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1888年- 1941年 - TeaPot

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1888年- 1941年 - TeaPot
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戦前の日本における管弦楽レパートリーの統計(1888年1941年)
井上, 登喜子
お茶の水音楽論集
2007-04
http://hdl.handle.net/10083/4615
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Departmental Bulletin Paper
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お 茶 の 水 音 楽 論 集 第 9号
2007年 4月
[研究ノート]
戦前の日本における管弦楽レパートリーの統計 (1888年 1941年)
井上登喜子
1
.本研究の自的
本研究は、明治後期から昭和初期までの東京および複数の地方都市における性格の異な
るオーケストラ活動を対象としてレパートリー・データを収集し、それに基づくレパート
リー・データベースを構築することによって、日本における管弦楽レパートリーの定量的
把握を試みるものである。戦前の日本における洋楽受容に関して、大量データに基づくレ
ノミートリー形成の実証研究によって明らかにする試みは従来になく、本研究が初めてのも
のとなる。これまでの研究経過で筆者はレパートリー・サンフ。ノレの一部を発表してきたが
(井上2005,2006a,2006b)、この I
J、論で、は、より包括的なレパートリー・データの基本
こ寵する全体傾向を、時代・団体のクロス
統計を示して、初期の管弦楽レパートリー形成 i
セクションで提えることを巨的とする。
2
.サンプルとデータ
本研究では、明治後期から大正期にかけて設立された洋楽演奏団体(及び音楽学校〉の
うち、管弦楽曲の受容と普及に影響力をもったと考えられる東京音楽学校〈音楽取調若手を
母体として 1887
年に設立、東京芸徒大学音楽学部の前身〉、学生オーケストラ及び学生音
楽匡体 (
1902
年以蜂 1924
年までに設立された 9aJ捧)、新交響楽団(日本交響楽協会を母
年に設立、 NHK交響楽毘の前身〉を考察対象とした。これらの団体は設立
体として 1926
の経緯も様々であり、団体の性格や役割という点、で、も異なっている。東京音楽学校は音楽
専門家教育を昌的として設置された官立の音楽学校、学生オーケストラは全国の高等教脊
機関(帝国大学と私立大学)で設立された学生を中心とするアマチュアの演奏母体、そし
て薪交響楽団は日本放送協会の資金援助を背景に、東京に設立された日本初の常設の職業
オーケストラである。これらの 1
1団体を対象に、太平洋戦争読まで (
1
9
4
1年まで)の演奏
活動の記録を収集し、レパートリー・データベースを構築した。データ構成は 1演奏畠目
712で、ある(表1)0 上記のような団体関の相違
を1サンプルとした。サンフ。ノレ数合計は 14,
は、以下で示すように、サンプル構成ならびにレパートリー形成からも見て取れる。
3
.データの概要:基本統計
最初に、演奏会数と演奏曲目数に注巨する(表2
)。東京音楽学校は設立直後から演奏を
開始し、 1898
年以蜂定期演奏会を行っている。演奏会数は 1907
年頃から増え、それに伴い
1
0ちも
演奏曲目数も増加しているが、管弦楽曲の演奏比率は時代が下っても一定の割合 (
46
戦前の日本における管弦楽レパートリーの統計 (
1
8
8
8
年1
9
4
1年) (井上〉
20%) に留まることから、管弦楽演奏と並んで他のジャンノレの演奏が大きな位置を占めて
いたことが分かる。学生オーケストラについては、 1912
年頃までは慶応義塾ワグ、ネノレ・ソ
サイエティが単独で、演奏活動を行なっているためサンプル数が少ないが、その後、抱大学
のオーケストラの設立とともに演奏会数が増加する。初期の演奏活動では比較的低かった
管弦楽曲の演奏比率は時代とともに高まるが、管弦楽詑率は60%前後で留まっている。新
交響楽団は年間の演奏会数、演奏曲昌数、管弦楽比率において学生オーケストラを凌いで
フ
。
ロ j の団体としてアマチュアの演奏母体とは一線を画している。
おり、設立時より f
表 1 対象自体とサンプル数
開
期
始
演
年奏 〔
年
号
)
設立年 (
年
号
) 定
団
体
名
全体サンプル数
F
の
ル
構
数成
比
〉
公
(
全
頭
体
演
サ
奏
ン
プ
サ
ル
ンEプ
東京音楽学校
1
8
8
7(明治2
0
)
1
8
9
8(明治31)
8948
3,
796(42%)
慶窓義塾ワグネ,t,.ソサイヱティ
九州帝愚大学フィル/¥ーモニ一会
早稲田大学交響楽毘
京都帝冨大学学友会音楽器オーケストラ
東京帝国大学学友会音楽器オーケストラ
東北帝冨大学学友会音楽部オーケストラ
学習院貌仁会音楽部オーケストラ
北海道宇野題大学札視シンフォニー,オーケストラ
北海道帝醤大学文武会音楽部オーケストラ
北海道帯冨大学オーケストラ{合併後〉注2
学生オーケストラ合計
1
9
0
2(明治3
5
)
1
9
1
0(明治 4
3
)
1
9
1
3(
大
正2
)
1
9
1
6(
大
正5
)
1
9
2
0(
大
正9
)
1
9
2
1(
大
正 10)
1
9
2
2(
大
豆 11)
1
9
2
2(
大
正 12)
1
9
2
4(
大
正 13)
1
9
4
1 (昭和 1
6
)
5
)
1
9
0
2(明治3
1
9
1
0(明治4
3
)
大
正2
)
1
9
1
3(
1
9
1
6(
大
正5
)
1
9
2
0(
大
正
幸
)
1
9
2
1(
大
正 10)
1
9
2
2(
大
正
1
1
)
1
9
2
2(
大
正 12)
1
9
2
4(
大
正 13)
1
9
4
1 (昭和 1
6
)
,
012
1
512
199
565
402
200
232
243
196
13
3,
574
872(
8
6
%
)
508(
9
9
%
)
168(
8
4
%
)
510(
9
0
%
)
352(
8
8
%
)
200(100
莞
)
182(
78%)
205(
8
4
%
)
125(
6
4
%
)
12(
9
2
%
)
3,
134(
8
8
%
)
新交響楽図
1
9
2
6(
大
正 15)
)
1
9
2
7(昭和2
190
2,
2,
190(100
発
)
14112
S,
120(
6
2
%
)
妻
合
計
注1 北
海道帝国大学オーケストラは、札幌シンフォニー・オーケストラと文武会音楽部オーケストラが合併したもの。
表 2 演奏会数と演奏曲目数
年
1
8
8
8
1
8
9
1
1892-1896
1
8
9
7
1
9
0
1
1902-1906
1
9
0
7
1
9
1
1
1912-1916
1
9
1
7
1
9
2
1
1922-1926
1
9
2
7
1
9
3
1
1
9
3
2
1
9
3
6
1
9
3
71
9
4
1
司
合
計
東京音楽学校
新交響楽団
学生オーケストラ
演奏会数演奏曲目数
演奏会数演奏曲邑数
演奏会数演奏曲巨数
会
幽
毘 管
弦
楽
曲
〈
構
成
主
主
)
全
盛
主
呂 管弦楽重量{構成比)
全
曲
目 管
弦
楽
曲
{
構
成
主
主
〉
1
4
1
2
1
6
23
54
6
2
49
5
7
5
5
1
2
3
1
4
2
6
0
7
1
2
1
2
9
2
4
3
5
5
5
9
7
2
6
1
.
0
3
5
6
8
5
8
9
9
7
3
7
1
,
819
1
,
6
4
0
些謹
1
0
3
42
9
1
1
2
7
1
4
5
1
5
4
1
4
3
7
9
353
1
8
4
1
,
3
3
1
S
覧
1
覧
1
0
%
1
6
%
1
7
%
1
4
弘
覧
22
1
6
%
1
1
%
1
9
%
1
1
%
1
5
%
8
1
4
1
8
3
3
48
52
64
69
306
7
4
1
6
6
1
7
5
5
1
5
7
4
3
5
9
5
5
8
8
7
1
8
3574
2
2
3
1
6
5
238
3
9
1
3
7
9
3
5
8
3
2
5
1
8
0
9
47
覧
30
1
9
覧
3
7覧
46
覧
免
5
3
64
覧
6
1覧
45
覧
5
1覧
1
9
5
1
8
6
209
7
7
5
7
1
5
700
7
4
1 96%
653 91%
679 97%
5
9
0
2
1
9
0
2
0
7
3 9
5
%
お茶の水音楽論集
第 9号
次に、演奏機会に注匡すると、新交響楽団の演奏活動が極めて公開性の高いもので、あっ
た一方で、東京音楽学校と学生オーケストラは、「定期演奏会 j や「学外演奏会(演奏旅行
学内装奏会j や「学内行事での演奏j のように公開
含む)Jなどの公開性の高いものから f
性の低いものまで、様々な演奏機会を経験していることが分かる(表 3
)。表 1では、公開
性の高い f
定期演奏会J と「学外演奏会jでの演奏曲目を f
公開演奏サンフ。/レ」として区別
している〈東京音楽学校42%,学生オーケストラ 88%,薪交響楽団 100%)。東京音楽学校
学内演奏会 J
による公開演奏サンプルの都合が低いのは、在校生や教員、同窓生による f
が数多く催されたためである。
表 3 演奏機会の内訳
定懸演奏会
(虚数)
東京音楽学校 (
1888-1941
)
62
59
欠領僅
1
7
2
00090050018
193
4
内 41
120
25
。ι
7
625
ラジオ放送
〔言語数)
nunun︾ 場z d
U8--fEhu
内n
3
41
54
︽
aunununU U
G
G
,
守
290
200
182
1
5
1
122
5
2
.
5
0
9
必斗
68
440
G
司unL
159
170
100
70
62
O
nunu 々
4
713
3
3
8
4
.
9
8
0
FDnun4nuoonunU
2
.
8
1
1
学内行事で
の演奏
{也数}
8215
960
学内演奏会
{曲数〉
5
4 7 0 3 0 1匂 9 0
ZU41a
痩慮義塾ワグネル・ソサイヱティ (
1
9
0
2
1
9
4
1
)
九州帝国大学フィルハーモ二一会 {
1910-1941
l
早稲函大学交響楽窃 (
1
9
1
3・1
9
4
1
)
京都帝国大学学友会音楽部オーケストラ (
1916-1941
)
東京帝国大学学友会音楽部オーケストラ (
1920-1941
)
東北帝国大学学友会音楽部オーケストラ (
1921-1941
)
学習院輔仁会音楽部オーケストラ (
1922-1941
)
北海道看守層大学札幌シンフォニー・オーケストラ(1922-194
北海道帯巨大学文章主会音楽部オーケストラ (
1924-1941
)
北海道帯屋大学オーケストラ{合併後)
(
1
9
41
)
学生オーケストラ合計
学外演奏会
{
重
量
数
〉
品川奏)
斜演数
大同品出
他合(
毘体名(考察対象期慢}
また、東京音楽学校と学生オーケストラの演奏曲臣の種類をみると(表 4
)、管弦楽曲(交
響曲、読奏曲、管弦楽小品、室内楽曲、管弦楽伴奏付き独唱や合唱〉から管弦楽以外の曲
目まで、多岐に渡っていることが分かる。全捧サンプノレで見た場合、東京音楽学校では管弦
21
.4%)、合唱曲 (20.7%) が高い構
楽曲 (22%) と並んで、独奏曲 (30.2%)、独唱曲 (
成比を占めており、本校の演奏家養成、教員養成とし寸教育方針を反映している。学生オー
ケストラ(学生団体)では、管弦楽曲が高い講成比を占める早穏田 (94.7%)や京大 (79.9%)
から、愛応のように管弦楽曲 (33.7%) よりもそれ以外の曲冒 (66.3%) の方が高い割合
を占める例など、団体ごとに様々である。表 4のサンフ。ノレ構成から、学生オーケストラの
演奏会は、管弦楽曲のみでなく独奏曲、独唱由、合唱曲が関に挟まれる 「混合的な j プロ
グラムの様相を呈していたことが見て取れる。
48
戦前の自本における管弦楽レパートリーの統計 (1888
年-1941年) (井上)
表4 サンプルのジャンル挺分類
管Eま
集
演
奏
さ
れ
る
も
の
也
寮
重
量 管弦灘小品室内議等 司
管
量
〈
重弦
E
・
合
S
E
f
.
手 小
計
~響曲
思古事名
.
.
音
軍
医
学
校
慶応
九太
早稲田
京
大
大
医
東
北
大
学
習
院
3
北
大
{
合
計
}
重
野
交
響
集
罰
合
計
1
6
9
2
.
0
.
%
22
26%
67
3
.2%
1
36
23
.8%
56
1
1
.
1
%
36
1
1
.
1
%
2
3
1
1
.6%
1
4
7
.7%
54
1
6
.1
%
565
.4%
26
1
,
042
7
.6%
658
7
.
7
%
1
0
12
車
8
1
.
6
%
1
3
丘6
!
事
2
1
4
.
2
%
1
0
3
.
f
J
事
s
3
.
0
;
事
1
0
五5
事
1
4
4
.
2
%
297
1
3
.
9
%
1
,
0
4
7
7
.6%
3
9
9
4
.
6
%
1
4
5
1
7
.
0
.
%
1
4
3
2丘2%
84
55
.6%
256
50
.9%
94
29
.1%
5
9
2立6%
7
7
423%
1
4
0
41
.
7
車
;
938
4
3
.
9
%
2,
335
1
6
.9%
3
3
7
3
.9%
6
7
主
8%
7
正4%
4
26%
45
8
.9%
7
2
.
2%
1
3
6
.5%
1
5
8
.2%
33
立8%
1
2
0
.
6
:
車
5
4
0
3
.9%
準盆i
323
3
.8寧
44
事
5
.1
!
g
1
.
8
%
6
4
.
0
%
24
4
.8%
1
3
4
.
0
.
%
5
2
.5%
2
事
1
.
1
:
9
27%
2
3
3
1
0
.9%
6
6
8
4
.
8
%
1
8
8
6
220
.
%
288
33
.7%
234
4丘2%
1
4
3
94
.7%
402
F
立9%
1
6
0
4立5%
1
0
6
5
3
.3%
1
1
8
64
.8%
250
7
4
.
4
%
2045
95
.6%
5,
6
3
2
40
.9%
管
弦
業
以
外
の
も
の
強
費
量
重
量
実
之5
9
3
30
.2%
1
1
7
1
3
.7%
6
1
120
.
%
4
2
.
6
%
42
8
.3%
4
正2%
2
1
1
0
.6%
4
1
225%
29
8
.
6
%
5
3
25%
2,
965
2
1
.5
:
車
1
,
8
3
3
2
1
.
4
%
1
3
3
rε6%
3
7
7
.
3
%
4
26%
2
1
4
.2
.
車
3
0
.9%
1
1
五5%
s
4
.
4
車
7
21%
s
0
.4%
2
,
0
6
5
f
五d
軍
司
合E そ
の
他
、
7
7
4
1
497
20
.
7
)
事
240
28
.1%
1
1
2
2
2
.
1
:
事
。
0
.
0
.
事
2
8
五6%
1
4
2
44
.
0
.
車
3
6
1
8
.
1
%
7
3
.
8
%
26
F
車
4
0
.
2
.
事
2
.
3
6
9
1
7
.2
車
主
;
主
1
)各
週
休
の
サ
ン
プJ!"の
ジ
ャ
ンJ!,.別
分
類
に
つ
い
て
、
上
設
は
サ
ン
プ
ル
数
を
、
下
段i孟
各
密
体
の
全
体
サ
ン
プ
ル
中
の
機
成
比
を
示
し
た
も
の
で
あ
る
。
注2
)全
体
サ
ン
プ
ル
合
計14.712の
う
ち
、 934サ
ン
プ
ル
に
つ
い
て
は
ジ
ャ
ン
ル
不
詳
の
た
め
欠
損
鐘
と
し
た
,
な
お
、
欠
領
値i主
義
中
に
は
示
し
て
い
な
い
。
5
.8%
77
9
.
0
.
%
63
1
2
.4%
8
0
.
0
.
%
1
0
20
.
%
1
4
4
.
3
%
25
1
2
.6%
s
4
.4%
24
7
.1
%
2
9
1
.
4
%
7
4
7
五4%
量
小f
合
計
6,
6
9
7
7
8
.
0
%
567
6
丘3
車
273
53
.8%
8,
5
8
3
100%
855
1
00%
5
0
7
1
0
.
0
%
1
5
1
100%
503
1
00%
323
1
0
.
0
.
車
1
9
9
100%
1
8
2
1
00%
336
1
0
l
鴻'
2
,
1
3
9
1
0
l
鴻
s
五3%
1
0
1
20
.1%
1
6
3
50
.5%
93
4丘7%
64
3五2車
86
25
.6%
94
4
.
4
%
8,
1
4
6
59
.1
車
J
1
3
,
7
7
8
1
00%
4
.管弦楽レパートリーの全体傾向
以下、管弦楽曲サンフ。/レに注巨し、昭和初期まで、の管弦楽レパートヲーの全体額向を示
1
7
世紀から 18
世紀前半、 18
世紀後半
す。ここで、は管弦楽サンフツレについて、時代別分類 (
から 19
世紀初頭、 19
世紀、 19
世紀末 (
2
0世紀初頭まで〕、 20世紀初頭から 1941年まで)と、
国・地域別分類(ドイツ・オーストリア、フランス、イタヲア、ロシア、東欧、北欧、ス
ペイン、イギリス、アメジカ、日本)を行い、さらに時代と国・地域をクロスさせること
で時代様式による分類を行っている。分類の結果、構成比の高い穎 l
こ9
つの時代様式につ
いて、各自体(学生オーケストラは合計で示す〉の管弦楽サンプル構成を示した〈表針。
表 5 管弦楽レパートリーの詩代様式見守分類とその時代推移
語体
東京音楽学校
学生オーケストラ
新交響楽団
管弦楽
菌数
1
.034
1
.
5
6
0
2
.
0
7
3
吉奥深 19誉
紀 19世紀 19世記 19世紀 19世紀 19世紀世紀末 20世紀その他(欠
北陸
ドイツ 5本
爆鐙含む}
ドイツ フランスイタリアロシア 東堅
313
30
.3%
242
23
.4%
53
5
.1%
26
2
.5%
30
2
.9%
18
1
.
7
%
35
3
.4%
♂1%
29
2.8%
250
24
.2%
463
29
.1%
127
8
.1
見
j
164
1
0
.5%
6
1
3
.9%
102
6
.5%
33
2.1%
55
3
.S耳
25
1
.
6
%
65
4.2%
465
29
.8%
561
ぞ1%
2J
489
23.6%
185
8
.
9
ヲ
82
244
154
4.0%
11.8%
又4車
43
2.1%
120
5
.8
.
窒
144
6.9%
5
1
2.5%
注1)東京音楽学校、学生オーケストラについては公開演奏会サンプル中の管弦楽レパートリーを使用。
主2
) 上段 i
ま各時代様式磁の管弦楽サンプル数、下設は管弦楽曲中の構成比を示した。
49
38
お 茶 の 水 音 楽 論 集 第 9号
まず、全ての団体で古典派が最も高い構成比を示し、東京音楽学校と新交響楽団では 19
世紀ドイツ(いわゆるロマン派〉が古典派に次いで高い割合を示しているが、これは戦前
の吉本の管弦楽受容においてドイツ・オーストリア音楽が大きな位置を占めていたことを
示唆している。一方、学生オーケストラにおける 19
世紀ドイツ比率が抵い (
8
.
1%)こと
世紀ドイツの管弦楽作品における編成の拡大や演奏技術の難易度と関係すると思わ
は
、 19
れる。さらに、新交響楽団は 19
世紀フランス (
8.9%)、 19世紀ロシア (
11
.8%)、 19
世紀
7.4%)とレパートヲーに広がりを持つのに対し、東京音楽学校の管弦楽レパートリー
東歌 (
はドイツ・オーストヲア音楽への偏向が確認される。
次に、管弦楽レパートリー形成の時代推移による変化を捉えるために、時代様式別の演
奏比率の推移を 5
年単位で示した。ここでは特徴的な領向をもっ古典派、 19
世紀ドイツ、
19
註紀フランスの管弦楽レパートリーを事例として挙げ(グラフ 1から 3
)、各自体間(学
生オーケストラについては合計で示す)のレパートリー形成を比較する。
第一に、時間的なずれはあるものの、全ての毘体において類似の領向を示す例が挙げら
れる。古典派比率の推移(グラフ1)をみると、いずれの団非〈グループ)も時代ととも
に増加額向を示し、 30%から 40%という高い講成比に達していることが分かる。この増加
傾向は、既に 1910
年代の東京音楽学校の演奏活動において顕著に見られること、その後に
設立された学生オーケストラと新交響楽団によって共有されたことを示している。一方、
19
世紀フランス比率の推移(グラフ 2
) をみると、いずれの団体でも時代とともに減少し
世紀ロシア比率に
ており、この減少傾向は東京音楽学校において先行して現れている。 19
ついてもこれと同様の傾向が確認された。また、 20
世紀日本比率については 1932
年以詳の
年以降には東京音楽学校、学生オー
新交響楽団において急速な増加傾向を示し、続く 1937
ケストラでも後を追うように増加傾向を示したことが確認された。
第二に、毘捧ごとのレパートリー形成にばらつきがある例も見られる。 19
世紀ドイツ比
) については、新交響楽団で最も構成比が高くかっ若干の増加傾向が見られ
率(グラフ 3
る一方、学生オーケストラでは増加傾向を示すがその割合は低く、東京音楽学校では持代
世紀東欧比率でも同様の鎮向が確認された。
ごとに演奏比率にばらつきがある。また、 19
こうした団体とレパートリー形成の関係の詳細については更なる分析が必要である。
50
戦前の自本における管弦楽レパートリーの統計 (
1888
年1941
年) (井上〉
グラフ 1 古典派比率(左:東京苦楽学校、右:学生オーケストラと新交響楽毘)
古典派比率の推移:東京音楽学校
古典派比率の推移:学生オーケストラと新交響楽毘
m
m
(nT罰則晴紙面胆)岡町公脚
mHm
四四四四四四即時臨時銭即日係
(nT
醤縦揺 hF)
傍若燃焼
4332211
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8
9
7
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9
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2
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7 1
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1
2
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9
1
7
-1
9
2
2
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9
2
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9
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2
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1
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0
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1 事1
6 1
9
2
1 1
9
2
6 宮3
1 1
9
3
6 1
9
4
1
守
年
画聖亙
グラフ 2 19
世紀フランス比率(左:東京苦楽学校、右:学生オーケストラと新交響楽毘〉
19世紀フランス比率の推移東京音楽学校
1
8
14%
# 16
~
壬
f
4
壬 14
努 12
2
単10
細
終
ま
ま
8
6
4
1
鍵 2
I0
12%
蓮 10%
善
要
室
長 筋
量Z
語防
毒物
曲
全
軍
部
0%
1
8
9
7
-1
9
0
2
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9
0
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-1
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1
2
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7
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9
2
2
-1
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2
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-1
幸3
2- I
日
号3
7
1
9
0
1 1
9
0
6 1
9
1
1 1
9
1
6 1
9
2
1 幸2
6 1
9
3
1 幸3
6 1
9
4
1
年
1922-26
四演奏比率(管弦楽畠中)I
1927-311932-36
1937-41
1
m学生オーケストラ図書時交響楽包
年
グラフ 3 19
世紀ドイツ比率〈左:東京音楽学校、右:学生オーケストラと新交響楽司)
の
4
・
・
{"す密猟銀事)園町封繊鰻
今
'
・
1
41
5
せ1
5
地問回目同時臨時間間四叫帥
3
2
警 曹l
m
(
員
官
1
9
世紀ドイツ比率の推移:学生オーケストラと薮交響楽包
q"
(
s
;
19蛍紀ドイツ比率の推移:東京音楽学校
1922-26
j
園間胃山干、国抽""'幽r:t)I
吉27-31932-36
年
i
g学生オーケストラ
1937-41
2新交響楽団!
5
.結びにかえて
本論で示したレパートリー統計は、初期の洋楽受容における管弦楽レパートリー形成の
全体額向を把握するものであり、レパートヲー形成を時代と毘体のクロスセクションで捉
えたものである。こうしたレパートリーの基本統計は、マクロな視点でのレパートヲー研
究にとって有効であると同時に、個別の団体に焦点をあてたレパートリー分析も可誌にす
るものであり、今後のレパートヲー形成の実託研究の基盤になると考える。
51
お 茶 の 水 音 楽 論 集 第 9号
参考文蘇(代表的なものに隈り記載〉
井上登喜子
2005 i!3本の交響楽団のレパートリー形成の実証分析:明治後期から昭和戦前期までの学
生交響楽団を中心に J ,お茶の水女子大学『人文科学研究~ 1
:
3
9・5
2
.
2006a i
2
0
世紀初期の日本における管弦楽レパートリー形成 J W
お茶の水音楽論集特別号
徳丸吉彦先生古議記念論文集~
241・251
.
2006b i
戦前の E本における西洋音楽の人気レパートリーに関する実証研究 J W
東邦音楽大
学・東邦音楽短期大学研究紀要』第 1
6
輯〈掲載予定).
学習読輔仁会音楽部編
1
9
7
3 W学習読轄仁会音楽部五十年史J
九大フィルハーモニー会編
1
9
8
9 W
九大フィノレハーモニー・オーケストラ 8
0
年史J
京都大学音楽部交響楽団 7
5
年史編纂委員会編
1
9
9
21
京都大学苦楽部交響楽団七十五年史:京大オーケストラと日本の交響楽運動よ
京都帝国大学学友会
1
9
1
5
・2
4
W皐友舎誌~
1
1・1
4、1
8・30
巻
菱磨義塾ワグネ/レ・ソサィエティー 1
0
0
年史編纂委員会編集
2002 W慶応義塾ワグ、ネノレ・ソサィエティー 1
0
0
年史J
東京芸衛大学百年史編集委員会
1
9
9
0・2003 W東京萎術大学百年史』 東京:音楽之友社.
東京大学音楽部管弦楽思編
2
0
0
1 W
東京大学音楽部管弦楽匡 8
0
年史:1
9
2
0・2000J
l
.
東北大学交響楽団関窓会編
1
9
8
9 W
東北大学交響楽団史:1
9
2
1・1988J
NH
玄交響楽団編
2000 Wフィルハーモニー 9
9
/
2
0
0
0S
p
e
c
i
a
lIssue~
第72巻第2 号.
北海道大学交響楽団編
2003 W北海道交響楽団 80
周年記念誌.J
1遜守指揮生活5
0罵年記念誌i
早種田大学交響楽匝編
1970 ~皐種自大学交響楽団史:第 100回定期演奏会記念J
付記:本研究は平成 1
6
・1
8
年度科学研究費補助金若手研究
(
B
)i
近現代昌本のオーケストラ活
6
7
2
0
0
2
2
)の研究成果の一部である。
動のレパートリー形成に関する実託研究 j(研究課題番号 1
52
戦前の E本における管弦楽レパートジーの統計 (
1
8
8
8
年1
9
4
1年) (井上)
いのうえ
ときこ
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程疹了、人文科学博士。
1
9世紀ドレースデンの合唱協会の社会史研究 J(
W
音楽学第 50巻 3
主要論文:r
号
, 174・1
8
6
)、 r
2
0世紀初期の日本における管弦楽レパートリー形成J (
Wお茶
5
1
)。
の水音楽論集特別号徳丸吉彦先生古稀記念議文集よ 241・2
現在、東邦音楽大学、同大学院専任講師。
53
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