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脳性麻痺児の運動発達と体幹回旋運動の関係 平成 16 年度入学 山下

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脳性麻痺児の運動発達と体幹回旋運動の関係 平成 16 年度入学 山下
脳性麻痺児の運動発達と体幹回旋運動の関係
平成 16 年度入学 山下雅代
指導教員 田中義人
目
次
Ⅰ.緒言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
Ⅱ.対象・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
Ⅲ.方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
3.1
測定方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
3.2
データ収集・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
3.3
統計学的分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
3.4
倫理的配慮・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
Ⅳ.結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
4.1
運動発達段階による体幹回旋角度・・・・・・・・・・・・・・・・・7
4.2
運動発達段階による BOB 反応時間と寝返り動作反応時間・・・・・・8
4.3
体幹回旋角度と粗大運動能力の相関関係・・・・・・・・・・・・・・10
結果の図・表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
Ⅴ.考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
5.1
運動発達段階による体幹回旋角度・・・・・・・・・・・・・・・・・18
5.2
運動発達段階による BOB 反応時間と寝返り動作反応時間・・・・・・20
5.3
体幹回旋角度と粗大運動能力の相関関係・・・・・・・・・・・・・・21
5.4
今後の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
Ⅵ.結語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
Ⅶ.謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
Ⅷ.文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
資料Ⅰ.体幹回旋評価用紙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
資料Ⅱ.研究依頼書・同意書・同意取消書(施設用,個人用)
・・・・・・・・・・28
ii
Ⅰ.緒言
体幹は,四肢の随意運動時の身体近位部の固定,全身の抗重力位での支持,安定した座位,起き上が
り,寝返りなどの基本動作の獲得のための重要な条件と考えられている 1)。また体幹の選択的コントロ
ールの喪失は,呼吸,スピーチ,バランス,歩行,手や上肢機能の障害と関連する 2)。そのため正常発
達における体幹の機能は非常に重要であり,体幹の運動発達は四肢の発達に大きく影響を与えている 3)。
運動発達における動作の連続性の面から乳児を観察すると,背臥位から立位に至るまで,動作中に多
くの体に働く体の立ち直り反応(Body righting reaction acting on the Body)が観察される。rolling,
sitting-up,standing-up のなかでの回旋パターンが体に働く体の立ち直り反応により生じ,その後,体
に働く体の立ち直り反応が中枢神経系の成熟に伴って抑制されてくると,動作は対称的パターンへと変
化し,分節的な回旋を伴わずに rolling over,sitting-up,standing-up ができるようになる。すなわち,
2歳まで連続した動作のなかには運動要素として体軸内回旋が多く含まれ,2歳を過ぎると完全に腹臥
位にはならず,側臥位を経由して座位に起き上がり,起立パターンに体軸内回旋の要素が少なくなって
いく。そして徐々に動作の連続性に体軸内回旋の要素が減少していき,6歳ごろでは長座位から体軸内
回旋を伴わずに起立することができるようになる。
一方,脳障害による発達障害児では,体に働く体の立ち直り反応を含む捻れを打ち消し中間位へ戻る
減捻性の立ち直り反応を潜在的にもっていても,自発的な運動を引き出すほど力強いものではなく,重
症な脳障害をもつ乳児は早い段階から体幹の可動性の乏しさを示すことがわかっている 4)。脳性麻痺児
に対する理学療法の場面でも,重症心身障害児はもちろん,今日脳性麻痺の原因として重要であると考
えられる脳室周囲白質軟化症によって,特に両下肢から体幹にかけて痙性両麻痺を呈する両麻痺児 5)な
ど,体幹機能に問題を抱えている子ども達に多く遭遇する。しかしながら,脳性麻痺児の体幹運動の評
価において,定量的に報告されているものはほとんど知られていない。
よって本研究では,脳性麻痺児の体幹回旋運動について関節角度的側面から検討するために,他動運
動と自動運動で体幹上部と体幹下部の回旋角度を測定し,健常児と比較した。また体幹回旋運動を引き
起こして完了するまでの時間的側面について,体に働く体の立ち直り反応時間,寝返り反応時間を測定
し,健常児と比較した。そして他動運動と自動運動における体幹上下部の回旋角度と粗大運動能力の相
関関係について検討した。
体幹の運動を定量的に示し,運動発達との関係を客観的データとして示すことで,運動障害をもつ脳
1
性麻痺児の体幹中枢部の機能的な評価や治療目標として有益な臨床手段になりうると考える。
この研究における仮説は次のとおりである。
1.
他動運動と自動運動の体幹回旋角度は運動発達段階によって違いがある
2.
体幹の回旋運動を伴う体に働く体の立ち直り反応や寝返り動作の自発的な反応時間は運動発達段
階によって違いがある
3.
他動運動と自動運動の体幹回旋角度は粗大運動能力と相関関係がある
Ⅱ.対象
対象は,説明理解が十分ある脳性麻痺児 28 名(男児 15 名,女児 13 名)と健常児 16 名(男児 9 名,
女児 7 名)とした。脳性麻痺児の障害部位別分類は,痙直型両麻痺 19 名,四肢麻痺 6 名,片麻痺1名,
失調型両麻痺1名,アテトーゼ型四肢麻痺 1 名で,平均年齢は 8 歳 5 ヶ月±3 歳 11 ヶ月,身長 117.9
±20.2cm,体重 23.9±12.7kg であった。健常児の平均年齢は7歳 11 ヶ月±1歳 4 ヶ月,身長 124.2±
10.2cm,体重 24.5±5.4kg で,脳性麻痺児と健常児の年齢,身長,体重に差はなかった(表 1)。
表 1 対象児プロフィール
脳性麻痺児
健常児
人数
28 名(男児 15 名,女児 13 名) 16 名(男児 9 名,女児 7 名)
平均年齢
8 歳 5 ヶ月±3 歳 11 ヶ月
7 歳 11 ヶ月±1 歳 4 ヶ月
平均身長
117.9±20.2cm
124.2±10.2cm
平均体重
23.9±12.7kg
24.5±5.4kg
脳性麻痺児は日常行う運動能力に従って,臥位群(5 名),坐位群(7 名),立位群(6 名),独歩群(10
名)の各段階に分類した。また健常児のグループは健常群(16 名)とした。
運動発達段階の分類における定義は以下のとおりである。
臥位群:寝返って背臥位や腹臥位になることが可能だが,床上で坐るためには助けを必要とする。
坐位群:自力で坐位姿勢へと変換し,四つ這い移動が可能である。
立位群:自力でつかまって立ち上がり,つたい歩きをすることができる。また杖や歩行器などの歩行補
助具を使って短距離歩くことができる。
独歩群:制約なしに屋外および屋内を歩くことができる。
健常群:発達遅延や神経障害がない正常な運動機能である。
2
脳性麻痺の障害部位別分類と運動発達段階の分布を図1に示す。
20
16
障害部位別分類
タイプ
人数
健常
10
1
1
8
アテトーゼ型四肢麻痺
失調型両麻痺
2
1
4
6
痙直型片麻痺
5
痙直型四肢麻痺
0
痙直型両麻痺
臥位群 坐位群
n=
5
7
立位群
独歩群
健常群
6
10
16
運動発達段階
図1
障害部位別分類と運動発達段階の分布
Ⅲ.方法
3.1 測定方法
3.1.1 体幹上部の回旋角度
まず両側の肩峰間の長さを測定し,膝伸展位の背臥位で検査補助者が骨盤を固定した。次に胸郭を骨
盤が床面から離れないところまで回旋した。最大に胸郭を回旋した位置で床面から持ち上がっている肩
峰までの高さを直角定規にて記録し,床面から肩峰までの高さ÷肩峰間の長さ=sinθを計算し,三角関
数表より角度を導き出した(図 2)。
θ
計算式:床面から肩峰までの高さ÷肩峰間の長さ=sinθ
図 2 体幹上部の回旋角度の測定
3
3.1.2 体幹下部の回旋角度
Goldsmith6)が開発した「風に吹かれた股関節」の計測手技を参考にした。
背臥位をとり,膝関節屈曲 70 度で,両下肢を正中位にして膝をたて,検査補助者が肩甲帯を固定し
た。次に両下肢をそろえたまま,肩甲帯が床面から離れないところまで骨盤を回旋した。骨盤を最大に
回旋した位置で,垂直角度計(新潟精機株式会社製)を取り付けたハタ金(SOMAX 製)を両側の上前
腸骨棘にあてて,傾斜を測定した(図 3)。
図 3 体幹下部の回旋角度の測定
3.1.3 体に働く体の立ち直り反応時間
体に働く体の立ち直り(Body righting reaction acting on the Body , 以下 BOB)反応は,体幹の一
分節に加わる捻れを元に戻そうとする反応で,体幹を対称的な位置に保つように働くものである。坐位
から側方へ倒すことにより骨盤を回旋し,下側の下肢を引き抜いて対称的な腹臥位になるまでの反応時
間をストップウォッチにて測定した(図 4)。
図 4 体に働く体の立ち直り反応
出典:PT マニュアル
小児の理学療法,2002 年,144 頁
4
3.1.4 寝返り動作反応時間
背臥位で上肢は体側につけ,下肢は伸展位の状態から運動を開始して,腹臥位になるまでの時間をス
トップウォッチにて測定した。
3.1.5 粗大運動能力
脳性麻痺児における臨床的に重要な経時的変化を捉えることを目的に開発された順序尺度である粗
大運動能力尺度(Gross Motor Function Measure , 以下 GMFM)の GMFM-887)を用いた。項目は健
常 5 歳児であれば達成可能な粗大運動課題 88 項目から構成されており,A(臥位と寝返り,17 項目),
B(坐位,20 項目),C(四つ這いと膝立ち,14 項目),D(立位,13 項目),E(歩行,走行とジャン
プ,24 項目)の 5 領域に分かれる。領域ごとに点数を合計し,各領域で獲得した総点に対するパーセ
ンテージを計算する。全 5 領域のパーセンテージを平均したものが総合点である。GMFM-88 は日本語
版のマニュアルが 2000 年度に出版されており,すでにいくつかのレビューもあり,信頼性と妥当性が
証明されている 8)。
3.2 データ収集
脳性麻痺児の運動発達段階,年齢については,脳性麻痺児を治療する理学療法士のカルテから転記し
た。また身長,体重については身体測定を行った。
体幹上部と体幹下部の回旋角度は他動運動と自動運動にて測定した。他動運動での体幹回旋角度は検
査者が動かして最大限に動く範囲の角度とし,自動運動での体幹回旋角度は対象とした子どもが自発的
に最大限まで動かした角度とした。体幹回旋角度の測定では理学療法士または子どもの親に検査補助者
として手伝ってもらった。また体幹上部と体幹下部の回旋角度,BOB 反応時間,寝返り動作反応時間
の全ての測定は,利き側と非利き側の両側を 3 回測定したうちの最高値を採択した。利き側とは対象と
した子どもが日常生活において優位に使用する利き手側で,運動としては利き手方向へ向かう動きとし
た。それに対して反対側を非利き側とした。
粗大運動能力については脳性麻痺児に対してのみ測定した。粗大運動能力の評価についても 3 回まで
試行を実施した。GMFM-88 の各項目を子どもが実際に行うのを観察し,マニュアルに示された 4 段階
の判定基準の中から最も適したものを点数として決定した。
5
体幹上部と体幹下部の回旋角度,BOB 反応時間,寝返り動作反応時間,粗大運動能力の評価にあた
って 3 回の測定値には大きなばらつきがなかったことより,対象とした子どもたちは集中して課題に取
り組んだと判断した。
3.3 統計学的分析
解析には SPSS10.0J for Windows を用いた。得られた体幹回旋角度,BOB 反応時間,寝返り動作反
応時間については,運動発達段階の分類が順序尺度であることとデータの分散が群によって一様でない
ために,Kruskal-Wallis 検定を適用させ,各群間の相違を検定した。さらにどの群との間に有意な差が
あるのかを検定するため,各水準のデータ数,分散,分布に制限を加えず Kruskal-Wallis 検定でも利
用できる Scheffe 法を選択した。また体幹回旋角度と粗大運動能力との相関関係を検定するために,ス
ピアマンの順位相関係数の検定を用いた。統計学的有意水準は 5%未満とした。
3.4 倫理的配慮
研究の趣旨と内容を,子どもとその親および施設管理責任者に,それぞれ十分に説明し,文書による
同意を得た上で実施した。倫理的承諾は広島大学保健学研究科倫理委員会によって得た(承認番号 0513)。
6
Ⅳ.結果
4.1 運動発達段階による体幹回旋角度について
運動発達段階による体幹上部と体幹下部の回旋角度は表 2 に示す。
健常群では,同運動・同側の体幹上部回旋角度の中央値と体幹下部回旋角度の中央値に,ほとんど差
はなかった。しかし臥位群,坐位群,立位群では,他動運動,自動運動ともに体幹上部回旋角度が体幹
下部回旋角度より大きく,同運動・同側の体幹上部回旋角度の中央値と体幹下部回旋角度の中央値に差
があった。また独歩群は体幹上部回旋角度より体幹下部回旋角度の方が大きかった(表2)
。
1)
他動運動の体幹回旋角度について
他動運動の体幹回旋角度では,体幹上部と体幹下部ともに各群の有意差は認められなかった(図 5∼8)。
2)
自動運動の体幹回旋角度について
(1)
体幹上部
①
利き側
臥位群と健常群に有意水準 1%の有意差を認め,臥位群と坐位群に有意水準 5%の有意差を認め
た(図 9)。
分布については,臥位群は 30°程度,立位群・独歩群は 50°程度,坐位群・健常群は 50∼60°
程度であった(表 2,図 9)。
②
非利き側
臥位群と健常群に有意水準 5%で有意差を認めた(図 10)。
分布については,臥位群が 40°程度,立位群は 45°程度,坐位群・独歩群・健常群は 50∼60°
程度であった(表 2,図 10)。
(2)
①
体幹下部
利き側
独歩群と健常群は臥位群と坐位群に有意水準 1%の有意差を認め,立位群との間において有意水
準 5%の有意差を認めた(図 11)。
7
分布については,臥位群が 25°程度,坐位群が 30°程度,立位群が 35°程度で,独歩群・健常
群は 50∼60°程度であった(表 2,図 11)。
②
非利き側
独歩群は臥位群と坐位群に,健常群は臥位群と坐位群と立位群との間に有意水準1%の有意差を
認めた(図 12)。
分布については臥位群が 35°程度,坐位群が 30°程度,立位群が 40°程度で,独歩群・健常群
は 50∼60°程度であった(表 2,図 12)。
3)
他動運動と自動運動の体幹回旋角度の比較について
他動運動と自動運動の体幹上部と体幹下部の回旋角度の中央値について図に示す(図 13∼16)。
脳性麻痺児の各群では体幹上部と体幹下部の回旋角度の中央値ともに,他動運動と自動運動とのギャッ
プが健常群より大きかった(図 13∼16)。自動運動の体幹回旋角度の中央値が健常群とほとんど変わら
ない独歩群でも,他動運動と自動運動とのギャップは健常群より大きかった(図 13∼16)。
4.2
運動発達段階による BOB 反応時間と寝返り動作反応時間について
運動発達段階による BOB 反応時間と寝返り動作反応時間は表 3 に示す。
BOB 反応時間,寝返り動作反応時間ともに臥位群,坐位群では変動性が大きかったが,立位群,独
歩群,健常群では変動性が小さかった。
独歩群・健常群では,BOB 反応時間と寝返り動作反応時間の中央値はともに 1 秒をきっていた(表 3)。
立位群でも BOB 反応時間の中央値は 1 秒をきり,寝返り動作反応時間の中央値は 1 秒をやや上回る程
度であった(表 3)。
臥位群の BOB 反応時間と寝返り動作反応時間の中央値は,立位群,独歩群,健常群と比べておよそ
5 倍もの時間を要していた(表3)。また臥位群の非利き側の BOB 反応時間は,利き側と比べて変動性
が大きく遅くなっていたが,寝返り反応時間については,利き側と比べて非利き側の変動性は小さく早
くなっていた(表 3)。
坐位群に関しては,BOB 反応時間と寝返り動作反応時間の中央値に非対称性がみられ,利き側では
非利き側の約 2 倍の反応時間を要していた(表 3)。
8
1)
BOB 反応時間について
(1)
利き側
臥位群は立位群と独歩群と健常群との間に有意水準 1%の有意差を認めた(図 17)。
分布については,臥位群が 5.5 秒程度,坐位群が 2 秒程度,立位群,独歩群,健常群は 1 秒未満で
あった(表 3,図 17)。
(2)
非利き側
臥位群は立位群と独歩群と健常群との間に有意水準 1%の有意差を認め,坐位群との間に有意水準
5%の有意差を認めた(図 18)。
分布については,臥位群が 7 秒程度,坐位群が 1 秒程度,立位群,独歩群,健常群は 1 秒未満であ
った(表 3,図 18)。
2)
寝返り動作反応時間について
(1)
利き側
臥位群は立位群と独歩群と健常群との間に有意水準 1%の有意差を認めた(図 19)。
分布については,臥位群が 6 秒程度,坐位群が 4 秒程度,立位群が 1 秒程度,独歩群,健常群は
1 秒未満であった(表 3,図 19)。
(2)
非利き側
臥位群は立位群と独歩群と健常群との間に有意水準 1%の有意差を認め,坐位群との間に有意水準
5%の有意差を認めた(図 20)。
分布については,臥位群が 5.5 秒程度,坐位群が 2 秒程度,立位群が 1.5 秒程度,独歩群,健常群
は 1 秒未満であった(表 3,図 20)。
9
4.3 体幹回旋角度と粗大運動能力の相関関係について
体幹上部と体幹下部の回旋角度と粗大運動能力の相関関係については表 4 に示す。
1)
他動運動の体幹回旋角度と粗大運動能力について
(1) 体幹上部
利き側の相関係数は 0.36(p=0.085),非利き側の相関関数は 0.17(p=0.425)(表 4)と,他動運
動の体幹上部回旋角度と粗大運動能力の間に相関関係があるとは言えなかった。
(2) 体幹下部
利き側の相関係数は 0.64(p<0.01)
(表 4,図 21), 非利き側の相関係数は 0.62 (p<0.01)
(表4,
図 22)で,他動運動の体幹下部回旋角度と粗大運動能力の間に正の相関関係がみられた。
したがって他動運動の体幹下部回旋角度では,角度が増えると GMFM 総合点が高くなる傾向を示
した。他動運動の体幹下部回旋角度が 70∼80°あたりで,GMFM の最高点になっていた(図 21・
22)。
2)
自動運動の体幹回旋角度と粗大運動能力について
(1) 体幹上部
利き側の相関係数が 0.49 (p<0.05)
(表 4,図 23), 非利き側の相関係数が 0.42(p<0.05)
(表 4,
図 24)で,自動運動の体幹上部回旋角度と粗大運動能力の間に正の相関関係がみられた。
(2) 体幹下部
利き側の相関係数が 0.83(p<0.01)
(表 4,図 25), 非利き側の相関係数が 0.77(p<0.01)
(表 4,
図 26)で,自動運動の体幹下部回旋角度と粗大運動能力の間に強い正の相関関係がみられた。
したがって自動運動の体幹上部と体幹下部の回旋角度では,角度が増えると GMFM 総合点が高く
なる傾向を示した。自動運動の体幹上部と体幹下部では,ともに体幹回旋角度が 60∼70°で GMFM
の最高点になっていた(図 23∼26)。
10
表 2 運動発達段階による体幹上下部の回旋角度
運動発達段階
臥位群(n=5)
坐位群(n=7)
立位群(n=6)
中央値 (四分位数) 中央値 (四分位数) 中央値 (四分位数)
他動運動
体幹上部回旋角度(利き側)
体幹上部回旋角度(非利き側)
体幹下部回旋角度(利き側)
体幹下部回旋角度(非利き側)
自動運動
体幹上部回旋角度(利き側)
体幹上部回旋角度(非利き側)
体幹下部回旋角度(利き側)
体幹下部回旋角度(非利き側)
独歩群(n=10)
中央値 (四分位数)
健常群(n=16)
中央値 (四分位数)
57
64
48
57
(51∼64.5)
(57∼67)
(34.5∼65)
(41.5∼65)
71
71
58
56
(50∼76)
(69∼76)
(53∼58)
(50∼58)
60.5
61
54.5
56
(56.5∼65.25)
(52∼64.5)
(42.75∼70)
(46∼67.75)
65
62.5
70
69.5
(58.25∼72.25)
(59∼73)
(64∼75)
(64.5∼77.25)
62
67.5
61.5
66
(57.25∼71)
(59.5∼73.5)
(55.25∼71.75)
(58.5∼74.75)
32
41
26
36
(27.5∼42.5)
(32∼50.5)
(19.5∼38)
(20.5∼39.5)
55
56
31
32
(44∼62)
(51∼62)
(22∼40)
(28∼40)
48.5
46.5
34
38
(39.75∼57.25)
(36.75∼51.5)
(29.75∼47.75)
(32.25∼45.75)
47
51.5
57
55.5
(44.5∼56.5)
(49.75∼60.5)
(51.25∼63.5)
(49.5∼60.0)
54.5
56
56
56.5
(52∼61.75)
(51.25∼65)
(49.25∼63.75)
(52∼69)
表 3 運動発達段階による BOB 反応と寝返り動作反応時間
臥位群(n=5)
中央値
(四分位数)
BOB 反応時間
利き側
非利き側
寝返り動作反応時間
利き側
非利き側
坐位群(n=7)
中央値
(四分位数)
運動発達段階
立位群(n=6)
中央値
(四分位数)
独歩群(n=10)
中央値
(四分位数)
健常群(n=16)
中央値
(四分位数)
5.41
6.91
(1.64∼11.41)
(2.22∼13.53)
1.98
1.09
(0.73∼4.75)
(0.98∼6.1)
0.67
0.70
(0.44∼1.35)
(0.46∼1.68)
0.50
0.70
(0.43∼0.79)
(0.42∼0.97)
0.39
0.37
(0.26∼0.46)
(0.27∼0.49)
5.77
5.59
(2.39∼18.00)
(3.85∼19.63)
3.80
1.72
(2.18∼5.97)
(1.13∼5.06)
1.20
1.63
(0.68∼2.24)
(0.85∼2.15)
0.85
0.85
(0.56∼1.28)
(0.65∼1.10)
0.46
0.47
(0.38∼0.56)
(0.42∼0.56)
11
( °)
( °)
90
90
80
80
回旋角度
回旋角度
70
70
60
60
50
50
40
40
有効数
=
n=
5
7
6
10
16
臥位群
坐位群
立位群
独歩群
健常群
有効数n=
=
5
7
6
10
16
臥位群
坐位群
立位群
独歩群
健常群
運動発達段階
運動発達段階
図 6 他動運動の体幹上部回旋角度(非利き側)
図 5 他動運動の体幹上部回旋角度(利き側)
( °)
( °)
100
100
90
90
80
80
回旋角度
回旋角度
70
60
70
60
50
50
40
40
30
20
有効数
=
n=
30
5
7
6
10
16
臥位群
坐位群
立位群
独歩群
健常群
有効数
n==
運動発達段階
5
7
6
10
16
臥位群
坐位群
立位群
独歩群
健常群
運動発達段階
図 7 他動運動の体幹下部回旋角度(利き側)
図 8 他動運動の体幹下部回旋角度(非利き側)
12
( °)
( °)
**
90
*
80
*
80
70
70
回旋角度
回旋角度
60
50
60
50
40
40
30
30
20
20
有効数
n==
5
7
6
10
16
臥位群
坐位群
立位群
独歩群
健常群
有効数
n==
5
7
6
10
16
臥位群
坐位群
立位群
独歩群
健常群
運動発達段階
運動発達段階
**p<0.01 *p<0.05
*p<0.05
図 9 自動運動の体幹上部回旋角度(利き側)
**
**
*
( °)
図 10 自動運動の体幹上部回旋角度(非利き側)
**
**
**
( °)
100
90
**
**
*
80
**
**
80
70
回旋角度
回旋角度
60
40
60
50
40
30
20
20
10
0
有効数
n==
5
n=
臥位群
7
6
10
16
坐位群
立位群
独歩群
健常群
有効数
n==
5
7
6
10
16
臥位群
坐位群
立位群
独歩群
健常群
運動発達段階
運動発達段階
**p<0.01 *p<0.05
**p<0.01
図 11 自動運動の体幹下部回旋角度(利き側)
13
図 12 自動運動の体幹下部回旋角度(非利き側)
( °)
( °)
80
70
70
60
60
回旋角度
回旋角度
80
50
50
40
40
30
他動運動
20
自動運動
臥位群
坐位群
立位群
独歩群
30
他動運動
20
自動運動
臥位群
健常群
坐位群
立位群
独歩群
健常群
運動発達段階
運動発達段階
図 13 他動運動と自動運動の比較
体幹上部回旋角度(利き側)中央値
( °)
図 14 他動運動と自動運動の比較
体幹上部回旋角度(非利き側)中央値
( °)
80
70
70
60
60
回旋角度
回旋角度
80
50
50
40
40
30
他動運動
20
自動運動
臥位群
坐位群
立位群
独歩群
30
他動運動
20
自動運動
臥位群
健常群
坐位群
立位群
独歩群
健常群
運動発達段階
運動発達段階
図 15 他動運動と自動運動の比較
体幹下部回旋角度(利き側)中央値
14
図 16 他動運動と自動運動の比較
体幹下部回旋角度(非利き側)中央値
**
**
**
20
20
B
O
B
10
10
●
)
c
e
s
(
反応時間︵
利き側︶
反応時間︵
非利き側 ︶
○
)
c
e
s
(
○
○
0
有効数
n==
**
**
**
*
(sec)
B
O
B
(sec)
5
7
6
10
16
臥位群
坐位群
立位群
独歩群
健常群
●
●
●
0
有効数
n==
5
7
6
10
16
臥位群
坐位群
立位群
独歩群
健常群
運動発達段階
運動発達段階
**p<0.01
○:極値
**p<0.01 *p<0.05
●:外れ値
図 17 BOB 反応時間(利き側)
図 18 BOB 反応時間(非利き側)
(sec)
(sec)
寝返り動作反応時間︵非利き側 ︶
20
10
0
)
c
e
s
(
有効数n=
=
30
●3
20
10
)
c
e
s
(
寝返り動作反応時間︵
利き側 ︶
**
**
**
30
**
**
**
*
4
7
6
10
16
臥位群
坐位群
立位群
独歩群
健常群
0
有効数
n==
5
7
6
10
16
臥位群
坐位群
立位群
独歩群
健常群
運動発達段階
運動発達段階
**p<0.01
**p<0.01 *p<0.05
●:外れ値
図 19 寝返り動作反応時間(利き側)
図 20 寝返り動作反応時間(非利き側)
15
表 4 体幹上下部の回旋角度と粗大運動能力の相関
GMFM 総合点
rs
他動運動
体幹上部回旋角度(利き側)
体幹上部回旋角度(非利き側)
0.36
0.17
体幹下部回旋角度(利き側)
0.64**
体幹下部回旋角度(非利き側)
自動運動
0.62**
体幹上部回旋角度(利き側)
0.49*
体幹上部回旋角度(非利き側)
0.42*
体幹下部回旋角度(利き側)
0.83**
体幹下部回旋角度(非利き側)
**p<0.01 *p<0.05
0.77**
(%)
(%)
100
100
rs=0.64
p<0.01
80
rs=0.62
p<0.01
80
総合点
M
F
M
G
総合点
M
F
M
G
60
40
60
40
20
20
Y=1.162X+1.007
0
20
30
40
50
60
70
80
Y=1.208X-3.722
90 ( °)
0
40
50
60
70
80 ( °)
他動運動の体幹下部回旋角度(非利き側)
他動運動の体幹下部回旋角度(利き側)
図 21 他動運動の体幹下部回旋角度(利き側)
と GMFM の相関
16
図 22 他動運動の体幹下部回旋角度(非利き側)
と GMFM の相関
(%)
100
(%)
rs=0.49
p<0.05
100
rs=0.42
p<0.05
80
80
総合点
M
F
M
G
総合点
M
F
M
G
60
40
60
40
20
20
Y=1.590X−3.644
0
20
30
40
50
Y=1.408X+1.486
0
20
70 ( °)
60
30
(%)
rs=0.83
p<0.01
100
80
rs=0.77
p<0.01
80
60
M
F
M
G
総合点
M
F
M
G
総合点
40
20
0
10
70 ( °)
60
図 24 自動運動の体幹上部回旋角度(非利き側)
と GMFM の相関
図 23 自動運動の体幹上部回旋角度(利き側)
と GMFM の相関
100
50
自動運動の体幹上部回旋角度(非利き側)
自動運動の体幹上部回旋角度(利き側)
(%)
40
30
40
50
60
70 (
40
20
Y=1.426X+10.066
20
60
0
10
°)
Y=1.617X+0.397
20
30
40
50
60
70 (
°)
自動運動の体幹下部回旋角度(非利き側)
自動運動の体幹下部回旋角度(利き側)
図 25 自動運動の体幹下部回旋角度(利き側)
と GMFM の相関
17
図 26 自動運動の体幹下部回旋角度(非利き側)
と GMFM の相関
Ⅴ.考察
今回,脳性麻痺児の体幹回旋運動について関節角度的側面と時間的側面から健常児と比較し,他動
運動と自動運動における体幹上下部の回旋角度と粗大運動能力に相関関係があるかどうか検討を行
った。
一般的に正常な運動発達では,年齢とともに動作の連続性において体軸内回旋の要素が減少してい
くが,体幹上部と体幹下部の回旋角度は運動発達段階が高くなるにつれて減少するものではないこと
がわかった。よって一度獲得された体幹回旋角度は運動発達段階が高くなるにつれて退行することは
なさそうである。臨床的印象として,脳性麻痺児の体幹回旋角度は他動運動においても運動発達段階
によって違いがあるように感じていたが,統計学的な有意差は認められず,自動運動の体幹回旋角度
でのみ有意差が認められた。重症な脳障害をもつ乳児は体幹の可動性の乏しさを示すことが,従来,
臨床的な経験から理解されていたが,体幹運動の評価において定量的に報告されているものはほとん
ど知られておらず,本研究で脳性麻痺児の体幹回旋運動を定量的に示し,運動発達との関係を客観的
なデータとして示せたことは有益であると考える。
以下,今回の結果の解釈と考察を行う。
5.1 運動発達段階による体幹回旋角度について
他動運動の体幹回旋角度では,体幹上部と体幹下部ともに各群の有意差を認めなかったが,自動運
動の体幹上部と体幹下部の回旋角度では有意差を認めた。よって体幹回旋角度のように関節の可動性
を分析する場合には自動運動の評価もあわせて行う必要性が意義づけられた。
上肢の支持性の獲得は寝返りを容易にする要因である 9)ことより,今回対象とした寝返りが可能な
子どもたちは,上肢の支持性をある程度獲得していると考える。運動発達では腹臥位で姿勢コントロ
ールを獲得する時期に伸展した上肢で体重を支持することで頭部から体幹にかけて発達の順序性を
確立し,成熟させていく
10)経過をとることより,上肢支持が獲得されている子どもたちの体幹上部
は臥位レベルの早い時期から運動を発達させていると推察される。そのため自動運動の体幹上部回旋
角度については,体幹下部回旋角度に比べて群間差が出にくかったと考えられる。しかし臥位群では
利き側,非利き側ともに健常群と有意差があったことより,体幹上部の発達は健常群と比べ,不十分
であったと言える。
18
自動運動の体幹上部回旋角度の非利き側では,臥位群と健常群の群間差を認めるだけであった。こ
れは,非利き側において,臥位群は健常群以外の各群と有意差なく自発的な運動が行えていたことを
意味している。臥位群では利き側の分布が 30°程度で,非利き側の分布が 40°程度と非利き側の角
度分布が高かったこと,非利き側の寝返り動作反応時間の方が早かったことなどから,非利き側への
運動が行いやすかったと判断できる。しかし BOB 反応時間では非利き側の方が遅かったことから,
非利き側では抗重力活動が起きにくく,重力に引かれるまま運動を行っていると示唆される。脳卒中
片麻痺患者の Trunk Control Test の検討において,寝返りの難易度は患側への寝返りが健側への寝
返りよりも易しかったとされており
11),脳性麻痺の子どもたちに関しても,たいていの子どもは,
ある程度の非対称性のために好きなほうに寝返りをうつようになる
12)という。よって特に臥位群で
は運動しやすい方向のみにパターン化した自発的な運動を繰り返し,動きを定型化させていく傾向が
強かったと考えられる。非対称性の増悪は風に吹かれた姿勢を呈していく 4)ため,注意しなければな
らない。よって自動運動の体幹上部回旋角度に明らかな非対称性がみられる場合は BOB 反応時間や
寝返り動作反応時間との関係性もあわせみて,増悪の予防に努める必要がある。
自動運動の体幹下部回旋角度の利き側で認められた独歩群と立位群の群間差は,立位での体幹運動
発達の違いが関係すると予想される。歩行中の体幹コントロールは矢状面から前額面そして水平面へ
と段階的に進み,歩行を開始する初期では,矢状面で体幹コントロールを発達させるため,体軸内回
旋が発揮できない
3)。すなわち立位群は上肢支持に頼って自分の体を安定させているため,矢状面,
前額面での体幹コントロールが中心で,独歩群のように水平面で体幹をコントロールするまでには至
っていないと考えられる。自動運動の体幹下部回旋角度で認められた立位群の非対称性は,まだ独歩
が難しいことを示すものであり,立位まで発達した段階で対称的な自動運動の体幹下部回旋角度が得
られれば,独歩を期待できる指標になりうると考える。
自動運動の体幹上下部の回旋角度において独歩群と健常群には有意差が認められなかった。このこ
とから,独歩に至る高い運動発達段階では,健常児と変わらない程度に自分の体をコントロールする
ことができ,肢位変換に必要な体重移動を円滑かつ自発的にできる体幹機能を備えていることが伺え
る。しかし独歩群は健常群と比較して他動運動と自動運動にギャップがあることがわかった(図 13
∼16)。臥位群,坐位群,立位群も他動運動と自動運動とのギャップが大きいことから,この他動運
動と自動運動のギャップが脳性麻痺児にとって運動障害になっていると考えられる。よって脳性麻痺
19
児では自動運動が他動運動とギャップが生じないよう強化することが必要である。
独歩群・健常群の自動運動における体幹上下部の回旋角度は,利き側・非利き側ともに 50∼60°
程度に分布しており,自動運動の体幹上下部の回旋角度が 60∼70°で GMFM の最高点になってい
たことから,体幹上部と体幹下部を自発的に動かす角度は 60°を目安として治療に取り組む必要が
ある。
健常群の体幹回旋角度は体幹上部と体幹下部ともに 50∼60°で差がなかった。このことより健常
児では体幹上部と体幹下部が協調的に機能していることが伺える。それに対して臥位群・坐位群・立
位群では,体幹上部回旋角度が体幹下部回旋角度より大きく,独歩群では体幹下部回旋角度の方が大
きかった。よって脳性麻痺児では体幹上部と体幹下部を機能的に協調させることが難しく,運動発達
が未熟なうちは体幹上部優位の運動を行い,成熟にともない体幹下部へ運動を波及させているのでは
ないかと推察される。このことは前述した頭部から体幹にかけて発達の順序性を確立し成熟させてい
く経過と関係していると考えられる。したがって自動運動の体幹回旋角度では体幹上部と体幹下部に
角度的な差が生じていないかをチェックし,体幹上部と体幹下部とが協調的な運動ができるよう,自
動運動を促す必要がある。
5.2
運動発達段階による BOB 反応時間と寝返り動作反応時間について
BOB 反応時間と寝返り動作反応時間は臥位群,坐位群で変動性が大きかったが,立位群,独歩群,
健常群では変動性が小さかった。これは臥位群・坐位群が自発的な運動を引き起こす潜在能力を持っ
ているが,自己運動調整能力は低く,運動開始から終了までに時間を要していることを示すものであ
る。特に自発的な運動を引き出す力が弱い重症心身障害児では,獲得できる能力の範囲が狭く,治療
に対する反応も小さい
13)ため,支援者が子どもの運動開始の反応を待たずに,運動を全面的に手助
けするという子どもの自発性を軽視した行動をとりやすい。体幹回旋角度,BOB 反応時間,寝返り
動作反応時間を運動発達段階によって検討した結果から総合的にみると,臥位群は自発的な関節角度
的な問題と運動を引き起こす時間的な問題を合わせ持ち,体幹機能の重度な運動障害を抱えているこ
とがわかる。臥位群の BOB 反応時間と寝返り動作反応時間の中央値は立位群,独歩群,健常群より
およそ 5 倍もの時間を要していたことから,素早い動きのある立位群・独歩群の発達障害児以上に,
運動開始の反応を十分に待ち,自発的な運動を引き出すことを考慮していくことが大切である。
20
坐位群の BOB 反応時間と寝返り動作反応時間は,非対称性が強く,利き側は非利き側の約 2 倍の
時間を要していた。BOB 反応時間と寝返り動作反応時間の利き側で,臥位群と坐位群の有意差を認
めなかったのは,坐位群の非対称な反応時間のためだと考えられる。寝返り動作は,背臥位,腹臥位
での平衡反応が完成されることによってスムースに行える 4)ことより,臥位群と有意差を認めなかっ
た坐位群の BOB 反応や平衡反応は,臥位群と同じレベルの未熟さがあると考えられる。しかし,非
利き側では,BOB 反応時間,寝返り動作反応時間ともに臥位群と有意差を認めたことより,坐位群
は臥位レベルの反応能力とアライメントを整えられる反応能力とが混在していると言える。したがっ
て,臥位姿勢から体幹を垂直化させていく過程には,BOB 反応を応用した運動や寝返り動作を積極
的に行い,体幹の反応能力を発揮させ,抗重力位の中で対称的な活動ができるようにしていくことが
望まれる。
BOB 反応時間と寝返り動作反応時間に関しては,立位群,独歩群,健常群の中央値が利き側,非
利き側ともに 1 秒前後であった。この反応時間は立位・歩行の前提条件としての目安になりうると
考える。
5.3 体幹回旋角度と粗大運動能力の相関関係について
体幹回旋角度と粗大運動能力の相関関係について,他動運動では体幹下部回旋角度のみ相関関係を
認め,自動運動では体幹上部と体幹下部の回旋角度で相関関係を認めた。特に自動運動における体幹
下部回旋角度と粗大運動能力には強い相関関係が認められた。自動運動における体幹上下部の回旋角
度と粗大運動能力の相関関係からも自発的な運動が運動能力を変える要因として重要であることが
裏付けられた。これは Sigrid Ostensjo ら 14)が述べた選択的な運動コントロールは粗大運動機能と高
い相関にあり,選択的な運動コントロールだけが運動障害と Pediatric evaluation of disability
inventory(PEDI)(特定の生活上の技能ができるか,できないか,またそれを達成するのに,どの程
度介助が必要なのか,あるいはどのようなレベルの環境調整が必要かということを評価する尺度 13))
の点数を予測することができたという結果と一致している。よって自発的な運動をコントロールする
ことができれば,粗大運動能力という機能面だけでなく,日常生活能力の側面も向上させる可能性が
ある。脳性麻痺という疾患の本質は運動障害が中心であり,運動麻痺,筋緊張の異常,失調,あるい
は不随意運動が,神経系の発達によるさまざまな修飾を受けて,発達途上にさまざまな問題を引き起
21
こしてくる。そのような脳性麻痺の子どもたちに対して理学療法が対象としているのは,運動障害そ
れ自体と,さらにそれに付随して起こる生活自立上の問題点である
13)ことより,粗大運動能力とい
う機能面だけでなく,日常生活能力の側面にも対応できる自発的な運動をコントロールしていくこと
は理学療法の治療の中で重要な位置を占めると言える。
しかし他動運動での体幹回旋角度においても粗大運動能力との相関関係を認めたことより他動的
な可動性を確保しておくことも無視できない。あくまでも自発的な運動を行うことが大切であると考
えるが,単に運動するように励ましたり,いろいろな運動経験を積ませるだけでは異常姿勢や運動パ
ターンを助長することになるので,他動運動にて十分な可動性を確保し,運動の幅を広げ,自動運動
の出現を促す必要がある。すなわち全部他動的に動かすのではなく,いつも自発的な反応を待ちなが
ら,動きを誘導するようにすべきである。体幹や骨盤の動きに回旋を出すことについて言及するなら
ば,臥位での屈曲・伸展,側屈などを十分に促通する必要がある 9)。よって体幹の回旋運動を促すた
めには,体幹の回旋運動だけでなく,あらゆる方向へ自発的な反応ができるよう考慮していかなけれ
ばならない。
体幹下部回旋角度では他動運動,自動運動に関わらず粗大運動能力と相関関係を認めたのは,
GMFM 自体が高度になるにつれて上肢を使わないで行えるかを判定する下肢課題が多くなることと
関係すると言える。
5.4 今後の課題
今回の結果より脳性麻痺児にとって,体幹回旋運動は評価および治療目標として利用可能な指標と
なると考えるが,本研究は対象数が少なく,障害部位別分類や比較する群の大きさが異なる方法であ
った。そのため,さらに対象の子どもたちを増やして群の分散を一様にし,障害部位別分類ごとの検
討を重ねる必要がある。
また説明理解が十分にある脳性麻痺児に対象をしぼると,全員寝返りが可能であった。寝返りは非
対称性緊張性頸反射が残存して,頭の動きが体幹や四肢の動きを規定すると難しくなる運動であるた
め,対象とした子どもたちは,頭の動きから分離した体幹や四肢を動かす能力があったと考えられる。
寝返りが不可能な子どもたちは,頭部,体幹,四肢の運動が分離していないことや上肢の支持性を経
験していないことより,体幹上部と体幹下部の回旋角度は寝返りが可能な子どもたちと違いがありそ
22
うである。よって理解が困難な障害が重度な子どもたちでも体幹回旋の自動運動を定量化できる試み
を考えていきたい。
さらに寝返りの仕方は果てしなく多くの種類があり,対称的な安定した体位から始まって,体幹を
さまざまな程度に回旋させながら支持面から頭と肩を持ち上げることで運動を開始し,頭と肩から先
へいく方法もあれば,骨盤と下肢からいく方法もある。上肢と下肢についてもさまざまな肢位をとり
ながら寝返りをうつ
12)ことから,四肢の使い方が寝返り動作に影響しそうである。体幹の運動発達
が四肢の運動発達に大きく影響することも考慮すると,体幹機能をみる場合,四肢の痙性の分布や強
さ,可動性などをあわせて測定し,脳性麻痺児の体幹運動特性と四肢の運動特性とを関連づけて分析
する必要がある。
今回,体幹回旋角度の分析により,臥位群・坐位群・立位群は体幹上部優位に,独歩群は体幹下部
優位に運動を行っている可能性があった。したがって脳性麻痺児の体幹機能の使い方には運動発達的
な変化がありそうである。健常成人の歩行における体幹下部の協調性は 55 歳を境に体幹と骨盤の使
い方が変化し,骨盤に体幹を引きつける下肢制御が優勢な歩行スタイルから体幹に骨盤を引きつける
上体制御が優勢な歩行スタイルへ変化するという結果が報告されている
15)。脳性麻痺児の体幹機能
においても経時的変化があるかどうか,縦断的に体幹回旋運動を解析していくことを今後の課題とし
たい。
23
Ⅵ.結語
連続した動作の中には,運動要素として体幹の回旋が多く含まれており,正常発達において体幹の
機能は非常に重要である。しかしながら,体幹運動の評価において,定量的に報告されているものは
ほとんど知られていない。よって,脳性麻痺児の体幹の運動を定量的に示し,運動発達との関係を客
観的データとして示した。
本研究では
1.
自動運動の体幹回旋角度は運動発達段階によって違いがある
2.
BOB 反応時間や寝返り動作反応時間は運動発達段階によって違いがある
3.
自動運動の体幹下部回旋角度と粗大運動能力には強い相関関係がある
という見解が得られた。
特に,体幹回旋角度の結果からは,他動運動の結果に有意差がなく自動運動には有意差があったこ
と,脳性麻痺児の自動運動は他動運動とのギャップが大きかったこと,自動運動の体幹下部回旋角度
と粗大運動能力に強い相関関係があったことを示し,自動運動の重要性を意義づけることができた。
また 1 秒前後の BOB 反応時間,寝返り動作反応時間は,立位・歩行の前提条件としての目安となり
うることを提案できた。
よって対象の問題や寝返りが不可能な障害が重度な子どもたちの体幹回旋の自動運動を定量化す
ることに関しての課題は残すが,今回検討した体幹回旋角度,BOB 反応時間,寝返り動作反応時間
の項目は,運動障害をもつ脳性麻痺児の体幹中枢部の機能的な評価および治療目標として利用可能で,
有益な臨床手段になりうると考える。
最後に脳性麻痺児の理学療法では,運動能力を変える要因として,自動運動を引き出すことについ
て十分考慮していくことを提案し,締めくくりとしたい。
24
Ⅶ.謝辞
本研究を行うにあたりご協力していただきました子どもたち及び,快く承諾して下さった保護者の
方々,またデータを収集する場を提供して下さった施設の皆様に心より感謝致します。
また広島国際大学へ異動されても丁寧にご教授下さった河村光俊先生,貴重なご助言とご指導を賜
りました指導教官の田中義人先生,応援して下さった竹中和子先生,及び田中・奈良研究室の皆様に
深く感謝申し上げます。
Ⅷ.文献
引用文献
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藤原俊之:脳卒中の体幹機能の評価と予後.JOUNAL OF CLINIC REHABILITATION,11:942‐946,
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G Verheyden, A Nieuwboer et al :The Trunk Impairment Scale: a new tool to measure motor
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河村光俊:体幹の運動発達と評価.理学療法,3:171‐177,1986
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河村光俊:PT マニュアル 小児の理学療法.p.11‐12,27,92,93,137,143,医歯薬出版株式会社,
東京,2002
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岡明:脳性麻痺の原因とリスク.総合リハ,29:791‐796,2001
6.
Goldsmith E, Golding RM:A technique to measure windswept deformity.Physiotherapy,
78:235‐242,1992
7.
近藤和泉,福田道隆:GMFM-粗大運動能力尺度 脳性麻痺児のための評価尺度.医学書院,東京,
2000
8.
藪中良彦:粗大運動能力尺度(GMFM).OT ジャーナル,38:603‐612,2004
9.
岩崎清隆:発達障害と作業療法[基礎編].p.81‐85,三輪書店,東京,2004
10. Ermellina Fedrizzi,Emanuela Pagliano,Michela Marzaroli et al:Developmental sequence
of postural control in prone position in children with spastic diplegia.Brain & Development,
22:436‐444,2000
11. 藤原俊之:体幹機能障害.総合リハ,29:1089‐1094,2001
25
12. Nancie R.Finnie(梶浦一郎,鈴木恒彦
訳)
:脳性まひ児の家庭療育
原著第 3 版.p.62,医
歯薬出版株式会社,東京,1999
13. 近藤和泉:機能評価−治療の根拠を提供するために−.総合リハ,29:803‐808,2001
14. Sigrid Ostensjo,Eva Brogren,Nina K Vollestad:Motor impairments in young children with
cerebral palsy:relationship to gross motor function and everyday activities.Developmental
Medicine&Child Neurology,46:580‐589,2004
15. C.A.McGibbon,D.E.Krebs:Age-related changes in lower trunk coordination and energy
transfer during gait.J Neurophysical,85:1923‐1931,2001
参考文献
1.
今川忠夫:発達障害児の新しい療育−こどもと家族の未来のために−.三輪書店,東京,2000
2.
奥田憲一:重症心身障害児・者の示す『風に吹かれた股関節』の対策に関する研究−具体的理学
療法の確立から,適切なマネージメントへの展開−.旭川荘研究年報,31:12‐17,2000
3.
柴田さやか:「風に吹かれた股関節」に対する理学療法治療の有効性.広島大学医学部保健学科
理学療法学専攻
4.
卒業論文集,6:21‐24,2001
Erna I. Blanche et al (高橋智宏
監訳):神経発達学的治療と感覚統合理論−セラピストのた
めの実践的アプローチ−.株式会社協同医書出版社,東京,2001
26
資料Ⅰ
体 幹 回 旋 評 価
評価日
氏名(ふりがな):
性別: 男 / 女
BH:
cm
生年月日: 年 月 日 ( 歳 ヶ月)
障害分類:
痙直型
四肢麻痺
両麻痺
( CP ・ NP ) アテトーゼ型
弛緩型
片麻痺
麻痺の左右差:
右
左
BW:
Kg
在胎週:
出生BW:
W
Kg
日常生活での運動レベル:
右へ
BOB/時間(秒)
年 月 日
左へ
寝返り(S→P)
秒
胸郭部からの刺激
秒
秒
秒
最高値
寝返り開始の優位差: 上肢 下肢 から
最高値
体幹下部 回旋角度
自動運動(A)
右回旋
運動発達/体幹回旋角度
他動運動(P)
右回旋
左回旋
左回旋
非定頚
定頚
寝返り
ハイハイ
座位
四つ這い
立位
つかまり歩き
独歩
最高 θ
°
°
°
°
体幹上部 回旋角度
①肩甲帯の長さ(r)
cm
他動運動(P)
右回旋
左回旋
自動運動(A)
右回旋
左回旋
高さ
②高さの最高値(y)
sinθ y/r
θ
cm
cm
cm
cm
②
①
②
①
②
①
②
①
=
=
=
=
°
27
°
°
°
資料Ⅱ
研究依頼書
平成
年
月
殿
広島大学院保健学研究科
依頼願います。
博士課程前期における研究のために,次のとおり研究の測定実施を
1.研究題目
脳性麻痺児における体幹回旋角度の定量的評価について
2.研究目的
脳性麻痺児と健常児の体幹回旋角度と運動能力について測定し,関連性について
比較検討する。
3.研究内容
脳性麻痺児と診断された河村先生の治療を受診する患児に対して,治療室にて
①体幹回旋角度 ②寝返り動作の反応時間 ③立ち直りの反応時間
④粗大運動能力テスト
について測定する。
健常児に対しては①∼③を実施します。
4.研究期間
同意を得た日から平成 17 年 9 月まで
5.その他
測定にあたって,対象者には施設側とは関係がないことを説明し,得られたデータは
厳重に管理して,研究以外に使用しません。また研究結果発表の際には,個人を特定で
きるような記述は致しません。
また測定は,河村先生が非常勤として来られている日に実施致します。
研究の趣旨をご理解いただきまして,研究のご協力をお願い申し上げます。
広島大学 大学院保健学研究科 発達期健康学研究室
〒734-8551 広島市南区霞 1 丁目 2 番 3 号
TEL(研究室)082-257-5371
(自宅) 082-253-7838
E-Mail [email protected]
山下 雅代
28
日
同意書
山下
雅代
殿
研究への協力に同意できる場合,以下の内容について,説明書を読んで,理解・納得
できた項目の□内にチェック印をつけて下さい。
□ 研究の目的について
□ 研究における測定する内容について
□ 研究で得られた情報の取り扱いと保護について
□ 研究における測定実施期間について
□ 研究は施設側とは関係がないことについて
以上の項目について,説明書の内容より,理解・納得しましたので,研究の測定を実施することを同
意します。
同意年月日
平成
年
施設名
29
月
日
同意取消書
山下
雅代
殿
広島大学保健学研究科 発達期健康学研究室
〒734-8551 広島市南区霞 1 丁目 2 番 3 号
TEL(研究室)082-257-5371
(自宅) 082-253-7838
E-Mail [email protected]
研究について説明を受け,理解し納得して,研究に協力す
ることに同意いたしましたが,同意を取り消します。
取り消される項目の□内にチェック印をつけて下さい。
□ 全般的な協力について
□ 施設利用について
□ 施設を利用されている患者さんへの協力を求めることについて
□ 研究測定内容の使用について
□ その他
同意取消年月日
平成
施設名
30
年
月
日
研究のご協力のお願い
平成
年
月
日
1.目的
この研究は,大学院博士課程前期の修士論文のテーマとして,「体をひねる運動が運動の能力と関連
があるかどうか」を調査するために実施するものです。
2.内容
以下のことについて測定・お尋ねします。
① 体幹の回旋角度を測定します。
仰向けに寝た状態で
a. 腰と肩を自分でひねる運動を右方向と左方向の 3 回ずつ行います。
b. 研究者が同じ動きで最大限に動く範囲まで動かす運動を右方向と左方向の 1 回ずつ行いま
す。
② 寝返りの時間を測定します。右方向と左方向へどれだけ早く寝返るかを測定します。
③ 立ち直り反応を測定します。床に座って横へ倒して腰をひねった状態から下側の脚をどれだけ
早く引き抜いて伸ばせるかを右方向と左方向と測定します。
④ 粗大運動能力テストを測定します。粗大運動能力テストという評価表を用いて,
a. 寝た状態での運動
b. 座った状態での運動
c. 四つ這いと膝を立てた状態での運動
d. 立った姿勢での運動
e. 歩いたり,走ったり,ジャンプする運動
におけるそれぞれの領域の項目について,運動をして頂き,それを測定します。
結果は運動が 100 点満点中何点できたかがわかります。
⑤ 生年月日・身長・体重・在胎週・出生体重について教えて頂きます。
尚,得られたデータは,厳重に管理し,研究以外に使用しません。ただし学術学会等
に発表させて頂くことをご了承下さい。しかし研究結果発表の際には,個人を特定できるような記述
は致しません。得られた情報は,修士論文が完成しましたら,直ちに破棄致します。
3.プログラムで起こり得ること
① 河村先生の治療時間以外に,測定時間として約 30 分かかります。
② 運動課題によっては転倒する危険性もあります。
4.注意事項
測定はあくまでも意志を尊重して,断ることも自由で,断った場合,何ら不利益を
こうむることはありません。承諾後の取り消しも自由です。
5.問い合わせ先
ご質問やご意見などがありましたら,下記までご連絡下さい。
広島大学 大学院保健学研究科 発達期健康学研究室
〒734-8551 広島市南区霞 1 丁目 2 番 3 号
TEL(研究室)082-257-5371
(自宅) 082-253-7838
E-Mail [email protected]
山下 雅代
31
同意書
山下
雅代
殿
研究に参加することに同意される方は,以下の内容について,説明書を読んで,理解した項目の□内に
チェック印をつけて下さい。
□ 研究の目的について
□ 研究で測定する内容について
□ 研究で得られた情報の取り扱いと保護について
□ 研究で測定することで起こり得ることについて
□ 測定するかどうかは,本人・親権者の意志で自由に決定できることについて
□ 測定を辞退することができること,辞退しても何の不利益も受けないことについて
以上の項目について,説明書の内容より,理解・納得しましたので,研究に同意します。
なお,これらの同意はいつでも撤回できることも承知しており,そのような場合が生じたときには意
思表示いたします。
同意年月日
平成
年
氏名
32
月
日
同意取消書
山下
雅代
殿
広島大学保健学研究科 発達期健康学研究室
〒734-8551 広島市南区霞 1 丁目 2 番 3 号
TEL(研究室)082-257-5371
(自宅) 082-253-7838
E-Mail [email protected]
研究について説明を受け,理解し納得して,研究に協力す
ることに同意いたしましたが,自らの意思表示により同意を
取り消します。
取り消される項目の□内にチェック印をつけて下さい。
□ 研究の全般的な協力について
□ 研究の測定結果の使用について
□ 研究結果を発表することについて
□その他:
同意取消年月日
平成
年
氏名
33
月
日
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