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デザイン都市静岡市に向けて - SCV NPOしずおかコンテンツバレー推進
静岡市経済局長 斎藤 誠 様 クリエイティブ産業集積のまち デザイン都市静岡市に向けて ∼駿府に創造都市を築いた家康公の戦略的構想力に学ぶ∼ 提案書 平成26年5月2日 NPO法人 しずおかコンテンツバレー推進コンソーシアム クリエイティブ産業を戦略産業に位置付けた創造都市づくりを提案 「しずおかコンテツバレー推進コンソーシアム」 (SCV)は静岡市が政令指定都市に移行し た平成 17 年 4 月、コンテンツビジネスを生み出すクリエーター育成に取り組む産学官の有 志の活動推進組織として立ち上げました。16 年 12 月、静岡情報産業協会より静岡市長に 提出した 政令都市静岡市をコンテンツビジネスのメッカに をキャッチフレーズとした 11 項目から成る政策提言書「しずおかコンテンツバレー構想」が、市の新産業育成補助事業に 政策決定したことを受けての対応でした。 クリエーターが築く おしゃれ(クリエイティブ)な公園都市創造 の実現に向けて足掛け 10 年に及ぶ活動を続けてきましたが、提言後の状況変化も踏まえて目標を 「クリエイティブ 産業を戦略産業に位置付けた創造都市(ユネスコ認定のデザイン都市) に再構築し、 「新・コ ンテンツバレー構想」 として提案することにしました。 ■なぜ、今、 デザイン都市なのか ∼官民の連携強化・事業創造・雇用創出・起業家育成で人口減少に歯止めを掛ける∼ 静岡市が25年12月13日公表した人口推計で、同年8月の静岡市の人口は岡山市に逆転 され、20政令市中最下位に落ちました。将来の人口推計でも6年後の30年には70万人を割 り、低位推計では16年後に61万人まで減少する見込みです。市では、減少に歯止めがかから ない理由は大学生年代の18∼22歳で男女とも県外に転出する割合が高く、 その後男性はあ る程度Uターンするが、女性はほとんど戻って来ないことだと分析。 岡山市が周辺市からの転 入者が多いのに対して、静岡市は逆に周辺市の藤枝や焼津、浜松への転出が多いと説明して います (25年12月14日付静岡新聞朝刊より)。 男女共働きの時代にもかかわらず若者の就業の場が決定的に不足しているのが静岡市の 最大の弱点とされています。新産業育成と既存産業支援を目的とするSCV提案の戦略的ク リエイティブ産業育成は雇用創出を含む都市経営の根幹に関わるイノベーション (新しい価 値を生み出す)活動だとご理解ください。 SCVが10年の活動を経て描き出した静岡市が目指すべき都市像は 「デザインを切り口に 創出する高次の商業・港湾・食・観光・伝統工芸・伝統的地場産業・南海トラフ地域に必須の 防災都市機能など静岡ならではの文化を融合した快適な生活環境都市」 です。400年前、徳 川家康公は知恵者を駿府に集めて江戸に次ぐ賑わいのまちを創造しました。今回の提案は 家康公のDNAを引き継いで創造都市の仲間入りを目指す 「デザインのまち興し」 であり、本 市が28年度開所する新CCCを活動拠点に取り組む意向のクリエイティブ産業集積推進施 策に反映させていただきたくお願い申し上げます。 NPO法人 しずおかコンテンツバレー推進コンソーシアム (SCV) 理事長 大坪 檀 1 提案一覧 「新・しずおかコンテンツバレー構想( 」クリエイティブ産業を戦略産業に位置付けたデザイン 都市静岡市創造) の実現のために以下の5章11項目について提案します。 ■提案Ⅰ ユネスコの創造都市認定に向けた 「デザイン都市」宣言 ■提案Ⅱ 新CCC (28年度開所)に2つの中枢機能を併設 クリエイティブ産業支援センター クリエイティブ産業研究センター ■提案Ⅲ クリエイティブ ハブの形成 ① クリエーター データバンク ② クリエーター サポーターズクラブ ③ クリエイティブ産業 データバンク ④ クリエイティブ ラボ ⑤ クリエイティブ 人材育成センター ⑥ クリエイティブ カルチャー センター ■提案Ⅳ SCVと行政のパートナーシップ確立 ■提案Ⅴ 連携強化の実証実験「協働事業」 (後記) 提案書提出までの経緯 2 工程表 〔26年度〕 ■ 「クラフトマン+SE+クリエーター協働事業」 の実証実験 ■クリエイティブ カルチャーセンターの 「ポップカルチャー ミュージアム研究会」設置 (具体像をデザイン) ■ 「クリエイティブ産業研究センター構想」実現に向けて始動 ■起業家(ビジネス力に長けたクリエーター)育成関連事業の展開 〔27年度〕 ■静岡市が検討中のユネスコ 「創造都市ネットワーク」加盟の動きと連動した 「デザイン のまち興し」 の実証実験 ■ 「デザイン ウィーク in 静岡」 イベント開催 〔28年度〕 ■新CCC開所 ■ 「クリエイティブ人材育成センター構想」 をデザイン ■ 「クリエイティブ ハブ」 の活動開始 ■街中デザインギャラリー開設=空き店舗、空き事務所などの活用 〔29年度以降〕 ■ 「ポップカルチャー ミュージアム」 「駿河伝統産業展示館」 ■国際クリエイティブ文化交流―姉妹都市ベトナム・フエ市工芸村構想ほか 3 提案内容 ■提案Ⅰ ユネスコの創造都市認定に向けた 「デザイン都市」宣言 本構想が目指す「クリエイティブな快適生活環境都市」づくりに向けて静岡市民の合意を 得るための足がかりとして静岡市は国連教育科学文化機関(ユネスコ) の創造都市(デザイン 部門) 認定に向けて 「デザイン都市」 を宣言。官民連携の機運を創り出す。 デザイン都市を支える戦略産業に位置付けるのは若い世代の就業機会拡大が期待される デザインを資源とする知的創造産業のクリエイティブ産業。 『デザインの力を駆使して“楽しさ ・かっこよさ・素敵さの実現”を企業・顧客(市民) ・教育機関・行政の共創で実現する新しい価 値創造観』 のもとでクリエイティブ産業振興を図ることとし、情報通信技術とデザインと産業 の融合で快適な生活環境のクリエイティブ産業都市を創出する。 デザイン都市宣言は400年前、駿府で徳川時代の基礎を固めた家康公の創造的構想力に 学ぶ 「駿府クリエイティブ都市再生構想」 でもある。 ■提案Ⅱ 新CCC (28年度開所)に2つの中枢機能を併設 28年4月、七間町に新設の市上下水道局庁舎に移転するCCC( 静岡市クリエーター支援 センター=追手町・旧青葉小校舎跡) に、2つの中枢機能(クリエイティブ産業支援センター、 クリエイティブ産業研究センター) の併設を要望する。市が新CCCを拠点に取り組む意向を 示しているクリエイティブ産業集積の推進は、 日本の成長産業と評されているクリエイティブ 産業興し、 ひいては市の戦略産業興しに繋がってくる“静岡市の産業革命”だと考えるからで、 2つの中枢機能を持つ新CCCを拠点に、関連組織の連携を強化した事業(市場)創造、雇用 創出を期待する。 [クリエイティブ産業支援センター] 現CCCの流れを汲む啓蒙・啓発・教育普及に当たるセンターで ①世界、国内で一定の評 価のあるクリエーターやクリエイティブ企業の活動事例の紹介(展示、 セミナー、 ワークショッ プ) ②クリエーター発掘系コンペディションの開催 ③未来のクリエーターを育てるクリエイ ティブワークショップ開催のほか、 クリエイティブマッチングプログラム、 クリエーター・企業・ メーカーを対象にしたセミナー・交流会の開催及びクリエイティブ産業分野の起業家育成・ 企業支援・事業所開設支援、静岡発コンテンツの開発・イベントなどを開催する。 - 1 - 4 [クリエイティブ産業研究センター] デザイン都市静岡市を支える戦略産業として静岡ならではのクリエイティブ産業を掘り起 こす一方で、既存産業支援を業界との連携で推進する。 クリエイティブ産業を国家戦略産業 と位置付けている英国など海外の事例研究をもとに静岡スタイルのビジネスモデルを築いて いくことになるが、研究センターは地元企業の支援だけではなく、海外との産業・技術・人的 交流も積極的に推進するなど静岡市の今後の文化政策および産業政策に欠かせない戦略 拠点になる。 研究スタッフとして国内外で活躍している権威者を客員研究員として招聘する 「人材誘致」 を制度化して地元クリエーター・デザイナーのレベルアップや事業創造に役立てることになる が、将来的には県中部地域の大学、専門学校にも配置できれば理想的だ。 ■提案Ⅲ クリエイティブ ハブの形成 クリエイティブ ハブは、 クリエーター データバンク、 クリエーター サポーターズクラブ、 クリ エイティブ産業データバンク、 クリエイティブ ラボ、 クリエイティブ人材育成センター、 クリエ イティブ カルチャーセンターの6つの構成要素から成っているが、 すべての中心に新CCCに 併設するクリエイティブ産業研究センターがあることで、 それぞれの構成要素を超えた繋が りができ情報や機材の共有、企画・立案などアイディアの交換など相互作用や相乗効果によ りハブ形態のメリットを生かすことができる。 Shizuoka Creative Hub クリエイティブ カルチャー センター クリエイター データバンク 新 CCC クリエイター サポーターズ クラブ クリエイティブ 産業支援センター クリエイティブ 産業研究センター クリエイティブ 産業データバンク クリエイティブ 人材育成センター クリエイティブ ラボ - 2 - 5 ① クリエーター データバンク クリエーター登録制度。 自分の能力に自身と誇りを持って能動的にクリエイティブ活動を 展開しているクリエーター・デザイナーを登録する制度「クリエーターデータバンク」 の設置に より、 いつでもクリエーター・パワーを発揮できる態勢づくりを目指す。登録項目は、 クリエー ター・デザイナーの自己PRを含めた人物像とともに得意分野、実績など可能な限り情報を詳 細に公開することを原則とする。登録した情報をデータベース化して事業者に提供することで クリエーター・デザイナーのビジネスチャンス発掘に繋げていく。 ② クリエーター サポーターズ クラブ クリエーター活動を“いつでも誰かがサポートを買って出る態勢整備”を目指してクリエ ー ター・デザイナーと一緒に活動する方々を発掘する目的で設ける登録制のボランティア組織。 サポート活動の内容は ①各種イベントの運営スタッフとなるキャンペーン・サポーター。 対象 は高校生、 ・専門学校生・大学生が中心だが、 同活動に関心のある社会人からも募集 ②クリ エーターの仕事場として空き店舗・事務所などを提供する事業主③店頭などでクリエーター の作品展示・販売に協力する事業主④店内をクリエーターやサポーターの交流の場(カフェ &ショップ) に提供する事業主。 サポーターは活動推進組織の要請に応じてクリエーター・デ ザイナーが牽引するクリエイティブ産業集積活動をサポートする。 ③ クリエイティブ産業 データバンク クリエイティブ産業集積推進活動の一環として、 クリエイティブ産業の情報をデータベース 化し、既存産業の支援および新産業創出を目指す。 クリエイティブ活動に必要とされる新素 材・技術の情報を収集、 データベース化し、 クリエーター・デザイナーを支援する。 ④ クリエイティブ ラボ ○モノづくり Factory ・3Dプリンター等を使ったモノづくり工房 ・伝統技術、匠の技を学べる工房→人材育成センターと連携 ○モノづくり研究 ・各種素材研究→クリエイティブ素材データバンクと連携 ・ICT技術とメディアを活用したモノづくり研究 ⑤ クリエイティブ人材育成センター ○ 起業家育成 ○ 児童・生徒・学生対象のイベント開催 ○ 大学生対象 インターン/専門実習制度 ○ クリエイティブ マイスター制度― 伝統工芸士、ICT技術者、静岡の専門職 ○ 和の学校―しずおかスタイル ○ クリエーター対象イベント開発 ○ 企業、 メーカー対象イベント開発 - 3 - 6 クリエイティブ人材育成センターはクリエイティブ産業研究センターの一部門で、 研究テ ーマとして幼少期からの創造的環境での教育活動が挙げられる。クリエイティブな創造体 験、 モノづくり体験、本物への触れあい、情操教育などを通して好奇心にあふれた未来のク リエーターを育てる。昨今教育現場から美術の授業が減っている現状をみると、 このような 研究機関での創造性を高める教育が必要となる。 また大学、教育機関との連携により、 より実践的でアクティブに行動でき、現場の要請にこ たえられる人材を育てクリエイティブ産業に送り込む。学生によるイベントの企画運営やデ ザイン制作などは、 プロのクリエーター指導のもとで貴重な実践教育の場となる。大学の授 業の一環としてインターンシップや専門実習の学生の受け皿となる。 クリエイティブ人材育成センターは企業経営者や行政関係者にとっても、 デザインの意識を 高めてデザイン戦略の重要性を理解し、 クリエイティブ活動につなげていくための機関とな る。 「駿河伝統産業展示館」 との連携により、伝統的技術の継承、技法の伝承など、失われつ つある高度な専門技術を次世代につなげる役割を担う。例えば駿河指物の技術専門学校 や竹、 漆などの研究教育機関が考えられる。一方で、最先端のテクノロジーに対応し、現在そ して未来のクリエイティブ産業の研究を行い、優秀な人材を育てる機関でもある。 このよう にクリエイティブ人材育成センターはクリエイティブ産業研究センターの核というべき機関 となる。 ⑥ クリエイティブ カルチャー センター ○ 「ポップカルチャー ミュージアム構想」 と 「駿河伝統産業展示館構想( 」補足説明) ○街中デザインギャラリーの開設―空き家・空き店舗の活用、 クリエーターの発表の場 ○ 「デザインウィークin 静岡」 イベント構想―デザインを切り口に街全体での催し ○国際クリエイティブ文化交流―姉妹都市ベトナム フエ市工芸村構想など 「ポップカルチャー ミュージアム 構想」 とは : 「新・しずおかコンテンツバレー構想」 のシンボルとして期待する文化施設であると同時に、 産業戦略の拠点であり、観光資源ともなるのが「ポップカルチャーミュージアム」。 ポップカル チャーとして幅広い分野、例えばマンガ、 アニメ、 おもちゃ、模型、 プラモデル、 ロボット、 キャラ クター、TV、 ラジオ、映画、 ファッション、 ポップアート等を文化としてとらえ、 それらの展示や 資料館を兼ねた研究所(センター) を 「ポップカルチャーミュージアム」 と称し、 それが日本の ポップカルチャーの聖地となることを目指す。地場産業として日本一の規模とシェアを誇る静 岡の模型やプラモデル関連の展示やイベントは、全国からの集客が可能な目玉となる。 ポップ カルチャーの黎明期とも言える昭和 20年代、30年代をはじめとした展示には幅広い年代層 の来場が期待できる。静岡の木工職人、指物職人が製作に関わったという初期の木製模型 からプラモデルへ、 そして現代のロボット産業につながる流れをみると、 まさに静岡のクリエ イティブ産業の歴史を感じ、 ポップカルチャーがクリエイティブ産業の重要な核のひとつであ ることがわかる。既設の 「静岡ホビースクエア」 との調整も含めて、 日本初の 「ポップカルチャー ミュージアム」構想を研究し、早期の実現を目指す。 - 4 - 7 「駿河伝統産業展示館 構想」 とは: 静岡には伝統産業として、木工家具・建具、駿河指物、駿河漆器、静岡挽物、駿河竹千筋細 工、駿河和染、駿河塗下駄、駿河雛具などがある。伝統的技術によって作られた日常的に使わ れていたモノの展示資料館は、技術の伝承という意味でも次代が本物から学ぶ機会を得る 人材育成の場である。 いわゆる美術品・芸術品の類いでない日常生活で使われていた古い家 具などは、現在住宅の老朽化による取り壊しや世代交代により急速に失われつつあり、 また メーカーの倒産などにより貴重な資料や製品が散逸しているのが現状である。一刻も早い調 査と収集作業が必要であり、 そのための 「駿河伝統産業展示館」 の開設が望まれる。既設の 「駿府匠宿」 の利活用も視野に入れて検討する。 ■提案Ⅳ SCVと行政のパートナーシップ確立 SCV活動10年の節目を迎えた機会に、SCV立ち上げの原点に戻ってSCVと静岡市のパ ートナーシップを再確認し、活動の目的「市の活性化に資する新産業としてクリエイティブ産 業を振興するための牽引車となるクリエーターを育成する」 に向けて産学官一体感のさらな る高揚を図る。NPO法人のSCVと行政のパートナーシップとは、“誰もが市民活動に参加し、 行政や企業とともに社会変革の担い手になる”とする 「新しい公共」 の考え方を支えるもので、 具体的には双方が対等性や自立性を尊重するほか信頼関係の維持、補完性の重視、親密な コミュニケーションなどを通して事業を円滑に進め、最大効果を上げる。 パートナーシップを 有効に機能させるために双方の役割分担と責任分担の合意形成にご理解を賜りたい。 NPOの主たる使命は、地域が抱える課題解決に向けて自治体に政策提言(または提案) を 行い、 その実現を期して自治体との合意で分担することになった役割、責任を果たすべく連携 する関連機関との協働で事業推進に取り組むことだと理解している。 ■提案Ⅴ 連携強化の実証実験「協働事業」 静岡市のクリエイティブ産業集積推進政策が28年度開所する新CCCを拠点に本格的に 展開されるのに先駆けて、26年度・27年度の継続事業の実証実験として、静岡特産工業協 会(クラフトマン)、静岡情報産業協会(システムエンジニア)、SCV(クリエーター) を軸とした 協働事業を静岡市主導で実施する。 「新・しずおかコンテンツバレー構想」 のキーワード 「連携強化・事業(市場)創造・雇用創出 ・起業家育成」 の前倒し事業で、実験的に静岡市の主要産業であり、今後のさらなる成長が 見込まれる観光を取り上げ、 「静岡特産の土産物開発」 を入り口に、 クラフトマンの技と、 シス テムエンジニア・クリエーターの情報通信技術・創造力の合わせ技で世界にアピールできる - 5 - 8 “観光静岡の活性化策”を探り出す。 政府は成長戦略に 「観光立国」 を位置付け、2020年の東京五輪に向けて外国人観光客を 呼び込む目標を立てているが、富士山の世界遺産登録で三保の松原が構成資産に登録され た静岡市の観光はたくさんの観光資源に恵まれているだけに情報発信次第で大きく飛躍す る可能性を秘めている。 資料編に添付した外国人識者の 「観光日本への注文」 で、外国人観光客に日本観光を分か りやすく案内するシステムを開発すべきだと指摘し、 「ウイキペディアという、誰もが無料で投 稿や利用ができるネット上の百科事典と同様の仕組みで“日本観光ペディア”を誰かが作って 運営してくれたら便利だ」 と提言していた。 その伝で、静岡を訪れる外国人観光客が共有でき るネット上のガイドブック 「静岡観光ペディア」 を作る手もある。 静岡市が普及を進めている公衆無線LANによる観光案内と絡めて検討する。 ゼロからの出発となるが、静岡特産工業協会、静岡観光コンベンション協会、静岡情報産 業協会、静岡商工会議所など関係機関に協力を要請し、官民の協働事業で観光静岡の活性 化策を探り出すことを要望する。 - 6 - 9 〔後記〕 提案書提出までの経緯 SCVは、添付した資料編③SCVの活動コンセプト 「デザインのまち興し」 にありますように 平成17年4月の設立以降、 「しずおかコンテンツバレー構想」 を推進する 『人材育成』 を活動 コンセプトとしてクリエーター・デザイナーの育成に取り組んできましたが、 クリエイティブ産 業の最前線で活躍されている方々から 「ワクワクするような行動目標も必要だ」 との強い要望 も出されていました。 そこで、25年度第3四半期の25年10月より活動コンセプトに新たな行 動目標『クリエイティブ産業を戦略産業に位置付けたデザインのまち興し』 を追加し、 「デザイ ン都市静岡市」 の創造に向けて静岡市民の皆様にアピールしていくことにしました。 25年度で提案から足掛け10年を経て、SCV活動はコンテンツでビジネスするクリエイテ ィブ産業とは何かを啓蒙する期間(萌芽期)」 を終えた。 これからは 『人材育成』 と 『デザインの まち興し』 の2つの行動目標のもとでクリエーター・デザイナーが立ち位置を乗り越えて連携 する オールSCV 態勢でビジネス展開が可能なクリエイティブ産業集積の環境整備に取り 組む時期(開花期) に入ったと判断しました。 こうして 『デザインのまち興し』 の活動コンセプト に沿った 「第2ステージのビジネス興し」 への挑戦が始まりました。 『デザインのまち興し』 は 「しずおかコンテンツバレー構想」 を静岡市長(所管・経済局) に政 策提言した静岡情報産業協会と、提言がきっかけで設立されたSCVで共同研究している試 案『駿河デザイン都市再生構想』 の中核を成す考え方です。400年前、駿府に日本の首都江 戸に次ぐ賑わいのまちが生まれましたが、SCVでは徳川幕府の大御所として駿府で日本列島 大改造の舵取りをした家康公の創造的構想力の成果だと見なして、 当時の駿府のまちを 「駿 府クリエイティブ都市」 と定義しました。 SCVでは第2ステージのビジネス展開で目指す目標を 「駿府クリエイティブ都市再生」 = 「デザイン都市静岡市創造」 と定め、SCV活動10年の検証結果も踏まえた 「新・コンテンツバ レー構想」 を改めて経済局に提案することとし、本日の提案書提出となりました。構想をまと めるため25年9月、大坪檀理事長の諮問機関としてSCV活動を牽引しているリーダー格のコ ーディネーター・プロデューサーら20人による 「コーディネーター会議」 (座長:神津宏昭常 葉大学教授) を設置。4カ月間の協議を経て26年3月末に理事長に 「クリエイティブ産業を戦 略産業に位置付けた創造都市興しへの道筋」 と題した答申書〔駿府クリエイティブ都市再生 構想〕 を提出しました。 答申を受けて、大坪理事長が関連団体(静岡商工会議所、静岡情報産業協会、静岡特産工 業協会、静岡市まちづくり公社、静岡市美術家協会、静岡経済研究所) からご意見をいただい てまとめたのが 「新・しずおかコンテンツバレー構想」 です。表題には 「クリエイティブ産業集積 のまち・デザイン都市静岡市」創造を謳い、会員が結束して実現に立ち向かう意思を示す内 容が盛り込まれました。 (文責:SCV副理事長 小谷勇) 10