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技術支援と研修 国際通貨基金(IMF)の技術支援と研修は、加盟国の人的資源と組織的資源の能力 を強化することにより、より実効性のある経済政策の形成及び実施を支援するもの です。IMF は、能力開発と呼ばれる技術支援と研修のシナジー効果を活用して、有 効性を最大限に向上させる事を目指しています。 技術支援は、より効果的な組織や法的枠組み、経済の安定性や包摂的な成長を促進するため の政策の策定に努める加盟国を支援します。実際の政策に基づいたコースや実践的なワーク ショップ、セミナーを通した研修を行い、経済情勢の分析力や効果的な政策を策定・実施す る当局関係者の能力を高めます。技術支援と研修に関する業務は、ワシントン DC にある IMF 本部、地域技術支援センター(RTAC)、地域研修センターと地域研修プログラム (RTC と RTP)、信託基金、及び多数の二者間ドナー支援活動を通し運営されます。IMF は他の研修・技術支援提供者やドナーパートナーと密接に協力しています。 多くの加盟国を支える技術支援と研修 IMF の技術支援と研修は、合わせて能力構築と呼ばれ、加盟国が活用することができる重要 な利益です。人的資源と組織的資源の能力を国内で育成することは、政府が更に有効な政策 を実施する助けとなり、より良い経済的成果をもたらします。2015 年度、IMF が行った全 技術支援の(40%が新興市場国と中所得国向けであるのに対し)約半分が低所得国と途上国向 けであり、また IMF の研修のうち、新興市場国を対象にしたものが最大のシェア(50%強)を 占めました。 さらに、新興市場と先進国に対し、特定の最先端分野、例えば金融部門で、技術支援を行う ことで、IMF の政策助言の影響力が増すとともに、技術革新やグローバル経済リスクに関す る最新情報が常に IMF に集まるようになります。また、危機や波及効果に関連した様々な課 題の対応にも役立ちます。 技術支援、研修と IMF サーベイランス、融資の一体化 技術支援と研修は、IMF の他の中核的な業務であるサーベイランスと融資の補完的役割を果 たします。IMF の専門分野に特化した技術支援と研修は、効率的な政策形成のための加盟国 の組織的資源および人的資源の能力の構築に貢献します。さらに、IMF のサーベイランスと 融資業務は、IMF の技術支援と研修が最大限の影響を与え得る分野の特定に役立ちます。た とえば、包摂的成長、金融包摂、及び対外的脆弱性に関する分野で、新規の研修コースが用 意されています。このような相互関係を反映し、技術支援、研修、サーベイランス及び融資 業務の一体化のさらなる推進が、IMF の最優先課題となっています。 IMF の中核的な専門分野を網羅する技術支援と研修 IMF は中核となる専門知識、すなわち、マクロ経済政策、租税政策、歳入管理、歳出管理、 金融政策、為替制度、金融部門の安定性、法的枠組み、及びマクロ経済・金融統計の分野に おいて技術支援を行っています。なかでも、国際金融システムや財政・債務政策の強化に向 コミュニケーション局 ワシントン D.C. 20431 電話 202-623-7300 ファックス 202-623-6278 ファクトシート URL:http://www.imf.org/external/np/exr/facts/tech.htm -2けた取り組みが近年行われていることから、IMF の技術支援に対する新たな需要が生じてい ます。例えば、IMF・世界銀行合同の金融セクター評価プログラム(FSAP)の枠組みの中 で特定された金融部門の弱点への対処や、金融部門、財政及び統計の管理の国際的な 基準 と規範の採用・遵守などで支援が求められています。 IMF はさまざまなやり方で技術支援を行っています。任務の性質にもよりますが、支援は、 本部や RTAC から一定期間スタッフ使節団(ミッション)を派遣する、或いは、専門家や駐 在アドバイザーを 2~3 週間から 2~3 年間配置して行うケースが多くなっています。ドナー パートナーからの支援は、RTAC、RTC、信託基金及び二者間プログラムを通した能力構築 に対する加盟国の緊急ニーズに対応するために、IMF にとって不可欠なものとなっています。 IMF は、複数の専門分野で研修コースを提供しており、マクロ金融の連関性、金融政策と財 政政策、国際収支に関する課題、金融市場や金融機関、そして、これらの分野に関する統計 および法的枠組みなどが含まれます。オンラインカタログで、1 年先のコースが告知されま す。コースへの参加は、招待または申し込みのどちらでも可能です。このカタログを補完す る形で、優先順位の見直しおよび需要の変化を反映したオンラインコースの告知が行われま す。 マクロ経済、金融および関連業務分野で加盟国の政府高官向けに、RTC と RTP を通して政 策指向型の実践的な研修も行なっています。この研修は、健全な政策の策定と実施、および 国と IMF との政策対話の質の強化に役立ちます。 オンラインコースにより、IMF の利用機会が増加 IMF は、マクロ経済と金融の研修を政府高官に実施するための手段として、オンラインコー スを大幅に拡張しました。オンラインコースは、いわゆる大規模公開オンラインコース (MOOCs)で一般の人も自由に利用することが可能です。2013 年末のプログラムの設立以 来、これまでに約 5,500 人の政府高官(及び 5,400 人の政府関係者以外の参加者)がコース を終了しました。 技術支援や研修のモニタリング IMF は、成果重視型の管理運営枠組みを取り入れており、これにより、能力構築活動の体系 的な計画策定やモニタリングが可能となっています。たとえば、技術支援は、経済統計やマ クロ経済の安定性、公共財政管理システム、金融ガバナンスの質を改善しました。政府関係 者は、研修により、より良い仕事をすることが可能になりました。例えば、研修終了後に新 たな仕事を任せられたり、経済情勢の分析力や自国の政策の有効性を評価する能力を高めた りしました。これは、IMF 全体で様々なタイプの技術支援や研修の実績を評価し比較する能 力を改善するための、新たな共通の評価枠組みで補完されることになります。たとえば評価 は、技術支援が経済統計、マクロ経済の安定性、好況財政管理システム、そして金融ガバナ ンスの質をどれほど向上させたかを見定めるのに有益でしょう。また、研修により政府関係 者の仕事の能力が向上したか、さらに経済動向を分析し政策の実効性を評価する能力が改善 したかを見極める際にも効果を発揮するでしょう。 IMF は、技術支援と研修の有効性を評価するために、内部評価と独立した外部による評価を 今後とも活用していきます。評価は、RTAC の資金交付サイクルの中盤と提供されたコース -3の終了時に行われます。RTAC を通して技術支援を受けた国は、IMF の技術支援の有効性を 一貫して「良」または「優秀」であるとしました。2015 年の調査では、回答した組織のう ち 92%が、スタッフが他が提供する同様のテーマの研修より IMF の研修を高く評価してい ると答えました。 この情報は 2016 年 3 月現在のものです。