観点から重要である。目標は,次世代の健康や
どもの増加を目標とする。
高齢者の健康に関する目標を含め,ライフステー
さらに,高齢化に伴う機能の低下を遅らせるた
ジの重点課題となる適正体重の維持や適切な食事
めには,高齢者の健康に焦点を当てた取組を強化
等に関するものに加え,社会環境の整備を促すた
する必要があり,介護保険サービス利用者の増加
め,食品中の食塩含有量等の低減,特定給食施設
の抑制,認知機能低下及びロコモティブシンドロー
(特定かつ多数の者に対して継続的に食事を供給
ム C(運動器症候群)の予防とともに,良好な栄養
する施設をいう。以下同じ。)での栄養・食事管
状態の維持,身体活動量の増加及び就業等の社会
理について設定する。
参加の促進を目標とする。
当該目標の達成に向けて,国は,健康な食生活
上記に係る具体的な目標は別表第三(省略)の
や栄養に関する基準及び指針の策定,関係行政機
とおりとし,当該目標の達成に向けて,国は,メ
関の連携による食生活に関する国民運動の推進,
ンタルヘルス対策の充実,妊婦や子どもの健やか
食育の推進,専門的技能を有する人材の養成,企
な健康増進に向けた取組,介護予防・支援などの
業や民間団体との協働による体制整備等に取り
取組を進める。
組む。
4)健康を支え,守るための社会環境の整備
⑵身体活動・運動
健康を支え,守るための社会環境が整備される
身体活動・運動は,生活習慣病の予防のほか,
ためには,国民,企業,民間団体等の多様な主体
社会生活機能の維持及び向上並びに生活の質の向
が自発的に健康づくりに取り組むことが重要であ
上 の 観 点 か ら 重 要 で あ る。 目 標 は, 次 世 代 の 健
る。具体的な目標は,別表第四(省略)のとおりとし,
康や高齢者の健康に関する目標を含め,運動習慣
居住地域での助け合いといった地域のつながりの
の定着や身体活動量の増加に関する目標とともに,
強化とともに,健康づくりを目的とした活動に主
身体活動や運動に取り組みやすい環境整備につい
体的に関わる国民の割合の増加,健康づくりに関
て設定する。
する活動に取り組み,自発的に情報発信を行う企
当該目標の達成に向けて,国は,健康増進のた
業数の増加並びに身近で専門的な支援及び相談が
めの運動基準・指針の見直し,企業や民間団体と
受けられる民間団体の活動拠点の増加について設
の協働による体制整備等に取り組む。
定するとともに,健康格差の縮小に向け,地域で
32
● 口腔衛生学 2012 増補版
⑶休養
⑸喫煙
休養は,生活の質に係る重要な要素であり,日
喫煙は,がん,循環器疾患,糖尿病,COPD と
常的に質量ともに十分な睡眠をとり,余暇等で体
いった NCD の予防可能な最大の危険因子であるほ
や心を養うことは,心身の健康の観点から重要で
か,低出生体重児の増加の一つの要因であり,受
ある。目標は,十分な睡眠による休養の確保及び
動喫煙も様々な疾病の原因となるため,喫煙によ
週労働時間 60 時間以上の雇用者の割合の減少につ
る健康被害を回避することが重要である。目標は,
いて設定する。
成人の喫煙,未成年者の喫煙,妊娠中の喫煙及び
当該目標の達成に向けて,国は,健康増進のた
受動喫煙の割合の低下について設定する。
めの睡眠指針の見直し等に取り組む。
当該目標の達成に向けて,国は,受動喫煙防止
対策,禁煙希望者に対する禁煙支援,未成年者の
⑷飲酒
喫煙防止対策,たばこの健康影響や禁煙について
飲酒は,生活習慣病を始めとする様々な身体疾
の教育,普及啓発等に取り組む。
患や鬱病等の健康障害のリスク要因となり得るの
みならず,未成年者の飲酒や飲酒運転事故等の社
⑹歯・口腔の健康
会的な問題の要因となり得る。目標は,生活習慣
歯・口腔の健康は摂食と構音を良好に保つため
病の発症リスクを高める量を飲酒している者の減
に重要であり,生活の質の向上にも大きく寄与す
少,未成年者及び妊娠中の者の飲酒の防止につい
る。目標は,健全な口腔機能を生涯にわたり維持
て設定する。
することができるよう,疾病予防の観点から,歯
当該目標の達成に向けて,国は,飲酒に関する
周病予防,う蝕予防及び歯の喪失防止に加え,口
正しい知識の普及啓発や未成年者の飲酒防止対策
腔機能の維持及び向上等について設定する。
等に取り組む。
別表 第五⑹:歯・口腔の健康
項 目
① 口 腔機能の維持・向上(60 歳代における咀嚼良好者の割合
の増加)
現 状
目 標
73.4%(平成 21 年) 80%(平成 34 年度)
② 歯の喪失防止
ア 80 歳で 20 歯以上の自分の歯を有する者の割合の増加
25.0%(平成 17 年) 50%(平成 34 年度)
イ 60 歳で 24 歯以上の自分の歯を有する者の割合
60.2%(平成 17 年) 70%(平成 34 年度)
ウ 40 歳で喪失歯のない者の割合の増加
54.1%(平成 17 年) 75%(平成 34 年度)
③ 歯周病を有する者の割合の減少
ア 20 歳代における歯肉に炎症所見を有する者の割合の減少
31.7%(平成 17 年) 25%(平成 34 年度)
イ 40 歳代における進行した歯周炎を有する者の割合の減少
37.3%(平成 17 年) 25%(平成 34 年度)
ウ 60 歳代における進行した歯周炎を有する者の割合の減少
54.7%(平成 17 年) 45%(平成 34 年度)
④ 乳幼児・学齢期のう蝕のない者の増加
ア 3歳児でう蝕がない者の割合が 80%以上ある都道府県の増加
イ 12 歳児の一人平均う歯数が 1.0 歯未満である都道府県の増加
⑤ 過去1年間に歯科検診を受診した者の割合の増加
6都道府県
23 都道府県
(平成 21 年)
(平成 23 年度)
7都道府県
28 都道府県
(平成 23 年)
(平成 34 年度)
34.1%(平成 21 年) 65%(平成 34 年度)
3 健康日本 21 ●
33
当該目標の達成に向けて,国は,歯科口腔保健
Ⅴ 健康増進事業実施者間における連携及び協力
に関する知識等の普及啓発や「8020(ハチマルニ
に関する基本的な事項(内容省略)
イマル)運動」の更なる推進等に取り組む。
Ⅵ 食生活,運動,休養,飲酒,喫煙,歯の健康
の 保持その他の生活習慣に関する正しい知識
の普及に関する事項(内容省略)
Ⅲ 都道府県健康増進計画及び市町村健康増進
計画の策定に関する基本的な事項(内容省略)
1.基本的な考え方
1.健康増進計画の目標の設定と評価
2.健康増進普及月間等
2.計画策定の留意事項
Ⅶ その他国民の健康の増進の推進に関する重要
Ⅳ 国民健康・栄養調査その他の健康の増進に
事項(内容省略)
関する調査及び研究に関する基本的な事項
1.地域の健康課題を解決するための効果
(内容省略)
的な推進体制
1.健康増進に関する施策を実施する際
2.多様な主体による自発的取組や連携の
の調査の活用
推進
2.健康の増進に関する研究の推進
3.健康増進を担う人材
図 補 3-1:健康日本 21(第2次)の概念図
全ての国民が共に支え合い、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会の実現
①
健康寿命の延伸・健康格差の縮小
生活の質の向上
社会環境の質の向上
③
②
生活習慣病の
発症予防・重症化
予防
社会生活
機能の
維持・向上
生活習慣の改善
(リスクファクターの低減)
⑤
④
社会参加
の機会の
増加
健康のための資源
(保健・医療・福祉等
サービス)への
アクセスの改善と
公平性の確保
社会環境の改善
次期国民健康づくり運動による具体的取り組み
厚生労働省 健康日本 21(第2次)の推進に関する参考資料(平成 24 年)
34
● 口腔衛生学 2012 増補版
◆ 語句説明 ◆
(厚生科学審議会地域健康増進栄養部会,次期国民健康づく
費による長期的な影響と急速な高齢化によって,今後,さ
らに罹患率,有病率,死亡率の増加が続くと予想される。
り運動プラン策定専門委員会:健康日本 21(第2次)の推
COPD の原因の 90%はタバコ煙によっており,喫煙者の
進に関する参考資料および日本臨床整形外科学会 HP より)
20%が COPD を発症するとされる。女性は男性よりタバコ
煙に対する感受性が高く,女性喫煙率の増加によって,男
a Noncommunicable Diseases(NCD)
女ともに喫煙が最大の発症リスクとなっている。COPD の
近年,慢性疾患の発症や悪化は,個人の意識と行動だけ
発症予防と進行の阻止は禁煙によって可能であり,早期に
でなく,個人を取り巻く社会環境による影響が大きいた
禁煙するほど有効性は高い。
め,これらの疾患について,単に保健分野だけでなく,地域,
また,COPD は「肺の炎症性疾患」と位置づけられており,
職場等における環境要因や経済的要因等の幅広い視点から,
心血管疾患,消化器疾患,糖尿病,骨粗鬆症,うつなどの
包括的に施策を展開し,健康リスクを社会として低減して
併存疾患が多い。COPD の抑制はこれら疾患の低減効果の
いく「NCD 対策」としての概念が国際的な潮流となってき
可能性も期待される。
ている。
がん,循環器疾患,糖尿病及び COPD(慢性閉塞性肺疾
c ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)
患)を中心とした NCD は,世界的にも死因の約 60%を占
(運動器症候群)
め(2008 年(平成 20 年)現在),今後,10 年間でさらに
ロコモティブシンドローム(運動器症候群)は,運動器
77%にまで増加するとの予測もなされている。また,世界
の障害のために自立度が低下し,介護が必要となる危険性
保健機関(WHO)では,「非感染性疾病への予防と管理に
の高い状態と定義される。ロコモティブシンドロームの予
関するグローバル戦略」(2008 年(平成 20 年)~ 2013
防の重要性が認知されれば,個々人の行動変容が期待でき,
年(平成 25 年))を策定するほか,2011 年(平成 23 年)
国民全体として運動器の健康が保たれ,介護が必要となる
には国連におけるハイレベル会合で NCD が取り上げられる
国民の割合を減少させることが期待できる。その端緒とし
等,世界的に NCD の予防と管理を行う政策の重要性が認識
て,まずロコモティブシンドロームという言葉・概念の認
されている。今後,WHO において,NCD の予防のための
知度を高める必要があることから,健康日本 21(第2次)
世界的な目標を設定し,世界全体で NCD 予防の達成を図っ
において指標として設定された。
ていくこととされている。
各疾病の性質を医学的に見た場合,例えば,がんは必ず
ロコモとは,日本整形外科学会が,2007 年(平成 19 年)
しも非感染性のものだけでなく,感染性のものも存在して
に,新たに提唱したもの。「ロコモ」の提唱には,「人間は
いるが,近年,国際的に取り組まれている NCD 対策では,
運動器に支えられて生きている。運動器の健康には,医学
疾病そのものに着目して,がん,循環器疾患,糖尿病及び
的評価と対策が重要であるということを日々意識してほし
COPD を NCD という疾患として整理し,包括的な取組が
い」というメッセージが込められている。
なされている。
こうした国際的な背景を踏まえ,健康日本 21(第2次)
ロコモの原因:「運動器の障害」の原因には,大きく分けて,
「運動器自体の疾患」と,
「加齢による運動器機能不全」がある。
では,主要な生活習慣病を NCD 対策という枠組みで捉え,
1)運動器自体の疾患(筋骨格運動器系)
取り組むべき必要な対策を示すものである。
加齢に伴う,様々な運動器疾患。たとえば変形性関節症,
骨粗鬆症に伴う円背,易骨折性,変形性脊椎症,脊柱管狭
b Chronic Obstructive Pulmonary Disease(COPD)
窄症など。あるいは関節リウマチなどでは,痛み,関節可
(慢性閉塞性肺疾患)
動域制限,筋力低下,麻痺,骨折,痙性などにより,バラ
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は,主として長期の喫煙によっ
ンス能力,体力,移動能力の低下をきたす。
てもたらされる肺の炎症性疾患で,咳・痰・息切れを主訴
2)加齢による運動器機能不全
として緩徐に呼吸障害が進行する。かつて肺気腫,慢性気
加齢により,身体機能は衰える。筋力低下,持久力低下,
管支炎と称されていた疾患が含まれている。
反応時間延長,運動速度の低下,巧緻性低下,深部感覚低下,
世界的にみると,COPD の患者数は2億人,年間死亡者
バランス能力低下などがあげられる。「閉じこもり」などで,
は 300 万人と推定されている。WHO は,緊急のタバコ対
運動不足になると,これらの「筋力」や「バランス能力の低下」
策等を行わなかった場合,COPD による死亡は今後 10 年
などと,あいまり,「運動機能の低下」が起こり,容易に転
間に 30%増加し,2030 年には死亡順位第3位(2008 年,
倒しやすくなる。
第4位)になると推定している(図1)。
変形性関節症と,骨粗鬆症に限っても,推計患者数は
COPD の主要原因は長期にわたる喫煙習慣であり,我が
4,700 万人(男性 2,100 万人,女性 2,600 万人)とされて
国のたばこ消費量は近年減少傾向にあるが,過去のたばこ消
いる。(日本臨床整形外科学会 HP より)
3 健康日本 21 ●
35
36
①健 康 寿 命
の延伸と
健康格差
の縮小
基本的
な方向
全体
目標
NCDの予防
② 生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底
● 口腔衛生学 2012 増補版
社会生活に必要な機能の維持・向上
地域の絆による
社会づくり
③ 社会生活を営むために必要な機能の
維持及び向上
④ 健康を支え、
守るための社
会環境の整備
①合併症(糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数)の減少
②治療継続者の割合の増加
③血 糖コントロール指標におけるコントロール不良者の割合の減少
(HbA1c が JDS 値 8.0%(NGSP 値 8.4%)以上の者の割合の減少)
④糖尿病有病者の増加の抑制
④メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少
⑤特定健康診査・特定保健指導の実施率の向上
①脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率の減少
②高血圧の改善(収縮期血圧の平均値の低下)
③脂質異常症の減少
① 75 歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少
②がん検診の受診率の向上
①健康な生活習慣(栄養・食生活、運動)を有する子どもの割合の増加
②適正体重の子どもの増加
①介護保険サービス利用者の増加の抑制
②認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率の向上
③ロ コモティブシンドローム(運動器症候群)を認知している国民の
割合の増加
④低栄養傾向(BMI20 以下)の高齢者の割合の増加の抑制
⑤足腰に痛みのある高齢者の割合の減少
⑥高 齢者の社会参加の促進(就業又は何らかの地域活動をしている高
齢者の割合の増加)
こころ
の健康
次世代
の健康
高齢者
の健康
①地域のつながりの強化
②健康づくりを目的とした活動に主体的に関わっている国民の割合の増加
③健康づくりに関する活動に取り組み、自発的に情報発信を行う企業登録数の増加
④健康づくりに関して身近で専門的な支援・相談が受けられる民間団体の活動拠点数
の増加
⑤健康格差対策に取り組む自治体数の増加
①自殺者の減少
②気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じている者の割合
の減少
③メンタルヘルスに関する措置を受けられる職場の割合の増加
④小児人口 10 万人当たりの小児科医・児童精神科医師の割合の増加
慢性閉塞
① COPD の認知度の向上
性肺疾患
(COPD)
糖尿病
循環器
疾患
がん
⑤利 用 者 に 応 じ
た食事の計画、
調理及び栄養
の評価、改善を
実施している
特定給食施設
の割合の増加
④食 品 中 の 食 塩
や脂肪の低減
に取り組む食
品企業及び飲
食店の登録数
の増加
③共食の増加(食
事を1人で食
べる子どもの
割合の減少)
②適 切 な 量 と 質
の食事をとる
者の増加(主食・
主菜・副菜を組
み合わせた食事
の増加、食塩摂
取量の減少、野
菜・果物摂取量
の増加)
①適 正 体 重 を 維
持している者
の 増 加( 肥 満、
やせの減少)
栄養・食生活
③住 民 が 運 動 し
やすいまちづ
くり・環境整備
に取り組む自
治体数の増加
②運 動 習 慣 者 の
割合の増加
①日 常 生 活 に お
ける歩数の増
加
身体活動・運動
① 健康寿命の延伸
② 健康格差の縮小
目 標
③妊 娠 中 の 飲 酒
をなくす
②未 成 年 者 の 飲
酒をなくす
①生 活 習 慣 病 の
リスクを高め
る量を飲酒し
ている者(一日
当たりの純ア
ルコール摂取
量 が 男 性 40g
以 上、 女 性
20g 以上の者)
の割合の減少
飲酒
④受 動 喫 煙( 家
庭・職場・飲食
店・行政機関・
医療機関)の機
会を有する者
の割合の減少
③妊 娠 中 の 喫 煙
をなくす
②未 成 年 者 の 喫
煙をなくす
①成 人 の 喫 煙 率
の減少
喫煙
④乳幼児・学齢期
のう蝕のない
者の増加
⑤過 去 1 年 間 に
歯科検診を受
診した者の増
加
③歯 周 病 を 有 す
る者の割合の
減少
②歯の喪失防止
①口 腔 機 能 の 維
持・向上
歯・口腔の健康
厚生労働省 健康日本 21(第2次)の推進に関する参考資料(平成 24 年)
②週 労 働 時 間
60時間以上
の雇用者の割
合の減少
①睡 眠 に よ る 休
養を十分とれ
ていない者の
割合の減少
休養
⑤生活習慣及び社会環境の改善
表 補 3-1:健康日本 21(第2次)の基本的方向及び目標
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