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夫の酒害に苦しんだ過去と、現在の平和な家庭

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夫の酒害に苦しんだ過去と、現在の平和な家庭
第 6 回北海道アルコール・薬物依存予防、早期発見、解決市民フォーラム
2011 年 11 月 5 日(土)札幌市教育文化会館 1 階小ホール
家族の体験発表
夫の酒害に苦しんだ過去と、現在の平和な家庭
I.J.
(40 代女性、千歳断酒会家族会員)
現在、断酒会の家族会員になり6年目になりました。私の夫は、30 代半ばの千歳断酒会会
員です。夫のアルコール依存症の兆候がみられたのは、20 代半ば頃からでした。
結婚当初から酒量が多く、初めはただ「お酒が好きな人なんだな」と思った程度でした。
お酒によるトラブルがありましたが、若き故の行為であり、
「年齢と共に落ち着いてくれるだ
ろう」と思っていました。しかし、逆に飲酒による問題行動がエスカレートしていきました。
夜中に徘徊したり、壁に体当たりをしたり、妄想から、とんちんかんな応答をしたりなどが
見られました。同じ動作を何度も繰り返す奇行、幻覚が目立つようになり、
「夫が変だ」と気
付いたのは結婚してから3年後のことでした。夫が 30 歳になった頃には、喧嘩、暴力、不法
侵入などで立て続けに警察沙汰の事件を起こし、職場も懲戒免職寸前でした。
私は、眠れない日々が続き、心労から体調を崩し、心療内科に通院しました。医師、心理
士に夫の話をすると、アルコール依存症の疑いが強いため、夫の早期受診を勧められました。
夫を粘り強く説得し、やっとの思いで通院させ、そこで初めて断酒会を紹介されました。そ
の後、夫は何度か断酒会に顔を出しましたが、酒を止める気はなく、飲酒による問題行動は
続きました。依存症特有の「否認」が強く、飲酒による問題をなかなか認めようとしません。
毎日のように大喧嘩になり、私も我慢の限界でした。荷物をまとめ、離婚届を取りに行くと
ころまで追い詰められました。
そんな時、助けてくれたのは断酒会員の皆様でした。辛くて泣きながら訴える私に「奥さ
ん、離婚はいつでも出来るんだよ。まず、奥さん自身が後悔しないよう、やれることをやっ
た上で、離婚するか考えたら如何ですか?」と話し、慰めてくれました。その後、夫の職場
の上司に説明し、夫を専門病院に入院させるべく話し合いを進めました。そのように、周り
の人達が色々と協力してくれたお陰で、夫を入院させることが出来ました。現在、退院して
から5年8ヵ月が経過しました。一度も再飲酒はしていませんが、しばらく何度も強烈な飲
酒欲求やフラッシュバックなどで苦しみ、札幌太田病院に2度入院しました。やはり、お酒
を止めることは並大抵のことではないと実感させられました。最後のフラッシュバックから
2年程が経ちますが、その後発作は影を潜めてあり、夫も落ち着き、平穏な家庭を取り戻し
ました。
以前は「周りにあれだけ迷惑をかけたのだから、夫が酒を止めるのはあたりまえ」と思っ
ていました。時に強い飲酒欲求が生じても飲酒しないのは、夫が酒でかけた害、迷惑を深く
反省し、自分の事に留まらず家族のことも思い、命懸けで断酒しているからだと思います。
断酒歴が長くなるにつれ、夫に対して感謝の気持ちが大きくなりました。夫が酒害から立ち
直るに連れて、家族である私の心の健康を取り戻せたことを実感しています。これからも、
夫の断酒継続を願いつつ、私自身も断酒例会出席を続け、夫婦二人三脚、一緒に頑張ってい
こうと思っています。ご清聴ありがとうございました。
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