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同社は、ステンレス製タンクを開発する過程で、その素材やステンレス製
中部地域 森松工業株式会社(岐阜県) 同社は、ステンレス製タンクを開発する過程で、その素材やステンレス製タンクの 製造方法、タンク自体、タンクから取水するための装置等を次々に特許出願し権利化 している。そして、更に新しい製品を開発し続け、権利化を図っている。 また、同社が他社の追随を許さないのは、真似することができないステンレス鋼溶 昭和22年、創業者の松久辰夫氏は、三菱重工業株式会社を退社し、同社で修得した 接の技術を持っていることである。 技術をもって鉄骨を加工する町工場を立ち上げた。その後、鉄骨加工の傍らに鉄板製 これらを武器に更なる発展を遂げるため、新素材の研究、開発を通じてタンク応用 タンクも手がけることとなり、高度成長期の建設ラッシュによりタンクの需要が伸び 分野への進出も図りつつ、独自の競争力とネットワークを活かし、新しい製品開発を 始めると、鉄骨加工を切り捨てタンク一筋の道を選んだ。 積極果敢に進めていく方針である。 やがて、二代目社長に松久信夫氏が就任すると、その天性の経営手腕とニーズに合 わせた質の良いタンクを提供するという信念から、タンクの開発・改良に取り組み、 従来のコンクリート製や鉄板製では得られなかった耐食性、耐久性を兼ね備えたステ ンレス製のタンクを開発した。さらにステンレス製タンクの改良を重ねてゆき、現在 では、ステンレス製タンク国内最大手メーカーにまで登り詰め、海外へとそのシェア 中 部 地 域 を伸ばしている。 高度成長期当初は、コンクリート製タンクや鉄板製タンクが主流であり、両者を脅 かす存在はなかった。しかし、コンクリート製タンクには、施工期間が長く、重量も 重く、数十年で耐久性が脆くなる等の難点があった。また、鉄板製タンクにおいても、 パネルタンク 溶解槽 錆が出て腐食するなど耐久性に問題があり、それらを解決した軽くて錆びにくいFRP 製タンクを大手企業が開発し投入してくると、FRP製タンクが大きくシェアを伸ばし、 コンクリート製タンクや鉄板製タンクの製造業者は経営が厳しくなっていった。そう した状況下で、鉄板製タンクに代わる独自の自社製品を模索し、ステンレス製タンク 開発へと活路を見いだしていくことになる。 ステンレス製タンクの良い点は、パネルを組み合せ溶接しタンクを製造するため、自由 な大きさのタンクの製造が可能な点である。また、タンクの重量も軽く、現地での組立て が可能なため、どんな形状の場所であろうが、ニーズに合わせて設計・設置が可能な点で ある。 ただ、ステンレス鋼は溶接が非常に難しく、技術やコストを要する。そのため、ステン レス製タンクはそれまで製造されることがなかった。同社はそこに着眼し、敢えてその溶 接技術開発に挑んだ結果、見事ステンレス製タンク製造に成功し、業界に新たなステンレ ス製タンクの歴史を刻むこととなった。 さらに、阪神・淡路大震災後には、ステンレス製タンクの耐震性が注目され、また環境 問題が取り沙汰される今日では、FRP製タンクに比べ、ステンレス製タンクはリサイクル が可能な上、環境にも影響を与えない点が評価され、時代の流れも追い風になった。 配水池(タンク)