...

平成 23 年度民活インフラ案件形成等調査 モザンビーク

by user

on
Category: Documents
49

views

Report

Comments

Transcript

平成 23 年度民活インフラ案件形成等調査 モザンビーク
平成 23 年度民活インフラ案件形成等調査
モザンビーク・肥料生産事業調査報告書
平成24年2月
経
済
産
業
省
委託先:
東洋エンジニアリング株式会社
住友商事株式会社
禁転載
ま
え
が
き
本報告書は、経済産業省から東洋エンジニアリング株式会社、住友商事株式会社が平成
23 年度の事業として受託した「民活インフラ案件形成等調査」の成果をとりまとめたもの
です。
本調査は、モザンビーク・ベイラ市・ベイラインダストリアルエリアにおいて、国内及
び周辺諸国の尿素供給のために、11 億 7,300 万ドルかけて建設する肥料プロジェクトの実
現可能性を調査し提言を纏めたものです。
本報告が上記プロジェクト実現の一助となり、加えて我が国関係者の方々のご参考にな
ることを希望します。
平成 24 年2月
東洋エンジニアリング株式会社
住友商事株式会社
目 次
要約
1.プロジェクトの背景・必要性等
2
2.プロジェクトの内容決定に関する基本方針
3
3.プロジェクトの概要
4
4.実施スケジュール
7
5.実施に関するフィージビリティ
7
6.我が国企業の技術面等での優位性
7
7.案件実現までの具体的スケジュール及び実現を阻むリスク
9
8.調査対象国内での事業実施地点が分かる地図
10
第1章 相手国、セクター等の概要
1.1 相手国の経済・財政事情
2
1.2 プロジェクトの対象セクターの概要
3
1.3 対象地域の状況
4
第2章 調査方法
2.1 調査内容
2
2.2 調査方法・体制
3
2.3 調査スケジュール
6
第3章 プロジェクトの内容及び技術的側面の検討
3.1 プロジェクトの背景・必要性等
2
3.2 プロジェクトの内容等に必要な各種検討
8
3.3 プロジェクトの計画概要
36
第4章 環境社会的側面の検討
4.1 環境社会面における現状分析
2
4.2 プロジェクトの実施に伴う環境改善効果
3
4.3 プロジェクトの実施に伴う環境社会面への影響
3
4.4 相手国の環境社会配慮関連法規の概要
4
4.5 プロジェクトの実現のために当該国(実施機関その他関係機関)が成すべき事項
8
第5章 財務的・経済的実行可能性
5.1 事業費の積算
2
5.2 予備的な財務・経済分析の結果概要
4
5.3 経済的分析
9
第6章 プロジェクトの実施スケジュール
6.1 プロジェクト実施スケジュール
2
6.2 EIAスケジュール
3
第7章 相手国側実施機関の実施能力
第8章 我が国企業の技術面等の優位性
8.1 想定される我が国企業の参画形態(出資、資機材供給、施設の運営管理等)
2
8.2 当該プロジェクト実施に際しての我が国企業の優位性(技術面、経済面)
6
8.3 我が国企業の受注を促進するために必要な施策
7
第9章 プロジェクトの資金調達の見通し
9.1 資金ソース及び資金調達計画の検討
2
9.2 資金調達の実現可能性
3
9.3 キャッシュ・フロー分析
4
第10章 案件実現に向けたアクションプランと課題
10.1 当該プロジェクトの実現に向けた取り組み状況
2
10.2 当該プロジェクトの実現に向けた相手国の関係官庁・実施機関の取り組み状況
2
10.3 相手国の法的・財政的制約等の有無
3
10.4 追加的な詳細分析の要否
7
略語表
略語
正式名称
日本語訳
ACES21
Advanced process for Cost and Energy Saving
省エネ型尿素合成プロセス
AfDB
African Development Bank
アフリカ開発銀行
AMI
Mozambique Cotton Institute
綿協会
aMDEA
BASF
Company
patent
MDEA
(Methyl 酸性ガス除去
Diethanolamine)
BFW
Boiler Feed Water
ボイラー給水ポンプ
BOD
Biochemical Oxygen Demand
生化学的酸素要求量
BOG
Boil-Off-Gas
ボイルオフガス
BP
British Petroleum
BP(企業名)
BWRO
Brackish Water Reverse Osmosis
ブラキッシュ・ウォータ
ー・リバース・オズモシス
CCTV
closed-circuit television
有線テレビ
CEPAGRI
Agriculture Promotion Centre
農業推進センター
CIF
China International Fund Ltd
中国国際基金
COD
Chemical Oxygen Demand
化学的酸素要求量
COMESA
Common Market for Eastern and Southern Africa
東南部アフリカ市場共同
体
CPI
Investment Promotion Center
投資推進センター
DNSA
National Direction of Agricultural Services
農業サービス国家指針
DPA
Provincial Directorate for Agriculture
農業サービス州法
DSCR
Debt Service Coverage Ratio
デット・サービス・カバレ
ッジ・レイショ
EAC
East African Community
CRIP
Certificate
of
東アフリカ共同体
Registered
Investment
of
民間投資登録証明
Private
EIA
Environmental Impact Assessment
環境影響評価
EIU
Economist Intelligence Unit’s
エコノミスト・インテリジ
ェンス・ユニット
ENH
Empresa Nacional de Hidrocarbonetos E.P.
炭化水素公社
EPC
Engineering, Procurement, and Construction
設計・調達・建設
ESHIA
Environmental and Socioeconomic and Health
環境、社会経済、ならびに
Impact Assessment
健康に対する影響評価
FAO
Food and Agriculture Organization's
国際連合食糧農業機関
FDI
Foreign Direct Investment
海外直接投資
i
FSU
Floating Storage Unit
浮体式貯蔵設備
FTA
Free Trade Agreement
自由貿易協定
GDP
Gross Domestic Product
国内総生産
GTG
Gas Turbine Generators
ガスタービン発電機
H2S
Hydrogen sulfide
硫化水素
HMDA
Hexamethylene Diamine
ヘキサメチレンジアミン
HP
High Pressure
高圧
HRSG
Heat Recovery Steam Generation
排ガスボイラ
IA
Instrument Air
計装用空気
IDA
International Development Association
国際開発協会、第二世界銀
行
IEA
International Energy Agency
国際エネルギー機関
IIAM
Mozambique Agriculture Research Institute
農業調査会
IMF
International Monetary Fund
国際通貨基金
INCAJU
National Cashew Institute
カシュー協会
INP
Institute National Petroleum
国家石油院
IRRI
International Rice Research Institute
国際米研究所
IUCN
International Union for Conservation of Nature
国際自然保護連合
JETRO
Japan External Trade Organization
日本貿易振興機構
JICA
Japan International Cooperation Agency
国際協力機構
KR2
Food Production Support
食糧生産サポート
LDA
Limited Liability Company
有限会社
LHV
Lower heating value
低位発熱量
LNG
Liquefied Natural Gas
液化天然ガス
LP
Low Pressure
低圧
MBP
Mixed Bed Polisher
ポリッシャー
MDEA
Methyl Diethanolamine
メチルジエタノールアミン
MDGs
Millennium Development Goals
ミレミアム開発目標
METI
Ministry of Economy and Trade Industry, Japan
経済産業省
MINAG
Ministry of Agriculture
農業省
MIREMMOMR
Ministry of Mineral Resources
鉱物資源省
MMBTU
Million British Thermal Unit
(英国熱量単位)
MOU
Memorandum Of Understanding
覚書
MP
Middle Pressure
中圧
MPHE
Marine Plate Heat Exchanger
プレート熱交換器
MT/D
Metric Ton per Day
メートルトン/日
MTPD
Metric Ton Per Day
メートルトン/日
N/C
NH3(Ammonia)/CO2 mole ratio
アンモニア・二酸化炭素
ii
モル比
NGO
Non-Governmental Organizations
非営利団体
NPK
Nitrogen, Phosphorus, Potassium
窒素、リン、カリウム
O&M
Operation and Maintenence
運営管理
OPEC
Organization of the Petroleum Exporting Countries
石油輸出国機構
OSBL
Outside of Battery Limit
(工事責任)範囲外
PA
Plant Air
工場空気
PEDSA
Strategic Plan for Agricultural Development
農業発展戦略的計画
PIL
Private Investment Law
民間投資法
PSA
Pressure Swing Adsorption
圧力スイング吸着法
RG
Reformed Gas
改質ガス
RO
Reverse Osmosis
逆浸透圧法
RSH
General
formula
of
sulfur
containing
organic 硫黄成分の公式
compound
SA
Joint Stock Company
株式会社
SADC
South African Development Community
南部アフリカ開発共同体
SASOL
South Africa Synthetic Oil Limited
南アフリカ総合石油会社
SBA
Stand By Arrangement
借入予約
SG
Synthesis Gas
合成ガス
SGU
Super Granule Urea
大粒尿素
SMEs
Small and Medium Size Enterprises
中小企業
SPE
Special Purpose Entity
特別目的事業体
SS
Suspended Solids
浮遊物
SWI
Sea Water Intake
海水取水
SWRO
Sea Water Reverse Osmosis
海水逆浸透圧法
Tcf
Trillion cubic feet
兆立法フィート
TIA
Trabalho de Inquerito Agricola
( Agro
農業関連作業
Inquiry Work )
TSP
Total Suspended Particles
総浮遊粒子
UFC
Urea Formaldehyde Concentrate
尿素ホルムアルド濃縮物
UNDP
United Nations Development Program
国際開発プログラム
VSCC
Vertical Submerged Carbamate Condenser
垂直型カーバメ-トコンデ
ンサー
WB
World Bank
世界銀行
WHB
Waste Heat Boiler
余熱ボイラ
iii
モザンビーク政府関連
英語
日本語
MINISTRY OF AGRICULTURE (MINAG)
農業省
MINISTRY OF MINERAL RESOURCES
鉱物資源省
MINISTRY OF PLANNING AND DEVELOPMENT
計画発展省
MINISTRY OF INDUSTRY AND TRADE
産業貿易省
MINISTRY FOR COORDINATRION OF
環境省
ENVIRONMENTAL
ACTION
サファラ州政府
Government of the province of Safala
iv
要約
1
1 プロジェクトの背景・必要性等
農業はモザンビークの主要産業であり、モザンビークの労働人口の81%は農業に従事、GDP
の28.8%を占める。綿、カシューナッツ、サトウキビ、茶、キャッサバ(タピオカ)、トウ
モロコシ、ココナッツ、シサル麻、柑橘類、トロピカル・フルーツ、ジャガイモ、ヒマワリ、
牛肉、鶏肉はモザンビークの農業製品である。モザンビークの農業状況は次のように要約さ
れる。
1.
2.
3.
4.
自給自足、低い生産性及び生産を特徴とする乾地農業
弱い市場指向
環境上不適当な慣行を伴う原始的な技術
低品質、小規模生産
モザンビークには、アグリフォーカス、アグロケミカル及びアグロテックというわずか3
社の肥料輸入業者が存在している。これらは主として南アフリカから尿素輸入している。輸
入業者は、政府から輸入価格の3%をコミッションとして受け取っている。卸売業者は、肥
料を50kg当たり70~80米ドルで購入、50kg当たり100米ドルで農民に販売している。この価
格はモザンビークのGDPから見て決して競争的価格ではない。商業地区では肥料は5kg当た
り10米ドルで売られている。
モザンビーク政府は今後の農業発展を模索しており、肥料の潜在的な年間需要は10万トン
であるが、過去10年間に肥料の年間消費高は18,000トンから51,000トンに伸びており、尿素
需要は生産する事により、需要が拡大する側面もあるが、今後一層の需要増加が見込まれる。
またモザンビークはその他アフリカ地域と比べても肥料消費高が少ない。
○
○
○
○
アフリカ:
サハラ以南のアフリカ:
モザンビーク:
アブジャ宣言:
20
8
5
50
kg
kg
kg
kg
/
/
/
/
ha
ha
ha
ha (2015年まで)
ザンビア、マラウィ、ジンバブエ、コンゴ等の南部アフリカ共同体諸国も肥料輸入国であ
り、以下表の通り今後一層尿素需要が見込まれる事から、プロジェクトの必要性がある。
2
表1:SADC国間の肥料に関する経常消費及び予測の比較 (2007-2011年及び2011-2017年)
年
モザンビーク
ザンビア
マラウイ
合計
2007
28,000
180,000
270,000
478,000
2008
32,000
192,600
283,500
508,300
2009
33,000
206,100
297,700
540,800
2010
51,400
220,500
312,600
575,700
2011
50,000
235,900
328,200
613,100
2012
53,900
247,700
338,000
639,600
2013
59,300
260,000
348,200
667,500
2014
62,200
273,000
358,600
693,800
2015
71,700
286,700
369,400
727,800
2016
78,900
301,000
380,500
760,400
2017
86,800
316,000
391,900
794,700
出展 モザンビーク農業省発表資料「 SADC国間の肥料に関する経常消費及び予測の比較
(2007-2011年及び2011-2017年)」
上記は JICA が現在進めている日伯連携によるモザンビーク熱帯サバンナ農業開発事業「プ
ロサバンナ」による農地拡大、生産性増加に伴う肥料需要の増加は見込んでおらず、モザン
ビーク農業省発表値以上の需要が予測される。
またアブジャ宣言では 2015 年までに現在のモザンビークの使用量の 10 倍になる 50 kg/ha
の肥料使用の実現を目指している事から、更なる需要拡大が予測され、プロジェクト実現の
必要性がある。
2 プロジェクトの内容決定に関する基本方針
モザンビーク政府は、過去80年間国内での肥料事業を熱望しており、実行に向けて基本的な
障害はないと考える。モザンビーク側の計画を尊重してニーズを理解してよくプロジェクト
の内容を検討して調査を進めるものとする。
1.天然ガス確保
本調査ではパンデ/テマネガス田増産分の内、3,300 万立方フィート/日ガス確保する事を
前提とする。
2.建設地
本調査では、尿素の出荷・環境を考慮して本調査ではベイラ・ニュー・インダストリー・エ
リアをサイトとしている。
3.尿素需要に基づいた生産量決定
モザンビーク政府は、モザンビーク国内、マラウィ、ザンビア、ジンバブエ等南部アフリカ
共同体諸国のみならず、
高価格で尿素が取引されている南アフリカに対しても販売したい意
向である。2011 年のモザンビーク、マラウィ、ザンビアの尿素生産量が 61 万 3,000 トンで
あるという実需面。モザンビークにおけるガス生産量の約1割に相当する 3,300 万立方フィ
3
ート/日から可能な生産量。また世界的な標準生産量である尿素生産容量 1,725 MTPD をサブ
サハラ初の最初のステップとして、1,725 MTPD を尿素の生産容量とする。
3 プロジェクトの概要
プロジェクトの概要は、以下の通りである。
建設地
:
ベイラ・ニュー・インダストリアル・エリア
製品
:
尿素1,725 MTPD
出荷先
:
モザンビーク国内ザンビア、ジンバブエ、マラウィ等
原料
:
パンデ/テマネガス 田の増産分33mmscfd
プロセス
:
アンモニアはKBR社の技術使用
尿素は東洋エンジニアリング社のACES21使用
用役設備
: 発電は全量自家発電。海水取水して工業用水を造水。
オフサイト設備
:アンモニアタンク、尿素タンク、50キロバッグ詰設備。
図1:プラント全体図
パンデ・テマネ
ガス田
プロセスプラント・オフサイト設備
大粒尿素
アンモニアプラント Liquid NH3
1,000 MTPD
天然ガス
尿素プラント
1,725 MTPD
尿素倉庫
(52,500 Ton)
袋詰システム
アンモニア彫像タンク
5,000 Ton
ポリッシュド
ウォーター
コンデンセート
回収
計装エアr
プラントエアr
窒素ガス
海水・冷却水
海水・冷却水
施設
海水メイクア
ップ
海水
海水取
水設備
計装エア、プラン
トエア施設、
アイ・ジー・シー
施設
CW Make-up Water
蒸気発生設備
発電設備
排水処理施設
海水処理設備
Polished Water
ユーティリティ設備
出典:調査団作成
4
尿素
(1)事業費の積算
プラント費用及びオーナー側のコストは、以下の通りである。
表2:プラント費及びオーナー側コスト
項目
金額
EPC コスト
-アンモニア・尿素プラント
-用役・オフサイト設備
-合計
オーナー側のコスト
操業準備費
IDC
予備費等
-合計
出典:調査団作成
5億 500 万 USD
4億 9,500 万 USD
10 億 USD
6,700 万
5,100 万
5,500 万
1億 7,300 万
USD
USD
USD
USD
(2)予備的な財務・経済分析の結果概要
予備的な財務・経済分析を行う前提は以下の通りである。
 収入は 2011 年 12 月時点での国際市場価格の尿素収入に基づいて計算され、建設中の期
間のみインフレ分がこの価格に付加される。
 尿素生産量は、
1日当たり 1,725 トンの尿素の生産で年間 330 日運転する計算に基づく。
尿素の全生産量は年間 569,250 トンである。
 キャッシュ・フローは 20 年にわたって割り引かれる。
 金利は、Base rate 4% + CIRR 4.26%
 減価償却は年間約 10%の定額法で計算される。
 ガス投入単価は百万 BTU 当たり 3.16USD する。
 所得税は5年間免除される。しかし、その後、所得税は年間 32%で適用される。輸入税
及び VAT はプロジェクト期間を通じて免除されると想定している。
 プロジェクト用地は国有財産の一部でリース契約となる。工業団地を管轄するベイラ州
職員によると土地利用に際して、1m²=10 メティカ 1 回支払う必要があるとの事から 20
ha 分積算。
 債務返済期間は 8.5 年。
以上の前提に基づき財務分析を実施すると FIRR は 15.31%となり、資金の回収期間は6年
となる。
1. 尿素供給により農業生産が増加
モザンビークの GDP は 100 億ドルとなり、農業は 25%の 25 億ドル。尿素供給により農業の
GDP の 5%分(1億 2,500 万ドル)が増加する。
2. 雇用機会の創出
尿素工場の事業会社に 600 人雇用される。モザンビーク国内における賃金の内、20%が源泉
徴収として税金になる。モザンビーク平均賃金は月収 4~5,000 ティカル。1年当たりの経
済効果は 4,500 メティカル×0.2×600×12÷27 = 約 24 万ドルとなる。
3. その他
モザンビークに対する技術移転による経済効果は莫大なものになる。
5
4. 経済効果
本プロジェクトが実施される場合の EIRR は 25.26%と推定され経済効果は十分といえる。
(3)環境社会的側面の検討
モザンビークにおいて、環境影響評価法(EIA Regulations 45/2004)に従い、カテゴリーA
に分類された EIA プロセス、段階、期間は以下の通りである。
図 2:EIA プロセス、段階、及び期間
出典:調査団作成
6
4 実施スケジュール
調査団が現地でモザンビーク政府とすり合わせたスケジュールは以下の通りになる。詳細設
計、入札、プロジェクト実施に関しても以下に記載。
表 3:実施スケジュール
作業項目
年/月
2011
11/18
1 事前事業化調査
3
2 基本設計・EPC価格提案
7
3 EPC価格精査、最終投資決定
2
4 環境社会影響評価
12
5 資金手配
6
6 EPC 実施
32
2012
2013
2014
2015
2016
2/23
6/1
12/31
1/31
5/1
4/30
2/1
7/31
3/31
8/1
EPC契約
ガス増産のタイミング
4/1
7 商業運転 (運転 & 保全)
O&M契約
出典:調査団作成
5 実施に関するフィージビリティ
モザンビークでは、農業振興の為、需要あり、南部アフリカ共同体も含めて需要量は十分
見込まれる。またFIRR、EIRRもハードルレートをクリアしており、経済性が見込まれる。今
後必要な施策に関して、ガス割当とサイト選定に付随する形で、パイプライン建設に関して
は、案件実現に向けてよくモザンビーク政府と相談する必要がある。またモザンビーク側の
計画を尊重してプロジェクトの内容を検討する事と肥料育成に関しては、JICAのプロサバン
ナ計画とも連携を組む事も検討したい。
6 我が国企業の技術面等での優位性
資金調達の面では負債の調達に関わるものであり、もうひとつが株主資本調達に関わ
るものである。負債の調達については日本企業のプラント建設や出資と密接に関わって
くる事項であり、当該プロジェクト実施の為の重要な部分を占める国際協力銀行の融資
メニュ―を含めて検討する。
当該プロジェクトの資金調達に加えて、農業関連への事業参画と石油化学事業への事
業参画を目的とした日本企業による出資参画にも可能性が高い。第一に窒素系肥料の取
り扱いを目的とした事業参画であり、余剰窒素系肥料を昨今の需要の多いインド、豪州、
中国、日本等への輸出を目的として当該プロジェクトに出資参画することにより優先的
に製品の取り扱いを行うことである。
窒素系肥料の取り扱いに加えて、
石油化学事業への参画に関しても日本企業の出資の可能
性が高い。窒素系肥料は原料に天然ガスを使用しているが、同様に類似プロセスからアンモ
7
ニア、メタノール等の基礎化学品を製造することが可能であり、これらの化学品を原料とす
る付加価値の高い化学品製造に対して供給することを目的としての出資も十分に可能性が
あると言える。しかしながら、その際には当該プロジェクトの製品構成・プラント構成は見
直される必要がある。
上記に記載のある他地域への輸出をベースとした製品取り扱いを目的とした事業参画と
は異なり、肥料需要が飛躍的に増加する可能性の高い南部アフリカ地域で農業関連事業への
参画も日本企業にとって魅力のあるものであると言える。
現在の肥料消費量は他地域と比較
し非常に少ないものであるが、今後非常に大きな成長が期待できることから、大きなビジネ
スチャンスを持っていると考えられる。
プラント建設については、資機材は、中国、ヨーロッパ、日本、韓国および東南アジアか
ら調達する。日本からの調達品は、コンプレッサーのような回転機器、熱交換器、ボイラー
のようなパッケージ設備、化学品ユニット、ガスタービンおよびコンプレッサー、リクレー
マのような資材運搬機器、パイプ、特殊バルブ等が候補になる。
尿素ライセンスに関しては本邦唯一のライセンスである東洋エンジニアリングの
ACES21 は尿素合成系を簡素化することでプラント建設費を低減したばかりではなく、運転
条件をより最適化しオペレーションコスト削減を実現しており、以下の優位性がある。
A. 省コスト(機器配置が低く、コンパクト)
建設費の削減。高圧エジェクターによる強制送液採用による合成管の地上設置 縦型のサブ
マージカーバメートコンデンサー(VSCC) 合成ループの簡素化、機器費削減2段合成に
よる機器サイズ削減、合成ループ内の機器数の削減。
B. 省エネルギー(運転費用の削減)
最適なプロセスコンディション採用による低い合成圧力の実現で運転費用の削減。
C. 運転しやすさと安定性
高圧エジェクターによる高圧ループ内の強制循環(重力流れなし)
D. 保全費の削減
低い合成系温度と信頼性の高い材料を採用することにより、腐食を防止する。
8
7 案件実現までの具体的スケジュール及び
実現を阻むリスク
モザンビーク側は、国内肥料事業を長年希望しており、案件実現に関して政治的にも技術
的な問題は存在しないものと考える。政府各組織は農業振興のための自国による肥料生産の
重要性、その結果としての農業生産の増加の必要性を十分に理解しており、また農業生産を
増加させるための農業振興プログラムをすでに開始しているとのことである。
モザンビークの鉱物資源省からの Interest Letter の入手後、東洋エンジニアリングと住友
商事は同省にモザンビーク国内のパンデ/テマネガス田から供給される国内天然ガスを有
効利用した肥料プロジェクトである当該プロジェクトを排他的に検討することを骨子とし
て 2011 年6月に提出している MoU(Memorandum Of Understanding)への署名を依頼してい
るが、現在モザンビーク政府内で署名の是非について協議中のままである。
案件実現に向けてガス確保がポイントになる。パンデ/テマネガス田は現在も探査中であ
り、本調査では同ガス田が今後 2016 年のタイミングで増産する前提としているが、ガスの
確保が案件実現に向けて必要となる。
モザンビーク中部に位置するベイラのベイラ・ニュー・インダストリアル・エリアが当該
プロジェクトのサイトの第1候補であり、同地には商業港、鉄道があり近隣諸国とのアクセ
スも十分にある。結果として商業港である故、プラント機器・プラント建設に必要となる重
機の輸入、肥料製造の為の原材料となる化学品の輸入が可能となり且つ製品の輸出について
も問題無く行えると考えられる。ベイラ・ニュー・インダストリアル・エリアの管轄は、ソ
ファラ州政府になっており、中央・地方両政府への働きかけが必要になる。パイプライン建
設の点からもモザンビーク側とよく協議する必要がある事項である。
また、鉱物資源省と本調査団との協議の結果 INP が責任担当部署として指名された。し
かしながら、INP はモザンビークの石油ガスに関する情報について管轄する組織である為、
今後の尿素生産事業推進するモザンビーク側の責任担当部署については、モザンビーク炭化
水素公社(ENH)等が候補に挙がっているが、農業省、産業貿易省、商工省も含めて今後
協議して行く必要がある。
モザンビークは北部のロブマの巨大ガス田の存在から、
資源国として注目されている事も
あり、国際協力銀行からの融資についても、本調査結果を踏まえて、今後協議を進めていく。
出資に関しては、モザンビーク炭化水素公社(ENH)、肥料に興味があるとしているモザン
ビーク炭化水素会社(CMH)及びモザンビーク政府 (鉱物資源省・農業省・産業貿易省・
商工省)含めて今後協議して行く必要がある。
上記の問題については、調査団が今後モザンビーク側の政府首脳にも働きかける事も検討
して、案件実現に向けて進めて行く。
9
8 調査対象国内での事業実施地点が分かる地図
図 3:モザンビーク全体地図
出典:Google
10
図 4:建設予定サイト
出典:Google
11
第1章
相手国、セクター等の概要
1
1.1 相手国の経済・財政事情
モザンビークは数十年に及ぶ内戦を経て、著しい経済発展を遂げ、アフリカ経済発展の
担い手の一国となった。特に建設業、農耕業、エネルギー産業での隆盛、及び財政面で改
善が大きな引き金となり、1996年から2010年の間の年間平均経済成長率は6%であった。
しかし、未だに海外資本に援助を求めており、国際経済状況に左右されやすいというの
も実情である。政府も外国企業の誘致に積極的であり、今後も外国資本に頼りながら成長
していくことが予想される。
表 1-1 モザンビークの経済・財政状況
年度
名目 GDP(百万米ドル)
成長率(%)
一人あたり GDP
年間インフレ率(%)
輸出(百万米ドル)
輸入(百万米ドル)
2005
6636
8.4
305.5
13.1
1745
2408
2006
7296
8.7
362.8
8.1
2412
2869
2007
7868.63
7.3
398.7
12.1
2412
3050
2008
9728
6.8
478.1
11.8
2688
3765
2009
10468
6.4
454
2.3
2147
3422
出典: 投資推進センター(CPI)
図 1-1 GDP 分野別グラフ
その他
金融部門
農業、水産業
政府サービス
ホテル・レストラン
鉱工業
輸送業
貿易
製造業
建設業
電気、水
出典:Authors’ estimates based on National Institute of Statistics date
モザンビークの農業分野は同国GDPの4分の1を占める。モザンビーク政府は常々、農業
事情の改善を試みているが、まだ初期段階にとどまる。
モザンビークの気候と土壌は、多くの作物にとって理想的であり、同国で収穫される主
な作物は、サトウキビ、コプラ、ゴマ、トラマメ、ヒマワリ、コメ、キビ、そしてトウモ
ロコシである。これらに加え、ダイズ、ジャガイモ、キュウリ、サツマイモ、カボチャ、
キャベツ、トマト等の野菜も収穫される。
2
2010
9901
6.5
429.6
12.7
2243.1
3240.2
モザンビーク政府は、コメ、単純農業による野菜、そして畜産業において、世界を先導す
る存在を目指しているが、農業生産能力はまだ低いのが現状である。
複数の国際団体が、同国農業生産能力向上の支援を広範囲に渡って行っている。特に JICA
は、同国北部のプロサヴァナプロジェクトを通じて、大きな貢献をしている。(同プロジェ
クトにはブラジルでも貢献。)この様な、モザンビーク政府の目的遂げる為には、競争力あ
る肥料供給が、重要な課題の一つとなるであろう。
1.2 プロジェクトの対象セクターの概要
1-2-1
鉱物資源省(鉱物資源大臣―エスペランサ・ビアス(エスペランカ・ビアス
(Esperanca Bias)氏)
鉱物資源省は、石油、ガス、鉱物の発掘・管理及び、それらの関連事項全てに責任を負っ
ている。
1-2-2
INP(議長(アルセーニオ・マボチ(Arsenio Mabote)氏))
国家石油院(Institute National Petroleum (INP))は、モザンビークの石油運営・管理を担
っている。
3
図 1-2
INP 組織図
議長
(アルセーニオ・マボーチ)
法律アドバイザー
財務部(ジョアン・アルフレッ
ド・マンジョーチ)
行政・景観部
人事部
開発局
プロジェクト開発局
カルロス・ザカリアス
イザベル・シュバンビ
資源・資産管理
データセンター
プロジェクト開
(ジョゼ・ブラン
会計安全理事会
発理事会
出典: INPホームページ
1-2-2 農業省
農業大臣–(ソアレス・ナカ(Soares Nhaca)氏)
モザンビーク農水省は、モザンビークにおける農業政策全般を担当している。
1.3 対象地域の状況
ベイラはモザンビークで2番目に大きな都市である。ベイラ港が、同国内陸部だけでな
く、隣国ジンバブエ、ザンビア、マラウイとの交流の玄関口であるということはとても重
要である。ベイラは長い間、ジンバブエ、ザンビア、マラウイや他の南アフリカ諸国から
の輸入品の主な貿易地点としての役割を果たしてきた。
4
図 1-3 ベイラの気候データ
月
平均最高気
温
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12
年間
31
(87)
30
(86)
29
28 26 24 24 25 27 28 29 29 27.5
(85) (83) (79) (76) (75) (77) (80) (82) (84) (85) (81.6)
26
(79)
26
(79)
26
24 21 19 18 19 21 23 24 26 22.7
(78) (75) (70) (66) (64) (66) (70) (73) (76) (78) (72.8)
°C (°F)
平均最低気
温
°C (°F)
降水量
267 259 264 117 66 41 33 33 25 33 122 244 1,504
mm (inches) (10.5) (10.2) (10.4) (4.6) (2.6) (1.6) (1.3) (1.3) (1) (1.3) (4.8) (9.6) (59.2)
出典: ウェーザーベース(Weatherbase)
近年、モザンビーク政府は、ベイラ港とより北部にあるナカラ港を近代化しようと計画
している。政府は同時に、周辺の鉄道・高速道路等のインフラの近代化も計画している。
ベイラや他の沿岸地域をつなぐフェリーサービスもある。北西部の都市とも航路で結ばれ
ており、国内線だけでなく国際線も就航している。
ベイラ新産業エリアは、ベイラ中心部から北へ 10 キロほどであり、プロジェクト建設地
に適しており、発展が進められている。当エリアからベイラ港への道路も建設される予定
である。
5
図 1-5 モザンビーク地図
図 1-4 サイト地図
建設予定地
マンガ
ナカラ
ベイラ
マプート
出典:CIA World Fact Book
出典:Google earth
6
第2章
調査方法
1
2.1
調査・内容
2-1-1 調査報告書内容を確定するための手順
本件調査による調査内容は以下の段階を経て組み立てられている。
1)
モ国政府からの要請内容の把握
2)
プロジェクトスキームを仮定する。
3)
当該プロジェクトスキーム内容をモ国政府に確認する。
4)
当該プロジェクトスキームにおける課題を解決するための提言を纏める
5)
モ国政府に提言への理解を求め、具体化を図る。
2-1-2
調査範囲
本件調査の調査・見当範囲はモ国政府からの要請に基づいている(第 3.2.3 節)。
以上の要請条件に基づき調査・検討範囲が以下のように定められた。
1) 製品・原料に関する市場調査
製品のモ国内における価格
原料の購入先及び購入価格
2) 設備内容
プロセスフロー及びマテリアルバランス
プロセス設備の内容
必要なユーティリティ量
ユーティリティ設備・オフサイト設備の内容
3) プロジェクトコスト
4) 資金調達方法
5) 財務分析
6) 環境・社会的側面
7) プロジェクト実施スケジュール
8) プロジェクト具体化のための課題及び課題解決のための提言
プロジェクトの技術的側面
プロジェクトの財務的側面
・ モ国における政策・行政的な側面
2
2.2 調査方法・体制
2.2.2 調査方法
(1)モ国との意思の疎通を図るために次の現地調査、モ国での報告を行った。
表 2-1:モ国政府との意思疎通のための調査段階の位置づけ
現地調査
第一次現地調査
現地調査の主目的
意思疎通のためのツール
モ国からの要請内容を把握する
・プレゼンテーション
・質問票
第二次現地調査
調査団によるプロジェクトスキー
・プレゼンテーション
ム内容をモ国政府に確認する。
・報告書原稿
(2) 現地調査における調査項目と調査手段は以下のとおり。
表 2-2:現地調査における調査項目と調査手段
調査項目
1.
調査手段
モ国における肥料使用の状況
【目的】本案件において製造を計画する尿素の妥当性を明確にし、対象
製品の上流・下流の状況を把握する。
1.1 モ国の尿素政策・構想
聴取
1.2 対象尿素品の輸出入状況
聴取
1.3 対象尿素品の現地購入価格・販路システム
聴取
1.4 対象尿素品の製造原料(製造原料)の原料である原油・ガスの生産
聴取
状況
2. 立地条件
【目的】本案件においてサイト計画地を視察し、本事業化調査の精度を
改善する。
2.1 立地条件(設備建設予定地;ユーティリティ・オフサイト既存設備
視察
の現況;ユーティリティの供給可能性)
2.2 尿素輸送インフラ現状(ターミナル;鉄道等)
聴取
3. 環境・社会面への影響
【目的】環境・社会面における影響を検討できるようデータを入手する。
3.1 モ国の環境保全行政・制度
聴取
3.2 EIA 申請・認可までの流れ
聴取
3.3 プラント設備建設時における環境・社会面配慮
聴取
3
3.4 「汚染対策」以外の検討項目(環境許認可及び地域住民への説明・
聴取
自然環境/社会環境への配慮等)
4. プロジェクト事業化に必要な基礎条件
【目的】本案件を事業化するために必要な条件を把握する。
4.1 法制度制定等ソフト面で政府の果たすべき役割
聴取
4.2 インフラストラクチャーの整備
聴取
4.3 モ国政府の資金調達
聴取
4.4 モ国政府の準備すべき役割
聴取
4.5 プロジェクト推進のための構成
聴取
5. 基本情報
【目的】プロジェクト実施に必要な基本情報を入手する。
5.1 関連するモ国政府機関の組織と役割
聴取
5.2 関連するもモ国の組織と役割
聴取
5.3 建設に必要な申請手順
聴取
5.4 貿易・投資動向
データ
5.5 経済動向
データ
5.6 金融制度
データ
5.7 税制
聴取
5.8 工事輸送
聴取
注 1:聴取=関係者にインタビューを行うと共に、データの入手に努めた。視察=現地を訪
問し関係者にインタビューを行い、現状を調査した、データ=モ国政府を通じて関連機関・
団体から関連資料を入手するか、関連書籍を購入しデータ・情報の入手を図った。
(3) 国内作業における調査方法
1)
以下の項目の一部については有識者と面談を行い、現況につき聴取した。
2)
データの入手については文献情報のほか、インターネットによるデータなどを利
用した。
4
2.2.2
調査体制
本件調査に対する調査体制は以下の図 2-1 のとおりである。
図 2-1:調査体制
総括担当
プロジェクト
マネージャー
鈴木 光壽
秘書業務
齋藤
コーディネーター
堀内
技術検討
中村
冨田
丞
真紀子
補助要員
経済・財務分析
積算業務
環境・社会分析
仁
智道
事業化検討
谷本
夏堀
淳史
川上
純郎
加藤
吉伸
太田
正文
徹
(住友商事)
技術検討
西川
彦士
工事積算業務
猿渡
5
康廣
2.3 調査スケジュール
2-3-1 全体スケジュール
調査全体スケジュールは以下のとおりである。
2-3-2 現地調査実施日程
(1)
第一次現地調査
(11 月 28 日~12 月 8 日、日程の内、移動日を除く実施内容を記述する)
表 2-3:第一次現地調査スケジュール
日にち
11 月 29 日
時間
火
午前
場所
行動
6:35
ヨハネスブルク着
8:40
ヨハネスブルク発
9:40
午後
ヨハネスブルク
↓
15:00
マプト
16:00
マプト着
ホテル出発
JICA 面談
在モ国日本大使と面談
ポラナ・セレナ・ホテル
11 月 30 日
水
午前
午後
7:40
ホテル出発
8:00
農業省
10:00
投資推進センター
11:00
14:00
マプト
インパクト社
国際米研究所
16:00
BG/Bioglobal
17:30
ケンツ(工事業者)
ポラナ・セレナ・ホテル
12 月 1 日
木
午前
8:00
ホテル出発
8:30
環境省
10:00
午後
14:30
マプト
17:00
産業・貿易省
石油開発庁
SDV Mozambique
ポラナ・セレナ・ホテル
12 月 2 日
金
午前
8:30
10:30
ホテル出発
マプト
11:00
3AB
MaquiTrade Lda Extraczao e
6
Comercio de Inertes
12:00
ENH
14:30
MOTAENGIL
INP (Instituto National de
16:00
Petroleo)
17:30
MoCargo
ポラナ・セレナ・ホテル
土
午前
8:00
ホテル出発
11:30
12 月 3 日
中化二建
中化二建サイト
午後
13:00
14:00
マプト
セメント工場訪問
Bela-vista 発
17:00
ホテル着
18:00
F.H. Bertling
ポラナ・セレナ・ホテル
12 月 4 日
日
午前
休日
午後
マプト
ポラナ・セレナ・ホテル
12 月 5 日
月
午前
8:00
ホテル出発
8:30
気象庁
10:30
午後
15:00
マプト
17:30
デロイト
オデブレヒト
Capital Outsourcing Group
ポラナ・セレナ・ホテル
12 月 6 日
火
午前
5:30
ホテル出発
6:00
マプト空港着
7:00
マプト着
8:30
ベイラ着
コーディネーターMr.Pio と空港
マプト
午後
10:00
にて待ち合わせ
Port Authority
Municipal office in Dondo &
12:00
site visit
サイト訪問(Beila Municipal
14:00
Office)
7
16:30
ベイラ発
18:00
マプト着
ポラナ・セレナ・ホテル
午前
12 月 7 日
水
8:30
ホテル出発
9:00
計画省
10:00
Grant Thornton
INE ( National Statistical
11:00
午後
マプト
Institute )
SMS (Sociedade Mozambicana de
12:00
Servicos, S.A.)
14:00
鉱物資源省/INP(MoU 提出)
16:00
トレビ社
ポラナ・セレナ・ホテル
出典:調査団作成
(2)
第二次現地調査(2月上旬)
表 2-4: 第二次現地調査スケジュール
日にち
2月8日
時間
水
午前
場所
7:10
ヨハネスブルク着
9:40
ヨハネスブルク発
10:45
ヨハネスブルク
午
後
行動
↓
15:00
マプト着
JICA モ国所長他と面談
マプト
-16:00
Polana Serena ホテル
2月9日
木
-
10:00
午前
モ国農業省局長と面談
-10:30
17:00
午後
-18:00
18:30
駐モ国日本大使と面談
マプト
-19:30
CMH 社 Mr. John (Chairman)
と面談
Polana Serena ホテル
2 月 10 日
金
午後
12:00
マプト
8
ENP オクアネ総裁他と面談
-12:30
13:00
農業省次官他と面談
-14:00
2 月 11 日
土
午前
14:30
鉱物資源省副大臣、INP イザベラ
-15:15
女史他と面談
11:45
マプト発
12:55
2 月 12 日
日
機中泊
ヨハネスブルク着
午後
17:05
ヨハネスブルク発
午後
12:15
香港着
14:25
日本着日
19:15
香港発
日本(羽田)着
出典:調査団作成
9
第3章 プロジェクトの内容及び技術的側面の
検討
1
3.1
プロジェクトの背景・必要性等
3-1-1 モザンビークにおける肥料の現状
農業はモザンビークの主要産業であり、GDPの28.8%を占める。モザンビークの労働人口
の81%は農業に従事している。綿、カシューナッツ、サトウキビ、茶、キャッサバ(タピオ
カ)、トウモロコシ、ココナッツ、シサル麻、柑橘類、トロピカル・フルーツ、ジャガイモ、
ヒマワリ、牛肉、鶏肉はモザンビークの農業製品である。このような事情でモザンビーク政
府は、モザンビークにおける肥料の46%を占める尿素の国内生産を増やすことを計画してい
る。

農業省の分析
モザンビークの農業状況は次のように要約される。
1.
2.
3.
4.
自給自足、低い生産性及び生産を特徴とする乾地農業
弱い市場指向
環境上不適当な慣行を伴う原始的な技術に基づいている。
低品質、小規模生産
農業省は、モザンビークの肥料状況を以下のように分析している。
表3-1:モザンビーク肥料状況
国内の状況
強み
対外的な状況
弱点
農業生産性を高める必要 国内肥料産業の不足
を支持するPEDSAの承認
肥料に対する低い需
要
農業サービス局における 肥料の高値
農業化学製品の登録証の
配布及び管理
機会
脅威
肥料産業のための
原材料在庫(炭化水
素、石灰石、有機質
肥料など)の入手性
短期及び中期的に
予想される肥料産
業における炭化水
素の割合の不足
肥料を使用しない
生産者の高い潜在
力
需要が低いため、
肥料ビジネスは農
村地域ではあまり
魅力的ではない。
国内の多くの地域
における土質の大
幅な低下
肥料の分野における
規制枠組みの不足
農村地域における肥
料の取り扱い及び販
売を管理するのに十
分に広くない貧弱な
販売網
2
農村地域における
農薬販売店の存在
輸入税から生じる
高い肥料コスト
モザンビーク農業研究
所)における土地水利部
の存在
出典:調査団作成

モザンビークにおける尿素価格
モザンビークには、アグリフォーカス、アグロケミカル及びアグロテックというわずか3
社の肥料輸入業者しかいない。これらは主として南アフリカから尿素を輸入している。輸入
業者は、政府から輸入価格の3%をコミッションとして受け取っている。卸売業者は、肥料
を50kg当たり70~80米ドルで購入し、50kg当たり100米ドルで農民に販売している。この価
格はモザンビークのGDPから見て決して競争的価格ではない。商業地区では肥料は5kg当た
り10米ドルで売られている。
3-1-2 モザンビーク政府の肥料開発計画

農業戦略声明
モザンビーク政府の農業戦略声明は以下のとおり。
1. 2007年における緑の革命戦略の採用
2. 食糧生産に関する行動計画の実施
3. PEDSA(農業部門の発展のための戦略的計画)の採用
上記計画の目的は、10年で年産を倍増、農業生産性の平均年間伸び率を7%に高める、高
度技術を採用する農民の数を増やす、農業資材供給者(市場)ネットワークを拡大する、な
どである。

モザンビーク政府による農業戦略
モザンビーク政府の概観
「食糧及び栄養の安全保障という課題を達成し、グローバルな農産物市場を実現すること
ができる力強く競争力がある持続可能な農業部門」
使命
「競争的な方法で食糧及び栄養の安全保障と農民の収益に貢献し、社会的平等と男女平等
を保証すること」
総合的な目標:
 土壌と作物の生産性を改善し、環境基準を保証するため、生産部門によって肥料の
需給を刺激すること
具体的目標:
 生産工程の様々な主体と肥料の入手性及び市場アクセスの保証
 肥料の分野における研究の強化
 肥料産業の原材料入手の促進
 肥料産業及び販売のための租税優遇策の策定
3
 肥料に関する技術者及びサービス供給者の育成
 制度的資産(規制当局、研究所、検査官)の開発
期待される成果:
 肥料の入手性と消費の拡大
 肥料の品質管理システムの確立
 肥料の利用と取り扱いに関して訓練された技術者、生産者、開発作業員
 肥料産業の確立に有利な環境
 国内土壌図の更新
 肥料を使用する農民数の増加
 有機質肥料のための新しい生産技術
 肥料規則の承認と実行
戦略的措置:
R1:肥料の入手性と消費の拡大:
AE-1.1:農業資材に必要な融資を容易に利用する方法の創出
AE-1.2:「ばら荷」の輸入促進
AE-1.3:肥料の輸入比率の変更
R2:肥料の品質管理システムの確立
AE-2.1:肥料の品質検査のための地域研究所の設立
AE-2.2:肥料検査官の募集と訓練
R3:肥料の利用と取り扱いで訓練された技術者、生産者、開発作業員:
AE-3.1:技術者と開発作業員に肥料の取り扱いと利用を訓練
AE-3.2:生産者に対する技術の普及
AE-3.3:検査官及び検査技師に肥料の品質管理を訓練
R4:肥料産業の確立のために有利な環境:
AE-4.1:肥料産業における炭化水素の割合に関する交渉への農業省の参加
R5:国内土壌図の更新
AE-5.1:土質を決定するための実験室試験の実施
AE-5.2:国内の土壌肥沃図の作成
R6:有機質肥料のための新しい生産技術
AE-6.1:無機質肥料の利用に対する代替技術の導入
AE-6.2:肥料の利用又は作物に関する技術的なガイドラインの更新
R7:肥料規則の承認と実施
AE-7.1:肥料規則の作成
AE-7.2:規則の普及と実施
4
戦略の各側面:
 制度的能力強化:
○ 肥料連鎖に関する規則の設定
○ 肥料の利用、管理、市場に関する生産者及び供給者の訓練
 肥料連鎖に関する奨励金プログラムの策定:
○ 安価な原材料(国産の炭化水素)の利用促進
○ 生産者が利用可能な信用枠の設定の促進
○ ばら荷輸入の促進
 市場:
○ 2014年までに少なくとも2つの肥料工場を建設
○ 農業資材供給の地方民間ネットワークの創出
 研究:
○ モザンビークにおける土壌図の更新
モニタリング及び評価:
 調整: DNSAが以下と共同で行う:
○ モザンビーク農業研究所、 国営カシオナッツ研究所、モザンビークコットン研究所、 農
業促進センター、農業州理事会
 以下を決定する枠組み調査:
○ 生産、輸入、価格、販売数量、使用数量、制度的能力などに関する当初のデータ
 戦略の評価方法:
○ 肥料生産及び価値連鎖の各参加者のモニタリング、監査、検査ミッション
○ 農業調査
制度的枠組及び調整の側面:
 責任機関: DNSA
 義務:
○ 農業資源及び農業資材のための政策及び規則を作成し実行すること
○ 他の関連機関との業務調整:
・ 肥料規則の実施
・ 生産者、供給者、供給者組合に対する訓練プログラム
・ 生産及び供給に対する奨励金計画の実施
・ 肥料の生産及び市場に関する情報システムの設立
課題:
 モザンビークで使用される肥料に対する2.5%税の廃止
 肥料生産及び価値連鎖の管理規則の策定及び実施
5
3-1-3 モザンビークにおける肥料サポート・システム
モザンビークでは、政府から農民への補助はない。国際連合食糧農業機関( Food and
Agriculture Organization of the United Nations (FAO))はモザンビークの農民に商品引
換券プログラムを提供している。農期が始まる前に、農民は25~50kgの種子を代金を支払わ
ずに受け取る。農期が終わると、農民は、種子取得原価の2倍を支払う。
 需要目標
現在、尿素の使用はタバコ、製糖会社等に限られている。モザンビークには400万人の農
民がいる。小規模な米農家の場合、わずか3~6%が農業試験場から提供された尿素を使用
しているだけである。モザンビーク政府は、10年後には全農民の80%に相当する340万人が
肥料を使用することを目指している。ザンビア、マラウイ、ジンバブエ、コンゴなどSADC
国はすべて肥料輸入国であり、したがって、農業省によれば、年間60万tが依然として不足
している。供給の観点から、モザンビークの中心に位置するという点で我々が推奨するプラ
ント建設地はマニカ州である。
 需要調査
1990-1999年: 肥料の市場は集中化され供給は食料サポートプログラムを通して実行された。
○ これは、輸入肥料の総量の約47%を占めた。
○ うち26%は民間業者から得られた。(アグロクミコス、タバコス・デ・マニカ、
アクカレイラス、ボロールアンドエナコモ);
肥料の潜在的な年間需要は10万tである。近年、肥料の年間消費高は増加中である。
モザンビークとその他アフリカ地域における国産肥料の消費高の比較:
○ アフリカ:
20 kg / ha
○ サハラ以南のアフリカ: 8 kg / ha
○ モザンビーク:
5 kg / ha
○ アブジャ宣言:
50 kg / ha (2015年まで)

現状分析
下表は、「肥料消費高(t)の変化、2006-2010年」である。モザンビークにおける肥料の
46%は尿素である。
表3-2: 肥料消費高(t)の変化、2006-2010年
肥料消費高(t)の変化、2006-2010年
年
部門
タバコ
砂糖
その他
合計
平均 kg / ha
耕作地
2006-2007
13,000
10,000
5,500
28,000
2007-2008
13,000
10,000
5,000
28,000
4.8
2008-2009
15,000
12,000
5,000
32,000
5.3
2009-2010
16,000
12,000
5,000
33,000
2010-2011
31,400
15,000
5,000
51,400
出展 モザンビーク農業省発表資料「肥料消費高(t)の変化、2006-2010年」
6

将来需要の分析
SADC国間の肥料に関する経常消費及び予測の比較 (2007-2011年及び2011-2017年)
年
表3-3: SADC国間の肥料に関する経常消費及び予測の比較
(2007-2011年及び2011-2017年)
モザンビーク ザンビア
マラウイ
合計
2007
28,000
180,000
270,000
478,000
2008
32,000
192,600
283,500
508,300
2009
33,000
206,100
297,700
540,800
2010
51,400
220,500
312,600
575,700
2011
50,000
235,900
328,200
613,100
2012
53,900
247,700
338,000
639,600
2013
59,300
260,000
348,200
667,500
2014
62,200
273,000
358,600
693,800
2015
71,700
286,700
369,400
727,800
2016
78,900
301,000
380,500
760,400
2017
86,800
316,000
391,900
794,700
<モザンビーク農業省作成資料>
上記は JICA が現在進めている日伯連携によるモザンビーク熱帯サバンナ農業開発事業「プ
ロサバンナ」による農地拡大、生産性増加に伴う肥料需要の増加は見込んでおらず、モザン
ビーク農業省発表値以上の需要が予測される。
出展 モザンビーク農業省発表資料「SADC国間の肥料に関する経常消費及び予測の比較
(2007-2011年及び2011-2017年)」
7
3.2 プロジェクトの内容等決定に必要な各種検討
3-2-1 需要予測
将来需要の分析でも記載したが、モザンビーク及び周辺諸国では今後尿素需要の増加が予
想される。JICA が現在進めている日伯連携によるモザンビーク熱帯サバンナ農業開発事業
「プロサバンナ」による農地拡大、生産性増加に伴い肥料需要の増加が予測される。またア
ブジャ宣言では 2015 年までに現在のモザンビークの使用量の 10 倍になる 50 kg/ha の肥料
使用の実現を目指している事から、更なる需要拡大が予測される。
3-2-2 プロジェクトの内容を検討・決定する際に必要な問題点の把握
 天然ガスの確保
本調査では Pande/Temane ガス田増産分の内、33 百万立方フィート/日ガス確保する事を前
提としている。案件実現に向けては、ガス割当決定者である鉱物・資源省と協議していく必
要がある。
 サイト
本調査では、尿素の出荷・環境を考慮して本調査ではベイラ・ニュー・インダストリー・エ
リアをサイトとしている。案件実現に向けて、モザンビーク投資促進センター、ベイラ市当
局、今後設立されるプロジェクト実行機関とよく協議していく必要がある。

尿素需要に基づいた生産量の決定
モザンビーク政府は、モザンビーク国内、マラウィ、ザンビア、ジンバブエ等南部アフリカ
共同体諸国のみならず、南アフリカに対しても販売したい構想を持っている。尿素需要は生
産する事により、需要が拡大する側面もあるが、サブサハラ初の本格的尿素工場という事か
ら最初のステップとして、1,725 MTPD を尿素の生産容量とする。
8
3-2-3 技術的手法の検討
3-2-3-1 アンモニアプラント
このセクションではアンモニアプラント概要につき説明実施する。

生産容量
アンモニアプラントの日産は、1,000 MTPDとする。
 製品の仕様
アンモニア製品の仕様は、以下の通り。
表 3-4:アンモニア製品の仕様
成分 (wt%)

アンモニア、wt%
99.9% min.
水、 wt%
0.1 max.
油、 wt ppm
5 max.
鉄 (Fe), wt ppm
5 max.
BL 圧力、BarG
20
BL 温度、 °C
20
原料
パンデ/テマネガス田の増産ガス33MMSCFD を原料にする. 原料仕様は以下の表3-5の通り。
表 3-5:原料仕様①
宛先:
セクション:
日付:
データファイル:
サンプル名称:
CPF
CPF
2010/12/5
C:\HPCHEM\1\DATA\05DEC10\SIG15638.D
DM2001-テマネ・ガス
D
成分:
モル%
メタン
エタン
プロパン
イソブタン
n-ブタン
ネオペンタン
イソペンタン
n-ペンタン
n-ヘキサン
n-ヘプタン
n-オクタン
ノナン
デカン
窒素
二酸化炭素
不活性分合計
H2S
酸素
総合計
報告者:
90.89536
3.27357
1.74942
0.44590
0.55024
0.00943
0.17193
0.13892
0.26999
0.15629
0.04489
0.00787
0.00675
2.27888
0.00057
2.27945
0.00000
0.00000
燃焼特性
単位
エネルギー含有量(EC)(総量)
エネルギー含有量(EC)(総量)
相対密度(RD)
相対密度(RD)
ウォッベ指数(WI)
炭化水素露点
水露点
不活性分(N2、CO2)合計
Mr
DMG
H2 S
100.00000
VIOLET
9
3
MJ/nM (101.325kPa@0°C)
MJ/nM3 (101.325kPa@15°C)
101.325kPa@0°C
101.325kPa@15°C
MJ/nM3
°[email protected] Barg
lb/mm scf@ 101 kpa
容積%
g/モル
グラム
ppm
仕様
38.10-43.50
37.40-42.20
0.55-0.70
0.55-0.70
45.80-56.00
-6.8
7
5.0 max
4.0 max
表 3-6:原料仕様②
宛先:
セクション:
日付:
データファイル:
サンプル名称:
CPF
CPF
2010/12/5
C:\HPCHEM\1\DATA\05DEC10\SIG15639.D
DM200-パンデ・ガス
D
成分:
モル%
メタン
エタン
プロパン
イソブタン
n-ブタン
ネオペンタン
イソペンタン
n-ペンタン
n-ヘキサン
n-ヘプタン
n-オクタン
ノナン
デカン
窒素
二酸化炭素
不活性分合計
H2S
酸素
総合計
報告者:
95.22052
1.63286
0.54702
0.13851
0.15139
0.00000
0.52900
0.04607
0.11589
0.07713
0.03164
0.00989
0.01045
1.95976
0.00596
1.96572
0.00000
0.00000
燃焼特性
単位
エネルギー含有量(EC)(総量)
エネルギー含有量(EC)(総量)
相対密度(RD)
相対密度(RD)
ウォッベ指数(WI)
炭化水素露点
水露点
不活性分(N2、CO2)合計
Mr
DMG
H2S
3
MJ/nM (101.325kPa@0°C)
3
MJ/nM (101.325kPa@15°C)
101.325kPa@0°C
101.325kPa@15°C
3
MJ/nM
°[email protected] Barg
lb/mm scf@ 101 kpa
容積%
g/モル
グラム
ppm
仕様
値
38.10-43.50
37.40-42.20
0.55-0.70
0.55-0.70
45.80-56.00
-6.8
7
5.0 max
40.78
38.49
0.585
0.588
53.32
14.86
4.0 max
1.97
17.00
1699.70
0.00
100.00000
VIOLET
出典:国家石油院提供資料
KBR 社ピュリファイヤーアンモニアプロセスは 300 プラント年超の累積操業経験を有して
おり、運転と保守の両面においてその利点が実証されている。本資料で述べるこれら全ての
プロセス上の特徴は、KBR社の多数のアンモニアプラントで生かされている。その主要な特
徴について以下の各パラグラフで論じる。

フィードガスの柔軟性
KBR社ピュリファイヤーアンモニアプロセスでは低温窒素洗浄プロセスを採用し、それに
よって補給合成ガスからの不純物を除去している。そのため、ピュリファイヤープロセスで
は独自の方法によって天然ガスフィードの組成の変動や、炭化水素含有量の変動、さらには
窒素成分や二酸化炭素の含有量の変動に対応することができる。このピュリファイヤーは原
料としての合成ガスの変動を吸収すると共に、
合成ループへの補給ガスの組成を安定的に維
持することができる。一方、従来のプラントの場合、二次リフォーマーに供給するプロセス
エアーの流量を注意深く制御して、合成ループへの補給ガス中の水素/窒素比を所定の値に
する必要がある。

マイルドな一次リフォーミング
KBR社ピュリファイヤーアンモニアプロセスにおける一次リフォーミングは、従来のアン
モニアプロセスに比して約100℃低い温度で実施する。その理由は、リフォーミングの負荷
の一部を一次リフォーマーから二次リフォーマーにシフトすることにより、以下効果がある。
・ 一次リフォーマーにおける放射の負荷が大幅に低減。
・ リフォーマーチューブ及びバーナーの個数が大幅に低減。
・ 一次リフォーマーの触媒チューブ、出口マニホールド、移送ライン、及び対流セク
ションの運転温度が大幅に降下。
・ 非ピュリファイヤープラントに比して一次リフォーマーの資本コストが大幅に低減。
10
・ リフォーマーの触媒及びリフォーマーチューブの寿命が長くなる。

過剰空気を伴う二次リフォーミング
従来のアンモニアプラントにおける二次リフォーマーでは、合成ガス中の水素/窒素比を
3/1にするよう空気量を設定する。一方、本ピュリファイヤープロセスでは、ピュリファ
イヤーに過剰の窒素が必要となる。そこでこの過剰の空気を二次リフォーマーで使用する。
この過剰の空気により追加の反応熱が与えられるため、リフォーマーの負荷を一次リフォー
マーから二次リフォーマーにシフトすることができる。二次リフォーマーに放出される熱の
ほぼ100%が高温状態で使用されるが、一次リフォーマーの放射ゾーンでは、40~50%である。
したがって、
負荷を一次リフォーマーから二次リフォーマーにシフトすることによりプラン
トの効率が向上する。
ピュリファイヤーの下流における二次リフォーマーからのメタンの許容可能漏洩量は、従
来のアンモニアプラントに比してはるかに大きくなる。そのため、二次リフォーマーに要求
される出口温度は約100℃下がる。その結果改質条件ははるかにマイルドなものとなるが、
それは定常でかつ信頼性のある運転と装置の高寿命化の両面で利点となる。さらに燃料が節
約される点も追加の利点となる。
改質されない過剰のメタン、並びに余分の窒素と大部分のアルゴンは、後刻プロセスシー
ケンスによりピュリファイヤーにおいて除去され、燃料としてリフォーマー炉に戻される。

ガスタービン駆動によるプロセス空気圧縮機
尿素プラントに蒸気を送るプラントの場合のプロセス空気圧縮機は、
ヘビーデューティの
産業用ガスタービンで駆動する。またガスタービンからの高温の排出ガスは一次リフォーマ
ーへの余熱燃料空気として利用する。こうすることにより、蒸気タービン駆動に比して効率
が相当向上する。また起動用蒸気の必要量も相当低減されるため、冷却水の必要量も下がる。
アンモニアプラントから出る蒸気を利用する尿素プラントやその他の機器が無い場合、プ
ロセス空気圧縮機は通常蒸気タービンで駆動する。最終的にいかなる駆動装置を選択するか
は、全体的な蒸気バランスを考慮して決めることになる。

低温ピュリファイヤー
KBR社ピュリファイヤーアンモニアプロセスにとって低温ピュリファイヤーは心臓部と言
える。ピュリファイヤーによって合成ガスから排出される余分の窒素を凝縮し、ガス中の水
素/窒素比を3/1にする。その凝縮窒素によって、ガス中にある全てのメタンと大部分のア
ルゴンやその他の不純物は付着除去される。その結果、合成ループへの補給ガスの純度がき
わめて高くなる。そのため、要求される合成圧力、合成触媒の容積及び/又は合成ループか
らのパージ流量が減ることになる。また合成ガスの純度が高まると、合成触媒の寿命が伸び
る。残りの少量の合成ループパージは、ピュリファイヤーとの間を再循環して水素を回収す
るため、パージガス回収ユニットを別に設ける必要はなくなる。
ピュリファイヤーに必要とされる正味の冷却の大部分はエキスパンダーから供給さるた
め、合成ガス流における圧力低下も少なくなる。さらに排気ガスの低圧力蒸発によって冷却
を行う。なおピュリファイヤーからの排気ガスは燃料として利用する。
11
図 3-1: KBR 社ピュリファイヤー
出典:調査団作成
ピュリファイヤーによって、アンモニアプラントの運転に便利な柔軟性が得られる。それ
は、フィードガス中の水素/窒素比が広範囲に変動しても、清浄化された合成ガスの比率を
所定の3/1に維持しながらピュリファイヤーが作動し得るためである。その結果、アンモ
ニアプラントのフロントエンドは蒸気の生産に合わせ、他方合成ループはアンモニアの生産
に合わせることができる。こうしてピュリファイヤーによりインタフェースが修正され、合
成ループが安定化する。
低温ピュリファイヤーシステムでは2つの制御が行われる。エネルギーバランスについて
は、エキスパンダーが取り去るワークを変化させることにより制御する。また材料バランス
の制御は、カラムの底部から取り出す液体の量を変えて行う。
リフォーマーからのメタンスリップ、シフトしたセクションからの一酸化炭素スリップ、
及び二酸化炭素除去システムからの二酸化炭素スリップが通常程度変動すると、
ピュリファ
イヤーに到達するメタンの量が変わる。しかし余分のメタンはピュリファイヤー内部で除去
されるため、合成ループには擾乱は生じない。そのためアンモニアプラントの運転が安定化
される。
プラント立ち上げ時、合成コンバーターの加熱と同一期間中にピュリファイヤーを冷却す
ることができる。ピュリファイヤープラントのオペレータは、ピュリファイヤーのためにプ
ラント全体の立ち上げ時間が延びないことを報告する。一方、短期間停止の場合は、ピュリ
ファイヤー内にある液体窒素のインベントリによってシステムの冷却を維持するため急速
起動が可能となる。

合成ループへの乾性補給ガス
補給ガスには合成触媒にとって毒性となる酸化炭素や水分は含まれない。したがって補給
ガスについてはリサイクルガスと直接混合することができるため、熱交換した後、合成コン
バーターに送る。このプロセススキームには以下の2つの利点がある。
利点の一つは冷凍の要件が軽減される点である。乾燥器を伴わないプロセススキームの場
合、水分を含む補給ガスがコンバーター流出物と混合して冷却トレーンを通過した後、コン
バーターに進むことになる。
二番目の利点は、アンモニアコンバーターを小型化し得る点にある。その理由は、アンモ
ニアを含まない補給ガスをリサイクルガスと混合すると、
コンバーターフィード中のアンモ
ニアの含有量が減少するためである。
12

合成ループでの高圧蒸気発生
合成ループの設計には高圧蒸気の発生を盛り込む。そうすることにより、熱の高レベル回
収を最大化することができる。また蒸気発生器によって合成ループの運転が安定化される。
すなわちアンモニアの生産量が変動すると、それが蒸気発生量に反映されるため、反応炉の
温度プロファイルは影響を受けない。

重要なメカニカル上の特徴
以下の各パラグラフで論じるように、KBR社の優れたプロセス設計はいくつもの卓越した
機械設計上の特徴を備えている。

改質炉
一次改質炉はKBR社による上端燃焼設計となっているが、この設計は、200以上のアンモニ
アプラントや水素プラントまたメタノールプラントに採用されている。この改質炉は、放射
セルと対流セクションによって構成されている。放射セルには一連のハープ状に配置したチ
ューブが備わっており、そこに触媒を充填する。
排気ガスは底面にある放射セルを出て、耐火物を内張りしたダクトを通り対流セクション
に入る。対流セクションにはコイルが設けてあり、リフォーマーフィード/蒸気混合物を予
熱すると共に、高圧蒸気を過熱し、ボイラーフィード水を予熱し、さらにプロセスエアーと
天然ガスフィードを予熱する。
この改質炉では、燃焼空気とガスタービン排気(gas turbine exhaust:GTE)を利用する
設計となっている。リフォーマーの上流にはGTE分配ダクト及びGTEバイパス通気煙突が配置
されている。改質炉への通風は、煙突のベースに配置した1台の誘引ファンで行う。改質炉
から出た排気ガスは、排出規制を満たす十分な高さを有する煙突を通って排出される。
図 3-2 KBR 社一次蒸気リフォーマーの代表的な放射セクション
入口マニホールド
流出物チャンバー
触媒チューブ用バネ支持金具
弁
触媒装填用フランジ
燃料ガスヘッダー
サービスプラットフォーム
垂直燃焼バーナー
覗き窓
入口
ピッグ
テール
プラットフォーム
触媒
チューブ
ライザー
チューブ
混合フィードヘッダー
対流セクションへの
排気ガスダクト
排気ガストンネル
出口マニホールド
出典:調査団作成
13
KBR社ピュリファイヤーアンモニアプラントに使用されているGTE燃焼一次リフォーマー
炉は最新の省エネ設計で、日産680~2,200MT(メートルトン)のアンモニアを生産する既存
のプラントで、この設計の使用実績が実証されている。この改質炉におけるプロセス熱の負
荷は従来のプラントにおける負荷の約60%に過ぎない。このような熱負荷の低さに加えてリ
フォーマー燃料の所要量も下がるが、それはガスタービンからの排気ガスの顕熱を利用して
いるためである。さらに、リフォーマー炉でプロセス廃ガスを燃焼するため、燃料の所要量
も少なくなる。
リフォーマー炉の放射セクションは保守的に設計してあるため、供用寿命が長い。また一
次リフォーマーの出口温度が比較的低いため、
従来型設計のリフォーマーに比してチューブ
金属の温度を大幅に下げることができる。すなわち従来型設計の場合、出口温度は約100℃
高くなる。触媒チューブは冶金学的に厳密に管理して遠心鋳造したマイクロアロイチューブ
で、内面に穴が開いており不良金属を取り除くことができる。
リフォーマー炉は、炉の上端に小型の放熱バーナーを採用する設計となっている。このバ
ーナーでは、天然ガス、低熱量のプロセス廃ガス、あるいはこれらの混合物を燃料とするこ
とができる。天然ガスのみを燃料とした100%容量運転の場合でも、同一バーナーで十分であ
る。このバーナーは粗ガスタイプで、NOx制御のため空気を段階的に取り込むようになって
いる。プロセス廃ガス中の不活性ガスやGTEによっても炎の温度が下がる。このようにバー
ナー設計に特徴があるため、NOxレベルが低くなる。
GTE供給システムは注意深く設計してあるため、各バーナーへの排気ガスの分配状況を制
御することができる。ヘッダーダクトにはバランスダンパーが、また各バーナーダクトには
スロットルダンパーが設けてある。プレナムは騒音レベルを下げるように設計してある。リ
フォーマーバイパス用GTE通気煙突には急速開放タイト・シャットオフダンパーが付いてい
る。なお、このダンパーは遠隔操作することができる。リフォーマーのIDファン、GTEダク
ト及び通気煙突は、通気煙突を通って誘引される周辺空気のもとでリフォーマーを立ち上げ
得るか、又はガスタービンの運転中に通気煙突を大気に開放した状態でリフォーマーを立ち
上げ得るように設計されている。いずれにしても、順序正しい立ち上げをするに十分な酸素
がリフォーマーに供給されるようになっている。同様にガスタービンを停止する場合でも、
炉を完全に停止する必要はない。炉は単純にターンダウンして暖気状態を維持しながら、早
期に再起動し得るようにする。
対流セクションの設計には、運転の柔軟性と安全性を確保するいくつかの特徴が盛り込ま
れている。すなわち炭化水素フィード用として外部バイパス付きの予熱コイルが設けてあり、
酸化亜鉛床へのフィード温度を制御することができる。また蒸気過熱コイルについては、2
組のコイルセクション間に水を注入することができる。
この炉では、熱損失を最小限に抑えるべく、最新の耐火物や断熱材を用いる設計となって
いる。すなわち放射セクションにはセラミック繊維のライニングを施して蓄熱と放射損失を
低く抑え、熱応答を改善している。またバーナーの炎が側壁と接触する場所にはスーパーデ
ューティの硬質耐火物を使用する。
触媒チューブ貫通箇所にはセラミック布シールを施して
チューブの熱膨張を許しながら、空気の漏れを効果的に防止している。またタイトな設定と
良好な燃焼制御を組み合わせることにより、放射セクション出口で測定して乾式ベースで2
vol%の酸素のもとで炉を運転することができる。

二次リフォーマー
ピュリファイヤーアンモニアプラントの二次リフォーマーの設計条件は、他のプラントに
おける設計条件ほど過酷ではないが、やはり設計には特殊な注意を払う必要がある。そこで
二次リフォーマーの設計にはいくつかの特徴を盛り込んでいる。そのため、操業中のプラン
トで優れた性能を発揮する。
主要な特徴の一つは、耐火物による二層の内張りである。この耐火物による内張りによっ
てシェルの金属温度が抑えられるため、炭素鋼の内張りを採用することができる。また外部
には水ジャケットを設け、耐火物の損傷時における過熱を防ぐ。ガスストリームに晒される
耐火物内張りにおいては、珪素を最大でも0.1%に抑え、それよって、熱交換チューブにおけ
14
る珪素移動と下流での汚れを防止しなければならない。耐火物の選定、準備作業及びその適
用に当たっては経験者が注意深く行わなければならない。
設計には、均一な分布と良好な混合状態が得られるよう空気/ガス混合チャンバーを盛り
込んでいる。
このチャンバーについては触媒床面から十分高く設置して良好な分布状態を確
保すると共に、炎が触媒床に触れないようにしている。その他の設計に見られる問題の共通
の原因は、金属性のガス分配器の損傷である。しかしKBR設計では、このようなガス分配器
は使用していない。
二次リフォーマーは長いテーパー状のセクションを有する形状となっているため、触媒上
にガスストリームを均一に分布させることができる。触媒床は、自己保持式インターロック
ブロックからなる耐火物のドームで支持している。全耐火物支持システムは、金属部分を損
傷させる恐れのある温度サージに完全に耐えるようになっている。

改質ガス廃熱ボイラー
KBR社固有の自然循環式フローティングヘッドタイプの廃熱ボイラーでは、リフォーマー
の下流部が高レベルの熱回復特性を有している。これは十分証明済みの機械的に堅牢な設計
となっているため信頼性にも優れた性能を持っており、その他の設計に対して以下のような
利点を備えている。
・ 熱交換器が安価である。
・ 独自の熱交換器と予備バンドルの双方に対して資格のあるベンダーがそろっている。
・ チューブバンドルは取り外しが可能であり、現場で簡単に修理することができる。
・ ボイラーを垂直に設置することができるため、据付け面積が小さくなる。
フローティングヘッドタイプのボイラーには、
金属の内張りを必要としない特殊な二層の
耐火物が施してある。またその設計では、シェル及び二次リフォーマーからの移送ラインに
水ジャケットを備えるようになっており、損傷時における過熱を防ぐ。
この廃熱ボイラーは類似設計の蒸気過熱器と併用する。なおプロセス温度の調節には外部
バイパスを用いる。

合成コンバーター
提案している合成コンバーターは、KBR社による十分証明済みの水平設計のものである。
この設計は、1983年以降多数のKBRプラントにおいて採用されている。このコンバーターは
中間冷却器を備えており、3つの平衡段階を有している。また圧力損失をきわめて低く抑え
た高効率のアンモニア転化が可能なように設計されている。コンバーターの圧力シェル内に
は取り外し可能な触媒バスケットが設けてあり、そのバスケットには中間冷却器が2台内蔵
されている。また円筒状の触媒バスケットと高圧シェル間には環状のスペースがあり、シェ
ル冷却用フィードガスの通路となっている。
このコンバーターでは主に1.5~3mサイズの促進マグネタイト系触媒を用いる。触媒の容
積は5~10年の寿命を目安にして選定する。平衡段階は3つしかないが、3番目の大型段は
連続した2つの床に分かれているため、触媒床としては4つあることになる。これら触媒床
は、それぞれプロファイル・ワイヤースクリーン上に支持されている。プロセスフローは各
床に向かって下流に流れる。これらの触媒床を全てのフィードガスが通過する。
15
図 3-3:KRB 社水平アンモニアコンバーター
出典:調査団作成
予熱したフィードガスの約60%はシェル/バスケット環状部を通過し、最初の中間冷却器で
冷却され、残りのフィードの内約30%は二番目の中間冷却器で冷却される。そしてフィード
の最後の少量は中間冷却器をバイパスする。再結合したフィードは約379℃の温度で最初の
触媒床に流れ込む(EOR)。このアンモニア反応は平衡状態を維持した発熱反応で、著しい
温度上昇をともなって進行する。
最初の床を離れた後、部分的に反応したガスは触媒支持グリッドを通過した後、床の底面
とバスケット壁の間のスペースに入り込む。そしてそこから最初の中間冷却器に至り、第二
の触媒床に適したフィード温度まで冷却される。同様に第二の触媒床からの高温流出物は二
番目の中間冷却器に行って冷却され、次いで第三の触媒床に流れ込む。第三の触媒床の2つ
のセクション間では熱交換は起こらない。最後の触媒床からの高温のコンバーター流出物は、
バスケットと圧力シェルの間にある特殊な接続部を経由してコンバーターから出ていく。
触媒交換の際には、ホイールとトラックからなる機構によって触媒バスケットを取り外す
ことができるため、ヘビーデューティのクレーンは不要である。

ユニット化チラー
ユニット化チラーは特殊設計したマルチストリームの熱交換器で、アンモニア合成コンバ
ーターから出る流出物をさまざまな温度のリサイクルガス及び沸騰アンモニア冷却剤によ
って冷却する。そうすることによって、ユニット化チラーでは、いくつかの熱交換器、圧縮
機のノックアウトドラム、及び高価な高圧配管や取付け金具を一つの装置にまとめ上げる。
こうした設計により合成ループにおける圧力低下を抑え、資本コストの削減に繋がる。
ユニット化チラーの基本的なコンセプトは、同心チューブと分割シェルを採用することに
より、いくつかの装置を一つにまとめることにある。コンバーターから出る流出物は同心チ
ューブの環状部を通過し、一方リサイクルガスは内部チューブを通って流れる。さまざまな
温度の冷凍アンモニアはシェル内部のいくつかのコンパートメントの中で沸騰する。こうし
てコンバーター流出物は、リサイクルガスとアンモニア冷凍剤という2種類の媒体によって
同様に冷却される。
KBR社は1979年以降、多数のアンモニアプラントでこのユニット化チラーを採用してきた。

ガスタービン
KBR社はプロセス空気圧縮機の駆動にガスタービンを採用している。この設計では、ガス
タービンの高温排気ガスを一次リフォーマーの予熱燃焼空気として利用する。そうすること
によって、アンモニアプラント全体のエネルギー効率が改善される。ガスタービンは、軸出
力と空気圧縮機に必要なパワーとの正しい適合性、及びガスタービンの排気流と一次リフォ
16
ーマーの燃焼負荷との適合性をもとに選定する。KBR社ピュリファイヤーアンモニアプロセ
スは、この適合性を達成する上で比類なく適している。ガスタービンの排気通風とリフォー
マーバーナーへの流れ分布に対する同社の設計は十分に証明済みである。KBR社は1966年以
降、多数のアンモニアプラントでガスタービンを採用してきた。なおその大部分はピュリフ
ァイヤープラントである。

圧縮機
プロセス圧縮機列は全て標準設計のもので、経験ある製造者から入手可能であり、特殊な
カスタマイズや改造は不要である。

プラントの信頼性
アンモニア製造はコモディティービジネスである。したがって利益を得るためには、安全
性と信頼性のあるプラントの操業がきわめて重要となる。KBR社のアンモニアプラントは、
常に安全で信頼のおけるプラント操業を達成してきた。いくつかの統計事例によって、この
点を強調することができる。
・ 米国における KBR 社のあるピュリファイヤーアンモニアプラントでは、何回かの短
期間の停止があったにもかかわらず、1,395 日の累積アンモニア生産日数を達成した。
・ オランダにおける KBR 社のあるピュリファイヤーアンモニアプラントでは、2002
年に 99.3%のオンストリームタイムが報告されている。
・ オランダにある KBR 社の2つのピュリファイヤーアンモニアプラントでは、それぞ
れ、過去7年にわたり 97.6%の平均オンストリームタイムが報告されている。なお
その中には、再建に伴う停止時間も含まれている。また 960 日と 920 日の無中断操
業も達成されている。
・ オランダにある KBR 社の別のピュリファイヤーアンモニアプラントは、1,500 万ト
ン以上のアンモニアを生産した後停止した。なおこの記録は当時世界中にある単一
のアンモニアプラントの実績を凌ぐものであった。(2)
・ オランダのスライスキル(Sluiskil)サイトにあるヤラ(Yara)のユニット D ピュリ
ファイヤープラントは、一回の停止もなく、累積で 1,375 日間操業した。(3)
KBR社は200以上のアンモニアプラントに対してライセンスを供与している。同社のアン
モニア技術が成功している大きな理由の一つは、アンモニアプラントの信頼性にある。信頼
性に対する配慮はプロセス設計の段階で生まれ、全てのエンジニアリング業務を通じて継続
される。プロセス及び装置の設計については、安全性と信頼性の面で注意深く評価される。
立ち上げ、運転及び停止の手続きは、職員と装置を防護するよう設計される。またKBR社の
業務はISO 9000の要件に合致するよう遂行される。
以下のパラグラフでは、
さまざまな時点を包含するアンモニアプラントの調査活動につい
て要約する。これら調査活動は、独立した第三者であるプラントサーベイ・インターナショ
ナル社(Plant Survey International, Inc.)の情報をもとにしたものである。本調査では
20超の国々で操業している50超のアンモニアプラントの比較がなされている。これら独立の
調査結果を以下示す。
・ グループとしての KBR 社ピュリファイヤーアンモニアプラントは最高のサービス
ファクターを実証しているが、一次及び二次リフォーマーにおける低温がその主要
な理由となっている。
・ KBR 社ピュリファイヤープラントは無停止で最長の運転時間を実証しているが、こ
れも信頼性のもう一つの尺度である。
下表では、信頼性の2つの尺度であるサービスファクターと運転時間に対するこれらの調
17
査データを要約する。

サービスファクター
これらの調査でサービスファクターは、プラントが重要を満たすアンモニアを生産し得る
時間のパーセントとして定義されており、保守のための停止時間は除かれている。また市場
の事情による停止時間は考慮外とし、控除されていない。報告された数値は以下のとおりで
ある。
表3-7:サービスファクター数値
調査日数
2000-2001
2005
KBR社ピュリファイヤープラント
94.2%
99.5%
KBR社以外のプラント
90.6%
91.1%
調査対象全プラント
91.5%
91.7%
出典:調査団作成
KBR社のプラントはサービスファクターの面で明らかに利点を有している。最高ランキン
グの5プラントのうち3つがKBR社のプラントである。1,500 mtpdのアンモニアプラントを
対象とし、アンモニアの価格を$200/mtとすると、サービスファクターが3%向上すると、年
間で330万ドルの収入増となる。

最長運転時間
各プラントの履歴における最長運転時間が報告されている。いくらかのアンモニアが生産
された日数がカウントされている。
各グループにおける全プラントの平均値は以下のとおり
である。
表3-8:プラント平均値
調査日数
2000-2001
2005
KBR社ピュリファイヤープラント
624日
788日
KBR社以外のプラント
385日
392日
調査対象全プラント
424日
408日
出典:調査団作成
平均して、KBR社ピュリファイヤープラントがその他のライセンサーの設計によるプラン
トに比してオンラインが長いことは、明白である。

資本コスト
KBR社ピュリファイヤーアンモニアプラントの資本コストは従来のアンモニアプラントよ
り割安となっている。一目してこのことは驚きと言えよう。というのは、低温ピュリファイ
ヤーは追加の装置であり、空気圧縮機は大型となり、ガスタービンは蒸気タービンに比して
割高だからである。しかしながら、ピュリファイヤープラントにおける一次リフォーマーの
放射セクションは、従来のプラントに比して約40%小型となる。なおアンモニアプラントに
おいて単品で最も高価な機器は一次リフォーマーである。
また合成ガスが高純度であるため合成ループの設計が単純になり、ループの圧力も低くな
る。さらに合成ループへの補給ガスはリサイルガスと混合され、直接合成コンバーターに供
給される。そのため、パス当たりの転化率が高まり冷凍要件が下がるため、資本コストやユ
ーティリティの消費量も低減される。またパージガス回収ユニットを別に設ける必要もない。
それに加えて、空気圧縮機をガスタービン駆動にするため、蒸気タービン、表面復水器及
び復水ポンプを含むシステムが不要となる。またガスタービンのため、冷却塔、その他の冷
却システム及び起動ボイラーの寸法も小さくなる。これらが節約されるため、正味の効果と
して、蒸気タービンに比して増加するガスタービンの費用も完全に相殺されることになる。
18

運転上の要件
KBR社ピュリファイヤープロセスはエネルギー消費量が少ないことで知られている。下表
では、最近試運転した2つのピュリファイヤープラントの性能試験期間中に測定したエネル
ギー消費量を示すと共に、プロセスフロー線図に示す「期待」値と測定値との比較を行う。
CNOOCプラントは尿素プラントと連結されており、ガスタービンを使ってプロセス空気圧縮
機を駆動している。一方オーストラリアのBFPLプラントは、全て輸出用の冷アンモニアを生
産しているが、蒸気タービンを使ってプロセス空気圧縮機を駆動している。
表3-9:CNOOCの性能試験データ
天然ガス
フィード
燃料
小計
余剰蒸気
正味
電気
全エネルギー
NH3のGcal/MT
測定値
期待値
6.25
6.32
1.91
1.93
8.18
8.23
-1.75
-1.72
6.46
6.48
0.03
0.03
6.49
6.51
出典:調査団作成
表3-10:BFPLの性能試験データ
天然ガス
フィード
燃料
小計
余剰蒸気
正味
電気
全エネルギー
NH3のGcal/MT
測定値
期待値
5.76
6.05
1.43
1.59
7.35
7.48
-0.66
-0.61
6.74
6.82
0.04
0.04
6.78
6.86
出典:調査団作成
上記の表に対する注記:
1) エネルギーは LHV ベースで表示してある。
2) 熱換算した電力量は CNOOC の場合 2,828 kcal/kWh、また BFPL の場合は 2,895 kcal/kWh
であり、かつ ISBL アンモニアプラントに対してのみである。
3) 10℃の温度上昇をもとにした冷却水の循環流量は CNOOC の場合 170 m3/t、また BFPL
の場合は 216 m3/t である。この差は、BFPL の空気圧縮機用タービンの表面復水器に
対して余分の冷却水が必要となるにためである。
4) CNOOC プラントには 2.1 MW のフィードガス圧縮機があり、温暖な製品を生産する。
5) BFPL プラントにはフィードガス圧縮機は設置されておらず、全て寒冷な製品を生産す
る。
これら2つのプラントに対するエネルギー消費量の差は約0.3 Gcal/tであるが、これは主
19
にガスタービンに起因する。ガスタービンのサイクルは蒸気タービンのサイクルに比しては
るかに効率がよいため、CNOOCプラントは効率がより高い。
中国ジェンフォン(Jianfeng)向けに現在設計を進めているピュリファイヤープラントは
CNOOCの設計のコピーであるが、エネルギー効率が若干改善されている。上記2つの表にあ
るものと同一ベースでのエネルギー消費予測値は6.45 Gcal/tである。
参考文献
1.
Yexin, Yang & James Gosnell: "CNOOC Chemical Ltd. New Fertilizer Plant"(CNOOC
化学会社。新規肥料プラント)、AIChE Ammonia Safety Symposium(アンモニアの
安全性に関するシンポジウム)、デンバー、コロラド州、米国、2004 年9月
2.
Verduijin, WD: "Legionella Pneumophilia in an Ammonia Plant Cooling Tower"
(アンモニアプラントの冷却塔におけるレジオネラニューモフィラ)、AIChE Ammonia
Safety Symposium、モントリオール、カナダ、2002 年1月
3.
de Letter, Jacky: "Over Three Years of Continuous Operation of Unit D in Sluiskil,
All-time Record"(Sluiskil におけるユニット D の3年間にわたる連続運転、全て
時間記録)、AIChE Ammonia Safety Symposium、Henderson、ネバダ州、米国、2007
年9月
3-2-3-2 尿素プラント
本セクションでは尿素プラントの概要を示す。

生産容量
尿素プラントは、製品品質のよい大粒尿素を日産1,750トンの標準的な生産能力を有する
ものとする。

Product Specification 製品品質
製造される大粒尿素の品質は以下の通りである。
全窒素
水分
ビウレット
製品サイズ
2から4 mm
平均硬度
: 最小 46.3 wt%
: 最大 0.2 wt%
: 最大 0.8 wt%
: 最小 95 wt%
: 最小3 mm で 3.5 kgf
20

原料
尿素製造の原料はアンモニアと二酸化炭素で、
以下のスペックにてアンモニアプラントか
ら供給される。
(a) 液体アンモニア
組成 (wt%)
アンモニア、wt%
最小 99.9%
水分、wt%
最大 0.1
油分、wt ppm
最大5
鉄(Fe)、wt ppm
最大5
BL の圧力、BarG
20
BL の温度、℃
20
(b) 二酸化炭素
組成(乾燥状態 vol%)
CO2、%
最小 99.0
不活性気体(CH4, N2, Ar)と H2、% 最大 1.0
H2O
アンモニアユニット BL にある
セパレータの運転条件で飽和
H2S、mg/Nm
3
最大 0.4
BL の温度
通常 45
(基準点)、℃
CO2 再生器出口での圧力、BarG, B/L
最小 0.5
尿素プラントの説明

尿素技術
尿素プラントの主な技術サプライヤは、東洋エンジニアリング株式会社(TOYO、日本)、
Stamicarbon(オランダ)、Saipem(イタリア)である。これらのライセンサは市場に低エ
ネルギー消費で環境に優しい尿素技術を提供する。これらの企業は、世界に設置されたアン
モニア生産容量の95%以上に技術を提供している。
これらの技術は、本プロジェクトにおける日産1,750トンの尿素プラントについて、非常
に信頼性が高く、経験豊富な技術である。しかし、各社のパンフレットに紹介されているユ
ーティリティ消費を比較すると、TOYOの尿素技術は中でも最も優れている。本プロジェクト
の事前調査は、TOYOの尿素技術に基づいている。
21
表3-11:原材料とユーティリティ消費の比較
(尿素1トン当り)
TOYO
Stamicarbon
Saipem
ton
ton
0.563
0.73
0.563
0.73
0.563
0.73
ton
m3
0.69
75
0.86
88
0.81
95
kWh
21
23
造粒
kWh
24 (TOYO)
37 (UFT)
合計
kWh
45
20
45(Stami)/
38(UFT)
65/58
ton
m3
0.8
81
n.a.(0.99)
n.a.(95)
n.a (0.94)
n.a. (103)
kWh
21
23
kWh
24 (TOYO)
kWh
45
なし
20
45(Stami)/
38(UFT)
65/58
なし
%
63~64
3.7
182~184
152
58
3.0
183
140
原材料
アンモニア(100%)
二酸化炭素(100%)
ユーティリティ
ケース-1
110 バー圧力の蒸気をインポー
トする場合
蒸気(110 バー)
冷却水
(Δt=10℃)
電気
プロセスのみ
ケース-2
42 バー圧力の蒸気をインポー
トする場合
蒸気(42 バー)
冷却水
(Δt=10℃)
電気
プロセスのみ
造粒
合計
エクスポートする蒸気
主な工程パラメータ
反応器の CO2 変換
反応器の NH3/CO2
反応器の温度
反応器の圧力
℃
バー
注:n.a. は該当なし(Not Available)という意味である。
22
60
37 (UFT)
60
なし
62~64
3.2~3.4
188
150
1961 年に設立されて以来、東洋エンジニアリングは世界的なエンジニアリング企業とし
て知られているだけでなく、尿素プロセスのライセンサとしても名高い。TOYO は、尿素合
成技術や尿素造粒プロセスを含めた独自の尿素プロセスに基づく 100 以上の尿素プラント
を設計し、準備し、建設し、稼動させてきた。東洋エンジニアリング最も進んだ尿素合成プ
ロセスと造粒技術は、ACES21®(コストとエネルギーを節約するための先進プロセス)と噴
流流動層式造粒法である。
ACES21®は、信頼性や柔軟性、運転性能、保全性を犠牲にすることなく、従来の近代的尿
素プロセスから大幅にエネルギー消費を減らし、コスト削減を実現するために確立されたも
のである。この技術の主な特徴は、システムを簡素化するために尿素合成ループの構成要素
の数を減らしたことである。これにより、CO2のストリッピングプロセスにおいて反応器を
地上に設置することで建設費を削減する。また、合成セクションの運転条件を従来プロセス
に比べて低圧下で最適化した。その結果、エネルギー消費の著しい削減が実現した。
噴流流動層式造粒法は、噴流層と流動層を組合せ、造粒機に高性能のスプレイノズルを用
いて大粒尿素を生産するために確立された。この方法により、主な特徴として必要エネルギ
ーの削減と製品品質の改善が実現した。
尿素プラントは主として次に挙げるセクションから構成される。次のページのブロックフ
ロー図を参照。
 合成
 精製
 凝縮
 回収
 コンデンセート処理
 造粒
23
図3-10 尿素プラントのブロックフロー図
アンモニアプラントからの
と
NH3
CO2
カーバメート溶液のリサイクル
高圧蒸気
合成
低圧蒸気の生成
尿素、NH3 過剰な
カーバメート、H2O
低圧蒸気
精製
NH3, CO2 & H2O
回収
冷却水
回収した NH3 & CO2 気体
尿素と H2O
H2O
凝縮
低圧蒸気
H2O と
少量の NH3 &尿素
プロセス用コンデンセートの処
理
低圧蒸気
尿素
クリーンなプロセス用
コンデンセート
造粒
尿素製品
出典:調査団作成

®
ACES21
プロセス
®
図3-11は、ACES21 を用いた尿素プラントの典型的なプロセスフロー図である。液体アン
モニアは、高圧カーバメートエジェクターを経由して反応器に送られる。このエジェクター
は、以前のACESプロセスの重力に代わって合成ループに循環のための推進力を与える。少量
の不動態化エアを含む二酸化炭素のほとんどは、剥離メディアとして及び尿素合成の原材料
としてストリッパに供給される。残りの二酸化炭素は、原材料及び反応器のライニングの不
動態化のために反応器に送られる。反応器は、N/Cレシオ3.7、182~184℃、152 barGで運転
する。二酸化炭素の尿素変換は、反応器の出口で63~64%にもなる。カーバメートコンデン
サーからのカーバメート溶液は、高圧液体アンモニアによって駆動する高圧エジェクターが
ポンプでくみ上げた後反応器に供給する。反応器から出た尿素合成溶液はストリッパに送ら
れ、そこで変換していないカーバメートは熱により分解する。過剰なアンモニアと二酸化炭
素は、二酸化炭素剥離により効率良く分離される。剥離後の尿素溶液は、高圧分解段階に送
られ、さらに精製される。
ストリッパが剥離したガスは、縦型サブマージカーバメート(VSCC)
に送られる。VSCCは、N/Cレシオ(NH3/CO2モルレシオ)2.8~3.2、180~182℃、152 barGで
運転する。アンモニアと二酸化炭素ガスは縮合してアンモニアカーバメートを形成し、その
後、シェル側でカーバメートを脱水して尿素を形成する。カーバメート形成の反応熱は回収
し、管側で5 barGの蒸気を生成する。VSCCの上部にはパック層が設置され、縮合しないア
ンモニアと二酸化炭素ガスを高圧吸収段階からのリサイクル用カーバメート溶液に吸収す
る。パック層の上部からの不活性ガスがMP吸収段階に送られる。
合成尿素溶液は精製セクションに供給され、そこで合成尿素溶液に含まれるアンモニアカ
ーバメートと過剰なアンモニアは分解され、減圧と加熱により分離される。尿素溶液は精製
24
され、凝縮セクションに送られる。
転換していないアンモニアと二酸化炭素が、精製セクションで合成尿素溶液から分離され
た後、尿素溶液はエバポレータでビウレットを含む尿素96 wt%の濃度に濃縮され、造粒ユニ
ットに送られる。
精製セクションで分離したガス状のアンモニアと二酸化炭素は、2段階の吸収装置、すな
わち、高圧アブソーバと低圧アブソーバで、プロセス用コンデンセートを吸収剤として用い
て吸収、回収される。それらは最終的に、合成セクションにリサイクルされる。
エバポレータから分離した水蒸気は、表面コンデンサーで液化する。エバポレータから蒸
発した水分に含まれるアンモニアと尿素ミストはすべて、
プロセス用コンデンセートとして
回収される。
プロセス用コンデンセートは、プロセス用コンデンセートストリッパへ送られ、蒸気でア
ンモニアと二酸化炭素を剥離する。プロセス用コンデンセートストリッパの上部のガスは、
低圧分解装置に送り返され、その中のアンモニアを回収する。このガスは、低圧分解装置の
分解用熱としてプロセス用コンデンセートストリッパでその蒸気熱を活用する。
プロセス用コンデンセートストリッパの中間ステージからポンプでくみ上げた溶液は、尿
素加水分解装置に送られ、そこで尿素が完全に加水分解され、アンモニアと二酸化炭素にな
る。
最後に、プロセス用コンデンセートストリッパの底部からクリーンなプロセス用コンデン
セートが排出され、尿素プラントのOSBLにあるユーティリティ施設に送られる。
ACES21®尿素プロセスのフロー図
図3-11
反応器
カーバメート
コンデンサー
ストリッパ
高圧分解装置
低圧分解装置
エバポレータ
蒸気
蒸気
蒸気
スク
ラバー
スク
ラバー
スク 蒸気
ラバー
蒸気
プロセス用
コンデンセートス
トリッパ
スクリーン
粉砕機
高圧吸収装置
低圧分解
装置へ
加水分解装置
冷却水
尿素
スラリー
造粒機
洗浄機へ
洗浄機へ
冷却水
クーラー
蒸気
エア
CO2
コンプレッサ
NH3
ポンプ
カーバメート
ポンプ
出典:調査団作成
25
エア

尿素造粒プロセス
図 3-12 は、噴流層式造粒機を構成する TOYO の造粒プロセスを示す。
尿素溶液又は溶融尿素が、マルチスプレイノズルから噴流している尿素シーズ上に供給さ
れ、造粒機内でリサイクル粒子(シーズ)を大きくする。供給される尿素溶液の中の水分は、
造粒機内の層にエアを吹き付けることにより蒸発させ、尿素粒子を生産する。大型化した粒
子は、造粒機内流動化層の上を流動することにより、適切な温度まで冷却される。
造粒機で生産された粗い尿素粒子をダブルデッキスクリーンに掛け、
大きすぎる又は小さ
すぎる粒子から製品サイズの粒子を分離する。小サイズの粒子はシードとして、造粒機に戻
され、大サイズの粒子はダブルローラー式の粉砕機で粉砕し、シードとして小サイズ粒子と
共に造粒機に戻される。
造粒機とクーラーからの排気ガスは、湿式のダスト洗浄装置で洗浄し、排ガス中の尿素ダ
ストを回収する。ダスト洗浄機より回収した尿素ダストは、尿素を取り出すために尿素プラ
ントへ戻す。
図3-12 工程フロー図
大気
スクリーン
製品クーラー
回収された
尿素溶液
ダスト洗浄機
粉砕機
造粒機
尿素溶液の
供給
エア
製品
エア
出典:調査団作成

原材料、触媒及び化学品の消費について
原材料、触媒及び化学品の仕様と消費量の見積りを以下に示す。
(1) 液体アンモニア
消費率
100%のアンモニアとして最大41,270 Kg/h
(2) 二酸化炭素
消費率
100%のCO2として最大53,670 kg/h
(3) 触媒
二酸化炭素ガス用の脱水素触媒は、二酸化炭素ガス中の水素を除去するための
ものである。触媒の量と見積耐用年数は次の通りである:
26
評価量
:約1.1 m3
耐用年数 :5年以上(見積りベース)
(4) 化学品
尿素プラントは次に挙げる化学品を使用する。
1) メタノール
品質
:グレードAか同等
最大評価量
:約7 kg/t(製品ベース)
2) 苛性ソーダ
品質
:工業用
最大評価量
:約0.02 kg/t(製品ベース)
3) 硫酸
構成:
H2SO4
H 2O
最大評価量
98 %wt
2 %wt
:約3 kg/t(製品ベース)
27

予想される排ガスと排水
尿素プラントからの継続的に出る代表的な排ガスの予想量と組成は次の通りである。
表 3-12 ダスト清浄機からの排ガス
流速
約 600,000 Nm3/h
水分
飽和
温度
40℃
圧力
大気圧
組成
尿素ダスト
30 mg/Nm3 未満
NH3
30 mg/Nm3 未満
*1)
出典:調査団作成
注: *1) このストリームでの温度は環境に依存して変化する。

ユーティリティとオフサイト設備
ユーティリティとオフサイト設備は、肥料施設の継続的かつ安定的な運転のために十分な
ユーティリティを提供するように設計する。設計の考え方と容量について本セクションで解
説する。

ユーティリティ施設の内容
a. 天然ガス受入れ設備と燃料ガス設備
天然ガスはパイプラインを通じて肥料施設に供給する。
受入れた天然ガスは、天然ガス計量システムに送られる。このシステムは、計量スキッド
とフローコンピュータキャビネットから構成される。
計量スキッドの構成は、
3系列の格納式アッセンブリ及び上流フィルタと隔離弁を含むト
ランスミッタから成る。
ガスフィルタやドライヤのような関連機器の保守作業を減らすため
に、バッファタンク付きの空気操作弁が備えられる。この3系列がスキッドに搭載される。
フローコンピュータキャビネットは、内部接続室に設置される。このキャビネットには、
1台のフローコンピュータが設置される。計量された流速は、フローコンピュータにより温
度と圧力に基づいて補正される。受入れ合計量がモニターされ、フローコンピュータに記録
される。キャビネットにはプリンターも1台設置される。
b.
海水取入れ設備
この肥料施設では、海水が熱交換媒体及び脱塩装置への給水として使用される。海水は海
水ポンプを用いて、海水冷却装置や、施設内塩素化装置、脱塩装置へ配給される。そうした
目的のために、工場へ海水を引き込む海水取入れ(SWI)装置が備えられる。
SWI装置は、平均海面からEL-5メートルの海底に設置される水中式取水ヘッド構造を持つ。
このヘッドは、海岸に置かれる海水取り込みベイスンに埋設パイプラインで接続される。
28
取水ヘッドには十分なスクリーンが備えられ、
固形物や異物が後続の海水冷却装置に入り
込まないように設計される。
取水ヘッドから海水取り込みベイスンに流れ込む海水は、
サイフォン効果により活性化さ
れる。すなわち、ベイスンに取付けられた真空ポンプが、海面より上に突出した空気ライン
内に空洞域を作る。
移動式スクリーンがベイスン内に設置されており、引っ掛からずに混入した浮遊ゴミや海
洋生物などを捕獲、除去する。ベイスンの保守のために、移動式スクリーンの上流・下流に
ストップログが設置される。ストップログの機能は、保守時に海水がスクリーンに流れ込む
のを止める機能である。スクリーン洗浄ポンプが装備され、詰まったスクリーンパネルを洗
浄する。このポンプは、スクリーンパネルに付いたゴミなどを一掃するのに十分な圧力を持
つように設計される。
海水冷却装置で微生物が成長するのを防止・阻止するため、塩素溶液(次亜塩素酸ナトリ
ウム)を取水ヘッド及びベイスンに注入する一連の塩素消毒を行う。
海水取り込み施設の設計容量は、2,700 m3/hである。
c. 冷却水設備
冷却水は、加工工場とユーティリティ施設に冷却媒体として供給される。冷却水系統の構
成は2つであり、海水冷却循環系統と淡水冷却循環系統である。
海水取り込みベイスンからの海水は、冷却補給水として冷却塔ベイスンに送られる。海水
全体は常に海水循環ポンプにより循環する。冷却塔ベイスンから、アンモニア・尿素プラン
トやユーティリティ施設にあるタービンの表面コンデンサー数機にも送られると共に、クロ
ーズド海水冷却循環系統を冷却するためのマリーンプレート熱交換器(MPHE)にも送られる。
化学品注入装置を持つ化学品注入設備が備わる。この化学品注入設備は少なくとも、硫酸、
殺生物剤、分散剤、臭素のショック投与などを継続的にできなければならない。
海水循環ポンプの排水口にはサイドフィルタが設置され、海水の清浄度を維持する。海水
冷却循環装置の累積汚染物質を許容濃度に維持するために、連続して海水を海水出口に吹き
落す。
淡水冷却循環装置はクローズド系統であり、淡水循環ポンプにより循環する。淡水冷却循
環装置の構成は、淡水循環装置とエッセンシャル淡水冷却水循環装置から成る。両装置とも
使用中に停電が発生した場合、非常用淡水ポンプが非常用電源で起動し、エッセンシャル淡
水冷却水循環装置の重要な回転装置の潤滑油クーラーに冷却水の供給を続ける。
淡水はユーザが使用して約45℃に暖められ、リターンヘッダを通じて回収する。そこで、
MPHEの海水の熱交換器を用いて35℃に冷却する。MPHEを通過した後、淡水は、冷却のために
ユーザに戻される一方、海水は海水冷却塔へ戻される。
淡水用サイドフィルタが、淡水冷却水循環ポンプの排出口に設置され、淡水の清浄度を維
持する。化学品注入装置の構成は、抗菌剤注入装置と亜硝酸塩注入装置から成る。
29
冷却水系統の主要機器の一つが海水冷却塔である。この塔は、多数セルを持つ強制通風冷
却塔である。この系統の構成は、冷却塔ベイスン、循環水ポンプ、サイドフィルタ、補給水、
吹きおろし、ピット、化学品処理から成る。冷却塔の上部に位置する強制通風ファンは、エ
アを吸い込み、熱伝導フィルを通して、セルの上部にあるファンスタックから強風を出す。
MPHEから戻った暖かい海水は、冷却塔セルの上部コンパートメントにある配給系統に導か
れる。ここで、熱伝導フィルの表面に散布される。海水は、熱伝導フィルの表面を流れ落ち
るにつれて冷却される。冷却された海水は、フィルの下側から落下して、塔の基底部にある
冷却水収集ベイスンに集められる。コンクリート製の経路が備え付けられており、集められ
た海水は循環ポンプに流れ込む。
d. 脱塩設備
脱塩系統への給水源は、SWIからの海水である。脱塩系統には、逆浸透(RO)式が使われ
る。RO脱塩系統には、海水を脱塩するのに必要なすべてが含まれ、前処理系統及び2機の海
水脱塩逆浸透装置から構成される。この2機は、海水逆浸透装置(SWRO)と半塩水逆浸透装
置(BWRO)である。
前処理系統への給水は、海水ポンプが海水取り込みベイスンから汲み上げたものである。
前処理系統の構成は、海水マイクロろ過自動装置、ろ過水用タンク、ガードフィルタ付きの
超ろ過装置、超ろ過半塩水ポンプ、その他の必要装置から成る。
ろ過した海水はSWROに送られるが、一部はエネルギー回収圧力交換機にも送られ、エネル
ギー消費を減らす。エネルギー回収圧力交換機は、SWROから排出された蒸気、すなわち塩水
蒸気の高圧を活用する。このエネルギー回収交換機は、塩水蒸気の圧力エネルギーを供給蒸
気に伝える。そして、エネルギー回収圧力交換記録と共に装備される圧力交換機循環ポンプ
は、この供給蒸気をSWROの入口に蒸気を供給することで、通常の運転中に必要な電力を節約
する。
SWROの生成蒸気は、SWRO生成物タンクに送られる。このタンクから、BWROブースターポン
プが加圧したSWRO蒸気がBWROに送られる。淡水(未処理の飲料水)もSWRO生成物タンクから
SWROトランスファポンプにより給水される。BWROの生成蒸気は、BWRO生成物タンクに送られ
るが、排出された蒸気は回収され、ろ過した水と共にSWRO給水として活用される。BWRO生成
物タンクから、脱塩水は、脱塩水ポンプにより脱塩水タンクに送られる。
e. 淡水と工業用水設備
淡水(飲料水)と工業用水の供給源は、脱塩系統のSWRO生成物である。淡水(未処理飲料
水)も、SWROトランスファポンプによりSWRO生成物タンクから配給される。殺菌のために次
亜塩素酸が淡水に注入される。
f. 給水洗浄設備
給水洗浄系統はイオン交換を用いて、アンモニア・尿素プラントからの戻りプロセス用コ
ンデンセート及び戻り蒸気コンデンセート並びに脱塩水を処理する。
洗浄設備への供給水な
どは、混合層ポリッシャ(MBP)に送られる。MBPは陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂で
満たされ、それぞれ陽イオン、陰イオンを交換する。
次に排出水は、洗浄済み水貯蔵タンクに送られる。この洗浄済み水を処理して、蒸気発生
30
装置に供給されるBFWを生成する。
g. 消火用水設備
消火用水の供給源は、脱塩系統のSWRO生成物タンクである。ジョッキーポンプが常に消火
用水ネットワークを加圧する。火災が発生したら、2台の消防ポンプの1台がネットワーク
に消火用水を供給する。消防ポンプは、1台がディーゼルエンジン駆動であり、もう1台が
電動機駆動である。
h. 蒸気発生設備
パッケージボイラと熱回収蒸気発生(HRSG)装置が、MP蒸気を供給するために設置される。
HRSGはGTG排ガスの熱エネルギーを回収する。
i. 窒素ガス発生設備
低温エア分離式の窒素ガス発生装置が、窒素ガス発生設備に設置される。液体窒素は、液
体窒素容器に貯蔵される。通常運転時には、窒素ガスが肥料施設のユーザに配給される。緊
急時には、液体窒素容器の液体窒素を気化器で気化させて、配給する。
j. 発電設備
2台のガスタービン発電機(GTG)が発電用に設置される。通常運転時には、両GTGは50%
負荷で運転する。1台のGTGが故障した場合、もう1台のGTGを100%負荷で運転し、工場の操
業停止を避ける。
k. 非常用発電設備
停電時に発電するために急起動のディーゼル発電機が提供される。この電力は、特定のポ
ンプ、潤滑油ポンプ、電動弁、オーバーヘッドクレーン、非常用照明、ソケット/溶接用ソ
ケット、エレベータ/リフト、火災警報器及びガス検知装置、計器類などの必要不可欠な装
置などすべてに使われる。
l. 計器用エアと工場用エアの設備
計器用エア(IA)と工場用エア(PA)の通常の供給源は、アンモニアプラントのプロセス
用エアコンプレッサである。ディーゼル駆動の予備コンプレッサが提供され、アンモニアプ
ラントのプロセス用エアコンプレッサが停止して、必要なIAやPAを供給できないときに、必
要なIAとPAを自動的に供給する。
IA系統には十分な量のエアを作り出すエアレシーバが備えられ、エアコンプレッサ系統の
不調時にユーザにIAを間断なく供給する。エアレシーバから、エアはIAとPAを必要とする装
置などに配給される。PSAが備えられ、IAの要求事項を満たすためにエアを乾燥させる。
m. 排水処理設備
アンモニアプラント、尿素プラント、
ユーティリティ施設からの排水は、
それぞれの工場、
施設で前処理をしてから処理済み排水ピットに送られる。
排水系統の構成は次の通りである。
a) 処理済み排水ピットへの排水
通常運転時には、次に挙げる排水が直接処理済み排水ピットへ送られる。
-
アンモニアプラントからの蒸気トラップコンデンセート
31
- アンモニアプラントからのプロセス用エアコンデンセート
- アンモニアプラントからの WHB ブローダウン水
- アンモニアプラントからのその他の排水
- 脱塩系統からの半塩水
- 給水洗浄系統からの洗浄済みブローダウン水
- 海水冷却塔からのブローダウン水
処理済み排水は海へ放出される。
b) 油分を含む排水はCPI分離装置へ
油分を含む排水はCPI分離装置に集めて、油分と水分を分離する。排水は処理済み排
水ピットへ送る。処理済み排水は海へ放出する。

オフサイト施設の説明
本セクションではオフサイト施設の設計を説明する。
a. アンモニアの貯蔵
尿素プラントで液体アンモニアが利用できないときは、製品アンモニアが尿素プラントに
送られ、工場にあるアンモニア貯蔵タンクに貯蔵し、粒状尿素製品を生産するために使われ
る。
アンモニア貯蔵タンクの容量は、5,000トンである。
b. 尿素の貯蔵と袋詰めシステム
粒状尿素製品はコンベアにより、工場にある尿素バルク貯蔵場に送られ、貯蔵されるか50
kg入りの袋に詰められ貯蔵される。
貯蔵場と袋詰めシステムは次のように設計される。
尿素バルク貯蔵場: 生産10日分の粒状尿素バルク貯蔵とコンベア及びリクレーマ
袋詰めシステム: 50 kg入り袋 750袋/Hr X 3 列 要検討
c. 袋詰めした尿素の貯蔵と船積みシステム
尿素袋はトレーラーで港に出荷されて船積みする。
尿素袋貯蔵場:生産30日分の貯蔵と50 kg入り袋の船積みシステム
d. フレアスタック(余剰ガス燃焼)システム
アンモニアプラント、貯蔵タンクエリア、船積み貯蔵タンクエリアにはフレアスタックを
配置する。
(1) 主フレアスタック
主フレアスタックは、アンモニアプラント及びユーティリティ施設から出る VA
(ア
ンモニアを含む排出ガス)、VG(天然ガスを含む排出ガス)、VH(水素を含む排出
ガス)を処理する。
(2) 貯蔵場用フレアスタック
貯蔵場用フレアスタックは、貯蔵タンクエリアから出る VA(アンモニアを含む排
出ガス)を処理する。
* 貯蔵場用フレアスタックは含まれない。
e. 消防ステーション
消防規制に関する法的な要求事項により予見される消防ステーションが設置され、工場の
監視と消防を担う。消防ステーションの構成は、消防車2台、救急車1台、監視システムと
オフィスから成る。
32
輸出用桟橋エリアの消火水は含まれない。
f. 保全工場
次に挙げる業務目的のために保全工場を設置する。
- 日常的保全
- 機器や設備の診断
- 機器や設備の修理
- 小部品の製造
保全工場の構成は、機械加工作業場、組立作業場、電気関係作業場、計器関係作業場から
成る。
g. 予備部品倉庫
予備部品倉庫が設置され、運転・保全用予備部品を保管する。
フォークリフト5台、ピックアップトラック2台をコントラクターが提供する。
h. 触媒と化学品倉庫
触媒と化学品倉庫が設置され、社内で保管すべき触媒や化学品を保管する。
i. 管理棟
200名用の管理棟が設置される。これには、空調設備、シャワー、ロッカー室、トイレ、
食堂用スペース、救急医療室、会議室、オフィスが含まれる。
j. フェンスと CCTV システム
工場の周囲は、ゲート、ゲートハウス、CCTVシステムを含むフェンスで囲まれ、工場の保
安を維持する。
k. 電話通信システム
電話通信システムが設置され、各棟、オフィス、港湾貯蔵エリア間の通信に利用される。

触媒と化学品の消費 (ここで不要であれば削除、要検討)
次の触媒と化学品がユーティリティ施設で消費される。
1 硫酸
組成:
予測数量:
2
H2SO4
98 %wt
H2O
2 %wt
約
1.4 t/日
NaOH
45 %wt
H2O
55 %wt
約
0.8 m3/日
苛性ソーダ
組成:
予測数量:
3 殺生物剤(バオイサイド)
仕様
メーカの規格
消費量
約
33
0.5 m3/日
4 分散剤
仕様
メーカの規格
消費量
約
0.2 m3/日
5 臭素
仕様
メーカの規格
0.5 m3/日
消費量
6 亜硫酸水素塩
仕様
メーカの規格
消費量
0.1 t/日
7 スケール抑制剤
仕様
メーカの規格
消費量
8 ソーダ灰
0.2 t/日
メーカの規格
0.2 t/日
9 イオン交換樹脂(陽イオン&陰イオン)
仕様
メーカの規格
初期投入量
陽イオン
6m3
陰イオン
6m3
消費量
15%体積/年
10 脱塩メンブレーン
仕様
メーカの規格
耐用年数
5年
11 PSA吸収剤
仕様
メーカの規格
初期投入量
500 kg
耐用年数
3年
34

予想される排ガスと排液 (ここで不要であれば削除、要検討)
ユーティリティ施設から以下の排ガスと排液が出ると予想される。
a. ガスタービン発電機からの燃焼ガス
表3-13:ガスタービン発電機からの燃焼ガス
流速
組成
434,000
N2
O2
CO2
H2O
Ar
SOx
NOx
Nm3/h
75.29
%
15.24
%
2.68
%
5.89
%
0.91
%
5
体積 ppm
25
体積 ppm
出典:調査団作成
(15% O2)
b. パッケージボイラからの燃焼ガス
表3-14:パッケージボイラからの燃焼ガス
流速
組成
150,890
N2
O2
CO2
H 2O
SOx
NOx
CO
ダスト
Nm3/h
68.62
%
1.65
%
8.50
%
21.23
%
5
体積 ppm
85
体積 ppm
100
体積 ppm
50
mg/Nm3
出典:調査団作成
(3% O2)
c. 肥料生産施設からの廃水
廃水は処理され、処理済み排液ピットに集め、海に放出する。
表3-14:肥料生産施設からの廃水
流速
組成
1,500
NH3
TDS
pH
t/h
0.2
ppm
54,000
mg/l
6.0~
%
8.5
出典:調査団作成
35
3.3 プロジェクトの計画概要
3-3-1 プロジェクトの内容決定の基本条件
モザンビーク政府は過去80年間肥料事業を熱望しており実行に向けて基本的な障害は
ないと考える。モザンビーク側で決定しているのは、ガス割当は鉱物・資源省の管轄という
事のみであり、モザンビークの今後設立される実施主体となる機関の計画を尊重してニーズ
を理解してプロジェクト内容検討して調査を進めるものとする。
本章前半部分で記載した通り、モザンビーク及び周辺諸国における肥料潜在需要は大きい
ものがあり、農業省を中心に尿素事業推進したい意向あり、農業振興の観点から、裨益効果
は莫大なものになると推測される。
3-3-2 概念設計および適用設備の仕様
概念設計および適用設備の仕様は以下の通り
パンデ・テマネ
ガス田
プロセスプラント・オフサイト設備
大粒尿素
アンモニアプラント Liquid NH3
1,000 MTPD
天然ガス
尿素プラント
1,725 MTPD
尿素倉庫
(52,500 Ton)
袋詰システム
尿素
アンモニア彫像タンク
5,000 Ton
ポリッシュド
ウォーター
コンデンセート
回収
計装エアr
プラントエアr
窒素ガス
海水・冷却水
海水・冷却水
施設
海水メイクア
ップ
海水
海水取
水設備
計装エア、プラント
エア施設アイ・ジ
ー・シー施設
冷却水製造水
蒸気発生設備
発電設備
排水処理施設
海水処理設備
ポリッシュドウォーター
ユーティリティ設備
出典:調査団作成
3-3-3 提案プロジェクトの内容
(1)
建設サイト: ベイラ・ニュー・インダストリアル・エリアをサイトとしてモザンビ
-ク政府対して提案。
(2) 製品と出荷: 尿素 1,725 MTPDをモザンビーク国内及び需要のあるザンビア、ジ
ンバブエ、マラウィ等の周辺諸国
36
(3)
原料:Pande/Temaneガス田の増産分33mmscfd
(4)
プロセス:アンモニアはKBR社の技術。尿素は東洋エンジニアリング社のACES
21。
(5)
ユーティリティー設備: 発電は全量自家発電。海水取水して工業用水を造水。
(6)
オフサイト設備:アンモニアタンク、尿素タンク、50キロバッグ詰設備。
(7)
プラントコスト:1,000Million
USD。
(8)
オーナー側コスト:173
USD。
(9)
総事業費:1,173Million
Million
USD。
3-3-4 提案内容・システムを採用するにあたっての課題およびその解決策
モザンビークでは、農業振興の為、需要あり、南部アフリカ共同体も含めて需要量は十分見
込まれる。但し、ガス割当とサイト選定に付随する形で、パイプライン建設の費用負担
の問題に関しては、案件実現に向けてよくモザンビーク政府と相談する必要がある。またモ
ザンビーク側の計画を尊重してプロジェクトの内容を検討する事と肥料育成に関しては、
JICAのプロサバンナ計画とも連携を組む事も検討したい。
37
第4章
環境社会的側面の検討
1
第5章
財務的・経済的実行可能性
1
5.1 事業費の積算
第9章に記載の通り、プロジェクト・オーナーは、モザンビーク政府が所有する特別目
的事業体(SPE)とする。SPEはパンデ/テマネガス田で生産される主要農業資材のガスを
購入する。尿素はこのSPEによって生産され販売される。プラントは、1日当たり1,725ト
ン、年間(330日操業として)約570,000万トンの尿素を生産する計画である。全生産量は
すべて現地及び南部アフリカ開発共同体(SADC)の市場で販売される。プロジェクト期間
は20年と想定されるが、それに先立って数年間の工事期間がある。これらのシナリオに基
づいて、プロジェクトの実行可能性が本章で検討される。
輸出
天然ガス
33 MMSCFD
アンモニア
1,000 MTPD
尿素
1,725 MTPD
国内
モザンビーク・ベイラ(Beira)の肥料プラントに対する費用見積りの結果は以下に要約
されている。
5-1-1 精度
CAPEX見積りは、当社の内部データに基づくAACE分類±30%でクラス4である。見積精度
は±30%である。OPEXは当社内部データに基づき見積実施した。
5-1-2 方法
費用見積りは以下のデータベース及び方法を援用し、一般に設備を計算に入れる方法に
よって作成されている。
設計費・設備輸送費・工事費
内部費用データベース
地域指数のための内部費用データベース
同種のプロジェクトに対する最近の見積りからのスライド
工事費は中化二建(中国)、大宇建設(韓国)、CMC(イタリア)、KENTZ LDA(アイル
ランド)より見積取得の上係数に反映
2
租税公課
関税、法人税、源泉徴収税、個人所得税、付加価値税(VAT)/売上税などの租税公課は、
見積りに含まれていない。
予備費&値上げ
EPC契約に関連する予備費及び値上げは見ていない。
ライセンス条件
アンモニアKBRライセンス、尿素ライセンスは東洋エンジニアリング。
5-1-3 プラント費用見積
プラント費用は、以下の表5-1の通りである。
表5-1:プラント費及びオーナー側コスト
項目
金額
EPC コスト
-アンモニア・尿素プラント
-用役・オフサイト設備
-合計
オーナー側のコスト
操業準備費
IDC
予備費等
-合計
出典:調査団作成
上記 EPC コストは以下の費用を含む。
-
報告書作成基準内容の土木、建設費
-
実施料
-
基本設計
-
詳細設計
-
設備及び材料
-
製品の梱包及び輸送
-
主要予備部品
-
初充填のための触媒、化学製品、潤滑剤
-
建設労務及び援助
-
施工管理及びベンダ監督者
-
仮工事施設
-
工事用電気・ガス・水道
3
5億 500 万 USD
4億 9,500 万 USD
10 億 USD
6,700 万 USD
5,100 万 USD
5,500 万 USD
1億 7,300 万 USD
ただし、以下を除く:
-
運用上の予備部品
-
実験装置及び機器
-
保全設備及びツール
-
EPC 実施関連の地方税及び関税
-
保税費用
さらに、以下のオーナーの費用は含まれていない。
-
用地費
-
土地測量及び土壌調査
-
用地造成
-
EIA、官庁のエンジニアリング及び工事許可
-
PMC、コンサルタント及び第三者検査
-
作業者訓練及び訓練シミュレータ
-
EPC 請負業者の営業所におけるオーナーの駐在費
-
プロジェクト金融費用
-
オーナーのスタッフ(作業者を含む)及びその経費
-
オーナーの現場営業所及び設備
-
広報活動及び現地補償
-
試運転前/試運転に必要な電気・ガス・水道
5.2 予備的な財務・経済分析の結果概要
財務・経済評価の前提は以下のように要約される。

収入は 2011 年 12 月時点での国際市場価格の尿素収入に基づいて計算され、建設中の期
間のみインフレ分がこの価格に付加される。

尿素生産量は、1日当たり 1,725 トンの尿素の生産で年間 330 日運転する計算に基づく。
尿素の全生産量は年間 569,250 トンである。

キャッシュ・フローは 20 年にわたって割り引かれる。

金利は、Base rate 4% + CIRR 4.26%

減価償却は年間約 10%の定額法で計算される。

ガス投入単価は百万 BTU 当たり 3.16USD する。

所得税は5年間免除される。しかし、その後、所得税は年間 32%で適用される。輸入
税及び VAT はプロジェクト期間を通じて免除されると想定している。

プロジェクト用地は国有財産の一部でリース契約となる。工業団地を管轄するベイラ州
4
職員によると土地利用に際して、1m²=10 メティカ 1 回支払う必要があるとの事から
20ha 分計算。

債務返済期間は 8.5 年。
5-2-1 資本投資費用
総資本支出は 10 億米ドルと見積られる。下表に示すように、総資本支出は2つのプラント
すなわちアンモニアプラントと尿素プラントから構成され、これらの2つのプラント費用
以外に、資本支出の大きな部分が電気・ガス・水道施設に当てられる。これは、用地内の
アンモニア貯蔵(5,000 トン)及び尿素貯蔵施設、倉庫、様々な電気・ガス・水道関連施
設等を含む。
表 5-2:EPC コスト
EPC コスト
-アンモニア・尿素プラント
-用役・オフサイト設備
-合計
5億 500 万 USD
4億 9,500 万 USD
10 億 USD
出典:調査団作成
5-2-2 非 EPC コスト
プラント費用及びEPC契約額を含むこれらの資本支出に加えて、非EPCコストも資本支出
に付加する。
表 5-3:非 EPC コスト
操業準備費
USD
6,700 万 USD
建中金利
USD
5,100 万 USD
その他
USD
5,500 万 USD
USD 1億 7,300 万 USD
出典:調査団作成
10億ドルの総資本支出と1億7千300万ドルの非EPCコストを加えれば、総投資コストは
約11億7千300万ドルとなる。この金額のうち、プラント費用及びEPC契約額は総投資費用
の約85%を占める。
表 5-4:総投資費用
資本支出
USD
非 EPC コスト
USD 1億 7,300 万 USD
出典:調査団作成
5
10 億 USD
5-2-3 財源
プラントの生産能力は、尿素については日産1,725トンある。したがって、年間330日の
運転の場合、市場における尿素の全販売量は年間569,250トンと見積られる。
尿素の価格は、DDPモザンビークの価格を想定。直近の尿素のFOBミドルイーストの海上
運賃は385ドル。尿素の海上輸送費として20ドル。輸入関税と海上保険代が2.5%上乗せさ
れるとして415ドルとした。
6
5-2-4
財務分析
プロジェクトの収益性を評価する目的で、DCF 法により財務的内部収益率(FIRR)を算出し
た。結果については、以下の通りである。
表 5-5:財務分析表
税引き前
15.3%
25.3%
IRR on INVEST
IRR on EQUITY
税引き後
13.8%
22.6%
単位は MUSD
年
営業収益
2,016
301,247
2,020
301,247
2,023
2,030
2,035
301,247 301,247 301,247
総売上高
301,247
301,247
301,247 301,247 301,247
売上原価
200,554
200,763
200,938 105,310 105,725
変動費
直接固定費
減価償却費
在庫
36,912
62,786
100,856
0
36,912
62,995
100,856
0
36,912
63,170
100,856
0
売上総利益
100,693
100,484
100,309 195,937 195,522
販売費
GENERAL AND ADMIN. EXPENSES
販売(付加価値)税
0
0
51,212
0
0
51,212
0
0
51,212
営業利益
49,481
49,272
49,097 144,725 144,310
非営業費用
60,184
32,161
11,144
-3,291
-3,291
長期債務の利子
短期作入金の利子
60,184
0
32,161
0
11,144
0
-3,291
0
-3,291
0
純利益・税引き前
-10,703
17,111
37,954 148,016 147,601
0
0
-10,703
17,111
0
0
-10,703
17,111
税抜き
純利益・ 税引き後
配当
留保利益
7
12,145
36,912
63,650
4,748
0
0
0
51,212
47,365
36,912
64,065
4,748
0
0
0
51,212
47,232
25,808 100,651 100,369
0
0
0
25,808 100,651 100,369
5-2-5
感度分析
感度分析は、ベースモデルに対する基本変数の変動の影響を評価する。このプロジェク
トでは、財務的影響に対する感度をチェックし、かつ、プロジェクトの商業的及び財政的
リスクの影響を分析するため、3つの基本変数が選択される。次の3つのシナリオがこの
分析で検討される。
1. 他の変数が一定のときの原料価格の影響
2. 他の変数が一定のときの尿素価格の影響
3. 他の変数が一定のときの資本支出/費用超過の影響
結果は下記の通り、尿素価格影響が一番大きくプロジェクト収益性に影響する結果と
なった。
図5-1:感度分析
8
5.3 経済的分析
5-3-1 雇用機会の創出
尿素工場の事業会社に 300 人雇用される。モザンビーク国内における賃金の内 20%が源泉
徴収として税金になる。モザンビークの平均賃金は月収 4~5000 メティカル。1年当たり
の経済効果は 4,500 メティカル×0.2×300×12÷27 = 12 万ドルとなる。
5-3-2 尿素供給により農業生産が増加
モザンビークで1番の農作物であるキャッサバは 2009 年にキャッサバの生産高として
5672370 トンで金額に直すと 592,552,000 ドル。今回肥料が供給される事で、20%生産高
が 10%アップすると仮定した。592,552,000 × 0.1 = 59,255,200 ドルとなる。
5-3-3 その他
モザンビークに対する技術移転による経済効果は莫大なものになる。
5-3-4
EIRR
EIRR は 25.33%と推定され、経済効果十分なものといえる。
表 5-6:経済的内部収益率
EIRR INCOME STATEMENTS (Profit and Loss Statements)
年
営業利益
2016
2020
426487 426487
2023
426487
単位は
MUSD
2030
2035
426487 426487
総売上高
426487 426487
426487
426487 426487
売上原価
200554 200763
200938
105310 105725
変動費
直接固定費
減価償却費
36912 36912
62786 62995
100856 100856
36912
63170
100856
売上総利益
225933 225724
225549
販売費(製品)
販売(付加価値)税
営業利益
0
72503
0
72503
0
72503
153430 153222
153047
9
36912
63650
4748
36912
64065
4748
321177 320762
0
72503
0
72503
248674 248259
非営業費用
60184
32161
11144
-3291
-3291
長期債務利子
短期借入金利子
60184
0
32161
0
11144
0
-3291
0
-3291
0
純利益(税引き前)
93246 121061
141903
所得税
0
純利益(税引き後)
配当
留保利益
0
45409
93246 121061
96494
0
0
0
93246 121061
出典:調査団作成
96494
10
251965 251550
80629
80496
171337 171054
0
0
171337 171054
4.1 環境社会面における現状分析
4-1-1 建設予定地の現状分析
 自然環境
サイト候補地は工業団地内であるが、現状稼働しているプラント・設備はなく、工業団地
に起因する自然環境への影響は生じていない。また、現地調査でも、実際の測定、バック
グラウンド値などの評価はできていないが、サイト及びその周辺地域の大気質・水質等で
特に問題となる状況は認められない。さらに、相手国からも、問題となる情報は指摘され
ていない。
サイト候補地周辺に影響を受けやすい地域は存在しない。しかしながら、モザンビークで
の河川、水路等の水環境は生態的に影響を受けやすい地域とされており、適切な対応が要
求される。
 社会環境
ソファラ州(Sofala Province)では、主に2つの族が優勢である。1つはヌダウ族(Ndau)、
もう1つはセナ族(Sena)である。ヌダウ族は、南はベイラから北のマニカ州(Manica
Province)までに居住し、ショーナ部族(Shona Tribe)の一部である。セナ族は、北はベ
イラまでの地域に居住している。ただし、ベイラ地域では、ヌダウ族とセナ族の2つの集
団が共存し社会的に交流しているため、優勢な部族はいない。
ソファラ州で話されている言語は、シゼナ語(Cisena)が一番多く、チンダウ語(Cindau)
とポルトガル語がそれに続く。
ソファラ州ではシアオン(Siao)/ジオーネ(Zione)とカトリックが最も信奉されている宗教
である。しかし、住民の半分は無宗教である。農村部では、無宗教者が人口の 50%以上を占
めているが、都市部では宗教を信奉していない人は 35.3%にすぎない。都市部で、最も信奉
されている宗教はカトリック(27.2%)で、プロテスタント/副音主義キリスト教(13.7%)
が続く。農村部では、シアオン(Siao)/ジオーネ(Zione)が最も信奉され、カトリックがこ
れに続く。
ソファラ州の経済としては、生産性レベルが極端に低く、気候要素に左右される零細セク
ターであることが特徴である。工業セクターは弱く、セクター間の経済のつながりが弱く、
統合されていない。港湾や鉄道を利用して、近隣諸国への出稼ぎ労働者の割合が比較的大
きい。現在、ベイラ回廊内の現地住民の主な経済活動は、家族/零細農業、木炭生産、マ
キ集めと販売、漁業、密交易及び狩猟である。約 60 万世帯の生計は零細農業である。余剰
生産は少なく、生産物を配送するためのインフラを利用することが少ない。最重要の農産
2
物は、トウモロコシ、米、ヒマワリ、ソルガム及びカシューで、農家は生産物の消費・販
売の両方を行っている。ソファラでは、小規模な農業生産と商業用の家畜生産が比較的重
要である。商業用の家畜としては、牛、豚及びその他の小型の家畜が含まれる。ソファラ
では、観光セクターは盛んではない。さまざまなグレードを合わせても、ホテルの収容能
力は約 1,700 ベッドである。インフラの修理・保守者のレベルの低さ、適切に訓練を受け
たスタッフの不足がこの観光セクターの発展の主な制約である。ゴロンゴザ国立公園と数
か所の動物保護区の再開、それらの宿泊施設の復旧は、投資家の大きな投資機会となる。
 将来予測
プロジェクトの実施に際しては、適切な環境社会配慮が必要である。現段階で得られてい
る情報・状況より、本プロジェクトでの必要な環境社会配慮について、添付「プロジェク
ト実施に伴う環境社会側面の洗い出し」にて検討を行っている。
ここで検討した事項を確実に実施し、プロジェクト実施による、自然環境、社会環境へ
の負の影響を最小化することにより、特に自然環境を保全しつつ、社会環境の向上が期
待できる。具体的には、プロジェクトの実施により、正の効果として、道路・病院・学
校等の公共機関の整備が見込まれ、雇用が創出され、当該地域の活性化へと繋がる。当
プロジェクトを実施しない場合、これらの効果は見込めなくなる。
4.2
プロジェクトの実施に伴う環境改善効果
現地調査に基づき、サイト候補地及び周辺において、大気質・水質等の汚染物質を含めた
自然環境への特記すべき影響はなく、大きな改善効果も見込めないと認識している。
4.3 プロジェクトの実施に伴う環境社会面への影響
JBIC の「環境社会配慮ガイドライン」に基づき、当該プロジェクトはカテゴリーA に分類
されると認識している。また、プロジェクト実施に伴う環境社会的影響について、「チェッ
クリスト」に従って実施し、その結果は末尾添付「プロジェクト実施に伴う環境社会側面
の洗い出し」の通りである。
プロジェクト実施に伴う環境社会的影響について、添付「プロジェクト実施に伴う環境社
会側面の洗い出し」に記しているように、JBIC の環境社会配慮確認のチェックリストを基
に検討をした結果、プロジェクト実施に伴う環境社会的影響に大きな問題はない。一方、
現地の環境規制等は世界基準に比べて基本的にゆるいものであるので、プロジェクト実施
時には、現地の規制等に加え、世界基準を適用する必要がある。
3
4.4
相手国の環境社会配慮関連法規の概要
4-4-1 モザンビークの環境関連法規
関連法規および各セクター法規の概要は以下の通りである。
表 4-1:各セクター法規の概要
対象
水資源
所管
公共事業省
規定法令等
国家水政策 1995
備考
勧告委員会である国家水審議
会有り。
憲法 1990/水について
地域の水管理局、公共事業省管
の法(法 16/91)
轄の地域水管理局、国家水審議
会有り。
重要水資源の分配に対す
南 ARA、中央 ARA, 北の 3 つ
る SADC 議定書
が有る。Zambezi 計画所が水に
関する管轄権を所有。
国家水登録に登録必要な水利
用、排水の許認可
南 ARA による実施
現在の水政策、法は国内の生活
用水、産業用水に焦点を置いて
いる。
大気質
騒音
環境省(MICOA) 大気質及び排水に対する
労働省
MICOA は本規則の施行と監視
新規則
に責任を持つ。この規則で相当
(命令 18/2004)
の罰金を規定。
許可 48/73
労働者保護の対策に係るもの、
産業設備の衛生・安全一
基準値は非規定。
般法
排水
環境省(MICOA) 大気質及び排水に対する
新規則
本命令は海域への排水、灌漑用
水質を規定。
(命令 18/2004)
廃棄物
各地方自治体
地方自治法 2/97
(都市部のみ)
地方自治体は基本の公衆衛生
と生活水準の確保が求められ
ている。地方自治体は、環境保
護と医療・危険廃棄物を含めて
の廃棄物の除去の方法、処理・
4
廃棄の方法についてのプログ
ラムを制定する責任がある。
地域計画
計画・開発省
準備中
新省庁(創設 2005 年)であり、
セクター毎の全ての計画調整
を行う。将来的には非常に重
要・強力な省となる。
土地利用計
国家土地登記局
土地法 19/97
土地利用権の規定。
画・開発
/農業省/内閣
規則 66/98 土地法規定
保護区の適用、電気・ガス・通
信設備の距離、高架、地上、地
下設備等の鑑定。本法は、部分
保護区(PPZ)での活動について
の必要な特別の許可を規定し
ている。
鉱業・鉱物資
鉱物資源・国家石
石油法 3/2001
投資家権利を含めた本セク
源
油院(INP)
石油生産規則 24/2004
ターでの法律枠組を与えてい
鉱業での環境法規則
る。
26/2004
自然保護
観光省
国立公園の主管機関。(但し、
保護区に関する
他機関の特別管理の規定の有
国家理事会
る場合を除く)
保護局は単一での所轄ではな
く、調整が容易でなく、効率が
良くない。
野生生物と自
農業省、地方開発
然資源(含む、 省
森林)
森林、野生生物法
野生生物とその保護は複数の
10/1999
セクターに跨る。例えば、農業
森林、野生生物に
省は牧場経営や森林保護を所
関する国家理事
轄し、漁業省は海洋の保護を所
会
轄する。
この法の対象は非常に広い。
モザンビークの現在、将来世代
の森林・野生生物資源の保護・
利用・開発を対象としている。
土地利用・開発権利者は、動植
物資源の利用についての許可
を得る必要がある。
自然公園、自然保護区、文化遺
5
産の保護区の認定。
農地
農業省、地方開発
土地法 19/1997
この法はモザンビークの土地
省
土地規則法 66/98、及び
所有、土地管理、自然資源法律
技術補遺(29-A/2000)
の枠組みを規定する。これは、
自然保護、防衛等を含めた、実
際の土地利用の配置を規定す
る
動植物
農業省、地方開発
動植物資源保護に関する
動植物についての全ての保護、
省
法律
利用・生産に適用される。
命令
漁業
漁業省
12/2002
漁業法 3/1990
養殖業の監督を含めての、淡
水・海洋魚資源の管理責任有。
送電
エネルギー省
電気法 21/1997
電気の輸出入を含めて、モザン
ビークでの発電・送電・配電・
売電に適用される。
住民移転、保
ジェンダー・社会
特に、非自発的な住民移転が生
障、リハビリ
省
じる場合
テーション
文化遺産
文化省
国家遺産保護法
この省はプロジェクトが計画
(遺跡庁)
(法 10/88, Dec/22、1988) されている区域での文化遺産
命令 27/1994 は、文化遺
の発見についての助言をする
産保護に関する規則
必要がある。
偶然にどのようなものであれ、
発見された場合は、48 時間以内
に地域の管理者や市の当局に
連絡しなければならない。発見
したものの損傷等を防止する
ため、作業は中断しなければな
らない。
6
出典:南部アフリカ開発共同体における環境評価手続きの手引き(Handbook on
Environmental Assessment Legislation in the SADC region)
4-4-2 モザンビークにおける EIA のプロセス、段階、期間
モザンビークにおいては、環境影響評価法(EIA Regulations 45/2004)に従い、カテゴリー
A に分類された EIA プロセス、段階、期間は以下の表 4-1 の通りである。
図 4-1:EIA プロセス、段階、及び期間
出典:南部アフリカ開発共同体における環境評価手続きの手引き(Handbook on
Environmental Assessment Legislation in the SADC region)
7
4.5
プロジェクトの実現のために当該国(実施機関その
他関係機関)が成すべき事項
現地調査を含む Pre-FS、及び今後の EPC を含むプロジェクト実施に向けて、現在特記すべ
きことはない。しかし、実施機関となるモザンビーク関係機関には以下の協力が必要にな
る。

許可された EIA コンサルタントへのコンタクト及び選定。

鉱物資源省とコンサルタント間で守秘義務契約締結して Pre-FS 報告書を評価する。

当プロジェクトの登録手続き。

EIA 承認に要する費用、期間の確認。

住民移転は見込まれないが、万一生じた場合は、現地人の住居移転への対応。
8
添付
「プロジェクト実施に伴う環境社会側面の洗い出し」
1.
許認可・説明
1.1
EIA 及び環境許認可
EIA 報告書を作成し、相手国の規制要件に従って許可を取得する必要がある。
(1) 相手国における EIA プロセス
 中央政府と州当局の役割
EIA プロセスにおける中央政府と州当局の役割は以下の表 4-2 の通りである。
表 4-2:EIA プロセスにおける役割
中央政府
a) EIA プロセスを管理し、調整する。
b) 指針を発行し、公表する。
c) 評価のために提出された各活動の事前
評価を行う。
d) 必要と見なされる場合、カテゴリ A の各
活動の技術評価委員会を指名し、主宰する
e) 手続きを開始し、EPDA 報告書、TOR 及び
EIR の審査の概要を示すほか、カテゴリ A
の活動についてその承認手続きを開始す
る。
f) EIA プロセスの必要に応じて、公共部門
からの専門家の参加を要請する、又は、民
間部門からのコンサルタントの参加手続き
を開始する。
g) 本規制に関して、意見などを聞く機会を
設けるとともに、地域住民参加の順守を確
保する。
h) 入札者に本規制に関する環境ライセン
ス税の支払いを通知する
i) 入札者及び直接関与する公共団体に環
境ライセンスの付与を通知する
j) 環境ライセンスに関する情報が一般に
公開されるようにする。
k) 環境ライセンスを発行する
l) 活動の監督機関と調整して、モニタリン
DPCA
州環境問題調整局
a) 指針に準拠して EIA プロセスを管理し、
調整する。
b) 提出された各活動の事前評価を行う。
c) 必要と見なされる場合、カテゴリ B の各
活動の技術評価委員会を指名し、主宰する。
d) 手続きを開始し、カテゴリ B の活動の
SER のための特定 TOR の審査を指導するほ
か、その承認手続きを開始する。
e) 公開協議プロセスの実施を確保し、本規
制に関して意見などを聞く機会を設ける。
f) 簡易環境報告書を承認する。
g) 本規制の規定の順守を考慮に入れて、
EIA に必要なすべての業務について環境影
響評価当局と調整する。
h) 入札者に本規制に関する環境ライセン
ス税の支払いを通知する
i) 入札者及び直接関与する公共団体に環
境ライセンスの付与を通知する
j) カテゴリ B の活動のための環境ライセ
ンスを発行する
k) モニタリング報告書の解析、独自又は所
9
中央政府
グ報告書の解析、環境監査の実施、検査の
促進、認可活動の管理・監視で構成される
事後評価を実施する
m) 環境影響報告書を作成する資格がある
専門家及びコンサルタント会社の登録簿を
記録及び保管し、公表する。
n) 監督機関と調整して、法的メカニズムを
発動し、通商を停止する。又は、工事の解
体を命じるか、その性質上、環境の質に対
する企てとなる環境コンサルティングを含
む活動の実施を取り消す。
DPCA
州環境問題調整局
轄官庁の派遣団による環境監査の実施、検
査の促進、認可活動の管理・監視で構成さ
れる事後評価を実施する。
出典:南部アフリカ開発共同体における環境評価手続きの手引き
(Handbook on Environmental Assessment Legislation in the SADC region)
 EIA 手続きのフレームワーク
第一段階として、提案者は所轄当局と協議して、どのカテゴリにプロジェクトが
該当するかを決定しなければならない。
表 4-3:カテゴリ分類
カテゴリ
A
B
C
定義
環境に重大な影響を与える可能性があるプロジェクト。したがって、EIA を
必要とする。
コミュニティ又は環境的に敏感な地域に重大な影響を与えないプロジェク
ト。したがって、要求されるのは簡易環境報告書(SER)のみである。
環境への影響が最小限のプロジェクト。したがって、これらのプロジェクト
には EIA 又は SER のいずれも不要である。
出典:南部アフリカ開発共同体における環境評価手続きの手引き
(Handbook on Environmental Assessment Legislation in the SADC region)
10
EIA 手続きのプロセスは、以下のように、プロジェクトが表 4-3 のカテゴリ A、B 又は C の
いずれに該当するかによって異なる。
表 4-4:カテゴリ別 EIA プロセス
EIA プロセスの
構成要素
カテゴリ A
プロジェクト
(EIA が必要)
カテゴリ B
カテゴリ C
プロジェクト
プロジェクト
(EIA 又は SER が (EIA 又は SER が
必要)
必要)
申請
必要
必要
必要
事前評価
不要
必要
不要
環境に関する事前検証報告書
及び作業範囲の定義(EPDA)
必要
不要
不要
実施要領
必要
必要
不要
環境影響評価(EIA)
必要
不要
不要
簡易環境報告書(SER)
不要
必要
不要
地域住民参加プログラム
必要
おそらく必要
不要
技術評価委員会による審査
必要
必要
不要
出典:南部アフリカ開発共同体における環境評価手続きの手引き
(Handbook on Environmental Assessment Legislation in the SADC region)
以下に述べるように、環境影響評価の手続きに関する規制の第8条「評価基準」
によると、本プロジェクトはカテゴリ A に該当するものと推定される。
11
 カテゴリ A の手続き
カテゴリ A の EIA 手続きは以下の表 4-4 の通りである。
図 4-2:カテゴリ A の EIA プロセスフロー
カテゴリ A の EIA プロセスフロー図
提案者
EIA 当局
申請
事前評価
地域住民
分類
EPDA
TAC による審査
公開審査
承認
公開審査
EIA 調査
公開審査
実施要領(TOR)
TAC による審査
環境ライセンス
申請却下
出典:南部アフリカ開発共同体における環境評価手続きの手引き(Handbook on
Environmental Assessment Legislation in the SADC region)
提案者が取るべき対策は以下の通り。
申請
すべての提案者(どのカテゴリのプロジェクトを提案する可能性があるかどうか
に関係なく)は下記の情報を中央政府の EIA 当局又は各州の DPCA のいずれかに提
出しなければならない。
• 活動の説明
• プロジェクトの必要性と望ましさ
• 活動のための法的枠組み
• 地域の生物物理学的及び社会経済的構造の簡単な説明
• 提案用地の現在の土地利用状況
• 用地からの環境情報
12
• EIA プロセスの各段階の説明(例:TOR、EPDA、EIA、SER 等の提出)
• 予備環境情報シートの完成
(規制の付属書 IV 及び本章の付属書 10-4として添付)
実施要領
「実施要領」(Terms of Reference(TOR))は EIA プロセスで従うべきことを規
定するもので、少なくとも下記を含める。
• 専門家による調査の説明
• EIA で調査予定の妥当な代替策の説明
• プロジェクトのライフサイクル中の影響を特定するために使用する方法
• 提案の地域住民参加プロセスの説明
• 提案者の名称と住所
• EIA チームの名称
• その他の追加情報
TOR は EIA の開始前に承認を得るために EIA 所轄当局に提出しなければならない。
1.2
地域住民への説明
モザンビークでの最初の地域住民向け説明会は、提案者の申請と当局の分類後に
開催される。EIA 調査段階において、公開協議が少なくとも3回開かれる予定であ
る。
2
汚染対策
2.1
大気質
 モザンビークの大気質基準
下表はモザンビークの大気質基準であり、参照として国際基準を併記している。
概して、モザンビークの基準は国際基準よりもかなり緩めである。
現在の大気質は、現地調査では、問題はないと思われるが、プロジェクト候補地のバック
グラウンド状況を詳細に調査し、国際基準を考慮に入れてプラントが設計されなければな
らない。
13
表 4-5:モザンビークの大気質基準
単位: μg/m3
汚染物質
SO2
平均期間
値
IFC(WHO)
10 分間
500
1時間
800
24 時間
365
1年間
80
1時間
400
24 時間
200
1年間
100
1時間
40,000
8時間
10,000
1時間
160
24 時間
50
1年間
70
TSP
24 時間
200
鉛
1時間
3
NO2
CO
オゾン
1年間
備考
20(中間 125、50)
200
40
(1日8時間)100
PM 10:50
0.5 – 1.5
TSP:全懸濁物質
出典:南部アフリカ開発共同体における環境評価手続きの手引き(Handbook on
Environmental Assessment Legislation in the SADC region)
 講じるべき対策
下表 4-6 はモザンビークの排出基準である。
表 4-6:モザンビーク排出基準
単位:mg/m3
セクター
アルミ
総粒子状物質
硫黄酸化物
窒素酸化物
30
その他
総 フ ッ 素 :2 、
フッ化水素:1、
VOCs:20
セメント
50
400
アルカリ性塩素
600
cl:3
石炭製造
50
コークス製造
50
硫黄 97%以上再
燃時、ベンゼ
ン:5、
14
VOCs:20
銅生産
製錬: 20
1000
ヒ素:0.5、カドミウ
その他: 50
(SO2 として)
ム:0.05、銅:1、
鉛 : 0.2 、 水
銀:0.05
酪農業
50
悪臭:近隣で許
容できること
インク製造(染
cl:10、VOCs:20
色)
電子機器製造
VOCs:20、ホス
フィン:1、ヒ
素:1、フッ化水
素:5、塩化水
素:10
製錬
20( 毒 性 金 属 含 む
時)
50(その他)
果物、野菜処理
50(50MWe 以上)
一般環境規定
100(500MWe 以下)
2000(as SO2)
石炭:750
ダイオキシン:
石油:460
1ng/Nm3
ガス:320
ガラス製造
20(毒物含む時)
石油燃焼:1800
50(その他)
ガス燃焼:700
1000~2000
鉛+カドミウ
ム:5
総重金属:5
ヒ素:1、フッ
素:1、塩化水
素:50
紙業
100( キ ル ン で の 再
2kg/t-パルプ等
燃時)
硫化水素:15(ラ
イムキルン)、総
硫 黄 : 1.0 ~
1.5kg/t- ハ ゚ ル フ ゚
等
砂糖
100
2000
150(8.7MW 以下の小
液体燃料:460、 悪臭:近隣で許
固体燃料:750
容できること
キルン)
毛皮製品製造
悪臭:近隣で許
15
(製革、なめし)
容できること
繊維
VOCs:50
火力発電所
50
(新設)
野菜油
0.2/日(500MW 以
石炭:750、
上)、
ディーゼル油:
0.1/日(50MW 未
460、
満)
ガス:320
50
悪臭:近隣で許
容できること
木材保存
50
VOCs:20
出典:南部アフリカ開発共同体における環境評価手続きの手引き(Handbook on
Environmental Assessment Legislation in the SADC region)
当社のさまざまな経験に基づき以下の対策を講じる。
-
排出試験に合格した車両を使用する。
-
建設現場に水を散布する。
-
緑地帯を設ける。
-
(アンモニアプラント)所要の排出基準を満たした低 NOx バーナーを使用する。
-
(尿素プラント)尿素粉塵とアンモニア粉塵を含む排気は所要の基準を満たす
粉塵洗浄システムで処理する。
-
大気質の定期的モニタリングを実施する。
16
2.2
水質
 プロジェクトからの排出水
排水基準
下表 4-8 はモザンビークの生活排水の基準である。
表 4-7: モザンビークの生活排水の基準
パラメータ
許容最大値
単位
色
希釈度 1:20
有/無
臭気
希釈度 1:20
有/無
6.0 - 9.0
セーレンセン目盛
温度
35℃
℃
化学的酸素要求量(COD)
150.0
mg/l O2
全懸濁固形物(TSS)
60.0
mg/l
全リン
10.0
mg/l
全窒素
15.0
mg/l
Ph、25℃
備考
受入れ媒体で上昇
感応ゾーンで3mg/l
出典:南部アフリカ開発共同体における環境評価手続きの手引き(Handbook on
Environmental Assessment Legislation in the SADC region)
17
下表は排出先の環境基準である(海 / 海洋)。
表 4-8: 受入れ先の環境基準(海 / 海洋)
184
パラメータ
最大限度
浮遊固形物
事実上なし
油脂
事実上なし
色、臭気及び濁りを発生する物質
事実上なし
合成着色料
事実上なし
好ましくない沈着物を形成する物質
事実上なし
望ましくない水生生物、たとえば
事実上なし
侵入有機物を発生する物質と条件
BOD
20oC < 5mg/l で5
溶解性有機物
6mg/l
pH
6.5 から 8.5 の間:通常の pH 値は 0.2 単位
を上回る変化をしてはならない。
潜在的に有害な物質
アルミニウム
1.5 mg/l
フェノール
0.001 mg/l
アンモニア
0.4 mg/l
溶解性鉄
0.3 mg/l
アンチモン
0.2 mg/l
フッ化物
1.4 mg/l
ヒ素
0.05 mg/l
マンガン
0.1 mg/l
バリウム
1.0 mg/l
水銀
0.0001 mg/l
ベリリウム
1.5 mg/l
ニッケル
0.1 mg/l
ホウ素
5.0 mg/l
硝酸エステル
10.0 mg/l
臭素
0.1 mg/l
亜硝酸エステル
1.0 mg/l
カドミウム
0.005 mg/l
銀
0.005 mg/l
鉛
0.01 mg/l
セレン
0.01 mg/l
シアン化物
0.005 mg/l
メチレンブルーに
0.5 mg/l
反応する界面活性物質
残留塩素
0.01 mg/l
HS などの硫化物
0.002 mg/l
銅
0.05 mg/l
タリウム
0.1 mg/l
全クロム
0.05 mg/l
ウラン
0.5 mg/l
錫
2.0 mg/l
亜鉛
0.01 mg/l
出典:南部アフリカ開発共同体における環境評価手続きの手引き(Handbook on
Environmental Assessment Legislation in the SADC region)
18
表 4-9:日本における水のヒトの健康に関する環境基準
品目
基準値
カドミウム
≦ 0.01 mg/L
全シアン化物
不検出
鉛
≦ 0.01 mg/L
六価クロム
≦ 0.05 mg/L
アルソン
≦ 0.01 mg/L
総水銀
≦ 0.0005 mg/L
アルキル水銀
不検出
PCBs
不検出
ジクロロメタン
≦ 0.02 mg/L
四塩化炭素
≦ 0.002 mg/L
1,2- ジクロロエタン
≦ 0.004 mg/L
1,1- ジクロロエチレン
≦ 0.02 mg/L
Cis 1,2 - ジクロロエチレン
≦ 0.04 mg/L
1,1,1- トリクロロエタン
≦ 1 mg/L
1,1,2- トリクロロエタン
≦ 0.006 mg/L
トリクロロエチレン
≦ 0.03 mg/L
テトラクロロエチレン
≦ 0.01 mg/L
1,3- ジクロロプロパン
≦ 0.002 mg/L
チラム
≦ 0.006 mg/L
シマジン
≦ 0.003 mg/L
チオベンカルブ
≦ 0.02 mg/L
ベンゼン
≦ 0.01 mg/L
セレン
≦ 0.01 mg/L
硝酸性窒素と亜硝酸性窒素
≦ 10 mg/L
フッ化物
≦ 0.8 mg/L
ホウ素
≦ 1 mg/L
出典:世界銀行
環境・健康・安全に関する手引き(Environmental, Health, and Safety
Guidelines for Nitrogenous Fertilizer Production / World Bank Group)
19
表 4-10:日本における沿岸水の生活項目の環境基準①
項目
基準値
等級
水利用
水素
イオン
濃度
(pH)
化学的 溶存酸素 全大腸菌 ノルマル
酸素
(DO)
群
ヘキサン
要求量
抽出物質
(COD)
(油等)
漁業等級1、海水浴、自然環
7.8≦ph≦
≦2 mg/L
A 境の保全、B - C に記載の用
8.3
途
B
≧7.5
mg/L
≦1,000
MPN/
100mL
不検出
-
不検出
漁業等級2、工業用水、C に 7.8≦ph≦
≦3 mg/L ≧5 mg/L
記載の用途
8.3
7.0≦ph≦
C 環境の保全
8.3
≦8 mg/L ≧5 mg/L
-
備考: 全大腸菌群は漁業等級1については、生食用の養殖カキについて 70MPN/100ml
以下とする。
出典:世界銀行
環境・健康・安全に関する手引き(Environmental, Health, and Safety
Guidelines for Nitrogenous Fertilizer Production / World Bank Group)
注:
1. 自然環境の保全:観光及びその他環境の保全。
2. 漁業等級1:鯛、ブリ、海草などの海産物、漁業等級2の海産物
漁業等級2:ボラ及び乾物海草などの海産物
3. 環境の保全:住民の日常生活を乱さない限度(海辺の散歩などを含む)
20
表 4-11:日本における沿岸水の生活項目の環境基準②
項目
基準値
水利用
等級
自然環境の保全及びII - IVに記載の用途
I
(漁業等級2及び3を除く)
漁業等級1、海水浴、III - IVに記載の用途
II
(漁業等級2及び3を除く)
漁業等級2及び IV に記載の用途
(漁業等級3を除く)
漁業等級3工業用水、海洋生物相が
生息可能な環境の保全
III
IV
全窒素
全リン
≦0.2 mg/L
≦0.02 mg/L
≦0.3 mg/L
≦0.03 mg/L
≦0.6 mg/L
≦0.05 mg/L
≦1 mg/L
≦0.09 mg/L
備考
1. 基準値は年平均について定められている。
2. 基準値は海洋植物プランクトン群が活性する区域にのみ適用される。
注:
1. 自然環境の保全:観光及びその他環境の保全。
2. 漁業等級1:深海魚及び甲殻類を含む多種多様な魚類が良好なバランスで安定的
に採取される海洋区域にのみ適用。
漁業等級2:一部の深海魚及び甲殻類を除く海産物が採取される。
漁業等級3:汚染に強い抵抗力がある特定の種類の海産物が主に採取される。
3. 海洋生物相が居住可能な環境の保全。底住有機物が1年中生息可能なレベル。
出典:世界銀行
環境・健康・安全に関する手引き(Environmental, Health, and Safety
Guidelines for Nitrogenous Fertilizer Production / World Bank Group)
表 4-12:日本における沿岸水の生活項目の環境基準③
項目
等級
水生生物の生息状況の適応性
等級 A の有機物
水生生物が生息する水域
特殊な等級 A の有 等級 A の有機物が棲息する水域のうち、
機物
水生生物の散乱・生育環境として保全すべき水域
出典:世界銀行
基準値
全亜鉛
≦0.02 mg/L
≦0.01 mg/L
環境・健康・安全に関する手引き(Environmental, Health, and
Safety Guidelines for Nitrogenous Fertilizer Production / World Bank Group)
 適切な対策
当社は現在、このプラントからの排出水を検討中であり、排水による影響を減じるた
21
めに下記の対策を計画している。

一時的放出を最小限に抑えるための適正な処理施設 / システム(プロセス復
水処理装置)
2.3

原材料の利用を最適化し排出物を削減するためのガスの再生利用

国際基準を満たす排水処理レベル

船舶からの汚染物質はそれに応じて規制

排水処理施設の設置

排出ポイントでの定期的水質モニタリング

適切な浚渫方法を採用し適用
廃棄物
 有害廃棄物
モザンビークは、Municipality Law No 2/97 に基づいて、各自治体は廃棄物に関する地
方条例を発している。有害廃棄物について、当社は該当する地方条例に対応する。
当社は有害廃棄物に関して下記の対策を計画している。

廃棄物管理計画

貯蔵専用施設/適正な処理を第三者に委託

窒素を含んでいる粉塵粒子をプラント内で再生利用
 土壌と地下水の汚染防止のための適切な対策
当社は「廃棄物管理計画」を設ける。この計画は、廃棄物貯蔵/処分サイトからの浸出物
による土壌と地下水の汚染防止のための適切な対策が含まれる。
2.4
土壌汚染
 過去の汚染
プロジェクト用地は新たに開発されたものであるので、プロジェクト用地の土壌が過去
に汚染されていたとは思われない。
当社は、原材料や化学剤などの浸出物質による土壌と地下水の汚染防止のための適切な
対策を講じる。詳細は EIA プロセスの間に決定され、文書化される。
2.5
騒音・振動
 騒音・振動の基準
現時点、モザンビークでの騒音・振動の基準を特定することができなかった。騒音・振
動の基準が存在しない場合、以下に示す国際基準を考慮する。
22
表 4-13: IFC の騒音レベル指針
表1.7.1 -騒音レベル指針 54
1時間の LAcq(dBA)
受容体
日中
夜間
07:00-22:00
22:00-07:00
住民、公共施設、教育 55
55
45
工業、商業
70
70
出典:世界銀行
環境・健康・安全に関する手引き(Environmental, Health, and Safety
Guidelines for Nitrogenous Fertilizer Production / World Bank Group)
騒音と振動の影響を軽減するために下記の対策が講じられる計画である。

管理が行き届いている機械消音装置を使用

適正な交通管理の実施

国際基準に合致する作業騒音対策
また、現地調査により、プロジェクト候補地の周囲に、プロジェクトよりの騒音・振
動の影響を受ける居住区域のないことが判明している。
 大量の車の交通による騒音発生の可能性
現段階では、原材料や製品など物資の輸送方法は決定されていない。輸送方法はそれら
の影響を考慮して決定する。
2.6
地盤沈下
プロジェクトでは、海水を使用することを計画しており、大量の地下水の取水予定はな
い。したがって、地下水の取水によって地盤沈下が引き起こされる可能性はない。
2.7
悪臭
計画しているプラントはアンモニアなどの悪臭源となる物質を取り扱う。
プロジェクトとしは、悪臭の影響を削減するため、下記の対策を講じる。

(アンモニアプラント)すべての有害ガスは共通の排気マニホルド経由で余
剰ガス燃焼煙突に送出

(肥料プラント)アンモニアは大気中への放出前に国際基準に合わせて処理

国際臭気基準に基づいて排出ポイントを決定
3.
自然環境
3.1
保護区
プロジェクト候補地の周囲には保護区はない。ゴロンゴザ国立公園(Gorongosa
23
National Park)は約 100km 北であり、チニズラの森(Chinizula Forest)は約 75km 北
東である。
3.2
生態系及び生物相
プロジェクトの計画地及びその周辺に、影響を受けやすい生態系区域は含まれていな
いと考えられる。しかしながらモザンビークでは、すべての河川、水路等は影響を受け
やすい生態系区域と考える必要がある。従って、予防措置として下記の対策を検討する。

保護/絶滅危惧種類及び区域を指定するための生態学的基礎研究の実施

生態学的過程の崩壊を制限するための適切な工学的設計モニタリングと
フィードバックシステム

3.3
適正な廃棄物管理計画
動植物
 植物
砂丘の森、森林地帯、草地及びマングローブなど、沿岸モザイク地帯のプロジェクト候
補地内及び周囲には、さまざまなタイプの植生がある。植生の自然パターンは都市化に
よる顕著な影響を受けている。
ベイラ回廊(Beira Corridor)が横断する地域の植生は、地域の自然地理学と気候に関
係のある乾燥と湿潤が段階的に連続に構成されている。
ベイラから北方のマラウィ(Malawi)とモアタイズ(Moatize)にかけて、主な植生タイ
プは沿岸と河口の周囲の縁をなすマングローブであり、低地のゴロンゴサから分離して
いる砂浜海岸に沿って、ヤシの木、ナツメヤシ又はパルミラヤシなどの種がある。
 動物
プロジェクト候補地内及び周囲には保護動物は存在しない。
24
3.4
社会環境
プロジェクト候補地周囲の現状は以下の通りである。
ソファラ州(Sofala Province)では、主に2つの族が優勢である。1つはヌダウ族(Ndau)、
もう1つはセナ族(Sena)である。ヌダウ族は、南はベイラから北のマニカ州(Manica
Province)までに居住し、ショーナ部族(Shona Tribe)の一部である。セナ族は北は
ベイラまでの地域に居住している。ただし、ベイラ地域では、ヌダウ族とセナ族の2つ
の集団が共存し社会的に交流しているため、優勢な部族はない。
ソファラ州で話されている言語は、シゼナ語(Cisena)が一番多く、チンダウ語(Cindau)
とポルトガル語がそれに続く。したがって、現地住民がポルトガル語で書かれた EIA を
理解できるかどうかを調査しなければならない。
ソファラ州では Siao/Zione とカトリックが最も信奉されている宗教である。しかし、
住民の半分は無宗教である。農村部では、無宗教者が人口の 50%以上を占めているが、
都市部では宗教を信奉していない人は 35.3%にすぎない。都市部で、最も信奉されてい
る宗教はカトリック(27.2%)で、プロテスタント/副音主義キリスト教(13.7%)が続
く。農村部では、Siao/Zione が最も信奉され、カトリックがこれに続く。
ソファラ州の経済としては、生産性レベルが極端に低く、気候要素に左右される零細
セクターであることが特徴である。工業セクターは弱く、セクター間の経済のつながり
が弱く、統合されていない。港湾や鉄道を利用して、近隣諸国への出稼ぎ労働者の割合
が比較的大きい。現在、ベイラ回廊内の現地住民の主な経済活動は、家族/零細農業、
木炭生産、マキ集めと販売、漁業、密交易及び狩猟である。約 60 万世帯の生計は零細
農業である。余剰生産は少なく、生産物を配送するためのインフラを利用することが少
ない。最重要の農産物は、トウモロコシ、米、ヒマワリ、ソルガム及びカシューで、農
家は生産物の消費・販売の両方を行っている。ソファラでは、小規模な農業生産と商業
用の家畜生産が比較的重要である。商業用の家畜としては、牛、豚及びその他の小型の
家畜が含まれる。ソファラでは、観光セクターは盛んではない。さまざまなグレードを
合わせても、ホテルの収容能力は約 1,700 ベッドである。インフラの修理・保守者のレ
ベルの低さ、適切に訓練を受けたスタッフの不足がこの観光セクターの発展の主な制約
である。ゴロンゴザ国立公園と数か所の動物保護区の再開、それらの宿泊施設の復旧は、
投資家の大きな投資機会となる。
当社は、地元住民への影響が少ない用地を選択し、用地の状況に慎重に配慮し、下記
の必要な対策を適切に講じる予定である。

社会的弱者のための生活支援プログラムの検討

地元コミュニティ/建設労働者向けの感染症(HIV/AIDs)防止プログラムの
用意
25

プロジェクト当局、地元のコミュニティ及びそれらのリーダー等との十分な
調整

EIA 調査中の公開協議での地元住民への説明
住民移転
4.1
現段階では、プロジェクト候補地内及び周囲には居住区域は存在しないため、非自発
的住民移転の可能性はない見込みである。
生活・生計
4.2
現段階では、プロジェクト候補地の周囲には直接に影響を受ける住民はいないと思わ
れる。しかし、住民に対する説明を行い、実施する活動に関する社会的調査を行う予定
である。また、悪影響が明確に示される場合は、それらの損失に対する適正な補償を提
供する。当社は、生活・生計の改善のために以下のことを行うつもりである。

地元のコミュニティに雇用の優先権を与える。

職業訓練とその他の必要な支援を提供する。

地元のコミュニティとの協議を継続する。
文化遺産
4.3
プロジェクト候補地内及び周囲には指定された文化遺産は存在しない。
4.4
景観
プロジェクト候補地は工業地区として開発されており、プロジェクトによる景観への
影響はない。
4.5
労働環境
安全衛生プログラムはプロジェクト提案者が準備/実施する。
5.
その他
5.1
工事中の影響
工事中の影響を削減するため、上述の各種対策を建設段階にも適用する。
5.2 事故防止対策
プロジェクト提案者は、海事セキュリティ及び安全対策の実施を計画する。
5.3 モニタリング
モザンビークではモニタリングに関する規則はない。しかしながら、環境社会面にて検討
した項目で状況について追加的・継続的に把握が必要な項目があれば、モニタリングの措
置を講じて影響の可能性に対応する予定である。
26
第6章
プロジェクトの実施スケジュール
1
6.1 プロジェクト実施スケジュール
調査団が現地でモザンビーク政府とすり合わせたスケジュールは以下の通りになる。詳
細設計、入札、プロジェクト実施に関しても以下に記載。
表 6-1 プロジェクト実施スケジュール
作業項目
年/月 2011
11/18
1事
前事業化調査
2012
2015
2016
3
12/31
7
1/31
EPC価
格精査、最終投資決
2
3
定
5/1
4環
境社会影響評価
2014
2/23
6/1
2基
本設計・EPC価格提案
2013
4/30
12
2/1 7/31
5資
金手配
6
3/31
8/1
6EPC実施
32
EPC契約
業運転(運転&保全)
7商
ガス増産のタイミング
O&M契約
<出典:調査団作成>
2
4/1
6.2 EIAスケジュール
環境審査に掛かるスケジュールは以下の表 6-2 の通りである。
表 6-2
アクション
EIA スケジュール
期間
備考
プロジェクト経済性確認後
申請書 記入
Step 1
5 営業日
環境省に環境影響評価
モ国登録コンサル及び外資事業者
対応可。
登録
環境省承認
5 営業日
環境社会影響レポート
1~2 ヶ月。
の対象範囲と目次作成
パブリックコンサルテー
ション実施の通知
パブリックコンサルテー
Step 2
ション実施
パブリックコンサルテー
ションコメント受領
環境省へコメント
添付して書類提出
環境省承認
環境社会影響レポート
作成
全書
通知から 2 週
類ポ
間で実施。実
ルト
施後 2 週間で
ガル
コメント受
語の
領。
(健康、建設、操業上の安全、社会
環境) 80 頁程度。インタ-ネット、新
聞、ラジオ等で地域住民に通知。
為、
翻訳
作業
30 営業日。
あり
1年
環境社会影響評価レポ
程
ート提出
度。
45 営業日。
パブリックコンサルテー
Step 3
ション実施の通知
パブリックコンサルテー
ション実施
パブリックコンサルテー
ションコメント受領
通知から 2 週
間で実施。実
施後 2 週間で
コメント受
領。
環境省へコメント
添付して書類提出
<出典:調査団作成>
3
環境影響に関する声名をインタネッ
ト、新聞、ラジオ等で地域住民に通
知。
第7章
相手国側実施機関の実施能力
1
7.1 当該プロジェクト実施機関/鉱物資源省
当該プロジェクトにおけるモザンビーク政府における担当省庁は MINISTRY OF MINERAL
RESOURCES (鉱物資源省)であり、そのことは 2011 年7月に同省との打ち合わせの際に確認
された。今回調査のミッション派遣時に、ミッションメンバーによって既存国産天然ガス
の有効利用として肥料プラントプロジェクトの提案を行った。同プロジェクトによって製
造される肥料はモザンビーク国内に供給され同国の農業生産を飛躍的に伸ばすことが出来
ると考えられる。
2011 年7月の鉱物・鉱山省向けプレゼンテーションの後、同省大臣と面談を実施、その
際に同大臣からも強い興味が示され、そして鉱物資源省の傘下である INP(Institute
National Petroleum)が本件の相手側実施機関となることとが確認された。又打ち合わせ
の結果、鉱物資源省から当該プロジェクトの調査を支援していく旨の Interest Letter が
大臣名で出状された。なお当該プロジェクトの現地側サポート体制は以下の通りである。
図 7-1 現地側サポート体制 組織図
カウンターパート
経済産業省(MOI*3)
鉱物資源省(MOMR*1)
Mr. Sidonio dos Santos,
National Director
カウンターパート
農業省(MOA*4)
Ms. Serafina Mangana,
Head Department of
石油開発庁(INP*2)
Plant Protection
Mrs. Jossefa Jussat,
環境省(MOCEA*5)
Ms. Isabel Chuvambe
プロジェクトマネージャー
MINISTRY OF MINERAL RESOURCES
*2 Instituto Nacional De Petroleo
*3 Ministry of Industry and Commerce
*4
Department
EIA/License
出典:調査団作成
*1
Head
MINISTRY OF AGRICULTURE
*5 Ministry of Coordination and Environment Affairs
2
of
7.2 当該プロジェクト実施機関
上記(7.1)で記載のとおり鉱物資源省が担当省庁であり、その傘下のINPが実施機
関となる。
当該プロジェクトのStudyを実施するにあたり以下の官庁等の協力が不可欠である。
1)MINISTRY OF MINERAL RESOURCES(農業省)、
肥料の国内への供給システムの確立、需給バランスの調整、モザンビークの農業
政策立案・実施、
2)Ministry of Transportation(運輸省)、
3)Beira 市庁、
当該プロジェクトサイトの地方自治体、
4)Ministry of Energy(エネルギー省)、
当該プロジェクトへの電力供給、
5)Ministry of Industry and Trade(通産省)、
許認可並びに登記、
6)ENH(Empressa Nacional de Hidrocarbonetos EP)(National Hydrocarbon Enterprise)
(炭化水素公社)、天然ガスの供給システム担当
7)CPI(Centro de Investimentos)
(Investment Promotion Center)
(投資促進センター)、
外国直接投資に関するインセンティブ手続きの窓口、
8)MINISTRY FOR COORDINATRION OF ENVIRONMENTAL
環境負荷調査並びに環境許可担当、
9)Ministry of Finance(財務省)、融資受け入れ窓口。
3
ACTION(環境省)、
7.3
当該プロジェクト実施機関の実施能力評価
モザンビークには現在操業中の窒素系肥料プラントは存在していないものの、ガス処理
プラント並びにセメントプラントは操業中である。更にモザンビーク政府は産業セクター
向けにアルミニウム製造工場並びに鉄鉱石開発に関する外国直接投資を受け入れ実績もあ
り、モザンビーク政府は外国直接投資の受け入れについては問題なく、当該プロジェクト
の様な大規模プロジェクトについてもモザンビーク政府組織は十分対応出来ると考える。
一方、当該プロジェクトの実行性をより高める為にモザンビーク国内に受け皿となる機関
を設立し、農業省 ENH、CMH 等モザンビーク政府関連企業がモザンビーク側における旗振り
役なってもらう。本邦・外国化学会社及び海外投資ファンドの出資してもらい実際のプロ
ジェクト開発のノウハウも生かしてもらう。
過去の実績から判断して、モザンビーク政府は大規模プロジェクトを実施することは可
能であると言えるものの、化学肥料工場向けの建設、操業、ファイナンスの組成の実績は
無く、以下の分野における専門家の支援が必要であると言え、その専門家の支援が当該プ
ロジェクトの開発・実施には必要であると言える。1)プラント設計、2)プラント建設、
3)O&M、4)ファイナンス、5)マーケッティング、6)ロジスティックス
7)会社運営。
4
そして
第8章 我が国企業の技術面の優位性
1
8.1
想定される我が国企業の参画形態(出資、資機材供
給、施設の運営管理等)
8.1.1 資金調達
想定される日本企業の参画方法には幾つかの観点からの検討することが出来るが、当該
プロジェクトの実現性を高める為のその内の一つが第9章で詳述されている資金調達面で
の貢献であり、資金調達の面では2つの側面を持っている。その一つが負債の調達に関わ
るものであり、もうひとつが株主資本調達に関わるものである。負債の調達については日
本企業のプラント建設や出資と密接に関わってくる事項であり、当該プロジェクト実施の
為の重要な部分を占める JBIC(Japan Bank for International Cooperation)(国際協力銀
行)の融資メニュ―を含めて第9章での記述を参照請う。
当該プロジェクトの資金調達に加えて、農業関連への事業参画と石油化学事業への事業
参画を目的とした日本企業による出資参画にも可能性が高い。第一に窒素系肥料の取り扱
いを目的とした事業参画であり、余剰窒素系肥料を昨今の需要の多いインド、豪州、中国、
日本等への輸出を目的として当該プロジェクトに出資参画することにより優先的に製品の
取り扱いを行うことである。
窒素系肥料の取り扱いに加えて、石油化学事業への参画に関しても日本企業の出資の可
能性が高い。窒素系肥料は原料に天然ガスを使用しているが、同様に類似プロセスからア
ンモニア、メタノール等の基礎化学品を製造することが可能であり、これらの化学品を原
料とする付加価値の高い化学品製造に対して供給することを目的としての出資も十分に可
能性があると言える。しかしながら、その際には当該プロジェクトの製品構成・プラント
構成は見直される必要がある。
上記に記載のある他地域への輸出をベースとした製品取り扱いを目的とした事業参画と
は異なり、肥料需要が飛躍的に増加する可能性の高い南部アフリカ地域で農業関連事業へ
の参画も日本企業にとって魅力のあるものであると言える。現在の肥料消費量は他地域と
比較し非常に少ないものであるが、今後非常に大きな成長が期待できることから、大きな
ビジネスチャンスを持っていると考えられる。
2
8-1-2 工場施設と資料の調達
プラント建設については、資機材は、中国、ヨーロッパ、日本、韓国および東南アジアか
ら調達する。
日本からの調達品は、コンプレッサーのような回転機器、熱交換器、ボイラーのようなパ
ッケージ設備、化学品ユニット、ガスタービンおよびコンプレッサー、リクレーマのよう
な資材運搬機器、パイプ、特殊バルブ等が候補になる。
8-1-3 プラント操作およびメンテナンス
製品を生産し続けるために、工場設備はすべて、特別目的事業体(SPC)によって適切に操作
されるものとし、メンテナンスされるものとする。プラントは定期補修期間および緊急停
止以外に停止なしで1に 24 時間操作される。
それらの種の O&M 実行する為に、技術スタッフだけでなく熟練した管理運営人員も、SPE
の適切な構成の下で雇われ訓練される。
熟練した技術スタッフおよび監理担当官は日本人の経験を積んだエンジニアからも雇われ
るものとする。
A 内部監査委員会
内部監査委員会は、会社から独立した組織になる。委員会のメンバーは、特別事業体が社
内規定および(または)モザンビーク規則に適切に基づいて業務を遂行しているかどうかチ
ェックする。
それが貸主および(または)適切な報告が必要とされる場合、調査結果は取締役会と株主報告
されるものとする。
B. 取締役
特別事業体の取締役は、取締役会および株主への予算および事業計画の達成に責任を負う
ものとする。一定の期間の事業結果に基づいて、取締役の成果として評価されるものとす
る。
C. 人事部
人事部は、以下の役割を担当する。
1) 国内、海外スタッフおよびマネージャーを雇うこと
2) 雇用契約を作ること
3) 給料制度のコントロール
3
4) すべてのスタッフのためによい健康状態を維持することを目標とすること
5) 社内規定をコントロールおよび実行すること
6) 取締役の指示に基づいた会社命令を出すこと
7) 職員研修に対する責任および取締役の要求に従った管理
D. 業務部
この部は業務上の管理を実施する。
1) 海外スタッフのためにモザンビークへの入国ビザを整えること
2) 海外出張用のモザンビーク全国スタッフのために国籍離脱者ビザを整えること
3) モザンビークで海外のスタッフおよびそれらの家族のための住居手配すること
4) すべてのスタッフのために適切な通勤網を整えること
5) すべてのスタッフのために適切な食事システムを整えること
6) すべてのスタッフのために適切な安全計画およびシステムを整えること
7) すべてのスタッフのためによい労働条件を維持する。
8) 広報活動と庶務のために世話をすること
9) モザンビークの法律に関して十分な知識を持っている弁護士を雇って、特別事業体の内
部の法的事項をすべてチェックし調査するために、チーフ監視指導官(「CCO」)として指定
する。
E. 調達部
調達部は、関連部門と連携して必要な道具、消費物、設備などの購入する。購買契約は社
内規定で規制される。契約はすべて CCO あるいはその権限者によって調査。
F. 財務部
この部は特別事業体の財務条件を担当する。
1) 金融権利、および契約に基づいた利害関係者への義務のインプリメント
2) 報告書を利害関係者から取締役会および取締役の要請に基づいた財務条件にすること
* 利害関係者は株主、金融機関、ECA/MLA、政府、税務当局、CPA 等を意味します。
G. 経理部
この部は一般会計作業を担当する。
1) 利益ロス、バランスシートおよびキャッシュ・フロー・シートを含む有価証券報告書、
生産費、および適切な権威か取締役会の指示により必要な報告書を作ること
2) 必要な税務の扱い
3) CPA によって実行される監査
4
4) モザンビークの内部で、およびモザンビークの外部で位置する会社勘定の維持
H. 販売、マーケティングおよびロジスティクス部
この部は SPE 製品の販売活動の原因です、のように
1) 顧客から売上額を受け取って、国内・海外の輸送(カスタム・クリアランス)を含む売買
契約の実行
2) それが SPE に必要な場合に、モザンビーク、および SADC のような他の取り巻きで新
しい顧客へのセールス・プロモーションを作ること
I. オペレーション、メンテナンス部
この部は特別事業体の運営およびメンテナンス問題を担当する。
1) アンモニアおよび尿素プラント(プロセス・プラント)のために管理すること
2) ユーティリティ/離れた設備を含む天然ガス、海水摂取のために管理すること
3) プラント中の「カイゼン」あるいは改良を連続的に実行すること
4) 一般的な機械的作業
5) 一般的な電気的作業
J. 技術部
技術部は以下の業務を担当。
1) 高品質管理(QC)を検査するおよび維持すること
2) 供給材料および製品分析研究所
8.2
当該プロジェクト実施に際しての我が国企業の優位
性(技術面、経済面)
我が国には尿素技術を保有している企業が1社と尿素技術の供与を受けて建設できる会社
が数社ある。本邦企業の保有する尿素技術は尿素プラントでのエネルギー消費を大幅に削
減する ACES(Advanced Process for Cost and Energy Saving)21がある。同技術は省
エネルギーおよび設備費用縮小を達成して、1系列での生産設備は 3,250t/d になる。
この技術の主な特徴は下のように与えられる:
同技術は、尿素合成系を簡素化することでプラント建設費を低減したばかりではなく、運
転条件をより最適化しオペレーションコスト削減を実現しており、以下の優位性がある。
5
A. 省コスト(機器配置が低く、コンパクト)
建設費を削減。
高圧エジェクターによる強制送液採用による合成管の地上設置 縦型のサブマージカーバ
メートコンデンサー(VSCC) 合成ループの簡素化 機器費の削減 2 段合成による機器サイ
ズ削減 合成ループ内の機器数の削減。
B. 省エネルギー(運転費用の削減)
最適なプロセスコンディション採用による低い合成圧力の実現で運転費用の削減。
C. 運転しやすさと安定性
高圧エジェクターによる高圧ループ内の強制循環(重力流れなし)
D. 保全費の削減
低い合成系温度と信頼性の高い材料を採用することにより、腐食を防止する。
8.3
我が国企業の受注を促進するために必要な施策
プロジェクト実行の為に、本邦公的金融機関である国際協力銀行によるファイナンス供与、
JICA のプロサバンナと連携した形での肥料産業の育成への協力が必要とする。 モザンビ
ークは北部のロブマの巨大ガス田の存在から、資源国として注目されている事もあり、国
際協力銀行からの融資についても、本調査結果を踏まえて、今後協議を進めていく。出資
に関しては、モザンビーク炭化水素公社(ENH)
、肥料に興味があるとしているモザンビー
ク炭化水素会社(CMH)及びモザンビーク政府 (鉱物資源省・農業省・産業貿易省・商
工省)含めて今後協議して行く必要がある。
上記の問題については、調査団が今後モザンビーク側の政府首脳にも働きかける事も検
討して、案件実現に向けて進めて行く。
6
第9章
プロジェクト資金調達の見通し
1
9.1 資金ソースおよび資金調達計画の検討
当該プロジェクト実施のための資金ソースと資金調達計画を検討するにあたり、所有者
について考慮する必要がある。所有者については1)モザンビーク政府 100%所有、2)モ
ザンビーク政府との外資とのJV形式によるもの、3)100%民間資本による投資が考えら
れる。
しかしながら当該プロジェクト検討にあたって当該プロジェクトはモザンビーク政府の
農業政策に基づいてモザンビークの農業セクターに貢献することを目的として開発される
ことが前提条件となっている。モザンビークの農業政策は1)生産の改善、2)市場情報
へのアクセスおよび販売、3)水資源の管理、4)人的資源の確保そして5)天然ガスの
有効利用である。仮に当該プロジェクトが民間資本によってのみ所有された場合、肥料工
場所有者とモザンビーク政府との間で利益相反が生まれる恐れが十分にあり、この点につ
いては注意が必要である。
結果として、肥料プラントはモザンビーク政府による所有されコントロールされること
が必要であり、工場操業と工場運営には民間資本のサポートを受け入れることが必要であ
ると考えられる。
当該プロジェクトはユーティリティーを含めたプラント建設費用、建設中金利、プラン
ト操業に関わる運転資金、その他のコストを含めて約10億ドルが掛かると想定される。
かかる前提条件と必要資金額を基に資金調達計画を立案する必要がある。
第一に、資金調達は株主資本と負債の2つのパートに分割して検討されることとなる。
株主資本のプロジェクト総額から負債の金額の差額として考える。しかしながら、通常の
大型プロジェクトにおける、負債比率(負債/(負債+株主資本))は約 60-70%が一般的
と考えられている。負債の資金調達についてはモザンビークの資本市場・金融市場を考慮
してモザンビーク国外からの調達を検討する。そして、日本企業が当該プロジェクトにプ
ラント建設であるEPC(Engineering Procurement and Construction) 業務や投資家も
しくは重要な位置を占め、当該プロジェクトに深く関わる際にはJBIC(Japan Bank For
International Cooperation) (国際協力銀行)からの融資が期待できる。言いかえれば、
JBICからの融資のストラクチャーは日本企業の参画状況とその度合いによって決定さ
れ、日本企業の参画が無い場合にはJBICからの融資は期待できないと考える必要があ
る。
2
株主資本の調達は出資者によって行われ、モザンビーク政府以外の出資者は財務的に健
全で在ることが求められる。そして、モザンビーク政府による出資金の注入は内閣での承
認の後国会で可決というプロセスを通じて政府承認によって行われることとなる。この承
認作業によって当該プロジェクトが国家プロジェクトとして看做されることとなる。
9.2 資金調達の実現可能性
負債の調達方法に関し、JBICから負債の主たる部分が調達できるかどうかについて
は日本企業の参画に懸っており、現在の金融情勢から他の先進国の政府系金融機関らの融
資は非常に難しい状況となっている。欧州の政府系金融機関は同国内の金融機関が融資す
る案件に対して保険を引き受ける業務を主としており、資金調達の役目を持っていないこ
とがあげられ、資金調達自身は市中銀行等の金融機関自ら行う必要があるためである、現
在欧州からの当該プロジェクト等発展途上国へのプロジェクト融資は非常に限られた状況
であると言わざるを得ない。
一方、USEXIM(米国輸出入銀行)に関しては自ら資金提供は行うものの、同組織
のルールとしてJBICと同様に米国企業の参入を上げている一方、同組織は 100%米国製
品へのファイナンスを自らの融資ルールとしており、当該プロジェクトの場合には米国企
業からの調達に際して部分的には活用の余地はあるものの、当該プロジェクトの主たる融
資者としては考えることは出来ない。
JBICの融資政策に関して、モザンビークへのプロジェクト融資はケース・バイ・ケ
ースとして対応しているものの、基本的には前向きにとらえているとの情報を得ている。
特にモザンビークはMOZALアルミニウム精錬プロジェクトの成功に加え、大型天然ガ
ス田の発見による本邦への輸出を前提としているLNG(Liquefied Natural Gas)(液化
天然ガス)の新規プロジェクトが進行中であり、加えて南アフリカ、タンザニア、ジンバ
ブエ、ザンビア、マラウイ、等の近隣諸国との友好関係の継続による経済発展等、政治的
安定もあり、JBICの同国に対するスタンスとして前向きな状況は今後も継続していく
ものと考えられる。
かかる状況下、現在考えられる最も実現可能性の高い融資スキームはJV方式若しくは
モザンビーク100%の事業ですすめるにしろ、JBICによるモザンビーク政府の引受
をベースとした、Ministry of Finance を借入人とする Buyer’s Credit であると考えら
れる。
上記 JBICとモザンビーク政府間の Buyer’s Credit を負債融資の主たる部分を組成
3
するにあたり、当該プロジェクトの実現可能性を高めるために尿素肥料の近隣諸国への輸
出、適正なO&Mの実施については今後のプロジェクト検討段階の時点で深く検討され必
要がある。
9.3 キャッシュ・フロー分析
キャッシュフロー分析では長期借入金の返済可能性指標である DSCR(デット・サービス・
カバレッジ・レシオ)を用いて、本肥料プロジェクトが生み出すキャッシュフローが元利
金返済に十分な水準であるか分析する。
DSCR =(税引後利益+減価償却費)/ (長期借入金当期返済額+長期借入金支払金利)とし
て計算した。
プラントの運転が開始され収入が入る 2016 年を基準年とおいてから 8 年後の 2023 年には、
1.43 となり、一般的に、単年度収入を借入金の元利返済額(年間)で割った数値である DSCR
が 1.4~6 あれば健全であると見ることができる為、キャッシュフロー上問題ないと分析で
きる。
4
第10章 案件実現に向けたアクションプラン
1
10.1
当該プロジェクトの実現に向けた取り組み状況
モザンビーク政府を代表する鉱物資源省からの Interest Letter の入手後、東洋エンジ
ニアリングと住友商事は同省にモザンビーク国内のパンデ/テマネガス田から供給される
国内天然ガスを有効利用した肥料プロジェクトである当該プロジェクトを排他的に検討す
ることを骨子として 2011 年6月に提出している MoU (Memorandum Of Understanding)へ
の署名を依頼しているものの、現在モザンビーク政府内で署名の是非について協議中であ
る。
鉱物資源省と当スタディー・チームとの協議の結果INPが責任担当部署として指名さ
れたのは第7章に記載の通りであり、INPはモザンビークの石油ガスに関する情報につ
いて管轄する組織であり、当スタディー・チームはINPに対してパンデ/テマネガス田
の天然ガス性状・品位等の提出を依頼している。
モザンビークの中部に位置するベイラが当該プロジェクトのサイトの第1候補であり、
同地には商業港、鉄道があり近隣諸国とのアクセスも十分にある。結果として商業港であ
る故、プラント機器・プラント建設に必要となる重機の輸入、肥料製造の為の原材料とな
る化学品の輸入が可能となり且つ製品の輸出についても問題無く行えると考えられる。
JBICからの融資については今後の話し合いが重要であり世界的な資金需要に比べて
各金融機関の資金供給力の低下により、今後より緊密なすり合わせを必要としている。
10.2
当該プロジェクトの実現に向けた相手国の関係官
庁・実施機関の取り組み状況
ミッション訪問を通じ、モザンビーク政府の関係省庁との打ち合わせの結果、同国政府
各組織は農業振興のための自国による肥料生産の重要性、その結果としての農業生産の増
加の必要性を十分に理解しており、また一部の組織では農業生産を増加させるための農業
振興プログラムをすでに開始しているとのことである。
しかしながら、現時点では国内天然ガスを有効利用した窒素系肥料の具体的な自国生産
の政策は存在していない。その理由は投資金額が巨額になることでありそのための資金調
達が必要となるからである。しかしながらこの問題は鉱物資源省と外国民間資本が協力す
ることで技術面・財務面での問題を解決することが出来る問題である。
2
一方、モザンビークにはアルミニウム、石炭、天然ガスの分野で多額の FDI(外国直接投
資)を呼び込んできており、投資許可には複数の関係省庁が関係してくるものの、モザン
ビークでは CPI という投資センターを設立しており、同センターのサポートにより、FDI
については外国資本にとっての水先案内人的な役割となり、国益に適う投資には柔軟な対
応が取られると見込んでいる。
10.3 相手国の法的・財政的制約等の有無
モザンビークは歴史的な背景もあり、旧宗主国であるポルトガルの法体系の影響を強く
受けている。肥料プラントへの投資を考えた場合、弁護士からの各種の Legal Opinion が
必要となるが、本 Study を通じて行われた調査では法的な制約と外国直接投資に関する障害
は認められなかった。
財務面での枠組みでは、国家プロジェクトとしての大型投資若しくは多額の対外債務に
ついては FID(Final Investment Decision)に至るためには政府承認が必要である。
モザンビークは、複数の世界的土建・組立工事業者が支店設置している。現地業者から
ヒアリングの結果、大規模プロジェクトの場合、モザンビーク人6割、外国人4割程度の
比率になるという事で、熟練労働者はいかに効果的に現地ワーカー訓練含めて確保、南ア、
フィリピン人等を中心とした外国人熟練労働者を確保する事が重要である。
モザンビーク国内のクレーンは、600 トンがマックスになるため、肥料プラント重量物の
内、アンモニアコンバーター等の機器は、クレーンをレンタルして荷卸、組立する必要が
ある。
工事資材は、セメントの輸入必要になるが、砂(リバーサンド)
、石、Re-bar、砂利、材
木はモザンビーク国内で手配できる。
ベイラ港における輸送制限は、各社ばらつきがあったが、重量で 80 トン。寸法で(長さ)
17M×(幅)3.5M×(高さ)4M 程度。6~9 月の肥料シーズンは忙しくなる。
それ以上の寸法、重量の機器・資材の輸入については、仮設ジェティをサイト近郊に建設
して、艀等を使用して荷卸する方策が必要になる。
10-3-1 プロジェクト承認プロセス
投資法及び関連法の基づいた、モザンビーク国における投資プロジェクトの承認プロセス
3
は以下の通りである。
投資者は CPI へ、適切に記入されたビジネスプランのコピーを3つ、もしくはプロジェク
ト申請フォームのコピーを3つ提出する。査定及び承認プロセスのために、添付書類(ID
コピー、会社定款、地図、技術的・財務的能力の証明、投資者と(もしくは)企業の詳細、
有効的情報等)もこの段階で提出されなければならない。
CPI は承認のために、地方及び中央レベルでの関係当局と共同しながら、ビジネスの査定、
及び、投資者もしくは関係者と許認可条件のドラフト作成と交渉を行う。
許認可条件についての CPI と投資者の合意のもと、CPI は関係当局(州政府、計画発展省、
もしくは議会)からの承認のため、プロジェクトの許認可申請を行う。
CPI は、プロジェクト実行への投資を査定するだけでなく、投資家に対し、ビジネスライセ
ンス、入国ビザの取得、就労・居住許可、関税免除、土地の所有、政府関連省庁との業務
等の援助をする。
1) 財政システム
モザンビークの課税システムは、国と地方自治体の税を統合している。国の課税システム
では、各レベルにおいて、直接税と間接税とに分類されている。例えば、収入と財産への
直接税と、支出への間接税などが挙げられる。
収入への直接税は、以下の課税システムによって定められる:
法人税(IRPC)と個人所得税(IRPS)
支出に課せられる間接税は、付加価値税(VAT)
、特定消費税(ICE)そして関税を統合して
いる。
法人税(IRPC)は納税者、つまり、民間企業、協同組合、公的機関の、課税期間に得られ
た収入に対し課税可能である。しかし、それらの収入は IRPS または IRPC の課税規定に従
ってはいない。
IRPC の税率は 32%である。
農業・水産業は、2015 年 12 月 31 日までに、80%の成立引き下げを受け、更に 2016 年
から 2025 年までの間には 50%の引き下げを受けることになる
個人所得税(IRPS)は、世界的な年間収入価値に対し課税される。つまり、モザンビーク
に居住している個人及び、モザンビークに居住していないが、同国から収入を得ている個
4
人から納税される。
付加価値税(VAT)は、同国内での物品売上高と食糧売上高に対し課税される。輸入品売上
高も同様に課税対象である。付加価値税の税率は 17%である。
特定消費税(ICE)は、特定の商品、国内生産品、もしくは輸入品の消費に対し、選択的な
方法で課税される。一般的な関税率は 20%である。
関税は、輸入品と輸出品に課せられる。それらの税率は、以下の通りである。
原料への税率は 2.5%
資本金(Class K)への税率は 5%
中間搾取への税率は 7.5%
消費物への税率は 20%
南部アフリカ開発共同体の貿易協定の下では、同共同体内の地域・国からのあらゆる商品
は、関税が免除されることから利益を得ている。
他の課税システムは、次の通りである。印税、相続税、譲渡税(SISA)
、賭博税、復興税、
自動車税、他法的に制定された税、及び特定課税。
2) 社会保障
社会保障システムへ労働者・雇用者を登録することは義務である。社会保障料は 7%である
(4%は雇用主から、3%は従業員から)
。
3) 投資保証
法的効力のある保証は以下である。
産業的所有権を含めた、財産と権利の法的保護
借用制限と海外への支払いの利息の排除
海外への配当金の転換
投資議論の解決策の対する、ICSID もしくは ICC 規定に則った調停
投資リスク保証に関連する問題への MIGA と OPIC のサービス
投資法は、金額、場所、投資活動の分野によって、特定の課税と関税の利益を与える。
モザンビークにおける、奨励制度は以下の通りである。
総括的な
総括的な会計と
会計と関税利点
投資法に基づいた投資は、関税率で Class K に該当する資本と関連する付属品に対し、関税
5
と付加価値税の免除を受けられる。
フリーゾーンでの
フリーゾーンでの利点
での利点
フリーゾーンでの規定は、主に以下の2つの構造に適用される。
1. フリーゾーンのインフラ(Industrial Free Zone Operator)の発展
2. 輸出のための産業活動の調査、もしくはフリーゾーンでのサービスへの対策(Industrial
Free Zone Company)
法的効力に則り、政府当局は、フリーゾーンのすべての産業活動の 70%を輸出している。
フリーゾーンでは、建設機材、機械、備品、付属品、他認可された物品の輸入に対する関
税が免除されている。
6
10.4 追加的な詳細分析の要否
本 Study のコンセプトはモザンビーク政府にとって肥料プラントが必要で在るかどうか
を確認するための予備的企業化調査であり、今回の調査で更なる調査の可能性があること
が判明した。
必要調査項目は以下の通りである。
1)肥料の需要調査
2)国内での原料となる天然ガスの供給可能性
3)モザンビーク国内でのプロジェクトサイトの可能性
4)肥料プラント建設の為の技術的可能性の考察
(若しくは、技術的困難の考察)
5)資金調達元の追加的調査
6)プラント設計の更なる最適化
当該プロジェクト実施前に、少なくとも上記1)~5)については詳細について検討す
る必要があると言える。需要に関してはモザンビーク国内の需要を主たる需要先として考
え、モザンビーク国内の需要が不足する場合に予備的な需要先として近隣諸国若しくは他
の需要先を検討する必要がある。又、国内供給ガスに関しては予備的調査としてパンデ/
テマネガス田の天然ガスをフィードストックして使用することで合意しているものの、今
後の調査で供給可能量についての確認が必要である。プロジェクトサイトに関し鉱物資源
省並びに INP と合意の上モザンビーク中部のベイラを対象として検討しているものの、FID
の前に、土壌確認、港湾等の確認作業を実施する必要がある。プラント建設の技術的確認
については、FID の前に基本設計当を行い、プロジェクト総コストと建設期間について確認
しておく必要がある。最後に資金調達についてはファイナンシャル・アドバイザーを起用
し、外国投資家とも合意の上、意見書等の作成を投資家並びに融資先に対して行うことが
推奨される。
7
Fly UP