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振動工具による振動障害の診断についてT

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振動工具による振動障害の診断についてT
労働科学 4
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↑本研究は労働省災害科学に関する委託研究費(昭和 4
4年度,主任研究者・三浦豊彦)によった
*労働科学研究所・労働衛生学研究部
料久留米大学医学部・環境衛生学教室
**牢関西医科大学・衛生学教室
****名古屋大学医学部・衛生学教室
料*料熊本大学医学部・公衆衛生学教室
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. はじめに 1)2)3)
手持ち振動工具による振動障害はレイノー症候群(い
(
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8
)5月 4日の研究会で討議の結果,下記のような第
1次,第 2次健診大綱を発表している。
1
. レイノー現象の誘発について
わゆる白ろう病)が全般的に注目される結果,診断にお
a
) 冷水浸漬
いてもレイノー症候群だけをこれまで重視してきたこと
手関節まで浸漬することとし,冷水温度は 4°c か1
0
0
は否定出来ない。しかし局所振動障害としては骨,関節
Cとする。室温は s0c か10°c,浸漬時間については 1
の器質的変化をはじめ,神経感覚的な障害や,運動機能
分間, 5分間, 10分間, 1
5分間, 3
0分間などの意見があ
に対する影響を忘れることは出来ない。はじめレイノー
る
。
症候群自身が十分明らかで、なかった時代には,まずレイ
b
) C
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. (今後検討を加えることで保留)
ノー現象の誘発法,たとえば上腕緊縛,冷水浸漬,全身
c
) 全身冷暴
冷暴(オートパイ走行その他) C
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① 単 車 走 行 ( 10分∼ 30分∼ 60分
)
工気候室を用いる冷暴などが行なわれたものである。そ
の後誘発法をぜひ行なわなければならぬという考え方は
少くなった。
むしろ末梢循環機能の検査法としての皮膚温の測定,
②
人工気候室(室温 5∼10°c‘暴露時間 30∼60分
)
冷水浸漬とも組合わす。また外気温も考慮する。
③
寒冷→温暖などの温度変化を与える。
2
. 局所振動障害の健康診断について
指先プレチスモグラフ,皮膚毛細血管の観察,爪圧迫テ
第一次健康診断(スクリーニング)
スト,手掌圧迫テストなどを行なうことが多い。
a
) 問診,視診,触診
神経,感覚的な診断法としては一般の臨床検査のほか
に痛覚や振動感覚の測定も行なわれている。
運動機能としては握力や指のピンチカ(つよみ力),タ
ツピングなども測定している。
骨,関節の診断に X線が利用されていることはいうま
①手指(足)蒼白
②
しびれ
③
こわばり
④
疹痛
⑤振せん
@ 脱力感
でもない。
⑦
冷感
③
爪の変化
一つのフォームをっくり出した。しかしなお種々不備の
⑨
指の変化
点も多いし,一応報告して多数の識者から批判をうける
⑩ 皮膚の異常
必要があると思われる。
@骨,関節の変形異常
しかし診断についてなお統ーされたものがないので,
関係研究者が集まって種々討議し,意見を調整しながら,
I
I
. 実施されている診断項目
従来発表され,または実施されている診断についての
いくつかの例を参考までにあげてみる。
A. 日本産業衛生協会局所振動障害研究会の案4)
日本産業衛生協会局所振動障害研究会では昭和 4
3年
⑫上肢の運動障害
@筋萎縮
⑪圧痛
@
その他
b
) レイノー現象の確認または誘発
誘発は単車走行,冷水浸漬による(また, C
o
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g
(401)
Box も加えてみてはどうか,という意見もあった)。
c
) 爪圧迫テスト
策をすすめるためにも,健康診断の実施要領を画一的に
する必要があるというので,国有林を管理する林野庁で
冷水浸漬後,レイノー現象のある指についてみる。
は早くから誘発法を中心とした健康診断実施要領をきめ
d
) 皮膚温の測定
林野厚第
ている。最初の要領は昭和40年 8月16日付(40
①安静時
621
号)で出されているが,
②冷水浸漬中
緊縛検査と冷水浸漬のみが行なわれることになってい
③冷水浸漬後
④
ここでは誘発法として上腕
た。ただまだ暗中模索時代でこの診断法でレイノー有症
CoolingBox 中
状者をしらべてみようという態度がみられる。公的な意
⑤全身冷暴
味での振動障害診断の方法をきめた第 1号 で も あ る の
以上,吉村指数,岩田氏法などで判定する。
で,一応全文を記録にとどめておきたい。
e
) 触・痛覚などの検査
40
林野厚第 6
21号
昭和 40年 8月 1
6日
f
) 握力
第二次健康診断(精密検査)
殿
a
) 職歴調査
林野庁長官
b
) 問診,視診,触診
c
) レイノー現象の誘発(人工気候室で冷水浸漬)
d
) 末梢循環機能検査
① 皮膚温(レイノー現象の誘発時に測定)
②
局所振動機械作業従業員に対する健康診断(主
としてレイノー現象の検診)の実施について
国有林野事業におけるチェンソー,メリ払機等局所振動
指先血流量
機械作業従事職員に対する健康診断(主としてレイノ}
e
) 末梢神経検査
①知覚機能検査(温・冷覚, 2点識別閲値,振動覚,
位置・運動・圧覚)
② 筋電図(測定部位については,今後検討する)
現象の検診)については,今後,当分の間,別紙実施要
領によって実施することにしたので通知する。
なお,本年度においては,特に,レイノー現象に対す
f
) 運動機能検査
る諸施策を推進するためレイノー現象発現者の実態をで
①上肢の運動範囲の測定
きるだけ速かに把握する必要があるので,臨時健康診断
②骨・関節(手首,肘,頚などを含める)のレント
として下記により実施することとし,遅くとも, 9月末
までに,終了するよう努められたい。
ゲン検査
g
) その他医師の必要と認める検査
以上のほか検討を要するということで保留となった測
定項目は次のようであるべ
記
1
. 対象者は,レイノー現象(手指の蒼白現象)の訴
①手掌圧迫テスト
えのあった者全員とし, 3月(又はそれ以降)にお
②反応性充血(指,上腕など)
ける臨時健康診断又は公務上外認定申請のための診
@寒冷血管反応
断を受けた者も確認非確認を問わず包含するものと
寒冷昇圧回復指数
④
アドレナリーン, ピロカノレヒ。ン,アトロビン試験
⑤
タッピング(手指筋力も同時に測定)
⑥ 血 清 PBI
⑦
カテコーノレアミン,尿中 VMA量
@臆反射(多発性神経炎)
こうした原案について,局所振動障害研究会員はもち
ろん,日本産業衛生協会の会員からも意見を求めるよう
「産業医学」誌上に掲載したのであるが,その後統ーし
た意見で、決定するまでには至っていないが,診断を考え
t
る場合の基本にはなり得るものと考えてよい。
B
. 林野庁の振動障害診断要領
以上は振動障害一般を考えているわけであるが,林業
機械としてのチェンソーや刈払機による振動障害の対
する。
2
. 秋季定期健康診断に際しては,定期健康診断対象
者のうち,今回の臨時健康診断の受診者を除外した
局所振動機械作業従事者を対象とし,別紙実施要領
によって実施するものとする。
3
. 本年度におけるこの検診に必要な経費は,既配付
予算内で実施するものとする。
局所振動機械作業従事職員に対する健康診断
(主としてレイノー現象の検診)の実施要領
チェンソー,刈払機等の局所振動機械作業従事職員に
対する定期健康診断,採用時健康診断,配置換時健康診
断,復帰時健康診断ならびに臨時健康診断においては,
(402)
一般の診断項目のほか,次の項目を附加して実施する。
より lOmmHg 下げた状態で行なう。
I 検診項目
ただし,この検査時聞は 5分間以内でなけ
1
. 問診:手指の蒼白現象。
ればならない。
手指の蒼白現象を訴えるものについては,その
なお,検査実施途中で苦痛を訴える者につ
他自覚的症状(関節痛,しびれ等)
2
.
いては検査を中止する。
1の問診によって,手指の蒼白現象を訴えた者
については,
責検査
イ,冷水浸 i
3, 4, 5の各号の検診を実施す
検査は,水温 4。C の冷水に両手を手関節
る
。
まで浸漬することにより行なう。
5分間以内でなけ
ただし,この検査時間は 1
3
. 診察:爪の変化,指の変形,皮膚の異常,筋の
ればならない。
萎縮,骨の異常,その他
なお,検査実施途中で胸ぐるしさを訴える
4
. 誘発検査:刺激による手指の蒼白現象誘発検査
者については検査を中止するものとする。
(1) 検査対象者
また,冷水浸漬検査を実施しようとする者
2の対象者のうち,次の者を除外した者
については,心電図を検討し,既往症に心筋
ア,最高血圧 180mmHg 又は最低血圧 120mm-
梗塞を有する者,および,冠硬化の疑いのあ
Hg以上の者
る者を除外しなければならない。
イ,その他医師がこの検査を適当でないと認め
この場合検討対象となる心電図は概ね 2年
た者
以内のものとする。心電図のない者について
(2) 検査方法
は,必ず検査前に心電図をとり,検討を行な
誘発検査は原則として上腕緊縛検査による
うものとする。
ものとする。
5
. その他医師が必要と認める検診
ただし,上腕緊縛検査で検出できない者に
ただし,一般の健康診断において実施した検診
ついては冷水浸漬検査を口答で説明し,了解
項目は省略することができる。
する者について実施するものとする。
E 記録
ア,上腕緊縛検査
別 紙 様 式 1(
p
.
4
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2
4
0
4
)および 2(
p
.
4
0
5
)による。
検査は,血圧計のマンシエットを用い,現
象を訴える方の手の上腕を緊縛して最高血圧
様式 1
健 康 診 断 表 ( 第 1回
〉
(以下問診事項の 1
9までは管理医に代り衛生管理者が記載しでも差支えないが,管理医は記載内容を確認すること)
被検者
事業所
担当区
営林署
営林局
男・女
cm
身長
歳
被検者氏名
kg
体重
定員内・常勤・常用・定期・月雇:定額・日給・出来高:職種
検診年月日
年
昭和
月
道府
県
検診場所
日
町
郡
市
ナ
キ
事業所(
検診医師
病院等の名称
氏名
立会官
職名
氏名
気象状況
天候
気温
。C
湿度
%
室温
。C
I 問診事項
1
. 国有林に入った年月
昭和
2
. 作業機械を使用しはじめた年月
年
月
昭和
年
月
3
. これまでの雇用区分,職種の移動及びそのときどきの使用機械の機種,型式,使用年数
(403)
4
. 現在使用中の機種型式
回転数
馬力数
5
. 国有林以外で振動機械,工具等を使用した経験が
ある。
ない。
6
. 使用した経験がある場合,その機械,工具等の種類,名称,型式等及び使用期間
さく岩機(昭和
年∼
年)鋲打機(昭和
(昭和
年∼
年
)
年∼
年
)
(昭和
年∼
年
)
7
. 手指が突然青白くなる現象は
(1) 国有林に入る前からあった。それは昭和
年
月頃からあった。
(2) 国有林に入ってからではあるが,作業機械を使いはじめる前からあった。それは昭和
年
月
頃からあった。
(3) 国有林で作業機械を使いだしてから始まった。それは昭和
(4) 現在までに現象がおきた回数は約
(5) 現象の多くおきるときは 1カ月に約
(6) 最 近 お き た の は , 昭 和
月頃からあった。
年
四である。
年
回である。
月頃であった。
.
s
. 現象がおきたときの状態
①自宅,②事業寄宿舎,①起床後,④出勤途上,⑤帰宅(舎)途上,⑥徒歩中,⑦徒歩後,⑥自転車乗車中
⑨同下車後,⑮オートパイ乗車中,@同下車後,⑫人員輸送車乗車中,⑮同下車後,⑪作業中,⑮休息中
⑮休憩中,⑪帰宅後,⑮帰舎後,⑮就床中,@休日中,⑫雇用期間外,⑫不明,⑫その他(オートパイの
CC)
種類,大きさ等
'
9
. 現象がおきたときの天候
①寒い②暖い③晴④曇⑤雨⑥雪(現象がおきた時刻午夏
時頃)
1
0
. 現象がおきたときの本人の服装
1
. 着衣
防寒衣
かぶりもの
えりまき
はきもの
手袋(軍手,布製,毛糸,皮製),ハンドノレカパー,防風板,その他
1
1
. 現象がおきてから消滅までの時間
分間
1
2
. 現象がおきたとき,その箇所の感覚は,日頃と変らない。すこし
にぶい。
しびれる。
にぶい。
しびれる。
いくらか痛い。痛い。
1
3
. 現象がおきたとき,その箇所は,
冷たくない。
1
4
. 現象がおきたときその指は自分の意志で,
いくらか冷たい。
曲げられる。
冷たい。
曲げられない。
1
5
. 現象がおきたとき,その指で,物を握れる。握れない。物を持ち上げられる。持ち上げられない。
1
6
. 現象がおこる前に本人が気がついたれ感じたりする事項,変化してくる事項。
1
7
. どのような手段をとったら(日頃とる手段による)現象が消滅したか。
1
8
. 現象がおきたとき
第三者が確認している。確認していない。確認した場合は誰か。その氏名
1
9
. その他
(1) しびれ,関節痛等の有無
(2) その症状のある部位
(3) 発生時,その他
(以下管理医が記載すること)。
2
0
. はじめて現象がおきたときと最近おきたときの現象の状況
(1) はじめて現象がおきたときの現象の部位とおきた年月
I
:
作仲 l
l
押収
(2) 最近現象がおきたときの現象の部位とおきた年月
右
手昭和年
月
(404)
I
:
作例 l
l
刊悔い附年月
2
1
. 現象がおきる部位及び過去における腕,手指の負傷,病気等の状況
I
;
料引 l
M引z
2
2
. この現象について,健康診断以外に医師の診断又は治療を受けたことがあれば
病名
治療期間昭和
病院名又は医師名等
月頃から
年
月
日間
その結果は
どのような治療をしたか
2
3
. その他のレイノー現象に関連のある既往症
病名
治療を受けた病院等,治療内容,治療期間
その結果
I
I
. 診察
1
. 腕,手指,爪等の様子
2
. 血圧(最高血圧
/特に,診察時に自然の状態で蒼白現象を確認した場合は,その誘因と思われる L
l
l
事項その他本入の状態,服装等を問診の 8
,1
0に準じて記載すること。
/
)
最低血圧
3
. 心電図
4
. その他
i
l
l
. 蒼白現象の誘発
1
. 蒼白現象の誘発検査
区
分
上腕緊縛検査
i
両手冷水浸漬検査
LIBI
−−
fIIl1111
又聞と
認時こ
確’る
ら況す
か状入
後の記
漬でに
浸ま的
は認体
又確具
縛不を
緊は等
確認した
確認叩った|
2
. 蒼白現象の発現から消滅までの時間
分間
3
. 蒼白現象はどこにどのように現われたか。
:
I料
引 1判私1
:
4
. 蒼白現象写真(カラー)の有無
5
. 誘発検査によって,蒼白現象は確認できなかったが,検査中又は検査後のチアノーゼ\しびれ,痛みの有
金
正
日r
. 綜合所見
(症状に関するほか,健康管理上の所見,できれば指導区分の判定についても記入のこと)。
(405)
健 康 診 断 表 ( 第 2回以降)
様式 2
氏名
男
生年月日
明大昭
年
月
日生
女
採用年月日
明大昭
年
月
日生
振動機械の使用経歴
既往症
レイノー現象経歴
営林署名
事業所名
検診年月日
年
メ
I入
]
~
温
温
)
(
室
。
C
℃
)
蒼白現象の
発現状況及び
誘発検査
その他の症状
(関節,その他)
所見,治療
そ
グ
〉
他
記載事項
管理医,氏名
明
2
。
C
。
C)
。
C
。
C)
作
物
利
博
。
C
。
C)
(406)
昭和40年の実施要領で、はレイノー現象の誘発法として
上腕緊縛と手の冷水浸漬のみをとりあげているが,昭和
41
年(4
1林野厚第 1
3
5号,昭和4
1
年 3月1
6日)に誘発法
ウ 上肢のしびれ
1
. 検査
1の問診において, 1の( 2)のア,イ,ウの症状
のなかに全身冷暴検査を加えている。それは単車に乗車
を訴えた者について,その症状に応じ,次の各号の
または同乗させることである。
検査を実施するものとする。
2
年1
0
月26日の実施要領に従って行なわれ
現在は昭和4
(
1
) レイノー現象誘発検査
ア
ている。全文を以下にあげておく。
検査対象者
手指の蒼白現象を訴えた者。ただし,既に医
昭和4
1
年のものにさらに運動器の検査としてのレント
師が蒼白現象を確認した者,蒼白現象検出の見
ゲン検査,神経系の検査を加えている。
込みがないと認める者,または高血圧性疾患等
42
林野厚第 7
2
9号
2年 1
0月 26日
昭和 4
で,医師がこの検査を行なうことが適当でない
と認めた者については,検査の全部または一部
営林局長殿
を省略することができる。
林野庁長官
局所振動機械使用職員に対する健康診断の実施
要領の改正について
チェンソー,刈払機等の身体に局所的振動を与える機
械を使用する職員に対する健康管理をさらに積極的に推
進するため,当該職員に対する健康診断実施要領(昭和
40年 8月 1
6日付林野厚第 6
2
1号)を別紙のとおり改正し
たので遺憾のないよう実施されたい。
イ
検査方法
次の(ア),(イ),(ワ)の検査を医師が蒼白現象
検出に効果的であると判断する項目から順次実
施するものとする。
(
ア
)
を訴える方の手の上腕を緊縛して最高血圧よ
りlOmmHg 下げた状態で行なう。
支えないので申添える。
ただし,
この検査の緊縛時間は 5分以内でなければな
らない。
なお,既に従来の実施要領によって実施した健康診断
については,この改正実施要領による実施を省略して差
上腕緊縛検査
検査は血圧計のマンシエットを用い,現象
なお.検査実施途中で苦痛を訴える者につ
いては,検査を中止する。
(
イ
)
冷水浸漬検査
検 査 は , 水 温 4°Cの冷水に両手を手関節
局所振動機械使用職員に対する健康診断の実施
まで浸漬することにより行なう。ただし,検
要領
5分以内でなければならない。
査時間は 1
チェンソー,刈払機等の使用によって身体に局所的振
動を受ける職員(以下「局所振動機械使用職員」という)
なお,検査実施途中で胸ぐるしさを訴える
者については,検査を中止するものとする。
については,定期健康診断,採用時健康診断,配置換時
また,冷水浸漬検査を実施しようとする者
健康診断,復帰時健康診断および臨時健康診断において
については,心電図を検討し,既往症に心筋
2林 野 第 1
8
7
2号)第 1
0
国有林野事業職員衛生管理規程(3
硬塞を有する者および冠硬化の疑いのある者
条 第 2項 第 6号の,その他必要と認める検診として,次
は除外しなければならない。この場合の検討
の項目を付加して実施する。
対象とする心電図は概ね 2年以内のものとし
第 1. 検診項目
心電図のない者については,必ず検査前に心
1
. 問診
電図をとれ検討を行なうものとする。
(
1
) 問診対象者
局所振動機械使用職員全員とする。
(
2
) 問診事項
(
ウ
)
全身冷曝検査
検査は,軽自動二輪車等いわゆる単車に乗
車または同乗せしめることにより行なう。た
問診は,別紙局所振動機械使用職員に対する問
だし,運転時聞は概ね 30分以内,運転時速は
診表の要領によって,次の症状を問診するものと
5年法律 1
0
5号 ) に よ る 制
道 路 交 通 法 ( 昭 和3
する。(p
.
4
0
7 問診表)
限以内とする。
ア
手指の蒼白(レイノ}現象)
なお,単車運転については,安全および衛
イ
上肢の関節痛または筋肉痛
生管理に特に留意するものとし,免許証を有
(407)
局所振動機械使用職員に対する問診表
名
月
現職種
雇用
通勤徒
区分
法
営林署
機械使
植穴掘機
用年数
年 年
年
主な病気
病気になった
|
年
月
事業所
担当医
目H J
宇
品
ト品い
あ。
くえ
カ量 、し
予﹂。
﹀
﹂
IU
るい
れは
ぴ
の。
肢か
上す
はい
いつから
ト」
に|芝エ
勤
通勤
年
態
通勤と山泊の両方
どの位の期間医師
上肢のいたむことがよくあります
いいえ。
いつから
年
月頃から
時期は
夏
冬
年中
その時聞は通勤のとき(朝夕)
仕事中,帰ってから
夜ねているとき
朝おきたとき
山泊
今の状態はどうですか
手指が蒼白(レイノー現象)にな
ることがありますが。
はい。
いいえ。
いつから
年
月頃から
時期は
夏
冬
年中
その時間は 通勤のとき(朝夕)
仕事中,帰ってから
夜ねているとき
朝おきたとき
ヘ黒くぬって下さい J
/発現するところを﹂
下|とて
|こ下
欄|ろき
K
機
の治療を受けたか
はい。
K
K
K
材
どの位の期間
ヘ黒くぬって下さい J
f
いたむところを﹂
年
月頃から
夏
冬
年中
匁
その時間は通勤のとき(朝夕)
仕事中,帰ってから
え I.−ー\
夜ねているとき
た I -~·皐
朝おきたとき
方|れぬ
は|るつ
集
人員輸送車
自転車
イ木みましたか
か。
時期は
歩
K
チエンソー刈払機
と
課
日生
オ
今までにかかった|
•I
満
年
明大昭
氏
も
記
入
し
て
下
左
き
し
、
参考(その他の自覚症状)
注
1
. 通勤方法の K数は,片道とすること。
2
. 機械使周年数は, 1事業年度単位とすること。
右
(408)
⑧
健康診断表(局所振動機械使用職員)
男
氏
名
採用
大
昭
大
月日
女
年月日
明
生年
年
日生
月
e
g
営 林 署 名
年
身長
既往歴
月
日
事 業 所 名
cm
雇 用 区 分
職
検診年月日
年
年
令(満)
オ体重
自
覚 症 状
一
自
主
検
査
振動機械の使用歴
運機
動能
器検
の査
神の
経検
系査
レイノー現象経歴
種
レ
ー
血
圧
現
視
=
ロ
5
ム
み
触
~~ト
月
オ体重
日
k
g
∼
》
レントゲン
触
A
見
且
.,
痛
覚
訴
え
状
兄
j
石
室
三
P刀
C
、
品
状
況
誘発検査
所
見
その他の検診
総 合 所 分 )見
(指導区
苦
ロ
;
人
:
,
.
k
g
年
その他
象
その他事項
一
日
心電図
イ
ノ
月
断
医
管理医氏名
事 後 措 置
門
川
右
左門川 左
左
門
川
右左
門
川
右
主 号 冷冷
水曝
|確
項認
目|
吋曝認
|
全縛
身冷
項目
(409)
⑧
健康診断表(局所振動機械使用職員)
男
氏
名
明
生年
大
月日
女
年
月
日生
a
g
営 林 署 名
事 業 所 名
雇 用 区 分
1
歳
種
検診年月日
年
月
年
令(満)
オ
体重
自
覚症状
一
骨
主
検
査
血
圧
年
月
k
g
日
年
月
日
k
g
∼
∼
k
g
∼
心電図
その他
運機
動能
器検
の査
視
雪
p人
o
.
再
虫
診
神の
経検
系査
触
覚
痛
覚
レントゲン
訴え状況
レ
イ
ノ
確認状況
現
誘発検査
象
所
見
その他の検診
総 合 所 見
(指導区分)
苦
ロ
"
九
'
"
日
断
医
管理医氏名
事 後 措 置
左
門
川
右 左
門
右
判
例肺
左
門
川
右 左
肺
門
右
門
川
緊
?
咋
語
|
緊縛, i
令水 確認
全身 i
令曝 項目
全
J
令曝項目
監 ま
全
i
令吋
曝 項認
目
l
(410)
しない者については,必ず免許証を有する者
の運転する車に同乗せしめるものとする。
(
2
) 運動器の検査(上肢の関節の腫脹および筋肉ま
たは骨の変形検査)
ア 検査対象者
以上のような操作時間に 2時 間 の 規 制 が き ま っ た の
で,当然,要員増が必要になる。その要員の配置換の時
の健康診断については以下のような留意事項が林野庁長
官から各営林局長に対して通知されている。これはいわ
ゆる振動障害に対する診断というより,振動工具を使用
上肢の関節痛または筋肉痛を訴えた者。ただ
する前に故障のある者,影響をうけやすいと思われる者
し,(イ)のレトゲン検査は,当該訴え者のうち
を選別して,振動の影響を出来るだけ小さくしたいとい
医師が必要と認めた者に限る。
イ 検査方法
(
ア
)
視診,触診
(
イ
)
レントゲン検査
うことである。その目的がこれで全て満足されるかどう
かはわからないが,一つの努力である。
45林野厚第 4
3号
昭和 45年 2月 2
0日
レントゲンによる検査部位は,上肢の必要
営林局長殿
部位とする。
林野庁長官
(
3
) 神経系の検査
ア検査対象者
上肢のしびれ,または蒼白現象を訴えた者。
イ 検査方法
チェンソー・ブッシユクリーナー使用者の要員
に対する配置換時健康診断の実施について
(
ア
)
触覚検査
さきに決定したチェンソー・ブッシュクリーナーの操
(
ロ
)
痛覚検査
作時間の規制実施等に伴う要員の選考については,健康
(
4
) 精密検査
前記各号の検査結果に基づき,医師が必要と認
める検査。ただし,研究目的の検査は含まない。
第 2. 記 録
検査の結果については別紙様式によれ健康診
.
4
0
8
,p
.
4
0
9
)
断表を作成するものとする。(p
C
. チェンソー・ブッシュクリーナー使用者の要員
に対する配置換時健康診断
振動障害は手持振動工具による影響によって発生する
管理面から「局所振動機械使用職員に対する健康診断の
2
,1
0
,2
6付け 42
林野厚第 729号」に基づく
実施要領(4
配置換時健康診断を実施すベくそれぞれ準備中のことと
思われる。
ついては,当該健康診断の実施に際しては,別紙「配
置換時健康診断実施上の留意すべき事項」を了知のうえ
振動障害予防の万全を期するよう配意されたく通知す
る
。
配置換時健康診断実施上留意すべき事項
のであるから,その操作時間を短かくすることが障害発
チェンソー・ブッシュクリーナーの操作時間の規制に
生を少くするであろうということは当然考えられるとこ
伴ない必要となる要員に対する配置換時健康診断〔局所
ろである。昭和4
4
年( 1
9
6
9)のはじめ国有林の振動障害
振動機械使用職員に対する健康診断の実施要領(昭 4
2
.
者が対策を要求して大挙上京したことではじまった当局
1
0
. 26付林野厚第 729号)〕については,次の事項を留意
と組合との話し合いは昭和4
4
年 12
月 6日の林野庁と全林
の上実施するものとする。
野労働組合,日本国有林労働組合との聞の「振動障害に
関する協定5)」に結実した。
この協定のなかで、振動機械の操作時間規制についてき
I 問診
次の事項について,別紙問診表(p
.411)により実
施すること。
めているが,それによると「ア,振動機械を使用する場
1
. 家族歴
合の操作時間は, 1人につき 1日2時間以内,週 5日以
2
. 既往症
内および月 40時間を限度として規制するものとし,連続
操作日数は 3日をこえないものとする。イ,一連続操作
時間はチェンソー 1
0分,刈払機30分を基準として,操作
3
. 現症
I
I 検 査 (p
.412健康診断表参照)
次の検査をできるだけ実施すること。
時間の割振りについては,それと同程度の時間を振動機
1
. 握力測定(スメドレー式握力計による)。
械から離すため,休憩時間のその他の作業を組合わせる
2
. 聴力測定(オージオメーターによる)。
ことを基本として,具体的には下部で協議するものとす
る。(以下略)」
a+2b+2c+ d
6
式により結果を算出するほ
(411)
5
1
1
J
紙
配置換時健康診断問診表(振動機械使用職員)
明大昭
年
月
日生 i
前
配置換予定職種|
オ
雇用区分
営林署
事業所担当区
|その他|
問診者記入欄
1
5
・
凡
ー
1
. 家族に寒いとき指の白くなるような人がありますか
ム
はい
いいえ
族
2
. 家族に高血圧,中風にかかっている人あるいはそれでなくなった人がありますか
はい
いいえ
歴
3
.
はい
いいえ
1 指が白くなったことがありますか
はい
いいえ
2
. 頭の骨に傷をしたことがありますか
はい
いいえ
3
. 頚椎,脊椎または腰椎をいためたことがありますか
はい
いいえ
4
. 四肢の骨をいためたことがありますか
はい
いいえ
5
. 手指に傷あとが残るような外傷をしたことがありますか
はい
いいえ
6
. 腰痛,筋肉痛または関節痛になったことがありますか
は
し
、
いいえ
7
. 耳の病気をしたことがありますか
はい
いいえ
1
. 足がひどくだるいことがありますか
はい
いいえ
2
. 手 足 が 冷 え , い わ ゆ る 「J
令え症」ですか
はい
いいえ
3
. よくいらいらしますか
は
し
、
いいえ
4
. よくめまいや立ちぐらみがおこりますか
はい
いいえ
5
. 少し,体を動かして動俸がしますか
はい
いいえ
6
. 手のひら,足のうらに汗(油汗を含む)をかきやすいですか
はい
いいえ
7
. ヒビ,アカギレができやすいほうですか
はい
いいえ
8
. 頭痛持ちですか
はい
いいえ
9
. 寒さに弱いほうですか
はい
いいえ
1
0
. 手が込るえる亡とがありま 7すか
はい
いいえ
1
1
. 胃,胸やけ,げつふ。が常時しますか
はい
いいえ
1
2
. 寒いときなどに手主旨がしびれますか
はい
いいえ
1
3
. 物がにぎりにくいことがありますか
はい
いいえ
1
4
. 寒いときに手がちぎれるようにいたみますか
はい
いいえ
既
往
症
現
症
そ
σ
〕
他
(412)
配置換時健康診断表(振動機械使用職員)
目
日
年日
年月日奇
家族歴
年
月
日
年
大
明
月
年
検診年月日
種
職
営林署
才
現職種
日
月
|配置換予定職種
雇 用 区 分
k
g
身長・体重
既往症
一
血
圧
青
空
検
尿
検
d
、
し
電
図
査
そ
の
他
ネ
且
き
.
,
.
九’
触
号
日
九
"
'
握
力
∼
蛋白
+
+
十
0 B
STT
運
動
器
σ
〉
現症
機
古
色
検
査
レ 肘関節
ン
ト頭
キ
住
ゲ
ン 腰
生
キ
検
査 その他
そ
神
職歴
経
系
検
査
の
覚
痛
A
見
i
ι
,
自律神経機能
そ
の
の
査
他
直後
水令浸
漬前 水
J
令度
温
室
i
且 J
護
水
4
援
合
6分
2分
3分
7分
8分
9分 1
0分
6
聴力
右
d
b
左
総所
診断医
合見
管理医
注
1分
Hz 500 1,000 2,000 4,000 6,000 a+2b+2c+d
他
検
他
触
そ 皮膚温検査
その他事項
k
g
右
皮膚温検査を( 1
)の方法で実施した場合は,直後欄に右, 6分欄に左と挿入し,右欄へそれぞれ第 1指から第 5指までの
測定値を記入すること。
(413)
か別に 6,000Hz についても測定すること。
置換時健康診断の受診対象者(要員)から除外す
ること。
3
. 皮膚温測定(皮膚温計による)。
皮膚温測定は,次の( 1
)
, (
2)のいずれか一方法
によること。
(
1
) 2
0∼23°c の室温に 3
0分以上安静にして,
左
右各 5指の指先の皮膚温を測定すること。
(
2
) 手指の温度をあらかじめ自然の状態で測定す
る。その後(片手)全体を冷水に 1分間浸漬し,
0分間手指の
引き上げた直後および 1分ごとに 1
温度を測定して,その変化を追跡すること。こ
の場合,冷水の温度 4°c
,室温 1s0c前後が望
第 4また
ましい。なお,測定部位は,左第 3'
は第 2のいずれか 1指とすること。
4
.
レントグン撮影
肘関節,頚椎,腰椎を各 2方向から撮影するこ
と
。
5
. 血圧測定
既往の健康診断等による測定結果が活用できる
場合は省略することができる。
林野庁と労働組合との間で、振動障害についての団交が
もたれて,振動工具の操作時間の規制について話し合わ
れている昭和4
4
年( 1
9
6
9)に,労働省に局所振動障害予
防対策委員会(座長三浦豊彦)が設けられ,振動障害の予
防について検討を加えていたが,その答申に基づいて,
労働省労働基準局長は都道府県労働基準局長宛に「チェ
ンソー使用に伴う振動障害の予防について」通達(基発
第1
3
4号,昭和4
5年 2月2
8日)を行なっている。このな
かでもチェンソーの操作時間を 1日.
2時間以内に規制す
ることをあげているし,健康診断については以下のよう
に通達している。
「チェンソーを使用する労働者に対して雇入れの際及
び 6ヶ月ごとに一回,定期に次の項目について健康診断
を行なうこと。
(
1)第 1次健康診断
イ,職歴調査
6
. 検尿
ロ,問診,視診,触診(手指蒼白,しびれ,こわばれ
蛋白,糖の検査をすること。
疹痛,振せん,脱力感,冷感,爪の変化,指の変形,皮
7
. その他
可能であれば自律神経機能検査をすること。
i
l
l 問診および検査の結果
I, I
Iの問診および検査の結果,次に該当する者
は管理医(検査担当医)の所見を得て,要員から除
膚の異常,骨・関節の変形異常,上肢の運動障害,筋萎
縮,圧痛)
ハ,触覚,痛覚の異常
ニ,爪圧迫テスト
ホ,皮膚温
くよう努めること。
へ,血圧
1
. 特に握力の弱い者
注)特に握力の弱い者とは,握力が概ね右35kg
ト,握力
(
2)第 2次健康診断
左30kg以下の者とする。
2
. 肘関節,頚椎,または腰椎にレントゲン像上病
第 1次健康診断の結果,医師が必要と認めた者につい
ては,次の項目のうち医師が必要と認めたものを追加し
的異常のある者
て行なうこと。
3
. 皮膚温測定結果
(
1
) (
1)の方法による測定結果,皮膚温の左右差
(平均値)が 3°C以上ある者,
D
. 労働省労働基準局通達にみる診断項目
または皮膚温が
著しく低い者(25°C 未満)
(
2
) (
2)の方法による測定結果,皮膚温回復の著
しく遅延する者
4
. 両耳共聴力損失が 30db以上の者
5
. 高血圧または,低血圧で治療を必要とする者
イ,末梢循環機能検査
ロ,末梢神経検査
ノ、,運動機能検査
以上は大体,日本産業衛生協会の局所振動障害研究会
の案が参考にされているが,これだけではちょっとわか
りにくいかも知れない。
I
I
I
. 振動工具による振動障害の診断
6
. 問診,検査で適当でないと認められる者
I
V その他
1
. I, I
Iの問診および検査の項目以外に管理医が
適当と認める項目がある場合は追加して実施す
ること。
2
. 年齢50
歳以上の者は,原則としてあらかじめ配
以上の各資料も参考にしながら,われわれは一応振動
障害の診断について討議し,以下の結論に達した。
A
. 自覚症調査
振動障害については自覚症調査はかなり重要な意味を
もっている。
(414)
全般的にいって職歴,機械使用歴などは本人の記憶だ
安静冷水浸漬前と冷水浸漬直後, 5分後, 10分後にレ
けでなく,公式の記録でもあればそれを利用した方がよ
イノー現象のもっともよくおこるという指の爪を検者の
い。案外記憶は不正確なものである。
母指と示指で 10秒間圧迫し,爪の退色がもどるまでの時
.
4
1
5
4
1
7
)
次に自覚症をしらべることになるが,次表(p
のような調査票にあらかじめ各人に記入を求め,これに
基ずいて問診をすることにする。
自覚症調査の内容は現在の白ろう様変化,手指のしび
間を秒時計で測定する。レイノー現象のない者は中指を
対象とする。
4
) 神経機能検査
①痛覚
ろ,いたみ,はれ,ふるえ,こわばり。腕のだるさ,し
②触覚,温冷覚
びれ,いたみ。手首のいたみ,はれ。肘,肩のいたみ。
①振動覚(皮膚温を同時に測定)
手足の冷え。足の蒼白などの症状の有無,症状のある月
などをわかるようにする。
5
) 握力
C
. 第 2次健康診断(精密検査)
次に蒼白の発症にともなう他の症状もたずねることに
第 2次健診は第 1次だけでは,他の疾患との鑑別が困
なる。蒼白以外の症状は(5)できくことになる。(7)で
難な場合,治療の方針の決定,予後の判決,管理区分の
決定などの必要のために行なうものである。
は現在までの治療と効果についてきている。
B
. 第 1次健康診断(スクリーニング)
1
) 自覚症,職歴調査
1
) 自覚症調査
第 1次健診と同様と考えてよい。
上記の自覚症調査票を使用して行なう。
2
) 問診,視診,触診
2
) 問診,視診,触診
第 1次健診に準ずる。
① 手指,
(足の指)の蒼白
3
) 末梢循環機能検査
②
しびれ(足のしびれと同じ感じ)
①
@
こわばり
本人の訴えがはっきりせず,レイノー現象がありそう
④ 疹痛
⑤振顧
@ 脱力
⑦
厭冷
@ 知覚鈍麻
レイノー現象の確認,誘発
だがはっきりしない場合に行なう。
方法は人工気候室( lOOC) に 60分間滞在し,手の冷
水浸漬を行なう。冷水温度は 10°c位でよい。
②容積脈波及び指尖血流量
@ 毛細管顕微鏡所見
@爪の変化(きれつ,変色,変形など)
④ 寒冷血管反応(ハンティング現象)
⑩指の変形(拘縮,はれ,など)
4
) 神経機能検査
@皮膚の異常(皮膚の肥厚,きれつ,など)
① 一般検査(反射など)
@骨・関節の変形,異常(はれ,屈曲など)
②痛覚
@上肢の運動障害
①触覚
@筋萎縮
④振動覚
@圧痛
@ その他
3
) 末梢循環機能検査
⑤筋電図
上肢諸筋,ことに手の筋,前腕諸筋,上腕三頭筋,必
要があれば,下肢筋も検討する。
①血圧測定
5
) 運動機能検査
@ 皮膚温の測定
レイノー’現象の発生指のある手を 4.5士0.5°C の撹梓
① 上肢の運動範囲の測定
② タッピング検査
冷水中に 10分間浸漬し,冷却手と同時に反対側手の手指
タッピングを 3
0
秒行なう。
未節背側でサーミスター温度計を用いて,浸漬中および
@ 骨,関節の X線検査
その後10分間の皮膚温変化を 5分毎に観察する。ただし
検査中胸ぐるじさを訴える時は中止する(測定時の室温
5
度),胸椎,腰椎,肩肝関節,肘関
頚椎(前後,斜4
節,手関節および手を検査する。
は20C。前後とし,少くとも入室3
0分以上安静にして測
④ つまみカ(ピンチ)の測定
定する)。また心電図も検討し,既往症に心筋硬塞を有
6
) その他医師の必要と認める検査
するもの,および冠硬化の疑いある者は除外する。
①爪圧迫テスト
7
) その他医師が鑑別に必要と認める検査
その他症状や,治療効果の判定のために以下の補助診
(415)
振動工具使用者自覚症調査(昭和
姓名
年齢
年
月
日調査)
職種
1
. 利手:右,左。
2
. これまでの病気やケガ
(工具使用の前
工具使用開始以後
3
. 現在の症状
有状
症
無の
ト
一
一
一
一
一
一
一
ー
ー
回
目
ー
ー
ー
あな
りし
手がひえやすい
1指
白
ろ
右
2指
3指
4指
7
5指
1指
様
変
左
化
2指
3指
4指
5指
しびれる
手
いたむ
はれる
十
旨
ふるえる
こわばる
だるい
腕
しびれる
いたむ
手
首
いたむ
右
左
右
左
右
左
右
左
右
左
右
左
右
左
右
左
右
左
はれる
肘がいたむ
肩がいたむ
右
左
右
左
右
左
足 がi
令え易い
足が白くなる
し(ま症
状
て工っ
1日のうちで発生する時期
1年のうちで症状のある月
床
起
櫨
朝出仕休退就就 一二三四五六七八九十十十
両
年
目
市
是
臣
年
た
の
i
ヒ
ま
勤事憩勤床床
時中中時前中
月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月
(416)
0 白ろう様変化の出る部分を斜線で示して下さい。
(注:手掌,足の裏の絵に書き入れること i
)
(手のひら)
(足のうら)
4
. 症状の経過
振動工具の機種の変化や仕事の変化で症状が変りましたか。それはいつ頃ですか。
5
. 白ろう様変化の発生について
随伴症状
不
し
痛
i
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夫
な
覚
ぴ
じ
れ
手
手
腕
不
体
カ
宮
1
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カ
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体
全
体
冷
カ
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え
主
抱
感
変化の経過
日
生
わ
わ
え
、
わ
し
ば
ば
ば
込
ま
l
る
る
る
む
る
る
白くなりかける時
白くなった時
もどる時
0 白くなりかけた時にそれを防ぐ工夫を何かしていますか。
0 もどるまでの時間:
0 もどすためになにか工夫をしていますか。
0 白ろう様変化がどんな時にどんなおこり方をしたかを
2
' 3の例で示して下さい。
(
例 1)川で、泳いでいて体が冷え,上ってきたら白くなった一左第 2
, 3指
。
3
' 4指。
(
例 2)山中で夏,夕立にうたれたあと体が冷え白くなったー右第 I,左 ・
0 白ろう様変化がおこならない様に日常なにか工夫をしていますか。
が
苦
』F
わ
1
旬
し
、
(417)
6
. 指が白くなっていないときでも,次のような症状がありますか。
有状
症
無の
て(ま症
状
o具体的に苦になること,やりにくいことに O印をつけて下さい。
目工っ
相
か
年
語
具
を
年
た
の
l
ヒ
主
(こ、に記入した以外のことがあったら記入して下さい。)
ト一一ーーー-~ーーー一一
あな
りし
し
手で風呂の湯かげんがわかりにくい。あついものが平気でもてる。 i
令
温度の感じについて
たい水の感じが少ない。
ケガをしてもわかりにくい。ナ旨がはさまれでもわかりにくい。さわっ
触角・痛覚について
た感じがにぷい。
湯ざめしやすい。こたつを入れてねるようになった。寒さに弱くなっ
{本の i
令えについて
た。厚着をするようになった。方イロを使う
腕時計のねじがまきにくい。ボタンがはめにくい。字を書くとはやく
指の動きについて
疲れる。うまく書けない。
手の動きについて
物がにぎりにくい。たばこをおとす。箸がうまくにぎれない。
腕の動きについて
重い物をもっと疲れる。なが〈手を上げていられない。腕に力が入り
にくい。冷えこむとオートパイのハンドルがあやつりにくい。腕がこ
わばる
肘 の 動
き
肘が動かしにくい。
の感
じ
耳
耳鳴りがする。腕時計の音がきこえにくい。話し声がきこえにくい。
話し声が大きくなる。テレビ,ラジオの音を大きくする。
腰につわて
腰がだるい。時々痛い。いつも痛い。
上記のほかに次のような症状があったら, 0印をつけて下さい。
っかれやすい。頭が重い。頭が痛い。物忘れをするようになった。めまい。いらいらする。音がうるさい音が気
になる。ねむりにくい。手に汗をかきやすい。食欲がない。胃の調子が悪い。
7
. 噌好について
過去|現在
音大物
喫煙
8
. 症状のあるために治療を受けたり仕事の内容を変こうしたことがありますか。
症
治
療
(薬,マッサージ,
はり,灸,その他)
工具・仕事の変化
(使用工具の軽減
配置換など)
状
年月より
どんなことをし
年月まで
ましたか。
そ
よくなった
の
結
変らない
果
悪くなった
(4
1
8)
断を行なうことがある。
a
. 自律神経機能検査
b
. 内分泌機能検査
①
血清 P
.B
.I
.(
P
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. 蛋白結 合
ヨード)値の測定
②
T.S.H. (ThyroidS
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gHormone 甲状腺
刺激ホノレモン)検査。
c
. 神経機能検査
③
脳波検査
D
. 健診の時期および対象
健診の時期その他は次のように考える。
(
1)定期健診は年 2回行ない
, 1回は寒冷の時期であ
る11月∼ 3月の 5ヶ月間に実施す るがよい。
(
2
)定期健診の対象は現在振動工具を使用しているも
のの外,過去に振動工具を使用した経験があり,かつ障
害を残すものを含むこととする。
(
3)振動工具を使用す るものについては振動障害に関
する健診のほかに,聴力検査,腰痛に関する健診を並行
して実施するようにしたい。
I
V
. 健診項目中のニ,三の特殊診断項目に
ついて
健診項目中には,二三新しいものもあるし,方法自身
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寒冷血管反応測定用魔法ピン
にわたって 1分間隔でよむか,
自動記録装置に記録す
が一般化されていないものもある。今後開発されねばな
る。被験者が指を挿入する容器は,大型の魔法ビン 7)
を
らぬものもある。そこでいくつかをひろい出してみるこ
用い(図 1参照)。氷の小片を充分いれ,小型の撹持器
ととする。
でたえず氷水を撹持し,氷水温を O∼0.
5
°Cに保つよう
A. 寒冷血管反応の測定
にする。氷水に挿入する中指以外の手を支えるために魔
手足をきびしい寒冷に暴露すると,そ の部分の皮膚温
法ピンには指の 4本の入いる穴を明けたプラスティク板
は急速に低下する。しかしある程度まで皮膚温が低下す
がおいてあり,したがって 4人の被験者を同時に測定す
ることが可能である。
ると,指やE
止に存在する動静脈吻合は聞いて,手足の温
度をあげて一定温度以下に下らぬようにして,凍傷にか
氷水中に3
0分間浸漬した指の皮膚温のハンティング現
からぬよう四肢末端を保護している。このような動静脈
象を 3
0分間観察した後に,氷水中から指をあげて,皮膚
吻合の開張による血管の反応を寒冷血管反応または指駈
温の回復を 1
0分間観察する。
皮膚温のハンティング現象( hunting r
e
a
c
t
i
o
n)とよん
図 2は山林の振動工具使用者のなかでレイノー現象の
でいる。この寒冷血管反応を診断に利用しようというの
ある者と,一般山林労働者のレイノー現象のない者,し
である。
びれを訴えているものの寒冷血管反応の中央値を比較し
寒冷血管反応の測定法は吉村,飯田 5)の方法による。
たもので,レイノー現象の有症者と無症者を比較す る
c の室温の中に被験者を静座させ,
この方法は 22∼24°
と,図 2のように血管反応の大きさ(寒冷血管反応の発
その左中指末節背面(レイノー現象のある時は,発症側
現した最低皮膚温と血管反応のさいに上昇した皮膚温の
の発症指で比較してもよ U、)に銅・コンスタンタン熱電
最高温度との差)はレイノー現象有症差で、小さく,しび
対を粋創膏で貼付し,その上にワゼリンを充分に塗布し
れ感のみを訴えるものの血管反応の大きさは大であ る
。
て間隙をなくし, 7
<
]が浸み込まないようにする。このよ
レイノ ー現象が次第に回復して血流がおこりはじめる時
うに準備した指の皮膚温のコントロール値を約 5分聞に
にしびれがひどいことなどを考えあわせると説明されぬ
わたって測定し,皮膚温が一定の値に達 し,対象値が得
こともないが,これらは検討を要する点がなお多い。
られるような同ーの温度になった時に,指をその第一節
まで O。
C の氷中水に浸潰し,指の皮膚温変化を 3
0分間
B
. 振動感覚の測定
振動感覚の測定には振動子の中央に指先をあて, 125
(419)
.
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山林労働者の寒冷血管反応
カッコ内の数字は人数
Hzの振動を短時間負荷して,振動感覚のおこる振幅を
域値として測定する。
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林業労働者の指先の振動感覚域値
振動感は指先の皮膚温と相関があるので指先の皮膚温
ではなく,全体の重量が 1.5g で正常者でチクリと針の
が20°c 以下にならないようにするためには,室温は冬
さす感じがでる程度のものということで経験的にきめた
でも 20°c以上に保つ必要がある。
ものである。痛覚の域値はこの皿の上の分銅の重量であ
図 3は振動感覚域値測定結果であって,一般事務作業
者の標準値(20gal)
を OdB としたものであって,レイ
ノー現症のある者やしびれ感その他の訴えのある者に振
動感覚域値の大きなものがあることがわかる。
C
. 痛覚の測定
痛覚はこれまで熱輯射を用いることが行なわれている
がベどこの部位でも簡単に出来るというわけでもな
名の正常な研究者の域値は Og が 1
5名
, 0.5
らわす。 20
が5名であり, 2g以内を正常と判定する。
;
n
. 指のつまみ力(ピンチ)の測定
i
ベリリウムカッパ}の板 2枚をむきあった孤状にはり
内部にストレンゲージをはり,母指と他指との聞のピン
ヂを歪針で測定する。図 5は測定時の様子であり,結果
は図 6のようである。
い。そこで針を用いる簡単な方法を採用することにし
また KIFA社製のピシチ測定器も使用出来る。
た。山田信也は図 4のような針を使用して,皿の上に分
E
. 冷覚の測定
径 2.7cm の金属性の筒に氷を入れて, 手背にあて,
銅をのせて,測定している。針先の径など理論的なもの
(420)
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冷痛覚発生までの潜伏時間
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fPinchingGrip
ス トレ ンゲ ージを 用いたつまみ力の測定
冷痛の発生するまで、の潜伏時間を測定した。正常者では
冬に 30秒以内であるが,レイノー現象のあるものや,し
びれのある者ではかなり潜伏時間は長くなる(図 7)。
(421)
2.7cm という径は特別の意味はない。身近かにあった
ものを選んだだけにすぎない。
おわりに
振動工具による振動障害の診断については,これまで
も日本産業衛生協会の診断項目,林野庁の診断要領,労
働省の健診項目など色々ある。このうちとくに日本産業
衛生協会のものを中心にして討議を行ない,加除して原
案が出来あがった。一方自覚症の調査についても簡単に
記入をもとめて,さらに質問して確かめるという方法が
とれるように,調査票をつくった。
健診項目のなかにも,一定の術式のきまっていないも
のもあるので,その二,三については方法も記載した。
診断にあたっての判定についてはまだ充分討議の上決
定するまで、にはいたっていない。
さらに振動障害の管理区分,たとえば休業が必要であ
るか,配転が必要で、あるのか,そうした点を判定すると
いう点までは討議がおよばず,後目を期したこともつけ
力日えておきたい。
われわれは討議の結果,この診断項目を提案している
のであって,なお不充分な点が多い,この点は世の識者
の教示を得て一層完備したものにせねばならぬし,判定
基準については今後なお研究調査によって多くの同意を
得た基準の決定が必要であろう。
(この診断項目には日本産業衛生協会局所振動障害研
究会の委員の人々の意見が多くとりいれられている。記
して感謝の意を表したい。なお,診断項目その他の文献
はあげてないが,それぞれの項目の参考文献は文献(1
)
(
2)を参考にして貰えれば幸である。)
参考文献
1
)三浦豊彦・外:局所振動障害としての職業性レ
イノ}症候群,労働科学. 4
2(
1
1
)
,7
2
5
7
4
7
,1
9
6
6
.
2)三浦豊彦・タい林業機械ことにチェンソーの振
5
動・騒音による障害とその対策. 労働科学, 4
(
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4)局所振動障害研究会:局所振動障害研究会記録
(
第 1次,第 2次健診大綱),産業医学, 1
0
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6
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5)林野庁・全林野の「振動障害に関する協定 J
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7)平位喜七郎・外:寒冷血管反応による局所耐寒
性測定法に関する吟味ならびに海女の寒冷血管
反応,日本生理学雑誌, 3
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)
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.
8)木村菊二:環境気温の痛覚におよぼす影響.労
働科学, 3
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(受付: 1
9
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0年 4月 4日
)
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