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ビジュアルベーシックによる TOEIC用語彙力 養成ソフトウェア
論 日本大学生産工学部研究報告B 2 0 0 年 6 月 第 3 6 巻 文 ビジュアルベーシックによる TOEI C用語彙力 養成ソフトウェアの試作 中條清美 ・山﨑淳史 ・牛田貴啓 TheDevel opme ntofEngl i s hCD-ROM Mat er i alt oTe ac h ):Par Vocabul ar yf ort heTOEI CTes t(Ut i l i zi ngVi s ualBas i c t2 Ki y omiCHUJ O ,At s us hiYAMAZAKI a ndTakahi r oUSHI DA Thepur pos eoft hi ss t udyi s1)t oout l i net hedevel opmentoft heCDROM mat er i al TOEI C , whi 33s Voc abul ar y2 chwasi mpr ove dont hebas i soff e edbac kf r om 2 t udent swhous e dt heCD-ROM 00 2 ;2)t TOEI C Voc abul ar y1 whi c hwasde ve l ope di n2 ode s c r i bet hef eat ur esoft heCD-ROM TOEI CVocabul ar y2 t hatwasc r e at edt ot e achvoc abul ar yi namor ee f f i c i e ntwayi nor de rt oi mpr ove ;3)t ours t ude nt s TOEI Cs cor e s odet e r mi nei ft heCDROM mat e r i alde ve l ope di nt hi ss t udyc oul d beane f f e ct i vet oolf orl e ar ni ngvoc abul ar yandi mpr ovi ngc ommuni cat i vepr of i c i e nc yasme as ur e dby t heTOEI C. 06s ,aque Forones e mes t e r2 t ude nt sus e dt hi sCDROM.Att heendoft hes e me s t e r s t i onnai r ewas admi ni s t e r e dandf e e dbac kwasobt ai ne di ndi c at i ngt hatt hes t ude nt sl ear ne dvoc abul ar yef f ec t i ve l yand .Af f avor abl ywi t ht hi sCALLmat e r i al t er12s e s s i onsus i ngt hi sCDROM,s t udent ss howe dar e mar k.Weal 4. 2 % oft abl ei mpr oveme nti nt he i rTOEI Cs cor es s of oundt hat8 het ar getwor dswer er et ai ne d 3we eve n1 e ksaf t ert heendoft hes e s s i on. 1. 14年度には 2 5コマ(津田沼校舎5コマ,実 はじめに 校舎 2 0コ マ)に拡大し,そして平成 1 5年度には 3 8コマの CALL 日本大学生産工学部において, 平成 14年度より開始さ 授業が予定されている。実施科目は「コミュニケーショ れた新カリキュラムの英語科教育目標である「TOEI C ン」 ,「実用英語」 , 「総合英語」 ,「英語講読」の 4科目に スコアの向上」は着実に教員・学生に浸透しつつある。 わたり,CALLの教室環境や各科目の目標に応じて, そ の 1つ の 表 わ れ と し て,20 0 2年 12月 に 実 施 し た CALL教材とインターネットが適宜利用されている。前 0 TOEI CI Pテストの受験希望者が受付初日に上限の 10 者の CALL教材を使用した本学における教育実践の効 名に達するという状況に,TOEI Cに対する学生の関心 果については,中條他(2 00 2 ) および中條 ( 2 0 02 ) にお の高まりをうかがうことができる。また,平成 1 3年度後 いて報告した。 期より開始した CALL(コンピュータを利用した語学教 しかしながら,CALLの教育効果の是非を左右する 育) の実施時間数も,TOEI Cスコアの向上と教育の効率 9 99 ) や椎名他 CALL教材に関しては,依然,土肥他(1 化をめざして徐々に増加している。当初は7コマ(津田 (2 0 01 ) に報告されているように効果のあがる教材が決 沼校舎2コマ,実 定的に不足している。宮崎他 (2 00 2 ) が指摘するように, 校舎5コマ)から開始したが,平成 日本大学生産工学部教養・基礎科学系 日本大学生産工学部数理工学科学部生 43 「市販されている英語学習ソフトは,内容も固定的であ らの要望は次の3点,1)操作性を改善する,2)音声 り,CALL教室で使用するには限界がある」というのが の質を高める,3)初級学習者のレベルに適合させる, 実情である。 に要約できる。今回,変更した項目を○,変更しなかっ 幸い,本学では現在のところ,CALLのメイン教材で た項目を×と表1に表示し,①∼ の各要望に対する具 あるコミュニケーション能力養成教材については,千葉 体的な対応方法を,次節の試作手順の中で個々に述べて 大学開発の「3ラウンド・システム:Li !シ s t e nt oMe いく。 リーズ」の使用許可を得て使用させて戴いている 。し 4. かしながら,上記教材と合わせて指導すべきコミュニ ケーション能力向上に必須の「語彙力養成教材」につい ては,市販ソフトからもオンラインソフトからも適切な 初級者向け語彙力養成教材「TOEI C語彙 2」の試作 ソフトウェアの試作の流れを図1に提示した。この試 教材を発見できなかった。 作の流れに沿って,4 . 1単語・用例の収集と選定,4 . 2選 そのため,筆者らは平成 1 3年度より TOEI Cに目標を 定語彙の指導法,4 .3メディア情報の収集と編集,4 . 4メ しぼり,CALL用語彙力養成ソフトウェアの開発を行 ディア情報のソフトウェア化の順に略述した。使用した なってきた 機器とソフトウェアについては注3) に詳細を記した。 。試作した CD「TOEI 」 ROM 教材 C語彙 1 は既に中條他(2 00 2 ) において発表を行なっている。本 研究では,CD-ROM 教材 「TOEI 3 C語彙1」の試用者 23 人から収集した要望に基づき,新たに開発した初級者向 け「TOEI C語彙2」の試作過程とその教育効果につい て,特に前作との変更点に重点を置いて報告する。 2. 本研究の目的 本研究の目的は,1)学習者の語彙力養成を目標に, 20 0 2年に試作した CDROM 教材「TOEI C語彙 1」の試 用評価に基づいて,新たに初級者向け語彙力養成用 CD -ROM 教材「TOEI C語彙2」を試作すること,2)試作 した CDROM 教材「TOEI C語彙2」を実際の授業で半 期間試用し,その教育効果を報告することである。 3. 」を試用した CD-ROM 教材「TOEI C語彙 1 学習者からの要望 本研究を開始す る きっか け と なった 20 0 2年 開 発 の 3 3名からの CDROM 教材「TOEI C語彙1」の試用者 2 図1 試作の流れ 「TOEI C語彙2」への要望①∼ を表1に記した。これ 表1 「TOEI C語彙2」への要望と対応 項 目 要 望 用例 ① 用例が長い。 イメージによる導入 ② 写真と単語のつながりが感じられない。 ③ 統一感がない。 音声 ④ 声に元気があったほうがいい。 ⑤ 雑音が入っている。 ⑥ 用例についての絵や写真があると分かりやすい。 画像 ⑦ 動画にしてほしい。 キーボード ⑧ スペルをキーボードから打つ練習があると面白い。 ⑨ どこをクリックしたらいいか分からない。 ⑩ 実行速度,反応が遅い。フリーズすることが多い。 操作性 St e p1と St ep8で音声を聞く際,クリック が た まってしまい,途中でキャンセルできない。 ○:今回変更を加えた 44 ×:変更しない 対 応 ○ ○ ○ ○ ○ × × ○ ○ ○ ○ 4. 1 単語・用例の収集と選定 のデータに使用するため,テキストデータとして保存し 本試作ソフトウェアの効率を決定する学習語彙と用例 た。 の選定方法,それらの指導効果の目安について以下に略 4 .1 . 2 選定語彙と用例の指導効果の目安 述した。詳細は,中條(2 0 03予定) を参照されたい。 選定した語彙とその用例の指導効果を 概 算 す る。 なお, 「TOEI C語彙2」は初級学習者対象のソフト 「TOEI C語彙1」と「TOEI C語彙2」は1年分の語彙 ウェアであるので,学習者の語彙レベルを中学1年∼高 教材として継続使用する前提で制作しているので,概算 校2年で学習した語彙をすべて習得したレベルと仮定し には, 「TOEI 」と「TOEI 」の2枚の CD C語彙 1 C語彙 2 て語彙選定を行なった。 -ROM 教材の推定効果を合算した。なお,以下の概算の 4 . 1. 1 データベースの作成と単語・用例の選定 まず,TOEI Cの公開問題7回分 の模擬問題5回分 計算方法の詳細は参 文献 7 )を参照されたい。 と TOEI CFr i e nds 中 学 校 教 科 書 の 学 習 語 彙 を 習 得 し た 学 習 者 が, の英文データベース(異語数 5 , 10 8 「TOEI C語彙1」と本試作教材「TOEI C語彙2」の各 語,総語数 80 , 72 5語)を作成した。 20 0語と用例各 40 0種を完璧に学習し TOEI C第2回公 次に,上記データベースから作成した 「TOEI C元リス 開テスト問題を受験したと仮定する。学習後,このテス ト」の 5 ,1 0 8語から中学1年∼高校 2年の教科書で学習 トの使用語彙総数のうち,既習語の占める割合は 7 6 . 4% した語彙を差し引くと 70 4語が残った。この 70 4語から から 8 9. 0 %へ 12 . 6ポイント上昇する。この割合から, 既に 2 0 0 2年に制作済みの「TOEI C語彙 1」で使用された 「未知語に遭遇する割合=1 0 0 /( 1 00 −既知語の割合) 」の 20 0語を取り除くと,最終的に 6 3 4語の「TOEI C特徴語 式を用いて「未知語に遭遇する割合」を推定すると,学 リスト」 が作成された。この 6 3 4語の頻度上位の語から, 習以前は「4語に1語未知語に遭遇する割合」であった 図2の「ビジネス」 , 「人事と雇用」 ,「会議」等の 10のユ ものが,学習後は「9語に1語の割合」に改善される。 ニットにふさわしい各 20語×10組の語彙セットを選定 さらに,語彙力以外の英語能力が英語母語話者のよう し,初級者向け「TOEI 0語を定義した。 C語彙2」の 20 に完璧な状況を仮定すれば,前述の 8 9. 0 %という数値か ら TOEI Cテストの正答率を高い精度で推定できること が明らかにされている 。そこで,TOEI C第2回公開テ スト問題の換算表を使用してスコアの算定を行なうと, 「TOEI C語彙1」と「TOEI C語彙2」の両方の教材を 完璧に学習すれば,推定上は TOEI Cのトータルスコア 約1 40点分の上昇が可能となる。ただし,上記の推定の 解釈には,学習者は学んだ単語の幾分かを忘却するもの であること,また,上記のテストの解答には語彙以外に 背景的知識や文法的知識など多様な情報処理能力の駆使 が要求されることを 慮する必要がある。 4. 2 選定語彙の指導法 教育効果を高めるには効率の高い選定語彙とともに, 高い教育効果が報告されている語彙指導法を使用する必 図2 「TOEI C語彙2」の 10組の学習トピック 要がある。 「TOEI C語彙1」では,単語の保持率が著し 一方, 「語」 のみでは実用コミュニケーションの役に立 く高い竹蓋(1 9 9 9) の 1 2ステップの「総合型」語彙学習 たないと言われており,実際のコミュニケーションでの システムを CALL教材として実用化した高橋(1 99 9 ) スピードやノイズに対応するためにも,単語を単独で覚 の8ステップ指導法に範を求めた。竹蓋(19 9 9 ) が対象 えるのでなく,コンテキストの中で単語を提示して指導 としている学習者は主に上級レベルの学習者であり,高 する必要がある 。次の段階として,選定語彙 20 0語の各 橋(1 9 9 9) は中級レベルの学習者を対象としている。 語について,コンコーダンサー(用例検索プログラム) 従って,中級者向けの高橋(19 9 9 ) をモデルとして試 を使用して英文データベースを検索し,初級レベルの学 作した「TOEI C語彙1」には,本学の初級レベルの学習 習者に適切な用例を各語につき2例ずつ抽出した。この 者にとって難易度の高い学習ステップが含まれている可 際,表1「TOEI C語彙 2への要望」の「① 用例が長い」 能性があらかじめ予測できた。そこで本研究の「TOEI C という意見を尊重し, 「用例の長さは2∼5語」とした。 語彙 2 」 の試作においては,本学の学習者による試用評価 また,用例の語が学習語よりも難しい語にならないよう に基づいて,初級レベルの学習者に難易度の高い学習ス に留意した。最後に日本語訳を付した。 テップの内容を変更した。表2に「TOEI C語彙1」と, 以上のようにして選定した単語と用例はソフトウェア 試用者の要望に基づいた修正後の「TOEI C語彙2」の語 45 表2「TOEI C語彙 1」と「TOEI C語彙 2」の語彙指導ステップの対照表 TOEI C語彙1 St e p1イメージによる導入 TOEI C語彙2 → 写真と日本語による導入 St e p2一覧表による学習 St ep1一覧表による学習 St e p3短い用例による学習 St ep2意味の確認 St e p4意味の確認 St ep3短い用例による学習 St e p5綴りの確認 St ep4綴りの確認 St e p6短い用例による復習 → St e p7一覧表による復習 → St e p8イメージによる定着 → 彙学習のステップを対照して示した。 St ep5ディクテーション 確認 Qui zによる定着 をめざした。しかしながら,試用者からは 「③ 音声に統 前述の「TOEI C語彙 2への要望」の「② イメージに 一感がない」という指摘があった。さらに, 「④ 音声に よる導入は写真と単語のつながりが感じられない。」 とい 元気があったほうがいい」という改善要求もあった。そ う指摘にあるように, 「TOEI 」の St C語彙 1 e p1,St e p こで, 「TOEI C語彙2」では発話者を「元気な声」の1 8の「イメージによる導入と定着」は他のステップより低 人に絞り,教材制作に経験豊富な 『NHK ラジオ英語リス く評価された。例えば,St 「イメージによる導入」 e p1の ニング入門』アシスタントのサンドラ・リーシュマン氏 とは 「学習する 12語にふさわしい画像を提示し,絵をク に協力を依頼して音声収録を行なった。 リックすると 12語の音声が流れる」というものであっ ノイズに関して「TOEI C語彙1」の学習者から「⑤ 雑 た。おそらく評価が低かった原因としては,高等学校の 音が入っている」 という指摘があった。 「TOEI C語彙1」 学習語彙と相当異なる TOEI Cの語彙を,St e p1から聞 は「静かな屋内」で収録したにもかかわらずノイズが混 いただけで思い浮かべるのは初級学習者には学習負荷が 入したものと思われる。「TOEI C語彙2」では高性能の 大きいためと えられる。 防音設備を備えた千葉大学教育学部録音室を使用させて そこで「TOEI 「St C語彙2」では, e p1イメージによ る導入」を,初級学習者により親切な「写真と日本語に 頂き,ノイズの軽減に努めた。また衣服の擦れる音や椅 子の軋みなど微細な雑音にも注意を払った。 よる導入」に変更した。写真と5行程度の日本語文で各 収録した音声は録音ソフトである Tot al Re c or de rを ユニットの語彙の使用環境に関して解説し,さらに,日 使用して,音質を 4 4 .1KHz ,1 6ビット,モノラルの形式 本文の中に新語を5∼7語導入することによって新語の に設定し,WAVEファイルとして保存した。 「TOEI C語 使用コンテキスト(文脈)を学習者に与えることも意図 彙1」との相違点は,音質をステレオからモノラル形式 している。 「St ep8イメージによる定着」は後述の「確認 に変更することで容量の削減を図ったことである。この 」に変更した。結果的に「TOEI Qui z C語彙1」の St e p 変更を加えた理由として, 「TOEI C語彙1」と平行して 1,St e p8を全く異なる形式のタスクに変更したことに 使用したコミュニケーション能力養成教材「Fi r s t Li s - より,試用者の要望 St e p1と St e p8で音声を聞く (制作:千葉大学・NHK エデュケーショナル) t e ni ng」 際に,クリックがたまってしまい,途中でキャンセルで の音声もモノラル形式で記録されており,形式を変更し きない。 」は解消された。 ても音質には影響を及ぼさないものと判断したためであ 他に変更を加えた学習ステップは,St ep5にディク る。 テーションを採用して書き取りを一つの学習ステップと 最後に,音声編集ソフトの Gol dWaveを使用して,取 して取り入れたこと,そして,学習の最後に定着効果を り込んだ音声ファイルから単語単位,用例単位に必要な 確認し,学習者に達成感を与えるための確認 Qui zを追 部分を切り出して個別の音声ファイルとして保存した。 加したことである。 4 .3 . 2 画像の収集と編集 4. 3 メディア情報の収集と編集 (1 9 80 ) は「視覚情報は初級の学習者の聞き Muel l e r 4 . 3. 1 音声の収集と編集 取りを助ける」と報告している。必ずしも容易でない 「初級の学習者は音に頼って単語を記憶する」 と報告 0組の選定語 TOEI Cの単語学習を興味深くするため,1 されているので,学習教材には自然に発話された良質の 彙が使用される環境を学習者がイメージしやすいよう, クリアな音声が必要となる。 ニューヨークにある日系企業と現地の広告会社を訪問し 音声の発話者に関して, 「TOEI C語彙1」では5人の て撮影を行なった。写真は J PG形式で保存し,サイズと 米語母語話者の音声を教材にすることによって, 「単調な 色を調整して CDROM 教材に適用可能な形式に加工し 語彙学習に変化をつける」 , 「多様な発音に親しむ」こと た。 46 画像に関して「TOEI 「⑥ 用 C語彙1」の試用者から, リーズを回避することが可能となった。 例に絵や写真があると分かりやすい」 「⑦ 画像を動画に 4 .4 . 2 コード(プログラム)の記述 してほしい」という要望があった。しかし,個々の用例 音声の再生,ウィンドウの切り替え,文字の表示等を を的確に視覚化した静止画や動画を入手することは,現 制御するために個々のウィンドウに必要なコードを記述 実問題として時間的,経済的に不可能であるので,これ した。 「TOEI C語彙2」ではテキスト(単語,用例)と らの要望には応えられないと判断した。 画像情報をコード内組み込みからファイル読み込み形式 4. 4 メディア情報のソフトウェア化 に変更したため,コードの記述量を約 1 / 10に削減でき 編集したテキスト,音声,画像のメディア情報を適切 た。また,この形式に変更したことにより,教材内容の な種類・大きさ・位置・タイミングで提示するには, 部分改訂が容易になった。 「TOEI C語彙1」と同様に Vi s ualBas i cというプログ 試用者からの要望 ⑨ どこをクリックしたらいいか ラミング言語を使用した。以下にソフトウェア化の過程 分からなかった。」に対しては,クリックすべき場所に を,試用者からの要望に対する対応に言及しながら略述 カーソルが置かれるとマウスポインタがスピーカーマー した。 クに変わるように変更した。また,各ステップの最初の 4 . 4. 1 ウィンドウの設計 説明文で具体的な操作方法を指示するという2つの方法 ウィンドウの設計に際しては,本ソフトウェアで採用 で対処した。 した語彙指導法がより効果的に実践しやすいように操作 4 .4 . 3 ウィンドウの連結 ボタン,テキスト,画像の「大きさ・量・配置」を「見 作成した個々のウィンドウを統合して一つの教材とし やすく」 , 「わかりやすく」 設計した。実際に作成したウィ て実行するため,図3に示した構造に従いウィンドウを ンドウ画面は以下の通りである。 連結した。そして,コンパイルによって実行ファイルを メインメニュー,タイトル,クレジット 作成し,ソフトウェアを動作可能にした。 導入,サブメニュー 最後に,ソフトウェアのバグ,誤字脱字,レイアウト 各ステップの説明(×5ステップ) の不具合等の点検を行ない,問題点を修正するデバッグ 各ステップの学習(×5ステップ) 作業を数回繰り返し,ソフトウェアが完成した。 パスワード,QUI Z説明,QUI Z学習,採点 5. 「TOEI C語彙2」の特徴 学習者からの「TOEI C語彙2」への改善要望「⑩ 実 行速度,反応が遅い。フリーズすることが多い。 」 に応え 5 .1 導入画面の刷新 るには, ソフトウェアの総容量を削減する必要があった。 各ユニットの導入画面では,図4のような「写真と日 そこで,1)ソフトウェアで使用している同形式のウィ 本語」が示される。最初に写真によって学習語彙の使用 ンドウを重複使用することにより全ウィンドウ数を 32 4 される場面などのトップダウン情報が与えられ, 次いで, 枚から 1 9枚に削減し,2)音声容量の削減,3)後述の 学習語彙が使用されるコンテキスト(文脈)が日本語で コードの記述変更,と合わせて総容量を 2 06MBから 6 5 解説される。Goodman (1 96 5 ) は「単語は単独で示され MBに縮小した。その結果,動作を高速化し,画面のフ る時よりも文脈の中で示された方がより多くの単語を認 図3 TOEI C語彙学習ソフトの構造 47 のノートに書き取る。全問終了すると図6の正解と用例 の意味が提示され,自己添削を行なう。再度スピーカー のアイコンをクリックして,自分の聞き取れなかった部 分を集中して聞く。 図4 導入画面 知することができる。 」 と報告している。この導入画面で は,初級レベルの学習者が確実に内容を理解できる日本 語の解説文(文脈) に7∼8語の新語を括弧つきの英語で 図5 ディクテーション画面 付加した。これらの新語は続いて学習する語彙のプレ ビューの役割も果たしている。 5. 2 提示する単語数の削減 1ユニットの 2 0語(用例は 40種)を一度に提示する と,初級学習者はその分量に圧倒されてやる気を喪失す る可能性がある。一度に学習する単語数に関して,Cr ot h(1 9 6 7) は,難易度が大きい時は一度に er sandSuppe s 提示される単語の数は 1 8語が効果的であると報告して いる。「TOEI C語彙2」では,初級学習者のレベルに配 慮してさらに提示語数を減らした。1ユニットを前半, 後半に2分割して 1 0語ずつ,用例は 10種を2ページず つ提示した。前半か後半の選択ボタンは,図4に示した 導入画面に設置した。 図6 正解提示画面 5. 3 綴りの確認のランダム表示化 「TOEI C語彙1」の「STEP5綴りの確認」の学習作 ディクテーションの後すぐに自己添削を行なうこと 業では,語の提示順序が固定されていたため,心理学で で,オペラント学習理論でいう適切な「強化」が可能と 言う「系列位置効果」が働き,最初と最後の方の語が真 なる。また自己添削の結果,自分の弱点に焦点を絞った ん中の語よりよく記憶に残る可能性が えられた。そこ 聞き取りを行なう学習作業も認知学習理論にかなってい で「TOEI C語彙2」では,単語の表示をランダムに提示 ると言えよう 。 するように変更した。 5. 5 確認 Qui z 5. 4 ディクテーション (19 9 2) は単語テストの予告は単語の短期記 Hul s t i j i n 「TOEI C語彙1」を試用中の学習者の観察を通して, 憶に効果があったと報告している。望月(1 99 6 ) も単語 「手で書いて覚える」作業を好む者が多いことは前に述 テスト直前の短時間の勉強は短期的には効果があるとし べた。そこで,単なる書写作業より記憶に負荷をかける ている。そこで,初級レベルの学習者が各ユニットの学 ことによってより強固な定着を期待できる「ディクテー 習の最後まで効果的に集中して学習できるように,ユ ション(聞こえてきた英語を書き取る)」を5番目の学習 ニットの最後(すなわち授業時の最後)に5分間の空所 ステップに取り入れた。これによって,St e p1から St e p 補充形式テストを導入した。 「音声」 「綴り」 「意 4で行なってきた作業を統合化した, 味」を結びつけた学習が可能となるように工夫した。 図7の Qui z画面のテスト問題はランダムに出題され るため,学習者は毎回,内容や順序が異なる問題に取り 具体的な学習方法は以下の通りである。図5のスピー 組むことが可能である。解答形式は「TOEI C語彙1」の カーのアイコンをクリックし,聞こえてくる用例を各自 試用者からの要望「⑧ キーボードからも入力したい」に 48 対応して,キーボード入力を採用した。 TOEI C第2回公開テスト問題をプリテスト,ポストテ 図7の採点ボタンを押すと図8のように「学習者の解 ストに使用した。プリテストは4月9日,ポストテスト 答,模範解答,得点」が表示される。誤答は赤字で表示 は7月 13日に実施した。被験者グループ1(4 1名)に対 され,学習語彙の定着度を確認することができる。また, しては CDROM 教材「TOEI C語彙2」のみを丁寧に指 即座に KR(Knowl )情報が学習者に与 edgeofRe s ul t s 導した。グループ2(3 8名)は CD-ROM 教材「TOEI C えられるので,動機づけにも役立つ。学習者の中には 語彙2」とコミュニケーション能力養成 CDROM 教材 ゲーム感覚で隣の学生と得点を競う姿も見られる。 「Fi r s tLi s t eni ng」を併用して指導した 。なお,英語 授業は週1回のみである。 結果,両グループとも TOEI Cスコアの上昇が観察さ れた。 「TOEI C語彙2」のみを使用したグループ1の トータルスコアは 2 01 . 0点から 2 2 9. 3点へ平 28 . 3点 の上昇(1%片側検定で有意 t =2 . 7 48 )が認められた。 その内訳はリスニングセクションで 1 8. 3点, リーディン グセクションで 1 0 .0点の上昇であった。一方,グループ 2のスコアの伸びは 21 4 .2点から 27 1 .4点へ平 5 7. 2 点の上昇(1 %片側検定で有意 t =5. 5 29 )が認められ た。内訳はリスニングセクションが 3 3. 2点,リーディン グセクションが 2 4 .1点の上昇であった。 以上の結果から「TOEI C語彙 2」は TOEI Cで測定さ れるコミュニケーション能力の向上に有効であると判断 図7 Qui z画面 した。また,語彙力養成教材をコミュニケーション能力 養成教材と組み合わせることによって,さらに高い効果 を得られることも確認できた。 6. 2 保持率確認テスト 学習した単語がどれだけ定着しているかという保持率 は, 「TOEI で学習した語彙の中から 4 0語を選 C語彙2」 定し,1 0の選択肢から正解を選択する 4 0問のテストを 作成して,学習直後と 1 3週後の正解率の変化を観察し た。解答にはマークカードを使用した。 第1回目の保持率確認テストは,「TOEI C語彙2」の 全2 00語の学習終了後,前期の最終週(7月)に学習者 全員が期末テストとして受験した。第 2回目の保持率確 認テストは夏休みをはさんで 13週後の後期の第一週 (9 図8 Qui z正解提示画面 月)に実施した。学習者は9月のテストの予告を受けて 6. いない。第2回目の保持率確認テストには,第1回目の 教育効果 40問に,後期学習予定の 5 0語を加えた 9 0問を使用し 「TOEI C語彙 1」の試用者から収集した要望に基づい た。 て試作したソフトウェア「TOEI 4年 C語彙2」は平成 1 図9に「TOEI 6 7名)の C語彙2」を使用した2クラス( 度前期の「コミュニケーションⅠ」の授業において,1 学習者の第1回目と第2回目の保持率確認テストの結果 年生6クラス 2 06名の学習者が試用した。 「TOEI C語彙 を提示した。比較のため,他の研究者のデータも示した。 2」を使用した指導実践の教育効果は,1)英語の実用 「TOEI C語彙2」の学習者のテスト結果は,前期の学 コミュニケーション能力を測る「TOEI Cスコアの上昇」 習終了直後(7月)では 4 0点満点中 3 6 .7点(保持率 と,2)指導数週間後に学習した語彙の何%が定着して 91 . 8%) ,夏 休 み 明 け の 13週 後 は 33.7点(保 持 率 いるかを測定する「保持率確認テスト」の二つの側面か 84 . 2%)であった。竹蓋(1 9 9 9) の「総合型」における ら検証された。 指導後 11週目の平 保持率(9 3%)には及ばないものの, 6. 1 TOEI Cスコアの伸び 竹蓋他(1 9 96 ) の「伝統型」や上岡(1 9 8 2) の忘却曲 「TOEI C語彙2」の教育効果は,まず,TOEI Cスコ アの上昇量 に よ り 観 察 を 行 なった。効 果 の 測 定 に は 線と比較して大きな差があり, 「TOEI C語彙2」の指導 は強固な定着率を示すと判断した。 49 価を得た。 今回のアンケートに追加した項目,8)「やる気にな る」 ,9)「 えながら学習できる」の評価「4」によっ て,学習理論を反映したソフトウェアをめざした点が評 価されたと える。以上,主目的の一つであった, 「操作 性を改善する」 ,「音声の質を高める」という点は十分に 達成されたと判断した。 7. 2 各学習ステップの評価 「各学習ステップの評価」の集計結果を質問項目とと もに表4に示した。 「TOEI C語彙1」で評価の低かった 1)と8)の「イメージによる導入」と「イメージによる 定着」は「TOEI 「写真と日 C語彙2」では,それぞれ, 図9 「TOEI C語彙2」の保持率 7. 本語による導入」と「確認 Qui 」に変更した。結果, z 「TOEI C語彙2」の項目1)の評価は 4」,項目7) アンケート調査結果 「確認 Qui 「TOEI z」も「4」と評価された。また, C語 TOEI C語彙2」に対する学習者の意見や感想を収集 彙2」で新しく採用した 6) 「ディクテーション」も「4」 するため,前期の講義終了後,アンケートによるソフト と評価されるなど,全般的に満足できる結果を得られた ウェアの評価を実施し,全員(6クラス 2 06名)の回答 と える。 を回収した。 「TOEI (2 00 2 ) に対する評価と比 C語彙1」 7. 3 自由筆記 較するため,回答者の人数がほぼ同数の2クラスの集計 「TOEI C語彙2」について具体的な意見を調査するた 結果を使用して以下の 察を行なった。 め, 「従来の単語学習法と比べて「TOEI C語彙2」の良 7. 1 全般的な評価 い点と改善点を自由に書いてください」とたずねた結果 「全般的な評価」についての集計結果を表3に示した。 から,代表的な意見を表5に記した。本教材が初級レベ 表3の左の列1)∼9)が質問項目,中央が 「TOEI C語 ルの学習者の多岐にわたる要望をそれぞれ的確に満たし 彙1」,右の列が本研究で試用した「TOEI C語彙2」の ており,開発されたソフトウェアはもう一つの主目的で 評価である。回答は質問項目に対して,「強くそう思う」 ある「初級学習者のレベルに適合させる」という目的も から「まったくそう思わない」まで「5」から「1」の 十分に達成したと結論した。 5段階評価で行なった。 8. まず,質問1)に対する評価から「TOEI C語彙2」の まとめと今後の課題 「難易度レベル」は「TOEI C語彙1」と同様,適度であ 本報告は,TOEI Cスコアの向上に必須といわれる語 ると評価された。「TOEI C語彙2」の重要な改善目標の 彙力向上に寄与する語彙学習用教材「TOEI C語彙2」の ひとつであった「操作性(質問2) 」と「音質(質問3) 」 試作過程とその教育効果について述べたものである。効 については,評価が「3」から「4」に向上し,目標が 率の高い選定語彙と定着率の高い語彙指導法に基づいて 十分に達成されたと 試作した「TOEI 」(20 0 2 )の試用者からの要望を C語彙 1 える。質問4) 「提示のタイミン グ」 ,質問5) 「音声を聞きながらの語彙学習」,質問6) 大幅に取り入れ,生産工学部の学習者のレベルとニーズ 「用例を使用した語彙学習」,質問7) 次回も使いた に適合させるよう工夫した。 い」は, 「TOEI C語彙1」と同様,いずれも肯定的な評 英語教材を作成している Poel他(1 9 98 ) は教材開発 表3 「TOEI C語彙1,2」についての全般的な評価(中央値) 1)「TOEI C語彙」はむずかしすぎた 2)「TOEI C語彙」は使いやすい 3)音質はよかった 4)音声,文字の提示のタイミングは適切だった 5)音声を聞きながらの語彙学習は記憶しやすい 6)用例を使用した語彙学習は役にたつ 7)次回の「TOEI C語彙」も使いたい 8)やる気になる 9) えながら学習できる 50 TOEI C語彙1 TOEI C語彙2 5―4―③―2―1 5―4―③―2―1 5―4―③―2―1 5―4―③―2―1 5―④―3―2―1 5―④―3―2―1 5―④―3―2―1 5―4―③―2―1 5―④―3―2―1 5―④―3―2―1 5―4―③―2―1 5―④―3―2―1 5―④―3―2―1 5―④―3―2―1 5―④―3―2―1 5―④―3―2―1 表4 各学習ステップの評価(中央値) TOEI C語彙1 1)St e p1イメージによる導入 2)St e p2一覧表による学習 3)St e p3短い用例による学習 4)St e p4意味の確認 5)St e p5綴りの確認 6)St e p6短い用例による復習 7)St e p7一覧表による復習 8)St e p8イメ―ジによる定着 5 5 5 5 5 5 5 5 4 ④ ④ ④ ④ ④ ④ 4 ③ 3 3 3 3 3 3 ③ 2 2 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 TOEI C語彙2 1)写真と日本語による導入 2)St e p1一覧表による学習 3)St e p2意味の確認 4)St e p3短い用例による学習 5)St e p4綴りの確認 6)St e p5ディクテ―ション 7)確認 Qui zによる定着 5 5 5 5 5 5 5 ④ ④ ④ ④ ④ ④ ④ 3 3 3 3 3 3 3 2 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 1 表5 「TOEI C語彙2」のアンケート結果:自由筆記より抜粋 ・いろいろな分野で使う単語がまとめてあってよかった。 ・発音も聞けるので,とても覚えやすかった。 ・学習の順番が記憶に残りやすく良かった。 ・短い用例があることが良かった。 ・やる量が決まっているからやり易い。何度も繰り返しできていい。 ・比較的頭に入りやすい。 ・自分で えながらできた。 ・確認のテストが最後にあるから必死で覚えられる。 ・ありのままの英語で聞けるので覚えるときに正しく覚えられる。 ・音声を聞きながら文字をみると覚えやすかった。 ・自分のペースで学習できたのでよかった。 ・キーボード入力でスペルの確認ができた。 ・本番の TOEI Cにつながると思った。 に関して, “Mat , and er i al s devel opme nt i s an ar t しかしながら表6に示すように少数ではあるが改善要 t e ac he r snee dt oc ons i de rbot ht het he or e t i c aland 望が学習者より提出されている。特に1)の「似たよう . ”と pr ac t i c als i de sofde ve l opi nge f f e ct i veac t i vi t i e s な単語」とは具体的には, f ,f ,c (料金), e e ar e har ge 述べ,理論と実用の両面を 慮する必要性を指摘してい (荷物)などを指している。このよう l uggage,baggage る。 「TOEI C語彙2」の試作にあたっては,各種の学習 な語は,いずれも使用頻度が高く, “Money” や “Tr ” ave l 理論と学習者のニーズを融合させるように努力した。 といったトピックの下に分類されたものである。Hi ga 平成 1 4年度前期に「TOEI C語彙2」を試用した学習 (1 96 3 ) ,Ti 99 3 ) は,提示される単語が nkham(1 者のアンケート調査を分析した結果, 「TOEI C語彙2」 意味的に近いものであると,それらを覚える際に単語の は「TOEI C語彙1」よりもはるかに高く評価されている 間で干渉が起こり,意味のつながりのない単語を覚える ことが判明した。さらに,教育効果を検証したところ, 表6 「TOEI C語彙2」の改善要望 13週後の後期開始時の学習語彙保持率は 84 . 2%であり, 本教材の強固な定着効果が証明された。また, 「TOEI C 語彙2」の学習だけで TOEI 8 .3点の上昇, Cスコアは 2 さらにコミュニケーション能力養成教材「Fi r s tLi s t en7 . 2点のスコア上 i ng」と組み合わせて学習した場合は 5 昇を示し,TOEI Cスコアの向上に本教材が有効である ことが検証された。 51 1)似たような単語が多かったので意味の説明を入れ るといいと思う 2)会話の中でどのように使われているか例文などを 入れてほしい 3)用例の長さをもう少し長くした方がいいかもしれ ない 4)単調すぎる よりも時間がかかるということを報告しており,試用者 5)宮崎佳典,南紀子, 「CALL用作問機能付英語学習ソ の感想は的を射ていることがわかる。早急に調整すると フト及び学習履歴分析ツールの開発」 『平成 14年度 ともに,今後,語彙・用例の選定時にはこの点を十分に 情報処理教育研究集会講演論文集』文部科学省・東 配慮する必要があると思われる。 京大学,2 00 2 10 26 ,pp. 61 6 -6 1 9. また,2)および3)については,中級者向け 「TOEI C 6)中條清美,牛田貴啓,山崎淳史,福島昇,須田理恵, 語彙3」 の試作で実現したいと える。4)については, 木内徹,Mi 「ビジュ , c haelGe nung,Be r nar dPer i s s e 初級学習者が意欲を持って学習を継続するには,絶えず アルベ−シックによる TOEI C用語彙力養成ソフト 動機づけが必要であり,これは今後も大きな課題である。 ウェアの試作」 『日本大学生産工学部研究報告』35 , 謝 2 0 0 2,pp. 11 2 3. 辞 7)中條清美, 「 「TOEI 2」 の選定とその効果」 C語彙1, 平成 14年度前期,CALLの指導実践のために行なわ (2 00 3予定) れた本研究は次の方々のご厚意により可能となりまし 8)Re ad,J ohn, As s e s s i ng Voc a b ul a r y, Cambr i dge : た。 ,2 0 00 . Cambr i dgeUni ve r s i t yPr es s 日本大学生産工学部教養・基礎科学系の皆様には, 9)中條清美,竹蓋順子,高橋秀夫,竹蓋幸生, 「語彙力 CALL授業の実践並びに教材の試作に対して,一貫して と実用コミュニケーション能力の関係」Lang ua ge ご理解とご協力をいただきました。 9,20 0 2 ,pp. 1 05 1 15 . Educ a t i o n& Te c hno l o g y,3 音声の録音に協力してくださった 千葉大学教育学部 10 )竹蓋順子, 「コミュニケーション能力の養成に寄与す 助教授・西垣知佳子氏,文化外国語専門学校講師・NHK る語彙指導システム」 ,Lang 6 ua geLa b o r at o r y,第 3 ラジオ『英語リスニング入門』アシスタント Sandr aLe i - 号,1 9 99 ,pp. 97 11 6 . s hman氏,シェーンランゲージサービス・派遣営業部部 11 )高橋秀夫, 「Wi ndows版英語語彙学習用ソフトウェ 長J as onDomi ni c i氏,そして,本学非常勤講師・中井延 アの開発」,千葉大学外国語センター『言語文化論 美氏には用例の日本語訳に協力していただきました。こ 叢』 ,第6号,19 9 9,pp. 1 15 12 9 . こに記して感謝の意を表します。 12 )竹蓋順子,前掲論文 また,本論文においてグループ 2の教育効果の検証に 13 )高橋秀夫,前掲論文 使用した CDROM 教材「Fi r s tLi s t eni ng」は,科学研 14 )高橋秀夫,前掲論文 究費特定領域研究 「英語 CALL教材の高度化の研究」 15 )He nni ng,G.H.Re me mber i ngFor ei gnLanguage において平成 1 3年度に千葉大学で作成されたものであ . Vocabul ar y:ac ous t i cands e mant i cpar ame t e r s り,使用を快諾くださった研究代表者の文京学院大学教 ,2 ,1 9 7 3,pp. 18 5 19 6 . La nguag eLe a r ni ng,23 授・竹蓋幸生先生に感謝の意を表します。 参 文 16 )Mue ,Gunt ,“Vi l l e r he rA. s ualCont e xt ualCues , andLi s t eni ngCompr e he ns i on:AnExpe r i ment 献 ,Vol .6 4 ,No.3 , TheMo de r n La ng ua g eJ o ur na l 1)中 條 清 美,福 島 昇,須 田 理 恵,木 内 徹,Mi chael 1 9 8 0,pp. 33 5 34 0 . , 「CALLシステムによる Ge nung,Ber nar dPe r i s s e 17 )Goodman, K. A l i ngui s t i cs t udy ofc ue s and コミュニケーション能力養成の指導効果」 『日本大学 , mi s c ue si nr e adi ng. El e me nt a r y Engl i s h, 42 生産工学部研究報告』35 ,2 0 02 ,pp1 -9 . 1 9 6 5,pp. 63 9 64 3 . 2)中條清美, 「英語初級者を対象とした CALL授業の 18 )Cr ,E.,andSuppe ,P.1 9 67 .Ex ot her s s p e r i me nt s 指導実践」 『平成 1 4年度情報処理教育研究集会講演 i n Se c o nd-l ang uag eLe ar ni ng.Ne w Yor k:Ac a- 論 文 集』文 部 科 学 省・東 京 大 学,2 0 02 1 02 6, .Nat 98 2より引用 demi cPr es s i on1 59 7 -6 0 0 . pp. 19 )竹蓋幸生. 『ヒアリングの指導システム』東京:研究 3)土肥充,椎名紀久子,竹蓋幸生, 「CALLの現状分析 社出版.1 9 89 . とコースウェア開発における今後の課題」, 千葉大学 20 )Hul . s t i j i n,J H.Re t ent i onofi nf e r r e dandgi ven 外国語センター『言語文化論叢』 ,第6号,19 9 9, wor dme ani ngs :expe r i ment si ni nc i de nt alvoc abu- 14 7 -1 7 1 . pp. ,andBe , l ar yl e ar ni ng.I nAr naud,P. J. L. j oi nt 4)椎名紀久子,及川邦裕, 「コミュニケーション能力養 成 用 英 語 CDROM 教 材 の 分 析 的 CALL教材の高度化に向けて 察 . ),Voc H.( eds a b ul a r yand Ap pl i e d Li ngui s t i c s. 英語 99 2 ,pp.1 1 32 5. Mac mi l l an.1 」 ,La ng ua geEdu- 21 )望月正道. 「基礎からの語彙指導:単語テストの予告 8 c at i o n& Te c hno l o g y,外国語メディア学会,第 3 号,2 0 01 ,pp. 14 5 -1 7 4 . の効果」『現代』4月号,19 9 6,pp. 5 65 7. 22 )竹蓋順子,前掲論文 52 23 )竹蓋順子,土肥充,高橋秀夫, 「語彙指導用 CAIシス ④ 録音機器:SONY Re c or di ng MD Wal k- テムのコースウェアの開発とその試用結果」,Lan- 0 manMZ-R90 99 6 ,pp. 9 7 -1 1 0. gua g eLa bo r a t o r y,第 33号,1 ⑤ 撮影機器:SONY DSC-P3 0 24 )上岡光男. 「英単語は学習された後,どのように忘れ ⑥ スキャナー:EPSON GT-8 7 00 られてゆくか」 『英語教育』 1 0月号,1 98 2 ,pp. 42 47 . 使用したソフトウェア 25 )Poe , , Az “Devel l C., Yos hi da, K. uma, M. opi ng ① テ キ ス ト データ の 取 り 込 み:Wi nReader ”『時事英語学研 Mat e r i al sf orAut he nt i cVi de o. PRO ( Me di aDr i veCor p.) 究』 ,3 7,1 99 8 ,pp. 1 1 91 33 . ② 用例の検索:Wor dSmi t h 26 )Hi ga,M.I nt er f e r e nc ee f f e c t sofi nt e r l i s twor d ③ 音声の取り込み:Tot al Rec or der r el at i ons hi psi nve r ball e ar ni ng.J o ur na lofVe r - ④ 音声の編集:Gol dWave ,1 9 63 , ba lLe a r ni ng a nd Ve r b a lBe ha v i o ur,2 ⑤ 画像の取り込み:Phot oDe l uxef orファミ 17 0 -1 7 5 . pp. リー4 .0 (Adobe ) 27 )Ti nkham,T.Thee f f e c tofs emant i cc l us t e r i ng ⑥ 画像の編集:I r f anVi e w ont hel e ar ni ngofs e c ondl anguagevoc abul ar y. ペイント(Wi ndows付属) 1,3,19 9 3 ,pp. 3 71 3 80 . Sy s t e m,2 ⑦ プログラミング:Vi .0Pr s ualBas i c6 of e s ) s i onalEdi t i on(Mi cr os of t 注1)平成 1 3年度に千葉大学で開発された「3ラウン ⑧ レ コーディン グ:Wi nCDR6.0St andar d ド・システム」に基づく初級者用 CDROM 教材 Edi t i on(Apl i x) 「Fi r s tLi s t e ni ng」と初中級者用 CDROM 教材 ⑨ 文書作成:Wor 0 0(Mi ) d20 cr os of t 「I 」を使用している。 nt r oduct i ont oCol l e geLi f e 注4)TOEI Cの公開問題7回分:TOEI C公開テスト 3ラウンド・システムの指導法とその教育効果に 問題第1回∼第3回, 『TOEI . C公式ガイド Vol ついては下記のホームページに詳述されている。 1&Vol . 2』 // .c ht t p: www. e hi bau. ac. j p/t akef ut a/ t s aca. 注5)TOEI ,2 00 1年5月∼20 0 2年 1月に収 C Fr i e nds 録されている Pr act i c eTOEI C5回分。 ht ml 注2)教材は CALL環境の変化に対応し易く,英語教師 注6)グループ 1は本データを得るための元のクラスサ にも簡単に使用できることを念頭に置いてネット イズが 4 4名と大きいため, グループ 2のように2 ワーク対応よりも応用が効く CD-ROM 教材の形 枚の CDROM 教材を安全に使用するために十分 態をとっている。 な CALL環境が整わなかった。とりわけ, 「Fi r s t 注3)使用した機器 Li s t e ni ng」等の最新のコミュニケーション能力養 ① パソコン:NECVALUESTAR NX 成用 CDROM 教材は画像や音声を多用している 0 0J / 1 VT 5 ため,本来の教材の性能を発揮して再生するため 0 0J / NECLaVi eSLS6 S にはソフトウェアに相応した性能のコンピュータ 05R/AK SONY VAI O PCG-R5 が必要である。 ② CD−RW :BUFFALO CRWi 2 10 FB1 (H 15 . 1. 1 0受理) ③ DUPLI 2 00 CATOR:Logi t e cLCM-1 53