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培養中の培地の蒸発防止法/日本語
アプリケーションノート 12 培養中の培地の蒸発防止について 0 概要 特に長期の実験では、少量の細胞培養培地は、インキュベートの条件によって、短時間で蒸発してしまうことがあります。また、細 胞培養インキュベータはどれも、特にドアの開放後、湿度のリカバリーにかなり長期間を要します。温度やCO2が数分間でリカ バリーできるのに対し、湿度の完全なリカバリーには数時間を要することがあります。 温度[℃] 相対湿度「%」 温度 相対湿度 上の図は、短時間のドア開放時とその後を含む10時間のCO2インキュベータ内の温度と湿度を示しています。こ の1日での温度の変化は微少でした(36℃∼ 37℃)が、相対湿度には顕著な差(安定した状態で93%、最低で 50%未満)が見られました。ここで重要なのは、このインキュベータのドアが開放されたのは午後5時までの間の 数回だけで、午後の間ずっと開放されていたわけではないということです。 蒸発を防止あるいは削減するために以下の方法を用いて下さい。 1. 湿らせたティッシュを入れたシャーレ(p.2) 2. 蒸発防止用チャンバー「オラフ」 (p.2) 3. パラフィルム(p.3) 4. シリコンオイル(p.3) http://www.n-genetics.com 1 アプリケーションノート 12 培養中の培地の蒸発防止について 1 湿らせたティッシュを入れたシャーレ 10cm のシャーレに湿らせたティッシュペーパーを入れて、簡単 な蒸 発防止 用 チャンバーを作ることが できます(右図参照)。長 期のインキュベーションには EDTA(Ethylene-Diamine-Tetraacetic Acid、エチレンジアミン四酢酸)で安 定化した水と滅菌したティッシュを使用して下さい。この方法の利点は、細胞の接 着状態などを調べるために低倍率での顕微鏡観察が可能であることです。細胞培 養の際のインキュベータ内での使用にお奨めできる方法です。 2 蒸発防止用チャンバー「オラフ」 蒸発防止用チャンバーオラフ(ib80008)は、特に長期の実験で見られる蒸発による問題を予防します。オラフは、完全密封で き、インキュベータ内に設置した際の湿度の損失を防ぎます。オラフは70%エタノール水溶液で滅菌でき、細胞培養インキュ ベータ内での使用に適しています。 手順: • 標準的な6ウエルプレートに滅菌水を満たし(1ウエルに4 ml)、プレートをオラフチャンバーに設置します。長期間の実験には EDTAで安定化した水を使用して下さい。 • 6ウエルプレートの上にマイクロスライドを載せ、オラフチャンバーを閉め、チャンバーをインキュベータに設置します。 マイクロスライド18ウエルが入ったオラフチャンバー。水の入った6ウエルプレートで加湿されます。 また違う方法として、水を満たしたプレートの上にマイクロスライドクリックラック(ib80007)を置くことも有効です。この方 法では、マイクロスライドを4枚まで平行に使用することができ、便利です。 (注:マイクロスライド18ウエルはマイクロスライド クリックラックにご使用いただけません。その場合には、マイクロスライド18ウエルを6ウエルプレートの上に直接置くことをお 奨めします。) http://www.n-genetics.com 2 アプリケーションノート 12 培養中の培地の蒸発防止について 3 パラフィルム スライドのリザーバーをパラフィルムでシールすることで蒸発効果を防ぐことができます。スライドを奨励された方法で満たし、 その上をしっかりと密着するまでパラフィルムを伸ばして覆うだけです。 パラフィルム法は、蒸発防止のないインキュベーター付属顕微鏡での使用にお奨めします。 4 シリコンオイル 細胞培養培地にシリコンオイルAR 200(Fluka, Sigma-Aldrich社から入手可)を重層することでも蒸発を防止することがで きます。シリコンオイルはガス透過性で無毒です。ミネラルオイルはマイクロスライドに悪影響を与えるので使用しないで下さ い。 手順: • シリコンオイルをオートクレーブします。 • シリコンオイルと細胞培養培地をインキュベータ内で一晩平衡化させます。これによって気泡の発成を防ぎ、全ての溶液を 37℃に保温します。 • スライドに細胞と培地を入れます。 • 培地の表面を適量のシリコンオイルで覆います。オイルを表面に直接垂らすことは避け、リザーバーの上部壁面にピペットの先 を押しつけてオイルが壁面を流れ落ちるようにします。例えば、マイクロスライドVI 0.4の使用時には、それぞれのリザーバーに 30μl の培地と30μlのシリコンオイルを満たします。 シリコンオイル法は、蒸発防止のないインキュベーター付属顕微鏡を使用した数時間のイメージングにお奨めする方法です。 シリコンオイル 細胞培養培地 リザーバー内にシリコンオイルを入れたマイクロスライドVI 0.4 。低湿度環境(顕微鏡上など)で蒸発を抑えるために使用します。 http://www.n-genetics.com 本 社 :〒113-0033 西日本営業所 :〒604-8277 東京都文京区本郷6-17-9 本郷綱ビル3F 京都府京都市中京区西洞院通御池下ル565番地 ラフィーネ御池3F Tel. 03(3813)0961 Tel. 075(257)5421 Fax. 03(3813)0962 Fax. 075(257)5422 10P1205 3