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低速のケーブル モデム ネットワークのトラブルシューティング

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低速のケーブル モデム ネットワークのトラブルシューティング
低速のケーブル モデム ネットワークのトラブルシューティング
目次
概要
ハードウェアとソフトウェアのバージョン
パフォーマンスの達成レベルを正確に確認する方法
システム上の正しい箇所の測定 ダウンロード レートおよびアップロード レートの確認
低パフォーマンスの潜在的な理由
DOCSIS コンフィギュレーション ファイルによるパフォーマンス制限 完全に最適化されていないレート制限方法の使
用 アップストリーム チャネルの輻輳 ダウンストリーム チャネルの輻輳 バックホール ネットワークまたはインター
ネットの輻輳 ケーブル装置におけるノイズおよびエラー CMTS における CPU の高利用率 CPE 機器の機能不足または
設定誤り
結論 関連情報
概要
Data-over-Cable Service Interface Specifications(DOCSIS)システムには、ケーブル モデムのパフォーマンスと速度に影響
を与える可能性のある多くの問題があります。 この文書では、ケーブル サービス プロバイダーの見地から、低速スループット
に関する主な原因に対処します。
この文書ではまず、エンドユーザ側で達成されているスループットのレベルを正確に確認する方法について述べ、測定したパフォ
ーマンスが広域のインターネットではなくケーブル ネットワークのものであることを確認する方法を説明します。
その次の項で、低速のパフォーマンスに関して最も多く見られる潜在的な原因と解決案について考察します。 具体的には、次の
問題があります。
DOCSIS コンフィギュレーション ファイル内の制限によって制約されたパフォーマンス
Cable Modem Termination System(CMTS; ケーブル モデム終端システム)において完全に最適化されていないレート制限方式を
使用した、バースト性のある、または不安定なパフォーマンスのダウンロード
アップストリームおよびダウンストリームのチャネル輻輳
バックホール ネットワークまたはインターネットの輻輳
ケーブル装置におけるノイズやエラー
機能不足の エンド ユーザ Customer Premises Equipment(CPE; 顧客宅内機器)
この文書では、ケーブル ネットワークで接続が完全に喪失されることや、またはケーブル モデムがオンラインにならないことに
関するトラブルシューティングについては説明しません。 このような問題に関しては,「トラブルシューティング:uBR ケーブル
モデムがオンラインにならない場合」を参照してください。 また、uBR 900 または CVA 120 シリーズのケーブル モデムの使用
中にパフォーマンス問題の発生したエンドユーザに関しては、このような問題のトラブルシューティングを「uBR900 シリーズ ケ
ーブル モデム エンド ユーザの初級 FAQ」から開始することをお勧めします。
ハードウェアとソフトウェアのバージョン
この文書の情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
uBR7200 および uBR7100 CMTS のソフトウェア リリース 12.1(9)EC
Cisco uBR7100、uBR7200 および uBR7200VXR の CMTS 製品群
ループットとパフォーマンスに影響を与える場合があります。
この文書では、ケーブル ネットワークで接続が完全に喪失されることや、またはケーブル モデムがオンラインにならないことに
関するトラブルシューティングについては説明しません。 このような問題に関しては、「トラブルシューティング:uBR ケーブ
ル モデムがオンラインにならない場合」を参照してくださいまた、uBR 900 または CVA 120 シリーズのケーブル モデムの使用
中にパフォーマンス問題の発生したエンドユーザに関しては、このような問題のトラブルシューティングを「uBR900 シリーズ ケ
ーブル モデム エンド ユーザの初級 FAQ」から開始することをお勧めします。
パフォーマンスの達成レベルを正確に確認する方法
システム上の正しい箇所の測定
システムの速度およびパフォーマンスを測定する方法は数多くありますが、テストされる箇所を正確に理解することが重要です。
次の図について考察します。
図 1(この図を Flash アニメーションとして表示するには、こちらをクリックします。)
この図には、多数のコンポーネントがあります。
エンドユーザと CMTS 間のハイブリッド ファイバ同軸ネットワーク
CMTS がケーブル サービス プロバイダーのネットワークに接続する、ローカルの CMTS ネットワーク セグメント
ケーブル サービス プロバイダーの内部ネットワーク
パブリック インターネット
2 地点間で速度テストを行うと、その 2 地点間のすべてのネットワーク コンポーネントの速度が測定されます。
たとえば、128 Kbps ISDN 回線経由でインターネットへ接続される CPE と、サーバ 3 との間の速度テストを行ったとします。こ
の場合、ケーブルセグメントの帯域幅が 128 Kbps より広くても、128 Kbps を超える速度はあり得ません。
ケーブル セグメントそれ自体の最も正確な測定方法は、同じネットワーク セグメントへ CMTS として接続される CPE と サーバ
1 の間で速度テストを行うことです。 これは、パス データが経由する必要があるのは、同軸ケーブル セグメントだけであるた
めです。 このデータはローカルの CMTS ネットワーク セグメントも経由する必要がありますが、このセグメントの帯域幅は高く
(ファーストイーサネット以上)であり、輻輳のレベルが高くないことが考えられます。
何らかの理由でサーバをローカルの CMTS ネットワーク セグメントへ接続できない場合、ケーブル セグメントのパフォーマンス
をテストする次に正確な方法は、CPE とサーバ 2 の間の速度テストを行うことです。CMTS と CPE 間にあるケーブル サービス
プロバイダーの内部ネットワークで十分な速度が出ていて、リンクが輻輳していない限り、この測定は正確です。
ケーブル セグメントのパフォーマンスに関して、最も不正確な確認方法は、CPE とパブリック インターネット上にあるサーバ間
の速度テストを行うことです。 その理由は、サーバと CPE の間のパブリック インターネットで輻輳したリンクが存在するか、
または インターネット上のサーバと CPE の間のパスに、非常に低速なリンクが存在する可能性があるためです。
ダウンロード レートおよびアップロード レートの確認
DOCSIS システムにパフォーマンスの問題があるかどうかを最終的に判断する前に、厳密にどれくらいのレベルのアップロードお
よびダウンロードのスループットが達成されているかについて、客観的な測定を得ておくことが重要です。
アップロードおよびダウンロードが発生し得る速度を判定する最も簡単な方法は、ケーブル モデムに接続された CPE デバイスと
CMTS の背後に配置されたサーバの間で、FTP または HTTP を使用して非常に大きいファイルをアップロードまたはダウンロード
することです。 ほとんどの FTP クライアントおよび HTTP クライアントは、転送中または転送の完了後に、実行されたダウンロ
ードまたはアップロードの速度を表示できます。 FTP または HTTP の動作結果として表示されるこの転送速度は、通常、実際に
達成された合計スループットのおよそ 90 % です。 その理由は、表示される FTP または HTTP の転送速度に、CPE デバイスと
CMTS 間でやりとりされる必要のある、余分の IP および DOCSIS のオーバーヘッドが考慮に入れられていないためです。
もっと正確にスループットを測定できる方法もあります。たとえば、Netcom Smartbits や IXIA パケット ジェネレータなどの専
用のテスト装置を利用する方法です。これらのシステムが必ずしもすぐに入手できたり、実稼動中のケーブル ネットワークに簡
単に接続できるとは限りません。 しかし、スループットのテストがラボ環境で実行された場合は、専用デバイスを利用すること
で 単なる FTP や HTTP のダウンロード テストよりもはるかに詳細な情報が得られることは注目に値します。
FTP または HTTP に基づくアップロードおよびダウンロードのテストは、およそ 3Mbps 以下の速度をテストする場合に限り、信
頼性があることに注意してください。 3 Mbps よりも高速である場合、CPE デバイス、サーバ、またはネットワーク インターフ
ェイス カードの処理能力がテストの制限因子となる場合があります。 約 3 Mbps よりも速度の速いテストに関しては、専用のデ
ータ スループット テスト装置を使用する必要があります。
次の例では、ケーブル モデムに接続された CPE デバイスと ケーブル サービス プロバイダーのネットワーク上にある FTP サー
バの間で、簡単な FTP ダウンロードおよびアップロードのテストを行います。 ケーブル モデムに、256 Kbps のダウンロード速
度および 64 Kbps のアップロード速度を許可する DOCSIS コンフィギュレーション ファイルをダウンロードしました。 このテ
ストでは、IP アドレス 172.17.110.132 の FTP サーバ上に、3 MB のファイルを設置します。 CPE デバイスのユーザがこのファ
イルを FTP サーバからダウンロードし、FTP サーバへ再びアップロードできるように、FTP サーバにログイン可能なユーザ名と
パスワードを用意します。 転送の実行には、コマンドラインの FTP ユーティリティを使用します。 実質的には、Microsoft
Windows および UNIX のすべてのバージョンに、このユーティリティがあります。
サービス プロバイダーのネットワーク上に http Web サーバをセットアップし、http ダウンロードを行うことによっても、同様
のテストが実行できます。
図 2
注:!--- コメントは青で示します。
C:\>ftp 172.17.110.132
!--- サーバへの FTP セッションを開始します。
Connected to 172.17.110.132.
220 Solaris FTP server (SunOS 5.6) ready.
User (172.17.110.132:(none)): anonymous
!--- FTP サーバのユーザ名を入力します。
331 Guest login ok, send your complete e-mail address as password.
Password: [email protected]
!--- FTP サーバのパスワードを入力します。
230 User anonymous logged in.
ftp> dir
!--- 現在のディレクトリ内用を表示します。
200 PORT command successful.
150 ASCII data connection for /bin/ls (64.104.207.118,1282) (0 bytes).
total 74932
-rw-r--r-- 1 root other
!--- ダウンロード可能な 3M ファイルです。
226 ASCII Transfer complete.
ftp: 105 bytes received in 0.12 Seconds 2.46Kbytes/sec.
ftp> bi
!--- バイナリ ファイル転送モードにします。
200 Type set to I.
ftp> get cable.txt
!--- cable.txt ファイルの取得を実行し、ダウンロードの完了を待ちます。
200 PORT command successful.
150 Binary data connection for cable.txt (192.168.1.13,3154) (3276800 bytes).
226 Binary Transfer complete.
ftp: 3276800 bytes received in 111.35Seconds 29.43Kbytes/sec.
!--- ダウンロードが完了しました。このダウンロードは、
!--- 29.43K バイト/秒で実行されたようで、これは
!--- 235K bps と同等です。
!--- テスト用のモデムに許可された256K bps の
!--- およそ 90 % のダウンロード レートです。
ftp> put cable.txt
!--- ファイルのアップロードを開始します。アクセスが正しいことを確認して、この
!--- FTP サーバへアップロードする必要があります。
!--- 正しくない場合、アクセス拒否エラーが発生する場合があります。
200 PORT command successful.
150 Binary data connection for cable.txt (192.168.1.13,3157).
226 Transfer complete.
ftp: 3276800 bytes sent in 432.49Seconds 7.58Kbytes/sec.
!--- アップロードが完了しました。ここでは、アップロードが
!--- 7.58K バイト/秒で実行され、これは
!--- 60.64K bps と同等です。テスト用の
!--- モデムに許可された 64Kbps のおよそ 90 % のアップロード レート
!--- です。
ftp> quit
!--- FTP クライアント アプリケーションを終了します。 221 Goodbye.
FTP 転送の実行中に、show interface cable X/Y sid Z counters コマンドを使用して、CMTS におけるテストの経過を監視でき
ます。X/Y にはテスト中のモデムが接続されているケーブル インターフェイス、Z にはテスト中のモデムのサービス ID(SID)
番号をそれぞれ指定します。 このコマンドにより、特定のケーブル モデムからのバイト数、または特定のケーブル モデムへの
バイト数が表示されます。 テストする CPE が、MAC アドレス 0001.9659.4461 を付けられたケーブル モデムの後ろにあるとし
ます。
まず、show cable modem コマンドを使用して、テストするモデムの SID 番号を調べる必要があります。 ここでは、ケーブル モ
デムの SID は 5 です。
uBR7246-VXR# show cable modem 0001.9659.4461
Interface Prim Online
Sid State Offset Power
Cable3/0/U0 5 online
ダウンロードまたはアップロードの処理中に、clear counters コマンドを使用して、CMTS 上のすべてのパケット カウンタをゼ
ロにクリアします。 カウンタのクリアと同時に、ストップウォッチまたはタイマーを開始します。
uBR7246-VXR# clear counters
!--- パケット カウンタをゼロにリセットします。
Clear "show interface" counters on all interfaces [confirm]
!--- Enter を押すときにストップウォッチを開始します。
ストップウォッチまたはタイマーが 1 分を示した直後に、show interface cable X/Y sid Z counters コマンドを実行します。
まずコマンドを入力しておき、タイマーが 1 分を示した瞬間に Enter キーを押すことをお勧めします。 当然、テストをより長
時間またはより短時間で行うことも可能です。 テスト期間が長いほど、結果はより正確になります。ただし、ストップウォッチ
タイマーが指定された時間に到達するまで、ダウンロードまたはアップロードが完了しないことを確認してください。もし先に完
了してしまうと、その測定は不正確になってしまいます。
uBR7246-VXR# show interface cable 3/0 sid 5 counters
!--- ストップウォッチが 1 分を示す瞬間に Enter キーを押します。
Sid Inpackets Inoctets Outoctets Ratelimit Ratelimit
5 4019 1921488
uBR7246-VXR#
ここでは、ダウンロード速度をテストしています。 show interface cable X/Y sid Z counter コマンドの出力は、ケーブル モ
デムによって 1 分間に 1,921,488 バイトがダウンロードされたことを示しています。 1,921,488 バイトをビットに変換する
と、次の値が得られます。
8 bits per byte * 1,921,488 bytes = 15,371,904 bits.
次に、ダウンロード レートをビット/秒で調べ、この合計ダウンロード ビット数を、ダウンロードにかかった時間(秒)で割り
ます。
15,371,904 bits / 60 seconds = 256 Kbps
この例では、ダウンロード レートはおよそ 256 Kbps であり、これはテスト用のケーブル モデムに許可されたダウンロード レ
ートと同じになっています。
show interface cable X/Y sid Z counter コマンドを使用してアップロード速度を確認するには、Inoctets 列を使用して、ケー
ブル モデムからアップストリーム方向への送信バイト数を確認する必要があります。
「show interface cable X/Y sid <Z> counters」コマンドの詳細は、「Cisco ケーブル モデム終端システムのコマンド」を参照
してください。
低パフォーマンスの潜在的な理由
DOCSIS コンフィギュレーション ファイルによるパフォーマンス制限
低速なケーブル モデムをトラブルシューティングする際に、最初に収集すべき情報は Class of Service(CoS; サービス クラ
ス)上規定されているケーブル モデムのスループット制限についてです。 ケーブル モデムがオンラインになると、DOCSIS コン
フィギュレーション ファイルがダウンロードされます。このファイルには、最大アップロード レートや最大ダウンロード レー
トなどの、動作上の制限が指定されています。 通常の状況では、ケーブル モデムがこのレートを超えることは許可されていませ
ん。
最初に、問題のあるケーブル モデムの MAC アドレスを確認する必要があります。 MAC アドレス 0050.7366.2223 のモデムに低
速スループットの問題があるとします。 次の例に示すとおり、show cable modem <mac-address> コマンドを実行して、このケー
ブル モデムによって使用されているサービス クラス プロファイルを調べる必要があります。
uBR7246-VXR# show cable modem 0050.7366.2223
Interface Prim Online Timing Rec QoS CPE IP address MAC address
Sid
Cable3/0/U1 1 online 1548 5 0 10.1.1.10
このケーブル モデムでは、QoS プロファイル 5 が使用されていることがわかります。この QoS プロファイルに対応するダウン
ストリーム レートとアップストリーム レートを調べるには、show cable qos profile profile-number コマンドを使用する必要
があります。確認する QoS プロファイルを profile-number に指定します。
uBR7246-VXR# show cable qos profile 5
ID Prio Max Guarantee Max
upstream upstream downstream tx mask value by
bandwidth bandwidth bandwidth burst
5 0 64000 0 256000 1600 0x0 0x0 cm
ここでは、QoS プロファイル 5 が、256Kbps のダウンストリームおよび 64Kbps のアップストリームを提供しているサービスに
対応することがわかります。 QoS プロファイル 5 を使用しているケーブル モデムに接続された CPE は、この制限を超えること
ができません。 QoS プロファイル設定は、プロビジョニング中のシステムの TFTP サーバからケーブル モデムにダウンロードさ
れた DOCSIS コンフィギュレーション ファイルの内容によって決定されます。したがって、システム上の QoS プロファイル 5
が、この例のものと同じではない場合があります。
エンド ユーザのダウンロードとアップロードのパフォーマンスに、QoS プロファイルに設定された制限との相関がある場合、エ
ンド ユーザはケーブル モデムに対して提供および設定されたレベルのサービス クラスとスループットを得ていることになりま
す。 アップロードおよびダウンロードのスループットを高くする唯一の方法は、ケーブル モデムがダウンロードする DOCSIS コ
ンフィギュレーション ファイルを、より高いスループットの指定されたファイルに変更することです。 次の文書を参照してくだ
さい。「 Cisco DOCSIS Configurator を使用した DOCSIS 1.0 コンフィギュレーション ファイルの構築 (登録済みのお客様専用)」
に、DOCSIS コンフィギュレーション ファイルの作成方法および変更方法に関する詳細があります。
完全に最適化されていないレート制限方法の使用
ケーブル モデムの DOCSIS コンフィギュレーション ファイルに、エンド ユーザが許可されたレートを超えてインターネットか
らデータをダウンロードしようとすると、そのユーザの帯域幅消費が許可された量を超過しないように、ユーザへ送信されるトラ
フィックのレート制限を CMTS 上で実行する必要があります。
同様に、DOCSIS コンフィギュレーション ファイルに許可されたレートを超えてエンド ユーザがデータのアップロードまたは送
信をインターネットに対して行おうとすると、ケーブル セグメントから CMTS への超過トラフィックの送信を、ケーブル モデム
それ自身が中止する必要があります。 何らかの理由で、ケーブル モデムがアップストリームの正常なレート制限に失敗した場
合、許可されたレートよりも高いレートでのケーブル モデムからの転送が、CMTS によって明示的に禁止されます。 この CMTS
の動作は、ケーブル モデムの特性が「ハッキング」されても、サービス プロバイダーによるアップロード レート制限を破るこ
とができないようにするためです。
CMTS モニタ上で使用されるデフォルトのレート制限方式では、各ケーブル モデムへのトラフィックまたは各ケーブル モデムか
らのトラフィックのレートが、1 秒の間隔で監視されます。 ケーブル モデムが、その 1 秒当たりの割り当て量を超す量を 1 秒
以内に送信または受信した場合、CMTS はその秒の残りの時間、これ以上のトラフィックがこのケーブル モデムを経由することを
許可しません。
たとえば、512Kbps のダウンロード レートを許可する QoS プロファイルの設定されたケーブル モデムがあるとします。 ケーブ
ル モデムによって最初の 1/2 秒内に 512 キロビット(64 KB)がダウンロードされた場合、次の 1/2 秒の間、このケーブル モ
デムには何もダウンロードできません。 この種のレート制限の動作には、1 秒または 2 秒ごとに停止と開始を繰り返すような、
バースト性のあるダウンロードの型の影響が見られる場合があります。
ダウンストリームにおける最善のレート制限方式は、トラフィック シェーピング付きトークン バケット レート制限アルゴリズ
ムの使用です。 このレート制限方式は、安定したレートで滑らかな Web ブラウズが可能なように最適化されています。また、エ
ンド ユーザが DOCSIS コンフィギュレーション ファイルに指定された規定のダウンロード レートを超えることはできません。
この方式は、ケーブル モデムにおいてパケットが送受信されるたびに、ケーブル モデムによるデータのダウンロード レートま
たはアップロード レートを測定するように機能します。 パケットを送受信することでモデムに許可された転送レートを超える場
合、ダウンストリームの帯域幅制限を超えずに CMTS から送信できるようになるまで、このパケットは CMTS メモリ内にバッファ
またはキャッシュされます。 ただし、ダウンストリームのトラフィック レートが、ケーブル モデムに許可されたダウンストリ
ーム レートを一定して超えている場合、最終的にはパケットが廃棄されてしまうことに注意してください。
より滑らかなレート制限およびシェーピングを実行するこの方式を使用することによって、HTTP Web ブラウズや FTP ファイル転
送などのほとんどの TCP ベースのインターネット アプリケーションは、デフォルトのレート制限方式の使用時よりもより滑らか
かつ効率的に動作します。
トラフィック シェーピング スキーム付きのトークンバケット レート制限は、次のケーブル インターフェイスの設定コマンドを
発行することによって、ケーブル インターフェイスのダウンストリーム パス上で有効にすることができます。
uBR7246-VXR(config-if)# cable downstream rate-limit token-bucket shaping
注: CMTS 上で token-bucket shaping を有効にすることを強く推奨します。 このコマンドは、12.0(5)T1 および 12.1(1)EC1
以降でサポートされています。
トラフィック シェーピング付きのトークンバケットは、アップストリームのポートにも適用できます。ただし、アップストリー
ムのレート制限はケーブル モデムが担当するため、CMTS に適用されるアップストリームのレート制限方式は、通常、システムの
パフォーマンスに影響しません。
uBR7246-VXR(config-if)# cable upstream 0 rate-limit token-bucket shaping
cable downstream rate-limit コマンドおよび cable upstream Z rate-limit コマンドの詳細は、「Cisco ケーブル モデム終端
システムのコマンド」を参照してください。
show interface cable X/Y sid <Z> counters コマンドを使用すると、特定のケーブル モデムへのトラフィックに対して、CMTS
によるレート制限がどの程度厳密であるかを表示できます。X/Y にはケーブル モデムが接続されているケーブル インターフェイ
ス、Z には監視対象のモデムの SID 番号をそれぞれ指定します。 このコマンドは、モデムに許可されたスループット制限が超過
したことが原因で、CMTS がダウンストリームのパケットを廃棄した回数、またはアップストリームのパケットを拒否した回数が
表示されます。 Z の値を指定しない場合、インターフェイス ケーブル X/Y に接続されたすべてのケーブル モデムに関するカウ
ンタ情報が表示されます。
uBR7246-VXR# show interface cable 3/0 sid 5 counters
Sid Inpackets Inoctets Ratelimit Ratelimit
BWReqDrop DSPktDrop
5 150927 0 5681
Ratelimit DSPktDrop フィールドは、モデムが許可されたダウンストリーム スループットを超えつつあることが原因による、
CMTS のケーブル モデム向けのパケット廃棄回数を表示します。
Ratelimit BWReqDrop フィールドは、モデムが許可されたアップストリーム スループットを超えつつあることが原因で、ケーブ
ル モデムのアップストリーム パスへのパケットの送信を CMTS が拒否した回数を表示します。 ほとんどの状況において、この
カウンタは常に 0 のままです。この値がゼロを超えて著しく増加する場合、監視対象のケーブル モデムのアップストリーム レ
ート制限が正常に動作していない可能性があります。
次の例のとおりに、clear counters コマンドを発行すると、show interface cable X/Y sid Z counters コマンドによって表示
される値がゼロにリセットされる場合があることに注意してください。
uBR7246-VXR# show interface cable 3/0 sid counters
Sid Inpackets Inoctets Outpackets Outoctets
1 7
2 2052 549150
3 2
4 2
5 160158 10253220
6 2
7 9
9 6
12 616 165424 0 0 0 0
uBR7246-VXR# clear counters
Clear "show interface" counters on all interfaces [confirm] <press enter here>
uBR7246-VXR# show interface cable 3/0 sid counters
Sid Inpackets Inoctets Outpackets Outoctets
1 0
2 0
3 0
4 0
5 111
6 0
7 0
9 0
12 0
「show interface cable X/Y sid <Z> counters」コマンドの詳細は、「Cisco ケーブル モデム終端システムのコマンド」を参照
してください。
アップストリーム チャネルの輻輳
ケーブル システムでは、通常、アップストリーム チャネルのリソースが最も重要です。 現在、ほとんどのサービス プロバイダ
ーが、アップストリーム パスにおいて 1.6MHz のチャネル幅および Quadrature Phase Shift Keying(QPSK; 4 位相偏移変調)
変調を使用しています。 これは 1 チャネルのアップストリーム チャネルに接続されたすべてのユーザが使用可能な、およそ
2.5Mbps の合計アップストリーム帯域幅に相当します。 アップストリーム チャネルを使用しすぎないまたは輻輳させないことが
重要です。過剰利用または輻輳の場合、このアップストリーム セグメント上にあるすべてのユーザについて、パフォーマンスが
低下します。
show interface cable X/Y upstream <Z> CMTS コマンドを実行することによって、特定のアップストリーム ポートに関するアッ
プストリーム利用率を入手できます。X/Y にはダウンストリーム インターフェイス番号を、Z にはアップストリーム ポート番号
をそれぞれ指定します。 Z を省略した場合、インターフェイス ケーブル X/Y 上のすべてのアップストリームに関する情報が表
示されます。 show interface cable X/Y upstream <Z> コマンドの詳細は、「Cisco ケーブル モデム終端システムのコマンド」
を参照してください。
uBR7246-VXR# show interface cable 6/0 upstream 0
Cable6/0: Upstream 0 is up
Received 71941 broadcasts, 27234 multicasts, 8987489
0 discards, 140354 errors, 0 unknown protocol
9086664 packets input, 4394 uncorrectable
122628 noise, 0 microreflections
Total Modems On This Upstream Channel : 359 (354 active)
Default MAC scheduler
Queue[Rng Polls] 0/64, fifo queueing, 0 drops
Queue[Cont Mslots] 0/104, fifo queueing,
Queue[CIR Grants] 0/64, fair queueing, 0
Queue[BE Grants] 0/64, fair queueing, 0 drops
Queue[Grant Shpr] 0/64, calendar queueing,
Reserved slot table currently has 0 CBR entries
Req IEs 64609697, Req/Data IEs 0
Init Mtn IEs 521851, Stn Mtn IEs 569985
Long Grant IEs 2781600, Short Grant IEs 2067668
Avg upstream channel utilization : 18%
Avg percent contention slots : 77%
Avg percent initial ranging slots : 2%
Avg percent minislots lost on late MAPs : 0%
Total channel bw reserved 37858000 bps
CIR admission control not enforced
Admission requests rejected 0
Current minislot count : 7301855
Scheduled minislot count : 7301952
この例に示されているアップストリーム ポートでは、アップストリーム利用率は現在 18 % であり、359 台のモデムがこのアッ
プストリームに接続されています。
使用のピーク時にアップストリーム チャネルの利用率が一定して 75 % を超える場合、遅延、「ping」時間の遅れ、インターネ
ット全体の遅れなどの問題がエンド ユーザ側で発生しはじめます。 使用ピーク時にアップストリーム チャネルの利用率が一定
して 90 % を超える場合、エンド ユーザ側でサービスのレベルが極端に劣化します。これは、エンド ユーザのアップストリーム
データの大部分が遅延または廃棄される必要があるためです。
日中は異なるユーザがケーブル モデムを使用する機会があるため、アップストリーム チャネルの利用率は変化します。したがっ
て、あまり使用されない時間帯よりも、日中の最繁時にアップストリームの利用率を監視することが重要です。
アップストリームの輻輳を緩和するには、次の方法があります。
アップストリーム当たりのケーブル モデム数を減らす: 特定のアップストリームに接続されているケーブル モデム
が多すぎる場合、または特定のアップストリームのユーザがアップストリーム帯域幅を大量に消費するユーザである場
合、輻輳しているアップストリーム ポートの一部のユーザを、利用率の低いアップストリーム ポートまたは完全に新
しいアップストリーム ポートへ移動するのが最適なソリューションです。 これは通常、あるアップストリーム結合グ
ループから他のグループへファイバのノードを移動する、またはアップストリーム結合グループを 2 つに分割するこ
とにより実現できます。 詳細は、「CMTS 当たりの最大ユーザ数」を参照してください。
アップストリームのチャネル幅を拡大する : 拡大するチャネル幅をサポートするのに十分な信号対雑音比の特性と帯
域幅を備えた帯域を見つけるために、アップストリームのスペクトラムに関する厳密かつ徹底した分析を行います。
アップストリーム チャネル幅の変更は、ケーブル システム内の他のサービスにも影響する可能性があるため、入念な
計画を行わずには変更しないでください。 ケーブル インターフェイス コマンド cable upstream Z channel-width <
new-channel-width> を使用して、アップストリーム チャネル幅を変更できます。Z にはアップストリーム ポート番
号を指定し、new-channel-width には 200000、400000、800000、1600000(デフォルト)、3200000 のいずれかを指定
します。次に例を示します。
uBR7246-VXR(config-if)# cable upstream 0 channel-width 3200000
show interface cable X/Y upstream <Z> コマンドの詳細は、「Cisco ケーブル モデム終端システムのコマンド」を
参照してください。
アップストリームのデジタル変調方式を 16-QAM に変更する : ここでも同様に、16-QAM 変調をサポートできるア
ップストリームの周波数帯域があることを確認するために、アップストリームのスペクトラムに関する厳密かつ徹底し
た分析が必要です。 この分析を正しく行わない場合、パフォーマンスのさらなる低下、またはアップストリームの完
全停止の恐れという危険があります。 16-QAM 変調を使用したアップストリーム変調プロファイルを作成し、そのプロ
ファイルをアップストリーム ポートに適用することによって、アップストリーム変調方式を変更できます。 次に例を
示します。
uBR7246-VXR(config)# cable modulation-profile 2 mix
!--- Create an optimized 16-qam/qpsk modulation profile.
uBR7246-VXR(config)# interface cable 6/0
uBR7246-VXR(config-if)# cable upstream 0 modulation-profile 2
cable modulation-profile コマンドおよび cable upstream Z modulation-profile コマンドの詳細は、「Cisco ケー
ブル モデム終端システムのコマンド」を参照してください。 「Cisco ケーブルモデム終端システムのケーブル変調プ
ロファイルの設定」も参照してください。
ケーブル モデムごとに許可されたアップストリーム スループットを縮小する - 適切な DOCSIS コンフィギュレー
ション ファイル内のアップストリーム最大転送レートを縮小することによって、ケーブル モデムのユーザがアップス
トリーム方向へ高速で転送できなくなるため、アップストリームの輻輳が緩和されます。 この処置による明らかな欠
点は、ケーブル モデム ユーザのサービス クラスが低速なものに制限されることです。 次を参照してください。
Cisco DOCSIS Configurator を使用した DOCSIS 1.0 コンフィギュレーション ファイルの構築 (登録済みのお客様専用
)」。
このセクションで説明している措置では、すでに輻輳のなくなったシステムのパフォーマンスは大幅には向上しないことに注意し
てください。
ダウンストリーム チャネルの輻輳
ダウンストリーム チャネルには、各アップストリーム チャネルに比べて、共有可能な帯域幅が比較的多くあります。したがっ
て、ダウンストリームでは通常、アップストリームと同程度の輻輳は発生しません。 ただし、通常、どんなアップストリーム チ
ャネルと比べても、ダウンストリーム チャネルは多くのユーザによって共有されます。したがって、ダウンストリーム チャネル
が輻輳した場合、そのダウンストリーム セグメントに接続されたすべてのユーザについて、パフォーマンスが低下します。
DOCSIS システムにある 4 つのダウンストリーム変調方式について、使用可能なダウンストリームの合計帯域幅を、次の表に示し
ます。
ダウンストリーム変調方式
使用可能なダウンストリーム帯域幅
64-QAM North American DOCSIS
27 Mbps
256-QAM North American DOCSIS
38 Mbps
64-QAM Euro DOCSIS
38 Mbps
256-QAM Euro DOCSIS
54 Mbps
現在主に展開されている DOCSIS ケーブル システムは 64-QAM North American DOCSIS です。したがって、このシステムではダ
ウンストリーム チャネル当たり 27Mbps が使用可能です。
show interface Cable X/Y コマンドを実行することによって、ダウンストリーム チャネル利用率を確認できます。X/Y に監視対
象のケーブル インターフェイスを指定します。 秒当たりのビット数で表示される出力レートを、前述の表に示した使用可能なダ
ウンストリーム帯域幅と比較してください。
次の例では、North American DOCSIS と 64-QAM デジタル変調を使用したインターフェイスを分析します。
uBR7246-VXR# show interface cable 3/0
Cable3/0 is up, line protocol is up
Hardware is BCM3210 ASIC, address is 0005.5fed.dca4 (bia 0005.5fed.dca4)
Internet address is 10.1.1.1.1/24
MTU 1500 bytes, BW 27000 Kbit, DLY 1000 usec,
reliability 255/255, txload 9/255, rxload 5/255
Encapsulation MCNS, loopback not set
Keepalive not set
ARP type: ARPA, ARP Timeout 04:00:00
Last input 00:00:00, output 00:00:00, output hang never
Last clearing of "show interface" counters 00:45:01
Input queue: 0/75/0/0 (size/max/drops/flushes); Total output drops:
Queueing strategy: fifo
Output queue :0/40 (size/max)
5 minute input rate 587000 bits/sec, 228 packets/sec
5 minute output rate 996000 bits/sec, 239 packets/sec
85560 packets input, 8402862 bytes, 0 no buffer
Received 1013 broadcasts, 0 runts, 0 giants, 0
247 input errors, 35 CRC, 0 frame, 0 overrun, 0
65912 packets output, 38168842 bytes, 0 underruns
0 output errors, 0 collisions, 0 interface resets
0 output buffer failures, 0 output buffers swapped
この出力において最初に注目する部分は、BW パラメータによって示されるインターフェイスの帯域幅です。 IOS リリース
12.1(8)EC 以降では、ダウンストリーム変調方式および使用される DOCSIS のバージョンに従って、この値が自動的に調整されま
す。 12.1(8)EC よりも前のリビジョンでは、ケーブル インターフェイス コマンド bandwidth <bandwidth-in-kilo-bits-persecond> を使用して、この値を手動で設定する必要があります。設定しない場合、この値はデフォルトの 27000 Kbps のままで
す。
次に注目する部分は、txload パラメータによって示される転送負荷です。 このパラメータは、255 までのメトリックを示しま
す。0/255 はダウンストリーム方向へのトラフィックが何も流れていないことを意味し、255/255 は可能な最大レート(この場合
は 27000 Kbps)でダウンストリームにデータが流れていることを意味します。 使用のピーク時において、このパラメータがおよ
そ 75 % よりも一定して高い(たとえば、191/255 を超える)場合、インターネット アクセスの遅れやより大きい遅延がエンド
ユーザ側で発生しはじめます。
3 つめに注目する部分は、出力レートです。これは、秒当たりのビット数でダウンストリームの平均スループット レートを示し
ます。 使用のピーク時において、使用可能なダウンストリーム帯域幅のおよそ 75 % を、この数が一定して超える場合、インタ
ーネット アクセスの遅れやより大きい遅延がエンド ユーザ側で発生しはじめます。
デフォルトでは、この統計は平均 5 分間で計算されます。 (平均の計算方法に関する詳細は、「sh int にある bits/sec の定
義」を参照してください。) ケーブル インターフェイス コマンド load-interval 30 を発行することによって、この平均計算
時間を 30 秒まで短縮できます。 この時間を 30 秒まで減らすと、このセクションで説明する個々のパラメータについて、より
正確な最新の値が計算されます。
日中は異なるユーザがケーブル モデムを使用する機会があるため、ダウンストリーム チャネルの利用率は変化します。したがっ
て、あまり使用されない時間帯よりも、日中の最繁時にダウンストリームの利用率を監視することが重要です。
ダウンストリームの輻輳を緩和するには、次の方法があります。
ダウンストリーム当たりのケーブル モデム数を減らす - 特定のダウンストリームに接続されているケーブル モデム
が多すぎる場合、または特定のダウンストリームのユーザがダウンストリーム帯域幅を大量に消費するユーザである場
合、輻輳しているダウンストリーム チャネルの一部のユーザを、他のダウンストリーム チャネルへ移動するのが最適
なソリューションです。 これは通常、ダウンストリームに関連付けられたダウンストリーム ファイバのノードのグル
ープを、2 つのグループに分割し、この新しい各グループに個別のダウンストリームチャネルを割り当てることにより
実現できます。 「CMTS 当たりの最大ユーザ数」も参照してください。
ダウンストリームのデジタル変調方式を 256-QAM に変更する - ここでは、システムが 256-QAM 変調をサポートでき
ることを確認するために、ダウンストリームのスペクトラムに関する厳密かつ徹底した分析が必要です。 この分析を
正しく行わない場合、パフォーマンスのさらなる低下、またはダウンストリームの完全停止の恐れという危険がありま
す。 次に示すケーブル インターフェイス コマンドを発行することによって、ダウンストリーム変調方式を変更でき
ます。
uBR7246-VXR(config-if)# cable downstream modulation 256qam cable downstream modulation コマンドの詳細は、
「Cisco ケーブル モデム終端システムのコマンド」を参照してください。
ケーブル モデムごとに許可されたダウンストリーム スループットを縮小する - 適切な DOCSIS コンフィギュレーション
ファイル内のダウンストリーム最大転送レートを縮小することによって、ケーブル モデムのユーザがダウンストリーム方向
へ高速でダウンロードできなくなるため、ダウンストリームの輻輳が緩和されます。 この処置による明らかな欠点は、ケー
ブル モデム ユーザのサービス クラスが低速なものに制限されることです。 次を参照してください。 Cisco DOCSIS
Configurator を使用した DOCSIS 1.0 コンフィギュレーション ファイルの構築 (登録済みのお客様専用)」。
このセクションで説明している措置では、すでに輻輳のなくなったシステムのパフォーマンスは大幅には向上しないことに注意し
てください。
バックホール ネットワークまたはインターネットの輻輳
場合によっては、パフォーマンスの問題が、ケーブル装置または CMTS の問題によるものではなく、バックホール ネットワーク
上の輻輳または問題に関連している可能性があります。このバックホール ネットワークは、インターネットへの CMTS の接続に
使用されたり、インターネット自体の一部であったりします。
バックホール ネットワークの輻輳が問題であるかどうかを確認する最も簡単な方法は、ワークステーションを CMTS と同じネッ
トワーク セグメントに接続し、ケーブル モデム経由で接続しているエンド ユーザと同じ方法で同じ Web サイトをブラウズする
ことです。 まだパフォーマンスが低速である場合、CMTS またはケーブル セグメントに関連のないネットワークに、パフォーマ
ンスの問題があります。 ケーブル モデムに接続されたユーザについて、ローカルの CMTS ネットワーク セグメントからのパフ
ォーマンスが非常によい場合、再度、CMTS およびケーブル セグメントの作業に注力する必要があります。
図 3
このネットワークにおいて、CMTS と同じネットワーク セグメントに接続された Server 1 のインターネットへのブラウズ時のパ
フォーマンスが低速になってきた場合、その問題の原因は CMTS ではありません。 ボトルネックまたはパフォーマンスの問題は
他の場所にあります。 問題のある場所を特定するには、Server 1 とインターネット サービス プロバイダーのネットワーク内、
およびパブリック インターネット内にある他のさまざまなサーバとの間で、パフォーマンス テストを実行する必要があります。
ケーブル装置におけるノイズおよびエラー
ノイズまたはケーブル システムへの入力の量が過剰である場合、ケーブル モデムと CMTS 間においてパケットが破壊され失われ
ます。 これにより、パフォーマンスが著しく劣化する場合があります。
パフォーマンスおよびスループットの劣化以外にも、次のノイズを示す事項や RF の問題があります。
ケーブルモデムの散発的なオフラインや、init(r1) または init(r2) 状態での停止。
show controller cable X/Y upstream Z の出力に見られる低い概算 SNR 値。X/Y には監視対象のケーブル インターフェイ
スを、Z には監視対象のアップストリーム ポートをそれぞれ指定します DOCSIS 仕様では、すべてのアップストリーム信号
において、最低 25dB の CNR が要求されています。 これは、およそ 29dB の SNR に相当します。 Cisco CMTS では、より
劣った SNR レベルにおいても QPSK アップストリーム信号が一貫して検出されますが、すべてのケーブル サービス プロバ
イダーがシステムの DOCSIS CNR 要件を満たすように努める必要があります。 次に、show controller cable X/Y upstream
Z の出力例を示します。
uBR7246-VXR# show controller cable 6/0 upstream 0 Cable6/0 Upstream 0 is up Frequency 25.200 MHz,
Channel Width 1.600 MHz, QPSK Symbol Rate 1.280 Msps Spectrum Group is overridden SNR 28.6280 dB
Nominal Input Power Level 0 dBmV, Tx Timing Offset 6446 Ranging Backoff automatic (Start 0, End 3)
Ranging Insertion Interval automatic (102 ms) Tx Backoff Start 0, Tx Backoff End 4 Modulation Profile
Group 1 Concatenation is enabled part_id=0x3137, rev_id=0x03, rev2_id=0xFF nb_agc_thr=0x0000,
nb_agc_nom=0x0000 Range Load Reg Size=0x58 Request Load Reg Size=0x0E Minislot Size in number of
Timebase Ticks is = 8 Minislot Size in Symbols = 64 Bandwidth Requests = 0x37EB54 Piggyback Requests =
0x11D75E Invalid BW Requests= 0x102 Minislots Requested= 0x65B74A2 Minislots Granted = 0x65B74A2
Minislot Size in Bytes = 16 Map Advance (Dynamic) : 2809 usecs UCD Count = 23068
この例では、SNR 測定値の概算は 28.628dB です。 QPSK のアップストリーム動作には十分な値です。 このコマンドから得た
SNR 値は単なる概算であり、スペクトラム アナライザなどの適切なテスト機器から得られた SNR 値の代わりにはならない点に注
意してください。 show controller cable X/Y upstream Z コマンドの詳細は、「Cisco ケーブル モデム終端システムのコマン
ド」を参照してください。
show cable hop コマンド出力に見られる、Corr FEC および Uncorr FEC エラー数の急上昇。 Corr FEC エラーは、アップストリ
ーム ノイズによって破壊されてた後、復元できたデータを示します。 Uncorr FEC エラーは、アップストリーム ノイズによって
破壊され、復元できずにデータの損失および低速のパフォーマンスを起こしたデータを示します。 次に、show cable hop コマン
ドの出力例を示します。
uBR7246-VXR# show cable hop cable 3/0 Upstream Port Poll Missed Min Missed Hop Hop Corr Uncorr Port Status
Rate Poll Poll Poll Thres Period FEC FEC (ms) Count Sample Pcnt Pcnt (sec) Errors Errors Cable3/0/U0 25.200
Mhz 34 * * * set to fixed frequency * * * 196 55 Cable3/0/U1 25.200 Mhz 34 * * * set to fixed frequency * * *
1655 160 Cable3/0/U2 25.200 Mhz 34 * * * set to fixed frequency * * * 76525 9790 Cable3/0/U3 25.200 Mhz 34 * *
* set to fixed frequency * * * 501 77 Cable3/0/U4 admindown 34 * * * interface is down * * * 0 0 Cable3/0/U5
admindown 34 * * * interface is down * * * 0 0
この例では、ケーブル 3/0 上のアクティブ状態の各アップストリーム ポートにおいて、ノイズが原因でパケットが損失したと考え
られます。 アップストリーム ポート 0 における影響は最も小さく、アップストリーム ポート 2 が最も影響を受けたと見られ
ます。 FEC 合計エラー数よりも、どの程度の早さでエラーが増加したかが重要です。 show cable hop コマンドの詳細は、「
Cisco ケーブル モデム終端システムのコマンド」を参照してください。
show cable flap-list の出力に見られる、高い「フラップ」イベント数。 可能性のある RF またはノイズの問題に最も関連する
フラップ統計は、Miss 列です。これはレンジング要求の失敗を示します。P-Adj 列は、アップストリーム電力レベルの急激な変
化を示します。 次に、show cable flap-list コマンドの出力例を示します。
uBR7246-VXR# show cable flap-list MAC Address Upstream Ins Hit Miss CRC P-Adj Flap Time 0000.d025.1b99
Cable3/0/U0 23 58 30 0 *27 77 Oct 23 03:08:23 0002.ddfa.0aa5 Cable3/0/U1 5 518 1260 0 0 131 Oct 23 03:09:43
0001.e659.43bd Cable3/0/U1 541 342 1467 0 0 746 Oct 23 03:09:17 0001.7659.44c7 Cable3/0/U1 0 694 0 0 1 1 Oct 23
01:44:23 0050.9366.22d3 Cable3/0/U1 0 708 0 0 1 1 Oct 23 01:38:14 0001.f659.44e7 Cable3/0/U1 0 701 0 0 1 1 Oct
23 02:25:11
この例では、MAC アドレス 0000.d025.1b99 の付いたケーブル モデムにおいて、多数の P-Adj イベントがあります。 通常、こ
れは接続状態が悪いこと、またはリバース パスの増幅器に不具合があることを示します。 MAC アドレス 0002.ddfa.0aa5 の付い
たケーブル モデムでは、ヒット数と比べて大量のミス数があります。これは、ダウンストリームまたはアップストリームのノイ
ズ問題を示す場合があります。 MAC アドレス 0001.e659.43bd の付いたケーブル モデムには、大量の挿入があります。これは、
通常、重大な RF 問題、またはどちらかと言えばプロビジョニングの問題を示します。 show cable flap-list コマンドの詳細
は、「Cisco ケーブル モデム終端システムのコマンド」を参照してください。
show cable modem または show cable flap-list の出力における「*」または「!---」の表示。「*」は、アップストリーム
電力レベルが急激に変化しているケーブル モデムを示します。 これは、温度などの環境の影響が原因で、ケーブル装置への接続
状態がよくないこと、リバース パスの増幅器に不具合があること、またはケーブル装置の減衰量が急激に変化していることを示
します。 「!---」は、最大アップストリーム電力レベルに到達したケーブル モデムを示します。 ケーブル モデムと CMTS の間
の減衰量が大きすぎること、またはケーブル モデムとケーブル装置の間の接続状態がよくないことを示します。 次に、show
cable modem コマンドの出力例を示します。
uBR7246-VXR# show cable modem Interface Prim Online Timing Rec QoS CPE IP address MAC address Sid State Offset
Power Cable3/0/U1 1 online 1549 !--- -1.00 5 0 10.1.1.10 005a.73f6.2213 Cable3/0/U0 2 online 1980 0.75 5 0
10.1.1.16 009b.96e7.3820 Cable3/0/U0 3 online 1981 *0.75 5 0 10.1.1.18 009c.96d7.3831 Cable3/0/U1 4 online 1924
0.25 5 0 10.1.1.24 000d.96c9.4441 Cable3/0/U1 5 online 1925 0.50 5 0 10.1.1.13 000e.96b9.4457
この例では、MAC アドレス 005a.73f6.2213 の付いたケーブル モデムが最大出力電力で送信しています。 これは、モデムが正し
いレベルで送信できていません。 このため、このモデムのアップストリーム送信は、他のモデムからの送信と同程度には明瞭に
受信されません。 MAC アドレス 009c.96d7.3831 の付いたケーブル モデムでは、ケーブル システムの減衰量の変化が原因で、
電力出力が急激に変化しています。 show cable modem コマンドおよび show cable flap-list コマンドの詳細は、「Cisco ケー
ブル モデム終端システムのコマンド」を参照してください。
RF ノイズ問題の確認および解決に関するより詳細な説明は、「CMTS における RF またはコンフィギュレーションの問題の特定」
および「ケーブル ヘッドエンドの接続と設定」にあります。
CMTS における CPU の高利用率
環境によっては、完全に最適化されていない設定、特定の管理機能の過剰利用、または CMTS での大量のパケットのルーティング
が原因で、Cisco CMTS が過負荷になる場合があります。
Cisco CMTS の CPU 利用率を確認する最もよい方法は、show process cpu コマンドを実行することです。 コマンド出力の 1 行
目に、現在の CPU 利用率が示されます。
1 行目の下にある出力には、CMTS 上で実行されている各プロセスが、そのプロセスによる CPU 使用量とともに表示されます。
show process cpu 出力のこのセクションは、特定のプロセスまたは機能が CMTS の CPU 高利用率の原因であるかどうかを判断す
るのに便利です。
uBR7246-VXR# show process cpu
CPU utilization for five seconds: 45%/21%; one minute: 45%; five minutes: 31%
PID Runtime(ms) Invoked uSecs
1 12
2 69816 18276677
3 36368
4
5 96
6
7
8
9 17020
10 0
. . . . . . .
<snip>
. . . . . . .
89 3304
90 12
92 0
93 40
この例では、CMTS における現在の CPU 負荷は 45 %/21 % です。 これは、合計 CPU 利用率がシステム容量の 45 % であること
を意味します。 また、CPU の 21 % はサービスの割り込みに利用されています。 この 2 つめの数は、通常、CMTS を経由したパ
ケットのルーティングおよびトラフィックの交換に使用される CPU 使用量に相当します。
使用ピーク時の 5 分間に、システムの CPU 利用率が一定して 80 % を超える場合、パフォーマンスの遅れや大きい遅延がエンド
ユーザ側で発生しはじめます。 使用ピーク時の 5 分間に、システムの CPU 利用率が一定して 95 % を超える場合、CMTS が安定
した状態を維持できるように緊急処置を行う必要があります。
次に、CMTS における CPU の高使用率を緩和する一般的な方法を示します。
リリース 12.1(9)EC 以降へアップグレードし、グローバル設定コマンド ip cef を有効にします。次に、CMTS 上に、no ip
route-cache コマンドの設定されたインターフェイスがないことを確認します。 通常、これにより、CPU 利用率に関連する
10 15 % のトラフィックが削減されます。 これらすべてのステップを組み合わせて実行してください。
SNMP 管理ステーションから CMTS へのポーリングが実行されすぎていないことを確認します。 これにより、IP SNMP プロセスに
おける CPU 利用率が高くなります。
show tech コマンドを、複数回連続で実行しないでください。 これにより、仮想 Exec プロセスにおける CPU 利用率が人為的に
高められます。
CMTS 上でデバッグが実行されていないことを確認します。 Cisco CMTS 製品を含む、Cisco ルータの CPU 高利用率に関する詳細
は、「トラブルシューティング:Cisco ルータで CPU 使用率が高い場合」を参照してください。
CPE 機器の機能不足または設定誤り
ケーブル ネットワークへのアクセスが低速である原因は、エンド ユーザの CPE 機器の問題に起因する場合が多くあります。 1
名または数名のユーザにおいてだけスループットが低速になり、残りのユーザには問題がない場合、ユーザ環境に固有の問題があ
る可能性を明示しています。
CPE における機能不足または過負荷 - 接続が困難であることを指摘しているエンド ユーザが旧型の CPE 機器を使用してい
る場合、またはユーザが選択したオペレーティング システムやインターネット アクセス ソフトウェアを実行するだけの十
分な機能の機器がない可能性がある場合、このエンド ユーザが困難に陥るのは明らかです。 この場合の唯一の解決策は、
エンド ユーザが CPE 機器をアップグレードすることです。
ファイアウォール ソフトウェアまたはパフォーマンス測定ソフトウェア - エンド ユーザがファイアウォール、ネットワー
クのパフォーマンス測定や同様のソフトウェアを実行している場合、よいトラブルシューティング方法は、このソフトウェ
アをオフにするようにユーザに依頼し、パフォーマンスに何らかの効果がないかどうかを確認することです。 この種のソフ
トウェアがパフォーマンスに悪影響を与えることが非常に多くあります。
TCP/IP の設定誤り - ほとんどのサービス プロバイダーにおいて、DHCP を使用して、IP アドレス、ネットワーク マス
ク、デフォルト ゲートウェイ、DNS サーバを CPE 機器に設定する必要があります。 問題のあったエンドユーザが、これら
のすべてのパラメータを取得するために DHCP を使用して CPE デバイスを設定できていることを確認します。
エンド ユーザにこれらの問題がまったくない場合、前述のセクションのとおりに、エンド ユーザが最大ダウンロード レートま
たは最大アップロード レートを超えていないことを確認する必要があります。
結論
DOCSIS ケーブル ネットワークは高度なシステムであり、計画および保守を正しく行う必要があります。 DOCSIS ケーブル シス
テムにおけるほとんどのパフォーマンスの問題は、計画や保守が正しく行われていないことに起因しています。 今日のインター
ネット アクセス市場では、ブロードバンド インターネット アクセスとしてさまざまな選択肢があります。ケーブル サービス
プロバイダーでは、システム上のパフォーマンスまたは輻輳の問題が、エンド ユーザが気づくほど重大になり、結果としてユー
ザが他のブロードバンド アクセスへの変更を考慮する前に、すばやく問題に対処することが重要です。
関連情報
技術情報:ケーブル
トラブルシューティング:uBR ケーブル モデムがオンラインにならない場合
uBR900 シリーズ ケーブル モデム エンド ユーザの初級 FAQ
Cisco ケーブル モデム終端システムのコマンド リファレンス
CMTS における RF またはコンフィギュレーションの問題の特定
ケーブル ヘッドエンドの接続と設定
トラブルシューティング:Cisco ルータで CPU 使用率が高い場合
1992 - 2013 Cisco Systems, Inc. All rights reserved.
Updated: 2008 年 5 月 29 日
http://www.cisco.com/cisco/web/support/JP/102/1021/1021308_troubleshooting_slow_perf-j.html
Document ID: 12551
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