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第 4 回 取引と仕訳 (まとめノート)
2009 年 5 月 14 日 第4回 取引と仕訳 (まとめノート) 記録:梶原 1.何を記録するか? ―取引― 簿記では企業活動の中で毎日起こる「取引」を記録する (1)簿記上の「取引」とは? 資産、負債、純資産を変動させる出来事 例)資産の購入。資産の紛失。罰金や税金の支払い →「取引」として記録の対象 (2)日常用語の「取引」 人との間のやり取りというイメージ 例)賃貸契約。便宜と見返りに賛成。ギブアンドテイク →資産、負債、純資産の変動がないときは記録の対象外 2.何に記録するか? 簿記では企業活動を次の 2 種類の帳簿に記録していく ※ 昔は紙媒体。現代では電子媒体(コンピュータ)に記録する ①仕訳帳(しわけちょう) ・・・一言でいうと、日記帳。日々の取引を記録する ②総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう) ・・・一言でいうと、集計表。仕訳帳の記録を集めて整理する 1 <仕訳帳の具体的なかたち> 日付 摘 要 元丁 借 方 貸 方 ちなみに、簿記では、 「左側」のことを 「右側」のことを ↓ ↓ 「借方」 「貸方」 (かりかた) (かしかた) という。 借方と貸方という言い回しは、歴史的には意味のある言葉だが、現在では左側と右側と いう意味しかもっていない 上で見たように、仕訳帳には 5 つの欄がある。 ①日付欄 ②摘要(てきよう)欄 →仕訳を書く ③元丁(もとちょう)欄 →総勘定元帳で集計する時に、各項目の集計場所(これを「勘 定」という)の番号を書く ④借方欄 →仕訳の金額を書く ⑤貸方欄 →仕訳の金額を書く 2 <総勘定元帳の簡単なかたち> 総勘定元帳には、仕訳で記録した出来事を集計する場所がある。 ※「勘定」とは、資産・負債・純資産・収益・費用のそれぞれの項目を集計する場所 例)現金を集計する場所→「現金勘定」 支払家賃を集計する場所→「支払家賃勘定」 たとえば、勘定は次のようなかたちをしている。これを「T フォーム」と呼んだりする 現金 建物 買掛金 受取利息 支払家賃 →それぞれの勘定について、借方(左側)欄と貸方(右側)欄があるのが特徴 <総勘定元帳の詳細なかたち> 現金 日付 摘 要 仕丁 借 方 日付 摘 要 仕丁 貸 方 「摘要」欄には仕訳の際の相手の勘定を書く。 「仕丁」欄には仕訳帳の頁を書く 仕訳帳に記録したあと、総勘定元帳の集計場所に勘定科目と金額をもう一度記録する このことを「転記(てんき)」という 3 3.仕訳帳への記録のルール 仕訳帳へ記録することを、 「仕訳」という。 「仕訳する」とか「仕訳を行う」とかいう。 「仕訳」とは、企業活動の中で起こった出来事を、 「簿記の世界」に引きずり込むこと (1)「借方(左)」の世界と「貸方(右) 」の世界を使って記録する 貸借対照表と損益計算書に左と右があったように、仕訳にも左と右がある。 「簿記の世界」とは、借方(左)と貸方(右)の 2 つの空間をもつ世界のこと (2) 「現金」や「受取利息」などの勘定科目とそれぞれの金額を記録する (3)資産と費用があるときは借方、負債・純資産と収益があるときは貸方に記録する 貸借対照表 資産 負債 純資産 左 右 損益計算書 費用 収益 利益 左 右 ※1 資産と費用は性格が似ている。そのため、同じ側に書く。 例えば「備品を買う(資産の増加)」と「電気代を支払う(費用の増加) 」。 どちらも、何にお金を使ったかを記録するもの ※2 負債・純資産と収益は性格が似ている。そのため、同じ側に書く。 たとえば、「お金を借りる(負債の増加) 」と「手数料を受け取る(収益の増加)」。 どちらも、お金が入ってきた理由を記録するもの 4 これらのことをまとめると、次のようになる。 借方(左側) 増加 減少 減少 減少 増加 ※ 資産 負債 純資産 収益 費用 貸方(右側) 減少 増加 増加 増加 減少 収益と費用については、それらが現れたとき、「増加した」といわずに、「発生した」 という言い方をすることが多い。したがって、収益の発生は貸方に、費用の発生は 借方に記録する。 4.仕訳の具体例 具体例を使って、企業が活動する中で起こった取引を仕訳してみる 例 1)5 月 14 日に銀行から 100,000 円を借りてきた この出来事を簿記では次のように記録する。 5/14 (借方)現金 100,000 /(貸方)借入金 100,000 →「現金」という資産が増加しているので借方(左側)にその事実を記録する。 →「借入金」という負債が増加しているので貸方(右側)にその事実を記録する。 ※ 仕訳を記録する場合は、金額の単位(円)は省略してよい ※ 声に出して読むときは、 「借方現金十万円、貸方借入金十万円」というふうに読む 5 この仕訳を仕訳帳に記録すると、以下のようになる 1頁 <仕訳帳> 日付 5/14 摘 要 元丁 借 方 貸 方 100,000 (現金) 100,000 (借入金) 銀行から借り入れた。 ※ 仕訳の下の行に簡単なメモ書きを残す。その下には線を引く (→次の仕訳と区別するため) 仕訳帳に取引を記録したあとは、この仕訳を総勘定元帳に転記する <総勘定元帳> 1番 現金 日付 摘 5/14 借入金 要 仕丁 借 1 方 日付 摘 要 仕丁 貸 方 100,000 2番 借入金 日付 摘 要 仕丁 借 方 日付 5/14 摘 要 仕丁 貸 1 現金 方 100,000 転記が終わったら、仕訳帳に戻って、「元丁」欄に、総勘定元帳の勘定の番号を書く 1頁 <仕訳帳> 日付 5/14 摘 要 元丁 1 (現金) 2 (借入金) 銀行から借り入れた。 これで、この取引の記録は終わり 6 借 方 貸 方 100,000 100,000