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生物学的同等性試験におけるイトリゾール®カプセル 50 のロット間で認め
第5回ジェネリック医薬品品質情報検討会 資料5-2-5 生物学的同等性試験におけるイトリゾール®カプセル 50 のロット間で認められた統 計学的有意差が本剤の安全性に及ぼす影響に関する会社見解に,イトラコナゾールパ ルス療法特定使用成績調査の結果を含めた背景について 品質再評価時を含む 2004 年から 2009 年のイトリゾール®カプセル 50 の溶出試験成績を図 1 に 示す。2004 年から 2006 年の溶出率は,承認申請時の規格(パドル法(シンカーを用いる)、100 回転で,60 分後が 50%以上,120 分後が 75%以上)で測定されており,2007 年以降の溶出率は, 品質再評価時の規格(パドル法(シンカーなし)、50 回転で,90 分後が 70%以上)で測定されて いる。その為,2004 年から 2006 年の溶出率を 2007 年以降と直接比較することはできなかった。 しかしながら,承認申請時の規格で測定している 2006 年の 60 分後の溶出率が,2004 年及び 2005 年と比べ高くなる傾向が認められた。よって,イトリゾール®カプセル 50 の安全性について,パ ルス療法特定使用成績調査の結果も踏まえ評価することとした。 イトリゾールカプセル50 溶出試験 110 承認申請時の規格 品質再評価時の規格 100 90 80 % 60min. 120min. 70 90min. 60min.規格 120min.規格 60 90min.規格 50 2004‐229A 2004‐233A 2004‐237A 2004‐241A 2004‐245A 2004‐249A 2004‐253A 2004‐257A 2004‐261A 2004‐265A 2004‐269A 2004‐273A 2005‐277A 2005‐281A 2005‐285A 2005‐289A 2005‐293A 2005‐297A 2005‐301A 2005‐305A 2006‐309A 2006‐014A 2006‐018A 2006‐022A 2006‐026A 2006‐030A 2007‐034A 2007‐038A 2007‐042A 2007‐046A 2007‐050A 2007‐054A 2007‐058A 2008‐062A 2008‐066A 2008‐070A 2008‐074A 2008‐078A 2008‐082A 2009‐086A 2009‐090A 2009‐094A 2009‐098A 2009‐102A 2009‐106A 2009‐110A 40 年 ‐ ロッ ト番号 図1 2004 年から 2009 年のイトリゾール®カプセル 50 の溶出率 承認申請時の規格(100 回転で,60 分後で 50%以上,120 分で 75%以上) 品質再評価時の規格(50 回転で,90 分後で 70%以上) また,品質再評価時の規格で測定した溶出率(50 回転で 90 分後の溶出率)が,承認申請時の規 格で測定した溶出率(100 回転で 120 分値)と比べ高値を示す傾向にあったが,その要因を以下 に考察する。 品質再評価時の規格では,承認申請時の規格で使用していたシンカーを使用しなくなっている。 これは,品質再評価時にシンカーを使用しなくても溶出率の測定が可能であるならば,シンカー を使用しないという方針に基づき検討した結果,シンカーを使用しなくても本剤の溶出率を測定 することができると判断したことによる。 シンカーを使用した場合,まずカプセル剤皮が溶解し,カプセル中のペレットがシンカーの下側 に滞留する。シンカーの下側では,パドルの回転による水流が極めて弱くなっているため,溶出 が遅くなったものと考えられる。一方,シンカーを使用しない場合,カプセルは試験液上部に浮 遊するものの,すぐにカプセル剤皮が溶解し穴を生じる。そこからイトリゾールのペレットが放 出され,ベッセル底部に溜まるが,パドルの水流が直接あたるため溶出しやすくなっていると考 えられる。 以上より,品質再評価時の規格で測定した溶出率(50 回転で 90 分後の溶出率)が,承認申請時 の規格で測定した溶出率(100 回転で 120 分後の溶出率)と比べ高値を示す傾向にあったのは, 溶出試験において、シンカーを使用しなくなったためと考える。