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報告書 - 神奈川県

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報告書 - 神奈川県
多文化共生社会の実現に向けた
神奈川県の取組みの現状と課題
2013年3月
かながわ国際政策推進懇話会
目
Ⅰ
次
序論 ..................................................... 1
かながわ国際政策推進懇話会の改組と再出発 ............................... 1
Ⅱ
国際化の現状 ............................................. 1
グローバル化・国際化と大規模災害の発生 ................................. 1
Ⅲ
1
2
3
4
Ⅳ
取り組むべき課題について ................................. 4
社会生活 .......................................................... 4
教育 ............................................................. 11
防災 ............................................................. 23
団体(NGO・NPO)と県民による支援 ............................ 28
今後の施策の方向性について .............................. 36
Ⅴ参考資料 .................................................. 38
Ⅰ
序論
かながわ国際政策推進懇話会の改組と再出発
かながわ国際政策推進懇話会は、「新かながわ国際政策推進プランの推進と、国際社会
の変化に対応した神奈川の国際政策のあり方について協議するため」(同懇話会設置要綱
第1条)、1991年に設置された。
同懇話会の助言も得ながら、神奈川県では1998年に外国籍県民かながわ会議とNGOか
ながわ国際協力会議(以下、「NGO会議」)を創設し、車の両輪として、神奈川県の国
際化を進め、外国籍県民の県政参加を援けるため提言を行ってきた。しかしNGO会議に
ついて、6期にわたる同会議の活動の結果を顧みると、審議し提案するテーマ・内容が一
部外国籍県民かながわ会議と重複しがちで、また専門的知識・見識をもつNGO・NPO
代表者が県政に対し提言を行うという点では、かながわ国際政策推進懇話会(以下、「懇
話会」)の機能と一部重複することが判明した。そこで、検討の結果、2011年4月、NG
O会議の趣旨、役割を活かすため、これを懇話会に統合し、後者の全体の活性化を図るこ
ととした。
したがって、懇話会は、NGO代表者を新たに委員に加え、従来以上に県内のNGO・
NPOによる県民支援の活動の状況を知ることに努めながら、NGO・NPOの視点から
も意見をまとめ、提言をすることとした。そうした評価や課題の提示のため、数期にわた
り中断してきた「かながわ国際政策推進懇話会報告書」の作成を復活することにした。そ
れが本報告書なのである。
以上の意味で、懇話会にとり、今期は改組と再出発の時となっている。
また、外国籍県民かながわ会議に対しては、その独自性を尊重しながらも、懇話会から
の協力が必要であると考え、今期より意見交換の合同会議を年に一回程度開催することに
した。外国籍県民かながわ会議は、上述のように1998年に創設された、公募による外国籍
県民の代表者20名以内によって構成され、審議、提案を通じて県政参加をめざす機関であ
り、第7期(2010~2012年)には「防災(外国籍県民の防災意識の向上、多言語防災情報
の改善)」「社会(多言語情報の提供、緊急時医療通訳、福祉・介護分野での支援、イン
ドシナ難民定住者への支援)」「教育(国際理解教育、学習サポート、外国人学校へのサ
ポート)」という提言をまとめている。懇話会は、同会議が行う審議、および提案を理解
し、県の施策等においてその実現が可能になるように懇話会としてサポートしていく。
Ⅱ
国際化の現状
グローバル化・国際化と大規模災害の発生
2008年のリーマン・ショック、さらにそれとは無関係ではないヨーロッパ・ユーロの下
での財政危機は、世界の多くの国を通じて経済活動に打撃を与え、雇用の危機(失業、非
正規雇用の増加)をもたらした。殊にユーロ危機が、安全な通貨とみなされる円買いを促
した結果、円高がいちじるしく進み、日本の輸出頼みの産業を困難に陥れた。その後、円
1
高の修正は若干進んだが、雇用の改善を伴う経済の復調は依然としてみられない。
日本在住の外国人人口がリーマン・ショック後の3年間に5%程度減少し、反対に海外
在留邦人が同じ時期にそれ以上のテンポで増加しているのは、製造労働に従事していた外
国人の失業・帰国、日本企業・工場の海外移転をそれぞれ一部反映していると考えられる。
このことは、もともと日本人以上に、非正規雇用に就いていた外国人の経済状況の悪化
を生み、たとえば子どものため就学援助を申請する家庭を増大させている。これまでにな
かった「日系人就労準備研修事業」(2009年度(平成21年度)から日系人の集住地域で実
施)のような政府側の対応をも生んでいる。
2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故は、死者・行方不明者1万
9千人近くと推定される直接の人的損失だけでなく、避難その他で生業など日常生活を奪
われた人々が少なくとも30万人を越え、日本の経済、社会に限りなく大きな打撃を与えた。
その全容の推定さえいまだ困難である。今回の原子力発電所の大規模な事故それ自体は、
その制御および廃棄物処理がきわめて困難な技術(特に原子力)の問題をどう解決してい
くかという課題を提起した。原子力発電依存からの脱却は不可避であり、日本全体の課題
としてではなく、それぞれの地域社会、特に一大電力消費県である神奈川県の課題として
真剣に検討されなければならない。
外国人の被災者が特に多かったという事実はないが、日本人の配偶者等として地域に暮
らしていた外国人で被災した人々はあり、避難所等で言葉や情報に関する配慮は必要であ
った。技能実習生や留学生等で母国からの指示もあって急遽帰国した者は少なくなかった
とみられる。これら母国政府に、地方自治体と外務省が連携し災害についての正確な情報
を提供することも、今後の課題であろう。また地震・津波等に慣れない外国籍県民への適
切な情報提供と、避難等の日常の訓練の必要は、諸自治体でも痛感されるようになった。
同時に神奈川の外国籍県民のなかには、被災地において継続して支援活動を行ったり、コ
ミュニティ内で募金活動を行う者などが少なくなく、彼らが災害の際に要援護者であると
同時に支援をする立場でもあることが明らかになった。今後、地域における防災訓練への
参加や防災教育により、災害時の支援を含めた地域づくりの担い手が増えていくことを期
待したい。
グローバリゼーションの影響は国際的な人の移動にも現れている。リーマン・ショック
と不況の影響などにより、過去数年、日本の在住外国人数は若干の減少をみているのは事
実である。しかし、ITによる情報や国際的な斡旋ビジネスの存在により、これまで日本
と繋がりの比較的薄かった、小国に属するような国からの来日者も増している。在留外国
人統計にみるネパール、スリランカ、ルーマニア、ナイジェリア、ニュージーランドなど
からの来日者増加がその例である。これらの国々への理解と、来日の背景を知ることは、
共生への条件をつくる上で必要である。
また、国際移動し来日する外国人には、女性、子どもがかなりの割合で含まれており、
国際結婚のため、サービス労働に就くため、家族呼び寄せのためといった理由が伺われる。
それに伴って、外国につながる家族における育児、DV、離婚等にかかわる問題も生じる
ようになり、さらに人身取引(トラフィッキング)など人権上の問題を指摘されるケース
も含まれる。この点で、「興行」(エンターテイナー)の資格による多数の外国人女性の
受け入れが、国際的な厳しい批判を受けたことは反省すべき点である(その後審査の厳格
2
化により、「興行」による入国、滞在は2005年以降いちじるしく減少)。また、子どもが
義務教育の学齢期であっても、来日後十分にケアされず、不就学に陥っているケースもあ
る。人権保護および家族支援のための活動が、国、地方自治体、NGOなどの連携で行わ
れなければならない。
神奈川県は、1980年代より、「民際外交」の理念と政策をかかげ、80年代後半にはいち
早く県内に居住、定住する外国籍住民との共生を重視する「内なる国際化」対応を課題と
してきた。今日では、はるかに多数で、文化背景も社会的条件も多様な外国人および外国
につながる人々が県民を構成するにいたっている。その現実と提起されている問題を捉え
直し、より平等をめざすと共に文化的尊重に立つ国際化政策のあり方を追求しなければな
らない。以下では、現状を的確に捉え、今日まで展開してきた検討・施策を評価し、提言
等のかたちで今後の課題を示したい。
3
Ⅲ
取り組むべき課題について
1
社会生活
(1)現状分析
ア 外国籍県民の高齢化
神奈川県の65歳以上の外国人登録者数は、1990年末で4,347人、2000年末で5,630
人、2010末では8,270人と、20年間で90.2%増加、直近10年間で46.7%の増加をし
ている。また、県民全体に占める割合についても、1990年の0.054%から、2011年
末で0.095%となっており、その増加が見て取れる。
図1
イ 定住外国籍県民の増加
神奈川県の外国人登録者のうち、在留資格として、永住者・特別永住者・日本人
の配偶者・永住者の配偶者等・定住者の資格を持つ者の数は、1990年末で59,143人、
2000年末で81,261人、2010年末では112,608人と、20年間で90.4%の増加、直近10
年間で38.6%の増加をしている。また、県民全体に占める割合についても、1990年
の0.74%から、2011年末で1.26%となっており、その増加が見て取れる。
図2
4
ウ 医療・福祉の現状
日本における公的医療保険制度については、適用となる事業所に常用的に雇用さ
れる者が加入する健康保険・共済組合と、それに該当しない自営業者などが加入す
る国民健康保険があり、いずれかの制度に加入することで、国民皆保険制度を維持
している。
しかしながら、健康保険は、保険料の事業主負担を回避したい一部の事業主側の
思惑や、健康保険の加入が、通常厚生年金とのセットでの加入となるため、定住の
意思のない外国人労働者などが、帰国する場合には掛け捨てとなる可能性の高い厚
生年金の加入を望まず、結果、健康保険への加入がすすまない現状がある。
また、医療保険制度は、国によりその制度や補償内容は異なるため、日本の医療
保険制度そのものや、加入することの利点について、外国人労働者の理解が不足し
ている状況がある。
その他にも、実際に医療機関で診療をうける際に、日本語が不十分な外国人など
は、医療機関に対して適切に病状説明等ができず、受診を躊躇したり、支払いなど
についてトラブルが起きるケースがある。
このような制度への理解の不足、未加入による問題、言葉や文化・習慣の違いか
らくるトラブルなどは、高齢の外国籍県民が増加するなかで、医療のみならず、介
護や年金など、社会保障制度全般に対して懸念される。
エ 住まい(暮らし)の現状
外国人の住宅問題については、以前に比べれば改善が図られているものの、言葉
や文化・習慣の違いから入居を敬遠される、保証人をたてることができない、保証
会社を利用しても別途、緊急連絡先として本人以外に日本人の連絡先を求められる
など、現在でも民間住宅などにおいて入居が難しいケースがある。
また、外国籍県民自身にも、適切な不動産仲介業者に対する情報や、入居に関す
る手続き、日本で暮らすうえでの慣習・ルールなどの知識が不足しているといった
状況があり、その結果、入居に際しトラブルが発生する現状がある。
オ 労働環境の現状
「外国人雇用状況の届出状況(2011年10月末現在 厚生労働省)」によると、在
留資格別外国人労働者の割合では、「日本人の配偶者等」や「定住者」「永住者」
など身分に基づく在留資格において就労している者が、全体の46.6%を占めている。
日系ブラジル人、ペルー人などが代表的である。身分に基づく在留資格で滞在する
外国人労働者については、就労に制限がないことから、非熟練労働者として、パー
トなど非正規雇用、派遣という間接雇用の形態で雇われている場合が多く、不安定
な労働環境にあることが指摘されている。
外国人労働者については、日本語能力の不足や、日本の雇用慣行に対する知識が
足りないなどの理由により、一度離職してしまうと、再就職が厳しい状況にある。
また雇用保険のない者も多く、それが失業の際、生活を危機的なものにする。
実際に、神奈川県が実施している外国人労働相談の実績からも、2008年のリーマ
5
ン・ショックの際には、解雇・雇い止めに対しての相談が急増している。
図4
図3
カ 生活保護受給の外国人の増加
また、神奈川県内の外国人の生活保護の受給についても、増加が見て取れる。生
活保護は、日本に生活する外国人にも準用されるが、定住者的な(言い換えると就
労制限のない)在留資格にある者という条件が付される。こうした限定があっても、
今や生活保護受給率(千人当りで表示)は日本人よりも外国人のほうが高くなって
いる。それは、高齢の韓国・朝鮮人などのなかに年金のない人々がいること、リー
マン・ショック後失業し、かつ雇用保険のない外国人の困窮、さらに離婚・別居な
どによって母子世帯化し生計の手段を失った外国人の増加、等々によるものと思わ
れる。
図5
(2)現在の取組み・成果・課題
ア
現状の取組み・成果
(ア)
医療通訳派遣システム
日本語を母語としない外国籍県民が安心して医療を受けられるよう、協定医療
機関からの派遣依頼を受け、医療通訳相談窓口のコーディネーターが医療通訳ス
6
タッフを派遣するシステム。
システムは、行政(県・県内市町村)、協働事務者(NPO)、医療機関(協
定病院・県医師会等)の3者により運営されている。
・協定医療機関数
35医療機関
・対応言語数
10言語(スペイン語、ポルトガル語、韓国/朝鮮語、
中国語、タガログ語、タイ語、英語、ベトナム語、
ラオス語、カンボジア語)
・医療通訳スタッフ登録者数
173名
・コーディネーター登録者数
12名
・医療通訳スタッフ派遣件数
3,112件(2011年度(平成23年度)実績)
(2012年4月1日現在)
(イ)
介護・医療分野における外国人労働力の活用
介護分野での活用として、県では緊急雇用創出事業として、介護分野で働くこ
とに関心のある外国籍県民の就職相談会および面接会の実施をしている。また、
介護職員向けの研修テキストについて、使用される漢字の読みを抜き出した副教
材の作成を行った。
さらに、フィリピン・インドネシアとの経済連携協定(EPA)に基づいて、
日本に受け入れを行っている看護師・介護福祉士候補者の支援として、(a)
E
PA候補者支援のネットワークづくり、(b)候補者支援事業、(c)EPA候補者
受入側への支援を事業の柱として、実施をしている。
(ウ)
相談事業の実施
日本語を話せない方に対して、多言語での相談事業を実施。
○一般相談・法律相談
(2012年4月1日現在)
言語や文化、習慣の違いにより生じる生活上の諸問題を解決するために、助
言及び情報提供を電話・来所・文書により行っている。また、法律が関わる専
門的な助言については、弁護士が通訳とともに相談に応じ、来所により相談を
受け付けている。
・相談窓口…横浜、厚木(県央)、川崎
・対応言語…英語、中国語、韓国/朝鮮語、スペイン語、ポルトガル語、
タガログ語、タイ語※タガログ語及びタイ語は一般相談のみ実施
・相談件数…1,086件(2011年度(平成23年度)実績)
7
表1
区分
2005(H17) 2006(H18) 2007(H19) 2008(H20) 2009(H21) 2010(H22) 2011(H23)
英語
44
42
46
50
79
51
53
144
127
150
170
180
140
147
17
23
9
13
14
12
2
スペイン語
608
572
385
457
502
430
472
ポルトガル語
404
372
446
551
628
394
355
タガログ語
38
45
25
25
22
36
45
タイ語
23
7
11
19
20
25
12
1,278
1,188
1,072
1,285
1,445
1,088
1,086
中国語
韓国・朝鮮語
合計
図6
○教育相談
(2012年4月1日現在)
専門スタッフ(コーディネーター、相談員)が来所等による相談を受け、相
談内容に応じた支援策を提供している。学校や教育分野の支援NGOとの連携
も行っている。
・相談窓口…横浜
・対応言語…中国語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語
・相談件数…564件(2011年度(平成23年度)実績)
○労働相談
(2012年4月1日現在)
労働問題、労働トラブルについて、労働法の専門家(大学教員や弁護士等)
が通訳とともに相談に応じ、電話、来所による相談を受け付けている。
・相談窓口…横浜、厚木(県央)、平塚(湘南)
・対応言語…中国語、スペイン語、ポルトガル語
・相談件数…656件(2011年度(平成23年度)実績)
表2
相談言語
年度
2005
2006
2007
2008
2009
2010
523
567
669
994
956
615
656
75
128
188
234
223
141
175
ポルトガル語
175
132
140
329
303
188
166
スペイン語
251
18
4
277
28
299
25
431
430
286
315
2
17
相談件数(合計)
中国語
英語
韓国・朝鮮語
タガログ語
図7
2011
8
○DV相談
配偶者暴力の被害に関する相談を受け付け、場合にはよっては緊急的な一時
保護を行っている。日本人だけでなく、外国籍県民を対象に、多言語での相談
も受け付けている。
・相談窓口…原則電話受付。面接相談は事前予約が必要。
・対応言語…英語、中国語、韓国/朝鮮語、スペイン語、ポルトガル語、
タガログ語、タイ語
・相談件数…782件(2011年度(平成23年度)実績)
(2012年4月1日現在)
(エ)
入居支援(外国籍県民の居住支援システム)
外国籍県民が言葉の壁などによりすまい探しが難しいことに対応するため、不
動産業界団体、民族団体、各地域の国際交流協会、YMCA、かながわ外国人す
まいサポートセンター、行政(神奈川県、横浜市、川崎市)がネットワーク組織
をつくり、賃貸住宅の仲介を行う不動産店の紹介や入居後のトラブル相談、通訳
ボランティアの派遣などを行うことにより、すまい問題の解決を図っている。
・新規相談件数
385件 (2011年度(平成23年度)実績)
図8
イ
現状の取組に対する課題について
○
医療通訳制度においては、ボランティアをベースに実施しているため、緊急時
の対応が実施できないなどの課題がある。
○
居住支援システムにおいては、外国籍県民の定住化が進む中で、入居後、文
化・習慣の違いや、日本の慣習・マナーを知らないことでおきる地域住民とのト
ラブルへの対応も必要となっている。
○
各種相談窓口については、相談員の質の向上と、一般相談と専門相談との連携
の充実が課題となる。
○
外国籍県民の定住化や高齢化がすすむなかで、彼らが抱える課題も多様化、複
雑化している。その課題の解決のためには、文化的な背景を踏まえながらケース
ワークやコミュニティワーク等を行うなどの、相談から解決にいたるまで一貫し
た人材の育成が必要となる。
○
外国籍県民のなかでも在住年数、立場や経験は様々なので、一様に支援すると
9
いう取組みだけではなく、彼らが社会貢献、または支援する立場で活動できる環
境を提供することが必要である。
(3)今後に向けての提言・提案
①
各種問題の相談窓口の質の向上のため、また、外国籍県民がどれくらい相談に
よって問題が解決をできたか、さらに彼らの主要な悩みや生活上の問題点を浮き
彫りにするため、「相談結果」についてのフォローアップ(追跡調査)を行う。
②
外国人労働者には間接・非正規雇用の割合がいちじるしく高い。雇用主は、長
年そのような雇用に就き、正規化を希望している者については、可能なかぎりそ
の希望に沿うべきである。県としてそのような啓発を行う。そのため、利用可能
な、国等の雇用支援制度を紹介する。
③
社会保険の適用の必要と意義について、雇用主のみならず、外国人労働者にも
啓発を行う。
④
外国籍県民の求職に役立つような就活セミナー、またはパネルディスカッショ
ンのようなものを開催し、日本の雇用システム、商習慣、心構えや取り組み方、
マナー、簡単な労働法などの説明をし、現在の問題点などを話し合い、アドバイ
スなども行う(講師、パネラーには専門家、企業代表者、外国籍県民を含む)。
⑤
労働相談については、法律的な助言・対応だけでは解決しない。企業の人間関
係等による問題も多いことにかんがみ、民間企業の実際を体験している相談員を
配置し、多方面からの解決案の提供が望まれる。
⑥
医療通訳システムについては、現行システムでは、前もって日時を予約するか
たちでしか利用できないが、急病、怪我、幼児の発熱などで緊急に診察を受けな
ければならない事態もある。これに対応できるシステムを用意する必要がある。
⑦
外国人の関わる家庭で離婚やDVの問題が生じる時、行政および専門家の援助
を必要とする場合が多い。福祉事務所、カウンセラー、法曹専門家、支援NGO
などとの連携を密にし、協力態勢を準備しておく。
⑧
外国籍県民は援助をしてもらう、相談にのってもらうという受け身の立場だけ
ではなく、共生のためには彼らが支援、援助の活動できるような環境作りが必要
である。そのひとつとして、国籍にかかわりなく「民生委員」や「児童委員」と
して活動できるように制度の変更を国に働きかける。
10
2
教育
教育分野では、まず(1)神奈川県における外国人児童・生徒の就学の実態を概観し、
次に(2)外国人児童・生徒への就学支援、言語教育(日本語教育・母語教育)・学習
支援、そして日本人児童・生徒を含む国際理解教育のあり方にテーマを絞り、現在の取
組みの分析と課題の抽出を行い、最後に(3)今後に向けての提言を記す。
(1)現状:外国人児童・生徒の就学の実態
ア
県内公立・私立学校での外国人児童・生徒数
神奈川県内の公立・私立学校での外国人児童・生徒数は、毎年5月1日に調査が
行われる「学校基本調査」によると、図9のとおりであり、この6年間で小学校で
は横ばい傾向、中学校・高校では若干の増加傾向を示している。
図9
イ
日本語指導が必要な外国人児童・生徒の受け入れ状況
文部科学省が調査を実施している「日本語指導が必要な外国人児童・生徒※の受
入れ状況等に関する調査」によると、全国及び神奈川県の状況は表3のとおりであ
る。神奈川県は、受入れ数において増加を続けており、全国的にも愛知県や静岡県
に続き、2位もしくは3位と高い状況を示している
※「日本語指導が必要な外国人児童・生徒」とは、「日本語で日常会話が十分にできない児童生徒」
及び「日常会話ができても、学年相当の学習言語が不足し、学習活動への参加に支障が生じており、
日本語指導が必要な児童生徒」を指す。
【全国順位】
(各年9月1日現在)
表3
1位
2位
3位
4位
5位
H17(2005)
愛知県
神奈川県
静岡県
東京都
大阪府
H18(2006)
愛知県
神奈川県
静岡県
東京都
三重県
H19(2007)
愛知県
静岡県
神奈川県
東京都
三重県
H20(2008)
愛知県
静岡県
神奈川県
東京都
大阪府
H22(2010)
愛知県
神奈川県
東京都
静岡県
大阪府
【全国】
計
H17(2005)
H18(2006)
H19(2007)
H20(2008)
H22(2010)
【神奈川県】
(単位:人 各年9月1日現在)
小学校
中学校
高等学校
計
中等教育 特別支援
学校
学校
20,692
14,281
5,076
1,242
23
70
22,413
15,946
5,246
1,128
21
72
25,411
18,142
5,978
1,182
25
84
28,575
19,504
7,576
1,365
32
98
28,511
18,365
8,012
1,980
22
132
(単位:人 各年9月1日現在)
H17(2005)
H18(2006)
H19(2007)
H20(2008)
H22(2010)
11
小学校
中学校
高等学校
中等教育 特別支援
学校
学校
2,219
1,358
575
277
0
9
2,404
1,599
566
229
0
10
2,601
1,754
618
224
0
5
2,794
1,787
706
295
0
6
2,990
1,804
792
382
0
12
ウ
外国人児童・生徒の不就学・不登校状況
外国人児童・生徒の不就学の問題については、これまでに不就学者の調査を実施
している県外の自治体もあるが、神奈川県と県内市町村では十分でなく、不就学者
の人数や実態は明らかになっていない。ただ秦野市では、外国人数3,599人のうち、
小中学の学齢人口にあたる児童・生徒数は331人、秦野市立小中学校に在籍する児
童・生徒は280人で、約15%に当たる51人が不就学との2009年8月の時点の調査結果
がある。(2009年12月東海大学湘南校舎開催「国際理解シンポジウム2009 秦野市
における現状と課題」発表資料より。)また外国人児童・生徒は、日本の学校の仕
組みへの理解が十分でなく、日本の学校文化になじみにくいことや日本語や教科の
学習についていけないことなどから、日本人児童・生徒に比べ不登校になりやすい。
エ
外国人児童・生徒の高校進学状況
公益財団法人かながわ国際交流財団は、多文化共生教育ネットワークかながわ、
県・市町村教育委員会の協力により、「外国につながる子ども※の進路に関するア
ンケート調査」を定期的に実施している。2009年から2012年までの4年間の調査結
果を見ると、外国人児童・生徒の中で、比較的支援が受けやすい国際教室在籍者で
在県外国人等特別募集枠(以下「在県枠」と言う)該当者の高校進学率は、平均
86.3%であり、全県中学卒業者の高校進学率の平均98.1%に比べ、10%以上低い。
国際教室在籍者で在県枠該当者は、外国人生徒の中では学校の支援や受験の配慮を
受けやすい立場の生徒であるため、外国人生徒全体の高校進学率はこれよりも低い
と想定できる。外国人生徒の高校進学率が低い理由は、経済的に就職を選ばざるを
得ない生徒、低学力のため合格できなかった生徒、在県枠等の外国人のための制度
を本人も中学校も知らず利用できなかった生徒が多いことなどによる。また、進路
先として、公立定時制高校の占める割合は、全県高校進学者の7倍以上と高くなっ
ている。全日制を希望していたが、学力的に難しく、定時制に進学した生徒が多い。
※「外国につながる子ども」とは:
「国際結婚や親の就労等のために家族で来日したなど、外国につながる様々な背景をもつ子ど
もを指し、外国籍・重国籍・日本国籍などの国籍は問わない。」と定義づけている。
表4
全県中学卒業者と国際学級・在県外国人等特別募集枠該当者の高校進学率など
全県の高校進学率
2009年3月
2010年3月
2011年3月
2012年3月
合計
国 際学 級・ 在県 外国 人等 特別
国 際学 級・ 在県 外国 人等 特別 全 県の 高校 進学 者に 対す る定
募 集枠 該当 高校 進学 者に 対す
募集枠対象者の高校進学率
時制の割合
る定時制の割合
97.80%
84.80%
4.40%
73,034/74,658
78/92
2,551/73,034
24.40%
19/78
98.20%
85.50%
3.80%
28.30%
76,819/78,229
106/124
2,894/76,819
30/106
98.40%
92.70%
3.70%
36.80%
74,767/75,994
76/82
2,842/74,767
28/76
98.10%
79.50%
3.60%
14.30%
75,980/77,472
35/44
2,754/75,980
5/35
98.10%
86.30%
3.70%
27.80%
300,600/306,353
295/342
11,041/300,600
82/295
※全県中学卒業者のデータは神奈川県教育委員会公表「神奈川県学校基本調査結果報告」より抽出。国際学級・在県外国人特別募集枠該
当者のデータは、(公財)かながわ国際交流財団が 2008年度から2011年度に毎年実施した「外国につながる子どもの進路に関するアン
ケート調査の結果」に基づく。 ※下段は、それぞれの対象者の人数を示す
12
(2)現在の取組みの分析と課題の抽出
ア
就学支援
(ア) 就学前での取組み
a 就学案内
現在、外国籍県民への就学案内は、多くの市町村教育委員会では、外国人登
録データから情報を入手し案内を送付しているが、必ずしもすべての就学対象
者の保護者に届いているとはいえない。また一部の市町村を除き、日本語のみ
もしくは日英2言語で行われている。したがって、就学案内が学齢期に達する
外国籍の子どもの保護者に、時期を逃さず確実に届くようにすること、そして
案内を多言語またはルビ付きにすることが求められる。またその就学案内には、
地域の学校のみでなく外国人学校についての情報も掲載する必要がある。
b 小学校入学前のサポート
外国人保護者と子どもは日本語理解が十分ではないため、小学校の入学にあ
たっての手続きや学校生活をわかりやすく説明する必要がある。県内には、外
国人保護者向けの学校説明会を開催し、入学する学校の教員が通訳付きで学校
生活を説明し、子どもと保護者が安心して学校生活をスタートする環境を作っ
ている市町村がある。また就学時健康診断の際に、外国人児童の日本語の語彙
やこれまでの生活経験を確認し入学後のサポートに活かしている市町村もある。
自治体は、外国につながる子どもがスムーズに小学校生活を開始できるよう
に本人や保護者への入学前サポートをより充実させていくことが必要である。
c プレスクールの試み(早期適応プログラム)
外国人児童については、語彙だけでなく、集団生活、運動、言語、認知等で
遅れが見られるケースが指摘されている。特に日本の幼稚園、保育園に通って
いない子ども、就学まで親の母国に預けられていた子どもが小学校に入学する
と、集団生活を行うことができず学校に適応できないケースが少なくない。
年齢相応の認知発達を支援し、初期の日本語指導、学校生活への適応指導を
行うとともに、保護者へもオリエンテーション等を行うプレスクールの取組み
は、県内では、NPO法人日本ペルー共生協会と大和市教育委員会、大和市国
際化協会が協働で行っているケースなどがある。就学前の子どもの参加しやす
さを考えると、中学校区など身近な地域でのプレスクールの実施が必要である。
(イ)
小・中学校での取組み
a
国際教室
神奈川県では、原則、日本語学習が必要な「外国籍」児童・生徒5名以上に
対し1名、20名以上に対し2名の専任教員の加配が認められている。しかしこ
の基準では、県内で日本国籍を所有しているが日本語指導が必要な児童・生徒
が増えている状況に十分に対応できず、また加配教員数も、対象児童・生徒が
4名以下の場合は配置されず19名でも1名であり、数的に十分とはいえない。
13
神奈川県として、国の教員加配基準に縛られない現場に応じた柔軟な対応をと
っていくことが求められている。
また各自治体では、日本語指導協力者、日本語指導員などと呼ばれる専門ス
タッフが配置され、国際教室での指導や巡回指導を行っているが、子どもに必
要な指導時間は確保できていないと言われている。また教員が国際教室を担当
する際に、事前研修や定期的な研修を十分に受けていないなど、教員の専門性
の問題も指摘されている。
b
保護者への対応
就労目的で来日した保護者は、好条件の仕事を求めて国内移動や母国との行
き来をするケースも多く、結果的に子どもは、国内外で移動・転校を繰り返し、
学習に遅れが出たり、気持ちが不安定になることがある。また保護者自身が日
本の学校に通ったことがないために学校文化を理解しづらく、言葉の問題で子
どもの学習や手続き、進学等のサポートができず、誤解や放任も生まれやすい。
入学前サポートに引き続き、継続的な保護者サポートが必要である。
c
発達障害を持つ子どもへの対応
発達障害の疑いのある外国人児童・生徒は少なくないが、生まれ持った障害
であるのか、言語習得の問題であるのかの診断が難しく、その後の支援も容易
ではない。外国人児童・生徒の発達支援については、まだ解明されていないこ
とも多く、専門機関を含めた支援者の連携が必要である。
発達に関する相談や診断は、県及び市の教育相談や療育相談の実施機関等で
行われている。自治体によっては、日本語指導協力者や学校通訳ボランティア
がその相談や診断に同行するが、通訳サービスが受けられず、本人が通訳を用
意しなくてはならない自治体や機関の場合、友人等に同行してもらう保護者も
多い。その場合、診断のために必要な通訳の質に至らないことが多く、また守
秘義務を守れないなどのケースがある。障害のとらえ方は、国・地域によって
異なり、日本人保護者と比較して、子どもの障害を受け止められない保護者も
多いため、保護者へは文化的な背景を踏まえた上で丁寧な説明を行い、その後
の支援を見守る必要がある。
d
スクールソーシャルワーカー
現在、神奈川県ではスクールソーシャルワーカーを教育事務所毎に配置して
おり、各校から寄せられる案件に対し、学校と児童相談所及び市町村の福祉担
当部署などを連携させながら問題解決を行い、その活動は高く評価されている。
しかし、学校内の課題の量に対しスクールソーシャルワーカーの配置人数、活
動日数が不足している状況にある。
外国人児童・生徒の家庭は、複雑な事情を抱えているケースも多く、外国籍
県民の文化的・社会的背景を理解したスクールソーシャルワーカーの配置や、
スクールソーシャルワークのための通訳派遣などが必要である。
14
e
学齢超過者の学習保障
学齢超過者について、文部科学省は、「教育委員会はその者がこれまでに国
内の中学校を卒業していない場合はその就学を許可して差し支えない」として
いるが、学齢を超えて来日した子どもたちを中学校に受け入れるかどうかの判
断及び条件は、市町村によって異なる。中学校に入れなかった学齢超過者が高
校進学を希望する場合、文部科学省の中学校卒業程度認定試験を受け、認定さ
れる必要があるが、新規来日者の日本語能力では困難であり、中卒の資格を得
られず、高校進学を希望していても、進学する道を閉ざされ、学習をする場が
ない状況である。夜間学級に入る道はあるが、設置されているのは横浜市、川
崎市に限られている。
学齢超過の子どもの対応については、現時点では、文部科学省(国際移住機
関)委託の「定住外国人の子どもの就学支援事業」において支援が可能であり、
2012年度(平成24年度)は、県内では、横浜市鶴見区・南区、川崎市川崎区、
大和市で、NPOが受託事業を実施している。
県としては、進学を希望している学齢超過者が高校進学できるよう、NPO
の学習支援活動へのサポートや、横浜市、川崎市以外に居住する学齢超過者へ
の学習支援などの対応が必要である。
(ウ) 高等学校での取組み
a
在県外国人等特別募集枠の実施
神奈川県では高校入試において、在留3年未満の外国籍の者及び3年以内に
日本国籍を取得した者に適用される特別枠が設けられ、受検者が定員内であれ
ば不合格を出さない入試が行われている。現在県内10校で実施され、この在県
外国人等特別募集が子どもたちの進路を切り拓く大きな助けになってきたが、
諸条件に該当せず受験ができない者、入学したものの通学しきれずに中退する
者も少なくない。
現在、横浜市東部、川崎市に在県特別募集該当者の半数以上が集中している
が、横浜市東部は在県枠設置校が2校のみであり、川崎市には1校もなく、在
県枠設置校が不足している。また県西部は地域が広く、隣接市町村でも主要交
通機関が異なり、事実上通学できない場合も少なくない。在県枠設置校の地域
的な偏在は大きな課題である。
また、生まれた時から日本国籍を持っていながら日本語指導が必要な子ども
など、特別募集の対象にはならないが、配慮の必要な子どもが増えているため、
在県枠の在留年数や国籍条件などの見直しも必要である。
b
高校進学ガイドブックと高校進学ガイダンス
高校進学ガイドブックの作成とガイダンスの実施は、1995年より多文化共生
教育ネットワークかながわ(通称「ME-net」)が各関係機関の協力を得ながら
独自に行っていたが、2006年からは県教育委員会との協働事業として実施して
いる。
15
高校進学ガイドブック事業では、学校制度、学費、入学制度、奨学金、相談
先等について翻訳した冊子の配布及びホームページへの掲載を行っている。
2012年度は、英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、韓国・
朝鮮語、タイ語、カンボジア語、ラオス語、ベトナム語の10言語で翻訳してい
る。また高校進学ガイダンス事業では、高校制度や高校入試制度の概要紹介と
個別相談を、通訳を説明会に配置し実施している。2012年度(平成24年度)は、
県内5ヶ所で実施し、実施会場により異なるが6~10言語の通訳を配置した。
ガイドブックとガイダンスは、高校進学という選択肢を与える良い機会にな
っているが、ガイダンスを聞いた後に受験を志しても入学に必要な学力が足り
ないことなどから、より早い段階からの意識づけの必要性が指摘されている。
c
高校入学後の支援
高校入学後、勉強についていけない、居場所がない等で学校を中退する外国
人生徒の数は多い。中退後の就業は困難であり、高校に通っている生徒であっ
ても将来のビジョンが持てない子どもが多い。外国人生徒の進路支援、就業支
援を行い、様々な進路を切り拓いていくロールモデルを育て、生徒たちにその
モデルを示していく必要がある。また高校のキャリア教育では、本人や家族に
向けた丁寧な情報提供が必要であり、学校、教育委員会、商工労働関係機関、
NGOが連携した進路支援、就労支援の取組なども必要である。
また県内では、NGOと大学のゼミなどが協力して、高校生を対象に大学を
案内するキャンパスツアーなどを実施しているほか、高校生以上の子どもたち
の交流の場や居場所づくり、進路に関する情報を先輩などから提供する場を設
けているNGOがいくつかある。
(エ)
外国人学校での取り組み
現在神奈川県には、外国人学校が11校あり、3千人近い生徒が学んでいる。
県ではこれらの学校に対し、補助金を拠出し、教育条件の維持・向上、修学上の
経済的負担の軽減、学校経営の健全性の向上を図っている。学校の形態を問わず、
学習者の学習権を保障していくことは大きな国際的な流れであり、県として外国
人学校への十分な補助体制を維持していくことが必要である。
イ
言語教育・学習支援
(ア) 行政の取組み
a
国際教室での実践
「就学支援」の項でも指摘したが、対象児童・生徒の国籍要件および国際教
室担当教員の数の他に、教員の専門性の獲得は大きな課題である。国際教室の
役割は「日本語指導が必要な児童・生徒」に対して、主にその日本語のレベル
に応じて日本語指導及び学習支援を行うことであるが、それと同時に、国際教
室はそこに通ってくる子どもたちの心の居場所にもなっている場合も多い。し
たがって、教員には日本語教育の専門的な知識だけでなく、バイリンガリズム
16
への理解や国際理解教育などの専門知識も要求される。また担任や多文化教育
コーディネーターと緊密に連絡を取り合って子どもたちの教育を支援する必要
もある。
国際教室をより効果的な学習支援の場とするためには、外部支援者との協力
のもと、対象となる児童・生徒の母語を活用した日本語指導・学習支援を視野
に入れる必要もある。将来的には、児童・生徒の母語が喪失されずにバイリン
ガル人材が育つような学習方法や教材の開発が求められている。
b
多文化教育コーディネーターおよび日本語を母語としない生徒支援者(以下
「サポーター」)派遣事業
在県外国人等特別募集実施校及び日本語を母語としない生徒が多く通学して
いる定時制高等学校等には、外国籍生徒支援担当者(職員)が置かれているが、
多文化教育コーディネーターはこの職員と協力して、各学校と相談の上、日本
語を母語としない生徒が学校生活を円滑に送ることができるよう、適切なサポ
ーターの選任、日本語学習の支援、教職員のスキルアップのための研修会の企
画・実施、通訳派遣等の支援をコーディネートする役割を担っている。これは
現在、県と多文化共生教育ネットワークかながわとの協働事業で行われており、
月1回(各2時間程度)のコーディネーターの派遣が行われているが、質的・量
的な不足が問題となっている。
これに対してサポーターは、日本語学習の支援、通訳業務・学習支援・職員
研修会の講師など個々の支援を実際に行っている。サポーターの派遣について
は、月5回(各2時間程度)、年間60回の派遣が上限となっており、各校とも
上限まで実施しているのが現状である。
c 地球市民かながわプラザ事業
(a) 教育相談事業
専門スタッフ(コーディネーター、相談員)が来所等による相談を受け、
相談内容に応じた支援策を提供している。
・実施言語:中国語、タガログ語、スペイン語、ポルトガル語(4言語)
・開設時間:10時から17時まで
実施にあたり、入試制度などの最新情報の入手方法及びその情報のスタッ
フ間の共有方法や、相談窓口の周知に課題があり、学校現場への出張相談な
ど、アウトリーチ相談などについての検討も必要である。
(b) 教材・情報の収集・提供(データベース化、インターネットの活用等)
「多文化子ども支援コーナー」において、日本語学習支援に必要な教材、
学校生活に関する資料等の収集・提供を行うとともに、データベース化を図
り、インターネット等による提供を行っている。しかし、支援のための情報
にダウンロード資料やチラシ等の媒体も多く、収集範囲の設定が難しい。
(c) ネットワークの構築
相談者の抱える課題を解決するためには、日本語学習等支援に取り組む多
17
様な主体(NGO・NPO、教育委員会、学校等)と相談者を繋ぎ適確な支
援活動を行う必要があることから、これらの主体のネットワーク化を図り、
主体間のコーディネート活動を円滑に行うことを目的とした会議を開催して
いる。
しかし公益財団法人かながわ国際交流財団やNPOとの繋がりは築けてい
るが、学校との繋がりがまだ不十分であり、その改善のため学校や国際教室、
親子交流会、学習支援教室等の現場訪問が実施されている。
d
公立図書館の事業
外国籍住民そして外国人児童・生徒が日本語及び母語で図書に触れること、
また多くの日本人が世界各国の多様な図書に出会うことは重要であるが、現状
はまだ十分な対応ができているわけではない。公立図書館や学校図書館での、
外国語図書の充実や外国に関する日本語で書かれた図書を配架した「外国図書
コーナー」などの充実が望まれる。
(イ) NPO等の団体の取組み
子どもの教育は、学校、家庭、地域、NPO等の連携において行われるもので
ある。しかし現在のように学校の取組みが不十分であるために、その不足分を民
間団体に頼ることを前提として成り立っている仕組みは修正されるべきである。
そういった仕組みを成り立たせている理由のひとつに、言語教育一般に対する
社会的認知度が低いという事実がある。ある言葉が話せれば教えることができる
と思われがちであるが、実は日本語教育においても外国語教育においても、専門
的知識と教授法の訓練が必要である。また学齢期の子どもにあっては、言葉を学
ぶことを通じて教科学習につながるリテラシーを育成することが大きな目標であ
る。したがって、言語教育に携わる人間には専門性の養成が必要であり、その養
成は喫緊の課題である。また個々の子どもに寄り添ってその言語支援や学習支援
を担うボランティア人材の確保も重要である。
大人との一対一のインターラクションが言語発達に重要であることから、学校
と民間団体との取組みの役割分担が認識される必要がある。そして行政は、学校
の取組みを充実させつつ、民間団体による取組みを最大限支援する体制をつくり
上げていくことが求められる。
a 日本語教室
県内にNPO等が実施している日本語教室は、公益財団法人かながわ国際交
流財団がまとめている「かながわ日本語学習マップ」を基に2011年に県国際課
で集計したところ204教室あった。そのうち横浜市が104教室と全体の半数以上
を占めている。一方従来からあるNPO等による日本語学習支援に加え、ここ
数年、地域の大学による外国人児童・生徒向けの日本語教育活動も見られるよ
うになってきている。外国人児童・生徒の不就学問題、国際教室の対象基準問
題などを考えると、学校・NPO・地域が連携し、学校外においても、児童・
18
生徒向けの日本語教育の充実を図っていくことが課題となっている。
日本語能力については、日常会話は問題ないレベルであっても、学校の教科
を理解できるレベルでない場合があり、基礎的な学力を身につける時期にある
子どもへの日本語支援や学習支援は重要な課題となっている。
また成人向けの日本語教育も十分とは言えず、長年日本に住んでいても日本
語が身に付かない外国人成人が多く、災害の際など多くの場面で不利な状況に
おかれている。NPOやボランティアの運営する日本語教室の活用を県が率先
してアピールし、外国人を多く雇用する企業と連携して日本語教育の促進を図
る必要がある。
b 母語教室
県内にNPO等が実施している母語教室は、公益財団法人かながわ国際交流
財団がまとめている「かながわ日本語学習マップ」を基に、2011年に県国際課
で集計したところ、14教室あった。言語としてはスペイン語が最も多く6教室、
次いでポルトガル語が3教室、韓国・朝鮮語が3教室、英語が2教室、タガロ
グ語、ベトナム語、ラオス語、カンボジア語が1教室ずつである(2つ以上の
言語を扱っている教室もある)。
日本では兵庫県、大阪府、愛知県などのように母語教育支援を行っている自
治体もあるが、北欧諸国などのように学校教育で母語教育を実施している状況
とはほど遠い。しかし母語教育の意義は、渡日の年齢によっても異なるが、
様々な意味で大きい。まず、子どもたちの認知力や自尊感情の発達を促し、ア
イデンティティの確立につながる。また、親世代とのコミュニケーションの維
持を可能にし、第二言語としての日本語習得そしてリテラシーの発達にも大き
なプラスになることが学術的にも明らかにされている。
ウ
国際理解教育
(ア)現状の取組み
神奈川県教育委員会では、2010年度(平成22年度)より、県立高校教育力向上
推進事業を実施している。その一環として国際理解教育・多文化共生教育を進め、
豊かな国際性をはぐくむカリキュラム開発に取組み、全県における国際教育の普
及、充実に資する拠点校を県内に6校指定し、研究を行っている。そして各拠点
校では研究テーマを掲げ、言語学習を通じてのコミュニケーション能力の育成、
国際社会の現状についての学習、外国人や国際ボランティア等との交流を通じて
の多文化共生の理解など、研究テーマに沿ったカリキュラムを実施している。
また、地球市民かながわプラザでは、施設内の常設展示室(こどもファンタジ
ー展示室、こどもの国際理解展示室、国際平和展示室)の見学と展示に関連する
参加体験型学習、「国際理解」「地球規模の課題」「国際協力」「多文化共生」
をテーマとする図書資料閲覧や映像資料の視聴などを組み合わせた校外学習を実
施している。2011年度は小・中・高等学校及び特別支援学校について、105校、
4,741名(引率者含む)の利用があった。
19
(イ)課題
以上のような国際理解教育実践への多様な試みにもかかわらず、多くの学校で
は生活実感のともなう必要な国際理解教育が未だに十分に実践されていない状況
が指摘されている。本来、二度にわたる世界戦争という問題状況への反省から平
和に向けての教育として想定され、実践が積み重ねられてきた国際理解教育であ
るが、その手段として位置づけられる「文化理解」や「コミュニケーション能力」
が時として目的化し、本来の目的が見えにくくなっているという状況にある。今
の地域そして世界が抱える問題状況を問い、今の私たちの生活が世界との相互の
依存関係で成り立っていることを理解する、生活レベルでの問題に即した国際理
解教育をつくり出していくことが基本課題である。
この視点に立つと、「外国につながる子どもや大人が、日本の地域社会(神奈
川)で抱えている学習や就学に関する問題、生活や社会参加に関する問題への理
解」とその背景にある「地球的諸問題(貧困・格差・紛争・環境破壊・人権侵害など)
への理解」を関連させることが、多文化共生社会の実現に向けての国際理解教育
の実践上の課題として浮かびあがってくる。
また外国語教育の再考も国際理解教育の視点からの課題として指摘できる。現
在の日本の外国語教育・外国語活動は「英語一極集中」の様相を呈している。こ
のことは、多言語教育・複言語教育という世界の潮流とは逆であり、また神奈川
にみられる地域の多言語・多文化化への対応を遅れさす結果を招いている。
学校教育における外国語教育は単にスキルを身につけるために行われるのでは
なく、異なる言語や文化の人々に対して開かれた心と寛容な態度を育成するとい
う国際理解教育の一面を併せ持つのである。従って、これからの外国語活動や外
国語教育は、小学校では子どもたちに様々な言語に触れる機会を提供する、中等
教育、特に高校では、第一外国語としての英語の他に第二外国語としてアジア地
域の言語を含む多様な言語学習を可能にするなど、多様化の方向を模索すること
が課題である。
そしてこのような国際理解教育を展開していくためには、国際理解教育に関す
る研修を教員やその他関係者を対象に充実させ、さらには関係機関・団体、国際
教室・日本語教室・母語教室などの連携を図っていくことが必要とされている。
(3)今後に向けての提言・提案
ア
①
就学支援
県は、外国人児童・生徒の就学状況の実態調査を行い、不就学や不登校児童・
生徒に対する支援策を講ずる。たとえば市町村が入学前サポートを充実できるよ
う、教育関係者向けの入学前支援の案内書や保護者向けの多言語による就学関連
資料を作成し、県域で活用できるようにする。
②
市町村は、就学案内が学齢期に達する外国籍の子どもの保護者に、時期を逃さ
ず確実に届くようにする。また入学前後を問わず、保護者に日本の学校制度を十
20
分理解してもらうために、教育に関する多言語資料を充実させ、母語による子ど
もの教育に関するセミナーや教育相談を開催する。
③
国際教室対象者の基準に関しては、県内には日本国籍を有しているが日本語支
援が必要な児童・生徒が増えていることから、外国籍・日本籍を問わず柔軟に対
応する。また日本語支援協力者・日本語指導員などの専門スタッフによる指導時
間など指導体制をより充実させる。
④
学校は、発達障害の疑いのある外国人児童・生徒への専門機関との連携による
対応や、外国人児童・生徒の文化的・社会的背景を理解したスクールソーシャル
ワーカーとの連携などを一層充実させる。
⑤
県は、外国人生徒の高校進学を一層充実させるために、進学を希望している学
齢超過者への学習支援対応を行い、また在県外国人等特別募集枠に関しては、川
崎市の高校への設置や横浜市東部の高校への増設などを通して、地域的な偏在を
是正する。さらに在県枠対象者の在留年数や国籍条件などを見直す。
⑥
高校では、外国人生徒に進路支援・就業支援を行い、様々な進路を切り拓いて
いくロールモデルを育て、生徒たちに示していく。またキャリア形成に向けて本
人や家族に向けた大学進学や就職に関するガイドブックを作成し、ガイダンスを
県内各地で開催するなど、丁寧な情報提供に心がける。
⑦
県はこれまでにも外国人学校に対し補助金を拠出し、教育条件の維持・向上、
修学上の経済的負担の軽減、学校経営の健全性の向上を図っているが、学校の形
態を問わず、学習者の学習権を保障していくことは大きな国際的な流れであり、
県として外国人学校への十分な補助体制を維持していく。
イ
①
言語教育・学習支援(日本語教育・母語教育・学習支援)
学校内外において、児童・生徒向けの日本語教育と学習支援の充実を図るため
に、多文化社会コーディネーターの役割をより充実させ、学校・NPO・地域・
大学などの連携によるネットワークの構築を県として推進する。
②
外国人児童・生徒にとって、日本で就学・就労するには日本語の運用能力は不
可欠である。したがって単に日常的な会話レベルではなく、学校での学習に必要
な学習言語を通じてのリテラシー能力の育成を目指すために、担当教員が言語教
育に関する専門性を形成する研修体制を早急に充実させる。
③
日本語以外の言語を母語とする子どもにとって、アイデンティティの確立や親
世代との意思疎通、そして第二言語としての日本語学習において、母語教育のも
つ意味は大きい。学校と民間のNPOや地域のボランティアなどの連携のもと、
21
国際教室や母語教室での母語教育の一層の充実を図る。
④
長年日本に住んでいても日本語が身に付かない外国人成人は多く、災害の際な
ど多くの場面で不利な状況におかれている。したがって自治体として、NPOや
ボランティアの運営する日本語教室の活用をアピールし、また外国人を多く雇用
する企業と連携することなどを通し、日本語教育の促進を図る。
ウ
①
国際理解教育
「学習者の足元である神奈川が抱えている問題」を軸にした生活実感のある国
際理解教育を進めるために、外国につながる子どもや大人が神奈川で抱えている
「学習や就学に関する問題」「生活や社会参加に関する問題」の現状・要因・その
解決方策への理解を進める国際理解教育を展開する。
②
足元である神奈川の問題の背景にある地球的問題(貧困・格差・紛争・環境破壊・
人権侵害など)の現状・要因・その解決方策への理解を進める国際理解教育を展開
する。
③
これからの外国語活動や外国語教育は、小学校では子どもたちに多様な言語に
触れる機会を提供すること、中等教育、特に高校では第一外国語としての英語の
他に第二外国語としてアジア地域の言語含む多様な言語学習を可能にすることな
ど、多様化の方向を模索する。
④
国際理解教育に関する研修を教員やその他関係者を対象に充実させ、さらには
関係機関・団体と国際教室・日本語教室・母語教室との連携を図る。
22
3
防災
(1)現状分析
ア
外国籍県民※の防災に対する意識
(※外国にルーツのある日本国籍保有者を含む)
外国籍県民の中には、出身国が地震の少ない国である場合や、一時的な出稼ぎ
の予定で来日している場合など、平素から防災に対する意識が日本人と比較して
低い場合があり、災害に対する知識や経験が不足しがちである。また、災害時に
おいて、言葉や習慣、文化の違いから、日本人同様の支援が受けられなかった場
合、過度の不安に陥りやすい。
イ
多言語情報の提供について
自治体によっては、防災情報や災害時に必要な情報を多言語で提供してきてい
るが、情報がホームページ上での掲載に限られている場合があるなど、情報の伝
達手段が限られている状況がある。
また、ホームページにおける多言語情報の掲載についても、日本語を母語とし
ない県民に必要な情報がすべて掲載されているわけではなく、必要な情報にアク
セスできにくい状況にある。
ウ
通訳・翻訳者の配置状況について
災害発生時においては、被災した県民は、自分自身や家族の生命の安全をいか
に守るかの情報を求めている。また、避難所での生活や、各種被災手続きなどを
行うことが必要となるが、日本語を母語としない県民には、正しい情報が迅速に
伝達されない事態が想定される。
このような状況の下、日本語を母語としない県民を支援するためには、多言語
の通訳・翻訳者が必要となる。しかしながら、平常時に自治体が実施している通
訳派遣及び文書の翻訳などは、ボランティアをベースとし、災害等の緊急時に活
動することを前提とした人材把握のしくみは整備されておらず、非常時に対応で
きない可能性が大きい。
(2)現在の取組み・成果・課題
ア
現状の取組み・成果
(ア) 災害発生時への備え
○
県の災害対策本部が設置される災害発生時には、公益財団法人かながわ国
際交流財団と県(国際課)は、協働して外国籍県民支援に取り組む基本的な
事項について協定「災害多言語支援センター※の設置・運営に係る協定」を締
結(2012年3月)している。
○
災害発生時に県災害対策本部が発信する緊急情報を「災害多言語支援セン
ター」で多言語に翻訳する業務について、兵庫県で通訳翻訳を行うNPO法
23
人と委託契約を締結し、多言語情報を提供する態勢を整えている。
(県(国際課)/2006年度(平成18年度)開始)
○
災害発生時に「災害多言語支援センター」で電話等での通訳に従事しても
らうボランティアの登録を行って通訳に従事する態勢を整えている。
(県(国際課)/登録者:127名(2012年3月末現在))
○
県ホームページ上の防災サイトでは、平常時には県及び市町村が開催する
防災講座や啓発冊子等の情報を掲載するとともに、災害発生時には県及び市
町村が発信する情報を収集して掲載している。
○
公益財団法人かながわ国際交流財団は、関東地域国際化協会連絡協議会
(13団体が加盟)と「災害時における外国人支援ネットワークに関する協定」
を締結(2009年3月)し、災害時に翻訳等の協力を行う態勢を整備している。
○
公益財団法人かながわ国際交流財団は、外国籍県民向け多言語情報メール
"INFO KANAGAWA"
(英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、
やさしい日本語)により、災害時には、「災害多言語支援センター」からの災
害情報を配信する態勢を整えている。平常時には、防災情報を含む生活に役
立つ情報を定期的に提供している。
※災害多言語支援センターとは:
大規模災害発生時に、外国人住民が安全に適切な行動をとれるよう、外国人被災者の状況や
ニーズを把握し、行政機関等が発信する災害情報を多言語に翻訳して情報提供を行う拠点。
(イ) 外国籍県民に対する普及・啓発
○
県と市町村国際政策担当課で構成される「かながわ自治体の国際政策研究
会」で、多言語啓発冊子『地震に自信を』を作成し、市町村窓口等で配布し
ている。
○
県総合防災センターが『地震から身を守るための10カ条』を3言語で発行
している。
○
外国籍県民対象防災講座を開催している。
(県(国際課)/2011年度(平成23年度)より年1回開催)
(ウ) ボランティアに対する普及・啓発
ボランティアや国際交流ラウンジ等を対象とした研修講座を毎年開催してい
る。
(県(国際課)/2006年度(平成18年度)より年1回開催)
(エ) 市町村との連携
○
「かながわ自治体の国際政策研究会」などにおいて、県内市町村との意見
交換や情報共有を図り、災害時の対応について検討を行っている。
○
要援護者(高齢者・障害者・外国人)支援に関して、『要援護者支援マニ
ュアル作成指針』を作成し、市町村に配付している。
(県(国際課・保健福祉総務課作成)/2007年3月)
24
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f7304/p26919.html
○
平塚市と連携して、市町村レベルで災害時に外国人住民への情報支援を行
う災害多言語支援センター設置訓練のモデル事業を実施している。
(県(国際課)/2012年度(平成24年度))
○
災害発生時に外国人住民向けに情報支援を行うセンターを設置運営する協
定を締結する県内4自治体(神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市)及び各
国際交流協会等の担当者が、災害時の外国人対応について情報共有し、県内
機関の連携を進めるための会合を開催している。((公財)かながわ国際交
流財団と(公財)横浜市国際交流協会の共催/2012年度(平成24年度))
(オ) 県内市町村の取組状況
○
政令市では、災害発生時に外国人住民向けに情報支援を行うセンターを設
置運営する協定を市と市国際交流協会等で締結している。
・横浜市外国人震災時情報センター
(設置主体:(公財)横浜市国際交流協会)
・川崎市災害時多言語支援センター
(設置主体:(公財)川崎市国際交流協会)
・さがみはら国際交流ラウンジ防災センター
(設置主体:さがみはら国際交流ラウンジ運営機構)
○
県内市町村の一部では、市町村国際施策担当課、危機管理・防災施策担当
課、国際交流協会、自治会、外国人支援NPO等でネットワークを構成し、
平常時から「外国人の防災意識の啓発、災害時における外国人支援」を目的
とした取組を進めている。(例:総合防災訓練への外国人住民の参加、外国
人集住地域における自主防災訓練など)。
○
県内市町村の一部では、多言語で防災意識の啓発を図るため、多言語版防
災リーフレット等を作成や、外国人住民が集まるイベントやコミュニティ
(日本語教室、教会等)やFM 放送等を活用している。
イ
現状の取組に対する課題について
○
県・市町村及び関係団体等は、日本語を母語としない県民への防災情報及び
災害情報の提供を行っているが、十分に浸透しているとは言えない。日本語を
母語としない県民への情報提供は、メディアの種類、作成する啓発物の内容や
配布方法など、広報の工夫が必要である。
○
東日本大震災を契機に外国籍県民の防災意識は高まっているものの、防災訓
練への参加など具体的な行動には結びついていない人が多い。いかに具体的な
行動に結びつけていくかが課題である。
○
県内市町村の一部では、災害時において外国籍県民が要援護者として支援が
必要になることに対して自治会(地域住民)の認識や理解が十分でなかったり、
災害時に外国人支援の中心となるコーディネーターやボランティア組織がなく、
支援態勢が整っていない状況にある。
25
県は、公益財団法人かながわ国際交流財団との災害多言語支援センター設置
や、多言語への翻訳等に関する業務委託など、災害時の情報提供の態勢整備を
進めているが、小規模な市町村の外国人住民支援を補完するなど、市町村の取
組状況に合わせた効果的な運用方法や県・市町村間の連携のあり方が課題とな
っている。
(3)今後に向けての提言・提案
ア
外国籍県民への効果的な情報提供
①
災害に関する表示板(避難経路や避難場所等)の多言語化、地域の防災
拠点への災害時多言語表示シートの常備等を進める。情報の多言語化とと
もに、やさしい日本語※による情報提供が有効であるため、日頃からやさし
い日本語による情報提供を進める。
②
県全域で外国籍県民に必要な情報が伝わるよう、自治体が共通して利用
できる防災の多言語資料を県レベルで作成・整備する。制作にあたっては、
外国籍県民の原稿作成への参加、外国語と日本語の併記、各自治体が固有
の情報を追加できるスペースの配置などの工夫を行う。
③
防災に関する多言語資料は、外国人キーパーソン等に普及への協力を仰
いだり、多くの外国人が集まる場所での配布など、普及の方法を工夫する。
また、紙媒体だけでなく、言葉がわからなくても情報が伝わる動画や、多
くの外国籍県民が利用しているソーシャルメディア(Twitter、フェイスブ
ック等を活用した積極的な情報発信)の活用について、さまざまな課題を
検証した上で取り入れることが必要である。
※やさしい日本語とは:
外国人住民に分かりやすい、伝わりやすい日本語。1)ルビをふる、2)難しい言葉を言
い換える、3)文章を短くする、4)知っていた方が良い言葉はそのまま使い注意書きを添
える
イ
などの工夫で外国人住民への伝達効果が高まると言われている。
外国籍県民の防災意識の向上にむけた取組み
①
県内の自治体や自治会などが行う地域の防災訓練への外国籍県民の参加
を促すため、防災訓練の広報を多言語化し、地域の国際フェスティバル等
で防災訓練や講座を行うなど、外国籍県民が参加しやすい工夫を行う。
②
県内の自治体は、日本語教室、外国人支援団体、外国籍県民を雇用する
企業などと協働して、防災講座や防災訓練など災害を見据えた取組みを行
う。
26
③
日頃から、通訳・翻訳協力者や外国人キーパーソン等に対し、災害に備
えた専門用語の習得や防災の意識啓発、情報伝達等の研修の機会を提供す
る。
ウ
災害時の外国籍県民支援及びその仕組みづくり
①
県・市町村は、日頃外国籍県民とのコミュニケーションや接触の少ない
県民にも、災害時には援助の手を差し伸べる共生の意識を持つような啓発
を行うこと。
②
県・市町村は、国際交流協会、NGO、外国人コミュニティなどとともに、
日ごろから外国籍県民の居住実態等を把握しておき、日本人と外国籍県民
が共生できる地域づくりの取り組みを進める。同時に、県内外の先進事例
を検証しながら、それぞれの地域の実情に合った防災や災害時の外国籍県
民支援の仕組みづくりの取り組みを進める。
③
県は、県内市町村に「災害多言語支援センター」設置計画の働きかけを
行う。センター設置のためには、自治体の計画のもと、人材育成、センタ
ーの設置場所や運営主体の取り決め等を段階的に行った上で、自治体、ボ
ランティア、複数の機関が連携した災害多言語支援センターの設置・運営
訓練を実施するとより効果的である。そのような一連の「災害多言語支援
センター」立ち上げのための関連事例を紹介し、県内市町村に訓練の普及
を行う。
④
県・市町村、国際交流協会、NGO等による県域の連携を進めることに加え、
神奈川県が被災地になることを想定し、県外の国際交流協会、多文化共生
マネージャー連絡協議会などのNPO等との連携を更に強化する。支援者の受
入のためにコーディネーターの養成と研修に力を入れ、態勢を整備すると
ともに、他県で災害が起こったときに、神奈川県内からの翻訳協力やコー
ディネーター派遣等の支援を行う態勢の検討も進める。
27
4
団体(NGO・NPO)と県民による支援
(1)現状分析
1990年代半ばごろの自治体の国際政策は、「国際交流から国際協力へ」が主流
であったが、21世紀を迎えた今日では、「多文化共生」がより中心的なテーマと
なっている。いずれも国際社会の平和と共生の実現に向けた地域からの重要な取
組みと位置づけられるものである。神奈川県は、「民際協力」あるいは「内なる
国際化」というキーワードのもと、他自治体に先駆け県民主体の国際化・多文化
共生につとめてきた。
昨今の外国籍県民の増加は、目に見える形での神奈川の多文化化となって、県
民一人一人の共生意識を育んできた。差別や、不都合に直面している外国籍県民
に対して人びとは隣人としてごく自然に手助けをしてきた。個人で、あるいはグ
ループで自発的に取り組んできた身近な支援は、規模の大小に関わりなく確実に
外国籍県民を支えてきた。取組みの中には、県内のみならず広く全国に波及し、
より多くの外国籍県民の不便・不都合・不公平な状況を解決、改善し、彼らの自
立を促し、地域住民との共生の環境作りを担った例もある。
今後、より充実した「多文化共生社会かながわ」を実現するためには、NG
O・NPOのさらなる取り組みが不可欠であることは今や誰もが認識するところ
であろう。独自に、あるいは自治体や国際交流財団・協会との協働事業で、NG
O・NPOの特性を生かした活動を展開することが期待されている。そのために
は、NGO・NPOは今以上に力をつけ自立しなければならない。しかし現状は
多くのNGO・NPOが組織運営上の課題を持ち、必ずしも力を十分発揮してい
るとはいえない。課題を明らかにし、解決に向けての具体策をNGO・NPOの
視点から提起したい。
ア
NGO・NPOの役割
国際社会では早くからNGO・NPOが国益に左右されることなく受益者の利
益を追求して活動することで、政府や国際機関には解決できない課題を解決して
きた。日本社会でもNGO・NPOという言葉が世間に定着する前から、市民は
市民団体を組織し、環境問題、公害問題など社会のさまざまな課題の解決に主体
的に取り組み大きな成果をあげてきた。NGO・NPOは、前例がないことに取
り組む先駆性、多様な価値観を尊重する多元性、個人に向き合う個別・具体性、
知識・経験・調査に基づく批判性、非営利性などを基本に活動している。その結
果、既存の社会制度が時代の変化に対応できないなかで、人々の多様なニーズに
タイムリーに応え、法律や制度までを変えてきた。
1998年に特定非営利活動法(NPO法)が成立し、NGO・NPOが法人格を
得られるようになったことは、NGO・NPOが社会を構成する重要なアクター
として認知されるところとなった。その結果行政からの事業受託も増加。これに
より財政基盤の安定がはかられ、活動の拡充がはかられたNGO・NPOもある。
ただ活動成果は法人格の有無に関係なく、多くの任意団体も地道な活動を通して
28
貴重な貢献をしていることも忘れてはならない。
イ
神奈川県内NPO法人の状況
表5の内閣府の統計によると、神奈川県内の認証NPO法人数は2012年12月31
日現在において、3,181法人となっており、全国3位の法人数となっている。
表5
都道府県別 認証NPO法人数(上位5都道府県)
2012年12月31日現在
都道府県名
認証法人数
所轄別内訳
1位 東京都
9,355 東京都9,355
2位 大阪府
3,282 大阪府1,599 大阪市1,438 堺市245
3位 神奈川県
3,181 神奈川県1,313 横浜市1,366 川崎市325 相模原市177
4位 北海道
1,920 北海道1,073 札幌市847
5位 兵庫県
1,898 兵庫県1,230 神戸市668
全国
46,971
内閣府統計資料より県国際課作成
また平成23年度に、神奈川県の委託を受けてNPO法人まちづくり情報センタ
ーかながわ(アリスセンター)が、県内のNPO法人宛に実施したアンケート調
査の結果によると、図10のとおり、回答のあった団体612団体のうち、約半数の
団体において、収入が1,000万円未満の状況となっている。また給与・報酬をも
らって活動をしている人の有無についても、なお3割程度の団体が無報酬で活動
を行っている実態がある。
図10
29
ウ
神奈川県内の日本語教室等の実施状況
神奈川県内の日本語教室実施状況について、当懇話会委員が表6のとおり調査
を行った。日本語教室は県内で228教室あるが、その内の半数近くが横浜市とな
っている。
表6
(懇話会委員調査資料)
(2)現在の取組み・成果・課題
神奈川県内では数多くのNGO・NPOが活動している。法人格を持つNG
O・NPOの数は3,181団体(所轄庁別:県1,313団体、横浜市1,366団体、川崎市
325団体、相模原177団体)で、東京都、大阪府に次いで全国第3位である。当然
国際協力分野(国際交流・国際協力・多文化共生)で活動するNGO・NPOも
多い。法人格を持たずに活動する団体も加えると神奈川県の多文化共生社会がい
かに多くのNGO・NPOによって支えられているかが明白である。神奈川県内
では国レベルでの法律や制度が整っていなかった時代にあっても、自治体がいち
早く外国籍市民のニーズに対応した住民サービスを行ってきたが、これを可能に
したのは、神奈川県及び県内市町村の時代を見通す先見性と、市民・市民団体の
取り組みにあった。いわゆるオールドカマーと呼ばれる人々が直面した就職差別
や教育、医療分野などへ支援に取り組んできたNGO・NPOは、現場支援とと
もに、国や行政の政策、制度を変える政策提言活動にも積極的に取り組んできた。
そしてその経験、実績はのちのニューカマーの人々への支援に生かされている。
また、1990年代にはこの分野で全国での先駆的取組事例となった非正規滞在労働
者や女性への支援も始まっている。
では、この望まれる支援を実施するためのNGO・NPOの現状はどうか。N
GO・NPOは、誰のために何をするかというミッションを明確に持っているも
のの、実施にあたってはさまざまな困難に直面している。困難の主なものは人、
30
場、資金の不足である。人は数と質(知識・経験・実践力)。場は活動場所及び
事務所。そして人、場を確保し且つ活動内容を左右する資金である。県内NG
O・NPOの現状は日本における大多数のNGO・NPOと同様に厳しい状況に
ある。特に国際協力分野のNGO・NPOは自らの活動で自らの活動資金を生み
出すことができない。それは受益者に経費負担を課すことがむずかしい場合がほ
とんどだからである。従って自治体や財団、中間支援組織によるNGO・NPO
支援は大きな意味を持つ。
ア
現状の取組み・成果
(ア) NPO活動全般への支援に対する取組み
a
認定・仮認定・指定NPO法人制度
2011年6月に、NPO法人への個人からの寄附金について税制優遇措置を
拡大し、NPO法人への寄附の促進及び認定NPO法人数の拡大を目指す寄
附税制関連法案が成立した。
さらに神奈川県においては、全国に先駆けて、認定NPO法人に限らず、
その他のNPO法人への寄附金についても、県が条例で個別に指定すること
により、個人住民税(都道府県民税)の税額控除の対象となる条例を平成24
年2月に施行した。
b
かながわ県民活動サポートセンターの開設
NPOやボランティアの活動を総合的に支援する施設として、1996年4月
に横浜駅近くのかながわ県民センター内に開設。ボランタリー活動へ参加し
たい人への情報提供と相談の場として、すでに活動を始めている人たちの活
動の場として、さらには、ボランティア同士の交流の場として様々なサービ
スの提供を行っている。
c
かながわボランタリー活動推進基金21の設置
ボランタリー活動の自主性、主体性を尊重しながら、県とNPO等が協力
し合い、協働して事業を進めていくことや、NPO等の活動を促進するため
の支援を目的として設置された基金で、基金の運用益により、次の事業を実
施している。
○
協働事業負担金
•県とNPO等が地域課題の解決のため、協働して行う事業への負担
•上限1,000万円
•最長5年(年度ごとの審査あり)
○ ボランタリー活動補助金
•地域課題の解決のため、ボランタリー団体が単独で取組む事業への負担
•事業に要する経費の2分の1に相当する額で上限200万円
•最長3年(年度ごとの審査あり)
○ ボランタリー活動奨励賞
31
•他のモデルとなるような、地域社会への貢献度が高い活動に取組むNP
O等への表彰
•表彰及び副賞(団体100万円、個人50万円、いずれも上限)
d
かながわコミュニティカレッジ
地域における様々な課題の解決や、地域の活性化に向けた活動を行う人材
の育成に取組む「県民の新たな学びの場」を目指し、平成18年度から平成20
年度まで試行を行い、平成21年度より本格開設した。県が主体となって実施
する「一般講座」、教育機関や公益法人、NPO法人、任意団体等が主体的
に実施する講座で、かながわコミュニティカレッジの目的に合致する内容に
ついて、会場や広報などで連携する「連携講座」などを実施している。
(イ) 多文化共生・国際協力関係NGO・NPOへの取組み
○ NGOかながわ国際協力会議の設置及び概要
1998年、外国籍県民や県内NGOと連携して幅広い県民の声を反映し、地
域の国際化に対応した国際政策を推進することが必要となってきたため、
「外国籍県民かながわ会議」及び「NGOかながわ国際協力会議」を設置し
た。
両会議とも、県の国際政策への提言を目的としており、両会議委員の意見
交換会の開催、相互の資料提供、相互傍聴を可能にする会議の同日開催など
を実施し、連携を図りながら実施してきた。
•任期
2年
•委員選任方法
一般公募で10人以内を選任
(地域の国際化、国際交流、国際協力及び平和の分野)
•提言数
第1期:11提言
第2期:12提言
第3期:8提言
第4期:4提言
第5期:12 提言
第6期:11 提言
合 計:58 提言
○ NGOかながわ国際協力会議のかながわ国際政策推進懇話会との統合
2010年、設置から12年を経過した両会議の今後のあり方について、かなが
わ国際政策懇話会において検討。次のような見直しを行った。
•外国籍会議は、引き続きこれまでの形で継続する。
•NGO会議はかながわ国際政策懇話会と統合し、新しい懇話会にNGO会
議の持つ提言機能の代わりに報告機能を持たせ、協議結果を報告書にまと
めるなど、機能強化を図る。
•新しい懇話会では、委員の枠を増やし、現行の委員の人数を2名拡充し、
NGO関係者をメンバーに加える。(12名から14名へ拡充)
新しい懇話会では、外国籍会議と合同会議を開催する機会を設定し、情報
交換や意見交換を通して、懇話会と外国籍会議の協力・連携を図る。
32
イ 現状の取組みに対する課題
(ア)人材の確保とスキル
本来NGO・NPOの活動には知識、経験、専門性が必要である。従って有償
専従スタッフが係わることが望ましい。しかし現状は日本のNGO・NPOのほ
とんどがボランティアによる無償活動で成り立っている。有能で意欲的な若者が
仕事としてかかわる場となり得ていない。活動には多くの人の参加、人の確保と
同時に、参加者の一定程度のスキルの維持、向上が重要である。幅広い層からの
参加による人材確保と、ボランティアスタッフのスキルの向上に必要な学習の機
会が不足している現状を変えなければならない。
(イ)活動場所・事務所
県民活動サポートセンターの開設は、NGO・NPO活動を大きくサポートす
るところとなった。交通の便がよく、県内各地からメンバーが集まり活動するこ
とを可能にした。ここが行政によるNGO・NPO支援策の成功モデルとなり、
県下各地はもとより全国的にも類似の施設が設置される先駆けとなったことは喜
ばしい。
一方外国籍市民が利用しやすい身近な場所での場の確保は不十分である。特に
日本語学習では利用者がより利用しやすい至近な場所であることは重要である。
NGO・NPOは同一場所で継続して実施されるサービスを必要としている。
(ウ)資金・寄付控除
各団体がそれぞれの努力で支援者を増やし財政基盤を安定させることは当然の
ことであるが多くの場合知名度のない団体が不特定多数の支援者を得るのはむず
かしい。国は、NGO・NPOへの寄付の拡大を促す制度としてNPO法内で一
定の条件を満たしたNPOを「認定NPO」として税控除の実施対象とした。
(NPO法成立時には制定されなかった制度)しかし認定NPOとなる条件は厳
しく、制度の恩恵に浴するNGO・NPOは2013年1月現在、全体の約0.57%
(265団体/46324団体)である。こうした状況に鑑み2012年都道府県での条例制
定で「指定NPO制度」がスタートした。この制度は県内NPOへの寄付行為の
増大を促し、NGO・NPOの活動支援となることが見込めるもので、初年度で
10団体が指定された。今後対象NGO・NPOの増大を期待したい。
しかし、指定NPOに認定されるためのハードルも決して低いものではなく、
多文化共生を地域で支える小規模なNGO・NPOや法人格を持たない任意団体
にとっては直接的な財政支援策にはなっていない。指定NPO制度の県民への周
知・徹底とともに、別の形での寄付社会の構築を考えていかなければならない。
33
(3)今後に向けての提言・提案(NGO・NPOの強化に向けて)
課題に対する提言・提案については、既に県に提出されているNGOかながわ国
際協力会議の提言内容から提示する。
ア 人:人材・スキル
①
日本語ボランティア活動の将来に向け、大学生の活用と養成講座の開講
神奈川県内の「日本語教員養成課程」で学ぶ大学生が専門的知識を実践す
る場として、「日本語ボランティア団体」のシステムを作る。また、各大学に
働きかけ、「日本語教員養成課程連絡会(仮称)を積極的に組織化する。さら
に勤労市民がボランティアに参加できるよう、夜間および土、日曜日に「日本
語ボランティア養成講座」を開講し、多くの日本語指導者を養成する。
【NGOかながわ国際協力会議 第6期提言】
イ 場:活動場所
①
事務所
NGOの活動拠点について
より多くのNGOが、県民に身近なところで継続的に活動できるように、
既存施設の機能を改善するとともに、増設を県が側面支援すること。
【NGOかながわ国際協力会議 第3期提言】
②
日本語学習を行う場所の提供について
県は、外国籍県民の日本語学習が、計画的、継続的でより学習成果を挙げ
られるよう、学習の場となる公共施設の場所を優先的に提供する。
【NGOかながわ国際協力会議 第5期提言】
③
外国籍県民の日本語学習の場の確保
外国籍県民の日本語学習の場の確保のため、神奈川県国際課、神奈川県教
育委員会は積極的に市町村の国際課もしくは、それに相当する部署と日本語学
習支援に関する連絡協議会(連絡会)を作り、その連絡網を通じ、県の施設は
もとより、県内の全市町村が所有する施設の開放および優先利用を県から市町
村へ働きかけること。
【NGOかながわ国際協力会議
第6期提言】
ウ 資金・寄附控除
①
県民・県内企業・関係団体とNGOを結びつけるシステムについて
国際貢献に関心がある県民や県内企業・関係団体が、県内で活動するNG
Oに対して、資金支援や活動への参加が出来るように、県はその公共性と広報
力などを生かして両者を結びつけるシステムを創出すること。
【NGOかながわ国際協力会議 第3期提言】
②
市民団体の活動支援のための、寄付による県民ファンドの創設
公共の担い手としてのNGO・NPOなどの諮問団体を支援するために、
34
市民参加によるファンドを創設する。神奈川県は、県民からNPOなどの市民
活動支援を目的とした基金を創設し、市民および団体からの寄附を受付、公開
の審査会を経て配分を行う。
【NGOかながわ国際協力会議 第6期提言】
エ NGO・NPOの特性を生かした多文化理解教育の推進
①
開発教育の推進について
地球規模の諸課題を自らの問題として認識し、身近な生活の中からの解決
に向けて行動する地球市民を育て、多文化共生社会を実現するために、県がそ
のリソース(信頼性・広報力・施設・資金力)を活用してイニシアチブをとり、
開発教育(地球市民教育)を推進すること。
【NGOかながわ国際協力会議 第3期提言】
②
県職員の研修内容の充実について
県職員が、地域の国際化の現状と、県がこれまで行ってきた国際施策の歴
史と意義を正しく理解し、外国籍県民やNGO等と協力・連携しながら事業を
進めていくための共通認識を持つこと。
【NGOかながわ国際協力会議 第5期提言】
オ 国際言語文化アカデミアの活用について
「国際言語文化アカデミア※」を活かした、県民と協働する多文化共生事業
①
「国際言語文化アカデミア」に、学識者だけでなく、外国籍県民や外国籍
県民支援・国際理解/開発教育をおこなっているNGO・NPOなど様々な人
で構成される共同検討会を作り、事業計画に反映させる。講座や研修の講師に
外国籍県民、NGO・NPOなどの人材を活用する。
【NGOかながわ国際協力会議 第6期提言】
※国際言語文化アカデミア:
2011年に閉学となった神奈川県立外語短期大学の教育資源を活用した新しい組織として同年に設
置。言語及び文化に関する講座の開設等の事業を通じて、多文化共生の実現に寄与することを目的
としている。
35
Ⅳ
今後の施策の方向性について
神奈川県がこれまでつねに認識しさまざまな施策をもって努めてきた「内なる国際化」
への対応は、今日では「多文化共生」という言葉で表現され、本報告書も、「多文化共
生社会の実現に向けた神奈川県の取組みの現状と課題」と題した。しかし、「多文化」と
称するからといって、限られた、文化のレベルで共生の課題をとらえてよいわけではな
い。本報告でも、社会生活分野、教育分野、防災分野、団体(NGO・NPO)による
支援、を区別しつつ、現状と課題に触れてきたように、具体的な現実に根ざした多次元
的な政策が求められている。
社会生活分野では、なんといっても雇用、福祉の改善、そして格差や差別の是正とい
う意味での平等が課題となる。外国籍県民の労働環境については、特に身分に基づく在
留資格(永住者、定住者、日本人の配偶者等)にある人々において、間接雇用・パート
など非正規雇用の比率が高く、彼らは弱い立場に置かれている。自治体としての対応に
限界はあるにしても、相談と助言、そして労働条件の改善にむけての企業への啓発を強
める必要がある。また社会保険の適用、受診の容易な医療、差別のない住宅の賃貸や取
得のための施策、啓発もいっそう重要性を増している。さらに、働けないなど生計手段
を失った人々にとってセーフティネットである生活保護は、雇用を失うなど困窮した外
国人にとっても重要な制度であり、必要な者への申請の助言・指導は進められるべきで
あろう。
教育分野では、まず就学を確かなものとするため、実態を把握し、異なる文化背景に
ある外国人の子どもが学習に参加できるよう支援(プレスクール、国際教室、超過年齢
者学習保障など)に力を入れなければならない。また子どもの就学、学習を進める上で
保護者の役割は重要であり、その言語能力や日本の学校への理解を高めるサポートもな
ければならない。今後の重点の一つは彼らの高校進学・修了を進めることであり、その
ためのガイダンスやガイドブック作成に県も実施あるいは協力をしている。だが、課題
は高校入学後の学習支援と、彼らに学ぶ目標をもたせるための進路指導であり、これは
まだ不十分な域にとどまっている。一方、日本語の指導と習得の重要性が強調され、そ
れは当然であるが、子どもたちのアイデンティティ、認知発達の可能性を考える時、本
来もっている母語の能力を保持させ伸ばす教育も欠かせないと思われる。現状では困難
があろうが、県内のあらゆる機会、資源を利用しつつ施策化することを今後の課題とし
て位置づけるべきだろう。
2011年の3.11の震災と原発事故を経験した今、防災をめぐって国際化施策を検討して
おくことは必要である。これは震災等に慣れない外国籍県民に対しいのちを守るという
行動の大切さとそのための協働の必要を知ってもらうという意義がある。災害の知識が
あり、言葉(日本語)が分かることを前提とした防災施策ではなく、教育、翻訳、通訳
のプロセスも含めた外国籍県民への支援の仕組みづくりが目指されねばならない。関東
から東海地方にかけての大規模地震の恐れも予想されているだけに、これは継続的課題
となろう。
冒頭に触れたように今期から、NGOかながわ国際協力会議を、かながわ国際政策推
36
進懇話会に統合した。それだけに、NGO・NPOによる支援の必要、現状、課題につ
いてはやや詳細な記述を行った。神奈川県は、各自治体の国際交流協会なども含め、国
際化に関わるNGO・NPOの活動が活発なところであり、旧NGO会議が過去の6期
にわたり行ってきた提言を振り返ると、あらためてその重要性が分かる。とりわけ外国
人支援のような、人、その文化、言語、教育、家族生活、福祉などにかかわる、心を通
わせるきめ細かな支援が求められる場合、人権意識、個別・具体的対象への対応力、非
営利性、経験蓄積などをそなえたNGO・NPOの役割はきわめて重要である。しかし
ながら、現状においては、認定NPOとなる条件は厳しく、制度の恩恵に浴するものは
限られており、2012年都道府県での条例制定でスタートした「指定NPO制度」が、依然
小規模な団体が多いNGO・NPOにプラスとなることを期待したい。また、NGO・
NPOは、行政にとって不可欠の良きパートナーではあるが、時には批判的スタンスか
ら、行政よりは支援を必要とする人々の側に立つこともある。そうしたNGO・NPO
の代表者が、本懇話会の一員として今後発言、提言をしていくことは意義があると考え
られる。
37
Ⅴ参
考
38
資
料
外国人登録者市(区)町村別主要国籍(出身地)別人員調査表(2011(平成23)年12月31日現在)
国籍数 161カ国
全国籍
合 計
県合計
横浜市
鶴見区
神奈川区
西区
中区
南区
港南区
保土ヶ谷区
旭区
磯子区
金沢区
港北区
緑区
青葉区
都筑区
戸塚区
栄区
泉区
瀬谷区
川崎市
相模原市
横須賀市
平塚市
鎌倉市
藤沢市
小田原市
茅ヶ崎市
逗子市
三浦市
秦野市
厚木市
大和市
伊勢原市
海老名市
座間市
南足柄市
綾瀬市
葉山町
寒川町
大磯町
二宮町
中井町
大井町
松田町
山北町
開成町
箱根町
真鶴町
湯河原町
愛川町
清川村
中国
韓国・
朝鮮 フィリピン ブラジル
167,893 56,096 32,372 18,426 10,257
77,295 33,577 14,979 6,777 2,880
9,630
4,912
3,606
15,467
7,671
2,152
4,236
2,151
3,289
2,477
5,129
2,378
3,314
2,641
3,197
1,045
2,570
1,430
ペル-
ベトナム
米国
7,459
1,480
6,157
1,884
5,033
2,386
タイ
インドネシア カンボジア スリランカ
英国
3,875
1,465
3,290
1,433
1,671
907
1,631
777
1,559
333
1,412
377
18,655
8,040
2
11
39
45
8
7
23
14
18
19
13
2
67
18
15
51
3
4
6
25
975
539
470
1,348
468
182
412
226
211
240
918
220
636
591
232
84
150
138
203
54
13
10
7
211
7
6
2,849
1,340
395
781
251
740
134
189
83
26
647
728
651
184
318
374
32
413
57
84
27
24
10
2
11
3,306
2,259
1,796
8,987
3,656
837
2,201
825
1,477
720
1,556
874
1,136
569
1,473
401
1,046
458
1,801
1,115
676
2,515
1,764
568
774
489
654
450
1,227
388
782
575
572
247
176
206
1,057
386
192
731
1,048
227
404
273
287
209
495
288
202
295
281
105
139
158
1,255
80
23
118
23
57
32
24
271
160
125
231
55
161
166
21
42
36
496
32
45
40
64
17
6
32
136
342
35
42
36
27
60
7
29
34
112
72
11
25
41
40
74
58
14
75
87
44
16
66
127
74
746
202
132
174
128
695
103
71
77
51
89
91
262
45
192
86
87
42
36
25
125
54
70
293
245
64
49
62
57
59
94
44
65
38
45
28
37
36
214
63
43
317
113
29
112
3
33
15
78
117
45
128
95
9
6
13
47
40
100
326
41
21
27
22
25
17
81
15
70
24
19
16
11
5
69
42
44
43
81
23
44
12
19
96
101
47
60
24
32
4
9
27
31,125 10,349
10,483 3,434
4,715
792
4,468
710
1,245
237
5,646
989
1,866
482
1,511
374
452
55
253
65
3,273
571
5,555 1,052
6,030 1,196
1,437
341
2,169
391
2,474
537
347
141
2,937
246
236
22
648
93
145
29
173
31
117
13
64
34
64
9
57
22
124
33
168
41
67
34
329
48
2,393
144
27
4
8,757
1,996
969
460
346
914
363
337
121
51
228
544
973
113
271
340
53
182
40
56
30
19
7
9
14
6
14
35
11
92
41
1
3,870
1,580
1,234
683
84
428
439
223
49
51
133
545
778
188
203
386
42
241
19
64
24
28
13
7
15
12
16
23
12
62
193
4
964
337
240
921
12
709
191
88
6
12
659
518
380
168
174
182
54
771
3
126
2
27
33
6
9
541
268
352
221
11
728
55
29
2
648
277
109
190
18
313
51
34
2
325
777
495
232
155
120
3
384
539
296
102
96
43
186
48
41
12
13
88
159
188
24
112
91
6
186
8
24
8
4
2
2
1
9
2
1
1,038
133
12
20
13
35
15
15
12
441
809
907
80
119
136
3
252
1
52
748
282
403
57
150
198
42
89
86
29
36
62
102
15
61
102
8
51
59
9
18
8
1
2
3
2
2
7
3
6
5
1
297
71
27
13
60
73
17
53
21
4
13
8
18
5
27
16
3
2
22
1
4
2
288
106
56
48
13
73
20
30
2
1
19
19
36
9
15
33
6
1
4
7
111
1
4
11
1
1
86
24
38
2
1
6
38
28
2
9
692
16
14
3
2
75
815
2
44
その他
148カ国
インド
14
169
42
56
207
30
14
1
4
6
23
3
32
2
22
1
2
6
55
3
1
3
5
4
6
5
3
137
67
34
309
11
258
49
2
3
1
1
92
92
175
21
10
17
1
73
7
73
89
1
106
110
1
99
1
17
1
1
1
3
1
2
18
1
1
75
1
18
3
14
4
19
225
神奈川県県民局くらし文化部国際課調べ
39
かながわ国際政策推進懇話会設置要綱
(設置)
第1条 国際社会の変化に対応した神奈川の国際施策の推進について有識者等の意見を聴取し協議するた
め、かながわ国際政策推進懇話会(以下「懇話会」という。)を設置する。
(協議事項)
第2条 懇話会は、次に掲げる事項について協議を行う。
(1) 国際施策の推進に関すること。
(2) かながわ国際施策推進指針に関すること。
(3) その他、かながわの国際政策の総合的な推進に関すること。
(委員)
第3条 懇話会は、知事が選任する次の委員で構成する。
(1) 学識経験を有する者
(2) 関係団体の代表者
(3) 外国籍県民
(4) 市町村の代表者
(5) 県民からの公募等により選考された者
2 前項のうち、県民からの公募等については、別途定める。
3 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、前任者の任期の途中で選任された委員の任期は、
前任者の残任期間とする。
4 委員の任期は、必要があると認められるときは、これを1年延長することができる。
(会長及び副会長)
第4条 懇話会に会長及び副会長を置く。
2 会長及び副会長は、委員の互選により定める。
3 会長は会務を総理し、懇話会を代表する。
4 副会長は会長を補佐し、会長に事故あるときは、その職務を代理し、会長が欠員のときはその職務を
行う。
(会議)
第5条 懇話会の会議は会長が招集し、その座長となる。
(意見の聴取)
第6条 懇話会において必要があると認められるときは、その会議に関係者の出席を求め、意見又は説明
を聴くことができる。
(専門委員会)
第7条 懇話会には、その所掌事項に係る専門事項について調査、研究するため、専門委員会を置くこと
ができる。
2 専門委員会における懇話会以外の委員については、知事が選任する。
40
(事務局)
第8条 懇話会の事務局は、県民局くらし文化部国際課に置く。
(補則)
第9条 この要綱に定めるもののほか、懇話会の運営その他懇話会に関し必要な事項は、会長が定める。
附 則
この要綱は、平成3年10月8日から施行する。
附 則
この要綱は、平成5年4月1日から施行する。
附 則
この要綱は、平成9年4月1日から施行する。
附 則
この要綱は、平成11年4月1日から施行する。
附 則
この要綱は、平成11年6月1日から施行する。
附 則
この要綱は、平成16年3月23日から施行する。
附 則
この要綱は、平成17年3月9日から施行する。
附 則
この要綱は、平成21年1月27日から施行する。
附 則
この要綱は、平成22年4月1日から施行する。
附 則
この要綱は、平成24年11月21日から施行する。
41
第10期
年度
開催日
会
議
かながわ国際政策推進懇話会の開催状況
名
議
事
内
容
・懇話会会長および副会長の選任について
5.20
第1回
・今期懇話会の方向性について
・外国籍児童・生徒等の教育について(第 1 回)
・神奈川県の国際交流・協力分野の取組について
・災害時の外国籍県民支援の取組について
11.1
第2回
H23
・報告書の方向性について
・個別分野の選定について
(2011)
・外国籍児童・生徒等の教育について(第2回)
1 外国籍県民かながわ会議との合同会議
・外国籍県民かながわ会議作成の提言素案について意見交換
2.18
第3回
2 懇話会単独会議
・報告書の作成スケジュールの確認
・次回懇話会での協議テーマの決定。
(福祉・医療がテーマとなる)
・報告書の構成について
5.30
第4回
・個別分野「社会(福祉・医療)」について
・新たな在留管理制度について
・かながわ国際施策推進指針の改定の基本的考え方
・外国籍県民かながわ会議の委員改選に伴う、選考委員会の設
8.3
第5回
H24
置について
・報告書のたたき台と執筆分担の決定
・かながわ国際施策推進指針改定の県議会報告内容
(2012)
10.29
専門
委員会
11.28
第6回
2.15
第7回
3月
・外国籍県民かながわ会議第8期委員選考委員会
・報告書について
(社会、防災、教育、民間の支援の分野毎の検討)
・報告書の最終確認
県国際課への報告書の提出
42
第10期かながわ国際政策推進懇話会委員名簿
役
氏
職
名
【学識経験者】
みやじま
たかし
やまにし
ゆうじ
こいし
あつこ
◎宮島
お茶の水女子大学名誉教授
喬
山西 優二
早稲田大学文学学術院教授
古石 篤子
慶応義塾大学総合政策学部教授
【関係団体】
はしもと
橋本
はやし
林
たか ぎ
ひろし
日本労働組合総連合会神奈川県連合会副事務局長 (H24.11.9まで)
弘
かつみ
克己
上記同職 (H24.11.22から)
き せ こ
〇髙木 紀世子 (公財)神奈川産業振興センター理事
やまうち
りょうこ
山内 涼子
(公財)かながわ国際交流財団 多文化共生・協働推進課長
よねばやし のりひと
米 林 徳人
あさみ
独立行政法人 国際協力機構 横浜国際センター市民参加協力課長(H24.5.14まで)
えいじ
浅見 栄次
上記同職(H24.5.15から)
【外国籍県民】
きむ
金
かんじょ
廣照
元 第1期外国籍県民かながわ会議委員長
【市町村】
かわた
やすひこ
せ と
まさし
いしだ
さき え
川田 安彦
平塚市文化・交流課長(H24.3.31まで)
瀬戸 雅史
上記同職(H24.4.18から)
石田 咲江
大和市国際・男女共同参画課長
【NGO等】
なか
かずこ
中 和子
ユッカの会事務局長
やまなか
えつこ
いけむら
ひろみ
山中 悦子
池村
もりやま
森山
(特活)草の根援助運動理事
弘美
み
き
公募委員
こ
美紀子 公募委員
(◎会長、〇副会長)
43
かながわ国際政策推進懇話会報告
「多文化共生社会の実現に向けた神奈川県の取組みの現状と課題」
2013年3月
事務局:神奈川県県民局くらし文化部国際課
〒231-8588 横浜市中区日本大通1
TEL 045-210-3748 FAX 045-212-2753
44
Fly UP